H30/2018年 建設・土質基礎 Ⅱ−1−2 問題 模範解答と解説

問題 H30 Ⅱ-1-2 (1枚以内にまとめよ)

地盤の変形係数について、基礎の設計における主な利用目的を説明せよ。また、変形係数を求めるための調査・試験方法を3つ挙げ、それぞれの方法を概説するとともに得られた変形係数の利用上の留意点について説明せよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 3回 2019.2.1   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

1. 地盤の変形係数について、基礎の設計における主な利用目的

変形係数は土の応力-ひずみ曲線から得られ、地盤反力係数の推定に利用される。

2.変形係数を求めるための調査・試験方法の概説

1)標準貫入試験

SPTサンプラー30㎝貫入時の打撃回数N値より、換算式にて変形係数を求める。

2)孔内水平載荷試験

孔壁を加圧し、その時の圧力と孔壁の変位の関係から、地盤の変形係数を求める。

3)一軸圧縮試験

供試体に側圧のない状態で圧縮する試験で、一軸圧縮強さ及び変形係数を求める。

3.得られた変形係数の利用上の留意点

1)標準貫入試験

軟弱地盤ではN値が低く、変形係数が小さな値となり期待できない。

2)孔内水平載荷試験

軟弱地盤において応力開放により孔壁が内側に膨らんでいた場合、実際の地盤の変形係数よりも試験値が小さくなる傾向にある。

3)一軸圧縮試験

砂を含有した試料は、変形係数が小さくなる傾向がある。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 3回 2019.6.4   専門事項 軟弱地盤

1.地盤の変形係数が基礎の設計における利用目的

地盤に構造物が載荷した場合に、地盤の変形(特に杭の設計で必要)を予測する。例えば沈下量S=B(1−ν

)/(E)×I:B=基礎幅、ν=ポアソン比、I=沈下係数、E=地盤の変形係数。

2.調査・試験方法と利用上の留意点

①平板載荷試験:直径30cmの載荷板に鉛直方向に載荷して、荷重―歪曲線より地盤の変形係数を求める試験である。

留意点:使用は測定結果の1/2として利用する。

変形係数は、載荷板直径の2倍が影響範囲となる為、以深の地盤状況をボーリング調査等により把握する。

②土の一軸圧縮試験:不攪乱試料から、直径5cm高さ10cmの供試体を作成し、鉛直方向に載荷して荷重―歪曲線から求める試験である。変形係数E50=(一軸圧縮強度×1/2)/(破壊荷重歪の1/2)。

留意点:変形係数はそのまま使用出来るが、サンプリング時の試料に乱れがあると測定値が過小評価される為に、利用は当地区の既往データ等を参考にする。

③孔内水平載荷試験:ボーリング孔壁を利用して、孔壁にゴムチューブ(60cm)を敷設して加圧し、圧力―孔壁の変位(排水量)から求める試験である。

留意点:値はそのままで使用出来るが、孔壁の状況で過小評価される為、利用は既往データ等を参考にする。

H30/2018年 建設・土質基礎 Ⅱ−1−3 問題 模範解答と解説

問題 H30 Ⅱ-1-3 (1枚以内にまとめよ)

杭基礎に負の摩擦力が発生する原理と杭基礎への影響を説明せよ。また、負の摩擦力に対して検討する際の留意点を3つ挙げ、その概要を説明せよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 7回 2019.3.15   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

1. 負の摩擦力が発生する原理と杭基礎への影響

負の摩擦力は、周辺地盤が圧密等によって沈下することで、杭へ下向きに作用する摩擦力である。

杭基礎への影響は、以下の①〜③である。

①杭周辺地盤の沈下により杭頭が突出し、曲げ及びせん断応力が作用し破壊する。

②杭の軸力圧縮強度を上回る場合、杭が圧縮破壊する。

③杭に作用する押込み力が極限支持力を超え、杭先端が支持層にめり込む。

2.検討する際の3つの留意点と概要

1)群杭による負の摩擦力の低減

摩擦杭の場合、地盤と一体となって構造物が沈下するため、群杭により負の摩擦力の低減を図る。

2)すべり層材による負の摩擦力の低減

 杭に作用する押込み力が極限支持力を超えた場合、杭が圧縮破壊するため、すべり層材の塗布による負の摩擦力の低減を図った杭を検討する。

3)地盤沈下の軽減

 地盤沈下し杭が突出した際、構造物との段差が生じるため、杭施工前に圧密促進対策を検討し地盤沈下を軽減する。

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 0回 2019.3.15   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

1.  負の摩擦力が発生する原理と杭基礎への影響

負の摩擦力とは、周辺地盤が圧密等によって沈下することで、杭へ下向きに作用する摩擦力である。

杭基礎への影響は、以下の①〜③である。

①杭周辺地盤の沈下により杭頭が突出し、曲げ及びせん断応力が作用し破壊する。

②杭の軸力圧縮強度を上回る場合、杭が圧縮破壊する。

③杭に作用する押込み力が極限支持力を超え、杭先端が支持層にめり込む。

2.検討する際の3つの留意点と概要

1)群杭による負の摩擦力の低減

摩擦杭の場合、地盤と一体となって構造物が沈下するため、群杭により負の摩擦力の低減を図る。

2)すべり層材による負の摩擦力の低減

杭に作用する押込み力が極限支持力を超えた場合、杭が圧縮破壊するため、すべり層材の塗布による負の摩擦力の低減を図った杭を検討する。

3)地盤沈下の軽減

地盤沈下し杭が突出した際、構造物との段差が生じるため、杭施工前に圧密促進対策を検討し地盤沈下を軽減する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.3.22   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

1.負の摩擦力が発生する原理と杭基礎への影響

 負の摩擦力は、杭の周辺地盤が圧密等によって沈下することで、杭へ下向きに作用する摩擦力である。

 杭基礎への影響は、以下の①〜③が考えられる。

①杭周辺地盤の沈下により杭頭が突出し、曲げ及びせん断応力が作用し杭が破壊する。

②下向きに作用する摩擦力によって杭の軸力圧縮強度を上回る場合、杭が圧縮破壊する。

③杭に作用する押込み力が極限支持力を超え、杭先端が支持層にめり込み、支持地盤が破壊する。

2.検討する際の3つの留意点と概要

1)群杭効果による負の摩擦力の低減

摩擦杭の場合、地盤と一体となって杭とともに構造物が沈下するため、群杭や捨て杭を設置し、群杭効果を利用して負の摩擦力の低減を図る。

2)すべり層材料による負の摩擦力の低減

杭に作用する押込み力が極限支持力を超えた場合、杭が圧縮破壊するため、膨潤性塗料や潤滑剤等のすべり層材料を塗布することによる負の摩擦力の低減を図った杭を検討する。

3)地盤沈下の軽減

支持杭で地盤沈下した際、杭が突出し構造物との段差が生じるため、杭施工前にプレロード工法やバーチカルドレーン工法などを併用した圧密促進対策を検討し地盤沈下の軽減を図る。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 5回 2019.6.6   専門事項 軟弱地盤

1.負の摩擦力の原理と杭基礎への影響について

①原理:粘性土の軟弱地盤おい沈下量の助長や、支持杭では杭の支持力より負の摩擦力が大きくなり杭の許容支持力より大きくなる。

②杭基礎への影響:支持杭では杭の支持力と負の摩擦力が合計され、この値が杭体の許容支持力を超える場合には、杭が座屈すると言う影響が発生する。

2.検討時の留意点

①支持力:

軟弱層を15m以上貫いて杭が打設されている場合では、軟弱層の圧密が進行中で、座屈の可能性が高い場合に杭の支持力については、群杭工法やフリクションカット工法等(SL材塗布杭、二重管杭)について検討する。

②杭頭沈下量:

上載荷重、軟弱地盤の土質や層厚、地下水位に留意して沈下量を算出し、沈下量が大きい場合にSL材塗布杭、二重管杭等の支持力について検討する。

③杭の鉛直支持力:

杭の支持力は、設計技術者の設計思想によるが、杭の根入れ状況により通常の安全率(摩擦杭4を支持杭3)で有るが、支持杭の安全率と同等に利用でき経済的な設計ができるかを検討する。

H30/2018年 建設・土質基礎 Ⅱ−1−4 問題 模範解答と解説

問題 H30 Ⅱ-1-4 (1枚以内にまとめよ)

  地すべりの発生形態を岩盤地すべり、風化岩地すべり、崩積土地すべり、粘質土地すべりの4つの型に分類するとき、この分類の基本的考え方と使用方法について説明せよ。また、このうち2つの型を選び、その特徴を説明せよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 2回 2019.2.11   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

1. 分類の基本的考え方と使用方法

地すべりは、移動物質、運動速度、すべり面の形状などの違いにより分類される。使用方法は、運動速度2㎝/日以上の平面すべり(椅子型)を岩盤地すべり、運動速度1〜2㎝/日程度の平面すべり(頭部と末端部がやや円弧状)を風化岩すべり、運動速度0.5〜1㎝/日の円弧と直線状であり、末端部が流動化したすべりを崩積土すべり、運動速度0.5㎝/日以下の頭部が円弧状で大部分が流動化しているすべりを粘質土すべりとする。

2.岩盤地すべりの特徴

1)微地形:凸状尾根地形

2)主な土塊の性質:岩盤または弱風化岩。

3)主な地質と構造:断層、破砕帯の影響を受けるものが多い。

3.崩積土地すべりの特徴

1)微地形:多丘状凹状台地地形

2)主な土塊の性質:礫混じり土砂,一部粘土化。

3)主な地質と構造:結晶片岩地帯、中・古生層、新第三紀層に広く分布。

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 1回 2019.2.14   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

1.  分類の基本的考え方と使用方法

地すべりは、移動物質、運動速度、すべり面の形状等の違いで分類される。

使用方法は、以下の①〜④による。

①岩盤地すべり:運動速度2㎝/日以上の平面すべり(椅子型)

②風化岩地すべり:運動速度1〜2㎝/日程度の平面すべり(頭部と末端部がやや円弧状)。

③崩積土地すべり:運動速度0.5〜1㎝/日の円弧と直線状のすべりであり、末端部が流動化している。

④粘質土地すべり:運動速度0.5㎝/日以下の頭部が円弧状のすべりで大部分が流動化している。

2.岩盤地すべりの特徴

1)微地形は凸状尾根地形を呈し、鞍部から発生する。

2)主な土塊は、頭部が岩盤または弱風化岩、末端部が風化岩である。

3)主な構造は、断層、破砕帯の影響を受けるものが多い。

3.崩積土地すべりの特徴

1)微地形は多丘状凹状台地地形を呈し、一般的な斜面形は滑落崖を形成し、その下に沼、湿地等の凹地がある。

2)主な土塊は、頭部が礫混じり土砂、末端部が一部粘土化している。

3)主な地質は、結晶片岩地帯、中・古生層、新第三紀層に広く分布する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.2.20   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

1.分類の基本的考え方と使用方法

 地すべりは、移動物質、運動速度、すべり面の形状等の違いで分類される。使用方法は、運動速度及びすべり面の形状により、下記①〜④のように使い分けられる。 

①岩盤地すべり:運動速度2㎝/日以上の平面すべり  (椅子型)

