H30/2018年 建設・河川砂防 U−1−2 問題 模範解答と解説

既設ダムの洪水調節機能を増強させる具体的な方策を2つ挙げ、それぞれについて実施する際の留意点を述べよ。

 


模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 2回 2019.3.31   専門事項 地すべり防止計画


1. ダムの嵩上げ

(1)概要

既設ダムをコンクリートにより嵩上げすることにより、貯水容量を増大

新設に比べて、経済性や環境保全の点で有利

(2)実施する際の留意点

貯水位を維持しながら施工する技術向上

既設ダム表面に新堤体のコンクリートを打ち足すことから、打設時のひび割れ発生

既設ダムの堤体及び基礎地盤の把握

2.放流設備の増設

(1)概要

 堤体削孔による放流管の増設により死水容量を活用

 堤頂を切り開いての越流式洪水吐きの増設

(2)放流施設の増強

堤体削孔の際の仮締切りの効率化

大深度における大規模削孔に伴う堤体内の引張応力への対応


模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.4.18   専門事項 地すべり防止計画


1.ダムの嵩上げ

(1)概要

既設ダムをコンクリートにより少し嵩上げすることにより、貯水容量を大きく増大させることができる。新設ダムに比べ、経済性や環境保全の点で有利となる。

(2)実施する際の留意点

・既設ダムの運用において経験を有しない貯水位まで水位上昇することから、新たな貯水位条件のもとで、貯水池周辺地すべりの安定性を評価する必要がある。

・設計・施工時の資料、ダム管理記録を可能な限り収集し、既設ダムの堤体及び基礎地盤の状態を精度良く把握し、調査費のコスト縮減・最適なかさ上げ案を選定する。

2.放流設備の増設

(1)概要

 堤体削孔による放流管の増設により死水容量を活用する。堤頂を切り開いての越流式洪水吐きの増設、堤体側部の地山にトンネル洪水吐きを設置する方法がある。

(2)放流施設の増強

・堤体削孔を実施する際、貯水や地震による荷重に対する堤体の安定性が改造後だけでなく、施工の各段階においても確保する。

・大深度における大規模削孔に伴う堤体内の引張応力を解析し、補強対策の検討を行う必要である。

 



模範解答2  (答案形式)  添削履歴 1回 2018.7.31   専門事項 河川洪水対策計画


1.洪水調節機能を増強させる具体的な方策

@既設ダムの嵩上げ

 既設コンクリートダム天端及びダム上流側をコンクリートで増し打ちして、既設ダムの天端高を上げることで洪水調節容量を増やす計画である。

A既設ダム堆砂敷きの浚渫

ダムの堆砂敷きを浚渫することで、堆砂容量を最下部に確保して、既設の堆砂容量を洪水調節容量に変えることで洪水調節容量を増やす計画である。

2.それぞれの実施する際の留意点

@嵩上げに伴う施設の安全確認

嵩上げに伴ってダム本体の転倒、滑り及び支持力について構造上の安全を確認する。

既設ダム上流の設計洪水位が高くなることより上流区間の地山の地滑り等が発生しないか斜面の安定計算を行って必要ならば地滑り対策工を行う。

A浚渫に伴う施設の安全確認

浚渫を行って洪水調節容量を増やすためには常時排水用の排水口を既設ダム本体の下部に設置する必要がある。このため、穴を開けるためのダム構造上の安定計算を行う必要がある。また、ダム下流での流出速度が速くなるため、ダム下流部の渓岸等の侵食対策が必要となる。



