H29/2017年 建設・土質基礎 Ⅱ−2−2 問題 模範解答と解説

問題文

問題 H29 Ⅱ-2-2 (2枚以内にまとめよ:解答の目安は(1)を1枚程度、(2)(3)を1枚程度)

工事が完成して間もない幹線道路に面する目視を行った点検者の情報から、模式図の点線で示す範囲に変状が確認され、のり面崩壊が懸念されている。

道路管理者から地盤の専門知識を有する者として当該事象への協力を要請された。このような状況の中、以下の問いに答えよ。

(1)安全と交通機能の早期確保の観点から、緊急的に行うべき対応と留意点を説明せよ。

(2)模式図から想定する崩壊の発生形態について、道路機能への影響が大きい崩壊形態を3つ挙げ、要因として考えられる地盤の条件を説明せよ。

(3)恒久対策の立案に必要な地盤調査について提案し、得られる情報を説明せよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 3回 2019.7.5  専門事項 土質、地盤並びに土木構造物

(1)緊急的に行うべき対応と留意点

①動態観測によって崩壊を予測して応急対策に備える

動態観測により変状進行の監視を行う。留意点は遠隔監視可能なシステムとする。

②警戒態勢の構築によって緊急時の対応に備える

 管理基準値の設定や関係機関の連絡体制を構築し、緊急時の対応に備える。留意点は、保全施設によって管理基準値を適切に設定する必要がある。

(2)道路機能への影響が大きい崩壊形態

①表層崩壊

 深度2m程度までが緩い土砂又は風化した軟岩で、地下水位が高いと考えられる。

②深層崩壊

 亀裂の発達した岩盤で構成され、地下水が多量に供給され崩壊すると考えられる。

③地すべり性崩壊

 法面を末端とした地すべりで、末端部の崩壊により地すべりを誘発すると考える。

(3)地盤調査と得られる情報

①地質調査

 支持地盤の地質情報を取得し、その種別及び状態を確認することにより、アンカー体定着長を算出するための周面摩擦抵抗を推定する。

②地下水検層

 時間の経過に伴い大きくなる電気比抵抗の位置の情報を取得し、地下水流動層を把握することにより、すべり面の推定や横ボーリング工の設置位置検討を行う。

H29年 建設・鋼コン Ⅱ-1-1 模範解答と解説

問題

Aグループ … 鋼構造

II−1−1

次に示す高性能鋼から2つを選び,それぞれの特徴や利点を示し,鋼構造物における使用上の留意点について述べよ。(選択した鋼材を明記すること。)

(1)   橋梁用高降伏点鋼(SBHS) 

(2)   建築構造用圧延鋼材(SN)

(3)   建築構造用高強度鋼材(SA)

(4)   耐候性鋼

(5)   ステンレス鋼 

(6)   耐火鋼

(7)   超高カボルト

(8)   クラッド鋼

模範解答1  簡易答案形式1 添削回数4 専門とする事項 鋼橋設計 

1.橋梁用高降伏点鋼(SBHS)

(1)特徴や利点

①高強度(500N/mm2)→長支間の主桁板厚低減→コスト縮減

②従来の高強度鋼材の溶接効率(SM570:予熱必要、入熱量7kJ/mm)と比較し、効率が良い(予熱不要、入熱量10kJ/㎜)ため、制作日数縮減

(2)使用上の留意点

 ①高強度だから板厚低減可だが、たわみ増加→固有振動数減少→風による発散振動の発現風速が低下し構造物崩壊の危険→減衰付加や風の制御

2.耐候性鋼材

(1)特徴や利点

①鋼材に添加したP,Cu,Cr等の合金元素で生ずる非晶質層(保護被膜)と外層さびの2層構造で保護性さびを形成し腐食速度を低下→塗装不要で維持コスト縮減

(2)使用上の留意点

 ①飛来塩分量が0.05mdd未満の地域でも、地形により局部的に塩分が滞留し腐食が生じる場合あり→部分塗装区間を設ける

②層状さびは、鋼材に食い込むため、補修時において完全除去が困難→ブラスト前に電動工具でさび除去

模範解答1  簡易答案形式2 添削回数2 専門とする事項 鋼橋設計

(1) 橋梁用高降伏点鋼(SBHS)

(1)特徴や利点

①高強度(500N/mm2でSM570の1.1倍)だから、長支間の主桁板厚低減→コスト縮減が可能。

②従来の高強度鋼材の溶接効率(SM570:予熱必要、入熱量7kJ/mm)と比較し、効率が良い(予熱不要、入熱量10kJ/㎜)ため、制作日数の縮減が可能。

(2)使用上の留意点

 ①高強度だから板厚低減が可能だが、部材剛性低下でたわみ増加→固有振動数減少。よって、風による発散振動の発現風速が低下し構造物崩壊の危険→減衰付加や風の制御が必要。

2.耐候性鋼材

(1)特徴や利点

①鋼材に添加したP,Cu,Cr等の合金元素で生ずる非晶質層(保護被膜)と外層さびの2層構造で保護性さびを形成し、腐食速度を低下→塗装不要で維持コスト縮減

(2)使用上の留意点

 ①飛来塩分量が0.05mdd未満の地域でも、地形や構造により局部的に塩分が滞留し腐食が生じる場合あり→塩分滞留部から通気性が良い位置までの全部材への塗装を実施(質問:桁端部塗装と言書けば、意味が通じますが、汎用性を考えると×でしょうか?それとも例として桁端部塗装を挙げるのはいかがでしょうか?)。

②塗装による補修時において、ケレン後の戻りさびが一般鋼材より早く生ずる。→ケレン後3時間以内(一般鋼材4時間以内)に下塗りを実施。

模範解答1  答案形式  添削回数1 専門とする事項 鋼橋設計

1.橋梁用高降伏点鋼(SBHS)

(1)特徴や利点

①高強度(500N/㎜2でSM570の1.1倍)であるため、長支間の主桁板厚の低減やコストの縮減が可能である。

②従来のSM570の溶接効率(予熱必要、入熱量7kJ/mm)と比較し、効率が向上しているため(予熱不要、入熱量10 kJ /㎜)、制作日数の縮減が可能である。

(2)使用上の留意点

板厚の低減に伴い、部材剛性低下とたわみの増加が生じ固有振動数が減少する。このため、風による発散振動の発現風速が低下し構造物が崩壊する危険が生ずることから、減衰付加や風の制御が必要である。

2.耐候性鋼材

(1)特徴や利点

鋼材に添加したP,Cu,Cr等の合金元素で生ずる非晶質層(保護被膜)と外層さびの2層構造で保護性さびを形成し、腐食速度を低下できる。このため、塗装が不要となり、維持コストの縮減が可能である。

(2)使用上の留意点

①飛来塩分量が0.05mdd未満の地域でも、地形や構造により局部的に塩分が滞留しやすい部位は塗装が必要である。

②再塗装による補修時において、ケレン後の戻りさびが早く生じるため、一般鋼材より早く下塗りを行う。

H29年 建設・鋼コン Ⅱ-1-3 模範解答と解説

問題

Aグループ … 鋼構造

II−1−3

構造物の性能照査型設計法(性能設計)について概説するとともに、鋼構造物の設計に適用する場合の要求性能を2つ挙げ、それぞれの照査項目について述べよ。

模範解答1  簡易答案形式1 添削回数4 完成日2018/2/13 専門とする事項 鋼橋設計 

1.性能照査型設計法の概説

①構造物が要求性能を満足→どのような形式、材料、解析を用いても良い設計方法。

②H29に改定した道示では、性能照査型設計法を導入→照査フォーマットは信頼性理論L1に当る部分係数法(限界状態設計法)を採用

③統計+信頼性理論で定めた部分係数使用→状況・要求性能に応じた合理的設計可

2.要求性能と照査項目

(1)耐荷性

①永続・変動作用支配状況に対する断面照査

死・活荷重等による応答値が、所定の限界状態を超えないことを確認。

②偶発作用支配状況に対する断面照査

L2地震動等による応答値が、所定の限界状態を超えないことを確認

(2)耐久性

①防食方法の照査

架橋地域の腐食環境、部位、維持管理性、LCCを考慮して決定した防食方法の耐久期間が設計耐久期間以上であることを確認。

②疲労照査

 活荷重の繰り返しにより生ずる溶接継手部の疲労損傷に対し、応力の打ち切り限界や変動振幅応力の照査により安全性を確認。

技術メモ

●耐荷性能とは?

設計状況に対して橋としての荷重を支持する能力の観点および橋の構造安全性の観点から、橋の状態が想定される区分にあることを所有の信頼性で実現する性能

●道示での照査項目

①耐荷性能1,2を満足する橋は3.3に規定する永続作用支配状況および変動作用支配状況においてその状態が橋の限界状態1及び3を超えないことを設計状況と原価状態の各組み合わせにおいて所要の信頼性を有して満足することを照査する

②耐荷性能1,2を満足する橋は3.3に規定する偶発作用支配状況おいてその状態が橋の限界状態3を超えないこと信頼性を有して満足することを照査する

③耐荷性能2を満足する橋は3.3に規定する偶発作用支配状況おいてその状態が橋の限界状態2を超えないこと信頼性を有して満足することを照査する。

●耐久性能とは?

材料の経年的な劣化が耐荷性能に影響を及ぼさない状態を、所要の信頼性で実現する性能

模範解答1  簡易答案形式2 添削回数1 完成日2018/2/17 専門とする事項 鋼橋設計 

1.性能照査型設計法の概説

①構造物が要求性能を満足→どのような形式・材料・解析・工法を用いても良い設計方法。

②H29に改定した道路橋示方書では、性能照査型設計法を導入→照査フォーマットは信頼性理論L1に当る部分係数法(限界状態設計法)を採用

③荷重組み合わせの同時発生確率・シュミレーション・損傷事例で設定した部分係数の使用+限界状態の明確化によって、橋の状況・状態・要求性能に応じた合理的な設計が可能

2.要求性能と照査項目

(1)耐荷性

①永続・変動作用支配状況に対する照査

耐荷性能1・2を満足する橋において、死・活荷重等の組み合わせで生ずる応答値が、限界状態1・3で設定される制限値を超えないことを確認。例)曲げモーメントに対する鈑桁断面照査

②偶発作用支配状況に対する照査

耐荷性能1・2を満足する橋において、L2地震動等で生ずる応答値が、限界状態2・3で設定される抵抗値を超えないこと超えないことを確認。例)L2水平力に対するトラス横構の照査

(2)耐久性

①防食方法の照査

架橋地域の腐食環境、部位、維持管理性、LCCを考慮して決定した防食方法の耐久期間が設計耐久期間以上であることを確認。

②疲労照査

 設計耐久期間中の活荷重の繰り返しにより生ずる溶接継手部の疲労損傷に対し、応力の打ち切り限界や累積損傷度による照査で安全性を確認。

模範解答1  答案形式   添削回数2  完成日2018/2/19 専門とする事項 鋼橋設計 

1. 性能照査型設計法の概説

①設定した構造物の要求性能を満足するように構造計画・詳細の設定を行い、設計耐用期間を通じて要求性能が満足していることを照査する設計法である。

性能照査型設計法の定義である「性能を満足すれば、どんな材料・解析法を用いても良い」は、過激すぎるので削除し、設計法の内容について述べるようにしました。いかがでしょうか?

