技術士二次試験模範解答と解説 H28年 電気・電子部門、情報通信 U−1−2

問題文

 カーナビゲーションシステムなどで広く利用されているGPSシステムについて、その原理を説明せよ。またGPSの特徴を2つ以上述べよ。 


模範解答1 (答案形式)


1. GPSの測定原理の説明

 周回衛星(6軌道に30機程度が配置)より発せられた電波を任意の地点で受信し、衛星からのメッセージ(送信の位置と時刻など)を元に、光速が一定であることを利用して地球上の位置を測位するものである。

 測位はGPS衛星と受信機が共に正確とみなせる時計がある場合、送信時刻(測定値)Tと受信時刻t差に光速cを掛けると距離が得られる。GPS衛星iの位置座標を(Xi,Yi,Zi)、受信機の位置を(x,y,z)とすれば、c^2(T-t)^2=(Xi-x)^2+(Yi-y)^2+(Zi-z)^2の関係式と受信したメッセージからGPS衛星の位置を得る。受信機の位置を示す3つの変数(未知数:x,y,z)を得るためには最低3つの連立方程式を解く必要があるため、3衛星から信号を受信する。

 通常は受信機の時刻tの精度が悪いものとし、これも未知数として4衛星から信号を受信して計算を行っている。

2.GPSの特徴:

  • 衛星に搭載された原子時計はRbまたはCsを用いており、非常に精度が高い(誤差:10^-12程度)
  • 衛星電波の到来が遮蔽物等により不安定になる場合、測位の精度は低下または不能となる。
  • 変調方式にSS方式を採用し、単一周波数で複数の衛星信号を受信できることからハードウェアを単純かつ安価に製造できる。

 


模範解答2 (簡易形式1)  添削履歴 2回 2019/3/9   専門事項 交通運行無線


1GPSの測位原理

 GPS衛星が中心でGPS衛星・GPS端末間の距離が半径の球面を3個導出し、その交点をGPS端末の位置として測位する。衛星・端末間の距離は、信号発信時刻と受信時刻差を用いるレンジングにより算出する。

2.GPSの特徴

@カバーエリア

高度約2万kmで約30基のGPS衛星が飛行しコンステレーションを構成しており、地球上全域とカバーエリアが広い。

ASS変調を用いた送信

GPS衛星からの送信電波はSS変調され、広いバンド幅による低電力な送信が可能な上、秘匿性が高い。

BGPS受信機の時刻精度

原子時計を用いる衛星に対し、クオーツを用いる受信機は時刻精度が低い。よって球面交点算出において補正を行う。

CGPS電波伝搬遅延

GPS衛星が低仰角の場合、電離圏や対流圏における電波特性変化による電波伝搬遅延が大きい。この際、DGPSを用いて遅延補正を行う。


模範解答2 (簡易形式2)  添削履歴 1回 2019/3/11   専門事項 交通運行無線


1.GPSの測位原理

 測位点の3次元座標を未知数と考え、3個のGPS衛星の座標を中心とする球面方程式を導出し、その解をGPS端末の位置として算出する。なお、球面の半径として用いる衛星・端末間の距離は、信号発信時刻と受信時刻差を用いるレンジングにより算出する。

2.GPSの特徴

@カバーエリア

 高度約2万kmで約30基のGPS衛星が飛行しコンステレーションを構成しており、地球上全域とカバーエリアが広い。

ASS変調を用いた送信

 GPS衛星からの送信電波はSS変調され、広いバンド幅による低電力な送信が可能な上、秘話性や秘匿性が高く、同一バンドの多重利用が可能である。

BGPS受信機の時刻精度

 30万年に1秒以下の誤差という高い正確性を持つ原子時計を用いる衛星に対し、クオーツを用いる受信機は時刻精度が低い。よって、測位において受信機時刻を未知数とするため4個目の球面を導出し、球面交点算出において補正を行う。

CGPS電波伝搬遅延

 GPS衛星が低仰角の場合、電離圏や対流圏における電波特性変化による電波伝搬遅延が大きい。この際、DGPSで基準局からFMにて送信される誤差補正情報を用いて遅延補正を行う。




模範解答と解説 H28年 電気・電子部門、情報通信 U−1−4

問題文

 LTEで導入されている、ネットワークと1つの端末の間で複数のコンポーネントキャリアを結合して、あたかも1つの無線キャリアのように利用するキャリアアグリケーション(CA)の実現形態、2つ以上の技術的特徴、通信事業者から見た利点およびユーザーから見た利点をそれぞれ述べよ。 


