技術士二次試験模範解答と解説 H29年、2017年 機械部門、電気電子部門、衛生工学部門

H29年 機械・機械設計 Ⅱ-1-1 模範解答と解説

問題  

 VE (Value Engineering)の定義を述べるとともに,3つの実施手順を具体的に説明せよ。

模範解答(簡易答案形式)  添削履歴 1回目   専門とする事項 製造設備設計

1.VEの定義

 VEとは価値を最大化することを目的とした設計手法である。価値=性能/コストで評価を行う。

2.実施手順

 3つの実施手順を下記に書いて説明する。

①最適設計

 一般的に性能とコストはトレードオフの関係にあるため最適設計を行いバランスを取る必要がある。例えば材料の強度とコストを例に挙げるとCAEを用いて応力解析を行い制約条件の中で材料断面の厚みや形状という設計変数を変えて最適な設計を行う。最適設計の確認にはパレート最適解図を用いて設計した条件の位置が境界線付近にあることを確認する。

②プロセスの変更

 通常のやり方とプロセスを変えて価値を高める方法で、例えばパソコンの容量の場合は容量を増やそうとするとHDDやメモリを増やさなければならなくコストが増大する。そこでクラウドを利用してHDDの容量を増やさずに使用できる容量を高めることを行い価値を高める。

③QFD

 QFDを行いユーザーニーズを正確にもれなく、定量化できる機能特性に変換することでユーザーニーズの優先順位を定めて優先順位の高い項目に力を入れて開発をする。

H29年 機械・機械設計 Ⅱ-1-2 模範解答と解説

問題  

 18012100 (JIS B9700)は機械安全設計のためのリスクアセスメント及びリスク低減について述べている。リスク低減に対する,3ステップメソッドの手順を具体的に説明せよ。

模範解答(簡易答案形式)  添削履歴 1回目   専門とする事項 製造設備設計

1.3ステップメソッドの手順

 リスクアセスメントの3ステップメソッドの手順を本質的安全設計、安全防護・機器による安全対策、情報による提示の3つに分けて説明する。

①本質的安全設計

 設計段階で危険原を削減する方法である。例えば、サーボモータを使う製品の場合動作速度を最低限としてモータの容量を下げることである。また薄物フィルムやシートをカットする設備ではカット刃を削減するためにフィルムやシートに予め切れ目を入れてカット刃を無くすということを行う。

②安全防護・機器による安全対策

 危険原と人を切り離すために安全カバーやエリアセンサを用いて隔離する方法である。安全カバーは隙間が空いてしまう場合はJISで決められた安全距離を取る必要があり、安全距離は隙間によって距離が変わる。またエリアセンサを用いる場合は危険原が完全に停止するまでの時間を考慮して危険原までの距離を決める必要がある。

③情報による提示

 どうしてもリスクを削減できないような残留リスクに対しては製品に危険を表すシールを貼ったり、説明書に明記することで設計者の危険に対する考えを使用者に伝える。

H29年 機械・機械設計 Ⅱ-2-1 模範解答と解説

問題  

 近年,多様なニーズへ応えるために,新しい製品をより短い時間で開発することが求められている。製品開発の責任者として,開発期間の半減を目標とした場合,機械設計の観点から下記の内容について記述せよ。

(1)目標達成のために活用する設計手法を3つ挙げよ。

(2)(1)の事項のうち最も重要なものを取り上げ,開発プロセス内での使い方と開発期間の短縮を含めた期待効果を述べよ。

(3)(2)を進める上で留意すべき事項を述べよ。 

模範解答(簡易答案形式)  添削履歴 1回目   専門とする事項 製造設備設計

1) 活用する設計手法

活用する設計手法を下記に3つ挙げる。

①フロントローディング

 製品全体のコストは規格と設計開発段階で50%以上決まってしまうと言われている。そのために3DCADやCAEを用いてPC上で解析を行い開発設計段階で品質の作りこみをすることが求められる。

②コンカレントエンジニアリング

 設計完了後の加工や製造の後工程で問題が発生すると設計変更することが難しくなり設計変更時間が多くかかり開発期間が多くかかってしまう。そのため早期に後工程の部門と同時並列的に開発を行い手戻りを削減することが求められる。

③ロバスト設計

 製品品種が多いことや仕向けが多いことから誤差因子による品質のバラつきが多い。誤差因子に影響されない品質バラつきの少ない設計とすることで市場でのトラブルの解析時間を削減することが求められる。

2)―1最も重要な手法

 最も重要な手法に②コンカレントエンジニアリングを挙げる。

2)−2開発プロセスでの使い方

 設計開発段階から設計データを後工程の製造部門や生産技術部門と共有して同時並列的に開発を行う。具体的には製造部門との検討を行うことでネジの種類を揃えて工具を共通化することや、生産技術部門と同時検討することで自動化設備の検討を行う。例えば部品供給を自動化する場合は部品を整列しやすい形状にする等の対応を行う。

2)−3期待効果

 期待効果を下記に2つ述べる。

①手戻りの防止

 後工程部門と同時並列的に開発を取り組むことにより後工程で発生する問題を事前に対応することで手戻りの防止を行うことができる。

②生産設備の同時設計

 生産技術部門と早期に自動化の検討を進めることができるため通常なら自動化できない作業も自動化することができ、自動化の推進が可能となり製造コストを下げることができる。

3) 留意すべき事項

2)―2で挙げた取組に関する留意点をそれぞれ述べる。

①後工程部門の意見を反映し過ぎると製品仕様からはずれる恐れがある。2D図面だとイメージの共有が難しいので3DCADで設計を行い完成イメージを製造部門と共有することが重要である。

②設計が完了する前から設備設計を進めるため製品の設計変更が設備設計へ影響を与える場合がある。PDMやPLMシステムを用いて更新しても効率よく設計データを共有することが重要である。

H29年 機械・機械設計 Ⅲ-2 模範解答と解説

問題  

 近年、豊富な経験およびノウハウを有する技術者の高齢化が進む一方で、後継者不足や生産拠点の海外移転に伴う人材空洞化等により。我が国のものづくりに関わる高度な研究・開発や設計・製造に関する技術を伝承することが困難になってきている。そこで、先人のノウハウや知識を組織的に継承して技術力を維持・向上する仕組みの構築が求められている。このような社会的状況を考慮して、以下の問いに答えよ。

(1)ものづくりに関わる高度な研究・開発や設計・製造に関する技術を効率的にかつ早期に伝承するために実施されている仕組みや方法を3つ挙げ、それぞれについて特長と問題点を述べよ。