②H29道示の改定では、性能照査型設計を導入し、照査フォーマットは信頼性理論L1に当る、部分係数法(限界状態設計法)としている。

③荷重組合せの同時発生確率・シュミレーション等で設定した部分係数と限界状態の明確化によって、橋の状況・要求性能に応じた合理的な設計が可能である。

2.要求性能と照査項目

(1)耐荷性(耐荷性能1・2)

①永続・変動作用支配状況に対する照査:死・活荷重等の組合せで生ずる応答値が、限界状態1・3で設定される制限値を超えないことを確認する。

②偶発作用支配状況に対する照査:L2地震動等で生ずる応答値が、限界状態2・3で設定される抵抗値を超えないことを確認する。

(2)耐久性

①防食方法の照査:架橋地域の腐食環境、部位、維持管理性、LCCを考慮して決定した防食方法の耐久期間が設計耐久期間以上であることを確認する。

②疲労照査:設計耐久期間中の活荷重の繰り返しにより生ずる溶接継手部の疲労損傷に対し、応力の打ち切り限界や累積損傷度による照査で安全性を確認する。

H29年 建設・鋼コン Ⅱ-1-6 模範解答と解説

問題

コンクリート構造物又はコンクリート部材に短繊維を使用することによって得られる効果を2つ説明せよ。また、どちらか1つの効果について、その効果を得るために使用される短繊維の種類と特徴、並びにその短繊維を用いた繊維補強コンクリートの製造上の留意点を述べよ。

模範解答  専門とする事項 構造物維持管理 

1.短繊維補強コンクリートの効果

短繊維補強コンクリートに用いられる繊維には、鋼繊維、ガラス、炭素、セラミック、アラミド、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレン繊維等があり、ここでは以下の2つ挙げる。

①鋼繊維を混入した場合は、ひび割れ抵抗、引張、曲げ強度、じん性、耐衝撃性等が向上する。

②ポリプロピレン繊維を混入した場合は、剥落に対する抵抗性や爆裂を防止する効果が得られる。

2.鋼繊維コンクリートの特徴

以下に特徴を列記する。

①鋼繊維コンクリートは合成繊維と比較して力学的補強効果が高くなる

②ひび割れが生じた後も相当な耐力を保持し漸次破壊に至るため脆性が大幅に改善する

③タフネスが向上する。

④鋼繊維のため錆びる。

⑤繊維の寸法や表面形状の加工が困難。

3.鋼繊維補強コンクリートの製造上の留意点

 所定の品質を付与するために繊維を均一に分散させる必要がある。このため、分散投入装置等を使用しミキサ内に投入する。鋼繊維混入率が大きい場合は、練り混ぜ抵抗が高く通常のミキサでは均一に練り混ぜること困難となる。これには強制練りミキサを用いる。練り混ぜ時間は、使用するミキサにより異なるため、試験によって確認し決定する。

H29年 建設・鋼コン Ⅱ-1-7 模範解答と解説

問題

コンクリートのワーカビリティーの向上を目的に、スランプを設計図書に示される値よりも大きくする場合(ただし、スランプで管理する範囲とする。)を想定し、コンクリートの配合設計と製造・施工の観点から、それぞれの留意点について説明せよ。

模範解答

ワーカビリティーの改善を目的にスランプを増大させる混和材として高性能AE減水剤と流動化剤を使用した場合の留意点を概説する。

1.高性能AE減水剤の使用上の留意点

夏季の温度が高い場合、運搬時間が長くなる場合は、スランプ保持機能が低下する。この結果、所定のコンシステンシーが得られず、コンクリートの充填不良などの問題が発生する。これを防止するために、遅延型高性能AE減水剤を使用する。単位セメント量の下限値は粗骨材最大寸法が20または25㎜を対象に原則として270kg/m3に設定する。この値を下回るとワーカビリティーやスランプ保持機能が低下する。

遅延型を使用する際は、仕上げのタイミングが標準型よりも長くなるため、試験施工により仕上げのタイミングを確認し、打設計画に反映する。

b)製造・施工

夏季の温度が高い場合、運搬時間が長くなる場合は、スランプ保持機能が低下する。この結果、所定のコンシステンシーが得られず、コンクリートの充填不良などの問題が発生する。これを防止するために、遅延型高性能AE減水剤を使用する。

遅延型を使用する際は、仕上げのタイミングが標準型よりも長くなるため、試験施工により仕上げのタイミングを確認し、打設計画に反映する。

2.流動化コンクリートの使用上の留意点

 a)配合

流動化コンクリートの強度、耐久性、水密性ならびにひび割れ抵抗性等の品質は、流動化の添加量がある一定の範囲では、ベースコンクリートの品質とほぼ同等であるので、ベースコンクリートの配合を所要のものとすることが重要である。このため、ベースコンクリートは、AEコンクリートとし、その配合および流動化剤の添加量は、所要の性能が得られることを試験施工により確認し配合決定する。

b)製造・施工

スランプの増大量は流動化剤の添加量に応じて大きくなるが、あまり大きくしすぎると材料分離が生じる。よって、添加量に留意する。これには例えばスランプの増大量を5〜8cm以内とし材料分離を防止する。

模範解答2  簡易答案形式1  添削回数4  完成日2018/4/20 専門とする事項 維持管理

1.配(調)合設計の留意点

1)スランプを大きくするとモルタル分の流動性が増すため、粗骨材が分離しやすい。水セメント比を5%大きくした場合には、細骨材率を1%大きくし材料分離を防ぐ。

2)AE材を添加すると細孔が増え密度が低下するため、強度が低下する。強度低下を防止するため、AE材を6%以下とする。

3)混和材を増すとアルカリ総量が増えASRのひび割れが発生し耐久性が低下する場合がある。ASRの発生を防止するため、無害骨材を使用するかアルカリ総量を2kg以下とする。

2.製造・施工上の留意点

1)コンクリート内の細孔が増えると水分が浸入し凍害を起こす。凍結耐久性の低下を防ぐため、コンクリート内の細孔を少なくする。練混ぜ時間を縮小し、エントラップエアーの混入率を3%以下にする。

2)モルタル分が粗骨材から分離しないようにバイブレータ―稼働時間を縮小する。具体的にはコンクリート表面の艶が出たら作業をやめる。

H29年 建設・鋼コン Ⅱ-2-1 模範解答と解説

問題

Aグループ … 鋼構造

II−2−1

 近年、安全・安心に対する関心が高まっており、将来、南海トラフ巨大地震や首都直下地震等の発生が危惧されている。このような大地震が発生し、被害を受けた鋼構造物について、あなたが補修設計の担当者として業務を進めるに当り、以下の問いに答えよ。

(1)補修を行う鋼構造物の損傷状態を2つ想定し、それぞれに有効な補修方法(補強を含む)を概説し、適用上の留意点について述べよ。

(2)(1)で挙げた補修方法のうち1つ選び、その設計業務を進める手順について概説せよ。

(3)(2)で述べた補修設計を進めるにあたって、重要と思われる事項について述べよ。 

模範解答1  簡易答案形式1完成日 2018.02.13  添削回数4  専門とする事項 鋼橋設計 

1.損傷状態、補修方法、留意点

1-1.連続鈑桁橋中間支点部におけるBP沓(固定沓)のアンカーの破断

(1)補強方法:L2地震動に対応した支承補強構造を設置

(2)留意点:支承防止構造取付き部の母材が変形→補強部材設置

1-2.鋼トラス橋の下横構の座屈

(1)補強方法:横構交換+ガセット部へダンパー設置で減衰付加→座屈防止

(2)留意点:ダンパーをL2で降伏させるため、L1地震動は弾性域で設計

2.L2地震動に対応した支承補強構造の設計手順

①現地調査結果から損傷原因を推定(旧基準BP沓→Anc耐力不足)

②橋の重要度から耐震性能を設定し、補強方針を検討(Anc耐力不足+耐震性能2→L2地震への補強)

③照査方法を検討(振動挙動が単純→静的照査法)

④反力算出+L2地震動水平力を保耐法又は震度法にて算出→本体設計・上揚力対策

3.設計を進めるにあたっての重要事項

 2.④L2地震動水平力算出について述べる。橋脚に塑性化を考慮しない場合、L2水平力は震度法にて算出。一方、橋脚に塑性化を考慮する場合、L2水平力は橋脚の終局水平耐力を採用。このため、橋脚の耐力増加を図る耐震補強設計実施の有無を橋の重要度と耐震性能から判断→水平力を確定

模範解答1  簡易答案形式2  完成日 2018.02.18  添削回数2  専門とする事項 鋼橋設計

(1)損傷状態、補修方法、留意点

1)連続鈑桁橋中間支点部におけるBP沓(固定)のアンカー破断

①補強方法:L2地震動に対応可能な支承補強構造(鋼材+ANC)を主桁L.FLGに設置→BP沓を現行のタイプB沓機能へ補強

②留意点:支承防止構造取付き部の主桁L.FLGが局部曲げにより変形→主桁WEBに補強材設置

2)鋼トラス橋の下横構の座屈

①補強方法:横構の交換+GUSS部へのダンパー設置で減衰付加+地震エネルギー吸収→座屈防止

②留意点:ダンパーをL2で機能(降伏)させるため→L1地震動・風荷重は弾性域での設計

(2)L2地震動に対応可能な支承補強構造の設計手順

①現地調査結果から損傷原因を推定

・旧基準のBP沓→ANC耐力不足

・橋座コンクリートがコーン破壊→上揚耐力不足

②橋の重要度で耐震性能を設定し補強方針検討

・本橋は緊急輸送路であるためB種+耐震性能2→L2補強が必要と判断

③照査方法検討

・鈑桁であるため、地震時の振動挙動が複雑でない→静的照査法を採用

④支承反力算出+L2地震動水平力の算出→本体設計

 ・復元設計により支承死荷重反力を算出、

・L2地震動水平力を保耐法又は震度法にて算出+上揚力を震度法にて算出

・L2地震動水平力と上揚力で支承補強構造(鋼材+ANC)を設計+橋座と支承補強構造取付き部の離隔によって生ずる局部曲げを偶力に変換し、補強リブを設計

(3)設計を進めるにあたっての重要事項

 <2.④L2地震動水平力算出について>

・橋脚に塑性化を考慮しない場合→L2地震動水平力は震度法(khc*W)にて算出。

・橋脚に塑性化を考慮する場合→L2地震動水平力は橋脚の終局水平耐力(Pu)を採用。このため、橋脚の耐力増加を図る耐震補強設計実施の有無を橋の重要度と耐震性能から事前に判断→L2地震動水平力を確定

模範解答1  答案形式  添削回数1  完成日 2018.02.19   専門とする事項 鋼橋設計

(1)損傷状態、補修方法、留意点

1)連続鈑桁橋中間支点部におけるBP沓(固定)のアンカー破断

①補強工法:L2地震動に対応可能な支承補強構造(鋼材とアンカ-で構成)を主桁L.FLGに設置することで、BP沓を現行のタイプB沓の機能へ補強する。

②留意点:支承防止構造取付き部の主桁L.FLGが局部曲げにより変形するため、補強材を設置する必要がある。

2)鋼トラス橋の下横構の座屈

①補強工法:横構の部材交換に加え、ガセット部へのせん断降伏型ダンパー設置による減衰付加と地震エネルギーの吸収を図り、L2地震動による座屈を防止する。

②留意点:ダンパーをL2地震動で機能(降伏)させるため、L1地震動や風荷重は弾性域で設計する。

(2) L2地震動に対応可能な支承補強構造の設計手順

①現地調査結果から損傷原因を推定

・旧基準の支承形式である場合は、アンカー耐力の不足と判断する。

・橋座コンクリートがコーン破壊している場合は、上揚に対する耐力不足と判断する。

②橋の重要度と耐荷性能により補強方針を検討

・緊急輸送路である場合、重要度はB種と判断する。

・重要度がBである場合、耐荷性能は、地震直後の耐荷力を速やかに確保できる2と判断する。

・以上からL2地震動に対する補強の要否を検討する。

③限界状態の設定

L2地震は偶発作用が支配的な状況であるため、耐荷性能マトリクスにより、限界状態2(部分的な耐荷力の低下が、想定する範囲内で確保できる限界の状態)を設定する。また、限界状態3(耐荷力が完全に失われない限界の状態)も設定する。→L2地震に対する補強であるため、道示に記載している決定事項です。

④構造解析手法の検討

・動的解析が標準であるが、鈑桁等地震時の振動挙動が複雑でない形式の場合は静的解析を採用する。

⑤復元設計より支承の死荷重反力を算出

⑥L2地震動水平力の算出

・L2地震動水平力を保耐法又は震度法にて算出する。上揚力は震度法にて算出する。

⑦本体設計

・L2地震動水平力と上揚力で支承補強構造を設計する。

・橋座と支承補強構造取付き部の離隔によって生ずる局部曲げを偶力に変換し、補強リブを設計する。

・各応答値と制限値は、荷重組合せや限界状態に応じた部分係数を考慮する。

(3)設計を進めるにあたっての重要事項

<2.⑤L2地震動水平力算出について>

橋脚に塑性化を考慮する場合は、橋脚の終局水平耐力(Pu)を採用する。このため、橋脚の耐力増加を図る耐震補強設計実施の有無を橋の重要度と耐荷性能から事前に判断し、L2地震動水平力を確定する。

H29年 建設・鋼コン Ⅱ-2-3 模範解答と解説

問題

温暖地域の内陸部にある新設コンクリート構造物において、コンクリートの表層品質の確保に関する業務を進める場合、以下の問いに答えよ。

(1)設計及び施工の各段階で表層品質を確保するための方策をそれぞれ1つ挙げ、適用にあたっての留意点を説明せよ。

(2)表層品質を確認するための方法を1つ提案し、その方法の概要と留意点を説明せよ。

(3)当初の目標に対して表層品質が不足した新設構造物を仮定し、コンクリートの中性化による劣化を想定した維持管理計画を立てるに当たり、その手順と留意点を説明せよ。

模範解答  専門とする事項 構造物維持管理 

1.表層品質を確保するための設計及び施工の留意点

(1)設計上の留意点

設計では、過密配筋部は表面欠陥が発生する恐れが高くなるため、過密配筋部は生コンを充填できるように鉄筋径を太くして配筋ピッチを大きくする。これには、構造計算の実施が必要になることに留意する。

(2)施工上の留意点

施工では、かぶり部へ生コンが充填できるように、高性能AE減水剤と流動化剤の使用により、同一強度・単位水量のままスランプを大きくする。留意点:流動化剤使用の際は、流動化時間を確認すべきだ。なぜなら、流動化剤添加後の経過時間に伴うスランプの低下が著しいからである。これを防止するために、試験施工により流動化の効果持続時間を確認し打設計画に反映する。

