H29年 建設・鋼構造コン U-1-1 模範解答と解説

問題

Aグループ … 鋼構造

II−1−1

次に示す高性能鋼から2つを選び,それぞれの特徴や利点を示し,鋼構造物における使用上の留意点について述べよ。(選択した鋼材を明記すること。)

(1)   橋梁用高降伏点鋼(SBHS) 

(2)   建築構造用圧延鋼材(SN)

(3)   建築構造用高強度鋼材(SA)

(4)   耐候性鋼

(5)   ステンレス鋼 

(6)   耐火鋼

(7)   超高カボルト

(8)   クラッド鋼

 


模範解答1  簡易答案形式1 添削回数4 専門とする事項 鋼橋設計 

 


 

1.橋梁用高降伏点鋼(SBHS)

(1)特徴や利点

@高強度(500N/mm2)→長支間の主桁板厚低減→コスト縮減

A従来の高強度鋼材の溶接効率(SM570:予熱必要、入熱量7kJ/mm)と比較し、効率が良い(予熱不要、入熱量10kJ/o)ため、制作日数縮減

(2)使用上の留意点

 @高強度だから板厚低減可だが、たわみ増加→固有振動数減少→風による発散振動の発現風速が低下し構造物崩壊の危険→減衰付加や風の制御

2.耐候性鋼材

(1)特徴や利点

@鋼材に添加したP,Cu,Cr等の合金元素で生ずる非晶質層(保護被膜)と外層さびの2層構造で保護性さびを形成し腐食速度を低下→塗装不要で維持コスト縮減

(2)使用上の留意点

 @飛来塩分量が0.05mdd未満の地域でも、地形により局部的に塩分が滞留し腐食が生じる場合あり→部分塗装区間を設ける

A層状さびは、鋼材に食い込むため、補修時において完全除去が困難→ブラスト前に電動工具でさび除去

 

 


模範解答1  簡易答案形式2 添削回数2 専門とする事項 鋼橋設計

 

 

 


(1) 橋梁用高降伏点鋼(SBHS)

(1)特徴や利点

@高強度(500N/mm2でSM570の1.1倍)だから、長支間の主桁板厚低減→コスト縮減が可能。

A従来の高強度鋼材の溶接効率(SM570:予熱必要、入熱量7kJ/mm)と比較し、効率が良い(予熱不要、入熱量10kJ/o)ため、制作日数の縮減が可能。

(2)使用上の留意点

 @高強度だから板厚低減が可能だが、部材剛性低下でたわみ増加→固有振動数減少。よって、風による発散振動の発現風速が低下し構造物崩壊の危険→減衰付加や風の制御が必要。

2.耐候性鋼材

(1)特徴や利点

@鋼材に添加したP,Cu,Cr等の合金元素で生ずる非晶質層(保護被膜)と外層さびの2層構造で保護性さびを形成し、腐食速度を低下→塗装不要で維持コスト縮減

(2)使用上の留意点

 @飛来塩分量が0.05mdd未満の地域でも、地形や構造により局部的に塩分が滞留し腐食が生じる場合あり→塩分滞留部から通気性が良い位置までの全部材への塗装を実施(質問:桁端部塗装と言書けば、意味が通じますが、汎用性を考えると×でしょうか?それとも例として桁端部塗装を挙げるのはいかがでしょうか?)。

A塗装による補修時において、ケレン後の戻りさびが一般鋼材より早く生ずる。→ケレン後3時間以内(一般鋼材4時間以内)に下塗りを実施。

 

 

 


模範解答1  答案形式  添削回数1 専門とする事項 鋼橋設計


1.橋梁用高降伏点鋼(SBHS)

(1)特徴や利点

@高強度(500N/o2でSM570の1.1倍)であるため、長支間の主桁板厚の低減やコストの縮減が可能である。

A従来のSM570の溶接効率(予熱必要、入熱量7kJ/mm)と比較し、効率が向上しているため(予熱不要、入熱量10 kJ /o)、制作日数の縮減が可能である。

(2)使用上の留意点

板厚の低減に伴い、部材剛性低下とたわみの増加が生じ固有振動数が減少する。このため、風による発散振動の発現風速が低下し構造物が崩壊する危険が生ずることから、減衰付加や風の制御が必要である。

2.耐候性鋼材

(1)特徴や利点

鋼材に添加したP,Cu,Cr等の合金元素で生ずる非晶質層(保護被膜)と外層さびの2層構造で保護性さびを形成し、腐食速度を低下できる。このため、塗装が不要となり、維持コストの縮減が可能である。

(2)使用上の留意点

@飛来塩分量が0.05mdd未満の地域でも、地形や構造により局部的に塩分が滞留しやすい部位は塗装が必要である。

A再塗装による補修時において、ケレン後の戻りさびが早く生じるため、一般鋼材より早く下塗りを行う。

 

 

 



 

 

H29年 建設・鋼構造コン U-1-3 模範解答と解説

問題

Aグループ … 鋼構造

II−1−3

構造物の性能照査型設計法(性能設計)について概説するとともに、鋼構造物の設計に適用する場合の要求性能を2つ挙げ、それぞれの照査項目について述べよ。


模範解答1  簡易答案形式1 添削回数4 完成日2018/2/13 専門とする事項 鋼橋設計 

 


 

1.性能照査型設計法の概説

@構造物が要求性能を満足→どのような形式、材料、解析を用いても良い設計方法。

AH29に改定した道示では、性能照査型設計法を導入→照査フォーマットは信頼性理論L1に当る部分係数法(限界状態設計法)を採用

B統計+信頼性理論で定めた部分係数使用→状況・要求性能に応じた合理的設計可

2.要求性能と照査項目

(1)耐荷性

@永続・変動作用支配状況に対する断面照査

死・活荷重等による応答値が、所定の限界状態を超えないことを確認。

A偶発作用支配状況に対する断面照査

L2地震動等による応答値が、所定の限界状態を超えないことを確認

(2)耐久性

@防食方法の照査

架橋地域の腐食環境、部位、維持管理性、LCCを考慮して決定した防食方法の耐久期間が設計耐久期間以上であることを確認。

A疲労照査

 活荷重の繰り返しにより生ずる溶接継手部の疲労損傷に対し、応力の打ち切り限界や変動振幅応力の照査により安全性を確認。


技術メモ

 

●耐荷性能とは?

設計状況に対して橋としての荷重を支持する能力の観点および橋の構造安全性の観点から、橋の状態が想定される区分にあることを所有の信頼性で実現する性能

●道示での照査項目

@耐荷性能1,2を満足する橋は3.3に規定する永続作用支配状況および変動作用支配状況においてその状態が橋の限界状態1及び3を超えないことを設計状況と原価状態の各組み合わせにおいて所要の信頼性を有して満足することを照査する

A耐荷性能1,2を満足する橋は3.3に規定する偶発作用支配状況おいてその状態が橋の限界状態3を超えないこと信頼性を有して満足することを照査する

B耐荷性能2を満足する橋は3.3に規定する偶発作用支配状況おいてその状態が橋の限界状態2を超えないこと信頼性を有して満足することを照査する。

 

●耐久性能とは?