(2)(1)で挙げた技術を伝承するための仕組みや方法の中で、最も効果的と考えるものを1つ選び、その問題点を解決するための提案を示せ。

(3)(2)で挙げた提案がもたらす効果と留意点を具体的に述べよ。

模範解答(簡易答案形式)  添削履歴 4回目   専門とする事項 製造設備設計

 (1)−1 仕組みや方法

①業務帯同型マンツーマン教育 ②業務手順書の作成 ③対話式システムによる技術データベースの構築

(1)−2 特長

①実践的な技術伝承が可能で業務に沿って教育するため即効性がある。

②作業順に記述されているため理解し易く作業抜けを防止できる。

③対話式システムにて簡易的にノウハウのインプットとアウトプットが可能。

(1)−3 問題点

①包括的な技術伝承となるため技術を伝承するためのコスト・期間が多く必要。 

②感性や経験を含む暗黙知は文書化が困難であり正確な技術伝承が難しい。

③データベースの量が膨大となるため更新と検索参照に手間がかかる。

(2)−1 最も効果的なもの:業務手順書の作成

理由:手順書作成によりノウハウを文書化することで作業者のスキルに左右されずに業務

   を行えることが可能となるため。

(2)−2 問題解決提案

①文章だけでは分かり辛い暗黙知を含む業務手順を動画や3DCADを用いることで、機構

   や原理を含めて視覚的に理解し開発時の課題や改善項目の抽出を可能とする。

②手順書作成能力の向上。講習会、資格取得、手順書作成スキル大会等を行い技術者

   の文書作成能力を向上させる。

③作成する手順書の種類が多いと作成時間が多くかかる。共通技術の設計標準化・

 モジュール化を行って手順書を共通化して作成する手順書の種類を絞り込む。

(3)−1 効果

①3DCADや動画を使い部品取り付け作業や調整作業の細かい動きを再現して、文書

 のみで伝えることが困難な作業のコツを表現することで理解し易くなる。

②手順書作成能力を向上させ分かり易い手順書を短時間で作成することで、手順書作

   成時間と継承者の理解時間を短縮して、短期間での技術伝承を可能とする。

③共通技術を抽出して汎用化・統合を進めることで伝承する技術を絞り込み短期間

 で技術伝承を可能とする。

(3)−2 留意点(品質を高めるための方策、提案)

①更新し易い手順書とするため、手順書に記載する数値基準の理由(法規、JIS、経験値等)

  を明記し法規変更や新技術の置き換え等が発生時に手順書の見直しを容易にする。

②手順書に失敗体験談を記載して継承者が失敗体験を学ぶ。失敗体験を学ぶことでリス

 クの大きさや重要ポイントの理解を向上させて手順項目の優先度や重要度を学ぶ。

③手順書を問題方式として継承者の理解度を把握する。また問題形式とすることで継承者

 の思考能力を高めて課題設定や未知なるものへの取組む姿勢を向上させる。

H29年 機械・熱工学 Ⅱ-1-3 模範解答と解説

問題  

  大気中の二酸化炭素、メタン、フロン類などの温室効果ガスが増加して、地球の気温が上昇するといわれている。そのメカニズムについて、ガスによる温室効果の相違を含めて説明するとともに、考えられる地球温暖化対策技術を3つ挙げ、現状を踏まえて述べよ。

模範解答(答案形式)  添削履歴 4回   専門とする事項 燃料電池

1.地球の気温上昇のメカニズム

太陽からの日射エネルギーの内、地表面から放射された赤外線の周波数が、大気中のCO2等の分子間振動と共鳴し、熱に変換される。熱が大気圏に滞留し地球を包むことで温度上昇を招き温室に似た効果を生む。

温室効果の大きい順にCO2、CH4、N2O、フロン類となる。CH4やフロン類はGWPが大きく大気寿命が短いため、削減効果に即効性がある。一方、N2OはGWPが大きく大気寿命が長いため長期的に影響を及ぼす。

2.地球温暖化対策技術

①省エネ技術 製品や生産プロセスの高効率化によって、化石燃料の使用量を抑制することで、CO2の排出量を低減する。エネルギー消費の大きい分野に対して、総合熱効率向上の観点からヒートポンプの展開が進んできている。

②再生可能エネルギー利用技術 太陽光や風力、地熱等で化石燃料を導入せずに発電する。特に太陽光発電は、日本では固定価格買い取り制度の影響で高コスト体質となり、普及の足かせとなっている。

③CCS技術 CO2を吸着法や膜分離法を用いて回収し、地中への圧入や帯水層への貯留を行う。現状はCO2の分離技術は日本が先行しているが、CO2の貯留性能については、濃度や圧力分布等の解析を行いながら安全性の実証を行っている。

H29年 機械・熱工学 Ⅱ-1-4 模範解答と解説

問題  

  冷凍機は、物体を冷やす装置であり、産業界で広く用いられている。代表的な冷凍機の種類とその冷媒を説明せよ。また、冷凍サイクルの1例について、冷媒の状態変化を説明するとともに、その特徴について述べよ。

模範解答(答案形式)  添削履歴 2回   専門とする事項 燃料電池

1.冷凍機の種類と冷媒

1−1.圧縮式冷凍機

往復式と、旋回しながら圧縮空間容積を減少させて圧縮するスクロール式が挙げられる。圧縮機の駆動には、電気式、タービン式が存在する。冷媒は、自然冷媒では、アンモニア、二酸化炭素が、フロン類では、HCFC、HFCが挙げられる。

1−2.ターボ式冷凍機

羽根車によって生じた遠心力で空気を圧縮する。圧縮機の駆動は、タービン式のものとなる。冷媒は、フロン類であるHCFC、HFCを用い、冷水を作る。

1−3.吸収式冷凍機 

蒸発、吸収、再生、凝縮のサイクルが存在し、吸収工程では、吸収液へ冷媒を溶解させる。また、再生工程では、吸収液から冷媒を蒸発させることで吸収液を再生する。冷媒としては水を用いる。

2.圧縮式冷凍機の冷凍サイクルの例と特徴               

冷媒を圧縮(高圧ガス)、凝縮(高圧液)、減圧(低圧液)、蒸発(低圧ガス)と状態変化させて冷凍作用を行わせる。

特徴は、吸収式や電子冷却式と比較すると、COPが4.0〜6.5と高い。また、容量あたりの質量や体積が小さいため、装置の小型化や、コストを低減することが可能である。さらに、冷凍サイクルが閉回路であるため、点検周期を長くすることができる。

H29年 機械・熱工学 Ⅱ-2-1 模範解答と解説

問題  

  冷凍機は、物体を冷やす装置であり、産業界で広く用いられている。代表的な冷凍機の種類とその冷媒を説明せよ。また、冷凍サイクルの1例について、冷媒の状態変化を説明するとともに、その特徴について述べよ。

模範解答(簡易答案形式2)  添削履歴 6回   専門とする事項 燃料電池

1.太陽熱利用システム

1−1.太陽熱発電 太陽熱で生成した水蒸気でタービンを回して発電する方式と、太陽熱で高温空気を生成し、高圧にしてタービンを回して発電する方式がある。

1−2.給湯暖房システム 太陽熱で生成した高温熱媒を循環し、蓄熱槽内の水を湯にする。また、貯湯槽から温水の一部を循環し、床暖房等に使う。

1−3.冷房システム 太陽熱を吸収式冷凍機に投入し、再生器での吸収液の再生時に水蒸気の気化熱として有効に利用し、冷房を行う。

2.普及状況と普及に向けた技術的解決策

2−1太陽熱発電 普及比率1%。

十分なエネルギーを得るための集光効率向上と蓄熱の高性能化が重要。

2−2給湯暖房システム 

普及比率50%。システム簡素化による施工費低減が鍵。                                

2−3冷房システム 

普及比率2%。システム簡素化による設備費低減が鍵。

3.CSP 集光型太陽光発電

日射量変動における発電出力の変動抑制の為、集光装置および、蓄熱装置を用いる。

3−1 集光装置 分割した鏡を平面に配置して傾きを変化させながら集光するフレネル型及び、太陽を追尾して太陽光を常時一定方向へ反射するヘリオスタットで集光するタワー型を組み合わせたシステムを用いる。 

