2018年3月6日 建設部門、河川砂防科目の方の電話によるコーチング指導

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 この日のコーチングによる指導時間は10時00分から、1時間30分間行なわれ,その受講者様は建設部門、河川砂防科目を目指す方で、居住地、山形から電話を用いて相談されました。ストックの活用法 答案をもとに話し合いました。

 この日提出された論文は、次の問題の解答でした。

河川、砂防及び海岸・海洋 H29 Ⅲ-1

 わが国では、高度経済成長期に社会的要請に基づき急速に整備した社会資本の老朽化に対して、厳しい財政制約の下、効率的に対応していく必要がある。そのような状況を踏まえ、社会資本の整備や維持管理の分野においては、既存ストックの有効活用を図ることが求められている。河川、砂防、海岸、海洋分野における既存ストックの有効活用に関して、以下の問いに答えよ。

(1)河川、砂防、海岸・海洋分野において、現在取り組まれている既存ストックの有効活用に資する具体的な取組の例を2つ挙げ、その概要を説明せよ。

(2) 今後、より積極的に河川、砂防、海岸・海洋分野における既存ストックの有効活用を推進していくに当たっての課題を2つ説明せよ。

(3)(2)で記述した課題に対して、それぞれの改善方策を提案せよ

 以下に、解答と講師による添削コメントを■の印の箇所に書き添えます。

解答

(1)具体的取組み例

1)破堤要因である越水・浸食・浸透の各外力に応じた対策により、河川堤防の強化を図る。 

 ■つまり何を提案しているのか。どうやって外力に応じた方法とするのか。技術士提案としての工夫が見えません。

2)砂防堰堤をグラウンドアンカーで補強することにより、転倒・滑動の安定条件を満足させ長寿命化を図る。

■これは合理化の意図か? 解答趣旨を明らかとする必要があります。

(2)有効活用推進の課題

1)堤防天端舗装・裏法面の合成繊維と植生による法覆う工の補強により、破堤要因の中で最も多い越流水に対する補強対策を実施する。

■作業内容ではなく技術者が解析すべき技術課題は何かを示す。

2)砂防関係施設維持管理(予防・事後・観察・無点検)のサイクルを継続的実施する。 

■これは基本事項、河川砂防の技術者として最低限のことにすぎません。よりよく維持管理するために技術者が解析すべき技術課題は何か?それがコンピテンシーです。

(3)有効活用の改善方策

1)土により堤防高を高く・天端を広く・裏法勾配を緩くする十分な堤体断面の確保を併せて行えばコストをかけず、より越水破堤を防止することができる。

2)砂防関係施設維持管理に加え点検・健全度評価を実施することにより、劣化が健全化する前の補修ができる。

 スカイプコーチングではこれらの添削の指摘を補足するとともに、ではどう書いたら正解できるのか、ご自身の体験の中からベストの答えを引き出すようにしました。

最初の提案では、現場の取り組みを示すことに集中し、あれこコメントを発散させるのではなく、具体例の紹介に徹底することにしました。

「(2)有効活用推進の課題」では最低限の維持管理ではなく、有効活用を意識してさらに効果的に行うための技術課題を設定するようにしました。その結果、翌日には問題が解決し、修正答案を作成することができました。

解答

(1)具体的取組み例

1)既設堤防の天端や裏法を保護工で覆うことで、耐久性・低コスト・短期間施工が向上され、越水による被害を軽減させる。

2)鋼管を格子状に組み合わせた構造をもつ鋼製透過型砂防堰堤へ改良することで、土砂を流下させる。

(2)有効活用推進の課題

1)保護工は、越水の卓越方向が多様であり、越流水による引張力に耐え得る材質・堤体変化に追随できる・一部決壊しても機能が確保できるものとする。

2)鋼製透過型砂防堰堤は、流下してくる土石流の貯留や減勢による耐流体力・洪水時に巨石と流下する土砂を分離する機能が確保できるものとする。

(3)有効活用の改善方策

1)通常、保護工の裏法は植生で覆うが、一か所浸食を受けると以後耐浸食性を示さず、また浸食に対する強さは生息状態に影響を受ける。

よって、疲労浸食に強くブロックが越水流により上下に変動しても切れ抜け落ちない連結材を用いた連節ブロックを設置する。

2)鋼製透過型砂防堰堤として、実績があり古くから鋼管によるフレームをコンクリート基礎に固定した鋼製スリット型堰堤が一般的である。

これに対し、さらに、土石流衝撃力を向上せ巨石を確実に補足し土砂を流下させる、上流側に緩衝桁を配置し鋼製トラス構造のI型スリット堰堤を設置する。

  技術士試験では、いきなり対策方法を求めるのではなく、現状分析を行って自ら問題点を抽出してそれに対する技術課題を設定するという、すなわち分析力が求められるようになりました。このため国土交通白書を闇記して備えよう書き出すという方法では合格出来ません。

 今回ご相談されたT様も普段行政に携わり国土交通政策には相当詳しく日常的に携わっているようです。しかしこの問題のような、普遍的な現場を取り上げて、そこに問題点を発見し、独自の課題設定を行っていくという問題形式では、分析力が発揮できず苦慮されたようです。こうした分析力というのは技術者のコンピテンシーの1つとなっており、今後も重視されるに違いありません。

 技術士の勉強では、暗記した知識に頼ることなく、毎回問題を読んで分析して正しく答えることが必要です。そのような練習を重ねることによって、プロエンジニアとしての判断力が養われて、問題は変わってもぶれることなく正解できるようになるのです。当研究所では添削指導において答案の語句の直しではなく、考え方の転換を指導するようにしております。そうすることによって、受講者様が自ら修正の方向性をつかめることができるからです。こうした、何が合格の尺度であるかということを早くつかむことによって、合格への心構えがしっかりとできると考えております。

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