2. 表層品質の確認方法の概要と留意点

 新設構造物のコアを採取してフェノールフタレイン溶液を噴霧して、中性化深さを測定する。この経過時間と中性化深さの関係より中性化の進行速度を測定する。この結果を、通常のコンクリートと比較して、中性化の進行度合いが通常のコンクリートよりも高いことを確認することにより表層の品質を判断する。ただし、中性化試験値が判明するまで期間を要する。これには炭酸ガス濃度を一般環境下の0.03%から5%に高めた促進中性化試験を実施する。これにより12年経過時の中性化深さを2週間で測定できる

【別解】2.表層品質の確認方法の概要と留意点

(1)確認方法

流水試験は、定量の水をコンクリート壁面に流し、その流水距離により表層の品質を評価しようとする簡便かつ定量的な手法である。原理は、コンクリートの毛細管現象を利用したもので、多孔質なものほど内部への水の浸透量が多くなるため、流水距離が短くなる。この流水距離により表層品質を評価する。例えば流水距離が長くなれば、表層が緻密であり、水が浸透しない分、距離が長くなる。

(2)留意点

流水試験は、その原理上、吹き付けた水が流れる壁、柱、梁などの垂直面にしか適用できない。このため、水平面の品質確認は、定量の水を水平方向に同一水圧で噴射可能なウォーターガンを活用し、水の流れを強制的に作用させ表層品質を比較評価する。

3.中性化を想定した維持管理計画の手順と留意点

(1)次の手順により経済的な維持管理計画を立案する。

①中性化している部位(pH11.0以下)を把握する。

②鉄筋の腐食状態を把握する。

③①の結果から再アルカリか範囲もしくは断面修復範囲を決定する

④②の結果から鉄筋の取替範囲や断面修復範囲を決定する。

(2)留意点

乾燥しやすい場所、南面など中性化しやすい環境下では、補修後の中性化の進行が速い。

これを防止するため、補修後は、表面被覆工法を施し、炭酸ガスの浸入を遮断する。

H29年 建設・鋼コン Ⅱ-2-4 模範解答と解説

問題   Ⅱ−2−4

 近年の大地震に備えて、コンクリート構造物の耐震補強がすすめられている。今回あなたは、1969年に竣工された設計図と設計計算が無いコンクリート構造物の耐震補強対策業務を行うこととなった。基礎工事は対象外として、下記の内容について記述せよ。

(1)想定したコンクリート構造物、注意すべき部材の破壊形態、目標とする耐震性能と照査方法

(2)構造物の復元方法、復元設計に必要な調査項目

(3)業務を進める手順、業務を提案する補強工法について設計施工上留意すべき事項

模範解答1  簡易答案形式1 添削回数2  完成日2018/4/22 専門とする事項 コン維持管理 

(1)概要

1)構造物:コンクリート橋脚

2)破壊形態:直下型地震によるせん断破壊

3)目標性能:レベル2地震動による損傷が限定的で、機能の回復が速やかに行える性能。

4)照査方法:応答スペクトル法

(2)復元計画

1)復元方法:橋脚の寸法大きさ、コンクリートの設計基準強度、鉄筋の引張強度、付着強度、コンクリート内の鉄筋位置・鉄筋量を確認する。

2)調査項目:コンクリート圧縮試験、シュミットハンマー打撃試験。鉄筋の引張試験。コンクリートはつり、X線検査、目視調査。

(3)補強業務方針

1)補強業務手順

a)橋脚の1次と2次の固有周期(モード)を求める。

b)想定される直下型地震の地震波について、応答スペクトル法により橋脚の1次あるいは2次モードによる最大せん断力を求める。

c)補強工法を比較する。鋼板巻立て補強を行うこととし,段面を仮決めする。

d)復元された橋脚と巻立てコンクリート及び鋼板のせん断耐力を合計し、最大せん断力以上になったら、補強段面を決定する。

2)留意点

a) 地震時に鋼板つなぎ部が損壊するとせん断耐力が大きく失われるので、鋼板ははすべて溶接接着とし鉄板引張強度以上を確保する。

b)せん断破壊に対して橋脚と補強部が分離して損壊しないように、既設コンクリートとの一体性を確保する。そのため、既設コンクリート表面のチッピングによるゆるみを打音検査により確実に除去する。また巻立てコンクリートはその段面厚さが小さく、ジャンカなどの欠陥が発生しやすい。そのため、流動性の高いコンクリートを使用することが望ましい。

模範解答1  簡易答案形式2 添削回数1  完成日2018/5/8 専門とする事項 コン維持管理

(1)概要

1)構造物:細長比の大きいコンクリート橋脚

2)破壊形態:段落とし部での曲げ破壊

3)目標性能:レベル2地震動(内陸型)による損傷が限定的で、機能の回復が速やかに行える性能。

4)照査方法:応答スペクトル法

(2)コンクリート橋脚の復元計画

1)復元方法:橋脚の寸法大きさ、コンクリートの設計基準強度、鉄筋の引張強度、付着強度、コンクリート内の鉄筋位置・鉄筋量を測定・確認し、当初図面を復元する。

2)調査項目:コンクリート圧縮試験、シュミットハンマー打撃試験。鉄筋の引張試験。コンクリートはつり、X線検査、目視調査。

(3)補強業務方針

1)補強業務手順

a)補強工法を比較する。鋼板巻立て補強を行うこととし,段面を仮決めする。

b)補強された橋脚の1次と2次の固有周期(モード)を求める。

c)想定される内陸型地震の地震波について、応答スペクトル法により補強された橋脚の1次あるいは2次モードによる橋脚の最大曲げモーメント力を求める。

d)橋脚と鋼板の曲げ耐力を合計し、最大曲げモーメント以上、かつ橋脚の頂部の許容変位量以下になったら、補強段面を決定する。許容変位量は、鉄筋及び鋼板の降伏変位量かつ落橋変位量以下とする。

2)留意点

a)段落とし部が強化されると、フーチング接続部が曲げ破壊で壊れる可能性がある。フーチング部に定着するアンカーによる補強を行う。

b)地震時に鋼板つなぎ部が損壊すると曲げ耐力が大きく失われるので、鋼板はすべて溶接接着とし鋼板引張強度以上を確保する。

c)地震時、橋脚の曲げによる橋脚とフーチングのひずみ変形で、鋼板が衝突座屈しないように、フーチングと鋼板間を5cm程度開ける。

H29年 建設・鋼コン Ⅲ-2 模範解答と解説

問題

Aグループ … 鋼構造

II−1−1

次に示す高性能鋼から2つを選び,それぞれの特徴や利点を示し,鋼構造物における使用上の留意点について述べよ。(選択した鋼材を明記すること。)

(1)   橋梁用高降伏点鋼(SBHS) 

(2)   建築構造用圧延鋼材(SN)

(3)   建築構造用高強度鋼材(SA)

(4)   耐候性鋼

(5)   ステンレス鋼 

(6)   耐火鋼

(7)   超高カボルト

(8)   クラッド鋼

模範解答1  簡易答案形式1   作成日2018.03.14  添削回数4   専門とする事項 鋼橋設計 

(1)問題点、課題

1)  インフラに粘り強い構造を導入

自然災害でインフラの脆性破壊・全体崩壊が生じた場合、住民の避難時間が確保不可で多大な被害。よって従来の耐荷力の増加対策に加え、塑性変形の許容によりインフラに粘り強い構造を導入することが課題。

2)  維持管理のコスト低減

インフラの防災機能を発揮するためには維持管理で部材健全が前提→予算不足の状況下では全施設への長寿命化や予防保全管理が困難。よって、インフラの設置環境や重要度、要求性能に応じた維持管理でコストの低減を図ることが課題

3)  技術者の確保

インフラは災害時の救援活動拠点だから早期復旧が必要だが、技術者不足。よって、産学官が連携した人材育成、残業時間削減や週休二日制導入等による労働環境の改善で技術者を確保することが課題

(2)重要な技術的課題と技術的解決案

課題1)鋼橋上部工への粘り強い構造を導入

提案1)粘り強い構造を導入するため、鋼上部工の塑性化・部分破壊の許容や地震Eの吸収によって、脆性破壊を抑える。具体的には、塑性設計や制震デバイス(ダンパーによる減衰付加)の導入

課題2)鋼橋の維持管理のコスト低減

提案2)コスト低減のため性能照査型設計法の導入で架橋環境、重要度、設計耐久年数に応じた維持管理手法・構造を設定。具体例1防食①凍結防止剤散布路線→高耐久金属溶射やクラッド鋼②残存寿命短→低耐久Ra-Ⅲ。2点検①長大中橋→センサーで腐食自動探知②小橋→簡易点検。3構造:長支間→合理化少数桁で部材低減

(3)効果・リスク・課題

1)塑性設計について

①効果:脆性破壊・全体崩壊を防止→住民の避難時間を確保→人命を守る。

②リスク:塑性化後断面の耐荷力が不明状況で住民・車両通行→破断が生ずる危険。

③課題:活荷重に対する塑性断面耐荷力のFEM検証や破壊部材削除モデルでの解析等で積載荷重制限や補強部材設置を判断

2)クラッド鋼の使用について

①効果:構造用圧延鋼材とSUS・チタンを一体化した鋼材のため、高耐食性を有する構造部材として使用可→維持管理コスト低減→部材健全保持→防災機能発揮

②リスク:桁端部等に部分使用→クラッド鋼と一般鋼材境界部に異種金属接触腐食→断面減少③課題:境界部へのゴム等の絶縁処理対策を検討

別案も考えました。

2)クラッド鋼の使用について

①効果:母材(構造用圧延鋼材)と合せ材(SUS・チタン)を一体化した鋼材のため、高耐食性を有する構造部材として使用可→塗装不要で維持管理コスト低減

②リスク:長期間の活荷重繰返しで合せ材が剥離→断面急変で母材に応力集中→亀裂→グラッド鋼の剥離に対する疲労照査が確立されていないことからリスクと想定しました。これをリスクとして良いでしょうか。

③課題:合せ材の剥離を踏まえた疲労照査で母材の安全性を検証

模範解答1  簡易答案形式2      作成日2018.03.17  添削回数2   専門とする事項 鋼橋設計

(1)問題点、課題

1)インフラを粘り強い構造とする

自然災害でインフラの脆性破壊・全体崩壊が生じた場合、住民の避難時間の確保が困難となり、多大な被害が生ずる。よって従来の耐荷力増加対策に加え、塑性変形の許容によりインフラを粘り強い構造とする必要がある。

2)維持管理のコスト低減

インフラの防災機能を発揮するためには維持管理で部材が健全であることが前提となる。しかし、予算不足の状況下では全施設への長寿命化や予防保全管理が困難である。よってインフラの周辺環境や重要度、要求性能に応じた維持管理でコストの低減を図る必要がある。

3)技術者の確保

インフラは災害時の救援活動拠点となるため、損傷した場合は早期復旧が必要である。しかし、人口減少や団塊世代の一斉退職により技術者が不足している。よって、産学官が連携した人材育成、残業時間の削減や週休二日制の導入等による労働環境の改善で技術者を確保する必要がある。

(2)重要な技術的課題と技術的解決案

課題1)鋼橋の上部工を粘り強い構造とする

提案1)粘り強い構造とするため、鋼上部工の塑性化・部分破壊の許容や地震Eの吸収により、脆性破壊を抑える。具体的には、塑性設計の導入や制震デバイス(ダンパーで減衰付加)を導入する。

課題2)鋼橋の維持管理のコスト低減

提案2)コスト低減のため、性能照査型設計法の導入により架橋環境、橋の重要度、設計耐久年数に応じた維持管理手法・構造を設定する。例1防食①凍結防止剤散布路線は高耐久の金属溶射やクラッド鋼を採用する②残存寿命短橋は低耐久のRa-Ⅲを採用する。2点検①大中規模橋は腐食や疲労亀裂を自動探知できるセンサーや赤外線カメラを導入する②小規模橋は点検部材を主桁や支承等に限定した簡易点検とする3構造:長支間橋は少数桁等の合理化構造の採用で部材数を低減する。

(3)効果・リスク・課題

1)塑性設計について

①効果:脆性破壊・全体崩壊を防止することで住民の避難時間を確保し、人命を守る。

②リスク:塑性化後の断面の耐荷力が不明な状況で住民や車両が通行した場合、破断が生ずる。

③課題:FEMによる活荷重に対する塑性断面の耐荷力の照査や塑性化・破壊部材を削除したモデルでの解析により、車両総重量の制限や補強部材の設置を検討する。

2)クラッド鋼の使用について

①効果:母材(構造用圧延鋼材)と合せ材(チタン)を一体化した鋼材であり、高耐食性を有する構造部材として使用するため、維持管理コストを低減できる。また、部材の健全性の保持により耐震性能を発揮できる②リスク:クラッド鋼を桁端部等に部分使用した場合、一般鋼材区間との境界部に異種金属接触腐食が生じ板厚減少に至る③課題:境界部にゴム等の絶縁処理を行う。

