H29年 化学・セラミック無機 U−1−2 問題 模範解答と解説

問題文   U-1-2

 現在、二次電池は産業用、民生用として広く利用されている。実用化されている二次電池の例を2つ挙げ、それぞれについて(1)原理と特徴と(2)実用化例を説明せよ。


 模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 2回  完成日2018/3/24 専門事項 化学品製造


1. 二次電池の原理と特徴

1)鉛蓄電池

二酸化鉛と鉛の酸化数の差を利用した電池。構成材料の鉛の入手が容易なため安価である。

2)ニッケル水素電池

水酸化ニッケルと水素の酸化数の差を利用した電池。構成材料に有害物質を含まないことから、環境への負荷が小さい。

2.二次電池の実用化例

1)鉛蓄電池

エネルギー密度は低いが容量当たりの単価が安いため、自動車用、フォークリフト用、産業用用途で用いられる。

2)ニッケル水素電池

 エネルギー密度の高さ、安全性の高さから、ハイブリッド自動車の二次電池として使用される。


 模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回  完成日2018/4/14 専門事項 化学品製造


(1)二次電池の原理と特徴

@鉛蓄電池

(a)原理:鉛蓄電池は、鉛の酸化反応により電気を取り出す電池。二酸化鉛と鉛から硫酸鉛が生成する。可逆反応であるため充電が可能である。

(b)特徴:構成材料の鉛の入手が容易なため安価。

Aニッケル水素電池

(a)原理:ニッケル水素電池は、水酸化ニッケルの酸化反応により電気を取り出す電池。水酸化ニッケルと水素から水酸化ニッケル(U)を生成する。可逆反応であるため充電可能である。

(b)特徴:構成材料に有害物質を含まないため、環境負荷が小さい。

(2) 二次電池の実用化例

@鉛蓄電池

 エネルギー密度は低いが容量当たりの単価が安いため、自動車用、フォークリフト用、産業用用途で用いられる。

Aニッケル水素電池

 エネルギー密度の高さ、安全性の高さから、ハイブリッド自動車の二次電池として使用される。


模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回  完成日2018/4/17 専門事項 化学品製造


(1)二次電池の原理と特徴

@鉛蓄電池

(a)原理

鉛蓄電池は、鉛の酸化反応により電気を取り出す電池である。二酸化鉛と鉛から硫酸鉛が生成する。可逆反応であるため充電が可能である。

(b)特徴

構成材料の鉛の入手が容易なため安価である。

Aニッケル水素電池

(a)原理

ニッケル水素電池は、水酸化ニッケルの酸化反応により電気を取り出す電池である。水酸化ニッケルと水素から水酸化ニッケル(U)を生成する。可逆反応であるため充電可能である。

(b)特徴

構成材料に有害物質を含まないため、環境負荷が小さい。

(2)二次電池の実用化例

@鉛蓄電池

 エネルギー密度は低いが容量当たりの単価が安いため、自動車用、フォークリフト用、産業用用途で用いられる。

Aニッケル水素電池

 エネルギー密度の高さ、安全性の高さから、ハイブリッド自動車の二次電池として使用される。



H29年 化学・セラミック無機 U−1−3 問題 模範解答と解説

問題文   U-1-3

 粒子(または粉体)を取り扱う際に、液体中への粒子の分散状態が重要となる場合が多い。粒子の液体中への分散に関し、

(1)分散状態の評価方法を二つ挙げて説明し、

(2)分散状態の制御(または向上方法)を二つ挙げて説明せよ。


 模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 2回  完成日2018/3/24 専門事項 化学品製造


