H28年 衛生工学・建築環境施設 U-1-1問題 模範解答と解説 (超高層集合住宅における給水方式の決定の考え方)

問題文

超高層集合住宅における給水方式の決定の考え方と給水配管設計の留意点を述べよ。

 


模範解答1

1) 超高層集合住宅における給水方式の決定の考え方

@最上階の水圧確保

直列多段型直結増圧方式により、給水ポンプから損失最大の部屋のシャワーにて70kPaを確保する。

A各階の水圧差を縮小

給水ポンプから最も遠方となる最上階に水圧を合わせた場合、最下階の水圧が高すぎるため、横枝管に減圧弁を設置して水圧差を縮小する。

B貯水槽の荷重・衛生管理

 最上部に貯水槽を設置する場合(高置水槽方式)、構造上の負荷が増大し、衛生面も配慮が必要なため、直結増圧方式とする。

 

(2) 超高層集合住宅における給水配管設計の留意点

 高層階に揚水するため、配管にかかる負荷が増大し、腐食や破損の可能性があるため、以下のように対策する。

@配管継手

水圧が高いため、継手は耐久性の高いメカニカル継手とする。

A配管材料

高層に揚水するため水圧が高く、配管摩擦が多いため、立て主管は耐摩耗性・耐腐食性が高いステンレスとし、横枝管は塩化ビニルライニング鋼管とする。

 


解説

 


模範解答2

 

1.給水方式の決定の考え方

 給水方式は、高置水槽方式を採用する。採用する考え方として、特に下層階では給水圧力が過大にならないようにする対策が必要である。その為、給水系統を10階程度で区分し、中間水槽によるゾーニングを行事で安定した圧力による水供給が可能となる。

2.給水配管設計の留意点

1)給水圧力による影響について

 過剰な給水圧力供給になると、ウォーターハンマーなどにより水栓や弁などの部品の消耗が著しくなり寿命が短くなる事が予想される。

2)給水圧力の上限圧について

 集合住宅という生活の場においては、300kPa〜400kPa程度に抑え、下層階にあたる箇所では、減圧弁を設置し、圧力調整を行う。

3)最低給水圧力の確保

 ゾーニングを行う系統の最上階にあたる箇所での必要最低給水圧力は、給湯機器の作動やシャワー水勢などを考慮して、700kPa以上が必要となる。その為、高置水槽又は中間水槽は、必要圧力を確保できる高さに配置計画する。

4)耐震性能を確保した配管材料の選定

地震時の変位追従性や繰り返しの変位に対して、耐久性を確保する為、配管材料は、耐震型高性能ポリエチレン管の高い柔軟性と融着接合の一体管路とする。

H28年 衛生工学・建築環境施設 U-1-2問題 模範解答と解説 (事務所ビルの排水通気設備)

問題文

事務所ビルの排水通気設備に関して、その排水性能の確保と維持管理の留意点を述べよ。

 


模範解答

1.排水性能を確保する為の排水通気設備

1)建物全体の排水通気設備方式

 排水立て管と通気立て管を併設する2管方式とする。2)各階の通気方式

 ループ通気管方式とし、適切な取出し位置及び立上げ高さを確保し、通気立て管へ勾配をつけ接続する。

3)最下階の排水方法

 屋外桝まで単独排水経路を確保する。

4)汚水槽の排水方法

 汚水ポンプは、ボルテックス形を採用し、吐出管は、配管口径80A以上で屋外桝まで単独配管とする。

2.維持管理の留意点

1)器具の封水機能防止対策

 長時間使用しない排水器具トラップの蒸発による破封対策を行う。

2)排水管内清掃作業の効率性

 管内高圧洗浄などが容易に出来るよう、掃除口廻りで操作する為に、有効な大きさの点検口を設置し、効率的に作業が出来るようなスペースを確保する。

3)衛生器具による管理面の簡易化

 インターバル排水管洗浄機能を搭載した自動洗浄化器具を採用する。

4)利便性のあるメンテナンススペース

排水設備は、便所や湯沸室等の水場に隣接した空間に集約し、点検整備する為の点検用通路を確保する。

H28年 衛生工学・建築環境施設 U-1-3問題 模範解答と解説 (HACCP方式の概要と給排水衛生設備)

