H28年 建設部門・鉄道 U-1-1問題 模範解答と解説 (踏切事故)

問題文

踏切事故の現状と課題を簡潔に述べるとともに、事故防止のための方策3つ挙げ、その内容を述べよ。

 


模範解答

(1)踏切事故の現状
  我が国の鉄道運転事故の4割は踏切事故であり、その原因は直前横断、落輪・停滞が半数を占めている。これらを根絶するためには踏切の統廃合や立体交差化が効果的であるが、時間と費用がかかることから下記の課題に取組むことが必要である。

(2)踏切事故の課題
@列車接近警報装置と横断遮断装置の完備
A踏切道の通行円滑化
B踏切支障検知による列車運転士への停止信号現示
(3)事故防止の方策
@踏切横断者への警報・遮断装置増強

 「警報機」と「遮断機」を完備した1種踏切への改良や、警報灯を全方向から視認できる全方位灯へ交換する。
A踏切道の通行円滑化

 自動車の対面通行や歩行車との接触回避するため、踏切道の拡幅や歩車分離を行う。

踏切内での通行車両停滞防止のため、トラマーク等カラー舗装による注意喚起や、踏切信号設置等踏切前後の交通規制を見直す。
B列車運転士への停止信号現示

 踏切内の支障物を検知して停止信号を現示する「支障物検知装置」の設置や踏切内支障物を発見した者が運転士に停止信号を現示する「非常停止ボタン」を設置する。

H28年 建設部門・鉄道 U-1-2問題 模範解答と解説 (鉄道高架橋構造物の耐震対策)

問題文

 鉄道高架橋構造物において、大規模地震時に安全性に影響を与える構造物の損傷について、発生箇所を2つ挙げ簡潔に述べよ。また、それぞれの箇所における耐震対策について述べよ。

 


模範解答

(1)柱の損傷
@柱の損傷原因 地震動により柱の上部と下部が水平変位することで、せん断力が発生し、柱の中腹部にひび割れが入り、最終的には柱が折損し、高架橋が倒壊する。
A柱の耐震対策 柱の破壊形態はせん断破壊と曲げ破壊に大別できるが、せん断破壊は脆性的な破壊なため、復旧に費用と時間を要するため、長期不通となる可能性が高い。復旧が比較的容易な曲げ破壊先行型に移行するように柱の鋼板巻き補強等によりせん断耐力を向上する。
(2)支承の損傷
@支承の損傷原因 地震による地盤の揺れが構造物の下部工へ伝播し、下部工と上部工の唯一の接続点である支承部を介して上部工へ振動が伝播する。その際に支承部は地震による水平方向の荷重を受けるため、支承部に集中的に移動回転力が繰り返し発生し、破壊に至る。
A支承部の耐震対策 支承はじん性が高いゴム支承へ交換し、水平方向の変位に追従し、変形性能に優れた支承とする。
 また支承を固定しているアンカーボルトの大径化や高強度化を図り、地震の水平力に対して耐力を向上する。

H28年 建設部門・鉄道 U-2-2問題 模範解答と解説 (鉄道の速度向上のための技術的方策)

問題文

U-2-2 鉄道の速度向上のための技術的方策について、以下の問に答えよ。

(1)走行速度向上にあたり、地上設備(線路・構造物等)に関係して検討すべき項目を3つ挙げ簡潔に述べよ。

(2)上記(1)で挙げた項目のうち1項目について、具体的な検討内容と対策が必要となった場合の具体的な方法を述べよ。

(3)上記(2)の検討及び対策を実施するに当たっての、具体的な留意点を述べよ。

 


模範解答

(1)検討すべき項目
@分岐器の損傷防止
 車輪の衝撃や振動の増加により損傷しないようにレールの固定方法を見直す。ポイント部のトングレールが基本レールと密着・接着状態が確保できるようにトングレールの連結棒本数や転換負荷力を検討する。
A軌道部材の強化
 速度向上による輪重・横圧の増加による応力増加に十分な耐力を確保できるよう高強度化等検討する。
B均衡カント量の調整
 曲線通過速度の向上により増加する遠心力を緩和するためカント拡大する。最大カント量を上回り、かつカント不足量が上限を超える場合は車両側で車体傾斜システムの導入を検討する。
(2)具体的な検討内容と具体的な対策
1,Aに対する具体的な検討内容
 輪重又は横圧の過度な変動、左右レールの輪重比の不均等、脱線係数の増加を事前に動的解析等により予測し、下記のような対策を検討する。
2,具体的な対策 
ア,輪重の抑制
 ロングレール化、ノーズ可動クロッシングや弾性分岐への交換などレール欠線部の削減、かけ継ぎ目への変更、構造物へ逆キャンバーを取り付けて、たわみを抑制するなど輪重変動を最小限に抑制する。
イ,横圧の抑制
 20m弦や40m弦等長波長軌道整備を行い、軌道の通り狂い、軌間狂い、平面性狂い等を最小化し、車輪フランジのレール接触を抑制する。またカント拡大や緩和曲線の延長により曲線部における遠心力を和らげる。
ウ,軌道部材の強化
 60sレールへの交換や枕木本数の増加、PC枕木化など重軌条化し、レールの強度を向上させる。
(3)対策実施にあたっての留意点
ア,輪重の抑制
 ロングレールの始終端付近は十分なふく進抵抗力のある締結装置を使用する。ロングレール内曲線部は張り出し防止のために座屈防止板を道床内に埋め込む。
イ,横圧の抑制
 軌道狂いの検出精度向上のため、車上で光学的計測が一般的であるが、その場合は車上で地上位置を精度良く測定し、軌道整正位置と整正量を合致させることが重要となる。
ウ,軌道部材の強化
 レールレベル扛上に伴い建築限界も扛上するが、それにより線路諸票や停車場設備などに支障物が発生しないか検討し、支障物は予め移設する。また、ホーム高さに対して乗降口が5p以上高くならないようレールレベルが変わらないようフローティングスラブ等へ変更する。