②風化岩地すべり:運動速度1〜2㎝/日程度の平面すべり(頭部と末端部がやや円弧状)。

③崩積土地すべり:運動速度0.5〜1㎝/日の円弧と直線状のすべりであり、末端部が流動化している。

④粘質土地すべり:運動速度0.5㎝/日以下の頭部が円弧状のすべりで大部分が流動化している。

2.岩盤地すべりの特徴

1)微地形は凸状尾根地形を呈し、鞍部から発生する。

2)主な土塊は、頭部が岩盤または弱風化岩、末端部  が風化岩である。

3)亀裂の卓越した岩盤内にすべり面が形成される。

3.崩積土地すべりの特徴

1)微地形は多丘状凹状台地地形を呈す。斜面形は滑落崖を形成し、その下に沼、湿地等の凹地がある。

2)主な土塊は、頭部が礫混じり土砂、末端部が一部 粘土化している。

3)主な地質は、結晶片岩地帯、中・古生層、新第三紀層に広く分布する。

H30/2018年 建設・土質基礎 Ⅱ−2−1 問題 模範解答と解説

問題 H30 Ⅱ-2-1 (2枚以内にまとめよ:解答の目安は各問につき1枚程度)

地下水位が高い軟弱地盤上に圧密沈下を許容した盛土造成が計画されている。しかし、概略検討の結果、軟弱地盤対策が必要である。以下の問いに答えよ。

(1)圧密沈下及び安定の検討に必要な軟弱地盤の物性値とそれらを得るための試験を挙げ、圧密沈下及び安定に関する検討方法についてそれぞれ述べよ。

(2)載荷重工法とバーチカルドレーン工法の併用工法の原理と効果、及び、完成後の残留沈下量が許容値以下であることを確認するために必要な計測と沈下管理方法を述べよ。また、施工中の法部分の安定性の判定に必要な、施工中の調査と計測管理方法を説明せよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 5回 2019.4.4   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

(1)-1圧密沈下及び安定の検討

①湿潤密度試験:湿潤単位体積重量

②圧密試験:圧縮指数,体積圧縮係数,圧密降伏応力,e-logp曲線,初期間隙比

③三軸圧縮試験:強度増加率

④一軸圧縮試験:粘着力

(1)−2圧密沈下及び安定に関する検討方法

 圧密沈下は、沈下の影響及び維持管理の対応等を考慮して残留沈下量の許容値を設定し、対策工を実施するか、あるいは維持管理による対応を検討する。安定は円弧すべりを仮定した安定計算法により、圧密に伴う強度増加を考慮した検討を行う。

(2)−1載荷重工法とバーチカルドレーン工法の併用工法の原理と効果

原理:載荷重工法では軟弱地盤に予め荷重し、一方、バーチカルドレーン工法ではドレーン柱の打設で間隙水の排水距離を短くし、両者の相乗効果で圧密を促進する。

効果:過剰間隙水圧をドレーン柱で効率的に排水し、圧密期間を短縮できる。

(2)−2完成後の残留沈下量が許容値以下の確認計測と沈下管理方法

計測は沈下量及び沈下速度の変化により、完成後の沈下挙動を推定する。

沈下管理は、設計時の予測と異なる場合、将来の沈下挙動を推定し、盛土に支障が生じるおそれがある場合、必要に応じて施工にフィードバックする。

(2)−3法部分の安定性の判定に必要な、施工中の調査と計測管理方法

法部分の安定を基礎地盤の挙動により判定するため、盛土法尻を挿入型傾斜計によって計測し、法尻の水平変位速度が1.5㎝/日より小さいことを監視する。

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 1回 2019.4.7   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

(1)-1圧密沈下と安定検討に必要な物性値と試験

圧密沈下では、沈下量、沈下速度を予測するために必要な圧密特性の把握するため、安定では、円弧すべりの安定計算に必要な定数を取得するため、以下の①〜④を必要とする。

①湿潤密度試験:湿潤単位体積重量

②圧密試験:圧縮指数,体積圧縮係数,圧密降伏応力,e-logp曲線,初期間隙比

③三軸圧縮試験:強度増加率

④一軸圧縮試験:粘着力

(1)−2圧密沈下及び安定に関する検討方法

 圧密沈下は、沈下の影響及び維持管理の対応等を考慮して残留沈下量の許容値を設定し、対策工を実施するか、あるいは維持管理による対応を検討する。安定は円弧すべりを仮定した安定計算により、圧密に伴う強度増加を考慮した検討を行う。

(2)−1併用工法の原理と効果

原理:載荷重工法は軟弱地盤に予め荷重をかけることで、圧密沈下を促進し施工後の沈下を軽減する。一方、バーチカルドレーン工法はドレーン柱を適切な間隔で設置することで、間隙水の排水距離を短くし、圧密沈下の促進と地盤強度の増加を図る。併用工法は、両者の相乗効果で圧密沈下を促進する。

効果:載荷重工法単独では粘性土層内に過剰間隙水圧が発生し、排水距離が長いと圧密沈下の収束が長期化する。このため、バーチカルドレーン工法により、間隙水をドレーン柱で効率的に排水し、圧密期間の短縮が図れる。

(2)−2残留沈下量の計測と沈下管理方法

計測は沈下量及び沈下速度の変化により、完成後の沈下挙動を予測し、設計時の予測と一致するかを確認する。設計時の予測と異なる場合、双曲線法又はlogt法によって将来の沈下挙動を推定し、また、不等沈下により盛土に段差等の支障が生じるおそれがある場合、必要に応じて施工にフィードバックし、プレロードの量、放置期間及び除去の期間等を沈下管理により判定する。

(2)−3法部の安定を判定する調査と計測管理方法

 法部分の安定を基礎地盤の挙動により判定するため、盛土法尻を挿入型傾斜計によって計測し、水平変位速度が1.5㎝/日より小さいことを監視する。これ以上となる場合、盛土の施工速度を落とすなど慎重な施工を行う。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.4.11   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

(1)-1圧密沈下と安定検討に必要な物性値と試験

①湿潤密度試験:湿潤単位体積重量

②圧密試験:圧縮指数,体積圧縮係数,圧密降伏応力,e-logp曲線,初期間隙比

③三軸圧縮試験:強度増加率

④一軸圧縮試験:粘着力

(1)−2圧密沈下及び安定に関する検討方法

 圧密沈下は、得られた圧密特性から沈下量を計算し、盛土への沈下の影響及び維持管理の対応等を考慮して設定した許容値以下であることを検討する。許容値の設定は10〜30㎝とすることが多く、許容値を超えることが懸念される場合、対策工を実施するか、あるいは維持管理による対応を検討する。

安定の検討は、軟弱地盤を含む盛土の円弧すべりを仮定した安定計算法(フェレニウス法)により行う。計算を行う際は、圧密に伴う強度増加を考慮した検討を行い、安全率が最も小さい危険円弧すべりを抽出する。計画安全率は、構造物によって1.2〜1.5とし、この値より小さくなる場合、押え盛土、上載荷重の軽減及び軟弱地盤の地盤改良などの対策の検討が必要となる。

(2)−1併用工法の原理と効果

原理:載荷重工法は軟弱地盤に予め荷重をかけることで、また、バーチカルドレーン工法はドレーン柱を適切な間隔で設置することで、圧密を促進し地盤の強度増加を図る。したがって、併用工法は両者の相乗効果により地盤の強度増加を効果的に行うことができる。

効果:バーチカルドレーン工法を併用することにより、間隙水をドレーン柱で効率的に排水し、圧密期間の短縮が図れる。

(2)−2残留沈下量の計測と沈下管理方法

計測は動態観測に基づき得られた沈下量及び沈下速度の変化により、完成後の沈下挙動を予測し、設計時の予測と一致するかを確認する。設計時の予測と異なる場合、双曲線法又はlogt法によって将来の沈下挙動を推定する。また、不等沈下により段差等の支障が生じる恐れがある場合、必要に応じて施工にフィードバックし、プレロードの量及び放置期間等を沈下管理により判定する。

(2)−3法部の安定を判定する調査と計測管理方法

 法部分の安定を基礎地盤の挙動により判定するため、盛土法尻の水平変位を挿入型傾斜計によって計測し、水平変位速度が1.5㎝/日より小さいことを監視する。この値以上となる場合、直ちに工事を一時中止して、さらに動態観測を続け、その後の挙動に注意する。工事中止後も不安低下に進む傾向が続く時は、盛土を一部撤去するなどの対応をとり、1.5㎝/日より小さくなった場合は、施工速度を落とすなど慎重な施工を行う。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.6.7   専門事項 軟弱地盤

(1)検討に必要な物性値を得る試験と検討方法

①圧密沈下に必要な物性値:

a)圧密降伏応力pc(KN/m

)、圧縮指数Ccは圧密試験(段階載荷)から求める。

b)基盤地盤のせん断力C(KN/m

2

)は三軸圧縮試験から求める。土の状況により各種の試験法が有るが、今回は間隙水圧が発生する為、CUbar法から求める。

②圧密沈下と安定に関する検討方法

a)盛土による圧密沈下量及び沈下時間の検討方法

圧密沈下量の推定:増加荷重が圧密降伏応力Pcを超える場合は、正規圧密領域と判断され、沈下(一次圧密)が発生する。特に泥炭地盤では二次圧密量が多く無視できない。沈下量の算定式S=(e0-e1/1+e0)H、Δe法(e−logP)により推定する。 

沈下時間の推定:圧密時間は、圧密時間Tに関する係数として圧密係数Cvが定義され、時間係数Tv=(Cv/H

)Tから求められる。

b)盛土に伴う基礎地盤の安定

盛土時点で基礎地盤の破壊が予測される事から、盛土時の立ち上がり時点で安定計算(円弧すべり:分割法)の計算により安全率Fs=1.2以上となる盛土高さ(限界盛土高)決定する。

(2)併用工法の原理と効果

a)原理と効果

原理:載荷重工法とは予め盛土等により荷重を載荷して沈下および沈下時間を促進させる工法をいう。さらに、沈下時間が長期に渡る場合には排水距離を短くして圧密時間を短縮するバーチカルドレーン工法を併用する。

効果:沈下時間の抑制効果については排水距離の2乗に反比例するので、ドレーン工法により排水距離を短くすることで、圧密時間を短縮する改良効果がある。

b)完成後の計測と管理方法

 動態観測による盛土中央と法先について、沈下量を測定する。また、圧密特性の異なる土層が有る場合は、各層別沈下計も同時に測定する。

 一方残留沈下量の推定方法は、実測から得られる時間―沈下曲線から、双曲線に沿って減少する双曲線法により推定する。施工速度5cm/日以下になる様に施工を管理する。

c)盛土の安定性と、施工中の計測管理法

 盛土の沈下量と盛土法尻部の水平変位量を計測する。

また、盛土の安定管理の指標として、地盤の変形(沈下量S、水平変位/沈下量S)を確認する事が一番簡便であり信頼性が高い。管理図による破壊予測図があり、この管理図の破壊ゾーンに入らない様に盛土期間中は管理を実施する。