3−2 蓄熱装置 熱媒として融解塩を利用し相変化によって、蓄熱槽に蓄熱を行う方式及び、蒸気を飽和水の状態で蓄熱するアキュムレータを用いる。

模範解答(答案形式)  添削履歴 1回   専門とする事項 燃料電池

1.太陽熱利用システム

1−1.太陽熱発電

太陽熱で生成した水蒸気でタービンを回して発電する方式と、太陽熱で高温空気を生成し、高圧にしてタービンを回して発電する方式がある。

1−2.給湯暖房システム

太陽熱で生成した高温熱媒を循環し、蓄熱槽内の水を加熱して温水にする。また、貯湯槽から温水の一部を取り出して循環し、床暖房等に用いる。

1−3.冷房システム 

太陽熱を吸収式冷凍機に投入し、再生器における吸収液の再生時に水蒸気の気化熱として有効に利用し、吸収式冷凍機の効率化を実現しながら冷房を行う。

2.普及状況と普及に向けた技術的解決策

2−1.太陽熱発電

 普及比率は1%程度である。太陽光から十分な熱エネルギーを得るため、集光効率の向上と、熱エネルギーを蓄えておく蓄熱の高性能化が重要である。

2−2.給湯暖房システム

 普及比率は50%程度である。導入の際には施工費が障壁となることが多いため、システム簡素化によるコスト低減が重要である。

2−3.冷房システム

 普及比率は2%程度である。導入の際には冷凍機の設計にも大きく関わることから、設備費を低減するシステム簡素化によるコスト低減が重要である。

3.CSP 集光型太陽光発電

 日射量変動による発電出力の変動を抑制する目的で、太陽熱を効率的に集めるための集光装置、そして昼間に集熱した熱を蓄熱することで夜間の電力安定供給を実現する蓄熱装置の2点を用いる。

3−1.集光装置

 分割した鏡を平面に配置し、太陽高度の変化に合わせて傾きを変化させながら集光を行うフレネル型と、ヘリオスタットと呼ばれる、多数の鏡を同心円状に配置し、太陽の動きを鏡が追尾して太陽光を常時、一定方向へ反射して集光するタワー型の2つを組み合わせたハイブリット型システムを用いる。集熱量の7割を低コストのフレネル型で集め、残りを集熱効率の高いタワー型で集めることで従来のCSPよりも低コストで高効率化が可能となる。

3−2.蓄熱装置

 熱媒としてプラスイオンとマイナスイオンからなる物質が液体状になる融解塩を利用し、相変化時の潜熱を用いて、集熱した太陽熱を蓄熱槽に直接あるいは間接的に蓄熱する方式がある。また、スチームアキュームレータと呼ばれる方式は、昼間は集熱した太陽熱を用いて蒸気を生成しておき、加熱飽和水の状態で蓄熱しておく。夜間の蒸気が必要な際には器内の圧力を下げて飽和蒸気を発生させて使用する。

H29年 機械・熱工学 Ⅲ-1 模範解答と解説

問題  

 エネルギー自給率が低い日本においては、特定のエネルギー源への依存を過大としないことが求められており、地球温暖化対策と合わせて再生可能エネルギーに一定の期待がされている。このような現状を背景として、技術的観点から、以下の問いに答えよ。

(1)エネルギーセキュリティ向上及び地球温暖化対策のためには、国産の再生可能エネルギー利用促進が期待されるが、どのような国産の再生可能エネルギーが考えられるか。3つ挙げて説明せよ。

(2)日本において、エネルギー源の一定量を海外から導入する場合、地球温暖化対策を考慮して何が将来のエネルギー源となるか考えを述べよ。(3)(2)のエネルギー源を使用した発電システムを1つ挙げ、その構成例と特徴及び課題について述べよ。

模範解答(簡易答案形式2)  添削履歴 1回   専門とする事項 燃料電池

1.国産の再生可能エネルギー

1−1.太陽光発電 

半導体の一種である太陽電池によって、太陽光エネルギーを直接電気に変える。太陽光を直流に変える太陽電池と、直流から交流に変換するインバータで構成する。

1−2.風力発電 

風の運動エネルギーの最大40%程度を電気エネルギーに変換することができる。効率は周速比によって異なることから、風速に適した回転速度が重要となる。

1−3.地熱発電

地熱貯留層から高温の蒸気と熱水を取り出し、気水分離器で分離した後、蒸気でタービンを回して発電するため天候に関係なく安定して発電が可能である。

2.地球温暖化を考慮した将来のエネルギー源

地球温暖化が深刻化する中で、電気や熱への変換時において水素が以下の理由で有力であると考えられている。

2−1.無尽蔵かつハイパワー 水や化合物として存在し、単位重量当たりの発熱量がガソリンの2.7倍。

2−2.エネルギー媒体 大容量の電力を長時間貯蔵する電力貯蔵媒体に適している。

2−3.エネルギーセキュリティ 水電解や燃料改質、自然エネルギーから製造可能でエネルギー自給率向上につながる。

3.水素を利用した発電システムの構成例と特徴及び課題

発電システムとしては燃料電池システムが挙げられる。

3−1 構成例 

アノード側に水素、カソード側に空気を供給し、化学反応を発生させて直流電力を出力する燃料電池スタックと、水素と酸素の化学反応を安定化するために燃料電池スタックの温度を一定に保つ冷却水回路と冷却水ポンプと、燃料電池スタックから出力された直流電力を交流電力に変換するインバータから構成される。 

3−2 特徴及び課題 

燃料電池システムは水素の持つエネルギーを直接電気エネルギーに変換するため、エネルギー損失が非常に少なく、発電効率が高い。また、携帯用電源として持ち運べる程、小型化が可能であるので、自動車や家庭において自立型分散電源として使用できる特徴がある。

課題としては、燃料電池スタックにおいて使用している触媒中の希少金属の価格が高価であり他の化石燃料を使用した発電システムよりも高価となるため、発電コストの低減が挙げられる。

模範解答(答案形式)  添削履歴 1回   専門とする事項 燃料電池

1国産の再生可能エネルギー

1−1太陽光発電

国内では再生可能エネルギーの12.5%を占めている。固定価格買取り制度を推進力として今後も普及が進むと考えられるが、発電コストは依然として火力発電の2倍近くあり、本体自身や施工も含めた低コスト化が必要である。

1−2風力発電

発電コストは火力発電と同等レベルまで安価になっているため、一定以上の風速を得られる地域において導入が進むと考えられる。今後は導入地域における出力変動に対する受入能力を高めるため、大型蓄電池を合わせて導入することが必要である。

1−3地熱発電 

資源量としては世界3位の賦存量を誇っており、出力が安定的でかつ発電コストが火力発電に匹敵するほど安価である。今後は普及拡大のために、地熱開発において温泉事業者などの地域の理解を得ながら、地域と共生した持続可能な開発を進めていくことが必要となる。

2「LNG」

2−1CO2排出量の観点

LNGの気体状態である天然ガスは石炭や石油と比較した場合、燃焼時のCO2排出量は最も小さくなる利点がある。また、天然ガスからLNGにする過程において硫黄酸化物の除去・脱水処理を行うため、CO2以外の温暖化係数の高い温室効果ガスについても主な化石燃料の中で最も少ない。

2−2エネルギーセキュリティの観点

LNGの元となる天然ガスの埋蔵量は石油の3倍以上と推定されており、豊富に存在していることから安定的に供給できると考えられる。また、LNGの供給元は世界に広く分布しているため、調達ルートに偏りが少なくより安全に日本へ導入できると考えられる。るため、LNGの輸入は長期契約によって天然ガスの液化から輸送・日本での受け入れまで一貫したプロジェクトで進められるので将来に渡り安定確保がし易いと考える。

