R1/2019年 建設・鋼構造・コン U-1-1

問題文

鋼構造物の設計又は架設(建て方)計画において、座屈照査が重要となる部材を1つ挙げ、その部材に生じる恐れのある座屈現象を述べよ。また、その座屈に影響を及ぼす主因子を複数上げ、それぞれについて説明せよ。


模範解答1  (答案形式)  添削履歴 3回 2019.07.16  専門事項 橋梁設計


1.座屈照査が必要となる部材

 連続少数鈑桁橋の中間支点付近の主桁L.FLGについて述べる。

2.座屈現象

負曲げにより、圧縮FLGとなり、主桁が面外方向に倒れる形で横倒れ座屈が生じる。

3.主要因子

@横桁の配置

少数主桁橋では、横桁の設置間隔が6〜10mであるため、圧縮フランジの固定点間距離が増加する。よってl/bも増加し、座屈が生じる。

この論理の説明をもう少し補足した方がよいでしょう

 

A横桁の剛性

少数主桁橋では、横桁の支間長が大きいため、横桁と垂直補剛材で構成されるU形フレームの剛性が低下し、座屈が生じる。

ここも説明をもう少し補足してください

B横力

少数主桁橋では、主桁、横桁と垂直補剛材で構成されるポニートラスと同形状となるため、横力に対し、垂直補剛材が応力超過した場合座屈が生じる。

場合の限定は要因を小さく限定します。「超過する場合」が多いこと、超過しやすいことだけを補足してください。


R1/2019年 建設・鋼構造・コン U-1-4

問題文

 鋼構造物の疲労き裂の発生状況を把握するための現地における調査又は試験方法を2つ挙げ、それぞれの概要と適用にあたっての留意点を述べよ。ただし、外観目視調査は除く。


模範解答1   (簡易答案1)    添削履歴7    作成日2020/3/9    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 鋼橋


1.超音波探傷試験(UT)

1)概要

 高直進性で、異物境界で反射する性質がある超音波を探触子からパルス発信させ、反射時間で、内部欠陥の位置・寸法を計測

2)留意点

 溶接余盛が支障で欠陥の近傍から発信できないことが多い。その場合、支障物から離れた位置から発信し、底面反射を利用することで欠陥を計測可能

 一般的な角度固定発信では、探触子を揺動させながら判定必要。狭隘部では揺動困難なため、全方位発信可能なフェーズドアレイ方式を選択し判定可能

2.磁粉探傷試験(MT)

1)概要

 鋼材自体に強電流を流して磁化させ、表層に欠陥があると、磁場が分断され、外部に磁束が漏洩し、そこに磁粉を凝集吸着させて判別

2)留意点

 磁化が継続すると、磁粉が吸着され錆の原因となるため、検査後に反転磁場を徐々に小さく与えることで脱磁し品質確保

 表層の磁束は表皮効果のある交流で脱磁し、表面下の磁束は板厚方向に一様に作用する直流法で脱磁し品質確保。


模範解答1   (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/3/10    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 鋼橋

 


 

(1)超音波探傷試験

1)概要

 直進性が高く、異物や境界で反射する性質がある超音波を、探触子からパルス発信させる。異物や境界からの反射時間と強さで、内部欠陥の位置と寸法を計測する。

2)留意点

 溶接余盛等が支障となり欠陥近傍から発信できないことが多い。その場合、支障物から離れた位置から発信し、底面反射を利用することで欠陥を計測する。

 一般的な角度固定発信では、探触子を揺動させながら判定をする必要があるが、狭隘部では揺動困難であるため、全方位発信可能なフェーズドアレイ方式を選択し、判定する。

(2)磁粉探傷試験

1)概要

 鋼材自体に強電流を流して磁化させる。その際に、表層に欠陥があると、磁場が分断され、外部に磁束が漏洩するため、そこに磁粉を凝集吸着させて目視し、判別する。

2)留意点

 検査後に磁化が残留すると、磁粉が吸着され錆の原因となるため、反転磁場を徐々に弱めながら脱磁し、品質を確保する。

表層の磁束は表皮効果のある交流法で脱磁し、表面下磁束は板厚方向に一様に作用する直流法で脱磁することで、品質を確保する。

 


模範解答1   (完成答案)    添削履歴0    作成日2020/3/12    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 鋼橋

 


(1)超音波探傷試験

1)概要

 直進性が高く、異物や境界で反射する性質がある超音波を、探触子からパルス発信させる。その反射時間と強さで、内部欠陥の位置と寸法を計測する。

2)留意点

 溶接余盛等が支障となり欠陥近傍から発信できないことが多い。その場合、支障物から離れた位置から発信し、底面反射を利用することで欠陥を計測する。

 一般的な角度固定発信では、探触子を揺動させながら判定する。しかし、狭隘部では揺動困難であるため、全方位発信可能なフェーズドアレイ方式で判定する。

(2)磁粉探傷試験

1)概要

 鋼材自体に強電流を流して磁化させる。その際に、表層に欠陥があると、磁場が分断され、外部に磁束が漏洩するため、そこに磁粉を凝集吸着させて目視し、判別する。

2)留意点

 検査後に磁化が残留すると、磁粉が吸着され錆の原因となるため、反転磁場を徐々に弱めながら脱磁し、品質を確保する。

表層の磁束は表皮効果のある交流法で脱磁し、表面下磁束は板厚方向に一様に作用する直流法で脱磁することで、品質を確保する。


 


 

R1/2019年 建設・鋼構造・コン U-1-8

問題文

 沿岸部に立地する鉄筋コンクリート構造物においては、塩害に対する対策が重要となる。塩害における4つのステージ(潜伏期、進展期、加速期、劣化期)の中で、潜伏期以外の2つを選び、その特徴を簡潔に述べよ。さらに新規にコンクリート構造物を設計・施工する際、鋼材を発錆させないための対策項目を3つ挙げよ。


模範解答1   (完成答案)    添削履歴0    作成日2020/4/22    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 コンクリート構造


.塩害の進展期の特徴 

 鉄筋位置におけるコンクリートの塩化物イオン量が腐食発生限界を超え、鉄筋の腐食が発生してからひびわれが発生するまでの期間である。対策としては、予防保全として必要に応じ電気防食工法等を行う。

2.塩害の加速期の特徴 

 鉄筋腐食に起因してコンクリートにひび割れや錆汁、剥離等が見られるが、鋼材の腐食による断面欠損は小さく、耐荷力の低減までは見られない期間である。対策としては、ひび割れ注入等の補修や劣化因子の侵入抑止のため表面被覆等を行う。

3.鉄筋コンクリートの鋼材発錆抑止対策 

@コンクリート中の塩化物イオン量の抑制:コンクリート中の塩化物イオン含有量を0.3kg/m3以下とすることで、内在塩分による鋼材発錆を抑止する。また外来塩分により腐食発生限界に達するまでの時間を長くする。

Aかぶり厚さの確保:鉄筋のかぶり厚を大きくすることで、表面から浸入する外来塩分が鉄筋位置の腐食発生限界量に達するまでの時間を長くする。

Bエポキシ樹脂塗装鉄筋の使用:絶縁性の高いエポキシ樹脂にて塗装された鉄筋を使用する。これにより鉄筋位置の塩化物イオン量が腐食発生限界を超えても腐食因子が鉄筋にまで到達せず、鉄筋の発錆が抑制される。 

 


 

R1/2019年 建設・鋼構造・コン U-2-1

問題文

 これまでに、良質な社会資本を効率的に整備(コスト縮減、耐久性向上など)するための技術開発が行われてきた。あなたが、鋼構造物に関わる材料、構造、工法、維持管理の技術開発の担当責任者として、業務を進めるにあたり、下記の内容について記述せよ。

(1)技術開発の目的とその事例を1つ挙げ、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。なお開発技術として既設の技術を上げてもよい。

(2)業務を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。


模範解答1  (答案形式)  添削履歴 3回 2019.07.7  専門事項 橋梁設計


(1)目的、事例、調査検討すべき事項・内容

1)目的、事例

現在の健全性診断基準は定量的で無いため、診断のばらつき補正や診断ミスの照査作業に時間を要しコストが嵩む。そこで、構造設計データと損傷データが連動し、鋼部材の減厚・欠損に対する自動応力計算により、健全性の定量的評価・自動診断ができるシステムを構築し、効率化・コスト低減を図る。

