H29年 水道・上水道 V−1 問題 模範解答と解説

問題文   

 問題文 都市部への人口の集中、産業構造の変化、地球温暖化に伴う気候変動など様々な要因が水循環に変化を生じさせる中、水循環基本法が平成26年7月に施行され、平成27年7月に水循環基本計画が策定された。これらを踏まえて、健全な水循環を維持又は回復のための取組を総合的かつ一体的に推進していかなければならない。このような状況を踏まえ、上水道に携わる技術者としての視点から、以下の問いに答えよ。

(1)健全な水循環の維持又は回復が求められている背景と水循環の課題について多面的に述べよ。

(2)(1)で挙げた課題の内、重要と考える課題を2つ挙げ、それぞれについて解決するための技術的提案を示せ。

(3)あなたの技術的提案を実行する場合の留意点について述べよ。


 模範解答1  (簡易答案形式1)  添削履歴 4回  完成日2018/6/17 専門事項 地域水道


1. 健全な水循環の維持・回復が求められている背景と課題

1)背景:第一次産業衰退による水源域の浸透・保水能力の低下と都市化による涵養機能の低下。:

@水源域の森林を維持し、浸透・保水機能の向上のため、第一次産業人口を増やす。

A涵養量・地下への貯留量を増やすため、都市近郊の農地を維持、涵養施設を確保。

2)背景:地球温暖化による無降雨日数等の増加と短時間強雨の頻度増大:

@無降雨日数等による渇水リスクのため、水源の多様化・雨水利用システムの構築。

A短時間強雨による河川等の水質悪化による浄水障害・水害リスクに備え、1)の浸透施設・雨水の貯留施設などにより利水安全度を高める。

2.重要課題に対する技術的提案

1)課題:涵養量の確保 

@水源域の森林維持の担い手の雇用・林業の収益体質の安定化、林業・木材産業の振興・山村を活性化。

A耕作放棄地の活用、湧水などの復活を図る。

2)課題:降雨の変化に対応した安定的な治水・利水供給体制づくり

@雨水の排水量の抑制・平準化。

A高度浄水処理施設の整備と貯留水の活用。

B地下水を保全し有効利用。雨水を雑用水などとして活用。

3.技術的提案を実行する際の留意点

1)涵養域を確保するための土地利用グランドデザイン

農地の保全・整備利用・都市域の涵養域を確保するため、コンパクトシティ化を図る。

2)雨水の活用:都市型水害の抑止のために貯留した雨水を雑用水、散水、水辺空間などに利用し、ヒートアイランド対策・渇水時の水源として用いる。降雪地帯では、地下水による融雪で生じる地盤沈下対策として、貯留した雨水を融雪用としても用いる。 

3)地下水の保全と有効利用:

地盤沈下・水位低下などの問題を生じないよう、モニタリングを行い、過剰となった地下水は、修景観用の水・災害用水・空調等の地中熱交換に用いる。