材料の経年的な劣化が耐荷性能に影響を及ぼさない状態を、所要の信頼性で実現する性能

 


 

模範解答1  簡易答案形式2 添削回数1 完成日2018/2/17 専門とする事項 鋼橋設計 

 


 

1.性能照査型設計法の概説

@構造物が要求性能を満足→どのような形式・材料・解析・工法を用いても良い設計方法。

AH29に改定した道路橋示方書では、性能照査型設計法を導入→照査フォーマットは信頼性理論L1に当る部分係数法(限界状態設計法)を採用

B荷重組み合わせの同時発生確率・シュミレーション・損傷事例で設定した部分係数の使用+限界状態の明確化によって、橋の状況・状態・要求性能に応じた合理的な設計が可能

2.要求性能と照査項目

(1)耐荷性

@永続・変動作用支配状況に対する照査

耐荷性能1・2を満足する橋において、死・活荷重等の組み合わせで生ずる応答値が、限界状態1・3で設定される制限値を超えないことを確認。例)曲げモーメントに対する鈑桁断面照査

A偶発作用支配状況に対する照査

耐荷性能1・2を満足する橋において、L2地震動等で生ずる応答値が、限界状態2・3で設定される抵抗値を超えないこと超えないことを確認。例)L2水平力に対するトラス横構の照査

(2)耐久性

@防食方法の照査

架橋地域の腐食環境、部位、維持管理性、LCCを考慮して決定した防食方法の耐久期間が設計耐久期間以上であることを確認。

A疲労照査

 設計耐久期間中の活荷重の繰り返しにより生ずる溶接継手部の疲労損傷に対し、応力の打ち切り限界や累積損傷度による照査で安全性を確認。

 


模範解答1  答案形式   添削回数2  完成日2018/2/19 専門とする事項 鋼橋設計 


1. 性能照査型設計法の概説

@設定した構造物の要求性能を満足するように構造計画・詳細の設定を行い、設計耐用期間を通じて要求性能が満足していることを照査する設計法である。

性能照査型設計法の定義である「性能を満足すれば、どんな材料・解析法を用いても良い」は、過激すぎるので削除し、設計法の内容について述べるようにしました。いかがでしょうか?

AH29道示の改定では、性能照査型設計を導入し、照査フォーマットは信頼性理論L1に当る、部分係数法(限界状態設計法)としている。

B荷重組合せの同時発生確率・シュミレーション等で設定した部分係数と限界状態の明確化によって、橋の状況・要求性能に応じた合理的な設計が可能である。

2.要求性能と照査項目

(1)耐荷性(耐荷性能1・2)

@永続・変動作用支配状況に対する照査:死・活荷重等の組合せで生ずる応答値が、限界状態1・3で設定される制限値を超えないことを確認する。

A偶発作用支配状況に対する照査:L2地震動等で生ずる応答値が、限界状態2・3で設定される抵抗値を超えないことを確認する。

(2)耐久性

@防食方法の照査:架橋地域の腐食環境、部位、維持管理性、LCCを考慮して決定した防食方法の耐久期間が設計耐久期間以上であることを確認する。

A疲労照査:設計耐久期間中の活荷重の繰り返しにより生ずる溶接継手部の疲労損傷に対し、応力の打ち切り限界や累積損傷度による照査で安全性を確認する。



 

 

H29年 建設・鋼構造コン U-1-6 模範解答と解説

問題

コンクリート構造物又はコンクリート部材に短繊維を使用することによって得られる効果を2つ説明せよ。また、どちらか1つの効果について、その効果を得るために使用される短繊維の種類と特徴、並びにその短繊維を用いた繊維補強コンクリートの製造上の留意点を述べよ。


模範解答  専門とする事項 構造物維持管理 

1.短繊維補強コンクリートの効果

短繊維補強コンクリートに用いられる繊維には、鋼繊維、ガラス、炭素、セラミック、アラミド、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレン繊維等があり、ここでは以下の2つ挙げる。

@鋼繊維を混入した場合は、ひび割れ抵抗、引張、曲げ強度、じん性、耐衝撃性等が向上する。

Aポリプロピレン繊維を混入した場合は、剥落に対する抵抗性や爆裂を防止する効果が得られる。

2.鋼繊維コンクリートの特徴

以下に特徴を列記する。

@鋼繊維コンクリートは合成繊維と比較して力学的補強効果が高くなる

Aひび割れが生じた後も相当な耐力を保持し漸次破壊に至るため脆性が大幅に改善する

Bタフネスが向上する。

C鋼繊維のため錆びる。

D繊維の寸法や表面形状の加工が困難。

3.鋼繊維補強コンクリートの製造上の留意点

 所定の品質を付与するために繊維を均一に分散させる必要がある。このため、分散投入装置等を使用しミキサ内に投入する。鋼繊維混入率が大きい場合は、練り混ぜ抵抗が高く通常のミキサでは均一に練り混ぜること困難となる。これには強制練りミキサを用いる。練り混ぜ時間は、使用するミキサにより異なるため、試験によって確認し決定する。


H29年 建設・鋼構造コン U-1-7 模範解答と解説

問題

コンクリートのワーカビリティーの向上を目的に、スランプを設計図書に示される値よりも大きくする場合(ただし、スランプで管理する範囲とする。)を想定し、コンクリートの配合設計と製造・施工の観点から、それぞれの留意点について説明せよ。


模範解答

 

ワーカビリティーの改善を目的にスランプを増大させる混和材として高性能AE減水剤と流動化剤を使用した場合の留意点を概説する。

1.高性能AE減水剤の使用上の留意点

夏季の温度が高い場合、運搬時間が長くなる場合は、スランプ保持機能が低下する。この結果、所定のコンシステンシーが得られず、コンクリートの充填不良などの問題が発生する。これを防止するために、遅延型高性能AE減水剤を使用する。単位セメント量の下限値は粗骨材最大寸法が20または25oを対象に原則として270kg/m3に設定する。この値を下回るとワーカビリティーやスランプ保持機能が低下する。

遅延型を使用する際は、仕上げのタイミングが標準型よりも長くなるため、試験施工により仕上げのタイミングを確認し、打設計画に反映する。

b)製造・施工

夏季の温度が高い場合、運搬時間が長くなる場合は、スランプ保持機能が低下する。この結果、所定のコンシステンシーが得られず、コンクリートの充填不良などの問題が発生する。これを防止するために、遅延型高性能AE減水剤を使用する。