問題文

業務用厨房でHACCP(Hazard Analysis Critical Control Point System)方式が導入されている。HACCP方式の概要と給排水衛生設備として配慮すべき事項について述べよ。

 


模範解答

1.HACCP方式の概要

 食品の製造・加工工程において発生するおそれのある微生物汚染等の危害をあらかじめ分析し、重要管理点を定め、これらを連続的に監視することにより製品の安全を確保する衛生管理手法である。

2.給排水衛生設備として配慮すべき事項

1)人に付着する雑菌を危害として考え、入室前の手洗いを重点管理点として、手洗い手順を監視して製品が雑菌で汚染しないようにする。

対策として、手洗い水栓は自動水栓とし、水石鹸、消毒液、ペーパータオル、爪ブラシを設置する。

2)厨房内で発生するカビを危害として考え、厨房内の汚れや水分を重点管理点として、床や壁際を監視して製品がカビで汚染しないようにする。

カビを抑制するため、露出配管は床清掃が容易なように支持金具により浮かせ、床排水勾配を確保して、ドライ床とする。

3)進入する虫を危害として考え、防虫を重点管理点として、排水経路を監視して製品に虫が混入しないようにする。

虫の障壁となる、厨房内の排水トラッブやグリーストラップを外部へ移し、定期的に清掃する。

また、外壁の配管貫通部は隙間なく埋める。

H28年 衛生工学・建築環境施設 U-2-1問題 模範解答と解説 (シティホテルにおける給排水衛生設備の基本計画)

問題文

大都市に計画されるシティホテルにおける給排水衛生設備の基本計画策定業務を行うことになった。発注者からは、@シティホテルとしてのグレードの確保、A経済性・省エネルギー、B耐震対策、C維持管理、D長寿命化・将来のフレキシビリティーが要望されている。発注者の要望を踏まえて、客先系統の給湯設備の計画について、以下の問いに答えよ。規模利用状況は、以下とする。その他、必要な数値は各自設定する。

(1)客室系統の給湯の負荷特性と留意点を踏まえて給湯設備の計画について述べよ。

(2)客室の給湯方式として3種類のシステムを比較し、一方式を提案せよ。

(3)熱源機器と貯湯槽の仕様(算出根拠を含む。)使用配管材料と概略系統図を示し、給湯設備の配管設計上の留意点について述べよ。

 


模範解答1

1)客室系統の経済性・省エネに配慮した給湯設備計画

@圧送ポンプ・循環配管による給湯(シャワーの給湯量・圧力確保)

A(ガス・ヒートポンプ)ハイブリッド給湯設備計画

B給湯機器・配管の耐震施工

C連結給湯器・バイパス配管(給湯器交換時に給湯継続)

Dステンレス貯湯槽・配管および機器構成変更可能な給湯系統

 

(2)客室の給湯方式として3種類比較し、一方式を提案

・中央式ガス給湯方式

・個別式ガス給湯方式

・中央式ヒートポンプ貯湯給湯方式

以上3種類より中央式ハイブリッド貯湯給湯方式を提案

 

(3)熱源機器と貯湯槽仕様(算定根拠を含む)、使用配管材料と概略系統図を示し給湯の配管設計上の留意点

・熱源機器:連結式ガス給湯器+ヒートポンプ給湯器とする

・貯湯槽はステンレス製とする

 250L/人×2人×35室×13フロア=227,500L

・使用材料:耐熱性・耐久性に優れたステンレス配管(維持管理、長寿命化)

・概略系統図(給湯器、ヒートポンプ、貯湯槽、ポンプを配管でループして各室で分岐)

・配管上の留意点:耐震対策として機器周辺や各所をフレキ接続する。

 


解説

 


模範解答2

 

(1)客室系統の給湯設備計画

 一時的な大量給湯が必要な場合でも安定供給を可能とする為、高効率型機器や採用、配管経路計画、断熱性能を確保する。給湯機器類は、1室にまとめて配置し、耐震性能の強化を図る。維持管理面では、レジオネラ菌汚染対策として管内の温度管理を行い、耐久性に配慮した機器及び管材を選定する。