模範解答1 (答案形式)


 

1.CAの実現形態と技術的特徴 

1)実現形態:

 現行のLTE(4G)方式で導入されている形態はキャリアの採用するシステムにより異なるが、一例として基地局から端末に向けた下り回線において、800MHz帯(最大:75Mbps)と2GHz帯(最大150Mbps)の周波数帯域を束ね利用し、高速なデータ通信を提供している。

 2)技術特徴:

 イベント会場等において、基地局が一度に収容するユーザー数が多数になる場合がある。その際は、適宜CA機能をソフト的にON/ OFFさせることで周波数利用効率を高い状態に維持することが可能である。

2.通信事業者およびユーザーから見た利点

1)通信事業者側

 帯域をまとめて使うことにより、分割損が減りユーザーに対するスケジュール管理に余裕ができる。周波数利用効率が高められ、従来よりも多くのユーザーを収容が可能となる。

2)ユーザー側

 電波が安定して到来している場所では通信速度が向上する。一方、弱電界であっても、従来であればほとんど通信が出来ないと感じていた場所でも通信が可能になるなど体感的に利便性の向上が判る。 
 


模範解答2  (簡易形式1)  添削履歴 1回 2019/3/7   専門事項 交通運行無線


 

1. CAの実現形態

 LTEに割当てられている周波数帯は700900MHz帯、1.5GHz帯、1.7GHz帯、2.1GHz帯等複数の周波数帯域に分かれている。その上、これらの周波数帯は3Gと並行運用しているため、連続した周波数帯域を確保しにくい。よって、各キャリアでSSやPBCHを同期させることでCAを実現している。

2.技術的特徴

 1)キャリア帯域幅

  通常のLTEの20MHzと比較し、CAにより100MHzと帯域幅が大きい。

 2)通信速度

  例えば2GHz帯の400Mbpsを1キャリア、3.5GHz帯の279Mbpsを2キャリアのCAで約1Gbps(958Mbps)と、通常のLTEの数百Mbpsと比較し高速である。

3.通信事業者から見た利点

 ・既存割当周波数帯域で対応可能のため、CA非対応の通常LTE端末も収容可能である。

 ・空きリソースを有効活用することで、周波数利用効率を高めることができる。

4.ユーザから見た利点

 ・通信速度が向上し、大容量のコンテンツの視聴、ダウロードが快適になる。

 ・周波数ダイバーシティにより、CAのあるキャリアに干渉が発生しても、別キャリアで通信を継続できる。


模範解答2  (簡易形式2)  添削履歴 4回 2019/3/12   専門事項 交通運行無線


1. CAの実現形態

 複数のコンポーネントキャリアがLTE無線基地局によって用意されており、それぞれ周波数、カバレッジが異なる。LTE端末は(その場で利用可能なカバレッジの)PCC、SCCを選択してデータ伝送し、両者をスケジューリングにより結合して、1つの通信として統合する。このためCAでは、それら複数のCCはあたかも1 つの無線キャリアのように利用される。

2.技術的特徴

 1)キャリア帯域幅が大きい

  通常のLTEの20MHzと比較し、CAにより100MHzと帯域幅が大きい。

 2)通信速度が高速                                                         

  例えば2GHz帯の400Mbpsを1キャリア、3.5GHz帯の279Mbpsを2キャリアのCAで約1Gbps(958Mbps)と、通常のLTEの数百Mbpsと比較し高速である。

3.通信事業者から見た利点

 ・既存割当周波数帯域で対応可能のため、CA非対応の通常LTE端末も収容可能である。

 ・空きリソースを有効活用することで、周波数利用効率を高めることができる。

4.ユーザから見た利点

 ・通信速度が向上し、大容量のコンテンツの視聴、ダウロードが快適になる。

 ・周波数ダイバーシティにより、CAのあるキャリアに干渉が発生しても、別キャリアで通信を継続できる。


模範解答2  (答案形式)  添削履歴 0回 2019/3/14  専門事項 交通運行無線 


1.CAの実現形態

 複数のコンポーネントキャリアがLTE無線基地局によって用意されており、それぞれ周波数・カバレッジが異なる。LTE端末は利用可能な周波数・カバレッジのPCC・SCCを選択してデータ伝送し、両者をスケジューリングにより結合し、1つの通信として統合する。このためCAでは、それら複数のCCはあたかも1 つの無線キャリアのように利用される。

