H26/2014年 機械・情報精密 V−2 問題 模範解答と解説

III-2: 温室効果ガスの排出量削減、大量廃棄型生産プロセスからの脱却、エネルギー消費の低減などを満たしながら、社会・経済活動を発展維持させる21世紀型の持続可能な産業・社会構造に我が国を転換していく必要がある。研究開発活動では、いわゆる”持続可能なモノづくり技術”の推進が挙げられるが、その技術について以下の問いに答えよ。

(1) 持続可能なモノづくり技術の研究開発に関して、あなたが携わる技術あるいは製品分野において検討すべき項目を多面的に述べよ。

(2) 上述した検討すべき項目に対して、あなたが大きな技術課題と考える項目を1つ挙げ、課題を解決するための技術的提案を示せ。

(3) あなたの技術提案がもたらす効果を具体的に示すとともに、実施する際に予想されるリスクについて述べよ。


模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 1回 2019/07/7   専門事項 精密機械開発


(1)  「手術支援ロボット」の持続可能なモノづくりとして、検討すべき項目

 

 手術支援ロボットとは、従来、外科医による患者の開腹、患部切除、縫合の動作を低侵襲に支援・代替するロボットのことである。患者体表に開けた複数の切除孔(ポート)からロボットアームを体内に挿入し、体内の様子をモニタ表示し、ロボットハンドで外科医の精密な手技を再現する。

@医療廃棄物の削減: ロボットハンド先端の処置具は血液等と接触する為、医療廃棄物となる。今後のロボット手術の普及に備えて、環境負荷の低減が必要である。

A小型化・軽量化: 現在の手術ロボットは大型で重量がある。つまり、多くの資源とエネルギーで製造されている。ロボット製造の省資源化、省エネ化が必要。

B医師の負担軽減: 長寿命化により、医師の仕事量が増加している。医師が直接操作しなくても済む制御機能の搭載など、医師の負担軽減が必要である。

(2) 課題「@ 医療廃棄物の削減」の技術的解決策

 体外からMRIで患者体内をモニタリングしながら、体外からの集束超音波により切除孔(ポート)なしで手術する。

・計画: 患者カルテ情報とMRIの3Dデータに基づき、AIが治療計画を立てる。

・観察: 予め取得した画像と対比しながら、MRIで患部を観察。

・認識: MRI画像に基づいて、AIがロボットアームに搭載された超音波音源を位置決めする。患部3DデータをVR表示する。

・治療: 予め計画した条件で集束超音波を照射する。超音波照射法に応じて組織除去や蛋白凝固を行う。照射前後の画像差異から治療成否をAIが判定する。

(3) 効果と予想されるリスク

(3)-1. 効果: 持続可能な病院経営を提供する

          医療廃棄物をほぼゼロにし、バックヤード業務を削減できる。

          感染症の心配が要らない(追加の医療行為が発生しない)。

          切開や縫合等の複雑な動作が不要となるため、ロボット構成を簡素化できる。

(3)-2. リスク

・臨床情報の不足によるAI誤診断による医療インシデントのリスク: AI判断に必要な情報の質・量を予め設定。手術情報不足のとき、不足内容のアラートを出す。

・サイバーリスク: オンライン接続される電子カルテや装置のエッジ、ルーター、クラウドにおいて、暗号化や高度な個人認証、異常信号検知等の対策を行う。