3.発電システムの構成例と特徴及び課題

3−1構成例

 発電システムとしてはコンバインドサイクルが挙げられる。1段目にガスタービン、2段目に蒸気タービンを設置し、さらに発電機、復水器、排熱回収ボイラから構成される。

3−2特徴及び課題

3−2−1特徴

 燃料を運動エネルギーに変換する工程と、熱エネルギーを運動エネルギーに変換する工程の2工程が存在する。

 また、本システムは熱効率が54%と非常に高いため、CO2削減効果が高い。

3−2−2課題

3−2−2−1冷熱利用

 輸出国におけるLNGの生成工程、あるいは輸入国である日本において貯蔵しているLNGから都市ガスとして活用する工程において、加温や昇圧を行う必要があるため、非常に多くのエネルギーを消費する課題がある。

 LNGから都市ガスを製造する際の冷熱による、液体酸素や液体窒素の製造や、LNGの冷熱を活用した冷熱発電によって、消費エネルギーの削減ができる。

3−2−2−2輸送コスト

 LNGは埋蔵拠点が世界各地に分散しているため、一国当たりの産出量が少なく、一度に輸送できる量が少量になることで輸送コストが高額になるという課題がある。

 今後は、一度に輸送できるLNGの輸送船への搭載量の増加。また、輸出国あるいは日本において、LNG従事者によるLNG生産設備や貯留設備の共用化を行う。これによって、LNG生産量を拡大することによるメリットとして、輸送コスト削減ができると考える。

H29年 機械・熱工学 Ⅲ-2 模範解答と解説

問題  

 熱システムは空調や発電など多岐に渡る分野で活用されており、近代社会の基盤を支えてきた。一方、市場のグローバル化や製品の多様化に伴い、従来の熱工学に基づくシステムと、通信技術・人工知能・バイオテクノロジーなどの異分野の技術を融合し、新たな価値を生む製品開発が積極的に行われてきている。異分野融合による製品力の向上に努めないと、いずれ競争力を失ってしまう可能性がある。このような状況を考慮して、熱システム設計者として以下の問いに答えよ。

(1)最新の異分野融合が行われている熱システムを1つ選び、その熱システムにおいて生み出される新たな価値を3つ挙げ、その内容を多面的な観点から説明せよ。

(2)(1)で挙げた価値のうち1つ選び、製品競争力をさらに強化するために、熱システム設計者として、将来必要になると考える異分野技術融合の提案を示せ。

(3)(2)の提案の効果と想定されるリスクについて論述せよ。

模範解答(答案形式)  添削履歴 1回   専門とする事項 燃料電池

1冷蔵庫のIoT連携

1−1冷蔵庫内の在庫削減

外出先からIoT連携によって冷蔵庫内の在庫の状況を確認できるため、余分な買い物によって、冷蔵庫内の在庫を必要以上に増えることを防ぐことができる。在庫削減によって、食費の削減を実現できる。

1−2省エネ

IoT連携によって、1日の冷蔵庫の扉の開閉回数や庫内温度の変動の可視化が可能となる。現状の冷蔵庫の使用状況を顧客が把握することによって、使用方法による余分な消費エネルギーを削減することが可能となり、顧客のライフスタイルに合わせた省エネが実現できる。

1−3調理サポート 

冷蔵庫にAIを搭載し、さらにIoT連携によって、冷蔵庫内の在庫や食品の賞味期限の状況から、調理可能なメニューを顧客に提案することが可能となる。顧客は冷蔵庫内の在庫を全て把握できていなくても、最適な調理メニューを検討できる。

2エネルギーマネジメント

製品競争力を向上させるために、冷蔵庫に留まらず、家の中に存在する家電製品や太陽光エネルギー、蓄電池をIoT連携し、統合的に消費電力を最適化するHEMSや、BEMSと呼ばれるエネルギーマネジメントが今後必要になってくると考える。

2−1.HEMSによる高効率運転制御

太陽光発電は再生可能エネルギーとして有望であり、一般家庭においても普及が進んできているが、HEMSや、蓄電池の設置がない場合、夜間における家電製品の電力は新たに買電をする必要があり、効率的でないという課題があった。

HEMSは夜間各家電製品と連携することによって、夜間に消費する電力量を見積もりながら、昼間、太陽光発電で発電した電力を蓄電池に蓄えておくことによって、夜間に新たに電力を購入することなく、太陽光発電で自己完結する制御方法の提案が可能となる。

2−2.BEMSによる熱融通

ビルなどの商業施設では、近年データサーバからの排熱量が非常に増えており、排熱を処理するための冷却装置に非常に多くの電力を消費している。

一方で、熱システムとしては排熱によって、吸着材に吸着した水分を蒸発する際の蒸発潜熱を活用することで、周囲から熱を奪う吸着式ヒートポンプが開発されている。

商業施設内の熱システム設備について、BEMSによって統合的に制御を実施することで、排熱の流量や温度等を詳細に把握し、吸着式ヒートポンプによって生成した冷却水を排熱設備の自己冷却や他の空調システムへ活用できる。

3.提案の効果と想定されるリスク               

3−1.提案の効果

 HEMSによる高効率運転制御の場合については、家電商品の消費電力を昼間、夜間問わず、太陽光発電と蓄電池によって完全に賄うことが可能となるため、買い電力をゼロにすることが可能となり、エネルギーとして自立したシステムを提供できる。

 BEMSによる熱融通については、排熱を吸着式ヒートポンプによって冷却水を生成するため、排熱設備の自己冷却や他の空調システムへ活用することが可能となり、ビルや商業施設全体で消費する消費電力を大幅に削減することが可能となる。

3−2想定されるリスク

 エネルギーマネジメントシステムによって、家庭内、あるいは商業施設内の関連機器や熱システムを統合制御するため、エネルギーマネジメントシステムがサイバー攻撃を受けた場合、一部だけではなく、最悪の場合は全ての機器について意図通りに動作できなくなるというリスクがある。

 対策として、エネルギーマネジメントシステムにつてもウイルス対策機能を有効化し、外部からの不必要な接続をすべて遮断したり、エネルギーマネジメントシステムに接続する機器についても同様に脆弱性が無いようにウイルス対策機能を有効化することが必要である。

H29年 機械・ロボット Ⅱ-1-1 模範解答と解説

問題  

 移動ロボットの位置検出方式として,基本原理が異なるものを3種類挙げ,それぞれの特徴(長所と短所)を述べよ。

模範解答(簡易答案形式1)  添削履歴 2回  2018/4/20  専門とする事項 アミューズメント・AR施設

  移動ロボットの中でも最も移動速度が速い車輪式の移動ロボットに搭載されている位置検出方法について述べる。まずエンコーダでタイヤの軌跡を計算し,位置を推定する方法,次にレーザセンサで平面や3Dで障害物までの距離を測り,マップと照合し位置を推定する方法,最後に衛星を使って位置検出する方法を下記に示す。

1.光学式エンコーダ

円板プレートのスリットを通過する光のON/OFFをカウントし,回転方向と回転数を検出するセンサ。

長所:モータと一体化できるので省スペース・省配線が可能。

短所:タイヤのスリップやモデル化の誤差が累積する。

2.レーザセンサ

レーザ光を発信して対象物に当たって戻ってくるまでの時間で対象物との距離を計測するセンサ。

長所:精度が高い。無地のものまでの距離も測れる。

短所:雨や霧でレーザ光が拡散する。受光部が直射日光に弱い。色情報が取得できない。黒色までの距離誤差大。

3.GNSS(Global Navigation Satellite System)

測位衛星が放送している電波を使って位置(緯度・経度・高度)を計測する方法。

長所:空が開けたところであればだれでも電波の受信が可能。

短所:屋外でないと使用できない。

模範解答(答案形式)  添削履歴 8回  2018.5.7  専門とする事項 アミューズメント・AR施設

1.オドメトリ(デッドレコニング)