2)調査検討すべき事項・内容

ここは漠然とした作業項目ではなく検討のねらいを表すように

@  構造設計データの収集・DB化

 応力照査を行うため、竣工図書や復元設計で作成した構造設計データを収集し、DB化を図る。

どんな事を調べるのか説明すると良いでしょう

 

A  構造設計データと損傷(点検)データの一元管理

 損傷データを構造設計データに反映し、かつ構造設計データを点検時の損傷図として活用するため3D図化し、データの一元管理を行う。

既往の設計で損傷しやすい弱点、すなわち、設計法の危険側の誤差などがどこに出るか弱点を探すと良いでしょう。

 

(2)業務手順

@竣工図書や現地調査から部材形状を確認する。

A復元設計を行う。

・死・活荷重による断面力を格子解析にて算出し、抵抗断面から応力照査を行う。

・地覆や防護柵等の形状が変更となった場合は、死荷重の変更を反映する。

B3D図への損傷(点検)データを反映

 3D図を損傷図として活用し、現場にて損傷データをタブレットにて入力する。

C損傷データを反映した部材の自動応力照査

 減厚や欠損等で低下した断面性能にて自動応力照査を行う。

D応力照査結果を元にした自動健全性診断

・応力超過や座屈が生じる場合は、早急な対応が必要と自動診断する。

・自動診断に加え、補修対策・概算工事費を自動算出するシステムを構築し、早急な補修へのフォローアップを図る。

・診断結果をDB化し、閲覧を容易なものとする。

(3)業務を効率的に進める関係者との協議対策

@鋼橋は部材数が多く、密集する構造であることから、2D図での表現は繁雑化する。そこで、協議資料にCIMやVRを導入し、協議の円滑化を図る必要がある

漠然と「円滑化」ではなく、誰に何を伝えて、どうしてもらうかを言う

 

A鋼橋専門のメーカー、コンサル、点検会社、役所、

担当者としての貢献は何か

添架物管理者による合同会議を開催し、品質の向上・効率化を図る必要がある。

このような目的は一般論であって、会議とはいつでもどこでもそうです。必要十分な答えではありません。この提案での会議をもつ特別なねらいは何かを主張するように。

R1/2019年 建設・鋼構造・コン U-2-2

問題文

   鋼構造物の品質や精度を確保する上で、不適合(不良、不具合)を未然に防ぐことが重要である。あなたが、鋼構造物の品質や精度に関わる重大不適合の再発防止策を立案する担当責任者として、業務を進めるにあたり、下記の内容について記述せよ。

(1)技術的に重大と考える不適合の事例を1つ挙げ、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。


模範解答1   (簡易答案1)    添削履歴6    作成日2020/3/23    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 鋼橋


(1)技術的に重大と考える不適合の事例と調査・検討事項

 1)事例

 鋼製橋脚隅角部の溶接に欠陥があり、大規模な地震による外力で欠陥を起点としてき裂が進展し、延性的な変形が進行したことによる橋梁崩壊

2)  調査・検討事項

・溶接の入熱による割れ原因の不純物含有量を調査し、材料変更を検討

・溶接不連続による未溶着位置を調査し、未溶着部撤去および補強方法の検討

(2)業務を進める手順及び留意・工夫点 

 1)鋼材成分と未溶着位置調査:ミルシートの硫黄量が制限値を超えていたら、材料変更検討。未溶着部を、板組・開先形状を3次元CADで位置推定し、撤去検討

2)不純物低含有の耐ラメラテア材へ材料変更:耐ラメラテア材へ変更し、溶接割防止。既設構造物も、材料変更相当で、あて板補強で応力低減、脆性破壊を回避

 3)未溶着撤去部補強検討:未溶着部を撤去後も、活荷重に耐えるよう、支圧ボルト結合の当板補強など応力半減可能な断面補強をFEMで検討する。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策

@   未溶着調査に一般的な固定角度超音波探傷ではなく、フェーズドアレイ検査にするように検査会社に申し入れ、業務効率化する。この時(機器損料は高くなるが)工程短縮によるコストダウン効果があることを説明して検査会社に効率化への協力を促す。

A   隅角部データベースの点検・補修者との共有とログインID付与をシステム管理者へ申し入れ、随時更新可能とし、業務効率化する。この際、(知的財産使用権を付与することとなり、情報セキュリティリスクも高まるが)維持管理サイクルが推進され、損傷リスク低減し、公益性向上することを説明し、システム管理者に無償許諾を促す。


模範解答1   (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/3/24    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 鋼橋


(1)技術的に重大と考える不適合の事例と調査・検討事項

 1)事例

 鋼製橋脚隅角部の溶接に欠陥があり、大規模地震外力で欠陥を起点としたき裂が進展し、延性的な変形が進行したことで橋梁が崩壊した。

2)  調査・検討事項

1)  鋼材成分調査と材料変更検討

隅角部は厚板で構成されており、溶接パス数が多いため、熱割れが生じるため、原因である不純物含有量を調査し、材料変更を検討する。

2)  未溶着位置調査と撤去・補強検討

溶接不連続となる板組に起因する未溶着位置を調査し、未溶着部の撤去および補強方法を検討する。

(2)業務を進める手順及び留意・工夫点 

 1)鋼材成分と未溶着位置の調査

鋼材ミルシートの硫黄量が制限値を超えていたら、材料変更を検討する。また、未溶着部の位置は、図面で板組・開先形状を確認し、3次元CADで立体的に再現することで特定し、撤去及び補強方法を検討する。

2)耐ラメラテア材へ材料変更

硫黄含有量が0.01%以下で板割れ対策須済の耐ラメラテア材へ変更し、欠陥発生を抑止する。同時に、硫黄分を多く含有している既設構造物に対しても、当板補強で応力低減し、脆性破壊リスクを軽減する。

3)  未溶着撤去部・補強検討

未溶着部を撤去すると、必要断面不足となるため、当板補強をする。その際、母材とは、供用中の活荷重にも有効とするため、支圧ボルト結合とし、補強量はFEMで検討する。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策

1)検査業務の効率化に向けた調整

未溶着部調査に一般的な固定角度超音波探傷ではなく、フェーズドアレイ検査にするように検査会社に申し入れ、業務効率化する。この時(機器損料は高くなるが)工程短縮によるコスト削減効果があることを説明して検査会社に効率化への協力を促す。

2)  データベースによる業務効率化に向けた調整

隅角部データベースの点検・補修者との共有とログインID付与をシステム管理者へ申し入れ、随時更新可能とし、業務効率化する。この際、(知的財産使用権を付与することとなり、情報セキュリティリスクも高まるが)維持管理サイクルが推進され、損傷リスク低減し、公益性向上することを説明し、システム管理者に無償許諾を促す。


模範解答1   (完成答案)    添削履歴3    作成日2020/3/29    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 鋼橋


(1)技術的に重大な不適合の事例と調査・検討事項

1)事例

鋼製橋脚隅角部の溶接に欠陥があり、大規模地震外力で欠陥を起点としたき裂が進展し、延性的な変形が進行したことで橋梁が崩壊した。

2)調査・検討事項

@鋼材成分調査と材料変更検討

隅角部は厚板で構成されており、溶接パス数が多いため、溶接熱による板割れが生じるため、原因である不純物の含有量を調査し、材料変更を検討する。

A未溶着位置調査と撤去・補強検討

溶接不連続となる板組に起因する未溶着位置を調査し、未溶着部の撤去および補強方法を検討する。

(2)業務を進める手順及び留意・工夫点 

1)鋼材成分と未溶着位置の調査

鋼材ミルシートから、板割れの制限値である、硫黄含有量0.01%以下、絞り値10%以上を満たしているか調査する。

また、設計図面で板組・開先形状を確認し、3次元CADで立体的に再現することで、未溶着部の位置・方向を特定し、撤去角度とコア径を確定し、確実な撤去で、品質確保する。