遅延型を使用する際は、仕上げのタイミングが標準型よりも長くなるため、試験施工により仕上げのタイミングを確認し、打設計画に反映する。

2.流動化コンクリートの使用上の留意点

 a)配合

流動化コンクリートの強度、耐久性、水密性ならびにひび割れ抵抗性等の品質は、流動化の添加量がある一定の範囲では、ベースコンクリートの品質とほぼ同等であるので、ベースコンクリートの配合を所要のものとすることが重要である。このため、ベースコンクリートは、AEコンクリートとし、その配合および流動化剤の添加量は、所要の性能が得られることを試験施工により確認し配合決定する。

b)製造・施工

スランプの増大量は流動化剤の添加量に応じて大きくなるが、あまり大きくしすぎると材料分離が生じる。よって、添加量に留意する。これには例えばスランプの増大量を5〜8cm以内とし材料分離を防止する。



模範解答2  簡易答案形式1  添削回数4  完成日2018/4/20 専門とする事項 維持管理 


1.配(調)合設計の留意点

1)スランプを大きくするとモルタル分の流動性が増すため、粗骨材が分離しやすい。水セメント比を5%大きくした場合には、細骨材率を1%大きくし材料分離を防ぐ。

2)AE材を添加すると細孔が増え密度が低下するため、強度が低下する。強度低下を防止するため、AE材を6%以下とする。

3)混和材を増すとアルカリ総量が増えASRのひび割れが発生し耐久性が低下する場合がある。ASRの発生を防止するため、無害骨材を使用するかアルカリ総量を2kg以下とする。

2.製造・施工上の留意点

1)コンクリート内の細孔が増えると水分が浸入し凍害を起こす。凍結耐久性の低下を防ぐため、コンクリート内の細孔を少なくする。練混ぜ時間を縮小し、エントラップエアーの混入率を3%以下にする。

2)モルタル分が粗骨材から分離しないようにバイブレータ―稼働時間を縮小する。具体的にはコンクリート表面の艶が出たら作業をやめる。



H29年 建設・鋼構造コン U-2-1 模範解答と解説

問題

Aグループ … 鋼構造

II−2−1

 近年、安全・安心に対する関心が高まっており、将来、南海トラフ巨大地震や首都直下地震等の発生が危惧されている。このような大地震が発生し、被害を受けた鋼構造物について、あなたが補修設計の担当者として業務を進めるに当り、以下の問いに答えよ。

(1)補修を行う鋼構造物の損傷状態を2つ想定し、それぞれに有効な補修方法(補強を含む)を概説し、適用上の留意点について述べよ。

(2)(1)で挙げた補修方法のうち1つ選び、その設計業務を進める手順について概説せよ。

(3)(2)で述べた補修設計を進めるにあたって、重要と思われる事項について述べよ。 


模範解答1  簡易答案形式1完成日 2018.02.13  添削回数4  専門とする事項 鋼橋設計 


1.損傷状態、補修方法、留意点

1-1.連続鈑桁橋中間支点部におけるBP沓(固定沓)のアンカーの破断

(1)補強方法:L2地震動に対応した支承補強構造を設置

(2)留意点:支承防止構造取付き部の母材が変形→補強部材設置

1-2.鋼トラス橋の下横構の座屈

(1)補強方法:横構交換+ガセット部へダンパー設置で減衰付加→座屈防止

(2)留意点:ダンパーをL2で降伏させるため、L1地震動は弾性域で設計

2.L2地震動に対応した支承補強構造の設計手順

@現地調査結果から損傷原因を推定(旧基準BP沓→Anc耐力不足)

A橋の重要度から耐震性能を設定し、補強方針を検討(Anc耐力不足+耐震性能2→L2地震への補強)

B照査方法を検討(振動挙動が単純→静的照査法)

C反力算出+L2地震動水平力を保耐法又は震度法にて算出→本体設計・上揚力対策

3.設計を進めるにあたっての重要事項

 2.CL2地震動水平力算出について述べる。橋脚に塑性化を考慮しない場合、L2水平力は震度法にて算出。一方、橋脚に塑性化を考慮する場合、L2水平力は橋脚の終局水平耐力を採用。このため、橋脚の耐力増加を図る耐震補強設計実施の有無を橋の重要度と耐震性能から判断→水平力を確定


模範解答1  簡易答案形式2  完成日 2018.02.18  添削回数2  専門とする事項 鋼橋設計


(1)損傷状態、補修方法、留意点

1)連続鈑桁橋中間支点部におけるBP沓(固定)のアンカー破断

@補強方法:L2地震動に対応可能な支承補強構造(鋼材+ANC)を主桁L.FLGに設置→BP沓を現行のタイプB沓機能へ補強

A留意点:支承防止構造取付き部の主桁L.FLGが局部曲げにより変形→主桁WEBに補強材設置

2)鋼トラス橋の下横構の座屈

@補強方法:横構の交換+GUSS部へのダンパー設置で減衰付加+地震エネルギー吸収→座屈防止

A留意点:ダンパーをL2で機能(降伏)させるため→L1地震動・風荷重は弾性域での設計

(2)L2地震動に対応可能な支承補強構造の設計手順

@現地調査結果から損傷原因を推定

・旧基準のBP沓→ANC耐力不足

・橋座コンクリートがコーン破壊→上揚耐力不足

A橋の重要度で耐震性能を設定し補強方針検討

・本橋は緊急輸送路であるためB種+耐震性能2→L2補強が必要と判断

B照査方法検討

・鈑桁であるため、地震時の振動挙動が複雑でない→静的照査法を採用

C支承反力算出+L2地震動水平力の算出→本体設計

 ・復元設計により支承死荷重反力を算出、

・L2地震動水平力を保耐法又は震度法にて算出+上揚力を震度法にて算出

・L2地震動水平力と上揚力で支承補強構造(鋼材+ANC)を設計+橋座と支承補強構造取付き部の離隔によって生ずる局部曲げを偶力に変換し、補強リブを設計

(3)設計を進めるにあたっての重要事項

 <2.CL2地震動水平力算出について>

・橋脚に塑性化を考慮しない場合→L2地震動水平力は震度法(khc*W)にて算出。

・橋脚に塑性化を考慮する場合→L2地震動水平力は橋脚の終局水平耐力(Pu)を採用。このため、橋脚の耐力増加を図る耐震補強設計実施の有無を橋の重要度と耐震性能から事前に判断→L2地震動水平力を確定

 