模範解答1  答案形式   作成日2018.04.6  添削回数6   専門とする事項 鋼橋設計

(1)問題点、課題

1)インフラを粘り強い構造とする

自然災害でインフラの脆性破壊・全体崩壊が生じた場合、人命に危険が及ぶ。このため、従来の耐荷力増加対策に加え、塑性変形の許容によりインフラを粘り強い構造とする必要がある。

2)維持管理のコスト低減

インフラの防災機能を発揮するためには、部材が健全であることが前提となる。しかし、予算不足の状況下では、全施設への維持管理の継続が困難である。このため、インフラの周辺環境や重要度及び要求性能に応じた維持管理によりコストの低減を図る必要がある。

3)技術者の確保

インフラは災害時の救援活動拠点となるため、早期復旧が必要であるが、技術者が不足している。このため、産学官が連携した人材育成、残業時間の削減や週休二日制の導入等で労働環境の改善を図り、技術者を確保する必要がある。

(2)重要な技術的課題と技術的解決案

課題1)鋼橋を粘り強い構造とする

提案1)鋼橋の優れた塑性変形能の活用、部分破壊の許容および地震エネルギーの吸収により、全体崩壊・脆性破壊を抑える。

①塑性設計

FEM弾塑性解析で特定した崩壊時の塑性ヒンジの回転角と全塑性モーメントMpで崩壊荷重を算出し、部材の全体崩壊に対する安全性を照査する。また部材断面は、局部座屈が生じること無くMpに達することができるコンパクト断面を導入する。

②制震設計

犠牲部材である鋼材ダンパーを鋼上部工部材または上下部工間に設置し、鋼材の弾塑性履歴による減衰付加により地震エネルギーを吸収することで、橋体の全体崩壊を防止する。また、免震支承を併用により、優れた復元力を付加した合理的な制震設計とする。  

課題2)鋼橋の維持管理のコスト低減

提案2)性能照査型設計法の導入により、鋼橋の重要度に応じた維持管理手法を設定し、効率的な維持管理予算の配分を行う。また重要度は、路線の社会的重要性に加え、現在の健全性診断結果と将来の劣化シュミレーション予測により算出した残寿命で決定する。

①重要度が高い橋への維持管理

緊急輸送路や残寿命が大きい橋は、防災・社会経済上重要度が高いと判断し、長期間に渡り部材機能の低下を防止する。よって、予算の集中投資によるフルスペックの維持管理を行う。具体的には、ICTを活用した自動点検(センサー等)による損傷の早期発見・補修や長寿命化工法(金属溶射・クラッド鋼等)の導入により高耐久化を図る「予防保全型維持管理」行う。

②重要度が低い橋への維持管理

利用頻度が少なく残寿命が短い橋は、架け替えや撤去までの短期間のみ部材機能の低下防止を図る。よって耐久性が低い工法(Ra-Ⅲ等)や遠望目視点検等の低予算での維持管理を行う。

 (3)効果・リスク・課題

1)塑性設計

①効果:脆性破壊・全体崩壊を防止することで住民の避難時間を確保し、人命を守ることができる。

②リスク:地震後の塑性化断面の耐荷力が不足した状況下において、住民や車両が鋼橋を通行した場合、崩壊が生ずる危険がある。また、FEM弾塑性解析は設計負荷(入力やモデル化が複雑)が大きく、解析結果の善悪の判断が困難で設計ミスに気付かない恐れがある。

③課題:活荷重に対する塑性断面の耐荷力照査や塑性化部材削除モデルでの解析でにより、通行荷重の制限を検討する。また、PUSHOVER解析等の大変形を前提とした準静的解析との対比チェックで設計ミスを防止する。

2)重要度に応じた維持管理

①効果:全施設に対するフルスペックの維持管理が不要となり、作業の効率化・省力化を図ることができる。

②リスク:現在の健全性診断基準は定量的で無いため、診断ミスが生じ残寿命や重要度設定を誤る危険がある。

③課題:構造設計データと損傷データがリンクし、構造機能に対する影響の自動計算・健全性診断ができるシステムにより、診断基準の定量化を図る必要がある。

答案作成上の注意

・解決策とは何か

 例ではなく、概説的、包含的に目指すもの。つまりはこのようなことという論述にする。

・効果とは

 サプライズ、二次的発展的な影響

・リスクについて

 提案の要素についてのリスクではなく、提案全体のリスクを提案する。→限定しない

 唐突にならないように前提条件をあげて論述する。

H29年 建設・鋼コン Ⅲ-3 模範解答と解説

問題

 近年、建設業界においては、就労者の高齢化や若年入職者の減少等が問題となっている。また、社会資本の大規模更新や震災復興事業が増加しており、生産性向上が求められている。一方、生産性向上と同時に品質確保が重要となる。このような観点から以下の各設問に答えよ。

(1)コンクリート構造物の建設において、建設現場の生産性を向上させるために検討すべき項目を多様な観点から記述せよ。

(2)(1)の検討すべき項目のうち、あなたが重要であると考える技術的課題を1つ挙げ、実現可能な解決策を2つ提示し、それぞれの具体的効果を記述せよ。

(3)(2)で提示した2つの解決策について、構造物の品質確保・向上の観点からメリット・デメリットを記述せよ。

模範解答1  専門とする事項 構造物維持管理 

1.コンクリート構造物の生産性向上の検討項目

(1)全体最適設計を図る

 現地と設計条件の不一致や施工性に配慮されていな設計図面など設計段階での検討不足により手戻りや手間が多く、生産効率が悪い問題がある。そこで、品質や生産性の向上などフロントローディングの考えに基づく、設計段階で評価できる全体最適を図る手法を検討する。

 道路橋の橋脚を対象とするコンクリート構造物と仮定する。現地と設計条件の不一致として、例えば、橋脚基礎を施工するためオープン掘削で設計したが安全勾配をとった結果、現道にかかり、土留工等の仮設が必要となる。施工性に配慮されていない設計図面は、杭基礎、フーチング、柱部の取合部に重ね継ぎ手を設けるなど。現地の制約条件から、部材の形状や寸法を大きくできずに過密配筋状態となった設計に対し、現場で鉄筋組立ができなかったり、鉄筋組立が可能であってもコンクリートが十分に充填できなかったりする。

 設計段階での検討不足の原因は、杭の軸方向鉄筋やフーチングの主鉄筋、橋脚柱部の軸方向鉄筋について、これらの鉄筋交差部にどのような配筋状態になるのかを検討していなかったことによる。以上の結果、設計変更による手戻りや鉄筋輻輳部などの締固めなど多くの手間が生じ、生産効率が悪い問題が発生する。

 これを防止するため、品質や生産性の向上などフロントローディングの考えに基づく、設計段階で評価できる全体最適を図る設計手法を検討する。例えば、鉄筋の輻輳する箇所は通常ならば2D表示で鉄筋干渉の有無が確認できない。これには3Dモデルの活用により、鉄筋干渉の有無や内部振動棒の挿入の可否がわかる。問題があれば、重ね継手部は機械式継手に変更する、鉄筋径を太くし配筋ピッチを広げる。

 現地調査により、設計した内容で施工できるか、維持管理を想定した点検のしやすい構造であるか、事後保全が困難な箇所は、通常よりも高品質高強度のコンクリートの採用や表面被覆工法などの予防保全を最初から設計で盛り込むなどの検討し設計段階で評価できる全体最適を図ることにより手戻りや手間を省き、コンクリート構造物の品質及び生産性向上が実現できる。

(2)サプライチェーンマネジメントの導入

 建設現場は一品受注生産が基本であり、資材発注後の仕様の確認、製造と手順を経る。このため、納品に時間を要することが問題である。そこで、発注情報(規格、数量)の事前発信により関係者間で共有すれば、早期の調達計画や材料調達のミスマッチを解消できる。その結果、待ち時間のロスがなくなり、生産効率が向上する。そこで、調達の効率化を図る手法であるサプライチェーマネジメントの導入を検討する。

 コンクリート構造物は一品受注生産が基本であり、足場設置、鉄筋組み、型枠組立、コンクリート打設と多くの手順を踏む。施工するには、まず、コンクリート工事を受注した建設会社から専門工事会社(鉄筋工、型枠大工等)、建材メーカー・生コン会社、材料メーカーへと発注し、その逆の流れで供給連鎖が発生する。この調達の流れの中でメーカーが仕様を確認、製造と手順を経る。

 例えば、塩害地域のコンクリート構造物に使用されるエポキシ樹脂塗装鉄筋は、加工後、特殊塗装を施すため、製作に時間がかかる。このため納期に時間を要する問題がある。この影響で後作業が進められず、工程に遅れが生じる。この他にも景観箇所に用いる特殊型枠や軽量コンクリートなど特殊材料を使用したコンクリートなども同様である。この解決策として工事発注前の情報でこれらの規格・数量などを発信し、関係者間で情報を共有する。

 例えば、エポキシ樹脂塗装鉄筋の数量や規格が事前に判明していれば、メーカー側は発注を待たずに製作を進められるため、受注業者からの発注を受け、すぐに納品できるようになる。その結果、後作業に待ち時間がなくなり生産性向上が実現できる。また、材料調達を分析すると、メーカー側は、仕様を事前情報で把握できるため、工事受注者側からの発注時の仕様(規格・数量)を誤る材料調達のミスマッチを防止できる。

 さらに、発注スケジュールの事前把握により、これらの早期の調達計画が可能となる。このように、調達の効率化を図る手法がサプライチェーンマネジメントである。

(3)コンクリート工の効率化

 土木現場は一品生産が原則であり、コンクリート構造物も現場ごとに寸法が異なり、鉄筋組立、型枠製作など人手を要する作業が前提となる。このようなコンクリート工事の特性を考慮し、生産性を向上させるには、プレキャスト化の適用や現場打ち作業の効率化を図れる手法を検討する。

2.重要と考える課題と解決策

(1)コンクリート工の効率化

 全体最適を図る設計手法やサプライチェーマネジメントなどのマネジメントによる生産性の効率化ではなく、直接的に生産性を向上できる「コンクリ−ト工の効率化」を最も重要な課題と考え述べる。

(2)プレキャスト化の活用

a)着眼点:従来のコンクリート工は、現場で足場、鉄筋組立、型枠製作、コンクリート打設、養生と多くの手順を要する。このため、これらの作業工程を省略することで生産性が向上することに着目する。

b)具体策及び効果

プレキャストやハーフプレキャスト部材を活用する。これにより、従来工法の作業工程を省略でき、生産性を向上できる。

(3)施工技術の向上

a)着眼点:従来のコンクリート工は、型枠製作、設置・撤去、コンクリート打設では特に過密配筋部のコンクリート締固めに多くの手間がかかる。そこで、この手間を省くことで施工効率が向上することに着目する。

b)具体策及び効果

埋設型枠や高流動コンクリートを採用する。これにより、従来工法の作業手間を省き施工効率を向上できる。

3.解決策のメリット、デメリット

(1)プレキャスト化の活用(解決策1)

a)メリット:以下に列記する。

①屋内施工のため外部環境(凍結、雨、風など)の影響を受けない、整った設備(治具による鉄筋組、鋼製型枠、工場内コンクリートプラントによる生コン投入時期の最適化、豊富な内部振動機による確実な締固め、自動プログラム温度制御による蒸気養生、熟練工による表面コテ仕上げ等)、打設前、製品、出荷前検査による不良品の完全除去、コンクリート試験による品質が保証されたプレキャスト製品のみ納品される。以上により工場製作は高品質化を実現できる。

②機械施工が主体となり作業のスピードアップによる時間短縮が図れる。

③型枠大工や鉄筋工の技能労働者の技術のバラツキによる品質の低下を防止し、安定した品質を確保できる。

b)デメリット:

①地下構造物やトンネルなど水密性が求められる場所では、プレキャスト部材の接合部の止水性能に劣る。

②作業の簡略化により型枠大工・鉄筋工の技術が衰退する。

③運搬上の制約を受ける。

(2)施工技術の向上(解決策2)

a)メリット:以下に列記する。

 埋設型枠により、ジャンカを防止し、工場製作のため表層部の緻密化を図ることができ、安定した品質を確保できる。高流動コンクリートは、自己充填性能によりコンクリート締固め不要で過密配筋内に密実にコンクリートを充填できる。これにより、ジャンカや空洞を防止し確実に品質を確保できる。

b)デメリット

 埋設型枠背面に打ち込まれたコンクリートとの一体性について、温度変化、乾湿繰返し作用、凍結融解作用など、これらの作用に対して長期的に一体化が確保できているかが実証できない。

 高流動コンクリートはコストが高い、採用するには発注者との協議が必要になり時間がかかる。ブリーディングがほとんど生じないため、表面の急激な乾燥に伴うプラスティック収縮ひび割れが発生しやすい。

模範解答2  簡易答案形式1 添削回数1  完成日2018/4/20 専門とする事項 コン維持管理

1.生産性を向上させるために検討すべき項目

1)女性労働者の活用:余剰900万人の女性の労働力参入により生産性向上を図る。2)ICTの活用:スランプ・強度などの管理項目につき、センサーをコンクリート内に設置し自動観測集計すれば、管理作業が縮減できる。

