H28/2016年 機械・情報精密 U−2−2 問題 模範解答と解説

問題文:情報・精密機器の開発において、初期の量産過程で不良率が高止まりし、歩留まりが向上しない場合がある。あなたがこの不良率改善の技術的対策を統括する立場にあるとして、以下の問いに答えよ。

(1)不良率改善の技術的対策をするために、調査・検討すべき項目を3点述べよ。

(2)(1)で挙げた項目から、最も重要であると考えられる項目を1点挙げ、それによって明らかとなる不良の原因の例と対策を具体的に述べよ。

(3)(2)の業務を実際に進める際に留意すべき事項を述べよ。


模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 9回 2019/07/4   専門事項 精密機械技術開発


1.調査・検討すべき項目

1)製造装置の条件だしの的確さ

2)作業者の習熟度

3)各工程後の検査項目の的確さ

2.「製造装置の条件だしの的確さ」について不良原因例とその対策

部品の脱落不良が発生した例を挙げる。

あるべき接合状態とのかい離部分に寄与する製造装置の条件だしを確認する。

例1:ねじが緩み脱落したのなら、締め付け装置のトルク条件を確認する。

例2:接着剤の接合強度不足に対しては、接着剤の性能を発揮できるまでかくはんがなされているか、かくはん装置の条件を確認する。

例3:リフローはんだなら、リフロー炉の温度条件を確認する。

3.留意事項

@製造装置と結果物を測定する測定装置をB2B化、自動化し、条件出し時間を短縮する。例:ボルト締め付け装置と軸力測定装置のB2B化。

A複数の条件パラメータのある製造装置は実験計画法により条件出しを行い時間短縮する。例:かくはん装置の自転回転数、公転回転数、時間の条件出し。

B例:バッチ処理装置の状態が1バッチ内で均一になり、品質が均一になる様に条件出しをする。例:リフロー炉内の温度が炉口、炉奥など場所によらず均一になるように、ヒータやブローの条件出しをする。



H28/2016年 機械・情報精密 V−1 問題 模範解答と解説

III-1: 製品開発に携わる技術者にとって、製品が市場でどのような競争力を持っているかは重要な問題である。常に製品競争力の向上に努めないと、たとえ現時点では市場で優位性を持っていても、いずれ競争力を失ってしまう。このような状況を考慮して情報・精密機器の開発責任者として以下の問いに答えよ。

(1) 対象とする情報・精密機器を1つ選択し、その機器の製品競争力を決定する主な要因を多面的な観点から3つ述べよ。

(2) (1)で挙げた3つの課題から、最も重要と考える課題を1つ選び、それに関する革新的な技術的提案とその効果を示せ。

(3) (2)の提案により生じるリスクについて説明し、その対処法を述べよ。


模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 1回 2019/06/28   専門事項 精密機械技術開発


(1) 「手術支援ロボット」の製品競争力の決定要因

 手術支援ロボットは低侵襲アプローチが可能で、患者体表の複数の切除孔(ポート)からロボットアームを体内に挿入する。体内の様子をモニタで表示し、ロボットアームで外科医の精密な手技を再現することで、外科手術を支援する。なお、低侵襲とは、手術による患者身体への負担をできるだけ低減することを指す。

@ ポート数の減少: 出血が少ない等の患者身体の負担低減と、従来の手術支援ロボットで課題であった体外でのアーム同士の干渉の低減が必要。

A 治療の自動化機能: 若手医師であっても、自動的に縫合する機能など、熟練医師と同等レベルで治療を代替する自動化機能が必要。

B 手術時間の短縮: 操作性が良く、スピードや動きに無駄がない等が必要。

(2) 課題「@ ポート数の減少」の革新的な技術的提案と効果

(2)−1. 技術的提案: 体外からMRI患者身体の3Dデータを取得し、AIによる治療計画・支援に基づき、VRで対照しながら体外からの集束超音波によりポートなし(非侵襲)で手術する。