模範解答1  答案形式  添削回数1  完成日 2018.02.19   専門とする事項 鋼橋設計


(1)損傷状態、補修方法、留意点

1)連続鈑桁橋中間支点部におけるBP沓(固定)のアンカー破断

@補強工法:L2地震動に対応可能な支承補強構造(鋼材とアンカ-で構成)を主桁L.FLGに設置することで、BP沓を現行のタイプB沓の機能へ補強する。

A留意点:支承防止構造取付き部の主桁L.FLGが局部曲げにより変形するため、補強材を設置する必要がある。

2)鋼トラス橋の下横構の座屈

@補強工法:横構の部材交換に加え、ガセット部へのせん断降伏型ダンパー設置による減衰付加と地震エネルギーの吸収を図り、L2地震動による座屈を防止する。

A留意点:ダンパーをL2地震動で機能(降伏)させるため、L1地震動や風荷重は弾性域で設計する。

(2) L2地震動に対応可能な支承補強構造の設計手順

@現地調査結果から損傷原因を推定

・旧基準の支承形式である場合は、アンカー耐力の不足と判断する。

・橋座コンクリートがコーン破壊している場合は、上揚に対する耐力不足と判断する。

A橋の重要度と耐荷性能により補強方針を検討

・緊急輸送路である場合、重要度はB種と判断する。

・重要度がBである場合、耐荷性能は、地震直後の耐荷力を速やかに確保できる2と判断する。

・以上からL2地震動に対する補強の要否を検討する。

B限界状態の設定

L2地震は偶発作用が支配的な状況であるため、耐荷性能マトリクスにより、限界状態2(部分的な耐荷力の低下が、想定する範囲内で確保できる限界の状態)を設定する。また、限界状態3(耐荷力が完全に失われない限界の状態)も設定する。→L2地震に対する補強であるため、道示に記載している決定事項です。

C構造解析手法の検討

・動的解析が標準であるが、鈑桁等地震時の振動挙動が複雑でない形式の場合は静的解析を採用する。

D復元設計より支承の死荷重反力を算出

EL2地震動水平力の算出

・L2地震動水平力を保耐法又は震度法にて算出する。上揚力は震度法にて算出する。

F本体設計

・L2地震動水平力と上揚力で支承補強構造を設計する。

・橋座と支承補強構造取付き部の離隔によって生ずる局部曲げを偶力に変換し、補強リブを設計する。

・各応答値と制限値は、荷重組合せや限界状態に応じた部分係数を考慮する。

(3)設計を進めるにあたっての重要事項

<2.DL2地震動水平力算出について>

橋脚に塑性化を考慮する場合は、橋脚の終局水平耐力(Pu)を採用する。このため、橋脚の耐力増加を図る耐震補強設計実施の有無を橋の重要度と耐荷性能から事前に判断し、L2地震動水平力を確定する。

 



H29年 建設・鋼コン U-2-3 模範解答と解説

問題

温暖地域の内陸部にある新設コンクリート構造物において、コンクリートの表層品質の確保に関する業務を進める場合、以下の問いに答えよ。

(1)設計及び施工の各段階で表層品質を確保するための方策をそれぞれ1つ挙げ、適用にあたっての留意点を説明せよ。

(2)表層品質を確認するための方法を1つ提案し、その方法の概要と留意点を説明せよ。

(3)当初の目標に対して表層品質が不足した新設構造物を仮定し、コンクリートの中性化による劣化を想定した維持管理計画を立てるに当たり、その手順と留意点を説明せよ。


模範解答  専門とする事項 構造物維持管理 

1.表層品質を確保するための設計及び施工の留意点

(1)設計上の留意点

設計では、過密配筋部は表面欠陥が発生する恐れが高くなるため、過密配筋部は生コンを充填できるように鉄筋径を太くして配筋ピッチを大きくする。これには、構造計算の実施が必要になることに留意する。

(2)施工上の留意点

施工では、かぶり部へ生コンが充填できるように、高性能AE減水剤と流動化剤の使用により、同一強度・単位水量のままスランプを大きくする。留意点:流動化剤使用の際は、流動化時間を確認すべきだ。なぜなら、流動化剤添加後の経過時間に伴うスランプの低下が著しいからである。これを防止するために、試験施工により流動化の効果持続時間を確認し打設計画に反映する。

2. 表層品質の確認方法の概要と留意点

 新設構造物のコアを採取してフェノールフタレイン溶液を噴霧して、中性化深さを測定する。この経過時間と中性化深さの関係より中性化の進行速度を測定する。この結果を、通常のコンクリートと比較して、中性化の進行度合いが通常のコンクリートよりも高いことを確認することにより表層の品質を判断する。ただし、中性化試験値が判明するまで期間を要する。これには炭酸ガス濃度を一般環境下の0.03%から5%に高めた促進中性化試験を実施する。これにより12年経過時の中性化深さを2週間で測定できる

【別解】2.表層品質の確認方法の概要と留意点

(1)確認方法

流水試験は、定量の水をコンクリート壁面に流し、その流水距離により表層の品質を評価しようとする簡便かつ定量的な手法である。原理は、コンクリートの毛細管現象を利用したもので、多孔質なものほど内部への水の浸透量が多くなるため、流水距離が短くなる。この流水距離により表層品質を評価する。例えば流水距離が長くなれば、表層が緻密であり、水が浸透しない分、距離が長くなる。

(2)留意点

流水試験は、その原理上、吹き付けた水が流れる壁、柱、梁などの垂直面にしか適用できない。このため、水平面の品質確認は、定量の水を水平方向に同一水圧で噴射可能なウォーターガンを活用し、水の流れを強制的に作用させ表層品質を比較評価する。

3.中性化を想定した維持管理計画の手順と留意点

(1)次の手順により経済的な維持管理計画を立案する。

@中性化している部位(pH11.0以下)を把握する。

A鉄筋の腐食状態を把握する。

B@の結果から再アルカリか範囲もしくは断面修復範囲を決定する

CAの結果から鉄筋の取替範囲や断面修復範囲を決定する。

(2)留意点

乾燥しやすい場所、南面など中性化しやすい環境下では、補修後の中性化の進行が速い。

これを防止するため、補修後は、表面被覆工法を施し、炭酸ガスの浸入を遮断する。

H29年 建設・鋼構造コン U-2-4 模範解答と解説

問題   U−2−4

 近年の大地震に備えて、コンクリート構造物の耐震補強がすすめられている。今回あなたは、1969年に竣工された設計図と設計計算が無いコンクリート構造物の耐震補強対策業務を行うこととなった。基礎工事は対象外として、下記の内容について記述せよ。

(1)想定したコンクリート構造物、注意すべき部材の破壊形態、目標とする耐震性能と照査方法

(2)構造物の復元方法、復元設計に必要な調査項目

(3)業務を進める手順、業務を提案する補強工法について設計施工上留意すべき事項

 


模範解答1  簡易答案形式1 添削回数2  完成日2018/4/22 専門とする事項 コン維持管理 

 


 