1.1 長所

 ①ロボットの内界センサから位置推定するため,実装が容易である。

1.2 短所

 ①センサの計測誤差とモデル化誤差が累積するため,長距離移動時は誤差補正する必要がある。

2.レーザセンサを用いた自己位置推定

2.1 長所

 ①周囲の障害物への距離を精度良く計測できるため,位置推定の精度が向上する。

 ②新規のマップを自ら構築することができる。

2.2 短所

 ①外乱光やレーザ光が拡散する状況で(雨や霧,細かいホコリや粉塵)で距離計測に誤差が生じ位置推定に誤差が生じる。

 ②環境に依存する物体で位置推定できない場合は,人工的なランドマークの設置が必要である。

3.GNSS(Global Navigation Satellite System)

3.1 長所

 ①屋外であれば絶対位置を測定できる。

 ②誤差が累積しない。

3.2 短所

 ①屋外でないと使用できない。

 ②マルチパスの影響で誤差が生じる。

H29年 機械・ロボット Ⅱ-1-2 模範解答と解説

問題  

多自由度マニピュレータの特異姿勢について,その特徴をのべ,特異姿勢に関して生じる問題を回避する方法を2つ挙げよ。

模範解答(簡易答案形式1)  添削履歴 1回  2018/4/20  専門とする事項 アミューズメント・AR施設

1.特異姿勢について

特定の方向への運動ができない状態で,この姿勢に近づくにつれて,モータの速度が急激に早くなり,暴走がおこる危険性がある。ロボットの自由度が多くなれば特異姿勢の数も増える。

多自由度のマニピュレータでは,特異姿勢を構造的に避けることが難しい。そのため,回避策が必要となってくる。

2.特異姿勢に関して生じる問題の回避策について

1)運動軌道を適切に計画する。

多自由度のマニピュレータの運動範囲を制限し,特異姿勢に近づかないようにロボットを動かす。

2)冗長自由度を持たせる。

3次元空間で任意の位置と姿勢を保つためには最低6自由度が必要であるが,さらにもう1自由度追加することで,ロボットの先端が同じ位置・姿勢でありながら,回り込みなどの柔軟な姿勢がとれるようになる。この冗長自由度によって特異姿勢を避けてロボットを動かす。

模範解答(簡易答案形式2)  添削履歴 3回  2018/4/26 専門とする事項 アミューズメント・AR施設

1.  多自由度マニピュレータ特異姿勢の特徴

 特定の方向への運動ができない状態である。この姿勢に近づくにつれて,モータの速度が急激に早くなり,暴走がおこる危険性がある。ロボットの自由度が多くなれば,特異姿勢の数も増えてしまう。

2.特異姿勢に関して生じる問題の回避策について

1) 運動軌道を適切に計画する。

 多自由度のマニピュレータの運動範囲を制限し,特異姿勢に近づかないようにロボットを動かす。

 逆運動学の解が複数ある場合は,ロボットの現在の姿勢から目標値までの間で特異姿勢に近づかせない。

 逆運動学を使わずに,直接教示で全関節の軌道を設定する。

2) 冗長自由度を持たせる。

 3次元空間で任意の位置と姿勢を保つためには最低6自由度が必要であるが,さらにもう1自由度追加することで,ロボットの先端が同じ位置・姿勢でありながら,回り込みなどの柔軟な姿勢がとれるようになる。この冗長自由度によって特異姿勢を避けてロボットを動かす。

模範解答(答案形式)  添削履歴 5回  2018.5.11  専門とする事項 アミューズメント・AR施設

1.多自由度マニピュレータ特異姿勢の特徴

 マニピュレータが特定の方向へ運動ができない状態である。この姿勢に近づくにつれて,構造的に制御できず,モータの速度が急激に速くなり,暴走がおこる危険性がある。マニピュレータの自由度が多くなれば,特異姿勢の数も増ええる。

2.特異姿勢に関して生じる問題の回避策

2.1 運動軌道の適切な計画

 ①多自由度のマニピュレータの運動範囲を制限し,特異姿勢に近づかないようにロボットを動かす。

 ②逆運動学の解が複数ある場合は,ロボットの現在の姿勢から目標値までの間で特異姿勢に近づかせない経路を選択する。

2.2 冗長自由度の配置

 3次元空間で任意の位置と姿勢を保つためには最低6自由度が必要であるが,さらにもう1自由度追加することで,ロボットの先端が同じ位置・姿勢でありながら,回り込みなどの柔軟な姿勢がとれるようになる。また,周辺機械やワークに接近して設置できるため,省スペース化が可能になる。余計なエネルギーを必要としないアーム角度を保つことで省エネに対応することができる。この冗長自由度によって特異姿勢を避けてロボットを動かす。

H29年 機械・ロボット Ⅱ-1-3 模範解答と解説

問題  

 ロボットの制御方式として,PTP制御方式,CP制御方式と呼ばれる2つの方法がある。それぞれの特徴(長所と短所)と適した用途について述べよ。

模範解答(簡易答案形式1)  添削履歴 1回  2018/4/22 専門とする事項 アミューズメント・AR施設

.PTP(Point to Point)制御方式について

長所:移動が高速。教示時間が短い。

短所:移動経路を問わないため,周囲との干渉に注意が必要。

用途:スポット溶接や搬送作業,電子部品の挿入。

2.CP(Continuous Path)制御方式について

長所:滑らかな動作が可能。

短所:教示時間が長い。

用途:レーザカット,シール作業,塗装,アーク溶接作業。

模範解答(簡易答案形式2)  添削履歴 3回  2018/4/26 専門とする事項 アミューズメント・AR施設

.PTP(Point to Point)制御方式について

1.1 長所

ロボットへの教示時間を短く,製造ラインを止める時間を短縮できる。

経路を問わない制御方式であるので,高速移動が可能で,作業のサイクルタイムを短縮できる。

1. 2 短所

移動経路を問わないため,教示後の運転時に周囲との干渉に注意が必要。

1. 3 適した用途

移動時間を短縮し,本来の作業を行う,搬送・スポット溶接・部品の挿入作業が挙げられる。

2. CP(Continuous Path)制御方式について

2.1 長所

軸間同期制御を滑らかな動作が可能であること。

2.2 短所

ロボットへの教示時間が長いことである。移動軌跡や移動速度の精度の良さが製品の品質に影響を及ぼすため,ロボットの軌道の調整で製造ラインを長時間停止しなければならない。

2. 3 適した用途

移動軌跡や移動速度が重要なレーザカット・シール・塗装・アーク溶接作業が挙げられる。

模範解答(答案形式)  添削履歴 3回  2018.5.7  専門とする事項 アミューズメント・AR施設

.PTP(Point to Point)制御方式について

1.1 長所

 ①ロボットへの教示時間が短いため,製造ラインを止める時間を短縮できる。

 ②経路を問わない制御方式であるので,高速移動が可能で,作業のサイクルタイムを短縮できる。

1.2 短所

 移動経路を問わないため,教示後の運転時に周囲との干渉に注意が必要である。

1.3 適した用途

 移動時間を短縮し,本来の作業を行う,搬送・スポット溶接・部品の挿入作業が挙げられる。

2.CP(Continuous Path)制御方式について

2.1 長所

 軸間同期制御で滑らかな動作が可能である。

2.2 短所

 ロボットへの教示時間が長い。移動軌跡や移動速度の精度の良さが製品の品質に影響を及ぼすため,ロボットの軌道の調整で製造ラインを長時間停止しなければならない。

2.3 適した用途

移動軌跡や移動速度が重要なレーザカット・シール・塗装・アーク溶接作業が挙げられる。

H29年 機械・ロボット Ⅱ-1-4 模範解答と解説

問題  

 ロボットが動作する際には,重力や他の自由度の動作に伴って生ずる力など,様々な外力が作用し運動特性が変化する。ロボットの駆動系において,このような力の影響を軽減又は補償する方法を2つ挙げ,それぞれの特徴(長所と短所)について述べよ。