3)現場作業の省力化:労働環境の悪い現場を省力化することで効率化を図る。

2.現場作業の省力化

 日本はモンスーン気候帯にあたり、台風、梅雨、積雪で現場作業日数が少ない。夏季・冬季コンクリート打設は特別な対応を取らざるを得ず、計画的・効率的な現場作業が困難である。

生産性を向上するためには、現場作業をできるだけ省力化することが課題である。

1)プレキャスト製品の採用(解決策1):工場機械で型枠設置や配筋、コンクリート打設・締固めを行い、プレキャスト製品を作る。現場では、機械によるプレキャスト製品の組み立てを行う。

2)高流動コンクリートの活用(解決策2):コンクリート充填作業がたやすくなり、締固作業が不要となる。

3.メリット・デメリット

1)プレキャスト製品の採用(解決策1)

a) メリット:人力に替えて機械で作業するため、作業効率が大幅にアップする。天候中断がなく計画的・効率的に作業ができる。安定した足場で型枠設置や配筋が行えるため、製品の寸法・鉄筋設置精度が向上する。室内空調により温度湿度が一定し、フレッシュ及び硬化中コンクリート品質が安定するため、乾燥ひび割れや初期凍害がなくなり品質が高くなる。機械作業による省人化、空調による温度湿度安定で労働環境改善が図れる。労働環境改善で建設部門への新規及び女性参入者増加が見込める。

b)デメリット:接続部について、公的な構造形式が明示されていないため、プレキャスト製品接合部の長期耐久性の信頼性が保証されていない。

2)高流動コンクリートの活用(解決策2)

a)メリット:熟練工によるコンクリート締固作業が不要である。また過密鉄筋部の充填性が確保され、製品品質が高くなる。

b)デメリット:急激な温度変化で高流動コンクリートの施工性能が変化するため、フレッシュコンクリートの品質確保が難しくなる場合がある。

模範解答2  簡易答案形式1 添削回数6  完成日2018/5/24 専門とする事項 コン維持管理

1.コンクリート生産性向上のための検討項目

(1)現場作業の省力化:ユニット鉄筋をクレーン機械により設置する。あるいは、RCD工法でダンプ積込輸送及び機械振動機でマスコンクリートを大量打設し、日打設量を大幅に向上する。

(2)性能照査設計の採用:設計者は、構造物の使用状況に応じて要求性能レベルをできるだけ小さく設定する。次に限界値の設定値としての最小安全率を選択する。

(3)工事施工の平準化:債務負担による複数年の発注工期を採用し、受注者がその範囲内で任意の工期を決定する。あるいは、日打設量を考慮した構造物設計を行う。例えば、砂防ダムの縦目地間隔を狭め、ブロック割を小さくし日打設量を100m3以下にする。

2.最も重要と考える課題、2つの解決策とその効果

作業条件や労働環境が厳しいため、さらなる現場作業の効率化は困難である。生産性向上のためには、「現場作業の省力化」が課題である。

(1)プレキャスト製品の採用(解決策1)

a) 効果:プレキャスト製品の製作は、工場内の機械施工により作業効率が大幅に向上する。現場では、製品の組立作業のみで効率的に構造物を完成できる。製品製作の効率が大幅に向上する他、工期が3割〜6割縮減するため、現場経費が低減できる

(2)高流動コンクリートの活用(解決策2)

a) 効果:高流動コンクリートを採用すれば、充填を円滑にでき振動・締固め作業を削減できる。特に過密鉄筋箇所への充填性が向上する。

3.メリット、デメリット

(1) プレキャスト製品の採用(解決策1)

a)メリット:工場内の大型振動機により十分な締固エネルギーを与えられ、豆板や未充填が防止できる。また、自動機械の施工により配筋精度が高まる。さらに、工場内のため湿度温度の変動が少ないため、コンクリートフレッシュ性状が一定し施工のばらつきがなくなる。これらにより安定した品質が確保できる。

b) デメリット:製品接合部の水密性の確保が難しい。これに対しては、同種の接合部の劣化損傷の実績を調査し、劣化の時期、進行度を予測することで予防保全を実施、補修費用を最小限とする。

(2) 高流動コンクリートの活用(解決策2)

a)メリット:未充填や豆板等の初期欠陥が防止でき、高い品質確保と耐久性が向上する。従来のコンクリートでは十分充填できないコンクリート充填鋼管工法が可能となり、地震時座屈に強い品質の工法が採用できる。

b) デメリット:天候の変化により気温が変動し、スランプが大きく変化、充填性等が悪化しコンクリート品質が低下する可能性がある。事前に充填性等を満足するスランプフロー目標値から±5cmを超える温度の増減幅を確認し、それ以上気温が変化したら作業を中止する。

H29/2017年 建設・都市地方計画 Ⅱ−1−2 問題 模範解答と解説

 都市再生特別措置法ては、まちのにきわいの創出のため、「広告塔又は看板」、 「食事施設、購買施設その他これらに類する施設」、「自転車駐車器具て自転車を賃貸 する事業の用に供するもの」について、一定の条件下て道路占用許可基準を緩和す ることかてきる。この基準緩和を適用して道路空間にこれらの施設を設置すること により得られる効果と、その際に留意すへき事項を述へよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 5回 2019.1.28  専門事項 都市施設設計

1)広告塔又は看板                  

効果:まちづくり会社が広告主となり、まちづくりに貢献する広告を市民に提供することで地域活性化する。

留意点: 歩道幅員を確保するため、道路の無余地性を前提として民有地内に広告設置するよう留意する。

2)食事施設、購買施設その他これらに類する施設

効果:路上でオープンカフェやマルシェ等の占用を認めることで、日常的ににぎわうため人々の交流を生み出す効果がある。

留意点:商店街前の歩道で、店舗ごとに連続した地先利用型の路面店を出し、多様な店舗を配置することで様々な年代の方を集客できるよう留意する。

3)自転車駐車器具て自転車を賃貸 する事業の用に供するもの

効果:自転車共同利用サービスで、まちの周遊を促進する効果がある。

留意点: 路上の違法駐輪を防ぐよう、道路の無余地性を前提として空き地等低未利用地に駐輪場を設置するよう留意する。

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 1回 2019.1.25   専門事項 都市施設設計

1)広告塔又は看板

効果:まちづくり会社が広告主となり、まちづくりに貢献する広告を市民に提供することで地域活性化する。松戸市など市街地では、地域広告を駅前の道路上に設置して収益を地域の財源に充てている。

留意点: 歩道幅員を確保するため、道路の無余地性を前提として民有地内に広告設置する。

2)食事施設、購買施設その他これらに類する施設

効果:路上でオープンカフェやマルシェ等の占用を認めることで、日常的ににぎわうため人々の交流を生み出す効果がある。丸ノ内などオフィス街では、平日の昼間に路上規制をした道路上のオープンカフェで集客している。

留意点:狭い歩道で混雑を緩和するため、公開空地と道路を一体化する。

3)自転車駐車器具て自転車を賃貸する事業の用に供するもの

効果:自転車共同利用サービスで、まちの周遊を促進する効果がある。多くの観光地ではサイクルポートを設置し公共交通を促進している。

留意点: 路上の違法駐輪を防ぐよう、道路の無余地性を前提として道路下に地下駐輪場を設置する。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.3.14   専門事項 都市施設設計

1)広告塔又は看板

効果:まちづくり会社が広告主となり、まちづくり

に貢献する広告を市民に提供することで地域活性化する効果がある。松戸市など市街地では、自主財源によるまちづくりを目指して、地域広告を駅前の道路上に設置して収益を道路維持管理費等に充てている。

留意点: 歩道幅員を確保するため、道路の無余地性を前提として民有地内に広告設置する。

2)食事施設、購買施設その他これらに類する施設

 効果:路上でオープンカフェやマルシェ等の占用を認めることで、日常的ににぎわうため人々の交流を生み出す効果がある。丸ノ内などオフィス街では、街並みの賑わいを向上させるため、道路占用許可の特例によるオープンカフェで集客している。

留意点:狭い歩道で混雑を緩和するため、公開空地と道路を一体化する。

3)自転車駐車器具賃貸事業

効果:自転車共同利用サービスで、まちの周遊を促進する効果がある。駅やバス停付近に用地が無い観光地では、観光客の利便性を向上するため、サイクルポートを設置し公共交通を促進している。

留意点: 路上の違法駐輪を防ぐよう、道路の無余地性を前提として道路下に地下駐輪場を設置する。

H29/2017年 建設・都市地方計画 Ⅱ−1−4 問題 模範解答と解説

 官民連携に資する次の手法それそれについて、その概要と、都市公園に適用することによって得られる公園管理者のメリットを述へよ。

  (1)地方自治法に基つく指定管理者制度

  (2)都市公園法に基つく公園施設の設置管理許可制度

  (3)民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する「法律(PFI法)に基つく公共施設等の整備・運営

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 5回 2019.1.28  専門事項 都市施設設計

1.指定管理者制度

1-1概要

民間事業者等が公共施設管理を行う制度で、自治体の長が使用許可する。施設管理は条例で指定管理者に委ねられる。

1-2メリット

1)継続的な売上げにより収益性が高いので事業安定性が高い。

2)事業者独自の運営のため運営費が安いので利益率が高い。

2.設置管理許可制度

2-1概要

民間事業者等が公園内に売店等を設置できる制度で、機能の増進を目指し公園施設設置を進めている。公園の一部を公園管理者に借りて公園施設を設置する。

2-2メリット

1)継続的な売上げにより収益性が高い。

2)公園との相乗効果で利用者の滞留時間が長いので消費単価が高い。

3.PFI

3-1概要

民間事業者が一連の事業を行う制度で、官民でリスク分担でき、安く良好なサービスを提供し、創意溢れる施設が整備できる。

3-2メリット

1)設置管理許可制度より事業期間が長いので投資回収率が高い。

2)設置管理許可制度より作れる施設の建築面積が大きいので収益性が高い。

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 0回 2019.1.23   専門事項 都市施設設計

1. 指定管理者制度

1-1概要

民間事業者等が公共施設管理を行う制度で、自治体の長が使用許可する。施設管理は条例で指定管理者に委ねられる。住民の意向を優先するよう行政等が介入したサービス向上が課題である。

1-2メリット

1)継続的な売上げにより収益性が高いので事業安定性が高い。

2)事業者独自の運営で運営費が安いので利益率が高い。

2.設置管理許可制度

2-1概要

民間事業者等が公園に売店等を設置できる制度で、公園管理者に借地して公園施設を設置する。地域貢献のため、施設を活用したエリアマネジメントが課題である。

2-2メリット

1)継続的な売上げにより収益性が高い。

2)公園との相乗効果で利用者の滞留時間が長いので消費単価が高い。

3.PFI

3-1概要

民間事業者が一連の事業を行う制度で、官民でリスク分担でき、良好なサービスを提供する施設が整備できる。集客促進のため、PFIと連携した公共施設の維持が課題である。

3-2メリット

1)設置管理許可制度より長期事業のため投資回収率が高い。

2)設置管理許可制度より建築面積の上限が大きいため収益性が高い。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.3.14   専門事項 都市施設設計

1.指定管理者制度

民間事業者等が公共施設管理を行う制度で、自治体の長が使用許可し、施設管理は条例で指定管理者に委ねられる。指定管理者の利益を優先して、住民の意向が反映された施設を目指し、行政等が介入してモニタリングし、サービスの維持・向上が課題である。

メリットは、継続的な売上げによる安定した事業と、効率化して事業費を抑制することから、公園管理者の費用対効果が高まることである。

2.設置管理許可制度

 設置管理許可制度とは、民間事業者等が公園に売店等を設置できる制度で、公園管理者に借地して公園施設を設置するため、地域貢献のため施設を活用したエリアマネジメントが課題である。

メリットは、継続的な売上げでの安定した事業と、公園との相互利用で快適性が向上するため、公園のリピート率が向上することである。

3.PFI

 民間事業者が一連の事業を行う制度で、官民でリスク分担でき、良好なサービスを提供する施設が整備できる。集客促進のため、市民のニーズに沿う事業に適した事業者選定が課題である。

