H28年、2015年 電気・電子部門、電気設備 Ⅱ-1-1問題 模範解答と解説

問題文

 高圧需要家設備における高調波発生原因を述べよ。また、電力機器の損傷を防止するために、高調波電流の電力系統への流出抑制対策を2例挙げ、ぞれぞれの内容を述べよ。

模範解答

(1) 高圧需要家設備における高調波の発生原因

 高調波電流は、インバータ機器(ポンプ用電動機、照明器具、空調機器など)により発生される。インバータ機器において、整流された電流が平滑コンデンサを充電するときに入力電流波形を歪ませる。また、I G B T(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の高速スイッチング機能で電流波形を歪ませる。

 周期関数である電流波形はフーリエ級数展開すること正弦波で表すことができ、基本波の整数倍の波形を高調波と言う。歪んだ電流波形をフーリエ変換で解析すると、含有される高調波成分(3次、5次、7次など)を確認することが出来る。

(2)高調波電流の電力系統への流出抑制対策

(2-1)アクティブフィルタ

 アクティブフィルタは、高調波発生機器から発生される高調波電流をCTで計測し、その高調波電流(25次以下)の逆波形電流を回路へ送る。回路では、電流同士の打消し合いが行われ、電源側へ流出する高調波電流を抑止する。

(2-2)パッシブフィルター

 パッシブフィルターは、高調波の周波数(通常第5,7,11次高調波)で共振する直列リアクトルとコンデンサを組み合わせた装置である。各次数のインピ−ダンスを最小とすることで、装置に高調波を吸収し電源側へ流出する高調波電流を抑止する。

解説

作成中

電気・電子部門、電気設備 Ⅱ-1-3

問題文

 高圧交流電路を開閉する代表的な開閉機器である断路器、負荷開閉器及び遮断器の機能・性能を説明し、それぞれの開閉機器の用途・種類を挙げよ。

模範解答

(1)機器の機能・性能および用途・種類

(1-1) 断路器

 断路器は、電力回路が無負荷時に回路を開放するものであり、開閉性能はない。メンテナンス時の安全対策のために回路を開放する用途で使用される。また、遮断器とインターロックが行える断路器が一般的となっている。

(1-2) 負荷開閉器  

 負荷開閉器は、電力回路に負荷電流が流れているときに回路を開閉する。負荷開閉器は、電力ヒューズを設置しているため短絡電流の遮断も可能である。また、電力ヒューズは短絡電流の熱で回路が直接溶断するため、遮断器より早く遮断が出来る。電力ヒューズは、限流作用がり、短絡電流の低い値で遮断出来る。

 負荷開閉器は変圧器等の個別保護に使用される。電力ヒューズは、一般用、変圧器用、コンデンサ用、電動機用など負荷特性により種類が分けられている。

(1-3) 遮断器

 遮断器は、電力回路の負荷電流を開閉するとともに保護継電器(短絡、地絡、過負荷など)と連携して事故電流を遮断する。遮断器の種類は、真空遮断器、ガス遮断器、油入遮断器、気中遮断器などがあり、遮断時に発生するアーク放電の消滅方法として、真空・ガス・油・気中と分けられている。

解説

 作成中

電気・電子部門、電気設備 Ⅱ-2-1

問題文

 医療機関などが入り高い電気の品質が要求されるビルにおいて、電気設備の技術者として低圧幹線設備を設計するにあたり、下記の内容について記述せよ。

(1)設計着手時に検討する項目とその概要

(2)業務を進める手順

(3)(1)の中からあなたが重要と考える項目を2つ選び、業務を進めるにあたっての留意すべき事項を述べよ。

模範解答

(1)設計着手時に検討する項目とその概要

①無停電対策の検討

 一般停電時および火災停電時の予備電源として、重要負荷に対して配線の二重化や瞬時の電源切替え方法の検討を行う。また、最重要負荷には無停電での電源供給方法の検討を行う。

②ノイズ対策の検討 筋電図室、M R IおよびC Tなど強い磁場を使用する機器から発生される磁界によって、ケーブルや外部機器への誘導障害の発生状況の把握(理論値)とその誘導障害防止対策の検討を行う。

③負荷容量の大きい機器への配電計画

 アンギオ、C Tスキャン、M R Iなど、動作時や撮影時の短時間で大容量の電力を消費する機器に対して、配線計画の検討を行う。

④手術室などの非接地幹線の絶縁監視計画

 手術室など直接人体に接する医療用電気機器に対して電源を供給する場合、患者が感電しない非接地回路とし、絶縁監視方法の検討を行う。

(2)業務を進める手順
①最重要・重要負荷の電源バックアップ方法の検討
 生命維持装置、手術室、集中治療室、医療ガス設備などの負荷に対して発電機やU P S(常時商用給電方式および常時インバータ給電方式)による電源バックアップ方法の検討を行う。

②負荷変動の大きい機器に対する幹線サイズ検討 機器の動作時(動作・撮影)に大容量電力を消費する負荷に対して、経済的な幹線サイズを検討する。(ケーブルにおける短時間許容電流の検討を行う。)

③幹線系統の検討(ノイズ対策) 強い磁場を使用する機器から発生される磁界の影響を受けないように幹線ルートや遮蔽材の検討を行う。また、視聴覚機器幹線と調光照明負荷幹線の系統分けなどノイズ対策を行う。 

④非接地系幹線の絶縁監視方法の検討を行う。非接地系幹線の絶縁監視方法として、Igr方式やIor方式など最適な監視方法の選定を行う。

(3)業務における留意事項
①重要な医療機器が停止しない電源システム
 最重要負荷・重要負荷は、UPSの常時インバータ給電方式と発電機による方法やNas電池による方法、幹線の2重化と高速切替え装置による方法など、負荷の停電特性に合わせたバックアップの検討を行う。

②Igr方式による絶縁監視  Igr方式はIor方式と比較して、測定精度が高い方法である。Igr方式は電路に低周波監視電圧を重畳させることで、静電容量による電流を除いた真の絶縁抵抗電流が検出可能となり、中性相を含めた電路全体の絶縁監視を行う。 

解説

 作成中

電気・電子部門、電気設備 Ⅲ-2

問題文

 今日の、我が国は高齢化社会を迎えており、2025年には国民のおよそ5人に1人が75歳以上の後期高齢者になる統計が出されている。高齢者においては、身体機能の低下、経済活動の低下などの生活面での課題が想定され、電気設備分野としても多様な対応が求められている。このような状況の中、あなたが高齢者向け住宅の設計責任者として業務を推進する当たり、以下の問に答えよ。
(1)高齢者の抱える課題を多用な視点から述べよ。
(2)上述した課題に対して、電気設備分野としての技術的対策項目を提案せよ。
(3)(2)で提案した技術的対策項目から、あなたが重要と考える2つの項目について具体的な内容、効果及び想定されるリスクについて述べよ。