(1)概要

1)構造物:コンクリート橋脚

2)破壊形態:直下型地震によるせん断破壊

3)目標性能:レベル2地震動による損傷が限定的で、機能の回復が速やかに行える性能。

4)照査方法:応答スペクトル法

(2)復元計画

1)復元方法:橋脚の寸法大きさ、コンクリートの設計基準強度、鉄筋の引張強度、付着強度、コンクリート内の鉄筋位置・鉄筋量を確認する。

2)調査項目:コンクリート圧縮試験、シュミットハンマー打撃試験。鉄筋の引張試験。コンクリートはつり、X線検査、目視調査。

(3)補強業務方針

1)補強業務手順

a)橋脚の1次と2次の固有周期(モード)を求める。

b)想定される直下型地震の地震波について、応答スペクトル法により橋脚の1次あるいは2次モードによる最大せん断力を求める。

c)補強工法を比較する。鋼板巻立て補強を行うこととし,段面を仮決めする。

d)復元された橋脚と巻立てコンクリート及び鋼板のせん断耐力を合計し、最大せん断力以上になったら、補強段面を決定する。

2)留意点

a) 地震時に鋼板つなぎ部が損壊するとせん断耐力が大きく失われるので、鋼板ははすべて溶接接着とし鉄板引張強度以上を確保する。

b)せん断破壊に対して橋脚と補強部が分離して損壊しないように、既設コンクリートとの一体性を確保する。そのため、既設コンクリート表面のチッピングによるゆるみを打音検査により確実に除去する。また巻立てコンクリートはその段面厚さが小さく、ジャンカなどの欠陥が発生しやすい。そのため、流動性の高いコンクリートを使用することが望ましい。


模範解答1  簡易答案形式2 添削回数1  完成日2018/5/8 専門とする事項 コン維持管理

 

 

 


 

(1)概要

1)構造物:細長比の大きいコンクリート橋脚

2)破壊形態:段落とし部での曲げ破壊

3)目標性能:レベル2地震動(内陸型)による損傷が限定的で、機能の回復が速やかに行える性能。

4)照査方法:応答スペクトル法

(2)コンクリート橋脚の復元計画

1)復元方法:橋脚の寸法大きさ、コンクリートの設計基準強度、鉄筋の引張強度、付着強度、コンクリート内の鉄筋位置・鉄筋量を測定・確認し、当初図面を復元する。

2)調査項目:コンクリート圧縮試験、シュミットハンマー打撃試験。鉄筋の引張試験。コンクリートはつり、X線検査、目視調査。

(3)補強業務方針

1)補強業務手順

a)補強工法を比較する。鋼板巻立て補強を行うこととし,段面を仮決めする。

b)補強された橋脚の1次と2次の固有周期(モード)を求める。

c)想定される内陸型地震の地震波について、応答スペクトル法により補強された橋脚の1次あるいは2次モードによる橋脚の最大曲げモーメント力を求める。

d)橋脚と鋼板の曲げ耐力を合計し、最大曲げモーメント以上、かつ橋脚の頂部の許容変位量以下になったら、補強段面を決定する。許容変位量は、鉄筋及び鋼板の降伏変位量かつ落橋変位量以下とする。

2)留意点

a)段落とし部が強化されると、フーチング接続部が曲げ破壊で壊れる可能性がある。フーチング部に定着するアンカーによる補強を行う。

b)地震時に鋼板つなぎ部が損壊すると曲げ耐力が大きく失われるので、鋼板はすべて溶接接着とし鋼板引張強度以上を確保する。

c)地震時、橋脚の曲げによる橋脚とフーチングのひずみ変形で、鋼板が衝突座屈しないように、フーチングと鋼板間を5cm程度開ける。



 

H29年 建設・鋼構造コン V-2 模範解答と解説

問題

Aグループ … 鋼構造

II−1−1

次に示す高性能鋼から2つを選び,それぞれの特徴や利点を示し,鋼構造物における使用上の留意点について述べよ。(選択した鋼材を明記すること。)

(1)   橋梁用高降伏点鋼(SBHS) 

(2)   建築構造用圧延鋼材(SN)

(3)   建築構造用高強度鋼材(SA)

(4)   耐候性鋼

(5)   ステンレス鋼 

(6)   耐火鋼

(7)   超高カボルト

(8)   クラッド鋼

 


模範解答1  簡易答案形式1   作成日2018.03.14  添削回数4   専門とする事項 鋼橋設計 

 


(1)問題点、課題

1)  インフラに粘り強い構造を導入

自然災害でインフラの脆性破壊・全体崩壊が生じた場合、住民の避難時間が確保不可で多大な被害。よって従来の耐荷力の増加対策に加え、塑性変形の許容によりインフラに粘り強い構造を導入することが課題。

2)  維持管理のコスト低減

インフラの防災機能を発揮するためには維持管理で部材健全が前提→予算不足の状況下では全施設への長寿命化や予防保全管理が困難。よって、インフラの設置環境や重要度、要求性能に応じた維持管理でコストの低減を図ることが課題

3)  技術者の確保

インフラは災害時の救援活動拠点だから早期復旧が必要だが、技術者不足。よって、産学官が連携した人材育成、残業時間削減や週休二日制導入等による労働環境の改善で技術者を確保することが課題

(2)重要な技術的課題と技術的解決案

課題1)鋼橋上部工への粘り強い構造を導入

提案1)粘り強い構造を導入するため、鋼上部工の塑性化・部分破壊の許容や地震Eの吸収によって、脆性破壊を抑える。具体的には、塑性設計や制震デバイス(ダンパーによる減衰付加)の導入

課題2)鋼橋の維持管理のコスト低減

提案2)コスト低減のため性能照査型設計法の導入で架橋環境、重要度、設計耐久年数に応じた維持管理手法・構造を設定。具体例1防食@凍結防止剤散布路線→高耐久金属溶射やクラッド鋼A残存寿命短→低耐久Ra-V。2点検@長大中橋→センサーで腐食自動探知A小橋→簡易点検。3構造:長支間→合理化少数桁で部材低減

(3)効果・リスク・課題

1)塑性設計について

@効果:脆性破壊・全体崩壊を防止→住民の避難時間を確保→人命を守る。

Aリスク:塑性化後断面の耐荷力が不明状況で住民・車両通行→破断が生ずる危険。

B課題:活荷重に対する塑性断面耐荷力のFEM検証や破壊部材削除モデルでの解析等で積載荷重制限や補強部材設置を判断

2)クラッド鋼の使用について

@効果:構造用圧延鋼材とSUS・チタンを一体化した鋼材のため、高耐食性を有する構造部材として使用可→維持管理コスト低減→部材健全保持→防災機能発揮

Aリスク:桁端部等に部分使用→クラッド鋼と一般鋼材境界部に異種金属接触腐食→断面減少B課題:境界部へのゴム等の絶縁処理対策を検討

別案も考えました。

2)クラッド鋼の使用について

@効果:母材(構造用圧延鋼材)と合せ材(SUS・チタン)を一体化した鋼材のため、高耐食性を有する構造部材として使用可→塗装不要で維持管理コスト低減

Aリスク:長期間の活荷重繰返しで合せ材が剥離→断面急変で母材に応力集中→亀裂→グラッド鋼の剥離に対する疲労照査が確立されていないことからリスクと想定しました。これをリスクとして良いでしょうか。

B課題:合せ材の剥離を踏まえた疲労照査で母材の安全性を検証


模範解答1  簡易答案形式2      作成日2018.03.17  添削回数2   専門とする事項 鋼橋設計


(1)問題点、課題

1)インフラを粘り強い構造とする

自然災害でインフラの脆性破壊・全体崩壊が生じた場合、住民の避難時間の確保が困難となり、多大な被害が生ずる。よって従来の耐荷力増加対策に加え、塑性変形の許容によりインフラを粘り強い構造とする必要がある。