H30/2018年 建設・河川砂防 U−1−3 問題 模範解答と解説

 全国に数多くある土砂災害危険箇所につて、

(1)対象とする土砂災害の種類と特性、その被害を未然に防止・軽減するための警戒避難体制を整備するに当たって留意する事項について述べるとともに、

(2)要配慮者施設の管理者等が土砂災害から利用者を避難させるための計画を作成する際、記載すべき事項を2つ以上挙げて、具体的に説明せよ。


模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.4.18   専門事項 地すべり防止計画


(1) 地すべりの特性および留意する点

@地すべりの特性

 豪雨に伴い間隙水圧が上昇し、地すべり活動は活発化する。また、特定の地形地質条件で発生する場合が多く、発生箇所を予測しやすい。

A留意する事項

豪雨に伴い活動が活発化するため、避難が必要となる雨量・変動基準を定める必要がある。また、豪雨時は同時多発的に発生するため、避難経路策定にあたっては周辺地域を含めて危険箇所の把握が必要である。

空中写真や地形図を活用し、地すべり規模や被害範囲を的確に把握する必要がある。

 (2) 避難計画作成の際に記載すべき事項

@ハザードマップ

土砂災害警戒区域・特別警戒区域を明記し、住民が安全な避難所・避難経路を選択できるようにする。

A行動計画

・避難準備や避難を開始する雨量基準や地すべり変動量の基準を定め、記載する。

・豪雨や変動基準の情報収集方法や住民への伝達方法を明記する。

・基準を超過した場合の行動手順、どのような避難行動をとればよいか具体的に明記する。

・施設職員の役割分担や、勤務時間内外、特に夜間の参集体制を明記する。



模範解答2  (答案形式)  添削履歴 1回 2018.7.30   専門事項 河川洪水対策計画


1.土砂災害の種類、特性、警戒避難体制の留意事項

@崖崩れ災害

 降雨及び地震により急激に表層の土砂が移動して人家を倒壊させる災害である。予知が困難であり急激な土砂移動であるため、降雨量を決めて避難する時期を明確にすることと、避難出来ない場合は、住宅内の崖から遠い場所に避難することを避難方法に明示する。

A地滑り災害

 地下水位が高くなる原因で人家も含めて地盤がゆっくりと移動する災害である。上部のクラック箇所が確認できてからゆっくりと移動することから、センサー付ワイヤー及び傾斜計を設置して常時監視する。

B土石流災害

流水が崩壊した土砂とともに下流に流れ出し人家を押し流す災害である。土石流が予想される直下にセンサー付ワイヤー及びカメラを設置して常時監視する。

2.要配慮者利用施設の避難計画に記載する事項

@要配慮者の安全な避難経路

 避難施設まで、弱者でも移動できるか土砂災害の形態別に確認して避難経路図を作成する。

A要配慮者利用施設内の避難場所

 土砂災害形態を確認して崖崩れによる災害箇所であれば施設内の山側から離れた場所への避難を明記する。土石流の箇所であれば施設内の避難は、渓流から離れた2階以上に避難することを明記しておく。



H30/2018年 建設・河川砂防 U−2−1 問題 模範解答と解説

 平成29年7月の九州北部豪雨での筑後川右岸流域での被害を受けて、以下の問いに答えよ。

(1)九州北部豪雨災害の主な特徴と技術的な課題をそれぞれ2つ以上述べよ。

(2)(1)で述べた課題2つについて、具体的な対策を記述するとともに、実施上の留意点を述べよ。

 


模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 2回 2019.3.31   専門事項 地すべり防止計画