(2)給湯方式システムの種類、比較、提案

1)システムの種類

1.温水発生機+貯湯槽中央式供給方式

2.ヒートポンプ給湯器+貯湯槽中央式供給方式

3.潜回収型ガス給湯器+貯湯槽中央式供給方式

上記の3方式共、19階配置、下向き供給方式とする。

2)システムの提案

提案方式は、システム1とする。

3)提案理由(システム2・3との比較)

@一時的な大量給湯に安定供給できる。

A低温での熱効率ができ、効率がよく経済的である。B真空保持の為、長寿命化で維持管理も容易である。C給湯以外に暖房などの加熱用途と併用できる柔軟性がある。

Dイニシャルコストが安価である。

(3)熱源機器と貯湯槽の仕様と使用配管材料

1)熱源機器と貯湯槽の仕様

@熱源機器仕様(真空式温水機720KW×2基)

 算出根拠:1日使用量に対する割合1/7と貯湯槽容量に対する割合(継続時間4H)から必要加熱量を算出し、計算容量の70%の能力とする。台数は故障時を考慮して2基設置する。

A貯湯槽仕様(密閉式貯湯槽22m3×2基)

 算出根拠:1日使用量に対する最大値割合1/7、

最大値の継続時間4H、運転時間24Hとして算出。

H28eisei_knchikukankyo_2_2_1_cityhotel (186×275)

図―1概略系統図

2)使用配管材料と概略系統図

@使用配管材料は、長寿命化を考慮してステンレス鋼鋼管とする。

A概略系統図は、図―1による。

3)給湯設備の配管設計上の留意点

@レジオネラ菌対策として、各循環系統で均等に管内を55℃以上保持できるような配管経路を確保する。

A配管長の短縮や断熱処理により、

熱ロスを低減させる。

B湯と水の混合割合変化などにより火傷の危険を回避する為、給湯設備は給水設備と同じ圧力になるようゾーニングを行う。

Cスケルトンとインフィルを区分し、将来の用途変更に柔軟に対応可能なスペースに配管ルートを計画する。D給湯設備機器類の配管接続部は、地震力による相関変位を吸収する為、フレキシブルジョイントなどの変位吸収管継手とする。

H28年 衛生工学・建築環境施設 V-1問題 模範解答と解説 (公共建築の地震発生後の給排水衛生設備BCP対策設計)

問題文

 2011年3月に起きた東日本大大震災、今年5月に起きた熊本地震において、都心部や市町村における様々な用途の建物が、莫大な被害を受けた。このような大規模な地震災害が発生した際に、防災拠点や避難拠点となる県・市庁舎等の公共建築、学校等の公共施設において、被災時においても事業を継続できる事業継続(BCP)計画、住民の生命や生活を維持できる生活維持計画(LCP)の整備が必要性とされている。これから、計画し建設される公共建築や公共施設においては、それらへの対策が強く求められている。特に建物周辺の水環境や建物内の給排水衛生設備は、生命維持や衛生性の確保等の観点から、優先的に検討されるべき要素であり、震災時への備えという観点からその具体的な方策が求められている。このような状況を踏まえ、公共建築、公共施設における水環境や給排水衛生設備の計画・設計について、以下の問いに答えなさい。

(1)事業継続計画、避難住民の生活維持計画への備えという観点から指摘できる建物及びその周辺の水環境や建物の給排水衛生設備の課題点を2つ以上述べなさい。

(2)(1)で述べた課題点を解決するための基本方針を2つ以上述べなさい。

(3)あなたが示した基本方針のもと、それを解決するための実現可能な要素技術を2つ以上提案し、それらの概要、計画方法、期待されるメリットとデメリットについて述べなさい。

 


模範解答1

(1)建物及びその周辺の水環境や建物内給排水衛生設備の課題点について

1.課題点@:トイレ環境の確保

1)課題点の内容

震災時、排水の放流先が確保出来なく事が想定される為、汚水を浄化処理して再度洗浄水として循環利用するシステムが必要となる。

2.課題点A.飲料水の確保

1)課題点の内容

震災により、長期にわたる避難生活を余儀なくされる場合を想定し、周辺の水環境から、水処理を行い飲料水として確保できる造水システムが必要である。

(2)(1)の課題点を解決するための基本方針

1)課題点@の基本方針

 浄化槽等の後処理装置に3次〜5次での多段槽による浄化処理機能を組み合わせる事で、クリーンな水質(BOD5ppm以下)が確保でき、トイレ洗浄水として再利用する。

2)課題点Aの基本方針

 地下水・雨水・海水といった水源から、UF膜(限外ろ過膜)を使用した水処理設備を配置して、ウィルス、一般細菌、大腸菌をはじめ各種SS成分を除去し、飲料水を造水する。