H30/2018年 建設・土質基礎 Ⅲ−1 問題 模範解答と解説

問題 

Ⅲ-1 近年、我が国では少子高齢化による生産年齢人口の減少が続いている。建設業界においても技能労働者の不足や技術伝承の停滞が現実問題となっていて、これらは品質の低下つながることが懸念される。このため、様々な建設プロセスの効率化や高度化のために期待されている技術のイノベーションには、品質確保担うことも求められている。

 この様な背景を踏まえた上で、盛土、基礎、杭土圧構造物等の地盤構造物の品質確保に関する以下の問いに答えよ。なを、解答の目安は(1)を1枚程度、(2)を2枚程度とする。

(1)地盤構造物の調査、設計、施工、維持管理の各段階の中から3つを選び、

それぞれにおける品質確保に関わる技術的課題について説明せよ。

(2)(1)で挙げた品須確保の技術的課題の中から2つを選び、あなたが考えるICT(情報通信技術)やセンシング技術を活用した解決策と、それらを活用する上で注意すべき点を説明せよ。

模範解答2  (答案形式)  添削履歴 7回 2019.6.23   専門事項 軟弱地盤

(1) 各段階における品質確保に関わる技術的課題。

a)調査段階環境ノイズ条件の排除

 海上ボーリング調査時の調査位置出しは、調査日の天候(特に波高2m以上)に左右されやすく、位置の精度(5m程度)が出ないので防振や揺れによる誤差補正が技術的課題となる。

b)施工段階の人的ミス撲滅

丁張り作業は、設計図面と同じもの現場で作成する事から、工事期間中は毎日の出来形図面と設計図面との比較する作業が続く。

これらを比較する為には、常に測量から始まり、その後計算を行い、その日の出来形として、図面を作成して施工管理する方法が一般的である。

従って、業務内容については、いつも繁忙であり、

人海戦術が主体となり時間もかかるものが多く、疲労によるミスによって精度が低下する。

c)維持管理段階における確かな診断技能

 維持管理あたっては、調査、構造、設計、施工法・

整備履歴・環境条件など、分野を超えた幅広い知見・関心が求められる。

この幅広い知見の少ない技術者が行うと、診断を誤る事も有るので、正確な診断知識の習得が課題となる

(2)(1)よりICTを活用した解決策と注意点。

a)調査段階のICT技術を活用した解決策と注意点                        

 課題:測量業務における環境条件の排除

解決策:従来の海上ボーリングの調査位置出しについては、調査船の揺れによる調査位置(水平移置)の精度が悪かった。

 しかし、GPSやICT(i-construction技術)のドローン測量による3次元解析の活用により、上空から測量すると波の影響を受けにくい。調査方法としては

①飛行ルートの設定:撮影高度(精度加味)、撮影間隔写真ラップ率②GCP(地上標準点)の設置:防波堤や地上に設置して連続写真による三次元モデルに位置情報として付加させる。③飛行・撮影:一般的には可視飛行が原則となるが海上の場合は自動飛行でも良い

とされている。

④調査位置の座標(X、Y)の入力:飛行プログラミングに北緯(X)、東経(Y)の座標を入力すると自動的にその地点上空で停止(ホバリング)又は台船上に着陸して位置確定をしてくれる。

注意点:濃霧が発生すると地盤面の標高についての精度が落ちる為、調査日は好天日を含む余裕のある工程とする。また、沿岸部の森林が木等で繁茂している場合の標高測量については季節等を考慮する必要がある北海道での海上ボーリングの調査時期は海の荒れる時期を外した11月〜3月となっている。

b)施工段階の人的ミスの防止

課題:技術者の疲労によるミス防止

解決策:日々の工事管理(盛土管理、出来形管理)の内、従来の盛土管理(転圧状況)では、常に技術員が常駐して、締固め度を現場密度試験(点管理)で確認していた。しかし、ICT機器を搭載した建設機械を利用する事により、導入後はドローン測量(スキャナー撮影)による画像処理(点群データ)となるため全面管理となる。従って品質管理の精度が向上した。さらに、3次元データ(CIM)の利用により、成果品(竣工図面、日々の出来形報告)の省力化ができ、人的疲労の影響を受ける事が少なくなった。これによりミスが減り、一定の精度での測量が可能となった。

注意点:盛土の管理については、規定の締固め度(道路路床90%以上)を確保するため、事前に試験施工(転圧回数を決定)を行う必要がある。

なぜなら転圧回数時の沈下量で、締固め度管理を実施する事から、土毎の転圧回数は非常に重要となる。従って転圧している土の識別(土質名、色、番号等を付ける)できる様に注意しなければならない。

H30/2018年 建設・土質基礎 Ⅲ−2 問題 模範解答と解説

問題 H30 Ⅲ-2 (3枚以内にまとめよ:解答の目安は(1)及び(2)で1枚程度、(3)を2枚程度)

課題の1つとして、激甚災害への対応、防災への取組が急務とされている。その一方で、社会資本の戦略的な維持管理と更新の取組も求められている。このような背景のもと、防災・減災・老朽化対策を抜本的に強化することが必要とされている。社会資本の管理・整備のあり方について以下の問いに答えよ。

(1)激甚災害をもたらす近年の降雨、又は発生が懸念されている巨大地震のどちらかを選び、その特徴と予想される被災形態について説明せよ。

(2)我が国の社会資本の老朽化の特徴を複数挙げて説明せよ。

(3)(1)及び(2)の解答を踏まえ、自然災害及び社会資本の老朽化のそれぞれについて、①安全・安心な社会資本の管理・整備を進める上での現状の課題を各1つ以上挙げ、②その課題への対応策や取り組むべき技術開発を説明せよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 8回 2019.5.9   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

1)−1近年の降雨の特徴

①線状降水帯:長さ50〜200キロ、幅20〜50キロの広い範囲で何時間も降り続く。

②バックビルディング現象:数時間で局地的に100ミリ以上の降雨が持続する。

(1)−2予想される被災形態

①降雨や外力等により経年劣化(風化、末端浸食等)した法面の表層崩壊

②推定を超える間隙水圧上昇に伴う地すべり

(2)社会資本の老朽化の特徴

①地盤は種類等で劣化の進行速度が異なり、また、劣化状態の把握が困難である。

②杭等は地中環境や外力による劣化があり、また、劣化状態の把握が困難である。

(3)−①社会資本の管理・整備を進める上での課題

1)自然災害について

ハード面は動態観測で豪雨時の水位上昇や地盤変動を把握し、既設対策の補修や追加対策の要否を検討する。ソフト面は観測結果を基に避難管理基準の設定、また、被災の影響範囲、避難場所・経路を示したハザードマップの整備が必要である。

2)社会資本の老朽化について

土構造物や杭等の構造物の劣化状態の把握のため、ボーリングや物理探査等の地中データを総合的に整理した地盤情報DBの整備及びAI、ICT及びCIMを活用する。

(3)−②課題への対応策や取り組むべき技術開発

1)自然災害について

対応策:自記式の観測計器を使用し、省力化を図る。危険度に応じた防災行動計画を作成、また、ハザードマップの周知や災害意識の向上を図る教育・訓練を行う。

技術開発:変動データの蓄積で崩壊や地すべりの危険度をAIで推測するシステムを開発する。河川氾濫の危険度が伝わる水位情報提供システムの開発を行う。

2)社会資本の老朽化について

対応策:対策工を新設の際、地中の最大応力位置に測定器を取付け、応力状態の把握により老朽化を診断する。地盤劣化診断は非破壊検査可能なレーダ探査等を応用する。また、地盤情報DBやICT技術を活用して地質調査・点検の効率化を行う。

技術開発:地盤構造物に設置可能な応力測定器及び老朽化診断ソフトの開発を行う。地盤の劣化診断が可能なレーダ探査機の開発や劣化診断結果を加味した地盤情報DBの整備を行う。また、これらをCIMにより3次元化し、地盤可視化する。

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 0回 2019.5.11   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

(1)−1近年の降雨の特徴

①線状降水帯:積乱雲が一列に連なる現象であり、広い範囲で何時間も降り続くのが特徴である。

②バックビルディング現象:新たな積乱雲が次々と発生する現象であり、数時間にわたって局地的に100ミリ以上の激しい降雨が持続するのが特徴である。

(1)−2予想される被災形態

①土構造物は降雨の影響により、地盤の風化や末端部の浸食で表層崩壊が発生する。

②推定を超える間隙水圧上昇に伴い、地すべりが発生する。また、既設対策工の劣化状態によっては、満足した効果が得られておらず、想定外の被害が発生する可能性がある。

(2)社会資本の老朽化の特徴

①地盤は、状態や種類、含水で劣化の進行速度が異なり、また、劣化状態の把握が困難である。

②杭等の地盤構造物は、経年変化による要因の他、地中環境の要因や外力の作用による要因で老朽化し、また、地中内にあることから劣化状態の把握が困難である。

(3)−①社会資本の管理・整備を進める上での課題

1)自然災害について

ハード面では動態観測により豪雨時の水位上昇や地盤変動を把握し、既設対策の補修や追加対策の要否を検討する。また、ハード対策で対応不可能な有事に備え、ソフト面では観測結果を基に避難管理基準の設定や被災の影響範囲、避難場所・経路を示したハザードマップの整備が必要である。

2)社会資本の老朽化について

土構造物や杭等の地盤構造物の劣化状態の把握のため、ボーリングや物理探査等の地中データを総合的に整理した地盤情報DBの整備やAI、ICT及びCIMを活用する。

(3)−②課題への対応策や取り組むべき技術開発

1)自然災害について

対応策:豪雨時の水位上昇を捉え、観測人員を削減するため、自記式の観測計器を使用し効率的かつ省力化を図る。効率的に避難するための危険度に応じた防災行動計画を作成する。また、災害発生前に行動するためのハザードマップの周知や災害意識の向上を図る教育・訓練を行う。

技術開発:変動データを蓄積し、崩壊や地すべりの危険度をAIにより推測するシステムを開発する。河川氾濫の危険度をリアルタイムに把握・伝達できる水位情報提供システムの開発、雨量データの蓄積によりXRAINの精度向上や、降雨に合わせた避難体制の雨量基準の更新を行う。

2)社会資本の老朽化について

対応策:対策工を新設の際、地中の最大応力位置に測定器を取付け、応力状態の把握により老朽化を診断する。地盤の劣化診断は非破壊検査可能なレーダ探査等を応用する。また、地盤情報DBやICT技術を活用して地質調査・点検の効率化を行う。

技術開発:地盤構造物に設置可能な応力測定器及び老朽化診断ソフトの開発を行う。地盤の劣化診断はレーダ探査機の開発や劣化診断結果を加味した地盤情報DBの整備を行う。また、これらをCIMにより3次元化し地盤可視化で地質リスクの低減と一連の建設生産システムの効率化を図る。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 0回 2019.5.14   専門事項 土質、地盤並びに土木構造物に関する事項