(1)九州北部災害の特徴と技術的な課題

1)特徴

@流木の発生:山腹崩壊等により流木が発生し、河川狭窄部や橋梁橋脚部に引っかかり河川が氾濫

A表層崩壊の頻発:線状降水帯の停滞により山間部において表層崩壊が頻発

2)技術的課題

@流木の発生:流木の発生源の軽減、居住地区に到達する前に補足

A表層崩壊の頻発:表層崩壊の発生箇所の抽出精度を上げる

(2)具体的な対策と実施上の留意点

1)具体的な対策

@流木の発生

 間伐等による根系の発達促進や流木化する可能性の高い流路部の立木の伐採

豪雨による流木の発生量を予測し、居住地区上流部に透過型堰堤を設置し、ポケットを確保

A表層崩壊の発生予測

 地形勾配や分布地質から崩壊発生箇所を特定

熱赤外線リモートセンシングによる水分集中箇所の絞込み

2)実施上の留意点

@流木の発生

 大量に補足した流木の回収や流木の再利用計画が必要

A表層崩壊の発生予測

 危険箇所が密集する地域では、地形や水分量をパラメータとし、危険度評価を実施


模範解答1  (簡易形式2)  添削履歴 32回 2019.4.21   専門事項 地すべり防止計画


(1)九州北部災害の特徴と技術的な課題

1)特徴

@流木の発生:山腹崩壊等により流木が発生し、河川狭窄部や橋梁橋脚部に引っかかることによる河川の氾濫に伴う周辺地域への浸水被害が発生した。ダム湖や海岸へ流出による養殖業等への被害が発生した。

A表層崩壊の頻発:線状降水帯が停滞した山間部においては高密度に表層崩壊が頻発し、土石流となって流下し、家屋を押し流す等の人的被害の発生や、河川や海へ土砂が流入した。

2)技術的課題

@予防保全対策の実施:流木の供給源となる山腹や流路部の発生源対策の実施、居住地区に到達する前に補足する予防保全対策が必要である。

A表層崩壊抽出精度向上:表層崩壊の発生箇所の抽出精度を向上させ、危険区域の把握や対策の実施が必要である。

(2)具体的な対策と実施上の留意点

1)具体的な対策

@森林保全と流木補足対策

 里山砂防の推進による間伐等により荒廃した森林保全を行い、根系の発達促進による流木発生を軽減させる。流木化する可能性の高い流路部の立木を抽出し、伐採を実施する。

航空レーザー測量データ解析やオルソ画像の写真判読による樹種や立木密度をパラメータとして流木の発生危険箇所を抽出する。居住地区上流部に透過型堰堤や流木補足工を設置し、必要なポケット量を確保し、河川流流域への流木流出を防ぐ。

A表層崩壊の発生予測

 航空レーザー測量や国土地理院のDEMデータを用いた地形解析や簡易な現地調査を行うことにより、広範囲において効率的に崩壊発生箇所を絞り込む。熱赤外線リモートセンシングによる水分集中箇所をさらに絞込み、崩壊発生箇所を予測する。

2)実施上の留意点

@長寿命化計画

 透過型堰堤や流木補足工は、流木の除去等の管理計画・長寿命化計画の策定が必要となる。

A表層崩壊の発生予測精度の検証

 熱赤外線リモートセンシングによる崩壊発生箇所の予測は近年開発された技術であり、調査ボーリングや土壌水分量のモニタリングによる精度検証が必要となる。


模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.4.22   専門事項 地すべり防止計画


(1)九州北部災害の特徴と技術的な課題

1)特徴

@流木の発生:山腹崩壊等により流木が発生し、河川狭窄部や橋梁橋脚部に引っかかることによる河川の氾濫により周辺地域への浸水被害が発生した。また、ダム貯水池への流入によるダム機能の低下、ダム湖や海岸へ流出による養殖業等への被害が発生した。

A表層崩壊の頻発:線状降水帯が停滞した山間部においては高密度に表層崩壊が頻発し、土石流となって流下し、家屋を押し流す等の人的被害の発生や、河川や海へ土砂が流入した。

2)技術的課題

@予防保全対策の実施:流木の供給源となる山腹や流路部の立木を対象とした発生源対策の実施、流木発生量を精度よく予測し、居住地区に到達する前に補足する予防保全対策を実施することが必要である。

A表層崩壊抽出精度向上:山間部において広範囲で発生する表層崩壊の発生箇所の調査解析を効率的に行うとともに、抽出精度を向上させ、危険区域の把握や対策の実施が必要である。