1. 分散状態の評価方法

1)粒子径分布測定による評価

粒子径分布を測定することで、凝集粒子の有無や大きさ、その割合を把握できるため、分散状態を評価できる。

2)ゼータ電位測定による評価

ゼータ電位を測定することで、粒子間の反発力の目安を知ることができるため、分散状態を評価できる。

2.分散状態の向上方法

1)ぬれ性の向上

 液中で凝集している粒子に湿潤剤を添加すると、液体に濡れやすくなり、粒子間に存在する空気が液体に置き換わる。このため、粒子を解こうされ、分散性が向上する。

2)立体障害反発の付与

 粒子表面に高分子分散剤を吸着させると、高分子により粒子同士の接近が抑制され、立体障害反発となる。このため、分散を安定化できる。


 模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回  完成日2018/4/15 専門事項 化学品製造


1. 分散状態の評価方法

@粒子径分布の測定

粒子径分布の大小で分散状態の良悪を評価する。粒子の凝集塊が大きいほど粒子径は大きく、凝集塊が解砕され単位粒子(一次粒子)に近づくほど粒子径は小さくなる。

Aゼータ電位の測定

ゼータ電位の絶対値の大小で、分散状態の良悪を評価する。ゼータ電位の絶対値が大きいと、粒子間の電気的な反発力が強くなり粒子は分散する(DLVO理論)。

2. 分散状態の制御方法

@高分子の吸着

 粒子に高分子を吸着させることで分散を向上できる。粒子が接近すると、吸着した高分子の鎖が圧縮されるため、復元しようとする力が働く。その結果、粒子同士は引き離される。

A静電斥力による安定化

液の水素イオン濃度(+)または水酸化物イオン濃度(-)を増加させることで分散が向上できる。H+濃度を増加させると粒子は+に帯電し、OH-濃度を増加させると粒子は-に帯電する。同符号同士に帯電した粒子は反発するため、分散する。


模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回  完成日2018/4/17 専門事項 化学品製造


(1) 分散状態の評価方法

@粒子径分布の測定

粒子径分布の大小で分散状態の良悪を評価することができる。粒子の凝集塊が大きいほど粒子径は大きく、凝集塊が解砕され単位粒子(一次粒子)に近づくほど粒子径は小さくなる。

Aゼータ電位の測定

ゼータ電位の絶対値の大小で、分散状態の良悪を評価することができる。ゼータ電位の絶対値が大きいと、粒子間の電気的な反発力が強くなり粒子は分散する(DLVO理論)。ゼータ電位は、電気泳動法により、粒子表面に対イオンによって形成された電気二重層、すなわち界面の電位差を測定する。

 (2) 分散状態の制御方法

@高分子の吸着

 粒子に高分子を吸着させることで分散を向上できる。粒子が接近すると、吸着した高分子の鎖が圧縮されるため、復元しようとする力が働く。その結果、粒子同士は引き離される。

A静電斥力による安定化

液の水素イオン濃度(+)または水酸化物イオン濃度(-)を増加させることで分散が向上できる。H+濃度を増加させると粒子は+に帯電し、OH-濃度を増加させると粒子は-に帯電する。同符号同士に帯電した粒子は反発するため、分散する。



H29年 化学・セラミック無機 U−2−2 問題 模範解答と解説

問題文   U-1-2

 あなたは、ある企業で無機化学製品の製造部門の責任者である。あなたの会社の製品を使用しているユーザー企業の海外進出に合わせて、あなたの会社も海外向けに輸出する。あなたの会社の製品は、これまで国内向けのみであったことから問題となっていなかったものの、輸出国の法令で使用が制限されている成分を含むものであった。このような状況で、必要があれば無機化学製品を特定した上で、問題解決のために検討すべき項目を複数挙げて説明し、検討すべき項目のうち、最も重要と考える1つを選択し、具体的な手順について説明せよ。また、業務を進めるに当たって留意すべき事項について説明せよ


 模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 8回  完成日2018/4/11 専門事項 化学品製造


1.  製品の特定と解決のための検討事項

1)製品の特定

輸出先:欧州、製品:紫外線遮蔽剤、ユーザー:化粧品メーカー、制限成分:酸化亜鉛ナノ粒子(50nm)、法規制:ナノマテリアル規制(1〜100nm)がある「欧州新化粧品規則」

2)検討すべき項目:酸化亜鉛への樹脂被覆による粒子径増大(100nm以上)