模範解答

(1)高齢者の抱える課題
①垂直移動を少なくする
 垂直移動時に階段やスロープをのぼること無く移動できるようにする。また、スカイプなどの情報機器を使用して移動しないようにする。
②容易に機器の操作を行う
 様々な機器の操作を本人が行わなくても、自動で行う。また、本人が機器の操作を行う時に、手を使用しなくても操作できる。
③高齢者を病気や怪我から守る
 高齢者が病気や怪我で倒れた時に、高齢者の状態を自動で検知するとともに、その状態を医師や医療スタッフに連絡(通報)するなどの対策ができる。
④高齢者を犯罪(盗難や傷害など)から守る
 高齢者が盗難や傷害などによる被害を受けないような監視や通報システムなどの対策ができる。
(2)課題に対する技術的提案
①ボイスコントローラ技術
 ボイスコントローラを使用して、操作者の声(音声認識ワード)を認識し、エアコン・テレビ・LED照明などの操作を行う技術である。
②遠隔身体管理システム技術
 サーモグラフィーにより患者の体温を管理する。また、患者の身体状態を通常時の動作と画像比較(画像処理技術)することにより異常時の判断を行う技術である。また、医師や医療スタッフに連絡(通報)することにより、遠隔地から異常時の対策ができる技術である。
③セキュリティー技術
 高齢者が犯罪(盗難や傷害など)による被害を受けないように、機械警備設備、入退出管理設備、監視カメラ設備、外構警戒(センサ)設備などを使用して、高齢者を犯罪から守る技術である。
(3)技術的提案の具体的な内容、効果及び
想定されるリスク
①ボイスコントローラ技術
<内容> 
 手を使用してリモコン操作できない人が、ボイスコントローラの音声認識ワードを話すことにより、ボイスコントローラ本体が音声認識を行い、登録された機器であるエアコン・テレビ・LED照明などと赤外線通信を行い操作する。
<効果> 
 本人が動くことなく周辺機器の操作が出来るため、寝たきりの状態で手が使用できない場合でも操作可能である。また、音声認識ワードによる操作であるため、別の部屋からでも操作できる。
<リスク>
 ボイスコントローラ本体とエアコン・テレビ・LED照明機器が赤外線通信を行うため、その間に障害物があると赤外線を遮蔽し動作しない。
②遠隔身体管理システム技術
<内容>
 遠隔地から監視カメラ設備を使用して、音声や画像で医師と診断を行うことが出来る。さらに遠隔地よりサーモグラフィーカメラや監視カメラで体温の測定や顔色などの健康状態(登録された映像状態との色彩の差分検出など)を自動で監視して、異常時の判断も自動で行う。また、異常時や怪我で倒れた時に医者へ自動通報を行うシステムとする。
<効果> 
 高齢者が病院に通うことなく医師の診断(音声や画像によるもの)を受けることが出来るので、高齢者の移動が無くなり、医師と時間調整を行えば自由に診断が受けられる。(医師も空いた時間を有効活用することが出来る)高齢者が倒れた場合や体温が高い時などに、医者などの専門家へ自動通報することにより、早期治療を受け高齢者を守る。
<リスク>
 個人の登録情報や室内の監視カメラ画像などが外部に漏れる危険性がある。

解説

作成中

H27年 応用理学部門_地質 Ⅱ-1-2 問題 模範解答と解説

問題文

 沖積低地に地上10階,地下1階の建築物を施工する際に,問題になりうる地盤の現象を2つ以上挙げ,その概要を説明せよ。また,それらの現象から1つを選び問題を検討する際に必要となる,地盤の状態や物性等の情報と,その調査法について説明せよ。

模範解答

1.問題となりうる地盤の現象

 軟弱地盤であり、地下1階を含む大型構造物であることから、ここでは①ヒービング、②ボイリング、③圧密沈下を取り上げる。

①   ヒービング:軟弱な粘性土質地盤で掘削背面の土砂の重量が掘削底面の地盤支持力より大きくなると掘削底面が持ち上がる現象を言う。

②   ボイリングとは:地下水位の高い砂層地盤で、掘削面と水位差によって地下水と共に、湯が沸騰しているように土砂が掘削面に流出してくる現象を言う。

③   圧密沈下:盛土や建物の建設などにより、軟弱な粘性土壌に鉛直荷重が加わり、粘性土層から間隙水が絞り出されて地盤沈下する現象である。

2.圧密沈下の状態や物性等の情報、その調査法

 圧密沈下は高有機質土、黒ボク等の特殊土や軟弱な沖積粘性土で発生し易い。調査は地表地質調査、ボーリング調査により地質、層序、層厚等の地層構成を把握し、計画設計、施工上の基礎資料とする。次に現位置試験、コア試料を利用した室内試験を行う。現位置試験(例えば標準貫入試験)により、土質定数、許容支持力を推定する。そして、コア試料による室内試験により、間隙比、体積圧縮係数、圧縮指数等から圧縮曲線を作成し、圧密沈下可能性の有無、推定される沈下量、圧密時間を求め施工法の検討に生かしていく。

解説

作成中

H27年 応用理学部門_地質 Ⅱ-1-4 問題 模範解答と解説

問題文

 屈折法地震探査(弾性波探査),反射法地震探査,比抵抗法電気探査,MT法電磁探査,CSAMT法電磁探査の中から1つを選び,その概要(方法と結果)と探査結果の資源探査ないし土木調査での利用法について述べよ。

模範解答

1. MT法電磁探査の概要(方法と結果)

MT法とは、電磁気擾乱に起因する誘導電場と磁場の比(電磁波動インピーダンス)の測定によって、地下の比抵抗分布を求める方法である。MT法はまた、自然磁場を信号源として利用する方法でもあり、測定で使用する周波数帯が非常に広いため、可探深度が大きい。一測点でも垂直探査が可能であり、人工信号を用いず、測定が簡便などの利点のため、アクセスが悪い場所にも適しており、測定コストも低い。また二次元インバージョン手法により、比抵抗断面図を容易に得ることができる。

2.探査結果の資源調査での利用法

 MT法を行うことにより得られる比抵抗値から、逆解析を行なうことにより、比抵抗構造が得られる。資源探査の場合、この比抵抗構造と地化学調査、地質調査を総合することにより、熱水帯水層、粘土・変質帯および、金属鉱床分布等を推定に結び付けることが出来る。MT法は1千mを超える地下深部を対象とした資源探査でも効果を発揮することから、ここでは地熱開発を例に取り上げる。