(2)具体的な対策と実施上の留意点

1)具体的な対策

@森林保全と流木補足対策

 里山砂防の推進による間伐等により荒廃した森林保全を行い、根系の発達促進による流木発生を軽減させる。流木化する可能性の高い流路部の立木を抽出し、伐採を実施する。

航空レーザー測量データ解析やオルソ画像の写真判読による樹種や立木密度をパラメータとして流木の発生危険箇所を抽出する。渓流ごとに流木発生量を予測し、流木発生量に見合う透過型堰堤や流木補足工を居住地区上流部に設置し、河川流流域への流木流出を防ぐ。

A表層崩壊の発生予測

 航空レーザー測量や国土地理院のDEMデータを用いた地形解析や簡易な現地調査を行うことにより、広範囲において効率的に崩壊発生箇所を絞り込む。熱赤外線リモートセンシングにより、堆積土砂の把握や水分集中箇所を絞込み、地形解析結果と併せて崩壊発生箇所の予測精度を高める。

2)実施上の留意点

@長寿命化計画

 透過型堰堤や流木補足工は1度の豪雨災害により大きく機能低下する。そのため、流木の除去等の管理計画・長寿命化計画の策定が必要となる。

A表層崩壊の発生予測精度の検証

 熱赤外線リモートセンシングによる崩壊発生箇所の予測は近年開発された技術であり、調査ボーリングや土壌水分量のモニタリングによる精度検証が必要となる。



模範解答2  (答案形式)  添削履歴 3回 2018.11.14   専門事項 河川洪水対策計画


1.九州北部豪雨災害の主な特徴と技術的な課題

@流木災害

 河川に洪水とともに流木が流出して橋梁及び狭さく部において流木が堆積して、橋梁の倒壊や、堆積流木の上流部で堤防越水決壊が生じ、人家や田畑を洪水流により破壊する災害が生じた。

 技術的な課題としては、流木が保全対象まで流出しないようにスリットダム等で流木を捕捉することが重要である。流木の発生する渓流が多数で、対策箇所が多くあるため、対策箇所が少なくて済む対策計画を策定することが課題である。

 また、流木堆積の除去が次期出水前に完了する必要がある。速やかな流木除去を行うことが課題である。

A中小河川の堤防越水及び破堤災害

 中小河川は堤防拡幅工事が遅れていて狭さく部での堤防越水及び破堤が生じ、人家等が洪水流で押し流された災害が生じた。

 技術的な課題としては、河川狭窄部の流下能力を上げるための川床掘削及び堤防嵩上を次期出水期までに行うことである。

 また、堤防越水に伴う災害から逃げ遅れを無くすために河川の水位情報を代表地点の情報だけでなく縦断的に線の情報として提供することで、何処が今危険か知らせることが課題である。

2.技術的な課題の具体的な対策及び実施上の留意点

@流木災害

1)流木貯木施設の緊急的対応

流木の発生源である渓流は多数あり、全てにスリットダムを施工するためには時間を要する。このため、保全対象の上流に流木貯木施設を緊急的に整備して、貯木しきれない量の流木から保全対象守るために導流堤を計画する必要がある。

2)流木堆積状況の迅速な除去

SAR衛星画像から流木堆積状況を把握して及び道路の損壊状況を把握して、河道閉塞(天然ダム)となる危険な個所から流木除去を行う。

A中小河川の堤防越水及び破堤災害

1)流下能力を上げて治水安全度の向上

 狭窄部の流下能力を上げる場合は、下流での高水位上昇の影響把握と支川での洪水位上昇影響を把握して、影響が無いことを確認して施工範囲を決定することである。

2)逃げ遅れを無くすための水位計設置

逃げ遅れを無くすために、簡易水位計を保全対象の直上流部に設置して、住民が河川の状況を把握できるようにする。また、200mごとに測量する川の断面や堤防の情報を活用して水位計が無い場所の水位もコンピューターで推測し、水位の点での情報だけで無く地図上の河川を色分けして危険な地域が一目でわかるようにすることにも留意する必要がある。


