H29年 機械・機械設計 U-1-1 模範解答と解説

問題  

 VE (Value Engineering)の定義を述べるとともに,3つの実施手順を具体的に説明せよ。


模範解答(簡易答案形式)  添削履歴 1回目   専門とする事項 製造設備設計


1.VEの定義

 VEとは価値を最大化することを目的とした設計手法である。価値=性能/コストで評価を行う。

2.実施手順

 3つの実施手順を下記に書いて説明する。

@最適設計

 一般的に性能とコストはトレードオフの関係にあるため最適設計を行いバランスを取る必要がある。例えば材料の強度とコストを例に挙げるとCAEを用いて応力解析を行い制約条件の中で材料断面の厚みや形状という設計変数を変えて最適な設計を行う。最適設計の確認にはパレート最適解図を用いて設計した条件の位置が境界線付近にあることを確認する。

Aプロセスの変更

 通常のやり方とプロセスを変えて価値を高める方法で、例えばパソコンの容量の場合は容量を増やそうとするとHDDやメモリを増やさなければならなくコストが増大する。そこでクラウドを利用してHDDの容量を増やさずに使用できる容量を高めることを行い価値を高める。

BQFD

 QFDを行いユーザーニーズを正確にもれなく、定量化できる機能特性に変換することでユーザーニーズの優先順位を定めて優先順位の高い項目に力を入れて開発をする。

H29年 機械・機械設計 U-1-2 模範解答と解説

問題  

 18012100 (JIS B9700)は機械安全設計のためのリスクアセスメント及びリスク低減について述べている。リスク低減に対する,3ステップメソッドの手順を具体的に説明せよ。


模範解答(簡易答案形式)  添削履歴 1回目   専門とする事項 製造設備設計


1.3ステップメソッドの手順

 リスクアセスメントの3ステップメソッドの手順を本質的安全設計、安全防護・機器による安全対策、情報による提示の3つに分けて説明する。

@本質的安全設計

 設計段階で危険原を削減する方法である。例えば、サーボモータを使う製品の場合動作速度を最低限としてモータの容量を下げることである。また薄物フィルムやシートをカットする設備ではカット刃を削減するためにフィルムやシートに予め切れ目を入れてカット刃を無くすということを行う。

A安全防護・機器による安全対策

 危険原と人を切り離すために安全カバーやエリアセンサを用いて隔離する方法である。安全カバーは隙間が空いてしまう場合はJISで決められた安全距離を取る必要があり、安全距離は隙間によって距離が変わる。またエリアセンサを用いる場合は危険原が完全に停止するまでの時間を考慮して危険原までの距離を決める必要がある。

B情報による提示

 どうしてもリスクを削減できないような残留リスクに対しては製品に危険を表すシールを貼ったり、説明書に明記することで設計者の危険に対する考えを使用者に伝える。

H29年 機械・機械設計 U-2-1 模範解答と解説

問題  

 近年,多様なニーズへ応えるために,新しい製品をより短い時間で開発することが求められている。製品開発の責任者として,開発期間の半減を目標とした場合,機械設計の観点から下記の内容について記述せよ。

(1)目標達成のために活用する設計手法を3つ挙げよ。

(2)(1)の事項のうち最も重要なものを取り上げ,開発プロセス内での使い方と開発期間の短縮を含めた期待効果を述べよ。

(3)(2)を進める上で留意すべき事項を述べよ。 


模範解答(簡易答案形式)  添削履歴 1回目   専門とする事項 製造設備設計


1) 活用する設計手法

活用する設計手法を下記に3つ挙げる。

@フロントローディング

 製品全体のコストは規格と設計開発段階で50%以上決まってしまうと言われている。そのために3DCADやCAEを用いてPC上で解析を行い開発設計段階で品質の作りこみをすることが求められる。

Aコンカレントエンジニアリング

 設計完了後の加工や製造の後工程で問題が発生すると設計変更することが難しくなり設計変更時間が多くかかり開発期間が多くかかってしまう。そのため早期に後工程の部門と同時並列的に開発を行い手戻りを削減することが求められる。

Bロバスト設計

 製品品種が多いことや仕向けが多いことから誤差因子による品質のバラつきが多い。誤差因子に影響されない品質バラつきの少ない設計とすることで市場でのトラブルの解析時間を削減することが求められる。

2)―1最も重要な手法

 最も重要な手法にAコンカレントエンジニアリングを挙げる。

2)−2開発プロセスでの使い方

 設計開発段階から設計データを後工程の製造部門や生産技術部門と共有して同時並列的に開発を行う。具体的には製造部門との検討を行うことでネジの種類を揃えて工具を共通化することや、生産技術部門と同時検討することで自動化設備の検討を行う。例えば部品供給を自動化する場合は部品を整列しやすい形状にする等の対応を行う。