 地熱開発におけるMT法は、地下深部の水分含有量や、高温域、変質帯の特徴が比抵抗構造として現れることを利用する。探査の目的や、地質構造によって1次元から2,3次元の定量解析としての利用も可能であり、この比抵抗の定量解析を生かし、地熱貯留層を抽出し、将来的な地熱開発に利用される。

解説

作成中

H27年 応用理学部門_地質 Ⅱ-2-2 問題 模範解答と解説

問題文

 資源開発事業などの操業中若しくは操業後,土木構造物・防災施設・廃棄物処分場の施工後において,地下に生じている現象や地下の構造物の状態を把握するためのモニタリングにこでは事象の経時的変化に関する計器による監視)が行われることがある。将来は,技術の進歩や老朽化した構造物の増加に伴い,多様なモニタリングが行われると考えられる。モニタリングを計画・実施する立場から以下の問いに答えよ。

 (1)既に実用化されているモニタリング,若しくは将来行われると考えられるモニタリングの事例を設定し,事業や構造物の種別,対象とする現象,目的などを説明せよ。

 (2)上記のモニタリングの具体的な手法(今後,実用化の可能性のあるものを含む。)を複数挙げよ。ただし,手法が1つに限定される場合は,その理由を付記せよ。

 (3)(2)で挙げた手法の内から1つ選び,その測定原理を記述せよ。

模範解答

(1)モニタリング事例

(1)-1事業種別

 地熱貯留層の変動を監視するための、地表物理探査によるモニタリングを取り上げる。地熱発電は地熱貯留層から生産井にて熱水・蒸気を取り出し、一方還元井から貯留層に向けて送水を行っている。モニタリングでは熱水・蒸気の循環情報を監視することになる。

(1)-2対象とする現象、目的

 対象とする現象は地熱貯留層、生産井、還元井周辺の地熱流体が動くことにより、それが地表において測定される重力値、自然電位の変動として現れる。目的は貯留層変動を把握し、地熱発電所運転開始後の出力安定維持をおこなうことである。この貯留層変動情報の詳細な把握により、地熱発電所の稼動可能年数の向上や電力の安定供給が可能となる。

(2)物理探査手法によるモニタリングの手法

(2)-1重力モニタリング

 重力モニタリング手法は、地熱貯留層を覆う地表に多数設置された重力測定点において、可搬型重力計を用いて測定することである。基準点との相対的な重力値を測定し、基準点の絶対重力値から、各測定点の絶対重力値を得てモニタリングを行っていく。

(2)-2自然電位モニタリング

 自然電位モニタリング手法は、地熱貯留層を覆う地表に多数設置された自然電位測定点において、固定基準点と測点との電位差を、電位計(マルチテスター)を用いて測定する絶対電位法を用いる。

 重力、電位モニタリング共、予想される変動の速度に見合った頻度で繰り返し測定を行い、貯留層の変動を推定していく。

(3)重力モニタリング測定原理

 可搬型の重力計は精密なバネ秤である。このバネの延びを精密に検出することにより重力値が測定される。重力は地球内物質の質量による万有引力に起因し、重力値は地球内の密度差による引力の強弱を意味する。測定は国土地理院の一等重力点を結ぶ往復測定を実施した基準点を設置し、基準点と測定点との相対的な重力差を評価していく。また重力測定においては標高値が必要なことと、標高値そのものの変化もあることから、年4回GPS測量もしくは二級水準測量を実施する。

(4)重力モニタリングの問題点とそれに対する考え

モニタリングとしての効果を考えると、年間で数μgalの範囲での再現性が取得出来なければ、貯留層変化を捉えることは出来ない。実際、年間数μgalの誤差範囲で重力モニタリングを継続できないことが問題となる。誤差に影響を及ぼす原因は測定時の地盤振動や、測点形状変化に起因するもの、潮汐を始めとした各種の補正漏れ、各重力計内バネの特性等が挙げられる。これらの誤差要因を最小化することにより、年間を通じた測定で、測定範囲数μgalの再現性が可能となる。

解説

作成中

H27年 応用理学部門_地質 Ⅲ-1問題 模範解答と解説

問題文

 東北地方太平洋沖地震による東日本大震災を契機に,再生可能エネルギーの利用が注目されている。地質技術者として開発事業に係る立場で,以下の問いに答えよ。

(1)再生可能エネルギーの必要性を化石エネルギー並びに原子力エネルギーと比較しながら説明し,再生可能エネルギーを2つ取り上げ,それぞれの原理と利点について説明せよ。

(2)(1)で取り上げたうちの1つについて技術的課題を述べ,あなたの考える課題の解決方法を説明せよ。

(3)(2)で取り上げた再生可能エネルギーについて,社会や環境への問題点を述べるとともに,それらの問題を解決するためのあなたの提案を述べよ。なお,その提案を実現する上での解決すべき問題点・リスクを含めて記述すること。

模範解答

(1)再生可能、化石、原子力の各エネルギーについて

(1)-1再生可能エネルギーの必要性

①温室効果ガスの削減:再生可能エネルギーは、化石燃料と異なり、温室効果ガスであるCO2の排出が極少量であるため、温室効果ガスの削減に大きく貢献できる。

②持続可能なエネルギー:原子力エネルギーは使用することにより生み出される、放射性廃棄物の最終処分場については決まっておらず、処分法についても研究段階である。再生可能エネルギーから生み出される廃棄物は極少量で、処分も簡易であることから、原子力エネルギーと比べ、持続可能性の観点から優れている。

③非常時のエネルギー確保:化石エネルギー、原子力エネルギー共に、資源の99%以上を海外に依存している。

これは戦争等の理由で、化石エネルギーの輸入が途絶える非常時、甚大なリスクが生じることを意味する。再生可能エネルギーは、枯渇するリスクは少なく、純国産であることから、安定的なエネルギーの観点から優れている。また、再生可能エネルギーの多くは分散型エネルギーのため、震災等の非常時、最低限のエネルギー供給基地としても有利である。

(1)-2地熱エネルギーと風力エネルギー

 地熱エネルギーは火山活動に起因する地熱により温められた熱水・蒸気を取り出し、タービンを回すことにより電気エネルギーを得ている。地熱発電所稼働後は、安定した電力を天候、日照時間等に関係なく供給出来ることから、ベースロード電源として使用することも可能である。

 風力エネルギーは、風力によりブレードを回転させることにより、風による運動エネルギーを電気的エネルギーに変換するシステムである。他の再生可能エネルギーに比べ開発・設備費用が少なく、投資に対するコスト回収期間も短い利点がある。