2)維持管理のコスト低減

インフラの防災機能を発揮するためには維持管理で部材が健全であることが前提となる。しかし、予算不足の状況下では全施設への長寿命化や予防保全管理が困難である。よってインフラの周辺環境や重要度、要求性能に応じた維持管理でコストの低減を図る必要がある。

3)技術者の確保

インフラは災害時の救援活動拠点となるため、損傷した場合は早期復旧が必要である。しかし、人口減少や団塊世代の一斉退職により技術者が不足している。よって、産学官が連携した人材育成、残業時間の削減や週休二日制の導入等による労働環境の改善で技術者を確保する必要がある。

(2)重要な技術的課題と技術的解決案

課題1)鋼橋の上部工を粘り強い構造とする

提案1)粘り強い構造とするため、鋼上部工の塑性化・部分破壊の許容や地震Eの吸収により、脆性破壊を抑える。具体的には、塑性設計の導入や制震デバイス(ダンパーで減衰付加)を導入する。

課題2)鋼橋の維持管理のコスト低減

提案2)コスト低減のため、性能照査型設計法の導入により架橋環境、橋の重要度、設計耐久年数に応じた維持管理手法・構造を設定する。例1防食@凍結防止剤散布路線は高耐久の金属溶射やクラッド鋼を採用するA残存寿命短橋は低耐久のRa-Vを採用する。2点検@大中規模橋は腐食や疲労亀裂を自動探知できるセンサーや赤外線カメラを導入するA小規模橋は点検部材を主桁や支承等に限定した簡易点検とする3構造:長支間橋は少数桁等の合理化構造の採用で部材数を低減する。

(3)効果・リスク・課題

1)塑性設計について

@効果:脆性破壊・全体崩壊を防止することで住民の避難時間を確保し、人命を守る。

Aリスク:塑性化後の断面の耐荷力が不明な状況で住民や車両が通行した場合、破断が生ずる。

B課題:FEMによる活荷重に対する塑性断面の耐荷力の照査や塑性化・破壊部材を削除したモデルでの解析により、車両総重量の制限や補強部材の設置を検討する。

2)クラッド鋼の使用について

@効果:母材(構造用圧延鋼材)と合せ材(チタン)を一体化した鋼材であり、高耐食性を有する構造部材として使用するため、維持管理コストを低減できる。また、部材の健全性の保持により耐震性能を発揮できるAリスク:クラッド鋼を桁端部等に部分使用した場合、一般鋼材区間との境界部に異種金属接触腐食が生じ板厚減少に至るB課題:境界部にゴム等の絶縁処理を行う。

 


模範解答1  答案形式   作成日2018.04.6  添削回数6   専門とする事項 鋼橋設計


(1)問題点、課題

1)インフラを粘り強い構造とする

自然災害でインフラの脆性破壊・全体崩壊が生じた場合、人命に危険が及ぶ。このため、従来の耐荷力増加対策に加え、塑性変形の許容によりインフラを粘り強い構造とする必要がある。

2)維持管理のコスト低減

インフラの防災機能を発揮するためには、部材が健全であることが前提となる。しかし、予算不足の状況下では、全施設への維持管理の継続が困難である。このため、インフラの周辺環境や重要度及び要求性能に応じた維持管理によりコストの低減を図る必要がある。

3)技術者の確保

インフラは災害時の救援活動拠点となるため、早期復旧が必要であるが、技術者が不足している。このため、産学官が連携した人材育成、残業時間の削減や週休二日制の導入等で労働環境の改善を図り、技術者を確保する必要がある。

(2)重要な技術的課題と技術的解決案

課題1)鋼橋を粘り強い構造とする

提案1)鋼橋の優れた塑性変形能の活用、部分破壊の許容および地震エネルギーの吸収により、全体崩壊・脆性破壊を抑える。

@塑性設計

FEM弾塑性解析で特定した崩壊時の塑性ヒンジの回転角と全塑性モーメントMpで崩壊荷重を算出し、部材の全体崩壊に対する安全性を照査する。また部材断面は、局部座屈が生じること無くMpに達することができるコンパクト断面を導入する。

A制震設計

犠牲部材である鋼材ダンパーを鋼上部工部材または上下部工間に設置し、鋼材の弾塑性履歴による減衰付加により地震エネルギーを吸収することで、橋体の全体崩壊を防止する。また、免震支承を併用により、優れた復元力を付加した合理的な制震設計とする。  

課題2)鋼橋の維持管理のコスト低減

提案2)性能照査型設計法の導入により、鋼橋の重要度に応じた維持管理手法を設定し、効率的な維持管理予算の配分を行う。また重要度は、路線の社会的重要性に加え、現在の健全性診断結果と将来の劣化シュミレーション予測により算出した残寿命で決定する。

@重要度が高い橋への維持管理

緊急輸送路や残寿命が大きい橋は、防災・社会経済上重要度が高いと判断し、長期間に渡り部材機能の低下を防止する。よって、予算の集中投資によるフルスペックの維持管理を行う。具体的には、ICTを活用した自動点検(センサー等)による損傷の早期発見・補修や長寿命化工法(金属溶射・クラッド鋼等)の導入により高耐久化を図る「予防保全型維持管理」行う。

A重要度が低い橋への維持管理

利用頻度が少なく残寿命が短い橋は、架け替えや撤去までの短期間のみ部材機能の低下防止を図る。よって耐久性が低い工法(Ra-V等)や遠望目視点検等の低予算での維持管理を行う。

 (3)効果・リスク・課題

1)塑性設計

@効果:脆性破壊・全体崩壊を防止することで住民の避難時間を確保し、人命を守ることができる。

Aリスク:地震後の塑性化断面の耐荷力が不足した状況下において、住民や車両が鋼橋を通行した場合、崩壊が生ずる危険がある。また、FEM弾塑性解析は設計負荷(入力やモデル化が複雑)が大きく、解析結果の善悪の判断が困難で設計ミスに気付かない恐れがある。

B課題:活荷重に対する塑性断面の耐荷力照査や塑性化部材削除モデルでの解析でにより、通行荷重の制限を検討する。また、PUSHOVER解析等の大変形を前提とした準静的解析との対比チェックで設計ミスを防止する。