(3)(2)の基本方針のもと解決するための実現可能な要素技術

(3)−1.課題点@の基本方針を解決する要素技術

1)要素技術

汚水再利用による無法流システム装置技術

2)要素技術の概要、計画方法、期待されるメリットとデメリット

イ)概要

 トイレから放流される汚水を、多段階的な生物処理槽による浄化過程を経て、再度トイレ洗浄水として再利用する。

ロ)計画方法

@従来の合併処理浄化槽による処理機能に、接触ろ材としてかき殻を使用した生物処理(嫌気性・好気性質)機能を組み合わせ、更に高度ばっ気室で浄化する。

A着色物質や臭いなどを吸着する為、活性炭による吸着装置過程を経て、送水用ポンプによってトイレ洗浄水として循環利用させる。

ハ)期待されるメリット

@浄化経路過程において、各段槽で浄化能力の高いかき殻によるろ材を接触させる浄化水路とする事で、循環水として良質な水質が得られる。

A処理水は放流せず再利用するので生活環境や自然環境の汚染が守られる。

二)デメリット

@多段槽での処理過程となる為、広い施設スペースが必要となる。

Aエアーポンプ機器などのランニングコストがかかる。

(3)−2.課題点Aの基本方針を解決する要素技術

1)要素技術

 膜処理による無菌水精製技術

2)要素技術の概要、計画方法、期待されるメリットとデメリット

イ)概要

周辺の水環境からの原水をUF膜モジュールに通水させる事で良質かつ無菌の飲料水を造水する。

ロ)計画方法

@原水を原水槽で貯留し、膜ろ過ポンプにより、原水中に含まれる不純物などを自動洗浄式ストレーナーで除去する。

A低圧でUF膜モジュールに通水させ、除菌及び精密ろ過処理する。

B処理水を浄水タンクなどに貯留し、蛇口などを設け飲料水として利用する。

ハ)期待されるメリット

@施設を小型化に集約できる。

A操作がし易く、災害時に素早く対応できる。

B自家発電機や大型貯水タンク等を付設する事で、停電時などに長時間稼動させる事が可能となる。

二)デメリット

原水水質の悪化など大きな変動があった場合、膜が微細の為、目詰まりし易く、浄水処理性能が低下する。

 


解説

 


模範解答2

(1)BCP、LCPの観点から指摘できる建物・周辺水環境・建物給排水の課題点2つ

1)市庁舎

  親水広場の水有効利用

  震災時の給水・排水確保

  業務継続(震災後の各種対応)

2)学校

  プールの水有効利用

  震災時の給水・排水確保

  避難場所としてLCP対策

(2)基本方針

1)震災直後の給排水確保

2)早急な給排水復旧

(3)実現可能な要素技術

1-1)非常用浄水装置

  概要:親水広場やプールの水を浄化して緊急飲料水として使う

  計画方法:可搬式の浄水装置、およびバッテリーを常備する

  メリット:上水道が破断しても飲料水を確保可能

  デメリット:上水道と比較すると水量が限定的

1-2)継続排水

概要:下水道本管が途絶した際に、一定期間、排水可能にする

  計画方法:下水ピットを2層に分け、非常時に開放し、また外部排水管にはマンホールトイレを設置可能にする

  メリット:下水道本管が途絶しても衛生的に(仮設含め)トイレを使用できる

  デメリット:排水期間が限定的

2 )給排水管の耐震施工

  概要:建物基礎貫通する配管を途絶しても復旧を容易にする

  計画方法:基礎貫通部分の配管をフレキシブル接続し、建物内部と外部を縁切り、地震の影響を軽減する

  メリット:配管破断時に復旧が容易

  デメリット:フレキシブル接続はコストアップとなる