メリットは、投資回収率が高く、建築面積の上限が大きいことから、提供できるサービスの幅が広がることである。

H29/2017年 建設・都市地方計画 Ⅱ−2−2 問題 模範解答と解説

 II-2-2 防災上多くの課題を抱える密集市街地において、あなたか担当責任者として、整備改善のための計画策定を行うに当たり、以下の内容について記述せよ。

(1)密集市街地における防災上の課題

(2)計画策定の手順とその具体的内容

(3)実効性の高い計画とするための工夫又は留意すへき事項

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 3回 2019.2.7  専門事項 都市施設設計

(1)密集市街地における防災上の課題

①権利変換による防災施設建築物の整備

土地や建物をビルの床と敷地の権利に置き換え、建物を共同化することで防災施設建築物を整備する。

②道路整備に合わせた公園等の確保

都市計画道路等の整備に合わせて、移転者の共同化を推進し、避難場所や延焼を防止する公園や広場を確保する。

③権利変換による防災幹線道路ネットワークの確保

緊急車両等の安全な移動手段確保のため、土地から土地の権利変換により道路を付替えて主要道路を確保

(2)計画策定の手順とその具体的内容 

①市街地再開発による建物高度化

住宅等を集約して市街地再開発で建物を高度化し、空地を確保する。

②建物単体での防火規定

防火規定を強化するため、準耐火建築物以上とし、防火環境軸を形成するため道路沿い建物を耐震化する。

③防災街区整備地区計画で避難路を確保する

街区内の避難路を確保するため、防災街区整備地区計画で従前居住者を移転させて特定地区防災施設となる6m以上の道路等を整備する。

(3)実効性の高い計画とするための工夫

①容積配分型地区計画で保留床増加

あらかじめ容積を移転させる容積適正配分型地区計画により防災施設建築物に建て替えを促進することで、保留床が増加して事業の採算性が向上する。

②個別利用区で防火性向上

土地の権利変換により個別利用区の建物も準耐火建築物以上とすることで、防災施設建築物以外の建物の防火性が向上する。

③避難経路協定で道路ネットワーク機能向上

密集市街地内の避難路確保を目指して、植木の残置等で障害が多い私道に関して避難経路協定を結ぶことで、土地所有者等全員の合意で避難経路を確保し、道路ネットワークを確保する。

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 0回 2019.2.27   専門事項 都市施設設計

(1)密集市街地における防災上の課題

①権利変換による防災施設建築物の整備

密集市街地での老朽建築物の放置が問題点だった。そのため、防災街区整備事業で土地や建物をビルの床と敷地の権利に置換え、建物を共同化し防災施設建築物を整備する。

②建物の不燃化と耐震化で延焼防止

都市計画道路沿道の不燃化が遅れ、都市防火区画整備率が低いことが問題点だった。そのため、都市計画道路整備に合わせて、沿道の老朽建築物の不燃化と耐震化を促進する。

③権利変換による防災幹線道路ネットワークの確保

従来の土地区画整理事業の方針だけでは都市計画決定等で長期化することが問題点だった。そのため、敷地整序型土地区画整理で、権利変換により道路を付替えて主要道路を確保する。

(2)計画策定の手順とその具体的内容 

①市街地再開発による建物高度化

住宅等を集約して市街地再開発で建物を高度化し、空地を確保する。

②建物単体での防火規定

防火規定を強化するため、準耐火建築物以上とし、防火環境軸を形成するため道路沿い建物を耐震化する。

③防災街区整備地区計画で避難路を確保する

街区内の避難路を確保するため、防災街区整備地区計画で従前居住者を移転させて特定地区防災施設となる6m以上の道路等を整備する。

(3)実効性の高い計画とするための工夫

①容積配分型地区計画で保留床増加

あらかじめ容積を移転させる容積適正配分型地区計画により防災施設建築物に建て替えを促進することで、保留床が増加して事業の採算性が向上する。千葉市の市街地では、公園等低密な地区と機能集積する地区で容積率にメリハリをつけている。

②個別利用区で防火性向上

土地の権利変換により個別利用区の建物も準耐火建築物以上とすることで、防災施設建築物以外の建物の防火性が向上する。墨田区など下町では個別利用区の建物整備費を低減できるよう定期借地権を設定している。

③避難経路協定で道路ネットワーク機能向上

密集市街地内の避難路確保を目指し、私道に関しても避難経路協定を結ぶことで、全員の合意で避難経路を確保し、避難路を確保する。川口市など郊外では、通常時は遊歩道の緑道を緊急時は避難路に設定するため避難経路協定を締結している。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.3.21   専門事項 都市施設設計

(1)密集市街地における防災上の課題

①権利変換で防災施設建築物と防災ネットワーク整備

密集市街地での老朽建築物の放置が問題点だった。そのため、権利変換により防災街区整備事業でビルの床と敷地に防災施設建築物を置換えたり、道路を付替えて主要道路を確保し、防災性を向上する。

②建物の不燃化で延焼防止

都市計画道路沿道の不燃化が遅れ、都市防火区画整備率が低いことが問題点だった。そのため、都市計画道路整備に合わせて、沿道の老朽建築物の不燃化を促進する。

(2)計画策定の手順とその具体的内容 

①市街地再開発による建物高度化

住宅等を集約して市街地再開発で建物を高度化し、空地を確保する。コンパクトシティ化に合わせた権利変換方式の再開発により医療・住居等複合機能の建物高度利用を図る。

②建物単体での防火規定

防火規定を強化するため、街区内の建物を準耐火建築物以上とする。個別利用区制度を活用して低層老朽化建築物を準耐火建築物以上に置き換え、防災性を向上する。

③防災街区整備地区計画で避難路を確保する

街区内の避難路を確保するため、防災街区整備地区計画で従前居住者を移転させて、特定地区防災施設となる幅員6m以上の道路を整備する。6mの幅員が確保できていない箇所には、地区整備計画による壁面後退を併用して避難路を確保する。

(3)実効性の高い計画とするための工夫

①容積配分型地区計画で整備期間短縮

容積適正配分型地区計画により、低層棟の容積を高層棟に移管した保留床の資金で、地権者と合意形成を促して整備期間を短縮する。千葉市のように、低層住宅の容積を駅前の高度利用する建物に移転・売却させることで移転補償をねん出し、防災施設建築物整備を促進させる。

②個別利用区促進で防火性向上

土地の権利変換により個別利用区の建物を準耐火建築物以上とすることで、防災施設建築物以外の建物の防火性が向上する。足立区の整備計画のように、個別利用区の建物の建ぺい率緩和などを取り入れて、新築時の自由度を高めて防火性を備えた建替えを促進させる。

③避難経路協定で避難機能向上

密集市街地内の避難路確保を目指し、私道に関しても避難経路協定を結ぶことで、全員の合意で避難経路を確保する。墨田区のように、防災街区整備地区の敷地により緊急時の避難路を確保し、地域の防災性を高める。

H29/2017年 建設・都市地方計画 Ⅲ−1 問題 模範解答と解説

 III-1 人口減少と高齢化の進む地方都市において、コンハクトなまちつくりを進めるため、 立地適正化計画を策定することになった。当該地方都市は、鉄道・ハス等の公共交通は整備さ れているものの、車への依存度か高く、また近年合併したことから、類似・重複した公共施設 を多く保有している。あなたか担当責任者として計画策定を行うに当たり、以下の問いに答えよ。

 (1)当該地方都市の現状から想定される課題を述へた上て、計画における目指すへき将来都市像を述へよ。

(2)(1)て述へた課題を解決し将来都市像を実現する上て、計画において設定することか 適当と考える定量的な目標(具体的な数値は不要。)を2つ挙け、これらを実現するため に必要と考えられる方策を述へよ。

(3)(2)て述へた方策を実施する上て、想定される負の側面と対応方策について述へよ。

模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 4回 2019.2.21  専門事項 都市施設設計

(1)想定される課題と目指すへき将来都市像

①活力ある拠点を目指す都市機能誘導区域

課題:人口減少や高齢化に対し、活力ある拠点を形成する必要かあるため、商業の活性化を図る とともに医療等機能の高度な集積を図り、生活サーヒスを向上する活力ある拠点つくりが課題。

将来都市像:地域経済活発化のため、駅周辺に商業施設や診療所等を配置する。

②移動利便性を向上する公共交通居住施設推進地区

課題:高齢者等の移動利便性を向上するため、コミュニティーバスやLRT等 公共交通沿線への都市機能の集約等を推進する。

将来都市像:利便性向上のため、居住誘導区域にバスや生活利便施設を集約する。

③拠点間を結ぶ公共交通ネットワーク拡充

課題:都市機能誘導区域間のアクセスを容易にするハス専用レーン・ハス待合所や駅前広場等の公共交通施設を整備する。

将来都市像:高齢者等の円滑な移動のため、居住誘導区域内を自由に移動できる。

(2)定量的な目標と具体的方策

①日常生活サービス施設徒歩圏人口カバー率100%確保

駅周辺を中心拠点と位置付け、事業期間を短くするため立体換地制度を活用し、駅周辺に文化施設や医療施設を共同化して徒歩圏800mの人口カバー率100%確保する。

②公共交通徒歩圏人口カバー率100%確保

居住誘導区域の拠点となる都市機能誘導区域の公共交通ネットワークを強化し、コミュニティバスを拠点間に点在させ、駅・バス停徒歩圏域300mの人口カバー率100%確保する。

(3)想定される負の側面と対応方策

①エリアマネジメントの地域間競争で地域が廃れる

街の遺産を有効利用した集客力ある地域が一人勝ちし、周辺と比べて定住人口に差が出る。このため、まちづくり会社が周辺地域を含めたタウンマネジメントを行い、コア地域に賑わい施設を作り、周辺地域に居住地域やオフィスを配置して、地域同士が支え合う関係を構築して廃れる地域が出ないようにする。

②コミュニティバスで財政負担の増加で行政が経営破綻する

高齢者への運賃軽減等を促進したコミュニティバスが増えると、財政負担が増える。そのため、産官学のそれぞれ異なる事業主体が実施している送迎バス等を一元化し、事業者負担金や広告収入を軸に財源を確保し、高齢者の無料運賃等が維持できる持続可能なコミュニティバスを目指す。

模範解答1 (簡易形式2)  添削履歴 4回 2019.3.7   専門事項 都市施設設計

(1)想定される課題と目指すへき将来都市像

①移動利便性を向上する公共交通居住施設推進地区

課題:高齢者等の移動利便性を向上するため、駅前や公共交通沿線に共同住宅や介護施設を助成等により誘導し、都市機能の集約を推進する。将来都市像:利便性向上のため、公共交通居住施設推進地区に生活利便施設を集約する。

②拠点間を結ぶ公共交通ネットワーク拡充

課題:都市機能誘導区域のアクセスを容易にするハス専用レーン・ハス待合所を整備する。将来都市像:高齢者等の円滑な移動のため、拠点間を交通ネットワークで自由に移動できる。

③地域の価値を向上するエリアマネジメント

課題:財源の減少を食い止めて永続的な自主財源を生むため、都市利便増進協定を締結した地権者から分担金で維持費を補填するBID制度を活用する。将来都市像:質の高い都市環境形成のため、エリアマネジメントで地域の価値を向上する。

(2)定量的な目標と具体的方策

①日常生活サービス施設徒歩圏人口カバー率100%確保

駅周辺を中心拠点と位置付け、事業期間を短くするため立体換地制度を活用し、駅周辺に文化施設や医療施設を共同化して徒歩圏800mの人口カバー率100%確保する。

②公共的空間利用率100%

駅前広場や道路等の主要公共施設でのにぎわいを創出するため、オープンカフェや地域で栽培したものを販売するマルシェを活かし、公共的空間の利用率を100%にする。

(3)想定される負の側面と対応方策

①エリアマネジメントの地域間競争で地域が廃れる

街の遺産を有効利用した集客力ある地域が一人勝ちして、周辺地域が停滞する。このため、まちづくり会社がコア地域に賑わい施設を作り、周辺地域に居住地域等を配置して、地域同士が支え合う関係を構築して廃れる地域が出ないようにする。人口が減少している地方都市の紫波町では、駅前に大規模施設を建設し、駅前の地域のみ交流人口が増加している。この賑わいを周辺地域に波及させるため、駅前、商業地、商店街を公民連携開発区域に設定し、地域全体の回遊性を高めて相互扶助のまちづくりを行っている。そのためには、まちづくり会社が商業地等の空き店舗をリノベーションし、賑わい施設として運営することが重要である。

②人口減少で公共バス等が衰退する

公共バス等では人口減少に伴って空車率が増加し、公共交通の運営ができない。そのため利用者の事前予約に合わせた運行を行う無駄のないデマンド型乗合交通等を活用し、利用者が行きたい場所へ負担が少なく移動できるようにする。公共バスの利用者が減少している四万十市では、赤字のため税金により維持され、事業収支の見直しが求められていた。収支を改善するため、ITSを活用したデマンド型バスに切り替え、無駄の無い運行を行っている。そのためには、地域に合った運行方式を選定し、オンデマンド交通システムの活用が重要である。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 2回 2019.3.25   専門事項 都市施設設計