2)耐ラメラテア材へ材料変更

硫黄含有量が0.01%以下で板厚方向の絞り値が10%以上を確保しており、板割れ対策済の耐ラメラテア材へ変更し、欠陥発生を抑止する。併せて、鋼材を高強度にして、薄板化し、溶接パス数を減少させることで、入熱量を削減し、板割れを抑止する。

3)未溶着部撤去・補強検討

当板と母材との接合は、供用中の活荷重にも有効とするため、支圧ボルト結合とする。

また、応力低減効果が補強板の突出長・梁高比と相関関係があることに着目し、相関カーブを作成し、梁高に応じて応力が半減できる突出長を特定することで、当板形状を確定する。

(3)業務を効率的、効果的にする関係者調整方策

1)検査業務の効率化に向けた調整

未溶着部調査に一般的な固定角度超音波探傷ではなく、フェーズドアレイ検査にするよう検査会社に申し入れ、業務効率化する。この時(機器損料は高くなるが)工程短縮によるコスト削減効果があることを説明し、検査会社に効率化への協力を促す。

2)データベースによる業務効率化に向けた調整

隅角部データベースの点検・補修業者とのクラウド上での共有とログインID付与をシステム管理者へ申し入れ、随時更新可能とし、業務を効率化する。この際、(知的財産使用権を付与することとなり、情報セキュリティリスクも高まるが)維持管理サイクルが推進され、損傷リスクを低減でき、公益性向上することを説明し、システム管理者に無償許諾を促す。


楽勝で合格するための留意点

1)課題の分析のしかたについて 

問題文を繰り返し読み、出題者の意図をよく考える。

シナリオ作成に時間をかけると、結果的に添削回数を減らせ、短時間で完成できる。

シナリオは、各大項目が連携して因果関係を形成することを念頭において作成

その際、大見出し(1)、小見出し1)や@の 題名に因果関係を持たせる。

 

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

手順を求められた場合は、時系列で示す。

見出しの題名は,本文の内容を端的に表現し、新聞の見出しのように本文(記事)を読まずとも全体像がわかるように記載する。

 

(3) 留意点などの考え方、書き方などについて

自分が保有する技術を宣伝するつもりでネタ出しする。

業務実施の際の留意点とは、注意点にとどめず、技術者としてふさわしいアクションを取ることにより、効率や効果が向上することを記載する。

 

(4) 調整の考え方、書き方などについて

関係者が得られるメリットも提示しつつ、協力を仰ぐことで、業務の効率化が図れたり、効果が向上したことを記載する

その調整により関係者に生じるメリットとともにデメリットも追記する。


 

R1/2019年 建設・鋼構造・コン U-2-3

問題文

   温暖な海岸地域にある鉄筋コンクリート構造物に錆汁を伴うひび割れが見つかった。耐久性を回復させるために補修計画の策定を行うこととなった。あなたが担当責任者として業務を進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的・効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。


模範解答1   (簡易答案1)    添削履歴3    作成日2020/5/12    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 コンクリート維持管理


(1)調査、検討すべき事項とその内容

・対象構造物の環境条件と現在の変状から、塩害と中性化との複合劣化を想定

@ひび割れ分布:補修範囲の検討

A鉄筋かぶり厚さ:設計かぶりとの比較、中性化残りの判定

B塩化物イオン含有量:発錆限界塩化物イオン濃度(1.2kg/m3)との比較

C中性化深さ:中性化の進行度合い、中性化進行速度

Dコンクリート圧縮強度:設計基準強度との比較(耐荷力の照査)

 ・上記より、補修範囲・補修方法を決定

(2)業務を進める手順と留意点、工夫点 

手順1(調査) 調査方法を決定し、現地調査を行う。

・留意点は効率的な調査箇所数の設定、工夫点はUAV活用で劣化状況全体を把握。

手順2(調査結果評価) 調査結果から劣化要因を特定し、補修の要否を判断する。

・留意点は残存供用期間を考慮、工夫点は必要に応じ専門家(大学教授等)と協同。

手順3(補修設計・施工計画の立案) 劣化機構・要因に適合した工法を選定する。

・留意点は施工環境、時期を考慮、工夫点は施工時の難所をあらかじめ排除。

(3)関係者との調整方策:対発注者へ標準的補修水準を示したところ、耐久性の回復に加え、残存供用期間中の耐久性確保の追加要求があった。この内容を施工業者に示すと500万円の工事費アップを要求された。発注者は施工費アップは拒否した。そこで私は、予算内で耐久性の回復に加え、残存供用期間中の耐久性を確保できる、亜硝酸リチウム併用型表面含浸工法を採用した。これにより、両関係者を取りまとめて高性能とコスト維持の意見を擦り合わせ、この作業を効率的に取りまとめた。


模範解答1   (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/5/13    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 コンクリート維持管理


(1)調査、検討すべき事項とその内容

対象構造物の環境条件と現在の変状から、塩害と中性化との複合劣化が想定され、以下の調査及び検討を実施する。

@ひび割れ分布状況を調査し、補修範囲の検討を行う。

A鉄筋かぶり厚さを調査し、設計かぶりとの比較及び中性化残りの判断基準とする。

B塩化物イオン含有量を調査し、発錆限界塩化物イオン濃度(1.2kg/m3)との比較を行う。

C中性化深さを調査し、中性化の進行度合い、中性化進行速度を評価する。

Dコンクリート圧縮強度を調査し、設計基準強度との比較を行い、耐荷力の照査を行う。

 上記の調査及び検討結果より、補修範囲・補修方法が決定される。

(2)業務を進める手順と留意点、工夫点 

@調査計画及び調査: 調査項目、調査手法を選定し、現地調査を行う。

留意点は、同じ調査箇所で複数項目の調査を行うなど効率的な調査箇所を設定する。工夫点は、UAVを活用し効率的に劣化状況全体を把握する。

A調査結果の評価: 調査結果から劣化要因を特定し、補修の要否を判断する。

留意点は、残存供用期間を考慮して、補修の要否、補修水準の判断を行う。工夫点は、複合劣化の場合は個々の劣化が単独で作用する場合よりも深刻化するため、高度の判断を要することから、必要に応じて専門家(大学教授等)と協同し、評価を行う。

B補修設計・施工計画の立案: 劣化機構・要因に適合した工法を選定し、施工計画を立案する。

留意点は、施工環境、時期を考慮した工法・補修材料を選定する。工夫点は、施工時の難所をあらかじめ排除した施工計画を立案し、実施工時の手戻りや施工不具合のリスクを低減する。

(3)関係者との調整方策

対発注者へ標準的補修水準を示したところ、耐久性の回復に加え、残存供用期間中の耐久性確保の追加要求があった。この内容を施工業者に示すと、500万円の工事費アップを要求された。しかし、発注者は施工費アップを拒否した。そこで私は、予算内で耐久性の回復に加え、残存供用期間中の耐久性を確保できる、亜硝酸リチウム併用型表面含浸工法を採用した。これにより、両関係者を取りまとめて高性能とコスト維持の意見を擦り合わせ、この作業を効率的に取りまとめた。


模範解答1   (完成答案)    添削履歴1    作成日2020/5/16    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 コンクリート維持管理


(1)調査、検討すべき事項とその内容

対象構造物の環境条件と現在の変状から、塩害と中性化との複合劣化が想定され、以下の調査及び検討を実施する。

@ひび割れ分布状況を調査し、補修範囲の検討を行う。

A鉄筋かぶり厚さを調査し、設計かぶりとの比較及び中性化残りの判断基準とする。

B塩化物イオン含有量を調査し、発錆限界塩化物イオン濃度(1.2kg/m3)との比較を行う。

C中性化深さを調査し、中性化の進行度合い、中性化進行速度を評価する。

Dコンクリート圧縮強度を調査し、設計基準強度との比較を行い、耐荷力の照査を行う。

上記の調査及び検討結果より、補修範囲・補修方法が決定される。

(2)業務を進める手順と留意点、工夫点 

@調査計画及び調査

 はじめに、UAVで撮影したデジタル画像から、ひび割れ分布状況の全体把握を行った後、コア採取等の調査箇所を抽出・選定することで、足場設置箇所を減らし効率的に調査を行う。

