H30/2018年 建設・道路 V−1 問題 模範解答と解説

問題文

 物流は、我が国の産業競争力の強化、豊かな国民生活の実現や地方創生を支える社会インフラとなっている。強い物流を構築するために、高速道路等がその機能を発揮し経済活動等を支えていくことは、国家的課題となっている。これに関し、道路に携わる技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)高速道路が物流に果たす役割と効果について述べよ。

(2)(1)を踏まえた現状の高速道路の課題を多面的に述べよ。

(3)(2)の課題を解決するための施策のうち、道路輸送の機能強化及び機能確保に資する施策をそれぞれ示し、それらを進める上での留意点を述べよ。


模範解答1  (簡易形式1)  添削履歴 8回 2019.2.3   専門事項 道路設計


1. 高速道路が物流に果たす役割と効果

@移動時間の短縮:車速向上し目的地までの移動時間短縮により、近隣・広域から集客増加し、IC周辺部の企業立地・大型店進出し雇用促進する。

A大量輸送:大型貨物車(新規格・海上コンテナ車)等により国際物流機能強化を図る。

B基幹広域ネットワーク:大規模災害時の被災者救援のための道路啓開、災害復旧、代替道路として機能する。

 

2.現状を踏まえた高速道路の課題

@交通隘路の解消:暫定2車線の区間で近傍4車線区間の平常時の速度に比べ著しい低下(25%程度)か所、及び交通流の合流点で車線増加し車速を向上する。

A大型車の諸元(重さ、高さ、長さ)をカーナビに入力し港湾〜高速IC間の最適ルート選定できるシステム改良し高速道までの時間短縮する。

B代替道路の安全確保:機能確保のため早期に対策が必要な箇所を優先補修と併せ、管理費の平準化のため予防保全箇所を計画的に老朽化・耐震対策を行う。

 

3.道路輸送の機能強化及び機能確保施策と留意点

(1)機能強化施策及び留意点

@機能強化施策:車線増加箇所は、完成4車から暫定2車への接続部、JCTやIC合流部等の交通隘路箇所とする。

A留意点:交通隘路箇所は、ETC2.0のデータを活用し、上り坂やサグ部など平均車速が必要サービス速度(規制速度×0.75)を下回る箇所を選定する。        

 

 (2)機能確保施策及び留意点

@機能確保施策:補修橋梁(15m以上)は、安全性が危惧される三大損傷を優先し、レベル2地震に対し耐震性能2を確保する補強を行う。

A留意点:橋梁部位ごとの耐震性能を選定すし、耐震性能2に対する限界状態は、迅速な機能回復のため下部工は、橋脚部の柱部で曲げ塑性化によるエネルギー吸収し、上部工は供用性確保のため弾性域に留める。

 


模範解答1  (簡易形式2)  添削履歴 0回 2019.2.5  専門事項 道路設計


(1) 高速道路が物流に果たす役割と効果

@移動時間の短縮:高規格幹線道路として車速の向上を図り、目的地までの移動時間を短縮する。これにより、高速道路の近隣地、及び広域範囲から集客を増加することでIC周辺部の企業立地や大型店が進出し雇用促進する。

A大量輸送:大型貨物車(新規格車、海上コンテナ車等)により大量輸送を行い、国際物流機能の強化を図る。

B基幹広域ネットワークの形成:大規模災害時の被災者救援のための道路啓開を行い、災害復旧及び代替道路として機能する。

 

(2)役割と効果を踏まえた現状の課題

@交通隘路を解消:暫定2車線の区間で、近傍4車線区間の平常時の速度に比べ車速の低下が著しい(25%程度)か所、及び交通流の合流点で車線を増加し、車速を向上する。

A港湾から高速道路ルート選定システム:通行する大型車の諸元(重量、長さ、幅、高さ)をカーナビに入力し、港湾〜高速道路IC間の最適ルートを選定できるシステムの改良を行い高速道路までの走行時間を短縮する。

B代替道路の安全確保:道路機能の確保のため、老朽化し早期に対策が必要な箇所を優先し補修する。併せて維持管理費の平準化のため、予防保全箇所を計画的に老朽化・耐震対策を行う。

 

(3)道路輸送の機能強化及び機能確保施策と留意点

@機能強化施策及び留意点

ア.機能強化施策:車線増加の必要なカ所は、車線減少部(完成4車線から暫定2車線)、及びJCTやICの交通合流部等の交通隘路箇所とする。

イ.留意点:交通隘路カ所選定は、全国の高速道路上の約1,700箇所のITSスポットから蓄積された道路プローブ情報(基本情報、走行・挙動履歴)を活用する。具体的には、上り坂やサグ部など平均車速が必要サービス速度(規制速度×0.75)を下回る箇所を選定する。