2.技術的特徴

1)キャリア帯域幅が大きい

 通常のLTEの20MHzと比較し、CAにより最大100MHzと帯域幅が大きい。

2)通信速度が高速

 例えば、2GHz帯と3.5GHz帯のCAにより最大約1Gbpsと、通常のLTEの数百Mbpsと比較し高速である。

3.通信事業者から見た利点

・既存割当周波数帯域で対応可能のため、CA非対応の通常LTE端末も収容可能である。

・空きリソースを有効活用することで、周波数利用効率を高めることができる。

4.ユーザから見た利点

・通信速度が向上し、大容量のコンテンツの視聴、ダウロードが快適になる。

・周波数ダイバーシティにより、CAのあるキャリアに干渉が発生しても、別キャリアで通信を継続できる。



 

模範解答と解説 H28年 電気・電子部門、情報通信 U−2−1

問題文

 位置情報は、現代社会の様々なアプリケーションに欠かせないものとなっている。ある駅地下街における携帯電話で利用可能なナビゲーションサービス導入の担当責任者として業務を進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。

(1)上記ナビゲーションサービスに要求される項目を4つ以上述べよ。

(2)(1)で挙げた要求を満足するナビゲーションサービスを実現するための情報通信分野での技術的提案を述べよ。

(3)(2)で挙げた技術を用いて業務を進める際に、留意すべき事項を述べよ


模範解答 (答案形式)

1.ナビゲーションサービスに要求される項目:4つ

@階層の表示:地下街の階層数および現在地の階層を表示する。

AMAP情報:建物の階層を含めた地図情報を整備し、店舗や駅施設の位置を明確にする細かな情報を作成必要がある。

Bルート検索機能:ユーザーが現在地から目的地まで、どのような道筋で移動すればよいか検索機能を実装する。
Cガイダンス機能:ルート上の分岐点において、ユーザーが進むべきルートを確実に選択出来るように音声アナウンスなどを実装する。

2.実現に向けた技術提案

@ポイントマーカーの設置

 スマートフォン携帯端末の利便性を損なわない様、外部に特殊な装置を接続せずとも搭載されたセンサーを有効活用して現在位置を確認できる手段を検討する必要がある。センサー毎の情報収集方法の一例を次の通り挙げる。

  • 無線LAN:アクセスポイントのSSID,MAC等
  • Bluetooth :位置情報をビーコンとして送信する
  • カメラ:位置情報を含んだQRコードの読取り
  • マイク:放送設備から超音波帯域により放送

 これらを地下街の主要な位置(改札、地下街出入り口、分岐点等)に配置し、ユーザーが持つ端末が自動的もしくは容易に情報を収集できるようにする。

A自律航法とマップマッチング

 スマホには3軸の加速度センサーが搭載されている。これを活用し自動車と同様にGPSが受信できない状態での自律航法と同等な仕組みを用い、地図情報と連携し表示をさせる。具体的には、前項に示すマーカによりユーザー自身の位置を検出する。加速度センサーの情報を解析し、どちら側の方向に進んでいるかを検出してマップマッチング技術により差分によるバラツキを排除して位置表示を行う。

3.ナビゲーションサービス実現に向けた留意事項

 地下街は複数の組織により管理運営されているため、組織間の連携が重要となる。駅は鉄道事業者、店舗の入居する地下街の管理者が挙げられる。先に挙げたポイントマーカーを整備する場合には、組織間で協議を行い、技術的な制約(APの周波数割当や不感知対策、Bluetoothビーコン、放送設備の改修等)や、QRコードを付したマーカーシートの掲示する場所選定や掲載方法やこれらの維持管理を協議する。技術面と共に効果的な配置や運用体制を構築することがサービス実現の留意事項と考える。


解説

 作成中

模範解答と解説 H28年 電気・電子部門、情報通信 U−2−2

問題文

 あなたは運用中の情報通信ネットワークシステムの設計・構築の担当者である。担当システムに関し、故障によるサービス影響が増加しており、可用性(ここでは故障等の事象が発生してもシステムユーザへのサービス提供を継続する能力とする)の改善要望を受けている。システムの更新を機に可用性の改善を進めるに当たり、以下の問いに答えよ。

(1)可用性の改善を進める際に必要な事前調査・検討の手順を示し、そのうち2つについて具体的に説明せよ。

(2)(1)の事前調査・検討で明らかになる可用性に関する主な課題を2つ想定し、それぞれにつきその課題と課題を解決するためのシステム要件について述べよ。

(3)複数ベンダへの提案依頼書(RFP Request For Proposal)の提示、及び複数ベンダから提出された提案書の内容の審査に関し、留意すべき点を2つ挙げ、具体的に説明せよ。