(1)−1近年の降雨の特徴

①線状降水帯:積乱雲が一列に連なる現象であり、広い範囲で何時間も降り続くのが特徴である。

②バックビルディング現象:新たな積乱雲が次々と発生する現象であり、数時間にわたって局地的に100ミリ以上の激しい降雨が持続するのが特徴である。

(1)−2予想される被災形態

①土構造物は降雨の影響により、地盤の風化や末端部の浸食で表層崩壊が発生する。また、風化しやすい地盤や風化の規模によっては、深層崩壊に発展する可能性もある。

②推定を超える間隙水圧上昇に伴い、地すべりが発生する。また、既設対策工の劣化状態によっては、満足した効果が得られておらず、想定外の被害が発生する可能性がある。

(2)社会資本の老朽化の特徴

①土構造物は、地盤の状態や種類、含水状態で風化及び劣化の進行速度が異なり、また、地中内にあることから劣化状態の把握が困難である。

②アンカー工や杭等の地盤構造物は、経年変化による要因の他、地中環境の要因や外力の作用による要因で老朽化し、また、地中内にあることから劣化状態の把握が困難である。地盤構造物は高度成長期に多く施工され、当時は防食処理等が行われておらず、近年のものと比較して老朽化の進行速度が顕著と考えられる。

(3)−①社会資本の管理・整備を進める上での課題

1)自然災害について

ハード面では動態観測により豪雨時の水位上昇や地盤変動を把握したうえで、現状の安全率を分析し、既設対策工の対策効果を判定する。この結果より、既設対策工の補修や追加対策の要否を検討する。

また、ハード対策が困難な自然災害に備え、ソフト面では観測結果を基に避難管理基準の設定や被災の影響範囲、避難場所・経路を示したハザードマップの整備が必要である。

2)社会資本の老朽化について

土構造物や杭等の地盤構造物の劣化状態の把握のため、ボーリングや物理探査等の地中データを総合的に整理した地盤情報DBの整備を行う。地中データは地質毎の整理や崩壊したデータも加味することで、地盤の風化進行の目安や災害発生時の地盤状態を把握する。

地盤の調査及び点検については、点検作業や診断の効率化・省力化を図るため、AI、ICT及びCIMを活用する。

(3)−②課題への対応策や取り組むべき技術開発

1)自然災害について

対応策は、豪雨時の水位上昇や変動を捉え、観測人員を削減するため、連続的にデータ取得可能な自記式の観測計器を使用し効率化・省力化を図る。

効率的に避難するための危険度に応じた防災行動計画を作成し、これを有効に活用するため、日頃からハザードマップの周知や災害意識の向上を図る教育・訓練を行う。

技術開発は、動態観測により得られた変動データを蓄積し、崩壊や地すべりの危険度をAIにより推測するシステムを開発する。

河川氾濫の危険度をリアルタイムに把握・伝達できる水位情報提供システムの開発を行う。また、雨量データの蓄積によりXRAINの精度向上や、降雨に合わせた避難体制の雨量基準の更新を行う。

2)社会資本の老朽化について

対応策は、対策工を新設の際、地中の最大応力位置に測定器を取付け、応力状態の把握により老朽化を診断する。

地盤の劣化診断は非破壊検査可能なレーダ探査等を応用する。また、地盤情報DBやICT技術を活用して地質調査・点検の効率化を行う。

技術開発は、地盤構造物に設置可能な応力測定器及び老朽化診断ソフトの開発を行う。

地盤の劣化診断はレーダ探査機の開発や劣化診断結果を加味した地盤情報DBの整備を行う。また、これらをCIMにより3次元化し地盤可視化で地質リスクの低減と一連の建設生産システムの効率化・省力化を図る。

H30/2018年 建設・鋼コン Ⅱ−1−5 問題 模範解答と解説

問題

 既設コンクリート構造物の調査・点検で利用する試験について,次のうちから2つの方法を取り上げ,原理,測定上の留意点,測定結果を活用する際の留意点について記述せよ。

(a)反発度法によるテストハンマー強度の推定

(b)赤外線サーモグラフィ法(パッシブ法)による内部欠陥の推定

(c)電磁波レーダー法によるかぶり厚さの推定

(d)自然電位法によるコンクリート中鋼材の腐食状況の推定

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 1回 2019.6.15   専門事項 コンクリート構造

1. (b)赤外線サーモグラフィ法(パッシブ法)による内部欠陥の推定

1−1 原理

 物体から放射されている赤外線の波長や放射率から物体表面の温度を測定。

 温度差から浮きを検出。

1−2 測定上の留意点

 パッシブ法は日射が少ない場合、温度差が小さく欠陥を判別し難いため、雨や曇りでの測定は見合わせること。

1−3 測定結果を活用する際の留意点

 測定した熱画像に、浮きによる温度差以外のノイズが含まれていないか、仕上げの色や室内からの熱漏れなど、測定箇所の部材仕様や環境状況を確認すること。

 考え方・・・同じアングルから撮影しても、測定した時間(周辺温度や日射量など)や撮影波長の違い(波長により拾うノイズも異なる)から、熱画像が大きく異なってきます。これらを総合的に判断することが必要です。ノイズの種類も非常にたくさんあり、地面や周辺建物、工作物等からの反射ノイズがあります。

2.(c)電磁波レーダー法によるかぶり厚さの推定

2−1 原理                             

 コンクリート内に電磁波を放射し、鉄筋で反射した電磁波の到達時間を測定することで、かぶり厚さを推定。

2−2 測定上の留意点

 図面や改修履歴等から、あらかじめ埋設物や配管等の位置を確認し、それらを避けて測定位置を決定すること。

2−3 測定結果を活用する際の留意点   

 測定した鉄筋のかぶり厚さが最外縁の鉄筋であるか、図面や2・3方向走査の結果から判断すること。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.6.25   専門事項 コンクリート構造

1.工法の概要

1. (b)赤外線サーモグラフィ法による内部欠陥推定

1−1 原理

 物体から放射される赤外線の波長や放射率から物体表面温度を測定し、その温度差から浮きを検出する。

1−2 測定上の留意点

 パッシブ法は日射が少ない場合、温度差が小さく浮きを判別し難いため、雨や曇りでの測定は取りやめ、

天候の良い別日に測定を行うこと。

1−3 測定結果を活用する際の留意点

 日なたと日陰が混在している外壁面の熱画像には、浮きによる温度差以外の温度分布ノイズが含まれているため、日なたと日陰を区別して浮きを判別すること。

2.(c)電磁波レーダー法によるかぶり厚さ推定

2−1 原理

 コンクリート内に放射した電磁波は鉄筋で反射する。その到達時間の測定から、かぶり厚さを推定する。

2−2 測定上の留意点

 かぶり厚さはコンクリートの比誘電率より推定するが、含水状態で比誘電率は異なるため、測定に先立ち比誘電率の算定手法を用いて比誘電率を補正すること。

2−3 測定結果を活用する際の留意点

 測定した鉄筋のかぶり厚さが最外縁の鉄筋であることを確認するため、既存図面や測定箇所の縦・横・斜め方向のレーダー走査の結果から複合的に判断する。

H30/2018年 建設・鋼コン Ⅱ−1−6 問題 模範解答と解説

問題  鉄筋コンクリート部材の体積変化に伴う初期ひび割れを2つ挙げ、それぞれの発生メカニズムを説明せよ。また、それぞれのひび割れについて、異なる視点での制御方法を2つずつ記述せよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 1回 2019.5.14   専門事項 コンクリート維持管理

1.体積変化に伴う初期ひび割れ

①乾燥収縮ひび割れ

②沈下ひび割れ

2.発生メカニズム

①乾燥収縮ひび割れ:コンクリートが硬化するまで、打設したコンクリート内の水分が徐々に蒸発し、体積が減少する事で発生する。

②沈下ひび割れ:コンクリート表面がまだ乾いていなかったり、硬化が進みすぎて、仕上げのタイミングが悪く、仕上げた後に鉄筋の周りが沈下して発生する。

 どうタイミングが悪いのですか。具体的に書くように。

3.制御方法

3-1乾燥収縮ひび割れ 

コンクリート中の水分を過大にせず、最少になるような水量で施工する。さらに、コンクリート打設後、表面に被膜養生材を塗布し水分の蒸発を防ぐ。

3-2沈下ひび割れ

材料分離抵抗性の高い高流動コンクリートを使用し、 ←どんな種類かを添えるように

材料が分離しないように、打込み高さや速度、順序に配慮する。

打込みの速度や高さ、順序に配慮すことでひび割れを制御することができる

 つまり何をどうするのですか。もう少し具体的に説明するように。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 0回 2019.5.22   専門事項 コンクリート維持管理

1.1乾燥収縮ひび割れのメカニズム

 コンクリート打設後、コンクリートが硬化するまでにコンクリート内の水分が表面から徐々に蒸発し、体積が減少する事でコンクリートが収縮し発生する。

1.2乾燥収縮ひび割れの制御方法

 ①乾燥収縮の小さい骨材や収縮低減剤、膨張材を使用する。

②コンクリート中の水分を過大にせず、最少になるような水分量で配合し打設する。

③コンクリート打設後、表面に被膜養生材などを塗布し、コンクリート表面からの水分の蒸発を防ぐ。

2.1沈下ひび割れのメカニズム

 コンクリート表面がまだ十分に乾いていない状態や、硬化が進みすぎている状態など仕上げのタイミングが悪く、仕上げた後に鉄筋の周りが沈下することで発生する。

2.2沈下ひび割れの制御方法

 ①材料分離抵抗性の高い高流動コンクリートや、単位水量を減らすために減水剤などを使用する。

②材料が分離しないように、打込み高さを低く、打設速度はゆっくりと、高さの違う部分では低いところから打つなど打設順序を配慮する。

③打設後数時間で終息するので、表面のブリーディング水を取り除き、再度、金コテなどで均し防ぐ。

模範解答4  (答案形式)  添削履歴 2回 2018.7.27   専門事項 コンクリート橋設計

1.乾燥収縮によるひび割れ

(1)メカニズム:乾燥収縮ひび割れは、コンクリートを製造する際に、セメントの水和で必要とするよりも多くの水が使用される。この水和に必要のない水は、コンクリートが乾燥すると大気中に放出されコンクリートは収縮する。

(2)制御方法:

①乾燥収縮ひび割れは、単位水量が多いと発生するため、単位水量を減ずる。これには水セメント比を小さくする。

②発生する乾燥収縮を相殺する膨張材を使用する。

2.外部拘束によるひび割れ

(1)メカニズム:コンクリート打設後、セメント水和熱によってコンクリートが膨張した後、温度降下によりコンクリートは収縮する。この時に下部に岩盤や既設コンクリートがあると自由な収縮が拘束され引張応力が発生し、この引張応力がコンクリート強度を超えることで、ひび割れが生じる。

(2)制御方法:

①コンクリート量が多いと内部温度が高くなり温度応力が発生する。このため、リフト高を通常の1.5〜3.0mよりも低い0.75〜1.0m以下とし温度応力を低減する。②引張応力に対する抵抗力を増強させる。これには例えば、ガラス繊維ネットなどの引張補強材を配置する。

H30/2018年 建設・鋼コン Ⅱ−1−7 問題 模範解答と解説

問題  

 環境負荷低減を図るために有効と考えられるコンクリート材料を、日本工業規格(JIS)において規定されるコンクリート用混和材から1つ、同じく日本工業規格(JIS)において規定されるコンクリート用骨材から1つ選び、それぞれについて、環境負荷を低減させる理由及びコンクリート構造物への適用を検討する際の留意点を記述せよ。

