業績の書き方2 業務内容では仕事の成り行きではなく業績の骨格を表現する。
2017.09.14
引き続き、鉄道設計技士論文指導コースの指導内容から、技術士および鉄道設計技師合格に役立つ情報をお伝えします。
鉄道設計技士、電気科目を目指す方に対する指導では、業務経歴の導入部分を効果的にまとめるため、論文の冒頭部分で書かれたことを一つ一つ検証しました。この指導内容についてご紹介します。
講座の様式である「業績記述チェックシート」には次のように書かれていました。
---------------------------------------------------
名称、時期
1. 名称:〇〇本線線通信ケーブル更新基本計画の策定
時期:平成〇年8月〜平成〇年8月
2. 立場 (指導監督的立場がわかるように)
基本計画策定の中心的役割
3. 業務概要(物件・対策の概要、自分の成果・貢献を宣言する。)
①物件の仕様
本施策により、〇〇線の基幹通信網は2本の光ケーブルと各駅機器室間に設置されたWDM光搬送装置により整備される。
以上前回掲載範囲、以下今回の範囲です。
②対策の概要
メタルケーブルを使用している設備の光化を実施し、基幹通信用のケーブルを光ケーブルのみで構成する。
③自分の貢献、応用技術名
通信品質の向上と設備の通信伝送方法の基盤整備、将来の管路スペース確保、工期短縮
②対策の概要の記述では、電気設備の内容を何をどう実施したかという説明が必要です。
「メタルケーブルを光化する」では改修工事のイメージしかありません。業務の難しさの中心は光ケーブルシステムをいかに構成するかというところにあり、そのシステムの構成や中心的な通信技術について言及するとよいでしょう。つまり
「概要」というと周辺を取り巻く概略的な事情と捉えがちですが、そうではなく専門分野、専門技術を応用した中心的な技術内容について訴えるべきです。
③自分の貢献、応用技術名。実はここが最も表現が難しく一方、得点に響いてくるところです。答案では「・・基盤整備」とか「・・スペース確保」、「工期短縮」とか作業内容や取り組みの基本姿勢みたいなことが書かれていますが、これでは専門性を訴えることができません。
なぜなら、業務方針である通信品質の向上とはメタル/光の変化によるものであり、それはメタルから光に代替することによって自動的にに得られる機能の変化にすぎません。むしろここで訴えるべきことは、光伝送設備をどのように高品質に仕上げるかという内容です。
ですので、ここは改修前後の比較ではなく、 同じ光通信でも一般的な計画法ではなく、創造的な革新に富んだ先進性を含んだものであることを主張したいものです。つまりご自分の貢献を訴えるために、
一般的な方法に比べて独創的なアイディアを導入することによって品質アップに貢献している
という事を力説するようにしてください。
また貢献をわかりにくくしている原因の1つは、業績と言うと物件の仕様を求められていると誤解している方が多いことです。あくまでも技術士試験は個人に対する評価であるため、物件の出来栄えは結果として評価はされるものの、それ以上に
個人としてどう関わったかということの方が評価対象となる
ということです。
こうした業績の技術的な貢献内容がどこにあるかという事はご自身ではわかりにくいものです。そこで本講座ではコーチングによって業績内容をヒアリングして、その中から業績の核となるものを拾いあげるという作業を主導の中で行っております。