(2)地熱エネルギーの技術的課題と課題解決方法

(2)-1地熱エネルギーの技術的課題

 ①地中から取り出す熱水・蒸気と同等の流体を地下で循環・供給させ、地熱流体の収支バランスをとること。②温泉帯水層とは独立した地熱貯留層を開発することである。①の理由は無駄の無い循環的使用によって、持続可能な発電として、長期の発電エネルギーを最大化させるためである。②の理由は周辺住民を含めたトータルの公益性を高めることである。「地熱発電と温泉との共生」が特に地熱発電では求められる。

(2)-2 (2)-1の技術的課題に対する解決方法

 ①の解決策としては、地熱貯留層となる断層・断裂帯の形状を明らかにする。そして、生産井、還元井を掘削し、坑井試験を通じ、地下温度、流体の流動性(透水性)、噴出(生産)、注水(還元)可能量から、生産井と還元井を結ぶエネルギー収支バランスが成り立つ貯留層管理を行う。資源量の算出に関しては30年以上の期間、安定出力が続くことを目安とする。

 ②の解決策としては、温泉帯水層に影響させないため、温泉帯水層と地熱貯留層の流動位置、特性、温泉水、地熱貯留層内熱水の地化学分析を通じた、流体の循環経路の精度を上げることである。

(3)地熱エネルギーにおける問題点とその解決・提案

(3)-1地熱エネルギーの社会や環境への問題点

 ①の問題点としては、貯留層に新たな水みちを作ってしまい、周辺の地下水利用に異常を生じてしまうこと。貯留層温度が低下するリスクが生じることである。

 ②の問題点としては、精度を上げた結果、データ内容が細部にわたる詳細なものとなり、結果判断に更なる調査項目が加わり、検討期間が延長された結果、発電所稼動開始が遅延することである。

(3)-2問題解決のための提案

 ①の解決策として、地下水利用影響が生じた生産・還元井箇所の配置、深度の変更を行う。それでも、地下水利用へのリスクがあるため、変更後に噴出試験と、周辺地下水モニタリングを実施し、地下水利用に影響のない、控えめな規模の開発にしていく。

②の解決策として、地熱開発後に得られたモニタリングデータが開発前と比較して、統計的な許容範囲(95%の信頼区間等)であることを示していく。モニタリング結果でも、例外的と思われ判断が難しい問題に対しては、流体解析を実施し、温泉帯水層への影響が無いことを定量的に明らかにしていく。

解説

作成中

H27年 経営工学部門_サービスマネジメント Ⅱ-1-2 問題 模範解答と解説

問題文

 マズローの欲求5段階説について説明し、組織管理への適用における留意点を述べよ。

模範解答

(1) マズローの欲求5段階説とは

 組織の活力や生産性はその構成員(人)の動機付けに依存するところが大きいため、人々のもつ5段の階層からなる欲求に合わせてそれぞれ段階的に雇用管理等を整備することで人々は動機付けられ、組織の活性化に貢献できる。

(2) 組織管理への適用における留意点

①安心・安全な組織にする。

 第1・2階層(生理的・安全の欲求)に相当する。賃金や労働時間が書かれた就業規則や、各種保険の整備等で、人々が働く基本的な環境を作る。

②個人の意見が認められるようにする。

 第3・4階層(社会的・承認の欲求)に相当する。仕事に責任を付与したり、個人が集団から影響を受け、逆に個人から集団に影響を与えるグループ・ダイナミクスによる人々の集団内のコミュニケーション等を図ることによって、組織的な行動を促す。

③変革への意欲が高まるようにする。

 第5階層(自己実現の欲求)に相当する。組織内での昇進・出世を可能とする職務経歴を作るキャリアパスや、能力開発にて人々の職務遂行能力を高めること、組織のミッションと個人のミッションを合わせていく等で、組織の成長につながる。この欲求を高めることで、組織が変革や新しい提案を生み出すことにつなががり、イノベーティブな組織となっていく。

解説

作成中

H27年 経営工学部門_サービスマネジメント Ⅱ-1-3 問題 模範解答と解説

問題文

プロジェクトのスケジュール作成において、PERT(Program Evaluation and Review Technique)及びCPM(Critical Path Method)とは、どのような手法かを説明し、これらの手法の有効性(利点)を述べよ。

模範解答

(1) PERTおよびCPMについて

 PERTとは、ネットワーク図により作業の関連を可視化し、プロジェクトに必要な作業(タスク)を明示し、そして作業を行う最早開始時刻、最早完了時刻、最遅開始時刻、最遅完了時刻等を知るための技法である。これらより最小時間を特定し、最適な時間でのプロジェクト進捗方法を検討できる。

 CPM とは、ネットワーク図にあるお互いに従属関係にある複数の作業のうち、クリティカルパス(最長経路)を可視化し、必要な人やコスト等の資源を分析し、追加投資の意思決定を行う必要性を求める技法である。これらより、最小の投資で効率的なプロジェクト進捗方法を検討できる。

(2) これらの手法の有効性(利点)について

①変化に対応しやすい:作業の進捗状況のチェックを容易に行うことができるので、スケジュールの変化への対応を早く行うことができる。

②資源が用意しやすい:計画変更等に対して早い処置を行うことができるので、必要な資源が準備しやすい。

③工程が把握しやすい:クリティカルパス上にある作業や工程が明らかになるので、最短リードタイムがどのくらいか計測しやすい。

④利害を調整しやすい:仕事全体の作業と繋がりを把握することができるので、利害関係者とのコミュニケーションが図りやすい。

解説

作成中

H27年 経営工学部門_サービスマネジメント Ⅱ-2-2 問題 模範解答と解説

問題文

 プロジェクト遂行の途中段階において、スケジュール遅れが生じている事が分かり、このままでは品質(Q)、予算(C)、納期(D)のプロジェクト目標の達成が困難なことが判明した。あなたはプロジェクト・マネジャーとしてこの状況を改善すべく、納期を含む目標達成をするには、どのような対応をとればよいか、以下の問いに答えよ。

(1)遅延の問題解決のために、調査・検討すべき事項(遅れの原因など)を挙げて、その内容を述べよ。

(2)遅延の問題解決に対応するには、どの様な方法があるかを述べよ。

(3)(2)を実施する際に留意すべき事柄を述べよ。

模範解答

(1) 遅延の問題解決のために、調査・検討すべき事項(遅れの原因など)

1)単一工程の処理能力が低下している。

 処理能力がどの程度低下しているか、残りの資源(人員や資金等)がどの程度あるか等を調査する。

2)工程編成が多い・長い。

 工程が何本あるか、工程がどれだけ長いか、工程同士がどうつながっているか等を調査する。

3)動機付けが足りていない。

 メンバーとの対話が出来ているかどうか、無理なタスクを抱えて疲弊していないかどうか等を調査する。

(2) 遅延の問題解決方法

1)クラッシング:遅延している工程に資源(人員・資金等)を投入し、作業を早める方法。プロジェクト全体の工期を決定するクリティカルパス上に存在する工程について、追加資源を投入してスケジュールを早める。コストとスケジュールのトレードオフを分析しながら、最少の追加コストで最大の期間短縮を得る方法である。

