H28年 建設・施工 Ⅲ-2 問題 模範解答と解説

  平成27年には、免震ゴム支承の偽装、落橋防止装置の溶接不良、杭施工データの流用といった建設工事と直接関わる不正事案が連続的に発覚した。このことは、マスコミでも大きく取り上げられ、エンドユーザーである国民から、建設構造物全般に対してその安全性が疑われるなど、建設部門に対する信頼が大きく揺らいだ。このため、建設技術者は基本に立ち戻って、建設構造物の安全と安心に対するユーザーの満足と信頼の獲得に努めていかなければならない。

(1)       こうした不正事案の背景にあると考えられる要因を2つ記述しなさい。

(2)       ユーザーの満足と信頼を獲得するため、(1)で挙げた要因の対策として、あなたが建設工事において具体的に実施できる施策と期待される効果を、発注者、設計者、元請、下請等の立場を明らかにした上で記述しなさい。

(3)(2)を踏まえ、建設部門全体で取組むべきとあなたが考える方策を記述しなさい。

模範解答1 (簡易形式1)  5回 2019/7/1  専門事項 現場施工管理 

(1)不祥事の発生要因

①重層構造による外注契約

建設工事は下請構造が重層化しているため、品質に対する責任の所在が明確でない。

各分野で高度に専門化・細分化が進み、専門の技術と経験が必要なため、元請が良否を把握し判断することが困難である。

専門的な工種は下請に品質管理を任せきりにするため偽造や手抜きが発生する。

②厳しい受注環境

バブル崩壊以降、公共工事の受注を巡り厳しい価格競争を続けている。

建設企業は低価格で工事受注することとなり、施工管理・監督に十分な経営資源を注入できない。建設技術者は、少ない人数で過重な業務量を消化することとなり、単純な転記ミスや捏造データを品質記録として残す結果となっている。

(2)施策と効果(元請けの立場)

①施工管理体制の確立

施策:専門化・細分化する工事の品質に影響を与えない施工管理体制が課題である。

複数の作業を遂行する多能工の活用やキャリアアップシステムの推進。

効果:品質の向上、法令順守の徹底、発注者からの信頼の向上。

②建設技術者の育成

施策:就労環境の悪化による技術者減少を解消する技術者育成が課題である。

団塊世代の再雇用による技術の継承。ナレッジマネジメント。

効果:熟練者の技術継承機会の増加。経験的技術の形式知化による共有化。

(3)建設部門全体で取り組む方策

建設部門全体で取り組みは、アイ・コンストラクションである。

規格の標準化:橋脚やボックスカルバートの部材をプレキャスト化することで、工期の短縮により不正工事を防止する。高品質な工場製作のため施工不良を防止する。留意点は、部材が大型で重量も大きいため市街地などの現場への搬入が困難である。対策は、部材を分割化してハーフプレキャスト化にする。

ICTの活用:ドローンとレーザースキャナの起工測量とICT建設機械の情報化施工による高効率・高精度の作業により施工管理を効率化し不正工事を防止する。

留意点は、災害復旧現場では二次災害よりオペレーターに危険が伴う。

対策は、ICT建設機械に遠隔操作ロボットを搭載させた無人化施工とする。

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