模範解答(簡易答案形式1)  添削履歴 6回  2018/4/24  専門とする事項 アミューズメント・AR施設

.カウンタウェイト方式

 天秤の原理でおもりを使ってモーメントの釣り合わせる方式である。ロボットのアームに使われているリンク機構の自重トルクをゼロにするために,関節の反対側におもりを使って負荷を設ける方法がとられている。

 長所は,リンクの自重トルクをゼロにできるほか,3DCADの普及により,事前に正確な重心位置や重量バランスを設計段階で調整できることが挙げられる。その一方,短所は,ロボット自体の総重量が増加し暴走の危険性が増すほか,慣性モーメントの増加によって加減速が不利になることが挙げられる。そのため,すべての関節でカウンタウェイト方式を採用するのではなく,ベースに近い1つの関節のみ設置することが一般的である。

2.ばねの張力で補償する方式

 負荷モーメントをばねの力で相殺する方法である。長所カウンタウェイト方式より重量増加が少ないため,ロボットの小型化,軽量化,高速化が可能である。また,それに伴い,消費電力を抑えることができる。その一方,短所は,ばねの伸び量によって張力が変化するため,補償力の変化が挙げられる。また,ばね単体では振動してしまうため,摩擦抵抗をもつ機構も必要となってくる。

模範解答(答案形式)  添削履歴 5回  2018.5.10  専門とする事項 アミューズメント・AR施設

1.カウンタウェイト方式

1.1 長所

①リンクの自重トルクをゼロにできる。これによりカウンタウェイトを取り付けた関節のアクチュエータは小型化でき,負荷にのみ力を発揮できる。

②支持部にかかるモーメントが発生しないため,移動ロボットのように地面に固定できない場合に適する。

③アームをパラレル化した場合,コンパクト化できる。

1.2 短所

①ロボットの総重量が増加し,暴走の危険性が増す。

②ロボットの大きさが増加し,構造強度が必要となる。

③慣性モーメントの増加によって加減速が不利になり,動作時間の増加でサイクルタイムが伸びる。

2.ばねの張力で補償する方式

2.1 長所

カウンタウェイト方式より重量増加が少ないため,小型,軽量,高速,省電力化が可能である。

2.2 短所

①ばね単体では振動してしまうため,摩擦抵抗をもつ機構が必要である。その摩擦によりエネルギーロスが発生する。

②ロボットのアーム間にばねを設置するため,アームの可動範囲が限定される。

③ばねの破断の可能性がある。

④ロール軸回りの補償ができない。

H29年 機械・ロボット Ⅱ-2-1 模範解答と解説

問題  

 工場の生産現場において,ベルトコンベアにより搬入される異種混合部品に対して,ロボットを用いてピック・アンド・プレース作業を行うシステムを新たに設計することになった。各部品を選別し,部品ごとの異なるパレットに整列して搭載する。この作業に必要なセンサの選定に当たって留意すべき事項について,以下の問いに答えよ。

(1) ピック・アンド・プレース作業の内容(条件,仕様など)の中で,センサの選定に際して重要と考える項目を2つ挙げよ。

(2) (1)で挙げた事項を考慮して,センサを選定する場合の手順,方法について説明せよ。

(3) (2)の手順,方法に基づき選定したセンサを用いて,このシステムを設計する場合に留意すべき事項を述べよ。

模範解答(簡易答案形式1)  添削履歴 4回  2018/5/21 専門とする事項 アミューズメント・AR施設

1.センサ選定の重要事項

1. 1 部品の識別

異なる部品が流れてくるため,どの部品か識別するために部品の形状を取得する必要がある。

1. 2 位置認識

部品をピックアップするために,部品の位置を把握する必要がある。

2. センサの選定手順

①  画素分解能から画素数を絞り込む。コンベア上の対象物を撮影する範囲からCCD1画素が何ミリに相当するか,部品判定に必要な特徴量を把握できる画素数を選択する。

②  カラーか白黒タイプを選択する。色相変化で部品を検出する場合はカラーを,白明度変化から判別できる場合は白黒を選択する。

③  転送速度からセンサを絞る。作業のサイクルタイムから,データの転送速度にかけられる時間をわりだす。

④  センサに取り付けるレンズを選定する。撮像サイズと設置可能距離から焦点距離を決定し,レンズを選定する。

3. システム設計の留意点

①  ピックアップ時間を短縮するために,部品の識別と3D形状認識に高速なアルゴリズムを採用する。ステレオマッチング法か光切断法の検討を行う。

②  カメラの座標系とロボットの座標系を一致させるためキャリブレーションを自動化する。

③  新たな部品が選別対象となった場合に,容易に識別できるようにする。

20行750字

H29年 機械・ロボット Ⅱ-2-2 模範解答と解説

問題  

 近年,製造現場のみならず,公共の場や家庭内などで使用されるロボットについても実用化が進んでおり,人間と共存するロボットが現実のものとなっている。このようなロボット・システムを構築するにあたって留意すべき事項について,以下の問いに答えよ。

(1) 人とロボットが作業空間を共有して同時に動作するシステムを,製造現場と非製造現場それぞれで1つずつ挙げ,その利点を述べよ。

(2) (1)で挙げたシステムの1つを選び,そのシステムに潜む危険性を2つ挙げよ。

(3) (2)で挙げた危険性を回避又は低減するために,それぞれどのような対策が考えられるか述べよ。

模範解答(簡易答案形式1)  添削履歴 5回  2018/6/4  専門とする事項 アミューズメント・AR施設

1. 協働作業ロボット2種  

1)製造現場 双腕水平多関節型,電子機器組み込みロボット

①  安全柵を必要とせず,スペースの有効活用ができる

②  ラインの再配置が容易で,すぐに新しい製品に対応できる

③  現場作業員が直接教示できるので,時間短縮できる

2)非製造現場 自律移動式差動二輪型,店舗内在庫を自動で確認するロボット

①  SLAM技術により,店内レイアウト変更を自由に行うことができる

②  旋回半径を小さくできるため,狭い通路にも対応できる

2. 店内在庫を確認するロボットに潜む危険性について

①  店員や客との衝突

②  駆動部への挟まれ

3. 危険性の回避策

①  レーザセンサなどの視覚情報だけでなく,聴覚センサや俯瞰カメラによる状況把握と連携して外部環境を確認する。ロボット自ら存在をアピールする音を出しながら移動し注意喚起する。

②  駆動部のアクチュエータに流れる電流量監視.指を想定し12mm以上の最小隙間を設ける.