2)ファストトラッキング:後工程を前工程と同時に行い、時間を短縮する方法。通常は順を追って実行するフェーズ(プロジェクトを区切った単位)やアクティビティ(プロジェクト業務の最小要素)を並行して行うことで期間短縮を行う。例えば、システム開発のプロジェクトであれば、設計が完了する前に実装を始めたり、実装が完了する前にテストを始めたりする。

3)ピープルウェア:調整役となるメンバーを配置し、メンバーの動機付けを行う方法。メンバーの仕事の満足感やプロジェクトへのコミットメントを確認したり、良好な職場環境づくり等を行うことで、チームワークを良くする。チームメンバー同士で納期短縮へのアイデアを出し合い、優先順位をつけて実施して行く。

(3) (2) を実施する際の留意点

1)クリティカルパスが2つ以上見られる場合、スケジュールの厳しい方に先に資源(人員・資金等)を優先的に活用する。資源は一度にすべて投入するのではなく、資源投入後に変化の生じたクリティカルパスを確認しながら再度投入するようにしていく。資源投下後は連合作業分析にて作業を組み立て、工程短縮を図る。

2)前工程と後工程を同時に進行させて行く場合、手戻りのないようにチェックを行う。また、1人で複数の工程を担当することになるので、過剰な労働にならないよう仕事の配分を適正に行うようにする。グループテクノロジーにて類似工程をまとめ、工程短縮を図る。

3)チームを管理することにより、人材開発だけでなく、組織開発が行えるようにする。組織に内在するエネルギーや主体性を引き出し、人と人の関係性の変化や相互作用により、組織を変化させていく。このようなヒューマン・リソース・マネジメントがプロジェクトの母体組織の活性化につながり、品質が向上する。

解説

作成中

H27年 電気電子部門_情報通信 Ⅱ-2-1 問題 模範解答と解説

問題文

 高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transportation System)とは、人と道路と自動車の間で情報の受発信を行い、道路交通が抱える様々な課題を解決するためのシステムである。都市におけるITS導入の担当責任者として業務を進めるにあたり、下記の内容について記述せよ。

(1)道路交通が抱える諸課題を3点以上述べよ。

(2)(1)で挙げた項目の中で、あなたが最も重要と考える課題を1点挙げ、

その理由とその課題を解決するための情報通信分野での技術的提案を述べよ。

(3)(2)業務を進める際に、留意すべき事項を述べよ

模範解答

1.道路交通が抱える課題

・高齢者・子育て世代にやさしい移動手段の確保

買い物した荷物や子供たちを安全に運ぶための手段として自動車を利用するが不注意による事故が耐えない。これらを自動運転技術により減少させる。

・慢性的な交通渋滞の緩和

道路の混雑状況を的確に把握する、車両への伝達手段が不十分なことに起因した交通集中による渋滞の発生がある。車両に対する情報伝達手段を構築し、対象地域の住環境改善が求められる。

・追突や衝突事故の回避

高齢ドライバーによる危険回避行動の遅延、交差点での見落としなどは事故発生に直結する。定点からのモニタリング情報を車両へ伝達し、危険回避の運転制御を行う。

2.重要と考える課題、選択理由、解決の技術提案

課題:交通事故の削減・防止

理由:ドライバーの不注意による接触、脇見や居眠り運転による追突はヒューマンエラーに起因し、事故の大半を占める。自動車の運転支援システムを導入することにより改善が期待できると考えるため。

提案:①ナビゲーション機能の高度化

高度化されたVICSやテレマティクスからの情報を運転支援情報として取得し、車載のレーダーやカメラによる居眠りやレーン逸脱監視と組合せて衝突や追突事故を防止する。

提案:②車両間の自立連携(車車間通信)

走行車両同士で運転状況や位置を含む情報を共有し、近隣に存在する車両と連携したスムーズな運転を実現するために車両同士を結ぶ通信システムを導入する。

提案:③交通情報提供システムの導入

交差点や見通しの悪い地点の情報を定点カメラによるセンシングで歩行者、二輪車の位置検出を行った結果を観測地点周辺に居る全ての人で情報を共有可能とする通信インフラ設備の導入を検討する。

3.業務を遂行する際の留意事項

①危険検知と回避

 地形や天候による視界不良の場合であっても、車車間通信の活用により前方車両の危険回避行動(急制動、障害物回避など)を後続車両に積極的に伝達する仕組みを検討し追突や衝突事故の抑止に努める。

②交通支援情報の活用

 走行車両に対しては、目的とする進行経路上の情報を事前に入手できることで予測運転が可能となる。交通渋滞、悪天候、緊急工事など自車位置をGPSで確認、組み合わせ運転者へ通知する仕組みを検討する。

解説

作成中

H27年 電気電子部門_情報通信 Ⅱ-1-3 問題 模範解答と解説

問題文

 LTE(Long Term Evolution)に関して、上りリンクおよび下りリンクで用いられている各アクセス方式の概要と、それらの特徴を説明せよ。

模範解答

1.LTE上りリンクのアクセス方式

概要:各端末は基地局に向けて広帯域の伝送チャネルのうち、基地局からそれぞれ個別に指定される周波数帯域を単位としてデータを送信する。アクセス方式は周波数分割多重の1つであるSC−FDMA方式を採用している。

特徴:下りリンクに比べ送信帯域が狭帯域に制限されるため、消費電力を抑えられる。また送信データには一定時間の隙間(GI)を設け、GIの伝送時間分の遅延は復調処理において影響を排除可能であり、マルチパスの影響を軽減出来る特徴を持つ。

2.LTE下りリンクのアクセス方式

概要:基地局は端末毎の伝搬路の状態と情報量を管理する。管理情報に基づき必要な伝送帯域幅を算出し、端末毎に帯域幅を調整可能なOFDMA方式をアクセス方式として採用している。

特徴:基地局は収容する端末局との通信で遅延が発生しないようにスケジュール管理を行う。各端末はフェージングの悪影響が推定される通信帯域の利用を避ける、変調モードを変え低速にするなど、データを伝送し易くする仕組みを有することが特徴である。