2)−3期待効果

 期待効果を下記に2つ述べる。

@手戻りの防止

 後工程部門と同時並列的に開発を取り組むことにより後工程で発生する問題を事前に対応することで手戻りの防止を行うことができる。

A生産設備の同時設計

 生産技術部門と早期に自動化の検討を進めることができるため通常なら自動化できない作業も自動化することができ、自動化の推進が可能となり製造コストを下げることができる。

3) 留意すべき事項

2)―2で挙げた取組に関する留意点をそれぞれ述べる。

@後工程部門の意見を反映し過ぎると製品仕様からはずれる恐れがある。2D図面だとイメージの共有が難しいので3DCADで設計を行い完成イメージを製造部門と共有することが重要である。

A設計が完了する前から設備設計を進めるため製品の設計変更が設備設計へ影響を与える場合がある。PDMやPLMシステムを用いて更新しても効率よく設計データを共有することが重要である。

H29年 機械・機械設計 V-2 模範解答と解説

問題  

 近年、豊富な経験およびノウハウを有する技術者の高齢化が進む一方で、後継者不足や生産拠点の海外移転に伴う人材空洞化等により。我が国のものづくりに関わる高度な研究・開発や設計・製造に関する技術を伝承することが困難になってきている。そこで、先人のノウハウや知識を組織的に継承して技術力を維持・向上する仕組みの構築が求められている。このような社会的状況を考慮して、以下の問いに答えよ。

(1)ものづくりに関わる高度な研究・開発や設計・製造に関する技術を効率的にかつ早期に伝承するために実施されている仕組みや方法を3つ挙げ、それぞれについて特長と問題点を述べよ。

(2)(1)で挙げた技術を伝承するための仕組みや方法の中で、最も効果的と考えるものを1つ選び、その問題点を解決するための提案を示せ。

(3)(2)で挙げた提案がもたらす効果と留意点を具体的に述べよ。

 


模範解答(簡易答案形式)  添削履歴 4回目   専門とする事項 製造設備設計

 (1)−1 仕組みや方法

@業務帯同型マンツーマン教育 A業務手順書の作成 B対話式システムによる技術データベースの構築

(1)−2 特長

@実践的な技術伝承が可能で業務に沿って教育するため即効性がある。

A作業順に記述されているため理解し易く作業抜けを防止できる。

B対話式システムにて簡易的にノウハウのインプットとアウトプットが可能。

(1)−3 問題点

@包括的な技術伝承となるため技術を伝承するためのコスト・期間が多く必要。 

A感性や経験を含む暗黙知は文書化が困難であり正確な技術伝承が難しい。

Bデータベースの量が膨大となるため更新と検索参照に手間がかかる。

(2)−1 最も効果的なもの:業務手順書の作成

理由:手順書作成によりノウハウを文書化することで作業者のスキルに左右されずに業務

   を行えることが可能となるため。

(2)−2 問題解決提案

@文章だけでは分かり辛い暗黙知を含む業務手順を動画や3DCADを用いることで、機構

   や原理を含めて視覚的に理解し開発時の課題や改善項目の抽出を可能とする。

A手順書作成能力の向上。講習会、資格取得、手順書作成スキル大会等を行い技術者

   の文書作成能力を向上させる。

B作成する手順書の種類が多いと作成時間が多くかかる。共通技術の設計標準化・

 モジュール化を行って手順書を共通化して作成する手順書の種類を絞り込む。

(3)−1 効果

@3DCADや動画を使い部品取り付け作業や調整作業の細かい動きを再現して、文書

 のみで伝えることが困難な作業のコツを表現することで理解し易くなる。

A手順書作成能力を向上させ分かり易い手順書を短時間で作成することで、手順書作

   成時間と継承者の理解時間を短縮して、短期間での技術伝承を可能とする。

B共通技術を抽出して汎用化・統合を進めることで伝承する技術を絞り込み短期間

 で技術伝承を可能とする。

(3)−2 留意点(品質を高めるための方策、提案)

@更新し易い手順書とするため、手順書に記載する数値基準の理由(法規、JIS、経験値等)

  を明記し法規変更や新技術の置き換え等が発生時に手順書の見直しを容易にする。

A手順書に失敗体験談を記載して継承者が失敗体験を学ぶ。失敗体験を学ぶことでリス

 クの大きさや重要ポイントの理解を向上させて手順項目の優先度や重要度を学ぶ。

B手順書を問題方式として継承者の理解度を把握する。また問題形式とすることで継承者

 の思考能力を高めて課題設定や未知なるものへの取組む姿勢を向上させる。