 構造物への影響を少なくするため、コアは小径コア採取とし、圧縮強度試験に加え、塩化物イオン含有量、中性化深さ調査をそれぞれ併用することで採取必要箇所数を必要最低限とする。

A調査結果の評価

 現状の塩化物イオン含有量、中性化深さから劣化進行レベルを判断し、鉄筋かぶり厚さ結果と合わせ、残存供用期間中の劣化予測を行う。塩害と中性化の複合劣化では、個々の劣化が単独で作用するよりも劣化進行が深刻化することを踏まえ、劣化予測を行うことが重要となる。

B補修設計・施工計画の立案

 補修工法は劣化進行レベルから、中性化及び塩化物イオンの劣化部を除去し、断面修復工法を標準とする。劣化部の除去は、鉄筋の裏側まで除去し、錆落とし及び防錆処理を施す。

 海岸地域は湿度が高く、風が強いため、湿潤面対応の補修材料を選定し、施工箇所は風の防護を計画する。

(3)関係者との調整方策

対発注者へ標準的な補修水準を示したところ、耐久性の回復に加え、残存供用期間中の耐久性確保の追加要求があった。この内容を施工業者に示すと、500万円の工事費アップを要求された。しかし、発注者は施工費アップを拒否した。

そこで私は、予算内で耐久性の回復に加え、残存供用期間中の耐久性を確保できる、亜硝酸リチウム併用型表面含浸工法を採用した。これにより、両関係者を取りまとめて高性能とコスト維持の意見を擦り合わせ、この業務を効率的に取りまとめた。


楽勝で合格するための留意点

 (1)課題の分析のしかたについて 

技術士は未来を予測する職務なので、塩化物イオン濃度から劣化速度を推定するなど予測を業務の主体にすればよいのです。

鉄筋の腐食量を測定し、残存寿命、改修の要否を検討するように。

コンクリートの内部の劣化状態を外観の損傷から推定します。

 

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

説明は分かりやすくする。論理的に誤解されないように伝えるようにしてください。

顧客からの信頼と検証のため、一般的に実務では試験方法や試験場所を事前に確認してもらうことをしているが、この問題の主題はそこにはないのでカットします。

手順は説明を簡潔に、そして留意点の狙いが見えるようにする。

 

(3) 留意点などの考え方、書き方などについて

精度を上げるために何をすればよいかと言われたので、個人の技能の誤差を含まない手法を考えるとよい。

マクロセル腐食による再劣化を抑制するため、亜硝酸リチウムを混入するとしてOK。

 

(4) 調整の考え方、書き方などについて

プロマネの立場で、協力業者や他部署に改善提案を申し入れて取りまとめるように。

相手が条件を呑むためには交換条件が必要な場合もあります。

WIN-WINの関係を築いて相手の行動変容を促し、自組織を有利に導くこと。

周辺部門の組織や下請け業者に工期短縮など、そのためには仮設を提供する。資源を業者に回し、そして自社の業務の効率化を図ることです。


模範解答2   (簡易答案1)    添削履歴7    作成日2020/5/17    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 コンクリート構造物


1.調査、検討すべき事項と内容

・温暖な海岸地域の為「海水飛沫による塩害」と想定

@鉄筋腐食状況の調査(耐荷力への影響の検討)

A劣化要因の調査(外来塩分の内部浸透状況、中性化による複合劣化有無の検討)

B進展性の予測検討(塩分浸透や腐食進展について今後の進展性を予測)

2.業務手順(留意点・工夫点含む)

@鉄筋腐食状況の調査

・錆汁量や変状部位に応じはつり調査で鉄筋腐食程度を把握

・引張鉄筋の断面欠損が大きい場合は耐荷力調査も実施

A外来塩分の内部浸透状況の確認

・劣化進展箇所近傍でコア等の試料を採取し、塩分浸透状況を把握

・外観健全部でも塩分量調査を行い、劣化機構(潜伏or進展)を確認

B複合劣化有無の確認

・中性化深さを確認し、塩分濃縮による塩害加速の影響を確認する

C将来進展性の予測

・拡散方程式による塩分浸透予測や、分極抵抗法による腐食進行予測を行う

・塩分浸透予測の精度向上には、EPMA面分析の活用が有効

(高精度な見かけの拡散係数を算出可のため)

3.関係者との調整方策

現地調査時、補修計画者である私は、各部位に近接し精度の高いデータ取得を希望する一方で、関係者に対し以下問題が生じる。

・発注者は、作業日数増加や点検資機材追加による調査コストの増大に反対する。

・近隣住民は、交通規制に伴う渋滞や歩行者利便性の低下からクレームを訴える。

・調査業者は、作業安全性が低く熟練が必要なロープアクセス作業は極力実施しないことを訴える。

⇒遠隔で操作および調査が可能なUAVの撮影写真やサーモグラフィー法のデータをスクリーニングとして活用し、点検者の近接が必要な範囲を限定する。

 これにより調査範囲や調査日数が削減され、調査コストの抑制や規制の影響度の低下、危険作業の回避または最小化により、効率的な業務遂行が可能となる。


模範解答2   (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/5/19    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 コンクリート構造物

1.調査、検討すべき事項と内容

 設問文より主に海水飛沫による塩害を想定する。

@鉄筋腐食状況の調査

 鉄筋の断面欠損が大きい場合は耐荷力が低下するため、鉄筋の腐食状況を調査し、耐荷力への影響を検討する。

A劣化要因の調査

 海水飛沫による塩分浸透状況を把握するため塩分量試験を行う。また中性化は塩分濃縮による塩害加速が懸念されるため、中性化試験も実施し複合劣化の有無を確認する。

B進展性の予測検討

 コンクリートの塩分浸透速度や中性化進展速度、腐食鋼材の腐食進展速度を算出し、今後の劣化進展予測を行う。

2.業務手順

@鉄筋腐食状況の調査

 変状部位の錆汁量等に応じ、はつり調査により鉄筋腐食量を調査する。引張鉄筋の断面欠損が大きい場合、静的載荷試験や腐食量を考慮した復元設計にて耐荷力照査を行う。

A詳細調査の実施

 鉄筋かぶりを調査した後、劣化進展箇所近傍でコア等の試料を採取し、塩分量と中性化深さを調査する。外観変状なしの部位でも調査を行い、劣化機構を確認する。

B複合劣化有無の確認

 塩分量と中性化深さの調査結果から複合劣化の有無を確認する。その際、中性化残りが25mm未満の場合は複合劣化の影響度が高いと見なせる。

C将来進展性の予測

 拡散方程式による塩分浸透予測や、分極抵抗法による腐食進行予測を行う。見かけの拡散係数は、EPMA面分析の結果を活用することで算出精度が向上する。

3.関係者との調整方策

現地調査は近接による実施が原則であるが、供用環境によって以下問題が生じる。

@発注者は、作業日数増加や点検・安全資機材追加による調査コストの増大に反対する。

A近隣住民は、交通規制に伴う渋滞や歩行者利便性の低下からクレームを訴える。

B調査業者は、作業安全性が低く熟練が必要なロープアクセス作業は極力実施しないことを訴える。

以上を踏まえ、UAVの撮影写真やサーモグラフィー法のデータをスクリーニングとして活用し、点検者の近接が必要な範囲を限定する。これにより調査範囲や調査日数が削減され、調査コストの抑制や規制の影響度の低下、危険作業の回避・最小化により、効率的な業務遂行が可能となる。


模範解答2   (完成答案)    添削履歴3    作成日2020/5/24    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 コンクリート構造物

1.調査、検討すべき事項と内容

@鉄筋腐食状況の調査

 腐食により鉄筋の断面欠損が大きい場合は耐荷力が低下するため、鉄筋の腐食進展状況を調査し、耐荷力への影響を検討する。

A劣化要因の調査

 海水飛沫によるコンクリート内部の塩分浸透状況を把握するため塩分量試験を行う。また中性化は塩分濃縮による塩害加速が懸念されるため、中性化深さ調査も併せて実施し複合劣化の有無を確認する。