・観察: 予め取得した画像と対比しながら、MRIと超音波の画像で患部を観察。

・認識: 2つの画像に基づいて、AIがロボットを位置決めする。VR表示する。

・治療: 予め計画した条件で治療用の集束超音波を照射し、照射前後の画像差異から治療成否をAIが判定する。

(2)−2. 効果: 切開不要により、次の効果が期待できる。

・時間のかかる縫合が不要となり、出血もなく、感染症の心配も要らない。

・専用のディスポ処置具が不要となり、バックヤード業務を削減できる

・AIにより手術を半自動化できるため、医療品質を底上げ、均質化できる。

・日帰り手術が可能となり、病院の経営効率が向上する。

(3) 提案で生じるリスクとその対処法

・臨床情報の不足によるAI誤診断による医療インシデントのリスク: AI判断に必要な情報の質・量を予め設定。手術情報不足のとき、不足内容のアラートを出す。

・通信遅延による医師のVR酔いが原因の医療インシデントのリスク: VR生成に必要な高速大容量通信、低遅延の実現のため、第5世代移動通信システムを導入。



H28/2016年 機械・情報精密 V−2 問題 模範解答と解説

III-2: IoT (Internet of Things)が普及する前段階として、社会に存在する多くの機器が広義の情報機器となり、M2M (Machine to Machine)のコンセプトに基づく機器間通信が一般的になり、多くの機器が統合的に機能するようになると予測されている。M2Mにより情報化した機器を例に、以下の問いに答えよ。

(1) これまでにない新たな機器へのM2M導入時に留意すべき課題を多面的な観点から3つ挙げ、その内容を述べよ。

(2)(1)で挙げた3つの課題から、最も重要と考える課題を1つ選び、それを解決するための具体的な技術的提案とその効果を示せ。

(3)(2)の提案により生じるリスクについて説明し、その対処法を述べよ。


模範解答1 (簡易形式1)  添削履歴 1回 2019/06/22   専門事項 精密機械技術開発


(1) 「生産工場」へのM2M導入で留意すべき課題

 

(1)-1.シームレスな機器の接続: M2Mで高度な制御が求められる。導入コストの関係上、工場では、既に導入済みの機器をM2M化する場合がある。機器が古くデータ出力や、ネットワーク接続が不可能な場合もある。データ取り出し装置の後付けや出力信号の変換等、異なる規格の機器同士を如何に接続するかが課題。

(1)-2.通信速度: M2Mでは、膨大なセンサデータの送信を行う。通信遅延は他の機器の動作に影響するため、通信速度を低下させないことが必要。

(1)-3.省エネ化: M2Mで通信電力も増加する。通信頻度低減が必要。

(1)-4.無線化に伴うセキュリティ確保: 利便性の観点で機器接続の無線化が進む。無線通信によるサイバーリスクに備え、暗号化等のセキュリティ担保が必要。

(2) 「シームレスな機器の接続」の課題解決の技術的提案と効果

@技術提案: レトロフィットで、稼働中の機器を活用したM2M環境を構築する。

(i) アナログ出力の遠隔監視: アナログ出力の一例として、パトライトを挙げる。Webカメラでパトライトを撮影し、画像処理によってRGBの点灯をデジタル化する。色別の点灯データに基づき、コントローラが装置を遠隔制御する。

(ii)通信機能のない装置の部品、モジュール等を通信機能付きのものに交換する。

(iii) USB、RS232C、イーサネット等をGPIBに統一化し、Bluetoothで無線化する。

A効果

(i) 機器の稼働停止や交換をすることなく、後付けでM2M対応できる。

(ii) ネットワークを介して他の機器と組み合わせた制御が可能。

(iii) 古い機器にも搭載されているGPIBを介して無線化することで、

(3) 提案で生じるリスクとその対処法

・レトロフィットでは、基本的に、旧来からの装置に後付けで機能を追加するため、以下のリスクがある。

@消費電力が増加し、ランニングコストが増えるリスク: 対処法は、追加するセンサとして「Normally off」タイプを優先的に採用する。または、エネルギーハーベスティング技術も合わせて導入する。

A新規設備を導入する場合と比較して、低効率/低性能となるリスク: 対処法としては、ボトルネックとなる装置の新規導入を検討する。

Bレトロフィット後に装置本体が故障して投資回収できないリスク: レトロフィットを恒久的対策とせず、新規設備導入の計画も併せて検討する。