20行750字

模範解答(簡易答案形式2)  添削履歴 2回  2018.6.19 専門とする事項 アミューズメント・AR施設

1.協働作業ロボット2種

1)製造現場 双腕水平多関節型,電子機器組み込みロボット 

 ①衝突検知機能や人間のそばで低速で動作可能なことから,安全柵を必要とせず,スペースの有効活用ができる。

 ②ロボットがコンパクトであるため,製造ラインの再配置が容易で,すぐに新しい製品に対応できる。

 ③現場作業員が直接教示できるので,時間短縮できる。

2)非製造現場 自律移動式差動二輪型,店舗内在庫を自動で確認するロボット

 ①SLAM技術により,店内レイアウト変更を自由に行うことができる。

 ②左右のタイヤを逆に回転させることで,旋回半径を小さくできるため,狭い通路にも対応できる。

2.店内在庫を確認するロボットの危険性について

 ①ロボットが自律移動中に店員や客と衝突する危険性がある。

 ②店員や客が,駆動部に挟まれる,ロボットと壁の間に挟まれる危険性がある。

3.危険性の回避策

①受動的な衝突回避策

 外界を認識するセンサとして,レーザセンサを使用し,ロボットの前方に人間がいないか確認を行う。人間がいた場合は,ロボットが減速・停止を行い,衝突を回避する。しかし、店内の十字路のような場所では,棚による死角ができてしまうため,出会い頭の衝突が想定される。この場合は,ロボットの視覚情報だけでなく,聴覚センサや天井に設置した俯瞰カメラと連携して状況把握することで,衝突を回避できる。

②能動的な衝突回避策

 ロボット自ら存在をアピールする音を出しながら移動し作業することで,周囲に注意喚起を促す。

③駆動部への挟まれ防止

 車輪やスキャナ部分の駆動部に挟まれたことを検知できるように,駆動に使用するアクチュエータに流れる電流量を監視する。また,指の挟まれを想定し,設計の段階で12mm以上の最小隙間を設けることも有効である。

④ロボットと壁に人間が挟まれる危険性への対策

 外界センサで人間を検知できずに接近してしまった場合,ロボットの外周に設置したタッチセンサで接触したことを検知できるようにする。接触が解除されるまで後方に進み停止し,周囲の状況を再確認して移動を再開させる。

H29年 機械・ロボット Ⅲ-1 模範解答と解説

問題  

 我が国は,高齢社会といわれるようになって久しい。人は高齢になるに伴って運動能力や認知能力などの身体機能が衰える。これを補完する手段として,ロボットに代表される機械技術やICT技術の活用による支援機器の現実が期待されている。あなたがロボット技術を応用した支援機器を開発する立場であるとして,以下の問いに答えよ。

(1) ロボット技術を応用とすることが有効であると考える支援機器(機械,装置,システムなど)を3つ挙げ,有効と考える理由をそれぞれ述べよ。

(2) (1)で挙げ支援機器のうち1つを選び,その概要を説明するとともに,ロボット技術(機構,センシング,制御,知能など)としての技術課題を述べよ。

(3) (2)で挙げた技術課題を解決するための方策,及びその方策に潜むリスクについて述べよ。

模範解答(簡易答案形式1)  添削履歴 3回  2018/6/13  専門とする事項 アミューズメント・AR施設

(1)ロボットシステムを応用する支援機器の例

①移動支援電動車いす

行き先を設定すると自動で段差のないルートを検索し,GPSを用いたナビゲーションを行い,電動モータを用いて移動を支援することで,搭乗者の負担を軽減することができる。

②離床アシストベッド

ベッドが変形し,車いすや歩行支援機に乗り換えることを助けることで,高齢者の自立を支援できる。

③装着型の歩行支援パワーアシストスーツ

膝,足首などの関節部分にアクチュエータを配置し,歩行を支援することで,高齢者の自立移動を支援する。装着型のため,操作することを意識せず,歩く動作に集中できる。

(2-1)移動支援電動車いすの概要

レーザセンサなどの外界センサにより周囲の状態を把握し,障害物を避けながら自律走行する電動車いすである。移動機構には車輪型,電動アクチュエータで駆動とする。ナビゲーション機能としてGNSS(測位衛星システム)を利用し,自律走行可能な区間を設け,操作者の負担を軽減する。

(2-2)技術課題

①屋内移動のナビゲーション機能

②自己位置推定の信頼性向上

③人や障害物回避の経路生成

 (3−1)上記技術課題を解決するための方策 具体的方策

①Wifi測位・ビーコン測位:電波強度により距離測定する。歩行者自立航法(PDR):加速度・角速度・磁気センサ情報から移動量を推定する。地磁気測位:地磁気パターンを現地測定し,データ化,磁気センサで自己位置を知る。IMES(絶対位置配信)を使う。②ジャイロやエンコーダ等の内界センサの累積による自己位置推定だけではなく、外界センサ(レーザセンサやカメラ)の情報を用いたSLAM技術を利用することで、精度・信頼性を上げる。③外界センサで障害物を認識し、環境マップと照合させながら急加速急減速を要しない経路選定を行う。

(3−2)上記方策に潜むリスク

車いすは障害物を回避できたものの,搭乗者の腕や足が障害物にぶつかり,転倒の恐れがある。障害物を人と認識することができず,回避直前に動き,接触事故を起こす。搭乗者の落下物や検知できなかった路面の状況で転倒の恐れ。30行900字

模範解答(簡易答案形式2)  添削履歴 3回  2018.6.19  専門とする事項 アミューズメント・AR施設

(1)ロボットシステムを応用する支援機器の例

①移動支援電動車いす

行き先を設定すると自動で段差のないルートを検索し,GPSを用いたナビゲーションを行い,電動モータを用いて移動を支援することで,搭乗者の負担を軽減することができる。

②離床アシストベッド

ベッドが変形し,車いすや歩行支援機に乗り換えることを助けることで,高齢者の自立を支援できる。

③装着型の歩行支援パワーアシストスーツ

膝,足首などの関節部分にアクチュエータを配置し,歩行を支援することで,高齢者の自立移動を支援する。装着型のため,操作することを意識せず,歩く動作に集中できる。

(2-1)移動支援電動車いすの概要

レーザセンサなどの外界センサにより周囲の状態を把握し,障害物を避けながら自律走行する電動車いすである。移動機構には車輪型,電動アクチュエータで駆動とする。ナビゲーション機能としてGNSS(測位衛星システム)を利用し,自律走行可能な区間を設け,操作者の負担を軽減する。

(2-2)技術課題

①屋内移動のナビゲーション機能

②自己位置推定の信頼性向上

③人や障害物回避の経路生成

 (3−1)上記技術課題を解決するための方策

①   Wifi測位・ビーコン測位:電波強度により距離測定する。歩行者自立航法(PDR):加速度・角速度・磁気センサ情報から移動量を推定する。地磁気測位:地磁気パターンを現地測定し,データ化,磁気センサで自己位置を知る。IMES(絶対位置配信)を使う。路面に埋め込まれたRFID上を通過した際やICカード利用状況で位置補正を行う。

②   ジャイロやエンコーダ等の内界センサの累積による自己位置推定だけではなく、外界センサ(レーザセンサやカメラ)の情報を用いたSLAM技術を利用することで、精度・信頼性を上げる。

③   外界センサで障害物を認識し、環境マップと照合させながら急加速急減速を要しない経路選定を行う。

(3−2)上記方策に潜むリスク

①   転倒事故:車いすは障害物を回避できたものの,搭乗者の腕や足が障害物にぶつかり,転倒の恐れがある。また、搭乗者の落下物や検知できなかった路面の状況で転倒の恐れがある。

②   接触事故:障害物を人と認識することができず,回避直前に人が動き,接触事故が起こる。

30行900字

H29年 機械・流体力学 Ⅲ-2 模範解答と解説

問題

 製造業では、製品のコストダウンや開発期間の短縮などのために、標準化が重視されている。あなたが担当している流体機械について、その設計の標準化を進める社内プロジェクトのリーダーを任じられた。流体機械の設計者として以下の問いに答えよ。