H30/2018年 建設・河川砂防 V−2 問題 模範解答と解説

 近年の水害・土砂災害等においては、大量の流出土砂等により多くの人命が奪われる事例や、床上浸水が度々発生し、その都度生活再建に多大な労力を要するなどの事例頻発している。そのような状況を踏まえると、今後、災害リスクを踏まえた災害に強い地域にしていくためには、堤防や砂防堰堤の整備等のハード対策のみならず、住まい方を含めたまちづくりにおける工夫や地域コミュニティー強化等のソフト対策が求められるが、このソフト対策について以下の問いに答えよ。

(1)河川、砂防、海岸・海洋分野において、災害に強い地域にするためのまちづくりに関して、現在取り組まれている具体的なソフト対策の例を2つあげ、その概要を説明せよ。

(2)今後、河川、砂防、海岸・海洋分野において、災害に強い地域にするためのソフト対策を一層進めていくに当たっての課題を2つ説明せよ。

(3)(2)で記述した課題に対して、それぞれの改善方法を提案せよ。

 


模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 2回 2019.3.31   専門事項 地すべり防止計画


(1)災害に強い地域にするためのソフト対策

1)土砂災害ハザードマップの作成

都道府県は土砂災害防止法に基づき土砂災害ハザードマップを作成

2)避難勧告等の発令

 市町村は雨量基準に基づき避難準備情報、避難勧告、避難指示を発令

(2)ソフト対策を進める上での課題

1)土砂災害ハザードマップの有効活用

@認知度向上:ハザードマップは作成して配布や公表するだけでは認知度は向上しないため、住民への認知度を向上させる取組みが必要

A住民目線のハザードマップ:住民自らがリスクを周知し、主体的に避難できるような住民目線のハザードマップの作成が必要

2)避難勧告等の発令における課題

@分かりやすい情報提供:住民が具体的にとるべき行動が分かるような情報を提供

A住民に避難を促すための取組み:住民避難に直結するような発令方法や受け手の体制構築

(3)上記課題の改善方法

1)土砂災害ハザードマップの有効活用

@認知度向上

 住民説明会・防災教育の繰り返し施、ハザードマップを用いた避難訓練の実施

A住民目線のハザードマップ

 最寄りの避難所・避難経路を個々が確認し、マイマップを作成

2)避難勧告等の発令における課題

@分かりやすい情報提供

 住民の行動を具体的に示した情報をスマートフォンによるプッシュ型の発信

A住民の避難を促すための取組み

 自治体単位等エリアを絞る。防災リーダの育成による地域単位での避難

 


模範解答1  (簡易形式2)  添削履歴 3回 2019.4.22   専門事項 地すべり防止計画

 

 


 

(1)災害に強い地域にするためのソフト対策

1)土砂災害ハザードマップの作成:都道府県は土砂災害防止法に基づき急傾斜地、土石流、地すべりの土砂災害について警戒区域・特別警戒区域を記載したハザードマップを作成・公表しているが、認知度は低い。

2)避難勧告等の発令:市町村は定められた雨量基準に基づき避難準備情報、避難勧告、避難指示を発令しているが、住民避難につながっていない。

(2)ソフト対策を進める上での課題

1)土砂災害ハザードマップの有効活用

@認知度向上:ハザードマップは作成して配布や公表するだけでは認知度は向上しないため、住民への認知度を向上させる取組みが必要である。

A住民目線のハザードマップ:住民自らがリスクを周知し、主体的に避難できるような住民目線のハザードマップの作成が必要である。

2)避難勧告等の発令における課題

@分かりやすい情報提供:住民が具体的にとるべき行動が分かるような情報を提供することが必要である。

A住民に避難を促すための取組み:住民避難に直結するような発令方法の工夫や受け手側の体制構築が必要である。

(3)上記課題の改善方法

1)主体的な避難の促進

@災害リスクの住民への浸透

 住民説明会・防災教育の繰り返し開催、ハザードマップを用いた避難訓練の実施、マップの記載内容や重要性の認識、自分が住んでいる地域の危険性を周知させる。

A住民の避難力の向上

 最寄りの避難所やそこに行くための避難経路を個々が確認し、住民自らがマップに記入するマイマップを作成することにより自発的な避難行動を促す。

2)避難勧告等の発令における課題の改善策

@ナビゲーションシステムのプッシュ型配信

 災害別・規模別の具体的な発令基準を定める。住民とるべき行動を具体的に示した情報をスマートフォンによるプッシュ型の発信を行う。GPSを用いた現在地から最寄りの避難所へのナビゲーションを行うシステムを提供する。