2)重要度に応じた維持管理

@効果:全施設に対するフルスペックの維持管理が不要となり、作業の効率化・省力化を図ることができる。

Aリスク:現在の健全性診断基準は定量的で無いため、診断ミスが生じ残寿命や重要度設定を誤る危険がある。

B課題:構造設計データと損傷データがリンクし、構造機能に対する影響の自動計算・健全性診断ができるシステムにより、診断基準の定量化を図る必要がある。


答案作成上の注意

・解決策とは何か

 例ではなく、概説的、包含的に目指すもの。つまりはこのようなことという論述にする。

・効果とは

 サプライズ、二次的発展的な影響

・リスクについて

 提案の要素についてのリスクではなく、提案全体のリスクを提案する。→限定しない

 唐突にならないように前提条件をあげて論述する。



H29年 建設・鋼コン V-3 模範解答と解説

問題

 近年、建設業界においては、就労者の高齢化や若年入職者の減少等が問題となっている。また、社会資本の大規模更新や震災復興事業が増加しており、生産性向上が求められている。一方、生産性向上と同時に品質確保が重要となる。このような観点から以下の各設問に答えよ。

(1)コンクリート構造物の建設において、建設現場の生産性を向上させるために検討すべき項目を多様な観点から記述せよ。

(2)(1)の検討すべき項目のうち、あなたが重要であると考える技術的課題を1つ挙げ、実現可能な解決策を2つ提示し、それぞれの具体的効果を記述せよ。

(3)(2)で提示した2つの解決策について、構造物の品質確保・向上の観点からメリット・デメリットを記述せよ。


模範解答1  専門とする事項 構造物維持管理 


1.コンクリート構造物の生産性向上の検討項目

(1)全体最適設計を図る

 現地と設計条件の不一致や施工性に配慮されていな設計図面など設計段階での検討不足により手戻りや手間が多く、生産効率が悪い問題がある。そこで、品質や生産性の向上などフロントローディングの考えに基づく、設計段階で評価できる全体最適を図る手法を検討する。

 道路橋の橋脚を対象とするコンクリート構造物と仮定する。現地と設計条件の不一致として、例えば、橋脚基礎を施工するためオープン掘削で設計したが安全勾配をとった結果、現道にかかり、土留工等の仮設が必要となる。施工性に配慮されていない設計図面は、杭基礎、フーチング、柱部の取合部に重ね継ぎ手を設けるなど。現地の制約条件から、部材の形状や寸法を大きくできずに過密配筋状態となった設計に対し、現場で鉄筋組立ができなかったり、鉄筋組立が可能であってもコンクリートが十分に充填できなかったりする。

 設計段階での検討不足の原因は、杭の軸方向鉄筋やフーチングの主鉄筋、橋脚柱部の軸方向鉄筋について、これらの鉄筋交差部にどのような配筋状態になるのかを検討していなかったことによる。以上の結果、設計変更による手戻りや鉄筋輻輳部などの締固めなど多くの手間が生じ、生産効率が悪い問題が発生する。

 これを防止するため、品質や生産性の向上などフロントローディングの考えに基づく、設計段階で評価できる全体最適を図る設計手法を検討する。例えば、鉄筋の輻輳する箇所は通常ならば2D表示で鉄筋干渉の有無が確認できない。これには3Dモデルの活用により、鉄筋干渉の有無や内部振動棒の挿入の可否がわかる。問題があれば、重ね継手部は機械式継手に変更する、鉄筋径を太くし配筋ピッチを広げる。

 現地調査により、設計した内容で施工できるか、維持管理を想定した点検のしやすい構造であるか、事後保全が困難な箇所は、通常よりも高品質高強度のコンクリートの採用や表面被覆工法などの予防保全を最初から設計で盛り込むなどの検討し設計段階で評価できる全体最適を図ることにより手戻りや手間を省き、コンクリート構造物の品質及び生産性向上が実現できる。

(2)サプライチェーンマネジメントの導入

 建設現場は一品受注生産が基本であり、資材発注後の仕様の確認、製造と手順を経る。このため、納品に時間を要することが問題である。そこで、発注情報(規格、数量)の事前発信により関係者間で共有すれば、早期の調達計画や材料調達のミスマッチを解消できる。その結果、待ち時間のロスがなくなり、生産効率が向上する。そこで、調達の効率化を図る手法であるサプライチェーマネジメントの導入を検討する。

 コンクリート構造物は一品受注生産が基本であり、足場設置、鉄筋組み、型枠組立、コンクリート打設と多くの手順を踏む。施工するには、まず、コンクリート工事を受注した建設会社から専門工事会社(鉄筋工、型枠大工等)、建材メーカー・生コン会社、材料メーカーへと発注し、その逆の流れで供給連鎖が発生する。この調達の流れの中でメーカーが仕様を確認、製造と手順を経る。

 例えば、塩害地域のコンクリート構造物に使用されるエポキシ樹脂塗装鉄筋は、加工後、特殊塗装を施すため、製作に時間がかかる。このため納期に時間を要する問題がある。この影響で後作業が進められず、工程に遅れが生じる。この他にも景観箇所に用いる特殊型枠や軽量コンクリートなど特殊材料を使用したコンクリートなども同様である。この解決策として工事発注前の情報でこれらの規格・数量などを発信し、関係者間で情報を共有する。

 例えば、エポキシ樹脂塗装鉄筋の数量や規格が事前に判明していれば、メーカー側は発注を待たずに製作を進められるため、受注業者からの発注を受け、すぐに納品できるようになる。その結果、後作業に待ち時間がなくなり生産性向上が実現できる。また、材料調達を分析すると、メーカー側は、仕様を事前情報で把握できるため、工事受注者側からの発注時の仕様(規格・数量)を誤る材料調達のミスマッチを防止できる。

 さらに、発注スケジュールの事前把握により、これらの早期の調達計画が可能となる。このように、調達の効率化を図る手法がサプライチェーンマネジメントである。

(3)コンクリート工の効率化

 土木現場は一品生産が原則であり、コンクリート構造物も現場ごとに寸法が異なり、鉄筋組立、型枠製作など人手を要する作業が前提となる。このようなコンクリート工事の特性を考慮し、生産性を向上させるには、プレキャスト化の適用や現場打ち作業の効率化を図れる手法を検討する。

2.重要と考える課題と解決策

(1)コンクリート工の効率化

 全体最適を図る設計手法やサプライチェーマネジメントなどのマネジメントによる生産性の効率化ではなく、直接的に生産性を向上できる「コンクリ−ト工の効率化」を最も重要な課題と考え述べる。

(2)プレキャスト化の活用

a)着眼点:従来のコンクリート工は、現場で足場、鉄筋組立、型枠製作、コンクリート打設、養生と多くの手順を要する。このため、これらの作業工程を省略することで生産性が向上することに着目する。

b)具体策及び効果

プレキャストやハーフプレキャスト部材を活用する。これにより、従来工法の作業工程を省略でき、生産性を向上できる。

(3)施工技術の向上

a)着眼点:従来のコンクリート工は、型枠製作、設置・撤去、コンクリート打設では特に過密配筋部のコンクリート締固めに多くの手間がかかる。そこで、この手間を省くことで施工効率が向上することに着目する。

b)具体策及び効果

埋設型枠や高流動コンクリートを採用する。これにより、従来工法の作業手間を省き施工効率を向上できる。

3.解決策のメリット、デメリット

(1)プレキャスト化の活用(解決策1)

a)メリット:以下に列記する。

@屋内施工のため外部環境(凍結、雨、風など)の影響を受けない、整った設備(治具による鉄筋組、鋼製型枠、工場内コンクリートプラントによる生コン投入時期の最適化、豊富な内部振動機による確実な締固め、自動プログラム温度制御による蒸気養生、熟練工による表面コテ仕上げ等)、打設前、製品、出荷前検査による不良品の完全除去、コンクリート試験による品質が保証されたプレキャスト製品のみ納品される。以上により工場製作は高品質化を実現できる。