解説

作成中

H27年 電気電子部門_情報通信 Ⅱ-1-4 問題 模範解答と解説

問題文

 通信キャリアネットワークを制御するネットワーク機器の機能を汎用サーバー用にソフトウェアで実装するネットワーク機能仮想化(NFV)技術に関して、その概要を説明せよ。また、モバイル通信事業者または固定通信事業者におけるNFV技術の応用例(ユースケース)を1つ取り上げ、NFV技術導入が検討されている理由を、その技術的な特徴を踏まえ述べよ。

模範解答

1.ネットワーク機能仮想化(NFV)技術の概要

 ルーター、ファイアーウォールなどのネットワーク機器は、固有のネットワーク制御機能とデータ伝送機能が一体となった専用機器として存在している。この制御機能部分を専用のプロトコルにより遠隔で目的にあったネットワーク機能を割り付け、システムを構築するものである。

2.通信事業者におけるNFV技術のユースケース

 海外におけるモバイル通信事業者向けに採用されたシステムにおいて、LTEの中枢であるコアネットワーク(EPC)を仮想化し、汎用サーバーで機能を実現させた事例がある。EPCとは複数のサーバーやネットワーク機器で構成され、無線基地局、課金、インターネット接続等について管理・制御・監視を行う基幹システムである。 

3.前項の事例に導入が検討される技術的特徴と理由

 モバイル事業向けの設備はライフサイクルが比較的短いこと、トラフィックの増大に対し設備強化を常に検討が必要である反面、見合った収益向上が見込めない状況が背景にある。高価な専用機器を利用しない汎用サーバー上でのEPC実現はシステムの最適化や全面更新などを短時間でかつ冗長構成も考慮した構築を実現する。経営資源をサーバーシステムに集中することで課題である収益性の改善策の1つとして導入検討の理由として考えられる。

解説

作成中

H27年 電気電子部門_情報通信 Ⅲ-2 問題 模範解答と解説

問題文

 近年、社会生活や企業活動において情報通信ネットワークが担う役割は加速度的に増大している。そのため、災害や障害等の不測の事態に対して堅牢な情報通信ネットワークを設計、構築することが普遍的課題となっている。特に最近では、標的型攻撃のように、特定企業、団体を狙ったセキュリティ犯罪が増える中、より大規模な社会的、経済的混乱を狙ったサイバーテロの脅威が高まっている。このような状況を踏まえ、企業内の情報通信ネットワークのセキュリティ対策について以下の問いに答えよ。

(1)一般的な情報通信ネットワークに対するセキュリティ攻撃とそれに対抗するための代表的な対策の現状を述べよ。それらの現状を受けて、企業内の情報通信ネットワークの設計や構築において、セキュリティ対策実施する上で最も考慮すべき技術的課題を述べよ。

(2)(1)で挙げた課題に対して、どのような方策が考えられるか、解決するための技術的提案を示せ。

(3)さらに堅牢性を高めるため、企業内の情報通信ネットワークセキュリティ対策に関する今後の技術展開の方向性について、あなたの意見を述べよ

模範解答

1.セキュリティ攻撃と対抗する代表的な対策

①攻撃の種類と対抗策

サービス不能攻撃:分散Dos攻撃は複数の地点から大量のパケットをターゲットに送り、ネットワーク(NW)やサーバーの輻輳を目論む。他にOSの脆弱性を突いてサーバーへ侵入しデータの改ざん等を行うものがある。対策として輻輳は早期検出し、通信を規制する、脆弱性を改善は指示に基づくパッチファイル修正など必要な対策を講ずる。

標的型攻撃:業務メールを装い添付ファイルにウィルスを忍ばせ相手のPCを感染させる。感染PCを操りデータの搾取するもの、データに意図しないパスワード設定や暗号化を行い利用不能にし、解除のための費用を要求するランサム(身代金要求)がある。対策として到着メールをアンチウィルスソフトによるウィルスの検知や削除、ランサムの場合は専門業者への対処相談が対抗策となる。

②NWの設計や構築において考慮すべき技術的課題

 社内外のNWを原則分離して外部侵入・内部流出の阻止することでセキュリティを格段に担保できる。一方で、メールやインターネット閲覧等が利用できなくなる。新たにデータを代理に送受信する仕組みを設けてデータの安全性や通信状況をモニタリングし、NW全体を脅威から保護する。

2.方策と解決するための技術提案

メールのウィルス対策

 未知なる脅威に備え、サンドボックスなどで代理受信し、メールの無害化(添付ファイルを実際に開封し、脅威の有無を実行させるなどして確認する)をすることで安全性を担保する。安全確認されたファイルのみを社内NWに取り込みユーザーに配信する仕組みの構築を提案する。

②外部侵入・不正アクセス対策

 IDS/IPS(侵入検知/侵入防止システム)を導入する。NW上のトラフィックの“振る舞い”をさせ検出させ、通常とは異なる地点(普段利用しないIPアドレス、ポート番号との接続)との通信を検出、遮断させる。一方で、振る舞い検知は万能では無く、ウェブ閲覧ソフトを悪用された場合では通信に悪意の有無は識別できない。このため社内外のNWを原則分離しておくことでhttpプロトコルの“要求と応答”のシーケンスを不成立とし、セキュリティを担保する。

 利用者側の認証強化を図り不正アクセスへのハードルを上げる。NW利用端末の事前登録、無線LAN−APへの接続PW設定をはじめとする機器側の制限と共に、利用者の本人確認には複数の認証要素(PW、IDカード、生体等)を組み合わせる。

3.堅牢性を高めるセキュリティ対策に関する今後の技術展開の方向性について

①PC端末の仮想化推進(クラウドサービスの活用)

 データセンター等ではサーバーを集約するために仮想化技術の導入が進んでいる。利用者側のPC端末も同様にクラウドサービスを活用し、データセンターに仮想環境を構築しデータを一元管理する。これにより万一のPC盗難や紛失時の情報漏洩リスク低減が見込める。

顔認証システムの導入

 顔画像から目立つ特徴を抽出することで識別する。顔のパーツの相対位置や大きさ、目、鼻、ほお骨およびあごの形を特徴として利用する。これらを幾何学的に、または数値的な統計情報をDBと比較して判定を行いデータへのアクセス権を付与する。セキュリティの観点のほか、人事情報DBと連携させることでテレワークの導入時には勤怠情報を収集する仕組みとしても応用が可能である。

解説

作成中

H27年 機械部門_機械設計 Ⅱ-1-1 問題 模範解答と解説

問題文

 機械システムは、全体として見ると複雑そうであっても、細かく見ると単純な部品から構成されている。機械システムに使われている部品のうち、特定の機械用ではなく広く共通に用いられているものを機械要素という。例えば、流体を導いたり、流体を用いて信号を送ったりする機械要素は流体伝達要素と呼ばれる。その具体例としては配管継ぎ手が挙げられる。機械要素を他に3つ挙げ、各々についてその機能や目的を具体例と共に述べよ。