(1)想定される課題と目指すべき将来都市像

①公共交通居住施設推進地区で利便性を向上する

課題:高齢者等の移動利便性を向上するため、駅前や公共交通沿線に共同住宅等を助成等により誘導し、都市機能の集約を推進する。

将来都市像:利便性向上のため、公共交通居住施設推進地区に医療施設等誘導施設を集約してコンパクトシティ化する。

②公共交通ネットワーク拡充で拠点間を結ぶ

課題:都市機能誘導区域内のアクセスを容易にするバス専用レーン・バス待合所等を整備し、鉄道以外の公共交通ネットワークを整備する。

将来都市像:高齢者等の円滑な移動のため、拠点間を交通ネットワークを拡充して自由に移動できる。

③エリアマネジメントで地域の価値を向上する

課題:財源の減少を食い止めて永続的な自主財源を生むため、都市利便増進協定を締結した地権者からの分担金で、維持費を補填するBID制度を活用する。

将来都市像:質の高い都市環境形成のため、エリアマネジメントで地域の価値を向上する。

(2)定量的な目標と具体的方策

①生活拠点への誘導施設充足率100%

あらゆる世代の市民が安心して暮らせるよう、子育て支援施設や地域包括ケアセンターなどを生活拠点に配置し、誘導施設充足率を100%にする。

②日常生活サービス施設徒歩圏人口カバー率100%確保

駅周辺を中心拠点と位置付け、事業期間を短くするため都市計画決定を伴わない立体換地制度を活用し、駅周辺に文化施設や医療施設を共同化して徒歩圏800mの人口カバー率100%確保する。

③公共的空間利用率100%確保

駅前広場や道路等の主要公共施設でのにぎわいを創出するため、オープンカフェや地域で栽培したものを販売する道の駅のようなマルシェを活用し、公共的空間の利用率を100%にする。

(3) 想定される負の側面と対応方策

①行政に依存しない地域包括医療を整備する

負の側面:居住誘導区域へ医療施設等の誘導施設を整備する際、行政主導の運営に依存しており地域の要望に合わせた細やかなサービスの提供ができていない。

対応方策:高齢者が増加している地方都市の鳩山町のように、継続的な医療を受けるため、地域医療の充実を目指し、拠点となる公設民営型の地域包括ケアセンターを整備する。地域医療をさらに充実させるには、空き家となった公的不動産を活用して地域包括ケアセンターやサテライトとなるサポートセンターを整備することで、コストを抑制しつつ地域の要望に合わせた細やかな地域密着型医療施設を整備することが重要である。

②公共バスに代わりデマンド交通を整備する

負の側面:公共バス等では人口減少に伴って空車率が増加してしまうため、永続的な公共交通の運営ができていない。

対応方策:公共バスの利用者が減少している四万十市のように、収支を改善するため公共バスではなくITS と連携したデマンド型バスに切り替え、無駄の無い運行を行う。さらなる地域に応じた収支の改善のためには、高齢者の日常的な足を必要としている地域や、運行エリアを拡大させれば利用者が増える地域など、それぞれの地域に合った運行方式を選定した上で、オンデマンド交通システムを活用して利便性を向上することが重要である。

③賑わい施設の分散で偏りの無いまちづくりを行う

負の側面:エリアマネジメントで街の遺産を有効利用した集客力ある地域が一人勝ちして、周辺地域が停滞している。

対応方策:人口が減少している地方都市の紫波町のように、賑わいを周辺地域に波及させるため、駅前、商業地、商店街を公民連携開発区域に設定し、地域全体の回遊性を高めて相互扶助のまちづくりを行う。さらに地域全体の回遊性を向上させるには、まちづくり会社が商業地等の空き店舗をリノベーションし、賑わい施設として運営して地域活性化することが重要である。

H29年 建設・道路 Ⅱ-2-1問題 模範解答と解説

問題文

 A市では、バイパスが完了し市内の交通状況に変化が生じていることから、中心部の4車線の幹線道路について、歩行者と自転車の輻輳による危険性や様々な地域課題の解決に向け、道路空間の再配分を検討することになった。この検討業務を担当する責任者として、下記の内容について記述せよ。

(1)事前に調査する事項

(2)業務を進める手順

(3)業務を実施する際の工夫や留意事項

模範解答 簡易答案形式1   専門とする事項  道路設計 添削回数2回

(1)事前に調査する事項:対象エリアを設定し、以下の調査を実施する。

①車線数縮小時の現交通量の処理が可能であるか検証するため、12h道路交通量(車、自転車、歩行者)を調べる。

②将来道路網における混雑度を推計するため、対象エリア内の道路改良計画、都市計画等を調べる。

③交通渋滞要因を把握するため主要路線の車線数、主要なボトルネック交差点、路上駐車状況を調べる。

④市街地の魅力向上を図るため、無電柱化計画に必要な道路を含む周辺の既存電力・通信線網、及び地下空間を調べる。

⑤緑化に必要な樹種選定のため、土壌、年間の降水量、平均気温を調査する。

 (2)業務を進める手順

①現道を2車線に縮小する前提とした交通容量の解析:現道の主要地点について2車線に縮小し、交通量が処理できることを確認する。

②主要地点の交通量・混雑度推計:社会環境変化による主要地点の将来交通量を推計し、現況・将来交通量の混雑度を推計しその最大容量を目標とする。

③2車線道路に縮小、渋滞予測し横断構成の設定:現道を2車線に縮小する条件で渋滞予測・解析し、渋滞長が最小となるよう計画横断構成を設定する。

④歩行者、自転車、自動車相互の安全性確保のための通行空間を計画する。

⑤無電柱化による景観保護:電力配電及び、通信に必要な地中配管のスペースを確保する。

⑥沿道環境保護:騒音、振動及び排ガス対策のため、低騒音舗装の配合設計及び当地の気候に適した緑化樹種を選定する。樹種は、不良土壌・病害虫に強く維持管理が容易な常緑樹とする。

(3)業務を実施する際の工夫や留意事項

①車線数(2車線に縮小)は時間単位の検証する:交通量は地域や路線により時間変動特性を有するため2車線の妥当性検証は、それに応じた車線数を決定する必要がある。車線数縮小に伴う、ピーク・方向特性、大型車混入率等の変化を考慮した時間単位の交通量検証し適切な車線数とする。

②細路交差点の集約化・改良し交差点容量向上する:車線数の縮小により細路交差点への新たな交通需要が発生する恐れがあり、細路交差点の効果的な集約化を行い右折交通量に応じた滞留長の確保、及び従道路側で小型車1台分の滞留スペースを確保する。

③停車帯の設置による交通円滑化する:交通障害の原因となる駐車車両の排除のため、駐停車の需要を見越して沿道の商業施設への出入りや荷捌き場を設置する。

模範解答 答案形式 専門とする事項  道路設計 添削回数2回

(1)事前に調査する事項

①車線数縮小時の現交通処理の可能性検証のため、12h道路交通量(車、自転車、歩行者)を調べる。併せて交通ピーク時の歩行者・自転車通行時の混雑状況、相互の接触・追突事故等の危険性を現地で調べる。

②将来道路網における混雑度を推計するため、対象エリア内の道路改良計画、都市計画等を調べる。

③交通渋滞要因を把握するため主要路線の車線数、主要なボトルネック交差点、路上駐車状況を調べる。

④市街地の魅力向上を図るため、無電柱化計画に必要な道路を含む周辺の既存電力・通信線網、及び地下空間を調べる。

    (2)業務を進める手順

①現道を2車線に縮小する前提の交通容量解析

現道の主要地点について2車線に縮小し、交通量が処理できることを解析する。

②主要地点の交通量・混雑度推計:社会環境変化による主要地点の将来交通量を推計し、現況・将来交通量の混雑度を推計しその最大容量を目標とする。

③2車線道路に縮小、渋滞予測し横断構成の設定

現道を2車線に縮小する条件で渋滞予測・解析し、

渋滞長が最小となる計画横断構成を設定する。

④自転車道は、植樹帯で車道と分離し、フラット形式とする。歩道は外側に配置し縁石分離しセミフラット構造とする。これにより相互の通行安全性を向上させ交通容量や車速低下を防ぎ、交通の円滑化を図る。

⑤無電柱化等による景観向上:将来需要を考慮した配線計画により地中配管位置を決定する。併せて、道路景観と賑わい創出のため、歩きやすい弾性(排水性)カラー舗装、及び歩行者等の休憩空間を確保する。また、交差点付近で歩行者等の方向サインを設置する。

 (3)業務を実施する際の工夫や留意事項

①車線数(2車線に縮小)は時間単位の検証する

交通量は地域や路線により時間変動特性を有するため、2車線の妥当性検証は、それに応じた車線数を決定する必要がある。車線数縮小に伴う、ピーク・方向特性、大型車混入率等の変化を考慮した時間単位の交通量を検証し適切な車線数とする。

②細路交差点の集約化・改良し交差点容量向上する

車線数の縮小により細路交差点への新たな交通需要が発生する恐れがあり、細路交差点の効果的な集約化を行い右折交通量に応じた滞留長の確保、及び従道路側で小型車1台分の滞留スペースを確保する。

③駐輪場・滞留部を確保し円滑な連続空間確保する

 主要施設付近の駐輪による通行阻害防止のため、植樹帯部分を活用し駐輪場所を確保する。なお、大部分の歩行者が抵抗なく移動できる約300m以内に配置する。交差点・バス停では円滑な通行のため待機者の空間確保し、通行幅2.0mを確保する。

H29年 建設・道路 Ⅱ-1-1問題 模範解答と解説

問題 高速道路のインターチェンジのランプターミナル付近における本線の線形設計において、一般部より厳しい値の線形要素を適用する理由について、線形要素ごと(平面曲線半径、縦断勾配、縦断曲線半径)に説明せよ。

 模範解答 簡易答案形式1  専門とする事項  道路設計  添削回数4回

 (1)平面曲線半径

 平面曲線半径を大きくすることにより、遠方からの運転者の見通しを良くすることができる。また、曲線の外側に取り付く流出入ランプおよび加減速車線と本線の片勾配を緩くし、勾配変化による衝撃緩和、運転者の安心感により自動車の安全・円滑な流出入を行うためである。

(2)縦断勾配

 縦断勾配を緩くすることにより、下り勾配区間は、本線からの流出車の安全な減速を可能とし、流出ランプで自動車の制御と安定走行ができる。また、上り勾配区間は大型車が十分に加速し余裕をもって合流できるためである。

 (3)縦断曲線半径

 縦断曲線半径を大きくすることにより、運転者の十分な見通し距離を確保し、走行時の衝撃緩和を図り、視覚的な滑らかさにより自動車の安全走行を行うためである。

模範解答 答案形式1  専門とする事項  道路設計    添削回数3回

(1) 平面曲線半径

 平面曲線半径を大きくすることにより、遠方からの運転者の見通しをよくすることができるからである。具体的には平面曲線半径を3倍程度大きくすることにより、3倍くらいの見通しがよくなる。

また、流出入ランプおよび加減速車線と本線の片勾配差を小さくするため、曲線の外側に取り付く流出入ランプ、および加速・減速車線と本線の片勾配を緩くする。上記の効果の結果、勾配変化による衝撃緩和、および運転者の安心感を高め、自動車の安全・円滑な流出入を行う。

(2)縦断勾配

 縦断勾配を緩くすることにより、下り勾配区間は、本線からの流出車の安全な減速を可能とし、流出ランプで自動車の制御と安定走行ができるためである。

また、上り勾配区間は大型車が十分に加速し、余裕をもって本線に合流できるためである。これがないと追突事故を誘発する危険性があるからである。

(3)縦断曲線半径

 縦断曲線半径を大きくすることにより、運転者の十分な見通し距離を確保し、走行時の衝撃緩和を図るためである。また、視覚的な滑らかさにより自動車の安全走行を確保する。これがない場合は、遠方からICの

視認が困難となり、直前で急な車線変更車・後続車相互の接触・追突事故の危険性が考えられる。

H29年 建設・道路 Ⅱ-1-4問題 模範解答と解説

問題 軟弱地盤対策工には圧密・排水工法、締固め工法、固結工法などがあるが、このうち圧密・排水工法に分類される具体的な工法を2つ挙げ、それぞれの原理及び設計の考え方を説明せよ。

模範解答 簡易答案形式1  専門とする事項  道路設計   添削回数2回

(1)盛土載荷重工法

1)原理:粘性土系の軟弱地盤で、構造物の荷重以上の載荷重を一定期間載荷し、過剰間隙水圧が時間経過により消滅し、地盤が圧密沈下と併せ有効応力が増大し、地盤強度の強化を図り残留沈下量を軽減する。

2)設計の考え方

①盛土の沈下照査は、構造物の施工・供用時の予測量が残留沈下量以下になるか照査。許容値は構造物機能の影響、隣接施設の変位を考慮し決定。

安定照査は、盛土は円弧すべりの計算で検討し、擁壁・BOXは、滑動・転倒・支持力、全体安定を照査。常時の沈下照査の結果を用い軟弱層の強度増加を考慮し解析。

②構造物の常時沈下・安定照査を満足する所要の地盤強度もしくは残留沈下量が許容値内に抑える盛土載荷重および載荷期間を設定。

(1)サンドマット工法

1)原理:粘性土系の軟弱地盤上に盛土施工時の過剰間隙水を盛土外に排出するため地表排水層として敷設。また機械重量を分散し接地圧を表層部の支持力以内に抑えトラフィカビリティを確保。

2)設計の考え方

①盛土荷重により地盤内に発生した過剰間隙水圧は、盛土材が粘性土系の場合、低透水性のため圧密沈下による消滅が長期になるため、透水性の高い材料で排水層を造り軟弱層の圧密を促進。