2.最も重要な検討項目とその手順

1)検討項目:粒子径を増大させるために、酸化亜鉛表面の樹脂被覆率を向上する。そこで、粒子表面上で樹脂の乳化重合を促進させる方法を検討する。

2)検討手順

@樹脂被覆を進行させる方法:樹脂(疎水性)に対し、酸化亜鉛表面(親水性)の親和性を高めることで、樹脂を粒子表面に被覆し粒子径を100nm以上に増大させる。

A課題:酸化亜鉛ナノ粒子表面を疎水処理する

B解決策:界面活性剤(両親媒性)の官能基を持つ化合物(脂肪酸やその金属塩…例:ステアリン酸類)で、酸化亜鉛ナノ粒子表面を疎水処理した上で、乳化重合する。

3.留意すべき事項

1)表面疎水処理面積の向上:酸化亜鉛ナノ粒子表面の疎水処理面積を増大させるため、ビーズミル等で粒子を分散(むき出しに)させた上で疎水処理を行う。

2)Bの化合物の粒子吸着性向上:化合物の粒子表面への吸着を促進するため、化合物は、ナノ粒子との親和性が大きいものを選択する。


 模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回  完成日2018/4/15 専門事項 化学品製造


(1)製品の特定と解決のための検討事項

@製品の特定

私の会社の紫外線遮蔽剤(化粧品原料)は、輸出国(EU)の法令(欧州新化粧品規則のナノマテリアル(1〜100nm)規制)で使用制限のある成分(酸化亜鉛ナノ粒子;50nm)を含んでいた。

A検討すべき項目

 輸出を可能にするため、酸化亜鉛への樹脂被覆による粒子径増大(100nm以上)を検討する。

(2)検討の具体的手順

@検討項目

粒子径を増大させるために、酸化亜鉛表面の樹脂被覆率を向上する。そこで、粒子表面上で樹脂の乳化重合を促進させる方法を検討する。

A検討手順

(a)樹脂被覆を進行させる方法

樹脂(疎水性)に対し、酸化亜鉛表面(親水性)の親和性を高めることで、樹脂を粒子表面に被覆し粒子径を100nm以上に増大させる。

(b)課題

酸化亜鉛ナノ粒子表面を疎水処理し、樹脂との親和性を高める。

(c)解決策

界面活性剤(両親媒性)の官能基を持つ化合物(脂肪酸やその金属塩…例:ステアリン酸類)で、酸化亜鉛ナノ粒子表面を疎水処理する。

疎水処理により、粒子表面に樹脂モノマーが吸着し、乳化重合を行うことで、樹脂ポリマーとして被覆が形成される。

 (3)留意すべき事項

@表面疎水処理面積の向上

酸化亜鉛ナノ粒子表面の疎水処理面積を増大させるため、ビーズミル等で粒子を分散(むき出しに)させた上で疎水処理を行う。

A両親媒性官能基を持つ化合物の粒子吸着性向上

化合物の粒子表面への吸着を促進するため、化合物は、ナノ粒子との親和性が大きいもの(例:酸化亜鉛と親和性の高いアニオン性界面活性剤)を選択する。


模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回  完成日2018/4/17 専門事項 化学品製造


(1)製品の特定と解決のための検討事項

@製品の特定 

製品:化粧品原料(紫外線遮蔽剤)

輸出先と法令:欧州、化粧品規則のナノマテリアル規制(1〜100nm)

制限される成分:酸化亜鉛ナノ粒子(50nm)

A検討すべき項目

 酸化亜鉛ナノ粒子への、樹脂(例:PMMA)被覆による粒子径増大(100nm以上)を検討する。

(2)検討の具体的手順

@検討項目

粒子径を増大させるため、酸化亜鉛表面の樹脂被覆率を向上する。そのためには、粒子表面上で樹脂の乳化重合を促進させる方法を検討する必要がある。

A検討手順

(a)樹脂被覆を進行させる方法

樹脂(疎水性)に対し、酸化亜鉛ナノ粒子表面(親水性)の親和性を高めることで、樹脂を粒子表面に被覆し粒子径を100nm以上に増大させることが重要である。

(b)課題

樹脂(疎水性)と酸化亜鉛ナノ粒子表面(親水性)の親和性を高めるため、酸化亜鉛ナノ粒子表面を疎水処理することが課題である。

(c)解決策

界面活性剤(両親媒性)官能基を持つ化合物(脂肪酸やその金属塩…例:ステアリン酸類)を、酸化亜鉛ナノ粒子表面に修飾する。界面活性剤の親水基は、酸化亜鉛ナノ粒子表面(親水性)に向かって配向するため、外側に疎水基が向けられる。