 

A機能確保施策及び留意点

ア.機能確保施策:長さ15m以上の橋梁について老朽化補修を行う。補修橋梁は、損傷の進行により安全性が危惧される三大損傷(疲労、塩害、アルカリ骨材反応)のある橋梁を対象とする。併せて耐震性能の強化を行い、レベル2地震に対し耐震性能2を確保する補強を行う。

イ.留意点:橋梁部位ごとの耐震性能を確保し、耐震性能2に対する橋の限界状態は、迅速な機能回復を行うため、下部構造では、橋脚部の柱部で曲げによる塑性化によりエネルギー吸収を図る。また、上部構造は早期の供用性を確保するため弾性域に留める。


 

模範解答1 (答案形式)  添削履歴 4回 2019.2.9   専門事項 道路設計


(1) 高速道路が物流に果たす役割と効果

@移動時間の短縮

高規格幹線道路として車速の向上を図り、目的地までの移動時間を短縮する。

これにより、高速道路の近隣地、及び広域範囲から集客を増加することでIC周辺部の企業立地や大型店が進出し雇用促進する。

A大量輸送

近年、国際海上コンテナ貨物の取扱量が増加し、コンテナ輸送を効率的に行う必要がある。そのため、大型貨物車(新規格車、海上コンテナ車等)により大量輸送を行い、国際物流機能の強化を図る。

B基幹広域ネットワークの形成

大規模災害時の道路啓開、仮復旧を行い、被災者や孤立者の救助・救援活動、緊急物資の輸送及び災害復旧を行う。このため、広域的な基幹ネットワークを形成し、代替道路として機能する。

(2)役割と効果を踏まえた現状の課題

@交通ボトルネックを解消

暫定2車線の区間では、車線数の減少により交通容量が不足し交通ボトルネックとなっている。このため、車線増加し車速を向上する。この箇所は、近傍4車線区間の平常時の速度に比べ車速の低下が著しい(25%程度)地点を抽出する。

また、交通流の合流点の隘路箇所でも同様に車線を

増加し、車速の向上を図る。

A港湾から高速道路ルート選択システム

港湾から高速道路間は、港湾道路を含む幹線道路が多数存在する中で、走行時間の短縮ルートを選定する。

そのため、通行大型車の諸元(重量、長さ、幅、高さ)を事前にカーナビに入力し、港湾〜高速道路IC間の最適ルートの選択が可能なシステム改良を実施する。

B代替道路の安全確保

大規模災害時の幹線道路の代替道路として安全・円滑な交通の確保が必要である。このため、急激に老朽化が進む既存ストックの内、老朽化し早期に対策が必要な箇所を優先し補修する。併せて維持管理費の平準化のため、予防保全箇所を計画的に老朽化・耐震対策を行う。 

(3)道路輸送の機能強化及び機能確保施策と留意点

@機能強化施策及び留意点

ア.機能強化施策

交通ボトルネックとなっている車線減少部(4車線→暫定2車線)やJCT・ICの交通合流部等について道路拡幅する。これにより、交通容量を拡大し交通渋滞を解消する。

イ.留意点

道路プローブ・民間プローブ情報を統合し活用す

る。すでに判明している前述アの箇所、上り坂やサグ部などボトルネック拠点を、時空間速度図法により特定する。

対策箇所は、平均車速が必要サービス速度(規制速度×0.75)を下回る箇所とする。これらボトルネックを車線増加法により地点速度を高め、一定区間の空間平均速度の向上を図る。

A機能確保施策及び留意点

ア.機能確保施策

主要橋梁(L=15m以上)について、老朽化補修を施工する。補修橋梁は、損傷の進行により安全性が危惧される三大損傷(疲労、塩害、アルカリ骨材反応)のある橋梁を対象とする。併せて耐震性能の強化を行い、レベル2地震動に対し耐震性能2を確保する補強を行う。

イ.留意点

補修橋梁の耐震性能は、橋梁部位ごとの耐震性能を確保し、耐震性能2に対する橋の限界状態は、地震動の損傷が限定的に留まり、迅速な機能回復が可能な状態とする。

このため、下部構造では、橋脚部の柱部で曲げによる塑性化によりエネルギー吸収を図る。また、上部構造は早期の供用性を確保するため弾性域に留める。


 


問題文

 