②サンドマット厚さは、使用機械を想定し、現地作業に必要な接地圧を確保するため、現地盤の支持力を考慮して、高透水性材料を使用し設計。

 模範解答  答案形式1  専門とする事項  道路設計    添削回数2回

(1)   盛土載荷重工法

1)原理:粘性土系の軟弱地盤で、構造物荷重以上の荷重を一定期間載荷する。その間、過剰間隙水圧が時間経過と共に消滅し、地盤の圧密沈下と併せ有効応力が増大し、地盤強化を図り残留沈下量を軽減する。

2)設計の考え方:盛土の沈下は、要求性能に応じた限界状態を超えないように残留沈下量を抑制し、構造物の影響・隣接施設の変位を少なくする。

盛土の安定は、全応力による円弧すべり解析で行い、擁壁・BOX等は、滑動・転倒・支持力、及び全体の安定化を図る。常時の計算結果を用い地盤強度の増加を推計し解析する。以上により、構造物の沈下・盛土安定を満足する地盤強度あるいは、残留沈下量を最小化した盛土載荷重・載荷期間を求める。

(2)サンドマット工法

1)原理:粘性土系の軟弱地盤上に、盛土時の過剰間隙水を盛土外に排出する地表排水層(砂層)を敷設する。また機械重量を分散し接地圧を表層部の支持力以内に抑えトラフィカビリティを確保する。

2)設計の考え方:排水層を造り軟弱層の圧密を促進する。排水層は、透水性の良い材料を使用し、必要厚さは、透水係数により排水計算し求める。

また、現地作業が可能な接地圧を確保するため、機械作業に必要な地層のコーン支持力確保のため、必要な砂層厚さを設計する。

H29年 建設・道路 Ⅲ-2問題 模範解答と解説

問題  我が国は、近年広域的な地震災害に見舞われ、さらに南海トラフを震源とする地震や首都直下地震等の巨大地震の発生が懸念されている。道路に携わる技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)地震災害時における緊急輸送道路の役割と指定に当たっての考え方を述べよ。

(2)巨大地震の発生時に緊急輸送道路がその役割を十分果たせるよう、あらかじめ取り組むべき事項について2つ挙げ、それぞれの具体的な内容を述べよ。

(3)(2)で述べた2つの取組みの実効性を高めるための方策について述べよ。 

模範解答 簡易答案形式1  専門とする事項  道路設計   添削回数5回

(1)緊急輸送道路の役割と指定の考え方:大規模地震発生時に被災しても、別ルートで補完しながら、あらゆる地域に迂回路によって被災者の救援、救援物資の輸送機能を失わないようにする。このため輸送範囲が大きく、輸送量も多い物流の骨格を担う道路を第一に指定(道路啓開)し、次に主要防災拠点を接続する国道・県道を、最後にその他防災拠点を接続する市町村道を含む道路網を指定する。

1)第1次緊急輸送道路ネットワーク:県庁所在地、地方中心都市及び重要港湾、空港等を連絡する道路

2)第2次緊急輸送道路ネットワーク:第1次緊急輸送道路と市町村役場、主要な防災拠点(公共機関、主要駅、港湾、災害医療拠点等)を連絡する道路

3)第3次緊急輸送道路ネットワーク:その他の防災拠点(広域輸送拠点、備蓄倉庫等)を連絡する道路

(2)巨大地震時の緊急路役割のため取り組む事項

1)道路構造物の老朽化対策

①長さ15m以上で、老朽化し安全が脅かされる三大損傷橋梁を補修。同時にレベル2地震動に対し耐震性能2を確保する補強。

②土構造物の対策:不安定な凹凸のある長大のり面に手を加えず整正するだけで斜面活用し風化防止を図り、のり面全体の安定化を図る法枠+アンカー工により補強する。

2)効率的な迂回路の提供

①現道の長いIC(約10km)間に経済的なスマートICを設置し、効率的で多様な迂回路ルートを確保。

②主要幹線でITS スポットの整備(約15km間隔)し、詳細な道路情報の広域的最適迂回路をカーナビで情報提供する。

③港湾に船舶接岸後、迅速な緊急物資の輸送するため、一般道路に至る港湾道路で複数路線を選定。このため、現道の線形・幅員等を車種別に通行可能な経路をカーナビ入力し、最適ルートの選定を可能にする。

(3)取組みの実効性を高める方策

①耐震性能2に対する橋の限界状態は、迅速な機能回復のため、下部構造は橋脚部の柱部で曲げによる塑性化によりエネルギーを吸収し、上部構造は供用性確保のため弾性域に留める考え方とする。

②法枠(受圧版兼用)は、地山密着型のRC吹付格子枠をCO吹付し、摩擦型永久アンカーで地山安全率を1.2に向上させ、のり面の長期安定化を図る。

③ITS スポットの整備は主要幹線の山間部で災害危険度の高い箇所、都市部で事故・渋滞箇所の重点設置により現地情報を収集し、最適経路網を形成。

④港湾道路の通行円滑化のため、大型・小型者別の通行経路をカーナビ地図に明示し、経路選択が可能なシステム改良する。

 模範解答  答案形式1   専門とする事項  道路設計    添削回数2回

(1)緊急輸送道路の役割と指定の考え方

大規模地震発生時に被災しても、別ルートで補完しながら、あらゆる地域に迂回路によって被災者の救援、救援物資の輸送機能を失わないようにする。

このため輸送範囲が大きく、輸送量も多い物流の骨格を担う道路を第一に指定(道路啓開)し、次に主要防災拠点を接続する国道・県道を、最後にその他防災拠点を接続する市町村道を含む道路網を指定する。

1)第1次緊急輸送道路ネットワーク

県庁所在地、地方中心都市及び重要港湾、空港等を連絡する道路である。

2)第2次緊急輸送道路ネットワーク

第1次緊急輸送道路と市町村役場、主要な防災拠点(公共機関、主要駅、港湾、災害医療拠点等)を連絡する道路である。

3)第3次緊急輸送道路ネットワーク

その他の防災拠点(広域輸送拠点、備蓄倉庫等)を連絡する道路である。

(2)巨大地震時の緊急路役割のため取り組む事項

1)道路構造物の老朽化対策

①老朽橋補修時の質的改良

長さ15m以上で、老朽化し安全が脅かされる三大損傷橋梁(疲労、塩害、アルカリ骨材反応)を補修する。同時にレベル2地震動に対し、耐震性能2を確保するための補強を行う。

②長大のり面の崩壊防止

大規模崩壊につながる不安定な凹凸長大のり面に、手を加えず整正するだけで斜面活用し風化防止を図り、のり面全体の安定化を図るアンカー付き法枠工により補強する。

③谷埋め盛土の地下水位低下し安定化

 集中豪雨で湛水し路体流出対策のため、上流側の降雨流出量を計算後、浸透水量を算定し地下排水溝の設置により、盛土への浸透量を減少させ安定化を図る。

2)効率的な迂回路の提供

①高速道路の活用推進し多様な迂回路の確保

現道の長いIC(約10km)間に合理的なスマートICを設置し、効率的で多様な迂回路ルートを確保する。設置場所は、一般道から最適アクセスができる位置選定する。

②主要幹線の最適迂回路提供:主要幹線でITS スポットの整備(約15km間隔)し、詳細な道路情報の広域的(約1000km)な最適迂回路をカーナビで情報提供する。

③海上輸送で代替えするための道路選定

港湾に船舶の接岸後、迅速な緊急物資の輸送をするため、一般道路に至る港湾道路で複数路線を選定する。このため、現道の線形・幅員等を調査し、車種別に通行可能な経路のカーナビ入力を行い最適ルートの選定を可能にする。

(3)取組みの実効性を高める方策

1)道路構造物の老朽化対策

①橋梁変状の種類・特徴を分析し補強設計する

 コンクリート橋、鋼橋の変状の種類と特徴を分析し、診断結果を踏まえて要求性能(安全性、使用性)を評価し、耐久性を考慮した補強設計を行う。

②橋梁の合理設計により安全性向上を図る

耐震性能2に対する橋の限界状態は、迅速な機能回復のため、下部構造は橋脚部の柱部で曲げによる塑性化によりエネルギーを吸収し、上部構造は供用性確保のため弾性域に留める考え方とする。

③地山密着法枠(アンカー付)のり面長期安定化

法枠(受圧版兼用)は、地山に密着型のRC格子枠をCO吹付し、摩擦型永久アンカーで地山安全率を1.2に向上させ、のり受圧版の長期安定化を図る。

④排水BOX断面を長期間確保する:経年による既設BOXの土砂堆積で流下能力の低減を避けるため、口部の山腹は、のり面保護を行い小堰堤・土砂溜りを設置する。

2)効率的な迂回路の提供

①主要幹線の最適経路網を整備する:ITS スポットの整備は、主要幹線の山間部で災害危険度の高い箇所、都市部で事故・渋滞箇所を重点的な設置により現地情報を収集し、最適経路網を形成する。

②港湾道路で車種別経路の検索システム改良する

巨大地震時の通行円滑化のため、大型・小型者別の通行経路をカーナビ地図に明示し、経路選択が可能なシステム改良する。

H29年 建設・施工 Ⅱ−1−3問題 模範解答と解説

問題文

Ⅱ‐1‐3問題文 

建設業労働衛生マネジメントシステム(COHSMS)に関して、その目的導入メリットを記述した上で、具体的に実施すべき事項について4つ述べよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 3回 専門事項 施工計画・施工管理

1.COHSMSの目的

建設業において、事業者が「計画―実施―評価―改善」という一連のプロセスを定め、継続的な安全衛生管理を自主的に行い、安全衛生水準を維持・向上させていくこと。

2.COHSMSの導入メリット

1)安全衛生管理に関するノウハウを継承でき、人材育成が可能。

2)安全衛生管理に関わる実務の組織的、効率的な実施が可能。

3)リスクアセスメント導入により、事業場毎の状況に応じた管理計画が可能。

4)安全衛生水準の連続的、継続的な向上が図れる。

5)日常的な点検、改善等実施により、安全衛生活動の取り組みの適正評価が可能。

6)組織の健全性と信頼性を向上できる。

3.COHSMSの具体的実施事項

1)計画段階:①安全衛生方針の表明

       ②危険又は有害要因の特定、及び除去するための実施事項の特定

       ③安全衛生目標を設定

       ④安全衛生計画を作成

2)実施段階:安全衛生計画の実施及び運用

3)評価段階:①安全衛生管理計画実施状況などの日常的な点検及び改善の実施

       ②システム監査の実施

4)改善段階:定期的なシステムの見直し

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 3回 専門事項 施工計画・施工管理

1.    COHSMSの目的

事業者が「計画―実施―評価―改善」という一連のプロセスを定め、継続的な安全衛生管理を自主的に行い、安全衛生水準を維持・向上させていくこと。

2.COHSMSの導入メリット

1)安全衛生管理に関するノウハウを継承でき、人材育成が可能。2)安全衛生管理に関わる実務の組織的、効率的な実施が可能。3)リスクアセスメント導入により、事業場毎の状況に応じた管理計画が可能。4)安全衛生水準の連続的、継続的な向上が図れる。5)日常的な点検、改善等実施により、安全衛生活動の取り組みの適正評価が可能。6)組織の健全性と信頼性を向上できる。

3.COHSMSの具体的実施事項

1)計画段階:①安全衛生方針を表明する。②危険又は有害要因及び除去するための実施事項の特定を労働安全衛生法令に基づいて実施する。③安全衛生方針に基づいて安全衛生目標を設定する。④安全衛生目標達成のための安全衛生計画を作成する。2)実施段階:安全衛生計画を適切且つ継続的に実施及び運用する。

3)評価段階:①安全衛生管理計画実施状況などの日常的な点検及び改善を実施する。②定期的にシステム監査を実施する。4)改善段階:定期的にシステムの全般的な見直しを行う。

模範解答2  (簡易答案形式2)  添削履歴 1回 専門事項 建設生産システム

1.COHSMSの目的

労働安全衛生水準の向上を図り労働衛生災害をなくすこと。

2.COHSMS導入のメリット

安全衛生管理における一連の過程を定めPDCAのサイクルを回すことで、次のメリットがある。

①組織全体の安全衛生管理に関する意識が高揚する。

②個々の現場の状況に応じた安全衛生対策ができる。

③作業員の参画により安全衛生活動が活性化される。

3.具体的に実施すべき事項

1)安全衛生方針の表明

安全衛生方針を文書にて明確にし、掲示や配布、説明を図り、全従業員への周知徹底を図る。

2)体制の整備

実施事項に対する役割と権限およびこれにともなう責任を割り当てる。合わせて、参加者の取組意識の高揚を図る。

3)危険性または有害性の特定と優先性の設定

行動・機械・設備・環境の情報より、潜在する危険性または有害性を特定し、リスクアセスメント手法により、取組実施事項や優先順を決定する。

4)日常点検および是正・改善

実施事項において、定めたことが実施されているかを確認し、不適切な場合は是正し展開・改善を図る。

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