H28年 建設部門・鉄道 V-2問題 模範解答と解説 (鉄道営業線近接工事による輸送障害対策)

問題文

V-2鉄道の安全安定輸送に対する社会的要求が高まる状況を踏まえ、鉄道営業線に近接した工事や保守作業に伴う事故や輸送障害を防止する対策について、以下の問に答えよ。

(1)鉄道営業線に近接した工事や保守作業において、事故や輸送障害が発生する要因を多面的に述べよ。

(2)上記(1)で述べた要因から、あなたが重要と考えるものを2つ挙げ、それぞれについて理由を述べよ。また、あなたが重要と考えた要因に起因する事故や輸送障害を防止するために具体的な対策をそれぞれ述べよ。

(3)上記(2)で述べ対策を実施するにあたり、考慮すべき留意点をそれぞれ述べよ。

 


模範解答

(1)事故や輸送障害が発生する原因
@掘削による路盤の不安定化による軌道変位
 掘削工事を行う場合に土圧が変化して路盤が沈下または隆起し、軌道狂いが発生して列車の走行安全性を失う。
A仮設物等の変形や転倒による建築限界支障
 仮設物が強風や作業時の想定外の荷重作用により変形または転倒し、建築限界に支障する。
B資材の電車線等への接近による感電地絡や信号停止
 作業員が長尺物を取り扱った際に電車線に接近して感電地絡し、停電に至る場合や、仮設物等が短絡を招き信号故障による列車走行を妨げる。
(2)事故や輸送障害の防止
@―1掘削による路盤不安定化
理由:列車の走行安全性に直接影響し、復旧に時間を要するため列車抑止が長時間に及ぶ可能性が大きく、多くの旅客の移動を妨げるため。
対策:仮土留め設置
 開放掘削の場合は鋼矢板等による土留めとし、掘削範囲を完全に締め切り、土圧が解放されることがない状態で掘削作業を行う。場所打ち杭の場合は一定の粘性を確保した安定液による孔壁保護を行う。またはケーシングを使用するなど土圧変化を抑制する。
A―1仮設物等の建築限界支障
理由:車両へ接触又は衝撃を与え、旅客が負傷する恐れがあり、最悪の場合は脱線も考えられるため。
対策1:仮設物の転倒防止
 仮設物は必要に応じて設置面に敷鉄板や地盤改良を行い、安定した地盤上に仮設する。また強固で安定した物体と一定数以上の壁つなぎを設けて固定する。
 強風注意報発令時は仮設物等に作用する風荷重を軽減させるために養生シート一時撤去など仮設物の一部撤去を行う。
対策2:仮設物の変形防止
 仮設物等への積載重量を制限する。資材の最大積載重量に十分耐力のある仮設物の設計を行い、仮設物に最大積載重量を掲示するなど作業員に周知する。
(3)対策を実施するにあたっての留意点
@―2掘削による路盤不安定化対策の留意点
ア,施工方法
 土留施工は道床横抵抗力確保のため、枕木端から500o以上離れた位置に設置する。土留め工の設計は原則として弾塑性法による設計を基本とし、施工は変位発生時に復旧時間を確保しやすい夜間の作業時時間帯に作業する。また変状予知ができるように段階的に施工する。
イ,安定液の水位
 安定液は孔壁に作用する主働土圧に十分抵抗するため周辺地盤より2m高い水頭を確保する。
ウ,変位観測
 軌道へ変位計を取り付けた上で、仮土留めへも傾斜計や沈下計を取り付けて軌道への影響有無を早期に検知できるよう常時監視する。
A―2仮設物等の建築限界支障対策の留意点
ア,列車風圧や列車振動対策
 仮設物の組立て・撤去時は仮設物や作業員の体勢が不安定になりやすいので列車見張員を配置して列車通過時は作業中断する間合い作業とすることや夜間の作業時間帯に行う。また、列車風圧や振動を連続的に受けることから緩みにくい楔式足場等を使用する。
イ,強風対策
 仮設組立・撤去が複数日に跨る場合は支持・固定状態が中途半端となり弱点とならぬように考慮して作業を終えるように計画する。
 必要に応じて局所的気象予測を活用し、強風予測があった際は足場板や養生シートを迅速に撤去できるように脱着式の足場板やカーテン式の養生シート設置など仮設構造を工夫しておく。

ウ,地盤安定化
 地盤改良の際は空練りモルタル等を表土と混合させることでソイルセメンント化により経済的に置換する。