模範解答2  (簡易形式1)  添削履歴 16回 2019.2.11   専門事項 道路施工監理


1.  高速道路が物流に果たす役割と効果

(1)広域ネットワーク:巨大災害の切迫によりリダンダシーが必要である。代替道路のために、広域ネットワークが重要である。

(2)速達性:立地条件が良くなり、店舗が増える。工場誘致する。

(3)大量輸送:ボーダレス化、海上コンテナ、新規格車により国際物流効率化する。

2.  高速道路の課題

(1)ネットワークの強靭性を持つこと

地震や老朽化してネットワークが耐えるよう補強する。

(2)ストロー効果対策及び渋滞対策

既存の道路ネットワークの有効活用。環状道路を整備する。

(3)高速道路路面の耐久性向上

コンテナ車など交通量の増加に対応して、容易に劣化しないよう補強する。

3.-1施策

(1)道路輸送の機能強化に資する施策

a)耐震強化

地震で壊れないように耐震補強する。

b)スマートインターチェンジ整備(以下SICと表示)

地方消費力を上げるため、SIC整備を実施する。

(2)道路輸送の機能確保に資する施策

a)本格的交通需要マネジメント

経路変更ができるように交通需要マネジメントの活用。

3.-2留意点

(1)道路輸送の機能強化に資する施策を進める上での留意点

 耐震強化は、支承部補強や落下防止構造にする。さらに、橋脚全体の補強などの対策を取る。また、ロッキング橋脚は、支承部破壊より落橋に至る可能性があるため、優先的に補強する。

(3)道路輸送の機能確保に資する施策を進める上での留意点

渋滞解消して、物流効率を良くするために、道路ネットワーク化する。さらに、プローブデータから25%以上渋滞が増える個所には、拡幅車線を考える。

 


模範解答2  (簡易形式2)  添削履歴 17回 2019.3.14   専門事項 道路施工監理

 


1.  高速道路が物流に果たす役割と効果

域ネットワーク:巨大災害の切迫によりリダンダシーが必要である。代替道路構築して、広域ネットワーク化する。

(2)速達性:立地条件が良くなり、店舗、工場など設備投資(ストック効果)がある。

(3)大量輸送:ボーダレス化、海上コンテナ、新規格車により国際物流効率化する。

2.高速道路の課題

(1)ネットワークの強靭性

想定外の地震に対して倒壊せずに耐えられるような強靭性が必要である。

(2)渋滞対策

交通量分散により、渋滞解消させる。都市中心部は、中心地に必要な交通以外に通過交通が加わり、渋滞が発生するので、不要な交通は迂回させる。

(3)高速道路路面の耐久性向上

コンテナ車など交通量の増加により、道路路面の劣化が早まるので、舗装表面を強化する。

3.-1施策

(1)道路輸送の機能強化に資する施策

a)耐震強化:レジリエントの考え方で、支承部に水平力を分担する構造にして、落橋を回避して災害後に速やかに復旧させる。

b)環状道路の構築:渋滞を解消するように都市周辺8km〜20kmに環状道路を建設して、う回させる。

(2)道路輸送の機能確保に資する施策

a)交通需要マネジメント:経路変更や時間変更、発生源変更などにより、交通量を分散するため交通需要マネジメントを活用して、交通渋滞を解消する。

3.-2留意点

(1)環状道路による渋滞交通分散と都市移動;環状道路の位置大きさを計画する因子は、@市内移動交通量、A郊外から都心への交通量、B通過交通量の3つである。これが集中すると、渋滞が発生する。このためABが中心に到達しないように直径を計画する。

(2)プローブデータ利用による経路変更:プローブデータの走行履歴と挙動履歴から、渋滞時間と交通量の偏在している箇所を分析して、運転者にITSスポットとETC2.0によって渋滞のないルートに経路変更を促す。

 


模範解答2  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.3.24   専門事項 道路施工監理

 


 

1,高速道路が物流に果たす役割と効果

(1)広域ネットワーク

 高速道路は、巨大災害の切迫によりリダンダシーが必要である。代替道路があることで、ひとつの道路が災害によって、使えなくなっても、それに代わる代替道路を使用することができる。それによって、緊急輸送路として使用し、救助活動や支援ができる。したがって、高速道路は、広域ネットワーク化する役割と効果がある。

(2)速達性

 高速道路は速達性があるために、立地条件が良くなる。それによって、店舗、工場などの整備投資(ストック効果)を誘発する。それが地方創生に繋がっていく。また、スマートインターチェンジを整備して、地方へのアクセスを良くすることで、速達性が上がり、物流が効率化できる。

(3)大量輸送

 近年アジア諸国の成長に伴い、物流や観光のグローバリゼーションが進展している。そのため、ボーダレス化して、海上コンテナや新規格車により高速道路は、大量輸送できる。それによって、国際物流を効率化する。また、高速道路や空港、港湾の交通モードの連携(モーダルコネクト)を構築することで、物流が効率化する。