A地域コミュニティーの強化

 自治体単位等エリアを絞った情報を提供することにより住民へ避難を促す。防災リーダの育成による地域コミュニティーの強化により、災害時要援護者への援助を行う等、地域単位での避難を実施する。


模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.4.24   専門事項 地すべり防止計画


(1)災害に強い地域にするためのソフト対策

1)土砂災害ハザードマップの作成:都道府県は土砂災害防止法に基づき急傾斜地、土石流、地すべりの土砂災害について警戒区域・特別警戒区域を記載したハザードマップを作成・公表しているが、認知度が低く、災害で活用されない等の課題がある。

2)避難勧告等の発令:市町村は定められた雨量基準に基づき避難準備情報、避難勧告、避難指示を発令している。平成30年7月の西日本豪雨災害では、避難勧告が発令された地域で実際に避難した人は1%に満たない等、住民避難につながっていない場合がある。

(2)ソフト対策を進める上での課題

1)土砂災害ハザードマップの有効活用

@認知度向上:ハザードマップは作成して配布や公表するだけでは認知度は向上しないため、住民への認知度を向上させ、災害時に活用するための取組みが必要である。

A住民目線のハザードマップ:住民自らがリスクを周知し、主体的に避難できるような住民目線のハザードマップの作成が必要である。

B住民の判断力の向上:自治体から配布されたハザードマップを活用するだけではなく、住民が地域のリスクやとるべき行動を判断することが重要である。

2)避難勧告等の発令における課題

@分かりやすい情報提供:住民が具体的にとるべき行動が分かるようなより具体的な情報を提供することが必要である。

A住民に避難を促すための取組み:住民避難に直結するような発令方法の工夫や受け手側の体制構築が必要である。

B避難勧告のエリアが広範囲であること、避難が難しい深夜の場合、避難勧告を発令する市町村が土砂災害を経験していないこと等から、情報発信が遅れる場合がある。

(3)上記課題の改善方法

1)主体的な避難の促進

@災害リスクの住民への浸透

 住民説明会・防災教育の繰り返し開催、マップの記載内容や重要性の認識、自分が住んでいる地域の危険性を周知させる。

A住民自ら作成する取り組み

 最寄りの避難所やそこに行くための安全な避難経路を個々が確認し、住民自らがマップに記入することにより学ぶマイマップを作成することにより、自発的な避難行動を促す。

B住民の判断力の向上

地域ごとにマップを活用した避難訓練を実施することにより、地域コミュニティーを強化する。河川増水箇所等のマップにない地域のリスクを確認しながら避難することにより、迅速な行動力やとっさの判断力を育む。

2)避難勧告等の発令における課題の改善策

@ナビゲーションシステムのプッシュ型配信

 今後の雨量予測、避難勧告発令エリア等の情報提供や住民がとるべき行動を具体的に示した情報をスマートフォンによるプッシュ型の発信を行う。GPSを用いた現在地から最寄りの避難所へのナビゲーションを行うシステムを提供する。

A具体的な情報発信

災害別・規模別の具体的な発令基準を定める。○○川の○○観測地点の水位が、避難判断基準に到達したため、○○地区は避難してください等の地域を具滝的に示した情報を提供する。