模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 2回 2019/3/18  専門事項 列車管制無線

 


1. 可用性の改善を進める際に必要な事前調査・検討の手順

@FWが故障した場合、外部からクライアントへの通信が断絶されるため、FWの設定を調査する。

ASWが故障した際、配下のL3NW・L2NW内の通信が断絶されるため、SW及びそこに接続するクライアントのトポロジを調査・検討する。

Bクライアント自体における故障の場合、クライアントからの通信は不可能なため、アーキテクチャを検討する。

以下、A・Bについて具体的に説明する。

・Aについて、SW故障を考慮した際、L3・L2の違い、SWに接続するクライアント数で影響範囲が異なるため、現状のトポロジを把握する。

・Bについて、クライアントにおける通信インタフェース故障で通信不能となる場合があり、現状の機器アーキテクチャを把握する。

2.課題と課題を解決するためのシステム要件

1)SW・経路トポロジ見直し

 SW故障の際も冗長系によるサービス維持のため、トポロジを見直す。要件として、スタックによるSWの冗長化、STPを用いた経路冗長化を行う。

2)クライアントにおけるアーキテクチャの見直し

 NIC故障の際も通信維持できるよう、アーキテクチャを見直す。要件として、NICチーミング・ボンディングによりフォルトトレラント化を行う。

3.提案依頼書の提示、提案書の内容審査で留意すべき点

・複雑なSW設定を要する場合は、SDNによる一括制御や汎用計算機によるNFVの導入を検討する。

 

 


模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 0回 2019/3/20  専門事項 列車管制無線

 

 


1.可用性の改善を進める際に必要な事前調査・検討の手順

@FWが故障した場合、外部からクライアントへの通信が断絶されるため、FWの設定を調査する。

ASWが故障した際、配下のL3NW・L2NW内の通信が断絶されるため、SW及びそこに接続するクライアントのトポロジを調査・検討する。

Bクライアント自体における故障の場合、クライアントからの通信は不可能なため、アーキテクチャを検討する。

以下、A・Bについて具体的に説明する。

・Aについて、SW故障を考慮した際、L3・L2の違い、SWに接続するクライアント数で影響範囲が異なるため、現状のトポロジを把握する。

・Bについて、クライアントにおける通信インタフェース故障で通信不能となる場合があり、現状の機器アーキテクチャを把握する。

2.課題と課題を解決するためのシステム要件

1)SW・経路トポロジ見直し

 SW故障の際も冗長系によるサービス維持のため、トポロジを見直す。要件として、スタックによるSWの冗長化、動的ルーティング、VLAN trunk、Link Aggregation、VRRP、STPを用いた経路冗長化を行う。

2)クライアントにおけるアーキテクチャの見直し

 NIC故障の際も通信維持できるよう、アーキテクチャを見直す。要件として、NICチーミング・ボンディングによりフォルトトレラント化を行う。また、HAクラスタリングを行いNIC以外のコンポーネントについても耐障害性を考慮する。

3.提案依頼書の提示、提案書の内容審査で留意すべき点

・複雑なSW設定を要する場合は、SDNによる一括制御や汎用計算機によるNFVの導入を検討する。

・通信性能要求が異なり、ネットワークリソースを共有して仮想的に切り分けを行いたい場合はネットワークスライシングを用いたトポロジを構築する。

・ネットワーク障害による影響を最小限にしたい処理については。エッジコンピューティングを検討する。

・外部クラウドサービス利用等クライアントからゲートウェイまでのトラフィックのためネットワーク負荷が増大する場合は、インターネットブレイクアウトを行う。

 

 

 


模範解答1 (答案形式)  添削履歴 0回 2019/3/20  専門事項 列車管制無線

 