模範解答4  (答案形式)  添削履歴 2回 2018.7.30   専門事項 コンクリート橋設計

1.フライアッシュ

(1)環境負荷を低減させる理由: セメントは大量の石灰岩や粘土など自然を破壊して採掘される原料を焼成し製造される。このため、セメントと同様の効果が得られる産業廃棄物であるフライアッシュをセメントと置換する。これにより、環境破壊および製造時の二酸化炭素排出を抑制し環境負荷を低減できる。

(2)留意点: フライアッシュは未燃炭素含有量が多く含まれており、AE剤の吸着量が増大し連行空気量が減少し耐凍害性が低下する。これを防止するため、AE剤量は耐凍害性が得られる気泡間隔係数200〜250µmとなるAE剤量を混入する。

2.再生骨材

(1)環境負荷を低減させる理由:

コンクリートの産業廃棄物を削減し環境負荷低減に寄与できる。また、採石山などの骨材採取による環境破壊も低減できる。

(2)留意点:

再生骨材は、モルタル分が付着した状態で取り出され、その付着量は再生骨材毎に異なり吸水率や密度など品質がバラツキ、使用履歴も不明なものが多く使用するにあたりリスクが高い。これを回避するため、骨材のシリカ反応性試験で無害と判定された骨材や吸水率変動を抑制するため、プレウェッデイングしたものを使用する。

H30/2018年 建設・鋼コン Ⅱ−2−3 問題 模範解答と解説

問題  

 コンクリート構造物について、工期短縮を目的とする検討業務を行うことになった。あなたが担当責任者として業務を進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。

(1)現場打ち施工による工期短縮案及びプレキャスト化による工期短縮案を提案する上で必要とされる検討内容をそれぞれ延べよ。

(2)現場打ち施工による工期短縮案又はプレキャスト化による工期短縮案のうち1つを選び、その検討業務を進める手順について述べよ。

(3)(2)で述べた検討業務を進めるに当って、設計上及び施工上の留意事項をそれぞれ述べよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 4回 2019.5.17   専門事項 コンクリート維持管理

(1)工期短縮案としての検討内容

  ①現場打ち施工

早強セメントや高流動コンクリートなどの使用材料や最大日進量

  ②プレキャスト化

材料・形状や、使用車両、運搬方法、施工順序、省人化

(2)プレキャスト化による工期短縮案の検討業務手順

  ・プレキャスト化する部位・部材を特定する

  ・接合部の設計方法を決定する

・製作工場や運搬経路を確保する。

(3)設計上及び施工上の留意事項

  ①設計上の留意点

  ・施工性を高めるため接合部を減らし、設計応力が伝達できる設計とする。

  ・耐久性を確保した合理的な接合部の設計を行う。

②施工上の留意点

 ・接合部・継手部の品質確保に注意する。

 ・専門技術者を確保し、高品質な施工をする。

模範解答4  (答案形式)  添削履歴 2回 2018.7.30   専門事項 コンクリート橋設計

1. 現場打ち施工とプレキャスト化の工程短縮の検討  

(1)現場打ちの施工効率向上

 従来コンクリート工は、型枠組立、過密配筋部の締固めなどの労力と時間がかかる。このため、型枠製作、脱型手間が省く埋設型枠や締固め不要で過密配筋内に容易に充填できる高流動コンクリート等の各要素技術を検討する。

(2)プレキャスト化

 工程短縮するには、プレキャスト部材の接合手間を低減する大型化、それに伴う重量増加を軽減し、運搬上の制約を回避する軽量化を検討する。

2.プレキャスト化による工程短縮の業務手順

①運搬上の制約を受けずにプレキャスト部材を現場内で製作できるサイトプレキャストを検討する。

②①に対応できる揚重施設の設置地盤を改良する。

③施工箇所直近まで運搬するため、運搬路を改良する。

④①が困難な場合、道路交通法(重量、寸法)の制約内でプレキャスト部材の最大化を図る。これには、部材を軽量化できる軽量コンクリートで製作する。 

⑤現場内小運搬を計画する場合は、施工箇所の最短距離でストックヤードを確保する。

⑥⑤が難しい場合、施工箇所で横取りできるように運搬路を改良する。

⑦部材の大型化に対応できる揚重施設の設置できるように地盤改良する。

3.業務を進めるための設計、施工上の留意点

(1)設計上の留意点

 軽量コンクリートで製作したプレキャスト部材は衝撃に弱いため、隅角部は面取り幅を大きくし、衝撃を受ける箇所は用心鉄筋を配置する設計とする。

 サイトプレキャストは、通常の工場製作と比較して製造設備が劣るため、部材形状が複雑な場合は、締固めなどに手間がかかる。このため、単純な形状に採用し、複雑な形状部材は工場製作にするなど製作手法を組合せる計画とする。

(2)施工上の留意点

 プレキャスト部材の接合部の水密性を確保するため、接合部に全周連続する水膨張性のシール材を設置するが、この内圧により接合部にひび割れが生じる。これを防止するため、膨張によるシール材の断面高はコンクリートの引張強度を超えない高さとする。

プレキャスト部材を製作する場合は、高強度コンクリートを使用する。高強度コンクリートはセメント量が通常より多く使用するため、アルカリ量が高く、ASRを引き起こすおそれがある。これを防止するため、ASR抑制効果のある混合セメントの使用やシリカ反応試験で無害と判定された骨材を使用する。

解説

「3.業務を進めるための設計、施工上の留意点」は最も難解な問題です。

論点を明確にするため、「設計上の留意点」と「施工上の留意点」と宣言して述べるのもよいでしょう。

 ただし、下記のような、よくある一般論的な工事の留意点になってはいけません。

 工程短縮には、発注からの納期までの期間短縮が必要になる。このためプレキャスト部材の製作スピードを向上させることに留意する。これには例えば、所定強度の発現までの期間を短縮できる早強コンクリートや養生期間を短縮できる蒸気養生にて製造設計する

ここは、漠然と留意点を述べるのではなく、2の内容について述べるように

 また一方、下記のように施工法のディテールについての話に陥るのも、広い視点を失ったみたいで好ましくありません

 大型のプレキャスト部材を手早く設置するには、対応できる大型の揚重施設が必要である。このため設置箇所は、吊り荷重と揚重施設の自重に耐え得る地盤支持力でなければならない。これには例えば設置箇所の地盤支持力を調査し支持力が不足する場合は、石灰やセメント等による地盤改良を実施した上で鉄板を敷き揚重施設の安定化を図る。これにより大型部材の設置・接合の機械施工による工程短縮が実現できる。

 ここは、手段的話ではなく、コンクリートの本質をつく留意点としてください。

H30/2018年 建設・鋼コン Ⅲ−3 問題 模範解答と解説

問題  

Ⅲ−3 我が国では、近年、異常気象による豪雨や豪雪、火山の噴火、地震等による自然災害が頻発している。このような中、国民の安全を守るためには、より一層の防災・減災対策を行っていく必要がある。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)建設部門に携わる技術者として、多様な観点から、検討すべき項目を挙げよ。

(2)(1)の検討すべき項目に対し、コンクリートに携わる技術者として、あなたが重要と考える技術的課題を2つ挙げ、その解決策をそれぞれ記述せよ。

(3)(2)で提示して解決策について、その効果と想定されるリスクやデメリットをそれぞれ記述せよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 4回2021.6.4  専門事項 コンクリート維持管理

(1)防災・減災対策を行っていく上での検討すべき事項

 1)重要構造物の耐震補強化

  想定外の巨大地震等の大規模災害発生時、道路橋や鉄道橋等の被災により、人流・物流が寸断されないように、重要構造物の耐震補強化について検討

2)膨大な老朽化インフラの維持管理

東日本大震災、熊本地震では老朽化インフラが崩壊しやすい傾向が見られたため、限られた予算・担い手の中で膨大な老朽化インフラの維持管理について検討

 3)既設インフラの機能強化

過去の自然災害では逃げ遅れにより多くの犠牲者を出しているため、住民の逃げる時間を稼ぐ粘り強い構造等の既設インフラの機能強化について検討

(2)最も重要と考える課題と解決策

 1)−1 課題(重要構造物の耐震補強化)

将来、首都直下型地震や南海トラフ地震が想定され、道路及び鉄道の橋脚耐震補強が急務であるため、重要構造物の早急な耐震補強化が必要

 1)−2 解決策(早急な耐震補強)

  耐震補強工法として、プレキャストパネルを橋脚周りに設置し、プレストレスを導入する工法を適用

 2)−1 課題(膨大な老朽化インフラの維持管理)

限られた予算・担い手で膨大な老朽化インフラに対応するためには、既存インフラのストック機能を最大化し、機能強化を図ることが必要

 2)−2 解決策(社会資本ストックの最大化)

  既設ダムの嵩上げ等による既存ストックの最大発揮、高速道路を避難のための高台として利用した既存ストックの多機能化を図る

(3)効果と想定されるリスクとデメリット

1)

2)

国土交通省の資料だけを調べ上げるだけでは答えは出ません。

昨年はBIM/CIMと性能規定の2本立ては難問のため苦労されました。

しかし、BIM/CIMについてご経験がなければ、性能規定で勝負するしかないのではありませんか。

なぜ答案練習を性能規定で解くことをためらっていらっしゃるのでしようか。

性能規定は古くからある課題であって、特別ご経験がなくても回答することは可能です。

難しいと思わないで、性能規定の意味をお考えになって、チャレンジされてください。

このくらいの応用力がないと、予想に当たり外れもありますので安心できません。

H30,2018年の古い問題を解かれても、傾向が異なるため、2021年、今年の試験の練習にはなりません。

答案に書かれた内容が「ご自身でやりたいこと」とか「国がやりたい事」などと書かれていらっしゃいますが、この認識はやや違うと思います。

技術試験で問いかけるのは「やりたいこと」ではなく、「必要なこと」、「しなければならないこと」これだけです。

社会ニーズから考えて、今何が求められているかを感じ取る必要があります。

社会が必要としているから、技術士が提案する価値があるのです。

技術士業務とは経済行為と密接につながったものだとお考え下さい。

そのような観点でテーマを探すようにお願いいたします。

また添削結果について、「課題が全て間違いと指摘されて困惑」されているとのことですが、その理由はメールにも書きました通りです。すべては合格するための指導です。

鋼コンのⅢ問題なのに、コンクリートの視点で解けていなければ、試験にならないという意味です。

試験科目に、必須と選択があり、それぞれ何を判別するための試験か、性格があり、その違いを考える必要があります。

過去問の鋼コンの模範例をご要望されていらっしゃいましたが、本講座のホームページ上に公開しております。

HPの左メニュー「模範解答」から見ることができます。予想問題もあります。

最新の問題の模範解答は、受講者様には試験前に配布いたします。(ホームページには試験終了まで掲載いたしません)

H30/2018年 建設・鋼コン Ⅲ−4 問題 模範解答と解説

模範解答4  (答案形式)  添削履歴 13回 2018.9.21   専門事項 コンクリート橋設計

1.ハード面でのコンクリート構造物の生産性向上

(1)重要と考える技術的課題:

コンクリート工へのプレハブ技術の導入

(2)理由:

従来のコンクリート工は、現場で足場設置、鉄筋組立、型枠製作、養生など多くの作業工程を要する問題がある。そこで、この現場作業の一部をプレハブ化することで施工スピードの向上や省力化などコンクリート工の効率化が可能である。

(3)解決策:

各種部品のプレハブ化 

a)埋設型枠とプレハブ鉄筋の活用する

埋設型枠と先組プレハブ鉄筋を組合せて、型枠、鉄筋組という主要な現場作業を合理化する。鉄筋のプレハブ化は、鉄筋の配筋・結束作業を冶具や自動溶接、クレーン等の設備工場で製作する。埋設型枠は、鋼製型枠、高周波バイブレータ、コンクリートプラント、熟練技術者による仕上、コンピュータ制御による高温蒸気養生などの設備で工場製作する。

b)プレハブ部品を大型化する

大型化したプレハブ部品を主体とした設計とする。これによりプレハブの組立回数を減らし省力化と施工スピードが向上する。

2.ソフト面でのコンクリート構造物の生産性向上

(1)重要と考える技術的課題:

3D-CAD技術の応用による過密配筋部の部材干渉回避

(2)理由: 

 近年建設分野で利用が進んでいるCIMを利用し、その一部である3D-CADを活用すれば材料の3次元位置が無理なく確認できる。計画時に後工程で生じるコンクリート工の問題を可視化し、集中的に検討対策することで部材配置を最適化し設計・施工の合理化が図れる。

(3)解決策: 

CIMの一部である3D-CADを利用した可視化

①設計段階では、設計構造物の基礎、柱、梁、壁等の部材取合部の鉄筋重なりや輻輳箇所を改善し締固めやコンクリート充填などの施工性を向上させる。

②施工段階では、既設構造物、民地境界、使用機材などの施工条件を可視化したシミュレーションにより打込み・締固めを合理化する型枠窓の設置や施工性を向上させる足場配置とする。

3.解決策の効果と想定されるリスク、デメリット

(1)各種部品のプレハブ化

a)効果:

①現場の鉄筋組立、型枠製作・脱型手間を省略。

②コンクリート表層部の高品質化。

b)リスク:

①プレハブ部材据付け時の挟まれ事故や高所作業時のプレハブ重量物の衝突による墜落・転落など労働災害が発生する。

②埋設型枠は高温蒸気養生をおこなうため、DEF(エトリンガイト遅延生成)による膨張破壊が発生する。

c)デメリット:

①従来工法よりコストが高い。

②工場製作する場合は、運搬上の制約を受ける。

(2)CIMの一部である3D-CADを利用した可視化

a)効果:

①3D-CADの数量切出し機能によりコンクリート、チッピング、型枠、鉄筋数量を容易かつ正確に算出できるため材料ロスがなくなる。従来は測点管理のため測点間の凹凸は考慮できないが3D-CADは面管理できる。

②型枠・鉄筋組、打込み困難箇所は、事前シミュレーションによりコンクリート骨材の通過性やバイブレータ挿入等の施工性を確保した設計となる。

b)リスク:

CIMは、3次元形状情報、属性情報などを格納したデータシステムである。このため、システム障害によるデータの取出不能やコンピューターウィルスによりデータ破壊が起こる。

c)デメリット

①3次元モデルを扱える技術者の人材育成と費用が必要になる。

②CIMは計画から施工、維持管理まで膨大な情報を格納するデータシステムため、従来よりも高スペックなハードウェアが必要になる。

解説

「2.ソフト面でのコンクリート構造物の生産性向上」では本質的なコンクリート工学の技術が現れていて結構です。一方、3.解決策の効果と想定されるリスク、デメリット、(2)CIMの一部である3D-CADを利用した可視化」では、下記のようにコンクリート設計施工の技術そのものではなく、ソフトの概念であるCIMにリスクが集約されています

b)リスク:

CIMは、3次元形状情報、属性情報などを格納したデータシステムである。このため、システム障害によるデータの取出不能やコンピューターウィルスによりデータ破壊が起こる。

 しかし、これはCIMのシステムの弱点であって、コンクリート設計や施工に関する提案の基本概念に由来するものではありません。ある意味で筋違いともとられかねません。

H30/2018年 建設・都市地方計画 Ⅱ−1−1 問題 模範解答と解説

 都市計画法に定められている市街化区域、市街化調整区域をそれぞれ説明し、都市計画に区域区分を定める目的を述べよ。また、都市計画に区域区分を定めた場合に生ずる法律上の効果を2つ挙げ、それぞれ概要を述べよ。

模範解答2 (簡易形式1)  添削履歴 1回 2019.6.7   専門事項 都市交通施設

1.市街化区域、市街化調整区域の概要

①市街化区域:

無秩序な市街地を防止し、良好な都市形成を行うために、都市計画区域を優先的かつ計画的に市街化すべき区域

⇒市街化区域は「すでに市街地を形成している区域」および「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」であり、少なくとも「用途地域」が定められる。

②市街化調整区域:

用途地域を定めない当面市街化を抑制すべき区域

⇒市街化調整区域は「市街化を抑制する区域」であり、用途地域を定めないことが原則である。自治体などによる都市基盤の整備もしないことが原則で、整備される場合でもあまり積極的なものではない。

2.区域区分を定める目的

当該都市の発展の動向、当該都市計画区域における人口及び産業の将来の見通し等を勘案して、産業活動の利便と居住環境の保全との調和を図りつつ、国土の合理的利用を確保し、効率的な公共投資を行うことのできるよう定めること

⇒都市計画区域と都市計画区域外に分かれ、このうち前者の半分が非線引き都市計画区域、残りが市街化区域・市街化調整区域となる。

 非線引き区域では建築の制約は緩やかで、無秩序な開発が行われる可能性がある。これにより町の景観や賑わい等に不均一が生じる可能性がある。これらを避けるために、区域区分を定めるものである。

3.区域区分を定めた場合に生ずる法律上の効果と概要

(1)効果①:土地利用の計画的誘導

概要:用途地域が定められ無秩序な用途の混在の防止等がなされる

  ⇒これにより地域防災力の向上、治安の維持、均一な景観等を守ることができる。

(2)効果②:効率的な公共投資

概要:道路・公園及び下水道が定められる

    ⇒開発行為は個別に点在して行うことに対し、地区を集約することでスケールメリットを発揮し、コストダウンを図ることが可能である。また、一定程度まとまった整備を行うことにより維持管理についても効率的に実施できる。

H30/2018年 建設・都市地方計画 Ⅱ−1−2 問題 模範解答と解説

 都市計画法に定められている市街化区域、市街化調整区域をそれぞれ説明し、都市計画に区域区分を定める目的を述べよ。また、都市計画に区域区分を定めた場合に生ずる法律上の効果を2つ挙げ、それぞれ概要を述べよ。

模範解答2 (簡易形式1)  添削履歴 2回 2019.6.10   専門事項 都市交通施設

1.市街化区域、市街化調整区域の概要

①市街化区域:

無秩序な市街地を防止し、良好な都市形成を行うために、都市計画区域を優先的かつ計画的に市街化すべき区域

⇒少なくとも「用途地域」が定められる。

②市街化調整区域:

用途地域を定めない当面市街化を抑制すべき区域

⇒用途地域を定めないことが原則である。

都市基盤の整備もしないことが原則で、整備される場合でもあまり積極的ではない。

2.区域区分を定める目的

当該都市の発展の動向、当該都市計画区域における人口及び産業の将来の見通し等を勘案して、産業活動の利便と居住環境の保全との調和を図りつつ、国土の合理的利用を確保し、効率的な公共投資を行うことのできるよう定めること

⇒非線引き区域では建築の制約は緩やかで、無秩序な開発が行われる可能性がある。これにより町の景観や賑わい等に不均一が生じる可能性がある。これらを避けるために、区域区分を定めるものである。

3.区域区分を定めた場合に生ずる法律上の効果と概要

(1)効果①:土地利用の計画的誘導

概要:用途地域が定められ無秩序な用途の混在の防止等がなされる

  ⇒これにより地域防災力の向上、治安の維持、均一な景観等を守ることができる。

 (2)効果②:効率的な公共投資

概要:道路・公園及び下水道が定められる

    ⇒開発行為は個別に点在して行うことに対し、地区を集約することでスケールメリットを発揮し、コストダウンを図ることが可能である。また、一定程度まとまった整備を行うことにより維持管理についても効率的に実施できる。

H30/2018年 建設・都市地方計画 Ⅱ−1−3 問題 模範解答と解説

良好な景観形成に資する建築物の規制・誘導手法として次の3つの制度について、それぞれの概要を述べよ。

(1)景観計画

(2)地区計画

(3)建築協定

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 7回 2018.11.19   専門事項 都市施設設計

1. 景観計画とは

自治体が定める良好な景観の形成の計画のこと。景観との調和効果を狙って、建築様式の制限を定めている。たとえば京都市では町屋等の風情と融合して景観維持の効果を得るため、景観の歴史的要素として開口部の格子戸などを特定して定めている。

2.地区計画とは

住民と市町村が連携し、街づくりを進める計画のこと。敷地細分化を防止する効果を狙って、必要な道路等を地区施設に位置づけ、公共空間を確保する。例えば横浜市では敷地面積の最低限度を定めている。敷地面積低下には容積率や高さの最高限度を上げた居住面積の緩和で誘導する。

3.建築協定とは

土地所有者等同士が承認し、特定行政庁の認可で第三者効を付与し街を保全する制度のこと。形態規制効果を狙い、環境を維持する。例えば大阪市では後退距離の指定でゆとりある空間創出効果を得ている。建物面積低下に対して容積率や高さの緩和がされる場合もある。 

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 5回 2018.12.22   専門事項 都市施設設計

1.  