模範解答

1.締結要素

①機能や目的

 機能は部材を接合して動かないようにするものであり、2つの部品を固定する目的がある。

②具体例(六角ボルト)

 螺旋状に加工した雄ネジをネジ溝に沿わせることで部品を締め付ける。

2.密封要素

①機能や目的

 外力を加えることで変形を起こし物体に密着するものであり、液体や気体の漏出防止を目的としている。

②具体例(Oリング)

 ゴムで形成されたOリングを接合面に設置し、部品間で圧縮させゴムが持つ弾性力により流体を封止する。

3.伝達要素

①機能や目的

 力を持つ物体と持たない物体の間に設置し力を移送する機能を持つ。また、動力や運動を受け取った側が次の部品へと力を供給する目的で使用される。

②具体例(歯車)

 周速度から均一に歯を摩擦させ、歯車を噛み合わせながら回転することで次の歯車を回転させ力を伝えていく。

解説

作成中

H27年 機械部門_機械設計 Ⅱ-1-2 問題 模範解答と解説

問題文

 効率的な設計審査会(DR;デザインレビュー)を主催し運営するためには、事前に準備すべきドキュメント類、DR開催中での留意事項、並びにDR終了後のフォロー事項など様々な工夫が必要である。これらの工夫点のうち、あなたが重要と考えるポイントを3つ挙げ、その具体的内容について述べよ。

模範解答

1.審査会前に準備すべきドキュメント類 

(1)FMEA実施結果 

設計者がFMEAを実施し、各構成品の機能故障時にシステム全体に与える影響を評価し、必要な対策を講じる。特に前号機からの設計変更点や顧客の使用条件の変更等に起因して不具合が起きやすいため、この変更点に注目してFMEAを充実化させる。 

(2)CAE数値解析による重要特性の検討結果 

PC上で3Dモデルを構築し、CAE解析を活用して、熱特性、構造特性等の重要な品質特性の検討を行う。試作品による試験検証を行う場合は計画書も併せて準備する。 

2.DR開催中での留意事項 

(1)過去の不具合事例の反映状況の確認 

 類似製品の過去の不具合事例を社内のデータベース等からもれなく吸い上げ、原因と対策が、本設計に反映されているか確認する。不具合事例に基づく、再発防止チェックリストを準備し、設計の確認を行う。 

解説

作成中

選択科目Ⅱ(1枚)レジュメ (2015 過去問)

 

 

1.審査会前に準備すべきドキュメント類

(1)FMEA実施結果

設計者がFMEAを実施し、各構成品の機能故障時にシステム全体に与える影響を評価し、必要な対策を講じる。特に前号機からの設計変更点や顧客の使用条件の変更等に起因して不具合が起きやすいため、この変更点に注目してFMEAを充実化させる。

(2)CAE数値解析による重要特性の検討結果

PC上で3Dモデルを構築し、CAE解析を活用して、熱特性、構造特性等の重要な品質特性の検討を行う。試作品による試験検証を行う場合は計画書も併せて準備する。

2.DR開催中での留意事項

(1)過去の不具合事例の反映状況の確認

 類似製品の過去の不具合事例を社内のデータベース等からもれなく吸い上げ、原因と対策が、本設計に反映されているか確認する。不具合事例に基づく、再発防止チェックリストを準備し、設計の確認を行う。

H27年 機械部門_機械設計 Ⅱ-1-4 問題 模範解答と解説

問題文

 近年の急激な高齢化・グローバル化に伴い、国内外での法令化や規格化が進み、製品にユニバーサルデザインを配慮した製品が望まれてきた。一般にユニバーサルデザインでは7つの原則が知られている。そのうち3つの原則を挙げ、各々についてどのような配慮がなされているかを具体的な製品を挙げて述べよ。

模範解答

ユニバーサルデザインの配慮と具体的な製品

1.公平な利用

配慮:老若男女や障害の有無に関わらず、誰もが同じ手法で使用できる設計とする事。

具体的製品(万人向けハサミ):ハサミの取手の部分がカバーで覆われており、握るように使用するため、握力の弱い方や右利き左利き問わず使用することが出来る。

2.認知できる情報

配慮:意味を一目で理解できるよう強調したデザインである事。

具体的製品(警告板、標識):文字の使用を抑え、意味をイラストで表すことで視覚的に意味を理解することが出来る。

3.単純で直観的な利用

配慮:正しい使用方法のみ操作することが出来、誤操作が起きない設計である事。

具体的製品(USBメモリ):正しい方向のみ挿入することが可能であり、確実にデータを記録できるよう設計されている。

解説

作成中

H27年 機械部門_機械設計 Ⅱ-2-2 問題 模範解答と解説

問題文

 新製品の開発では性能と品質の両方、及びコストダウンを求める競争がグローバルに広がり、設計段階において最適設計が強く求められるようになった。あなたが新製品開発チームの担当責任者として業務を進めるにあたり、以下の問いに答えよ。

(1)  最適設計を用いるために検討すべき項目を3つ挙げよ。

(2)  上記で挙げた3つの項目に対して、それぞれ具体的な取組内容を述べよ。

(3)  (2)で挙げた3つの取組を進める際に留意すべき事項を述べよ。

模範解答 1

(1)最適設計を用いるために検討すべき項目

  • 品質工学を用い、顧客のニーズに合致した製品仕様の決定
  • VE手法を適用し、製造コストに対する機能評価値が最大となる設計
  • 熟練技能や治具無しで容易に組立できる部品の設計

(2)最適設計への具体的な取組内容

  • 製品の各機能に水準を設け、要因効果図を作成し、商品価値に対する感度を評価。感度の高い機能を優先して製品仕様に反映する。
  • VE手法により各部品が担う機能を分析し、複数の機能を1つの部品に集約することにより部品点数を削減する。
  • 組み立てられる部品自身に組立用の基準穴や基準突起を設け、容易に製造できる設計とする。

(3)(2)で挙げた3つの取組を進める際に留意すべき事項を述べよ。

  • 顧客ニーズの把握において、市販品は市場の売り上げ順位と各製品が備えている機能性能の調査、特定顧客向けはヒアリング調査を行う。
  • 複数部品を1部品に集約する際は、これに適している板金加工や3Dプリンタ加工技術の適用を検討する。また、標準部品を設定し、使用する部品の種類を削減すること。
  • 多数の組立部品に適用する場合は、誤った組立を防ぐため、基準穴寸法や突起の形状を変更すること。