1.可用性改善推進に必要な事前調査・検討の手順

@FWが故障した場合、外部からクライアントへの通信が断絶されるため、FWの許可・禁止ポート等の設定を調査する。

ASWが故障した際、配下のL3NW・L2NW内の通信が断絶されるため、SW及びそこに接続するクライアントのトポロジを調査・検討する。

Bクライアント自体における故障の場合、クライアントからの通信は不可能なため、アーキテクチャを検討する。

以下、A・Bについて具体的に説明する。

・Aについて、SW故障を考慮した際、L3・L2といったレイヤの違い、SWに接続するクライアント数の違いにより影響範囲が異なるため、現状のトポロジを把握する。

・Bについて、クライアントにおける通信インタフェース故障で通信不能となる場合があり、現状の機器アーキテクチャを把握する。

2.課題と課題を解決するためのシステム要件

1)SW・経路トポロジ見直し

 SW故障の際も冗長系によるサービス維持のため、トポロジを見直す。要件として、スタックによるSWの冗長化、動的ルーティング・VLANトランク・リンクアグリゲーション・VRRP・STPを用いた経路冗長化を行う。

2)クライアントにおけるアーキテクチャの見直し

 NIC故障の際も通信維持できるよう、アーキテクチャを見直す。要件として、複数NICを仮想的に束ねる技術のNICチーミング・ボンディングによりフォルトトレラント化を行う。また、複数台サーバの連携技術であるHAクラスタリングを行いNIC以外のコンポーネントについても耐障害性を考慮する。

3.提案依頼書提示・提案書内容審査で留意すべき点

・複雑なSW設定を要する場合は、ソフトウェアによりネットワーク機器の集中制御を行うSDNを用いた一括制御を検討する。

・障害発生時における代替機器の入手性を考慮する場合、仮想化技術を使ってネットワーク機能を汎用サーバ上で実現するNFVの導入を検討する。

・異なる性能要件の通信を、同一ネットワークリソースに収容したい場合がある。その際、要件毎にリソースを仮想的にスライスする、ネットワークスライシングを用いたトポロジを構築する。

・ネットワーク障害による影響を最小限にしたい処理については、エッジコンピューティングを用いてよりクライアント側での処理を検討する。

・外部クラウドサービス利用する場合、クライアントゲートウェイ間のトラフィックのためネットワーク負荷が増大する。そうした場合、クライアント直近に専用ゲートウェイを設けるインターネットブレイクアウトを行い、ロードバランスを図る。



模範解答と解説 H28年 電気・電子部門、情報通信 V−1

問題文

 車の運転の自動化については、一般に下記の複数のレベルが定義されている。

  • レベル1:加速・操舵・制動のいずれかをシステムが行う
  • レベル2:加速・操舵・制動のうち、複数の操作をシステムが行う
  • レベル3:加速・操舵・制動を全てシステムが行い、システムが要請したときにはドライバーが対応する
  • レベル4:加速・操舵・制動を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない

 レベル3及び4の運転自動化の実現に当たっては走行環境認識の主体がドライバーからシステムに移るため、レベル1及び2とは利用する技術の幅が本質的に大きく異なる。システムに極めて高い性能や信頼性が求められルばかりでなく、地図、測位技術、レーダーやカメラの他にも情報通信の様々な技術を利用することが求められる。これを踏まえて以下の問いに答えよ。

(1)レベル3及び4の運転自動化の実現する際に、レベル1及び2と比較して、重大となる課題を多面的に列挙せよ。

(2)(1)で挙げた課題の中で、あなたが最も重要と考える課題を2つ挙げ、それぞれの課題に対する情報通信分野での技術的解決策を提案せよ。

(3)あなたの提案した解決策を実用化する際に生じ得るトラブル等の問題点を洗い出し、それぞれの技術的な対処方法について述べよ。


 

 

模範解答 (答案形式)

 

1.レベル3及び4の実現に向けた重大となる課題

@測位システムの高度化

 自車位置を特定するための技術としてGPSおよびIMUを採用している。測位分解能を向上させることで、ルート上の走行レーンの識別へ寄与できるほか、GPSの信号がトンネル等で遮蔽されてもIMUにより自車位置を割り出すことで運転制御が継続可能となる。

Aデジタル地図システムの高度化

 車載コンピュータシステムは、車両の各種センサーから情報提供が受け、地図情報へ重ね合わせ、判断する基準が地図情報である。高精度な3D地図を持つことで、レーダーにより捉えた映像をマッチングさせ状況判断を高度化することに寄与できる。

B外部システムとの連携

 走行している地点および周囲情報を提供するエリア運行管理システム(路車間通信)や前後を走行する車両との車車間通信など外部からの運転制御情報を効率的に利用・発信することで運転自動化システムの最適化が図られる。

C車載コンピュータシステムの信頼性向上

 短時間のうちに情報を収集、判断、制御を行わなければならないため分散型システムを検討することが必要と考える。また、メインシステムに不具合が発生した場合、運転制御に致命的な影響が生ずる恐れがあるためシステムの二重化も検討する必要がある。