景観計画とは

自治体か定める良好な景観の形成の計画のこと。景観との調和効果を狙って、建築様式の制限を定めている。たとえは京都市ては町屋等の風情と融合して景観維持 の効果を得るため、景観の歴史的要素として開口部の格子戸等を特定して定めている。虫食い状空き家の補完が課題である。

2.地区計画とは

住民と市町村か連携し、街つくりを進める計画のこと。敷地細分化を防止する効 果を狙って、必要な道路等を地区施設に位置つけ、公共空間を確保する。例えは横浜市ては敷地面積の最低限度を定めている。敷地面積低下には容積率や高さの最高限度を上けた居住面積の緩和て誘導する。住民との合意形成が課題である。

3.建築協定とは

土地所有者等同士か承認し、特定行政庁の認可て第三者効を付与し街を保全する制度のこと。形態規制効果を狙い、環境を維持する。例えは大阪市ては後退距離の指定てゆとりある空間創出効果を得ている。建物面積低下に対して容積率や高さが緩和される場合もある。協定隣接地との景観の融合が課題である。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.1.18   専門事項 都市施設設計

1.景観計画とは

自治体が定める良好な景観形成の計画のことを指し、地域の歴史的景観との調和効果を目指して建築様式の制限を定めている。京都市など歴史的要素が残る都市では、町屋等と新しい建物が融合した景観維持効果を得るため、開口部の格子戸等景観を特徴付ける意匠を規定している。街が歯抜けにならないよう空き家の用途が決まるまでの外観の維持・継承が課題である。

2.地区計画とは

住民と市町村が連携し、街づくりを進める計画のことを指し、敷地細分化を防止する効果を目指して、必要な道路等を地区施設に位置付け、公共空間を確保する。横浜市などの住宅街では敷地面積の最低限度の設定を行う代わりに、容積率を向上して延べ床面積を確保しつつ、防災性を高めるため道路の幅員を広げる。公共施設も含めたゆとりある街づくりのため、合意形成に向けた住民同士のコミュニティ形成が課題である。

3.建築協定とは

土地所有者等同士が承認し、特定行政庁の認可で第三者効を付与し街を保全する制度のことで、形態規制効果を得るため環境を維持する。住民が地域価値向上を目指す住宅街で、後退距離の指定でゆとりある空間創出効果をねらって環境を維持する。居住地域の価値を向上する協定運営を行うため、運営委員会等の居住者組織の育成が課題である。

H30/2018年 建設・都市地方計画 Ⅱ−1−4 問題 模範解答と解説

都市緑地法に基づく次の制度ついて、それぞれの概要を述べよ。

(1)緑地協定

(2)緑化地域

(3)認定市民緑地

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 10回 2018.11.22   専門事項 都市施設設計

1. 緑地協定とは

都市緑地法に基づく制度で、住民自身による緑地の保全や協定を締結する制度のこと。住民主導で緑化を行い、環境・景観レベルが向上する効果がある。足並みがそろわないと効果が上がらないため、住民同士の緑化コンクール等普及啓発が求められる。

2.緑化地域とは

必要な緑地が不足する地区を都市計画の地域地区として指定し、新築時等に敷地面積の一定以上の緑化を義務付ける制度のこと。行政主導で緑を創出する効果がある。まとめるには、民間施設に屋上緑化の助成や容積率割増等支援が求められる。

3.認定市民緑地とは

緑地保全・緑化推進法人が民有地において緑地を設置・管理し地域住民が使える緑地として公開する制度のこと。官民連携で土地所有者に減免・支援措置を設け、緑地を創出する効果がある。市街地で緑地空間を確保するため、需要が減った土地開発の代替に緑地としてまとまった土地の所有者と管理者、市町村をマッチングさせる。

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 4回 2018.12.24   専門事項 都市施設設計

1.  緑地協定とは

都市緑地法に基つく制度て、住民自身が緑地の保全や協定を締結する制度のこと。住民主導て緑化を行い、環境・景観レヘルか向上する効果かある。足並みか揃わないと効果か上からないため、住民同士の緑化コンクール等普及啓発か求められる。相続緑地の継続的維持が課題である。

2.緑化地域とは

必要な緑地か不足する地区を都市計画の地域地区として指定し、新築時等に敷地面 積の一定以上の緑化を義務付ける制度のこと。行政主導て緑を創出する効果かある。まとめるには、民間施設に屋上緑化の助成等支援か求められる。緑の可視化のため接道長相応の支援が課題である。

3.認定市民緑地とは

緑地保全・緑化推進法人か民有地で緑地を設置し、住民か使えるよう公開する制度のこと。官民連携て土地所有者を支援し、 緑地を創出する効果かある。市街地て緑地空間を確保するため、需要か減った土地開発の代替にまとまった緑地の所有者と管理者をマッチンクさ せる。功績がある管理者を表彰し、管理の質向上が課題である。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.1.14   専門事項 都市施設設計

1.緑地協定とは

緑地協定とは都市緑地法に基づく制度で、住民自身が緑地の保全や協定を締結する制度をさし、住民主導で緑化を行い、環境・景観レベルが向上する効果がある。土地区画整理や大規模開発等を行わずに、住民が自主的に宅地内緑地を増やすことがねらいである。建て替えに伴う建ぺい率増加で敷地内緑地が減少するため、相続する際の緑地の維持が課題である。

2.緑化地域とは

必要な緑地が不足する地区を都市計画の地域地区として指定し、新築時等に敷地面積の一定以上の緑化を義務付ける制度のことで、行政主導で緑を創出する効果がある。密集市街地等緑化が困難な地域の解消がねらいである。地域の緑化を牽引する緑化リーダーのような人を育成し、緑を通じた交流による緑地拡大が課題である。

3.認定市民緑地とは

緑地保全・緑化推進法人が民有地で緑地を設置し、住民が使えるよう公開する制度のことで、官民連携で土地所有者を支援し、緑地を創出する効果がある。空き地を活用した地域の核となる緑地の創出がねらいである。緑地の永続的な維持のため、公園を民間管理するP-PFI等の収益施設複合型の緑地整備が課題である。

H30/2018年 建設・都市地方計画 Ⅱ−2−2 問題 模範解答と解説

  人口減少・少子高齢化が進むとともに、財政制約が高まりつつある都市において、今後も緑とオープンスペースの確保とその活用に関する施策を、総合的かつ戦略的に進めていくために、あなたが担当責任者として緑の基本計画の見直しを行うこととなった。以下の内容について記述せよ。

(1)この都市の現状から想定される緑とオープンスペースに関する課題

(2)(1)の課題を踏まえた、緑の基本計画の見直しの手順とその内容

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 12回 2018.11.4   専門事項 都市施設設計

1. 都市の現状から想定される緑とオープンスペースに関する課題とは

1)緑地等の再配置によるにぎわい創出

都市のスポンジ化により、空き地が利用されないことが問題点である。そのため、地権者が空き地を庭として貸し、利用者が管理し合うことを通じ交流を創出する。

2)官民連携による質の高い緑地の提供

行政の画一的な緑化だけでは市民が望む有益な緑地を作れないことが問題点である。そのため、道路沿いの緑地と民地を融合した、人々が交流する緑地を提供する。

3)公園等の継続的な維持管理

公園等は、人手不足で行政の管理だけでは維持できないことが問題点である。そのために、民間事業者が公園内に収益施設を設置し公共部分も含む維持管理を行う。

2.緑の基本計画の見直しの手順とその内容

1)緑地の拠点の集約化

空き地活用のため、市民緑地認定制度で空地を集約し、市民交流を目的とした共有の庭を拡充する。

2)拠点をつなぐ緑化のネットワークを設計する

緑のネットワーク形成のため、街路樹とセットバックした民有地を融合した緑の風の軸を作り、市民が緑地を介して清掃等で交流し合うよう街区内を設計する。

3)経済的手法で永続的に維持管理できるようにする

公園等緑地の管理軽減のため、公募設置管理制度等でカフェなど収益施設の利益で、維持管理費を負担して公園等緑地管理の永続性を担保する。

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 2回 2018.12.28   専門事項 都市施設設計

1.  都市の現状から想定される緑とオープンスペースに関する課題とは

1)緑地等の再配置によるにぎわい創出

都市のスポンジ化により、空き地が利用されないことが問題点である。そのため、地権者が空き地を庭として貸し、利用者が管理し合うことを通じ交流を創出する。

2)官民連携による質の高い緑地の提供

行政の画一的な緑化だけでは市民が望む有益な緑地を作れないことが問題点である。そのため、道路沿いの緑地と民地を融合した、人々が交流する緑地を提供する。

3)公園等の継続的な維持管理

公園等は、人手不足で行政の管理だけでは維持できないことが問題点である。そのために、民間事業者が公園内に収益施設を設置し公共部分も含む維持管理を行う。

2.緑の基本計画の見直しの手順とその内容

1)緑地の拠点の集約化

これまで大規模公園整備により面的な緑地拡大を図ってきたが、市民交流の多様化の観点から市民緑地の対象を公園に限らず農地等とする。具体的には、空き地活用のため、土地所有者と民間セクターが連携した市民緑地認定制度で空地を集約し、市民交流を目的とした共有の農地や庭を創出する。

2)拠点をつなぐ緑化のネットワークを設計する

これまで街路樹や河川など公的緑地空間整備により連続的な緑地拡大を図ってきたが、公園等減少による市民交流機会の不足から緑地の景観機能に交流機能を付加する。具体的には、緑のネットワーク形成のため、民設公営の街路樹とセットバックした民有地を融合した緑の風の軸を作り、市民が緑地を介して清掃等で交流し合うよう街区内を設計する。

3)経済的手法で永続的に維持管理できるようにする

これまで公園等緑地の維持管理は行政が主体的に行ってきたが、財政状況の悪化により管理主体を行政から民間に移行する。具体的には、公園等緑地の管理軽減のため、PFIを活用した公募設置管理制度等でカフェなど収益施設の利益で、維持管理費を負担して公園等緑地管理の永続性を担保する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.1.16   専門事項 都市施設設計

1.緑とオープンスペースの課題とは

1)空き地緑化でにぎわい創出

都市のスポンジ化により、空き地が利用されないことが問題点である。空き地を活用して地域活性化するため、地権者が空き地を庭として貸し、利用者の管理を通じて交流を創出する。

2)官民連携した緑地の提供

行政の画一的な緑化だけでは市民が望む有益な緑地を作れないことが問題点である。散策を通じた市民交流を目指し、道路沿いの緑地と民地を融合した、人々が外に出かけたくなる緑地を提供する。

3)公園等の継続的な維持管理

公園等は、人手不足で行政の管理だけでは維持できないことが問題点である。行政に頼らない緑地の継続的な維持を目指し、民間事業者が公園内に収益施設を設置し公共部分も含む維持管理を行う。

2.緑の基本計画の見直しの手順とその内容

1)緑地の拠点を集約化する

大規模公園整備により面的な緑地拡大を行ってきたが、市民交流の多様化の観点から緑地の対象を公園に限らず農地等とする。具体的には、空き地活用のため、土地所有者と民間セクターが連携した市民緑地認定制度で空地を集約し、交流を目的とした共有の農地や庭を創出する。留意点は、農業を始める市民に対して支援する援農ボランティアのような人の育成である。

2)緑化のネットワークを設計する

街路樹等の公的緑地空間整備により行ってきた従来型の緑地から、市民交流の機会を増やすため緑地の景観機能に交流機能を付加する。具体的には、緑のネットワーク形成のため、街路樹とセットバックした民有地を融合した緑の風の軸を作り、市民が緑地を介して交流する街区を設計する。留意点は、公共緑地が永続的に管理出来るよう、市民等が緑地の維持に必要な費用を負担するスポンサー花壇制度等の法整備である。

3)永続的に公園等緑地を維持管理する

公園等緑地の維持管理は行政が主体的に行ってきたが、財政状況の悪化により管理を行政から民間に移行する。具体的には、緑地の管理軽減のため、PFIを活用した公募設置管理制度等でカフェなど収益施設の利益で、管理費を負担して緑地管理の永続性を担保する。留意点は、人が集まるよう企画時から官民連携したまちづくり組織が介入し、市民市場等のイベントを企画することである。

4)緑地が活性化するよう組織化する

 行政が主体的に町内会等と連携して緑地を維持してきたが、地域の価値低下を抑制するため市民主体とする。具体的には、市民ボランティアが公共緑地等を美化し、行政が道具等の提供を行う。留意点は、市民が自主的に緑化を行えるよう道路沿いに植樹桝を設ける等、市民組織の活動の場を行政が提供することである。