A機械施工が主体となり作業のスピードアップによる時間短縮が図れる。

B型枠大工や鉄筋工の技能労働者の技術のバラツキによる品質の低下を防止し、安定した品質を確保できる。

b)デメリット:

@地下構造物やトンネルなど水密性が求められる場所では、プレキャスト部材の接合部の止水性能に劣る。

A作業の簡略化により型枠大工・鉄筋工の技術が衰退する。

B運搬上の制約を受ける。

(2)施工技術の向上(解決策2)

a)メリット:以下に列記する。

 埋設型枠により、ジャンカを防止し、工場製作のため表層部の緻密化を図ることができ、安定した品質を確保できる。高流動コンクリートは、自己充填性能によりコンクリート締固め不要で過密配筋内に密実にコンクリートを充填できる。これにより、ジャンカや空洞を防止し確実に品質を確保できる。

b)デメリット

 埋設型枠背面に打ち込まれたコンクリートとの一体性について、温度変化、乾湿繰返し作用、凍結融解作用など、これらの作用に対して長期的に一体化が確保できているかが実証できない。

 高流動コンクリートはコストが高い、採用するには発注者との協議が必要になり時間がかかる。ブリーディングがほとんど生じないため、表面の急激な乾燥に伴うプラスティック収縮ひび割れが発生しやすい。



模範解答2  簡易答案形式1 添削回数1  完成日2018/4/20 専門とする事項 コン維持管理


1.生産性を向上させるために検討すべき項目

1)女性労働者の活用:余剰900万人の女性の労働力参入により生産性向上を図る。2)ICTの活用:スランプ・強度などの管理項目につき、センサーをコンクリート内に設置し自動観測集計すれば、管理作業が縮減できる。

3)現場作業の省力化:労働環境の悪い現場を省力化することで効率化を図る。

2.現場作業の省力化

 日本はモンスーン気候帯にあたり、台風、梅雨、積雪で現場作業日数が少ない。夏季・冬季コンクリート打設は特別な対応を取らざるを得ず、計画的・効率的な現場作業が困難である。

生産性を向上するためには、現場作業をできるだけ省力化することが課題である。

1)プレキャスト製品の採用(解決策1):工場機械で型枠設置や配筋、コンクリート打設・締固めを行い、プレキャスト製品を作る。現場では、機械によるプレキャスト製品の組み立てを行う。

2)高流動コンクリートの活用(解決策2):コンクリート充填作業がたやすくなり、締固作業が不要となる。

3.メリット・デメリット

1)プレキャスト製品の採用(解決策1)

a) メリット:人力に替えて機械で作業するため、作業効率が大幅にアップする。天候中断がなく計画的・効率的に作業ができる。安定した足場で型枠設置や配筋が行えるため、製品の寸法・鉄筋設置精度が向上する。室内空調により温度湿度が一定し、フレッシュ及び硬化中コンクリート品質が安定するため、乾燥ひび割れや初期凍害がなくなり品質が高くなる。機械作業による省人化、空調による温度湿度安定で労働環境改善が図れる。労働環境改善で建設部門への新規及び女性参入者増加が見込める。

b)デメリット:接続部について、公的な構造形式が明示されていないため、プレキャスト製品接合部の長期耐久性の信頼性が保証されていない。

2)高流動コンクリートの活用(解決策2)

a)メリット:熟練工によるコンクリート締固作業が不要である。また過密鉄筋部の充填性が確保され、製品品質が高くなる。

b)デメリット:急激な温度変化で高流動コンクリートの施工性能が変化するため、フレッシュコンクリートの品質確保が難しくなる場合がある。


模範解答2  簡易答案形式1 添削回数6  完成日2018/5/24 専門とする事項 コン維持管理

1.コンクリート生産性向上のための検討項目

(1)現場作業の省力化:ユニット鉄筋をクレーン機械により設置する。あるいは、RCD工法でダンプ積込輸送及び機械振動機でマスコンクリートを大量打設し、日打設量を大幅に向上する。

(2)性能照査設計の採用:設計者は、構造物の使用状況に応じて要求性能レベルをできるだけ小さく設定する。次に限界値の設定値としての最小安全率を選択する。

(3)工事施工の平準化:債務負担による複数年の発注工期を採用し、受注者がその範囲内で任意の工期を決定する。あるいは、日打設量を考慮した構造物設計を行う。例えば、砂防ダムの縦目地間隔を狭め、ブロック割を小さくし日打設量を100m3以下にする。

2.最も重要と考える課題、2つの解決策とその効果

作業条件や労働環境が厳しいため、さらなる現場作業の効率化は困難である。生産性向上のためには、「現場作業の省力化」が課題である。

(1)プレキャスト製品の採用(解決策1)

a) 効果:プレキャスト製品の製作は、工場内の機械施工により作業効率が大幅に向上する。現場では、製品の組立作業のみで効率的に構造物を完成できる。製品製作の効率が大幅に向上する他、工期が3割〜6割縮減するため、現場経費が低減できる

(2)高流動コンクリートの活用(解決策2)

a) 効果:高流動コンクリートを採用すれば、充填を円滑にでき振動・締固め作業を削減できる。特に過密鉄筋箇所への充填性が向上する。

3.メリット、デメリット

(1) プレキャスト製品の採用(解決策1)

a)メリット:工場内の大型振動機により十分な締固エネルギーを与えられ、豆板や未充填が防止できる。また、自動機械の施工により配筋精度が高まる。さらに、工場内のため湿度温度の変動が少ないため、コンクリートフレッシュ性状が一定し施工のばらつきがなくなる。これらにより安定した品質が確保できる。

b) デメリット:製品接合部の水密性の確保が難しい。これに対しては、同種の接合部の劣化損傷の実績を調査し、劣化の時期、進行度を予測することで予防保全を実施、補修費用を最小限とする。

(2) 高流動コンクリートの活用(解決策2)

a)メリット:未充填や豆板等の初期欠陥が防止でき、高い品質確保と耐久性が向上する。従来のコンクリートでは十分充填できないコンクリート充填鋼管工法が可能となり、地震時座屈に強い品質の工法が採用できる。

b) デメリット:天候の変化により気温が変動し、スランプが大きく変化、充填性等が悪化しコンクリート品質が低下する可能性がある。事前に充填性等を満足するスランプフロー目標値から±5cmを超える温度の増減幅を確認し、それ以上気温が変化したら作業を中止する。