B進展性の予測検討

 コンクリートの塩分浸透速度や中性化進展速度、腐食鉄筋の腐食進展速度を算出し、予定供用年数に対する今後の劣化進展予測を行う。

2.業務手順(工夫点・留意点含む)

@鉄筋腐食状況の調査

 変状部位の錆汁量等に応じ、はつり調査により鉄筋腐食量を把握する。鉄筋の断面欠損が大きい場合は、静的載荷試験や引張鉄筋の応力頻度測定、鉄筋の断面減少をモデル化した復元設計等にて耐荷力照査を行う。

A詳細調査による劣化原因の特定

 鉄筋かぶりを調査した後、劣化進展箇所近傍で試料を採取し、塩分量と中性化深さの調査により劣化原因を特定する。

B複合劣化有無の確認

 既往の知見では、中性化残りが10mmを下回る場合、塩分濃度と含水率が高いほど腐食進展速度が増大する。そのため、雨掛かりのある変状箇所の鉄筋位置塩分濃度と中性化残りから複合劣化を判断する。

C将来進展性の予測

 拡散方程式による塩分浸透予測や分極抵抗法による腐食進行予測を行う。塩分浸透予測の精度向上のため、中性化深さ+10mmの領域を除く塩分濃度データから見かけの拡散係数を算出し塩分濃縮の影響を排除する。

3.関係者との調整方策

 現地調査時、各関係者は以下の通り主張する。

@発注者は、点検・安全資機材追加や作業日数増加に

 よる調査コストの増大に反対する。

A近隣住民は、交通規制を行う場合の渋滞や、作業時

騒音に対してクレームを訴える。

B調査物件近傍に道路や鉄道、海上交通機関がある場

合、各管理者は現地調査に伴う交通阻害に反対する。

C調査業者は、作業安全性が低く熟練が必要なロープ

アクセス作業は極力実施しないことを訴える。

以上を踏まえ、UAVの撮影写真や赤外線サーモグラフィ法の計測データをスクリーニングとして活用し、

近接が必要な範囲を限定する。これにより調査範囲や調査日数が削減され、調査コストの抑制、規制や騒音、他交通機関への影響度の最小化、危険作業の回避・最小化により、効率的な業務遂行が可能となる。


R1/2019年 建設・鋼構造・コン V-2

問題文

 鋼構造物には通常の供用時における外力や環境条件などによる経年劣化に加え、豪雨、地震、火山噴火などの自然現象や車両・船舶の衝突などの人的過誤によっても、損傷が発生しうる。構造安全性を損なう劣化・損傷を受けた場合、速やかに適切な補修・補強策や再発防止策を立案する必要がある。その立案を担当する技術者として以下の問いに答えよ。

(1)構造安全性を損なう劣化・損傷を1つ想定し、その発生状況を概説した後、多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。ただし、疲労亀裂は除くものとする。

(2)(1)で抽出した課題のうち、鋼構造物で最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの」対策について述べよ。


模範解答1  (答案形式)  添削履歴 3回 2019.07.16  専門事項 橋梁設計


(1)損傷・発生状況・課題

1)鋼部材の座屈・破断・脆性破壊に対する発生状況

巨大地震等の自然災害で生ずる外力で鋼橋の部材の急速な耐荷力低下が生じ、脆性破壊に至る。

2)課題

@鋼橋を粘り強い構造とし、人命を守る

鋼橋の脆性破壊が生じた場合、避難時間が確保できず人命に危険が及ぶ。このため、従来の耐荷力増加対策に加え、鋼橋の優れた塑性変形能の活用、部分破壊の許容および地震エネルギーの吸収により、粘り強い構造とし、脆性破壊を抑えることが課題である。

ここは非常に良い課題が分析できています。

2)維持管理のコスト低減で部材・耐荷性能の確保

鋼橋の耐震性能を発揮するためには、部材が健全であることが前提となる。しかし、予算不足の状況下では、全施設への維持管理の継続が困難である。このため、鋼橋の周辺環境や重要度及び要求性能に応じた維持管理によりコストの低減を図る必要がある。

3)防災を担う技術者の確保

やや趣旨が違います。応急危険度判定士ならOKでしょう。

 鋼橋は災害時の救援活動拠点となるため、被災後の早期復旧が必要である。しかし、団塊世代の一斉退職やインフラ整備の重要性の認知度が低く、かつ、3Kイメージ定着から若者の土木離れにより技術者が不足している。このため、インフラツーリズムや現場見学会を通じた若者へ建設業の魅力をPRで入職意欲を奮起させ、かつ、残業削減・ワークライフバランス等の働き方改革で人材の建設業への定着を図ることが課題である。

(2)重要な技術的課題と技術的解決案

課題1)鋼橋を粘り強い構造とする

提案1)塑性設計

FEM弾塑性解析で特定した崩壊時の塑性ヒンジの回転角と全塑性モーメントMpで崩壊荷重を算出し、部材の全体崩壊に対する安全性を照査する。また部材断面は、局部座屈が生じること無くMpに達することができるコンパクト断面を導入する。

提案2)制震設計・免震設計

犠牲部材である鋼材ダンパーを鋼上部工部材または上下部工間に設置し、鋼材の弾塑性履歴による減衰付加により地震エネルギーを吸収することで、橋体の脆性崩壊を防止する。また、ダンパーは復元力が小さく、大規模な構造となりやすいため、免震支承を併用により、優れた復元力を付加した合理的な制震設計・免震設計とする。

ここも非常に結構です。

提案3)損傷制御

 津波や断層変位に対して、少なくとも致命的な被害を抑える対策を行う。具体的には、部材毎に限界状態を設定し、耐力に序列をつけることで損傷を制御し、脆性破壊を防止する。以下に具体例を示す。

・耐力を支承<上部工とすることで、上部工の過度な変形に伴う落橋を防止する。

(3)リスク・対策

リスク1)

部材に塑性化や部分破壊が生じた状況下で、住民や車両が鋼橋を通行した場合、崩壊が生ずる危険がある。

対策1)

・活荷重に対する塑性断面の照査や塑性化部材削除モデルでの解析により、車両制限を検討する。

・塑性化を考慮する部材と弾性域に留める部材に分ける。具体的には、活荷重を受ける主桁は弾性域、横構等の二次部材は塑性化を考慮する。

ここまではOKです。

リスク2)

FEM弾塑性解析等の動的解析は、設計負荷(入力やモデル化が複雑)が大きく、解析結果の善悪の判断が困難で設計ミスに気付かない恐れがある。

つまりこれだと何が起こるのですか。それがリスクです。

 

対策2)

PUSHOVER解析等の大変形を前提とした準静的解析との対比チェックで設計ミスを防止する。

リスク3)

全橋へ対応した場合、コストが嵩み、整備が困難となる。

条件付けによる限定は好ましくありません。

コスト高は、事前に見積もりするとわかることであり、リスクとは言えません。

対策3)

緊急輸送路等の防災・社会経済上重要度が高い鋼橋から優先的に整備を行い、選択と集中を図る。


 


模範解答2   (簡易答案1)    添削履歴3    作成日2020/5/9    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 鋼橋


(1)劣化・損傷事象、課題

1)鋼道路橋の地震による損傷

 建設後40年経過した鋼道路橋に、50年に一度発生する

最大規模の地震で、部材が延性破壊し橋梁の耐力低下し、崩壊恐れ

2)速やかな補修・補強や再発防止の課題抽出・分析

@上部構造は、二次部材の損傷(座屈・破断)に応じたバネ設定した骨組みモデルで活荷重照査し、供用判断の早期化

A下部構造は、レベル2地震動による耐震性照査で橋脚基部及び基礎構造の補強が必要なため、エネルギー吸収・分散による補強量削減

B支承周辺は、主桁にジャッキアップ用補剛材を、橋脚にジャッキアップ用ブラケットを設置し、将来の支承交換時の早期化を図る。

(2)下部構造の耐震補強削減の解決策

 1)塑性化許容設計により、橋脚基部のみに損傷を集中させ、損傷部のエネルギー吸収により橋脚耐力補強量削減

 2)ゴム支承へ交換し、水平地震力を隣接する橋脚へ分散させる設計とし、 下部構造の補強量削減

 3)制震ダンパー後付し、地震エネルギー吸収により、地震力低減する設計とし、下部補強量削減

(3)新たに生じうる共通のリスクと対策

1)リスク

 @部材交換や後付装置により橋梁全体の周波数特性が変化し、道路橋示方書標準波では、そのサイト特有の地盤特性を表現不能。

 A2方向地震力の同時作用を未考慮のため、エネルギー吸収能力を過大に、変形量を過小評価

2)対策

 @標準波の代わりに、地盤条件を反映させ、そのサイトに特化したレベル2地震波で照査を実施

 A2方向同時作用による塑性2次勾配に移動硬化則を適用した塑性剛性マトリックスを作成し、動的解析し、同時性を表現。


模範解答2   (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/5/11    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 鋼橋