次に、MMAなどの樹脂モノマー(疎水性)を添加し、粒子表面に修飾された界面活性剤の疎水基に吸着させる。

最後に、重合開始剤を加えて乳化重合を行うことで、樹脂ポリマー(PMMA)の被覆が形成する。

このようにして、粒子表面上で樹脂の重合を促進させ、粒子径を増大できる。

(3)留意すべき事項

@表面疎水処理面積の向上

酸化亜鉛ナノ粒子表面の疎水処理面積を増大させるために、ビーズミル等で粒子を分散(むき出しに)させた上で疎水処理を行う必要がある。

A両親媒性官能基を持つ化合物の粒子吸着性向上

化合物の粒子表面への吸着を促進するため、化合物は、ナノ粒子との親和性が大きいもの(例:酸化亜鉛と親和性の高いアニオン性界面活性剤)を選択する必要がある。



H29年 化学・セラミック無機 V−1 問題 模範解答と解説

問題文   V-1

 グローバリゼーションの進む現代では、セラミックス及び無機化学産業においても国際的な競争力をより一層高める必要がある。このような状況を踏まえ、必要に応じて技術分野を具体的に想定し、競争力を高めるために検討すべき課題について多面的に述べよ。

 挙げた課題のうち、あなたが最も重要と考える技術的課題について、その課題を克服するにはどのような取り組みが有効か、あなたの提案を具体的に示せ。あなたの提案がもたらす効果を具体的に示すとともに、生じ得るリスクについても述べよ。


 模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 6回  完成日2018/4/28 専門事項 化学品製造


1. 想定する分野と競争力強化のための課題

1)技術分野の特定

バイオセラミックス(セラミックス人工骨)

2)課題

 @製品の耐久性向上:耐久性向上によって金属人工骨を代替し、セラミックス人工骨市場を拡大する

 A知的財産権の確保:特許の取得あるいは技術の秘匿による知的財産権の確保。(医療機器には後発品制度がないため、日本からの新規参入企業や中小企業が開発した新素材や新機能がコピーされ、シェアを奪われてしまう。)

 B迅速な製品開発:オープンイノベーション拠点を活用した、産学医連携による迅速な製品化。(日本の参入企業は、素材の開発技術、加工技術に優れているが、医療機器の法的知識や製品化ノウハウがなく、製品化が遅れがちである。)

2.最も重要な技術的課題と解決のための提案

1)最も重要な技術的課題

@高強度高靱性材料の開発:製品の機械的強度の向上と生体適合性の両立するための材料開発を行う。

2)解決策

 @高強度高靱性を持つリン酸カルシウム焼結体の開発

⇒生体と適合性の高いリン酸カルシウム(骨の主成分)を焼結させて、高強度高靱性との両立を図る。

3.効果とリスク

1)効果

・骨皮質と同等以上の強度確保により、人工骨使用者の負担軽減(定期メンテナンス頻度が削減)が可能。

・従来のセラミックス人工骨(複合化水酸アパタイトなど)と比較して低コストで製造が可能。

2)リスク

・副作用発生のリスク。生体適合性の高い材料であっても、アレルギー等の副作用が発生する可能性がある。


 模範解答1  (簡易答案形式2)  添削履歴 2回  完成日2018/2/23 専門事項 化学品製造


(1)想定する分野と競争力強化のための課題

@技術分野の特定

バイオセラミックス(セラミックス人工骨)事業の海外展開を検討する。

A課題

a)製品の耐久性向上

セラミックス人工骨の耐久性向上によって金属人工骨を代替し、市場を拡大させる必要がある。

b)知的財産権の確保

特許の取得あるいは技術の秘匿による知的財産権の確保が必要である。なぜなら、医療機器には後発品制度がないため、日本からの新規参入企業や中小企業が開発した新素材や新機能がコピーされ、シェアを奪われてしまうからである。

c)迅速な製品開発

オープンイノベーション拠点を活用した、産学医連携による迅速な製品化をすべきである。なぜなら、日本の参入企業は素材の開発技術、加工技術に優れているが、医療機器の法的知識や製品化ノウハウがなく、製品化が遅れがちだからである。

(2)最も重要な技術的課題と解決のための提案

@最も重要な技術的課題:a)製品の耐久性向上

高強度高靱性バイオセラミックス材料が必要である。このため、製品の機械的強度の向上と生体適合性が両立できる材料の開発を行う。

A解決策

 バイオセラミックスとして従来から使用されるハイドロキシアパタイトは、生体適合性に優れるものの、強度が弱かった。そこで、以下のバイオセラミックス材料を提案する。生体適合性を確保するため、骨の主成分であり強度の高いリン酸カルシウムを用いた焼結体を利用する。リン酸カルシウム焼結体を用いた人工骨を開発することで、生体適合性と高強度高靱性が確保できる。