模範解答2 (簡易形式1)  添削履歴 2回 2019.06.23   専門事項 都市施設設計

1.この都市の現状から想定される「緑とオープンスペース」に関する課題

①緑地の重要性を示すとともに、費用対効果を定量的に計測することで必要性を示す

②地域特性に応じたゾーニングにより、必要な緑地等を確保する(臨海部では海とのつながり、市街地では賑わい交流)

③まちづくりの方向性である賑わい交流軸と絡めた緑地の計画、市街地の区画整理等とあわせた緑地の確保

2.緑の基本計画の見直しの手順とその内容

①見直し対象(区域)の選定(ステップ1)

対象地域として抽出される地域について、市の方針とマッチングさせて優先順位が高い地域を抽出する(賑わい交流軸の確保、臨海部の活性化)。

②必要性の検証(ステップ2)

尼崎市の強み(交通利便性、海が近い)と弱み(工業中心かつ、幹線道路が市の中心を通っているため環境面・安全面が低い)を踏まえた上で、弱みを改善しつつ、強みを強化することと整合性が高いものを特に必要性が高い地地域とする。

※これらのベースには市民ニーズ等の実態把握結果がある

③実現性の検証(20 年後の将来)(ステップ3)

・ステップ2において必要性が高いと判断した区域について、整備の実現性を検証

具体的には、増加するインバウンド観光に対して、神戸空港や関西空港から尼崎の臨海部の賑わい拠点に人を呼び込み、ヘルスツーリズムを実現する。そのためには、禁煙増加するインバウンド観光の主目的、今後の目的の変化等を捉えることが重要。

3.実効性の高い計画とするための工夫又は留意すべき事項

l  近畿圏内では、例えば堺臨海工業地帯があるが、同様に臨海部が埋め立てられ、鉱業中心となり緑地が十分に確保できていない。緑地を確保することは市有地等を活用し、維持管理を民間に委託している。整備のみならず、その後荒廃しないような運営面での留意を行う。

l  計画段階では学識者等に確認、設計段階では具体的な絵姿をもって住民説明、整備段階では運営事業者との調整することで、絵にかいた餅にならないように留意する。

l  インバウンド等については、尼崎市単独で考えるだけでは、需要の取り合いになることから、関西の拠点である大阪は勿論のこと、神戸など交通結節点となる所在市と連携調整のうえ、誘致の方法を考えるべきである。具体的には、単独拠点でのツーリズムを企画するのではなく、訪日からのツアーの中に組み込んでいくことが望ましい。これについては、JTB等の旅行会社に専門家の視点からアドバイスを得ることで、実効性を高める。

H30/2018年 建設・都市地方計画 Ⅲ−1 問題 模範解答と解説

 空き地・空き家等の低未利用地が時間的・空間的にランダムに発生する「都市のスポンジ化」が進行している都市において、あなたが担当責任者として立地適正化計画を策定し、コンパクトシティの推進を図ることとなった。以下の問いに答えよ。

(1)都市のスポンジ化が進む背景とそのような地域が持つ課題について述べよ。

(2)立地適正化計画において定めようとする都市機能誘導区域及び居住誘導区域内でスポンジ化が進行している場合、計画を実現するために必要となる取組について複数提案せよ。

(3)(2)で述べた取組を実施するに当たって考慮すべき事項と対応方策を述べよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 7回 2018.12.20   専門事項 都市施設設計

1.  市のスポンジ化が進む背景と課題

1)背景

少子高齢化の影響で、高齢者世帯が居住していた住宅や敷地がランダムに低未利用地化する。また、単身者向けアパート等が過剰供給されている。さらに、密集市街地での狭隘道路や変形敷地で建て替えが困難であることが都市のスポンジ化の背景である。

2)課題 

まちなかや公共交通沿線等への集約・再配置、 エリア価値の向上に資する交流施設等の整備、低未利用土地等を生かした防災性の向上が課題である。

2.立地適正化計画を実現するための取組

2-1都市機能誘導区域

①駅前拠点再開発に合わせたPPPによる公営住宅・医療施設等の機能集約

②サブリースを活用した空き家商店街での交流施設創設。

2-2居住誘導区域内

①BRTにより市街地と居住地拠点を結んで街なかとの回遊性強化

②公的不動産を活用した交流センター創設による地域拠点整備

3.(2の取り組みを巧みに行う上での提案として)考慮すべき事項と対応方策

1)市場流通を促す事業者への支援

サブリースにおいて、空き家の市場流通を促進するよう考慮すべきである。この際、社会起業家等の事業者が事業計画を策定することで、行政が支援することが重要である。

2)居住者の利便性向上に向けた交通沿線まちづくり

BRTをはじめとした交通軸線上に沿って居住地域周辺に医療、子育て施設等生活支援機能を集約し、居住者の利便性向上を考慮する。この際、交通事業者と行政が協力し、交通沿線まちづくり方針の策定を行い都市マスタープランに組み込むことが重要である。

3)高齢者が安心して暮らせる地域包括ケアの構築

小学校区を基本に、高齢者が安心して住み慣れた地域単位で医療・福祉サービスを受けられる地域拠点を整備するようにする。この際、使われていない廃校等公共施設を活用したエリアマネジメントで地域包括ケアを構築することが重要である。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.1.18   専門事項 都市施設設計

1.都市のスポンジ化が進む背景と課題

1)高齢者に起因する空き家の未利用地化の進行

誘導区域への人口密度を高めるため、まちなかや公共交通沿線等へ集約・再配置し、都市機能誘導区域と居住誘導区域をつなぐ交通ネットワーク整備を行う。

2)供給過多となった集合住宅等の増加

既存ストック活用のため、エリア価値の向上に資する交流施設や、地域の福祉を維持向上する地域包括ケアの整備を行う。

3)建て替え困難な密集市街地の増加

地域が主体となって再開発を行い、不燃市街地を形成するため、地区計画や土地区画整理事業により道路等都市施設を含めたオープンスペースを含む防災拠点整備を行う。

2.立地適正化計画を実現するための取組

2-1都市機能誘導区域

①公共交通沿線拠点への誘導施設誘致

コンパクトシティ化を推進するため、再開発で行政が施設整備後に民間が運営する公設民営方式で、公営住宅・医療施設等の機能集約を行う。富山市では、再開発ビルと合わせて全天候型の広場を整備し、公共交通機関に割引を設けて高齢者を市街地へ取込んでいる。

②空き家活用のサブリースによる交流施設新設

積極的に空き家の利活用を促進するため、サブリースを活用した空き家の商店街での宿泊等体験型ツーリズム事業により交流施設を創設する。大阪市では工場等の空き家をホテルにし、外国人等の旅行客が地域と交流する場を提供している。

2-2居住誘導区域

①BRT新設による居住誘導区域拡大

郊外の居住誘導区域への交通ネットワーク整備のため、行政が施設を整備して事業者が運営する公設民営方式のBRTで、居住地と街なかの回遊性を強化する。

日立市では、地域住民が主体的なまちづくりを進められるよう、住民や企業団体等で構成するサポーターズクラブが運行ダイヤ等の検討を行っている。

②既存の公的不動産を活用した地域拠点整備

多世代交流による地域の福祉事業を支援するため、地域再生計画による支援措置で公的不動産に公設民営方式の交流センターを創設し、地域拠点を整備する。寝屋川市では、廃校を交流センターにコンバージョンして生涯学習を通じた世代間交流を実施している。

3.考慮すべき事項と対応方策

1)地域住民が移動しやすい駅周辺開発

健康増進のライフスタイル形成をねらって、再開発計画の初期段階に駅から地区に向かう歩行空間を予定する。具体的には、駅と地域をつなぐペデストリアンデッキ等で歩行者ネットワークのバリアフリー化を行う。この際、駅前に地域の商店街を活かしたトランジットモールを併設して地域経済を活性化する。

2)市場流通を促す事業者への支援         

空き家を通じた積極的な社会貢献をするため、サブリースで空き家の市場流通を促進する。具体的には空き家所有者に不動産会社等が仲介し、社会企業家等が事業計画を策定する空き家活用モデル事業を行う。この際、事業計画を核として地域でワークショップを行い、地産地消の食堂等地域の農業と連携した6次産業化する。

3)居住者同士をつなぐ生活拠点づくり

自動車に依存しない社会を目指すため、BRT 等の交通軸線上に沿って居住地域に医療・子育て施設等生活拠点を集約し、居住者の利便性を向上させる。具体的には、電鉄会社を含む協議会を発足し、土地利用計画と交通計画を同列で計画する。この際、医療・子育て支援施設に共同コミュニティ食堂を整備し、居住者同士の交流を促す。

4)見守り環境を整えた地域包括ケアの構築

労働環境が整備されていない地域に住む低所得高齢者等のため、空き家を活用した福祉施設を整備する。具体的には、地域住民ボランティア等の支援を受けて、空き家を転用した共同住宅等で高齢者が安価に生活できる地域包括ケアを構築する。この際、共同住宅等の周辺の空き地をコミュニティテラスとし、周辺住民が高齢者を日常的に見守りやすい環境づくりで地域包括ケアを構築する。

H30/2018年 建設・都市地方計画 Ⅲ−2 問題 模範解答と解説

Ⅲ−2

大規模な市街地火災が発生した人口減少・少子高齢化の進む人口数万人の地方都市において、あなたが都市計画・まちづくりの担当責任者として、被災地の復興まちづくり計画を策定することになった。以下の問いに答えよ。

(1)復興まちづくり計画を策定する上で検討すべきまちづくり上の課題を述べよ。

(2)(1)で述べよ課題を解決するために必要となる具体的な方策を述べよ。

(3)(2)で述べた方策を実施する上で、想定される負の側面と対応方策を述べよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 7回 2019.6.21   専門事項 都市施設設計

(1) 課題

①密集市街地を再開発で解消する

密集建物や狭隘道路を改善するため、空き家や空き地を活用した再開発等を行う。

②地権者の移転先用地を確保する

速やかな地権者の換地手続きを推進するため、共同建物を望まない住民のための移転先を確保する。

③延焼防止緩衝帯の確保

非常時の有効な避難路を作るため、密集地に広大なオープンスペースや幅員の広い道路を整備する。

(2)具体的方策

①防災街区整備地区計画で建物共同化

公共施設周辺の防火性を高めるため、避難路沿いに権利床を共同化した防災施設建築物を整備する。

②個別利用区建物で耐火建築物化

民地の防火性を高めるため、戸建等住宅を希望する住民の移転先とする個別利用区を設定して単体規定を準用させて耐火建築物等とする。

③拡幅道路と耐火住宅で延焼遮断帯形成

糸魚川市火災のようなフェーン現象による南風での延焼を防止するため、街の中心部に拡幅した道路と準耐火建築物とした住宅を組み合わせた延焼遮断帯を形成して、延焼を抑制する。

(3)負の側面と対応方策

①事業完成の長期化

事業を短期間で完成させるため都市計画決定を要しない立体換地制度を活用する。

②景観上重要な歴史的建物の存続

地域の景観上重要な歴史的建物を維持するため、地区計画による意匠面で建築様式を規定する。

③不燃化住宅の費用増加

主要道路沿いで延焼を食い止めるよう準耐火建築物とした住宅整備を推進するため、国の都市防災総合推進事業で耐火建築とするための建築費を負担する。

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