2.高速道路の課題

(1)ネットワークの強靭性

 高速道路は、想定外の地震に対して倒壊せずに耐えられるように強靭性が必要である。具体的に、熊本地震では、橋梁が落橋して、道路が使えず道路ネットワークが寸断された。復旧にも支援するにもルートがないという問題があった。したがって、高速道路の課題は、ロッキング橋梁を早急に耐震補強して、ネットワークの強靭性を図るということである。

(2)渋滞解消

 高速道路を利用する際に、交通量を分散することにより、渋滞解消させる必要がある。具体的に、郊外から都市への交通量と通過交通量が都市中心部で集中することにより、渋滞が発生するという問題がある。したがって、高速道路の課題は、都市中心部に通過交通量のような不要な交通を迂回させて、渋滞解消することである。

(2)高速道路路面の耐久性向上

 高速道路は、路肩部分を車道にシフトすることで、付加車線を増加している。確かに、それにより物流を効率化し、大量輸送ができている。しかし、コンテナ車などの交通量が増加することにより、道路路面の劣化が早やまるという問題がある。したがって、高速道路の課題は、高速道路の舗装表面の劣化防止するために、舗装を強化するということである。

3.施策と進める上での留意点

3.-1施策

(1)道路輸送の機能強化に資する施策

a)耐震強化:レジルエントの考え方で、支承部に水平力を分担する構造にして、落橋を回避させる。そして、災害後に速やかに復旧させる。

b)環状道路の構築:渋滞を解消するように都市周辺約8km〜20kmに環状道路を建設して、迂回させる。

(2)道路輸送の機能確保に資する施策

a)交通マネジメント:経路変更や時間変更、発生源変更などにより、交通量を分散するため交通需要マネジメントを活用して、交通渋滞を解消する。

3.2留意点

(1)環状道路による渋滞交通分散と都市移動

 環状道路の位置大きさを計画する因子は、@市内移動交通量、A郊外から都市への交通量、B通過交通量の3つである。これが集中すると、渋滞が発生する。このためABが中心に到達しないように直径を計画することに留意する。

(2)プローブデータ利用による経路変更

プローブデータの走行経歴と挙動経歴から、渋滞時間と交通量の偏在している個所を分析して、運転者にITSスポットとETC.2.0によって渋滞のないルートに経路変更を促すことに留意する。

 


 


模範解答3 (簡易形式1)  添削履歴 3回 2019.7.9   専門事項 道路設計


(1)物流に果たす役割

@広域ネットワークの確保  緊急輸送道路や代替ルートとして機能する為、悪天候時や大規模災害時の道路啓開により、広域的に高度医療施設等への通行機能と安全性を確保する。

A移動時間の短縮  一般道と比較し車両の走行速度が向上し郊外へのアクセス性が向上する為、大型小売店等の消費拡大し、沿線地域の企業立地誘発し更なる雇用促進と所得増加を生み出す。

B貨物取扱量の増加  一般道と比較し大型貨物車による大量輸送が可能な為、国内及び国際物流機能が効率化・迅速化する。

(2)現状の課題

@既存道路ネットワークの活用  既存道路とのアクセス性を向上する為、SICを設置し高速道路と既存道路とのネットワーク連携とシームレス化を図る。

A通過交通の分散化  都市中心部の交通に放射状道路から通過交通が加わり、渋滞が発生する。通過交通を迂回させ渋滞解消する為、環状道路を整備し放射状道路の稼働率向上と交通を分散化させる。

B老朽化対策  経年劣化及び大型車交通量増加による損傷を受けた箇所を優先的且つ都市部・地方部を平準的に補修する為、予防保全箇所を計画的に抽出し老朽化対策と舗装構造強化を図る。

(3)−1 (a)機能強化施策と(b)留意点

(a)経路の高規格化  一貫した大型貨物車の大量輸送とする為、大型貨物車の通行可能な一般道とSICを整備し高規格化する。 ←(2)@の施策

(b)代替路・補完路の確保  高規格化する一般道は一般国道等の基幹道路や物流拠点とIC・SICとの間、基幹道路が持つ構造的脆弱箇所を局所的に回避可能な経路とする。 ←(a)の性能を高める提案

(3)−2 (a)機能確保施策と(b)留意点

(a)交通需要マネジメントの活用  集中する交通需要を分散する為、経路変更や時間変更により交通需要を空間的、時間的に平準化する。 ←(2)Aの施策

(b)プローブデータの活用  渋滞箇所を回避した経路変更を促す為、ITSスポットとETC2.0の組み合わせによる経路履歴や挙動履歴を蓄積しボトルネック箇所を分析する。 ←(a)の性能を高める提案