(3)効果とリスク

@効果

a)骨皮質と同等以上の強度を確保することにより、人工骨使用者の負担軽減(定期メンテナンス頻度が削減)が可能である。

b)従来のセラミックス人工骨材料(水熱ホットプレスによるハイドロキシアパタイトなど)と比較すると、高価な設備(ホットプレス装置)が不要なため、低コストで製造が可能である。

Aリスク

副作用発生のリスクがある。生体適合性の高い材料であっても、アレルギー等の副作用が発生する可能性がある。


模範解答1  (答案形式)  添削履歴 3回  完成日2018/5/3 専門事項 化学品製造


(1)想定する分野と競争力強化のための課題

@技術分野の特定

バイオセラミックス(セラミックス人工骨)事業の海外展開を検討する。

A課題

a)耐久性が高い製品の開発

セラミックス人工骨には、耐久性の向上という課題がある。股関節や膝関節はニーズが大きい部位だが、応力や摩耗の問題があり、全セラミックス製の人工骨は実現できていない。国際競争力強化のためにも、耐久性が高いセラミックス人工骨を開発すべきある。

b)知的財産権の確保

特許の取得あるいは技術の秘匿による知的財産権の確保が必要である。なぜなら、医療機器には後発品制度がないため、日本からの新規参入企業や中小企業が開発した新素材や新機能がコピーされ、シェアを奪われてしまうからである。

c)迅速な製品開発

オープンイノベーション拠点を活用した、産学医連携による迅速な製品化をすべきである。なぜなら、日本の参入企業は素材の開発技術、加工技術に優れているが、医療機器の法的知識や製品化ノウハウがなく、製品化が遅れがちだからである。

(2)最も重要な技術的課題と解決のための提案

@最も重要な技術的課題

a)の製品の耐久性向上が最も重要と考える。

A解決策

a) リン酸カルシウム化合物焼結体の利用

従来のバイオセラミックス(HAP)の生体適合性を維持したまま、人の骨皮質と同等以上強度を確保するため、以下を提案する。

骨の主成分であり、強度の高いリン酸カルシウム化合物焼結体を利用する。リン酸カルシウム化合物は、HAPにリン酸三カルシウム(TCP)を加えて複合化したものである。

b)HAPとTCPの配合比の決定

 HAPとTCPの複合化により、結晶粒径を精密に制御できる。従来のHAP単体の焼結体と比較して、強度を50%以上向上できる。この配合比の特許を取得することで、知的財産権の確保が可能となる。

c)生体用材料の規格化

日本には、生体用材料のJIS規格等がない。このため、材料や強度の試験は、米国試験法やISO規格など準じて実施していた。しかし、国内メーカーの原料に、これらの規格を満たしているものは少ない、評価に時間がかかる等の制約から、開発が停滞する原因となっていた。

そこで、医工連携によって生体用材料のJIS規格化を行い、開発速度を向上させる。

(3)効果とリスク

@効果

a)患者の精神的及び身体的負担軽減

生体適合性と高強度高靱性を両立させたセラミック人工骨は、経年での強度低下や、骨組織との固定の緩みがなくなる。よって、人工骨の定期メンテナンス頻度が削減できる。定期メンテナンスは、手術を伴うため、患者の精神的、身体的負担は大きく軽減される。

b)経済性の向上

リン酸カルシウム化合物焼結体は、焼結時の温度や圧力によらず、HAPとCTPの組成制御によって強度を向上する。よって、高価な設備(ホットプレス装置や、高温対応の焼結炉など)は不要であり、低コストで製造可能である。

Aリスク

a)副作用発生のリスク

生体適合性の高い材料であっても、生体にとっては異物とみなされる恐れがある。アレルギーやアナフィラキシー等の副作用が発生する可能性がある。このため、市販後調査の結果を製品にフィードバックし、安全性を高めなければならない。

b)新規参入による競争激化のリスク

 セラミックス人工骨は、金属人工骨と異なり、3Dプリンターなどで容易に造形可能である。よって、容新規参入が容易だと考えられる。このため、オーダーメイド等により製品の付加価値を高める必要がある。