(1)劣化・損傷事象、課題

1)鋼道路橋の地震による損傷

 建設後40年経過した鋼道路橋に、50年に一度発生する最大規模の地震により、部材が延性破壊し、橋梁全体の耐力が低下し、崩壊の恐れがある。

2)速やかな補修・補強や再発防止の課題抽出・分析

@上部構造の速やかな補修・補強設計

 二次部材の損傷(座屈・破断)に応じたバネ値設定した骨組みモデルで一次部材を活荷重照査し、弾性域に収まっていることを確認し、供用判断を早期化する。

A下部構造の補強量削減設計

 レベル2地震動で耐震性を照査し、橋脚基部及び基礎構造の補強が必要となるため、地震エネルギーを吸収または、分散させる設計とすることで補強量を削減する。

B支承交換の迅速化

 主桁にジャッキアップ用補剛材を、橋脚にジャッキアップ用ブラケットを設置し、将来の支承交換を迅速化する。

(2)下部構造の耐震補強削減の解決策

 1)塑性化許容設計

 橋脚基部のみに損傷を集中させ、耐力補強と同等なエネルギーを損傷部で吸収させることで、補強量を削減する。

 2)水平力分散設計

 固定支承及び可動支承をゴム支承へ交換し、固定支承に集中していた水平地震力を隣接する可動支承橋脚へ分散させる設計とし、補強量を削減する。

 3)制震ダンパーによる地震エネルギ吸収

 上部工と下部工間に制震ダンパーを設置し、地震時に生じる相対変位及び速度に応じてエネルギーを吸収させる設計とし、下部構造の補強量を削減する。

(3)新たに生じうる共通のリスクと対策

リスク@:部材交換や制震装置の追加設置により橋梁全体の周波数特性が変化するが、道路橋示方書の標準波ではそのサイト特有の地盤特性が再現されていない。

対策@:標準波の代わりに、地盤条件を反映させて、そのサイトに特化したレベル2地震波を作成し、照査を実施する。

リスクA:部材交換や制震装置の追加設置による効果確認のための動的解析では、2方向地震力の同時作用を考慮せず、橋軸と橋軸直角方向を別々に照査するため、エネルギー吸収能力を過大に、変形量を過小評価している。

対策A:2方向同時作用による塑性2次勾配を、移動硬化則を適用し、塑性剛性マトリックスを作成し、照査を実施する。


模範解答2   (完成答案)    添削履歴9    作成日2020/5/15    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 鋼橋


(1)劣化・損傷事象、課題

1)鋼道路橋の地震による損傷

 建設後40年経過した鋼道路橋に、50年に一度発生する最大規模の地震により、上部構造の二次部材が座屈し、下部構造は橋脚基部が塑性し、支承はアンカーボルトが破断し上沓が落下した。その結果、橋梁全体の耐力が低下し、崩壊の恐れがある。

2)速やかな補修・補強や再発防止の課題抽出・分析

@上部構造の速やかな補修・補強設計

 地震力により座屈または破断した横構及び対傾構等の二次部材の損傷状況に応じてバネ値を設定した骨組みモデルを作成する。

 主桁や横桁等の一次部材を死荷重+活荷重にて照査し、弾性域に収まっていることを確認し、供用判断を早期化する。

A下部構造の補強量削減設計

 損傷した下部構造の耐震補強設計では、レベル2地震動で耐震性を照査する。

 既設構造物は旧耐震基準で設計されているため、橋脚基部及び基礎構造の耐力が不足するが、地震エネルギーを吸収または、分散させる設計とすることで補強量を削減する。

B支承交換の迅速化

 将来の支承老朽化や耐震性能向上のための交換を見据え、主桁にジャッキアップ用垂直補剛材を、橋脚にジャッキアップ用ブラケットを設置する。

 設計荷重は、主桁に作用する死活荷重の支承線平均反力に施工時の不均等影響リスク1.5倍を加味し算出する。

(2)下部構造の耐震補強削減の解決策

 1)塑性化許容設計

 塑性箇所が橋脚基部となるよう、高さ方向に同厚の鋼板補強し、基部10cm程度は無補強とする。

 板厚は、耐力と変形量に基づくエネルギー一定則に基づき、必要となる耐力向上分とそれと同等のエネルギー吸収が可能となる変形量に応じた板厚を算出する。 

 2)水平力分散設計

 レベル2に対応していない固定支承及び可動支承をレベル2地震に対応したゴム支承へ交換し、固定支承橋脚に集中していた地震水平力を隣接する可動支承橋脚へ分散させる設計とする。

 可動支承橋脚が塑性に至らないよう、ゴム支承の剛性で水平力分担割合を調整し、全体挙動を動的解析で照査する。

 3)制震ダンパーによる地震エネルギー吸収

 上部工と下部工間に制震ダンパーを設置し、地震時に生じる相対変位及び速度に応じてエネルギーを吸収させる設計とし、下部構造の補強量を削減する。

 ダンパーのエネルギー吸収量は粘性Cと速度vの積に依存するため、ダンパーの特質に応じた履歴モデルを設定し、動的解析で照査する。

(3)新たに生じうる共通のリスクと対策

リスク@:橋梁全体の特性変化

 ゴム沓への交換や制震装置の追加設置により橋梁全体の固有周期が長周期化するため、長周期成分が卓越した海洋プレート型地震時に橋梁損傷が想定される。

対策@:サイト特有の地震波による照査

 標準波の代わりに、工学的基盤面以浅の各地盤せん断波速度に基づき、そのサイトに特化したレベル2地震波を作成し、動的照査を実施する。

 工学的基盤面の目安であるせん断波速度300m/s以上の層が互層となっている場合は、どの層を工学的地盤面とするのかにより、地震波応答スペクトルの卓越周期が変化するため、橋梁の固有周期に近い特性となる地震波となるよう安全側となる基盤面を選択する。

リスクA:2方向地震力の影響

 部材交換や制震装置の追加設置による効果確認のための動的解析では、2方向地震力の同時作用を考慮せず、橋軸と橋軸直角方向を別々に照査するため、エネルギー吸収能力を過大に、変形量を過小評価している。

対策A:移動硬化則の適用による解析

 2方向同時作用による塑性2次勾配を、移動硬化則を適用し、塑性剛性マトリックスを作成し、照査を実施する。

 


解説

(1)課題の分析のしかたについて

課題とは、問題に対して技術者が提案する技術応用のことです。

課題とは、部下が整然と動ける指示(課題)内容とすると良いでしょう。

提案する技術応用は、普段の業務や、関連論文をレビューし、その留意点を含めて考え、選定してください。

多面的とは、ダブりなく3つ挙げて全体をバランスよく網羅する。

 

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

解決策とは適用工法・解析方法に対してどのような工夫、着眼点で実施するのか、また、それによる具体的な成果イメージを表現するように。

〇〇解析を〇〇の点に着眼し実施し、補修期間を短縮した。というイメージです

鋼構造の技術士にふさわしい提案に絞ること

行政サイドや社会情勢の広い観点からの(評論家的)提案は求められていません。

表題は本文の内容を端的に表現し、自分の技術力をアピールするように。

 

(3)リスクの導き方、書き方などについて

提案にともない新たに発生する事例を記載してください

“コスト増加”のように予め想定できることは提案に値しないこと。

解決策により〇〇が悪化・変化し、新たに〇〇の被害が想定される、というイメージです。

 