2.重要と考える課題:2つと技術的な解決策

課題1:測位システムの高度化

 現在実用化が進められている準天頂衛生からの信号を活用することを提案する。測位地点によっては従来のGPS衛星は低仰角な位置した場合、天空が開けていても測位できない、もしくは誤差が増大するという欠点がある。準天頂衛生による測位では衛星自身が概ね日本上空に対空する八の字軌道を採用していること、測位分解能も従来GPSの1m前後から、数十cmと飛躍的に向上することが見込まれているため実現が可能と判断する。

課題2:外部システムとの連携

 運転自動化は走行中の前後車両との連携も重要ではあるが、走行地点付近の様々な路側情報を提供する、道路状況を監視する機能を有する運行管理システムを導入されることを提案する。システムの導入により走行中の車両の状態を把握し、故障等が発生した車両への措置や付近を通行する車両に対する注意喚起などを確実に行うことができ、追突事故等を回避することが可能となる。

3.生じうるトラブルに対する技術的な対処方法

@準天頂衛星による測位不能

 高分解能なGPSが故障もしくは長距離のトンネル内では精度の高い測位が出来ず、誤差を生じてしまう。従来もIMUと連携し、位置情報を推定出来るような仕組みでも累積誤差が大きくなることが懸念されている。解決策として、レーザードップラー速度計との連携させることで、IMUの性能を改善し誤差を抑える方法がある。

A運行管理システムの障害対応

 システムを柔軟に拡張や不具合時のバックアップ系を構築するためにクラウド上の仮想基盤にシステムを立ち上げる。この方式であればスモールスタートでシステムを立ち上げることが可能であり、運行車両の管理規模に合わせシステム拡張を適宜行うことができる。追加する運行管理機能なども評価システムをクラウド上で検証することで可能であり、導入時には構築済みのシステムへ組み込む作業も容易に行えることが予想される。 

 


解説

 作成中

模範解答と解説 H28年 電気・電子部門、情報通信 V−2

問題文

  今日、社会全体のICT化が進められる中、膨大な情報を収集して新たな価値を創出するビッグデータ分析等、匿名性を求められるデータ利活用の需要が高まっている。ソーシャルデータやパーソナルデータの利活用を促進するには、世帯や企業が、インターネットや情報通信ネットワークを、匿名性の視点から安心、安全に利用できることがますます求められる。このような状況を考慮して、情報通信に携わる技術者としての見識を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)匿名性の視点から検討すべき最も重要な課題を多面的に述べよ。

(2)(1)で挙げた課題に対して、情報通信分野としての技術的対策項目を提案せよ。

(3)(2)で提案した技術的対策項目から、あなたが重要と考える2つの項目について、それぞれ具体的な内容、効果及び新たに浮かび上がってくるリスクについて述べよ。


模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 0回 2019/6/27  専門事項 列車管制無線


1. 匿名性の観点から検討すべき最も重要な課題

1)データ収集デバイスのセキュリティ

2)データ伝送のセキュリティ

3)クラウドのセキュリティ

4)インターネットのセキュリティ

5)データの匿名化

2.(1)で挙げた課題に対する技術的対策項目

1)処理能力の低いデバイスにおける暗号化方式

処理能力の低いデバイスで処理可能で、実運用に耐える暗号化方式を利用する。

2)通常プロトコル以外の無線伝送

Wi-Fi等通常プロトコルの伝送では盗聴の可能性が高いため、別方式を利用する。

3)個人の特定・データ復元を難しくする方法

個人を特定できない署名や漏洩してもデータを復元できない方法を利用する。

4)VPNの利用

仮想的な専用回線を利用する。

5)単一個人を特定できないように加工する方法

複数項目を組合せても個人の特定に至らないデータ加工方法を利用する。

3.具体的内容、効果、リスク

・「通常プロトコル以外の無線伝送」について

1)具体的内容

NIDD(Non IP Data Delivery)を利用する。

2)効果

IPを用いた攻撃を回避できる。

3)リスク

デバイス固有ID漏洩によるハッキングのリスクがある。ワンタイムパスワードも併用してハッキングを回避する。

・「VPNの利用」について

1)具体的内容

IPsec、SSL/TLSを利用する。

2)効果

セキュアなデータ伝送を行える。

3)リスク

平文のDNS通信に盗聴リスクがある。DoHを用いてDNS通信をセキュアに行う。