(1)設計の標準化の対象とする流体機械を1つ選び、標準化の目的とともに、どのような設計の標準化が考えられるかを説明せよ。

(2)(1)で考えた標準化を進めるにあたり、解決すべき技術的課題の中から重要と考えられるものを3つ選び、それらに対する解決策を提示せよ。

(3)(2)提示した3つの解決策に潜むリスクと対策を述べよ。

模範解答(簡易答案形式)  専門とする事項 高温反応装置設計

(1)1)排煙脱硝装置:火力発電所における排ガス処理装置。脱硝装置内の流れは、層流で排ガスの気体と石炭灰の固体の2相流。NH3エアロゾルを注入し、一度乱流を作り、NH3を撹拌後、層流に戻す。

2) 標準化の目的

 a)短納期の製品納入の対応。

  b)規格化によるブランド強化と信頼度の向上

 c)設計ミスの低減

 d)製造コストの低減

3) 具体的な標準化の例

  a)石炭熱量等の因子条件からなる触媒量導出計算式を標準化する

 b)排ガス流の乱流の流れ条件を標準化する

 c)触媒ブロックの形状や性能を標準化する

 d)脱硝装置の性能を標準化し、性能規定とする。

(2)a)触媒量導出において、計算式に表現が困難な変異する要素が複数存在

    対策:各要素の係数を算出する近似計算を組み合わせ、実機と比較。

 b) NH3注入管のエロージョン磨耗と分散率との兼ね合い

 対策:摩耗式により導出した摩耗量、分散率の算出と実機と比較。 

 c) 乱流、渦が発生しない層流の境界値のレイノルズ数の設定

対策: CFD解析により数値化

(3) a) ポップコーンアッシュの発生による損傷

対策: 上流側で網目状の金網を設置

b)余分なNH3の後流機器への故障原因の低減

対策: 定期な確認後、異常があれば、NH3注入量の調整と追加の整流板を設置

H29/2017年 機械・情報精密 Ⅱ−2−1 問題 模範解答と解説

問題文:複写機、ファクシミリなど事務所に置かれる機器では、対人設計の観点から発生する騒音をできるだけ小さくする必要がある。あなたが、このような低騒音化設計をする立場にあるとして、以下の問いに答えよ。

(1)このような機器設計のために考慮すべき項目を3つ挙げ解説せよ。

(2)(1)で挙げた3項目について、課題を解決するために検討すべき方法、内容を挙げよ。

(3)(2)の業務を実際に進める際に留意すべき事項を述べよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 3回 2019/06/18   専門事項 精密機械技術開発

1.考慮すべき項目

1)音源の音量を小さくする。駆動源、伝達系を元から静音化する。

2)音源から出た音を途中で遮る構造にする。

3)音が筐体開口部から出にくい構造にする

排紙穴や換気孔など筐体開口部から漏れ出る音を小さくする

2.課題を解決するために検討すべき方法、内容

1)メカレス、小型化、低衝撃化する

HDDからSSDに変える、ガルバノミラーからマイクロマシン光偏向ミラーにする、歯車を金属から樹脂にする、ファンによる強制空冷を自然空冷や水冷にする。

2)駆動源、伝達系の近傍に防音に寄与する部品を付与する

防音カバーをかぶせる、制振材を設ける、筐体の内壁に吸音材をはる。

3)開口部近傍の音源となる構造を筐体内部に移動させる

空冷ファン、紙送りモータを筐体の廃熱穴、紙排出穴から製品中心に移す。

3.留意事項

1)マイクロマシン光偏向ミラーは静電駆動、又は電磁駆動なら給電ブラシレスにすると接触音がなくなり更に静音化できる。

2)高周波音には吸音材、低周波音には制振材が特に効果的である。又空冷ファンは低回転させると静音化する。尚その分の風量低下はファン大径化で補える。

3)開口から冷却ファンを離なす際はCFDで空冷効率を最適設計する。又熱源と空冷ファンを密閉し外部へ熱伝導させ更にヒートシンクから廃熱し開口レス化。

模範解答2 (簡易形式1)  添削履歴 1回 2019/06/15   専門事項 精密機械開発設計

(1)低騒音化設計で考慮すべき項目

1.現象解析: 騒音は、駆動源の振動(起振系)と、伝達に伴う増幅/減衰(伝達系)、振動の空気中への放射(放射系)の3つの因子の組み合わせで発生する。実験計測と解析を行い、問題の周波数および音源、伝達経路を特定する。

予測: 騒音の発生メカニズムは複雑で、静音化と熱の最適化とは相反する関係にある。開発初期に静音対策を仕込み、早期に静音設計を作りこむ。

2.騒音因子の影響と熱流体の影響をCAEで予測する。

3.対策: 上記1,2後に、目標との乖離に基づき、騒音低減の対策を講じる。

 (2)課題解決で検討すべき方法・内容 

1.現象解析:騒音の周波数特定には、騒音レベル評価、オクターブ分析、FFT分析を行う。騒音源の特定には、多点マイクロホンアレイによる表面形状トレース型音源位置同定技術を適用。伝達系は実験的モーダル解析、周波数応答解析を行う。

2.予測: 熱対策の冷却ファンによる騒音への定量的影響把握のため、構造解析、CFD解析、音響解析を行う。

3.対策: 共振抑制のために部品剛性を上げる、緩衝材を設置して伝達経路を遮、モーターや排熱ファン等の可動部の固有周波数を共振周波数からずらず。

 (3)業務を進める際に留意すべき事項

①複合機の騒音源の特定を正確・短期間把握のため、紙送りやオプション装置等の各サブシステムの要素ベンチを使用して現象解析を行う。

②複合機は部品が多く構造が複雑なため、費用対効果が高い箇所を優先的に対策。

H29/2017年 機械・情報精密 Ⅱ−2−2 問題 模範解答と解説

H29年 II-2-2 近年、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギーはクリーンな次世代エネルギーとして注目されており、国内外において色々な取組が行われている。あなたが次世代エネルギーを導入する立場になったとして、以下の問いに答えよ。

(1)次世代エネルギー導入に際し、調査・検討すべき項目を理由とともに3つ挙げよ。

(2)(1)で挙げた項目から1点を選び、対策を具体的に述べよ。

(3)(2)の業務を実際に進める際に留意すべき事項を述べよ。

模範解答2 (簡易形式1)  添削履歴 1回 2019/06/18  専門事項 精密機械開発設計

(1)次世代エネルギー導入で調査・検討すべき項目(3つ)と理由

1.発電量の安定化と平準化: ピーク電力、ベース電力といった電力需要に対応するため、電源の特性に応じた組み合わせを検討する。

2.次世代エネルギーの建設費、ランニングコストの低減: 建設費削減のため、広報などの工夫、工期短縮、入札制の導入などを検討する。ランニングコストの低減のため、稼働率の向上、発電効率の向上等を検討する。

3.発電設備の設置場所の確保: 市街や農地等と競合する平地以外で発電設備を設置できる場所を検討する。

 (2)「1.発電量の安定化と平準化」の対策 

①複数方式の組み合わせ: 次世代エネルギー全体で発電の最適化を行う。マイクロ水力発電と太陽光発電のように、安定した発電ができるベース電源と、電力ピーク時に発電量を増やす方式を組み合わせる。

②蓄電との併用によるピークカット: マイクロ水力発電等のベース電源が夜間に発電する電力や、風力や太陽光発電の余剰電力を蓄電システムへ貯めて、電力ピーク時に、蓄電システムの電気を使用して電力量を抑制(ピークカット)する。

IoTによる発電量の最適化: 発電量をIoTでリアルタイム計測し、ビッグデータ解析によって、発電量を予測・把握し、出力を制御する。

 (3)業務を進める際に留意すべき事項

・余剰電力は、他の送配電系統を含めた積極的な広域連系列でも対応する

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