R1/2019年 建設・鋼構造・コン V-4

問題文 V-4

 平成27年末に開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)においてパリ協定が締結され、これを踏まえ我が国では二酸化炭素等の温室効果ガスの中長期削減目標が示され、この達成に向けて取り組むことが定められている。建設分野のうち、コンクリート構造物の企画・設計・施工・維持管理・更新に至るまでの活動において、多くの二酸化炭素等の温室効果ガスが排出されている現状を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)二酸化炭素等の温室効果ガスを削減していくために、コンクリートに携わる技術者の立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。


模範解答1   (簡易答案1)    添削履歴6    作成日2020/6/3    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 コンクリート施工

 


 

(1)温室効果ガス削減のための課題

@設計:コンクリートの配合設計において、セメントの一部をフライアッシュや高炉水砕スラグに置き換えることで、セメントの使用割合を減らし、セメント製造過程におけるCO2排出量を削減する。

A維持管理:高強度コンクリートの使用や維持管理サイクルの転換により、コンクリート構造物の長寿命化を図り、更新に伴う温室効果ガスの排出時期を遅らせる。

B更新:コンクリート構造物の解体によって発生するコンクリート塊を再生砕石に再資源化することで、セメント水和物の炭酸化を通じてCO2を固定化する。

 (2)最も重要と考える課題とその解決策

課題:A維持管理:コンクリート構造物の長寿命化

解決策@:高強度コンクリートの使用

・高強度コンクリートの使用により、耐久性を向上させる。

・加えて、高強度コンクリートの使用により、構造物のスリム化が可能となり、構造断面を低減することができるため、コンクリート使用量の削減にもつながる。

解決策A:プレキャスト部材の使用

・プレキャスト部材は、工場製作のため、天候や外気温に左右される現場打ちコンクリートに比べ安定した高品質な構造物とすることができる。また、鋼製型枠を用いるため、木製型枠の使用後の廃棄によるCO2排出がなくなる。

解決策B:維持管理を「事後保全」から「予防保全」に転換

・計画段階で劣化の前兆を捉えるための点検・調査方法、評価・判定方法を検討・決定し、劣化が生じる前や劣化が軽微な段階で対策を行い、必要な耐久性を維持する。

 (3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策

共通リスク:小規模構造物ではスケールメリットが少なく、高強度コンクリートやプレキャスト部材の使用による初期コストの増大分を、補修コスト減少分でキャンセルできず、約2割の高コストとなる。

対策:対象構造物の用途や計画供用期間に応じて、高強度コンクリート、プレキャスト部材使用の要否を判断し、予防保全による効果が最大となるよう、効率的な点検頻度、点検項目の設定、補修・補強水準の設定を行い、LCCを向上させる。


解説

解決策B:維持管理を「事後保全」から「予防保全」に転換

・従来の損傷が顕在化してから補修や更新等を行う「事後保全」から、損傷等が顕在化する前に補修・補強等を行うことで長寿命化させる「予防保全」に転換する。

■この提案はほとんど言葉の意味を言葉に下にすぎません。上記を行うにはどんな事をするのか。予防保全とは何が大変なのか。誰でも簡単にすぐできるものか。本質的なことを表現しないと技術士の提案とは言えません。

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(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策

共通リスク:高強度コンクリートやプレキャスト部材の使用による初期コストの増大分を、大規模構造物ではスケールメリットと予防保全による補修コスト減少分でキャンセルできるが、小規模構造物ではスケールメリットが少なく、補修コスト減少分でキャンセルできず、約2割の高コストとなる。

■ここはリスクを表現するところなので、リスクにならない大規模構造物のケースに言及しても始まりません。 

 


このほかこの答案の添削指導では、次のようなことを申し上げました。

 

・企画・設計・施工・維持管理・更新の中から、項目が重ならないように課題を抽出する。

・課題は部分的・手段的なものではなく、本質的なもの、影響の大きなものを取り上げる。

・課題の内容は、その原理・技術まで言及する。(原理・技術の裏付けがなければ絵に書いた餅である)

・問3は問2の「解決策」に由来するリスクであり、無関係な原因を考えないこと。

・問3は「共通」したリスクを述べるのであって、解決策それぞれの答えは不要。

・「なぜ」そのリスクが発生するのか、本質的なことを述べること。

・複数の目的や効果を混同せず、主要な内容を1つに絞って述べる。

・解決策は具体的に表現すること。

・回りくどい表現、や前置きは不要。述べたいことを単刀直入・簡潔に記載する。


模範解答1   (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/6/5    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 コンクリート施工


(1)温室効果ガス削減のための課題

@設計:コンクリートの配合設計において、セメントの一部をフライアッシュや高炉水砕スラグに置き換えることで、セメントの使用割合を減らし、セメント製造過程におけるCO2排出量を削減する。

A維持管理:高強度コンクリートの使用や維持管理サイクルの転換により、コンクリート構造物の長寿命化を図り、更新に伴う温室効果ガスの排出時期を遅らせる。

B更新:コンクリート構造物の解体によって発生するコンクリート塊を再生砕石に再資源化することで、セメント水和物の炭酸化を通じてCO2を固定化する。

(2)最も重要と考える課題とその解決策

課題:A維持管理:コンクリート構造物の長寿命化

解決策@:高強度コンクリートの使用

高強度コンクリートを使用することで、耐久性を向上させ、構造物の長寿命化を図る。

加えて、高強度コンクリートの使用により、構造物のスリム化が可能となり、構造断面を低減することができるため、コンクリート使用量の削減にもつなげることができ、温室効果ガス排出量の削減効果をより高めることができる。

解決策A:プレキャスト部材の使用

プレキャスト部材は、工場製作のため、天候や外気温に左右される現場打ちコンクリートに比べ、安定した高品質な構造物とすることができ、構造物の長寿命化が図られる。

また、プレキャスト部材の製作には鋼製型枠を用いるため、現場打ちで通常使用する木製型枠の使用後の廃棄によるCO2排出がなくなる。

解決策B:維持管理を「事後保全」から「予防保全」に転換

計画段階で劣化の前兆を捉えるための点検・調査方法、評価・判定方法を検討・決定し、劣化が生じる前や劣化が軽微な段階で対策を行い、必要な耐久性を維持・確保し長寿命化を図る。

劣化が顕在化したり、劣化が甚大な段階での補修と比較して、広範囲のコンクリート不具合箇所の除去及びコンクリート打換えが不要となるため、温室効果ガス排出量の削減効果がより高くなる。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策

共通リスク:小規模構造物ではスケールメリットが少なく、高強度コンクリートやプレキャスト部材の使用による初期コストの増大分を、補修コスト減少分でキャンセルできず、約2割の高コストとなる。

対策:対象のコンクリート構造物の用途や建設される環境、計画供用期間に応じて、高強度コンクリート、プレキャスト部材使用の要否を判断する。

加えて、予防保全による効果が最大となるよう、効率的な点検頻度、点検項目の設定、補修・補強水準の設定を行うことで、ライフサイクルコストを悪化させることなく、対象構造物の長寿命化を図る。

 


解説 

 

【添削で指摘された主な事項】

・企画・設計・施工・維持管理・更新の中から、項目が重ならないように課題を抽出する。

・課題は部分的・手段的なものではなく、本質的なもの、影響の大きなものを取り上げる。

・課題の内容は、その原理・技術まで言及する。(原理・技術の裏付けがなければ絵に書いた餅である)

・問3は問2の「解決策」に由来するリスクであり、新たな原因を考えないこと。

・問3は「共通」したリスクを述べるのであって、解決策それぞれの答えは不要。

・「なぜ」そのリスクが発生するのか、本質的なことを述べること。

・複数の目的や効果を混同せず、内容を1つに絞り、述べる。

・解決策は具体的に表現すること。その対策がどう課題の解決につながるかが焦点である。

・回りくどい表現、や前置きは不要。述べたいことを単刀直入・簡潔に記載する。


模範解答1   (完成答案)    添削履歴1    作成日2020/6/11    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 コンクリート施工