B地域コミュニティーの強化

 防災リーダの育成による地域コミュニティーの強化により、災害時要援護者への援助や避難所の運営を行う等、自助・共助を主体とした地域単位での避難を実施する。

Cきめ細かい情報提供

 市町村が避難勧告発令の判断しやすいよう、各種防災気象情報は危険度の違いを分かりやすくすること、3〜6時間程度先までの雨量等の予測精度を向上させる必要がある。

 



模範解答2  (答案形式)  添削履歴 2回 2018.11.5   専門事項 河川洪水対策計画


1.災害に強いまちづくりに関してのソフト対策事例

@みずから守るハザードマップ作成の取組

 「みずから守るハザードマップ」とは、市町村が各家庭に配布しているハザードマップを参考にして、町内会で自分たちのハザードパップを作成するソフト対策の取組である。

町内会で現地調査を行って、最初にどこから浸水するかを確認して、どのくらいのスピードで浸水が起こるのかをみずから考えることで、浸水危険箇所を認識することを行う。

次に避難所までの道順で危険な蓋なしの側溝があるかも含め、浸水した状況を想定して歩けるかを確認する。

エリアの避難所までの避難が困難な場合の1次避難所についても工場の高いところも含め町内でみずから調整して避難場所を確保することも行っている。

なお、巨大台風の進路によっては、広域避難の必要がある。避難方法は、話題としてあったが、困難な課題である。

A避難タワーを核とした町内会の防災意識づくり

避難開始から,30分以内に避難可能な防災タワーを設置して、それを1つの町内として、避難所の開設も含め町内にまかせることで町内の防災意識を高めるソフト対策である。

避難所までの距離が30分以内であることと、避難所の規模は、町内会の全員が避難出来ることとして計画している。

町内の防災意識を高めるためには、避難所の開設をみずから行うことが重要です。そのためには、避難所開設の手法について町内会で訓練を行うことが重要である。また、避難所内の食料等物資についても町内会でみずから、日頃より確認を行うことで町内の意識を変えることが出来た。

2.災害に強い地域のためにソフト対策を一層進めるための課題

@リアルタイムな浸水予想

「みずから守るハザードマップ」では、浸水した場合の危険箇所及び浸水した場合の避難場所とそこまでの安全な経路は、町内会で十分確認している。

しかし、地域の方々には、ハザードマップの状況が何時起こるか分からなく、安全と考え避難行動が遅れてしまう。このため、リアルタイムな浸水予想の情報提供することが課題である。

A避難所開設に必要な情報提供とまるごとまちごとハザードマップ

 町内会の避難所開設を迅速に行うため、町内付近の河川の状況や水位の情報提供が課題である。また、日頃より、町内会が浸水規模と避難タワーを認識できる街づくりが課題である。

3.課題に対してのそれぞれの対応策

それぞれの課題に対して以下の方法で対策を行うの

1)現状を認識できるように河川や浸水しやすい箇所にライブカメラとカラー量水板を設置して河川水位、浸水状況が一目でわかるようにする。

2)簡易水位計を町内の直上流部に設置して、河川の状況を把握できるようにする。また、200mごとに測量する川の断面や堤防の情報を活用して水位計が無い場所の水位もコンピューターで推測し、水位の点での情報だけで無く地図上の河川を色分けして危険な地域が一目でわかるようにする。

3)レーダー解析により湿度、気温、風向きを瞬時に解析することで雨量予想を行って、雨量と水位計での水位情報をリアルタイムに取り入れ分布型氾濫解析を行って数時間後の浸水予想を情報提供する。

4)ITCを活用して以上のデータを町内が簡単に受け取れるようにする。

5)町内の主要箇所に洪水による予想浸水高と堤防決壊後からその浸水高になるまでの予想経過時間を記した看板を設置することで日頃より浸水高と避難所までの避難時間を意識することが出来るようにする。

2事例の取り組みとも、以上の5つの対策をすることで、より一層、水防災意識を高めた街づくりが出来る。

また、広域避難については、町内単位では検討が困難であるが、公共交通機関移動と車移動の分析を行って移動方法についてとりまとめる必要がある。