解説

作成中

模範解答 2

1.最適設計を用いるために検討すべき3項目

構造最適化

 3次元モデルにて使用方法に最も適した構造を検証し、試作品による実証と修正を繰り返すことにより強度と品質の両立を実現する。

多目的最適化

 品質や性能、コストなど顧客の要求を定量化し、目的関数を反映して競合関係の限界値を設定する。

信頼性

 構造部品の精度を向上させるために、部品加工のバラツキを厳格に管理することで故障しにくい製品を作成する。

2.それぞれの具体的な取組

①構造最適化:検証と実証

 CAEを活用しソフトウェア上で部材にかかる応力や振動、衝撃をシミュレーションする。その後、試作品で実際に最大応力が発生する箇所をひずみ計測で確認しCAE結果の差異を修正することにより、CAE解析と実証の両面から構造強度、部品形状の最適化を図る。

②多目的最適化:顧客要求の明確化

 性能を向上させるとコストも増加してしまう。そのため、コストや性能など顧客の要求を明確にし、それを定量化することでトレードオフ分析のパレート最適解図へと展開する。最適解図から要求される性能とコストの限界を検討し設計に反映する。

③信頼性:製品差異の抑制

 寸法公差内の部品であっても、交差分布の両端と中央値では優劣が存在する場合がある。そのため、ロバストデザインを採用し製品に使用する部品のうち信頼性に関係する部品の寸法公差を厳しく管理することにより、製品のバラツキを抑え環境や温度の変化、劣化などの外乱に強い製品とする。

3.上記の取組を進める際の留意点

①CAE

 ソフトウェア解析では解析結果の妥当性が判断できない場合がある。そのため、試作品による実機評価を行い、解析と実証の結果を比較しCAEの妥当性を検証する。そのデータを蓄積しCAE解析の精度を向上させる必要がある。

②トレードオフ分析

 性能とコストが両立する限界を実現させるため、過負荷や衝撃に対して脆弱になる場合がある。過電流防止や安全弁など製品を保護する機能を設けることで対策を行う。

③ロバストデザイン

部品の寸法公差を厳しくすることで不良品が増加するリスクがある。そのため、加工段階を増やし徐々に部品加工を行うことにより、寸法外れによる不良品を防止する。

解説

作成中

H27年 機械部門_機械設計 Ⅲ-1 問題 模範解答と解説

問題文

 2013年,米国のオバマ大統領は一般教書演説の中で,3Dプリンティング技術によるものづくりは,製造業の将来を牽引する新しい存在であると称えている。また,我が国では,2014年版ものづくり白書にて,「新しいモノの作り方として3Dプリンタを始めとする付加製造技術が,モノの作り方に大きな変革をもたらし得る技術であり,デジタルものづくりの流れを大きく進展させるものである。」との記述がある。このように近年,3Dプリンティング技術が注目されるようになったのは,従来にない高い自由度でものが作れるようになり,製造業のありかたを大きく変えていくのではという期待がもたれているからである。 3Dプリンティング技術を活用するとすれば,ものづくりの何が変わるかを想定して,以下の問いに答えよ。

(1)3Dプリンティング技術の普及によって,具体的な技術あるいは製品分野にどのような変革が想定されるか,また変革の結果,発生するであろう課題にはどのようなものがあるかを,機械設計者の観点から多面的に述べよ。

(2)(1)で述べた課題に対し,あなたが最も大きな課題と考える項目を1つ挙げ,その課題を解決するための具体的方策を提案せよ。

(3)(2)で述べた提案がもたらす効果やメリットを示すとともに,そこに潜むリスクやデメリットについて述べよ。

模範解答

(1)具体的な変革と発生するであろう課題

(1−1)想定される変革

3Dプリンタでは、粉末焼結法にて、樹脂又は金属の粉末に局所的にレーザー光線を照射して溶融させ、3次元的に積層することにより、複雑な形状を3次元的に一体成形する。これにより、以下の変革が期待される。

3次元ラティス構造による軽量で高剛性な製品の実現、シームレス構造による部品間の接触面での熱伝導ロスの削減が可能となる。機械設計として重要な課題である小型軽量化、排熱性向上について、革新的な性能向上が期待できる。

3次元CADデータに基づき、多くの加工手順を踏まずに、1プロセスで忠実に形状を加工することができる。部品入手に必要な時間が画期的に短縮でき、開発や生産のスピードアップを図ることができる。

(1−2)予測される課題

①形状、寸法精度確保

3Dプリンタでは、局所的に粉末を高温にして溶融させるため、成型時の熱膨張、熱収縮により変形し、寸法精度を満足できない問題点がある。このため、次の3点を提案する。

ア.プロセス中の熱膨張、熱収縮を事前に解析にて予測しておき、加工寸法の補正を実施する。

イ.加工後の熱処理により残留応力を除去する。

ウ.寸法のばらつきを吸収する製品設計の採用。

②安定した強度確保

従来の金属素材から切削する、又は金型で鋳造する方法では材料全体を溶融させるため、安定した強度が得られる。一方、3Dプリンタでは、局所的に粉末を溶融させるため、焼結後の結晶組織が不均一となり強度が不安定となる問題点がある。これに対し、次の2点を提案する。

ア.粉末焼結時の溶融温度と冷却速度を最適化し、結晶組織を均一化する。

イ.3Dプリンタ装置内に粉末金属の溶融状態をモニタするカメラを設置し、粉末の焼結工程と同時に金属内部の溶融状態、欠陥有無を診断する。

(2)最も大きな課題と解決するための具体的方策

最も大きな課題は安定的に寸法精度を確保すること、及び寸法ばらつきを許容する設計を採用することである。具体的な方策を以下に示す。

①熱変形量の予測と加工寸法の補正

加工の準備段階に、3Dモデルを使用し、プロセス中の熱膨張量、熱収縮量を予測する数値解析を実施する。予測した変形量を考慮して、加工寸法を補正する。

②残留応力除去による形状安定化

焼結成形後に熱処理を行い、製品内部に残留する応力を除去する。これにより成形後の熱変形を防止できる。

③寸法ばらつきを許容する設計

他部品との結合面等の精度が必要な部位には、柔軟性のある材料を挿入して、寸法ばらつきによる形状の凹凸を吸収する設計を採用する。

(3)提案のメリットとデメリット

①メリット 

ア.安定した寸法精度を確保でき、高精度な寸法が必要な製品への適用が可能となり、3Dプリンタの応用範囲が拡大する。

イ.ユーザ使用時の温度変化等による寸法変化を防ぐことができ、製品の長寿命化が可能となる。

②デメリット 

ア.個々の製品にて変形量を予測する検討期間、また加工後の熱処理工程の期間が必要となり、コスト増加、生産期間が長期化する要因となる。

イ.結合面に柔軟性のある材料を挿入することにより、熱性能、構造性能が低下する要因となる。

解説

作成中

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