(1)温室効果ガス削減のための課題

@設計:コンクリートの配合設計において、ポルトランドセメントの一部を石炭火力発電所で排出されるフライアッシュや、製鉄所で排出される高炉水砕スラグ等を用いた混合セメントに置き換えた低炭素型コンクリートを使用する。

 これにより、ポルトランドセメントのクリンカ構成比が大幅に低減されるため、結果的にクリンカ製造過程で発生するCO2排出量の削減が可能になる。

A維持管理:高強度コンクリートの使用や維持管理サイクルの予防保全への転換により、コンクリート構造物の長寿命化を図る。

 その結果、更新時期を延ばすことができるため、更新に伴う温室効果ガスの排出時期を遅らせることとなり、コンクリートのライフサイクルにおけるCO2排出量のうち、更新時に発生する約6%のCO2排出量の削減が可能になる。

B更新:更新に伴いコンクリート構造物の解体によって発生する大量のコンクリート塊を再生砕石に再資源化し、路盤材や再生骨材コンクリートとして活用することで、天然砕石の採取・運搬によるCO2排出量の削減につながる。また、解体後のコンクリート塊の破砕によりコンクリートの比表面積の増大、炭酸化が進行していない新破断面の出現により、炭酸化によるCO2固定速度が増大し、約8.5kg/tのCO2固定量となる。

(2)最も重要と考える課題とその解決策

課題:A維持管理:コンクリート構造物の長寿命化

解決策@:高強度コンクリートの使用

 高強度コンクリートを使用することで、水密性が向上し、ひび割れの防止につながる。これにより耐久性を向上させることで、構造物の長寿命化を図る。

 加えて、高強度コンクリートの使用により、構造物のスリム化が可能となり、構造断面を約3割低減することができることで、コンクリート使用量の削減につながる。その結果、削減したコンクリート1m3あたり約270kgのCO2排出量の削減効果が得られる。

解決策A:プレキャスト部材の使用

 プレキャスト部材は規格が標準化されており、工場での屋内製作のため、天候や外気温に左右される現場打ちコンクリートに比べ、安定した高品質な構造物とすることができ、構造物の長寿命化が図られる。

 また、プレキャスト部材の製作には鋼製型枠を用いるため、現場打ちコンクリート施工で通常使用する木製型枠の使用後の廃棄により排出される約1kg/tの温室効果ガスを削減することができる。

解決策B:「予防保全」への維持管理サイクルの転換

 まず、計画段階で劣化の前兆を捉えるための点検・調査方法、評価・判定方法を検討・決定する。

 施工後の維持管理段階では、その方法にしたがって劣化が生じる前や劣化が軽微な段階で対策を行い、そのサイクルを繰り返すことで対象コンクリート構造物が必要とされている耐久性を維持・確保し、長寿命化を図る。

 劣化が顕在化した段階や、劣化が甚大な段階での補修を行う「事後保全」と比較すると、広範囲のコンクリート不具合箇所の除去およびコンクリート打換えが不要となるため、温室効果ガス排出量の削減効果がより高くなる。

(3)共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策

共通リスク:小規模のコンクリート構造物ではスケールメリットが少なく、高強度コンクリートやプレキャスト部材の使用による初期コストの増大分を、予防保全による補修コスト減少分でキャンセルできず、約2割の高コストとなり、ライフサイクルコストを悪化させる可能性がある。

対策:対象のコンクリート構造物の用途や建設される環境、計画供用期間に応じて、高強度コンクリート、プレキャスト部材使用の要否を判断する。

 加えて、予防保全によるライフサイクルコストの低減効果が最大となるよう、対象のコンクリート構造物の用途や環境に応じた効率的な点検頻度、点検項目の設定、補修・補強水準の設定を行う。

 その結果、ライフサイクルコストを悪化させることなく、対象構造物の長寿命化を図る。


解説

この答案の添削でご指摘申し上げた主な事項は次のようなことでした。

・企画・設計・施工・維持管理・更新の中から、項目が重ならないように課題を抽出する。

・課題は部分的・手段的なものではなく、本質的なもの、影響の大きなものを取り上げる。

・課題の内容は、その原理・技術まで言及する。(原理・技術の裏付けがなければ絵に書いた餅である)

・問3は問2の「解決策」に由来するリスクであり、新たな原因を考えないこと。

・問3は「共通」したリスクを述べるのであって、解決策それぞれの答えは不要。

・「なぜ」そのリスクが発生するのか、本質的なことを述べること。

・複数の目的や効果を混同せず、内容を1つに絞り、述べる。

・解決策は具体的に表現すること。その対策がどう課題の解決につながるかが焦点である。

・回りくどい表現や前置きは不要。述べたいことを単刀直入・簡潔に記載する。

・改行は多くしすぎない。続けてよいところは、接続詞や転換の言葉でつないで1段落とする。

・効果や手段は定量的に数値で表す。

・技術応用の背景となっている、原理、法則、化学反応名や方策名を専門用語で表す。

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このほか答案作成に役立ったことを参考のために挙げておきます。

(1)課題の分析のしかたについて

問題文で与えられた分野の中から、項目が重ならないように課題を抽出する。 (=多面的な観点)

課題の内容は、その原理・技術まで言及する。(原理・技術の裏付けがなければ絵に書いた餅である)

課題は部分的・手段的なものではなく、本質的なもの、影響の大きなものを取り上げる。

 

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

解決策は具体的に表現すること。その対策がどう課題の解決につながるかが焦点である。

技術応用の背景となっている原理、法則、化学反応名や方策名を専門用語で表す。

定量的に数値で表す。

 

(3)リスクの導き方、書き方などについて

「なぜ」そのリスクが発生するのか、本質的なことを述べる。

問2の「解決策」に由来するリスクであり、新たな原因を考えないこと。

「共通」したリスクを述べるのであって、解決策それぞれの答えは不要。

複数の目的や効果を混同せず、内容を1つに絞り、述べる。

 

(4) 少ない添削回数で正解に到達するために心がけたこと

音声ガイドを聞き返す、メール指導を読み返すことで、講師の添削趣旨を理解できているか、問いかけに100%応えられているかを確認しながら、論文を修正した。

回りくどい表現や前置きは不要。述べたいことを単刀直入・簡潔に記載する。

改行は多くしすぎない。続けてよいところは、接続詞や転換の言葉でつないで1段落とする。


 


模範解答2   (簡易答案1)    添削履歴6    作成日2020/6/14    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 コンクリート構造

 

 


1.温室効果額削減に向けた課題 

@低排出型セメント材料の利用促進(企画・設計段階)

・世界のCO2排出の5%はセメント製造時に由来。

⇒製造時CO2の少ない高炉セメント等の利用促進が課題

A予防保全による長寿命化の推進(維持管理段階)

・多くの自治体は事後保全のため、大規模修繕による大量のセメント使用や、工事

長期化に伴う建機由来のCO2排出が増大

⇒維持管理サイクルの確立による予防保全にて、長寿命化の推進が課題

B解体コンクリートの現場内再利用(施工・更新段階)

・解体したコンクリート塊の運搬に伴いCO2が排出される

⇒現場内再利用による解体コンクリートの運搬量削減が課題

2.最も重要と考える課題と解決策

最も重要な課題:予防保全による長寿命化の推進

解決策@:モニタリング技術による変状の早期検知と早期対処

・現状の劣化状況を踏まえ観測対象部位やパラメータを設定し、センサによる常時

監視にて、外観目視では得られない変状を定量的かつタイムリーに検知する。

これにより変状の検知および対策を早期に実施し、大規模修繕を抑止する。

解決策A:確率論的手法による劣化予測

・マルコフ連鎖モデルにより、点検データを用い健全度の推移確率を算出し、確率論的に劣化予測を行う。これにより管理橋梁群の部位や劣化機構毎の補修時期の選定や、中長期的な予算確保による予防保全の遅滞なき執行が可能。

3.解決策に共通して生じるリスクと対策

(1)共通リスク

解決策は共に現時点の主たる劣化機構を前提とするため、将来的に劣化機構が変動

すれば、結果の妥当性や信頼性が低下する。

例えば塩害環境下の道路橋では、低交通地帯では塩分浸透や鉄筋腐食の劣化予測や

変状観測を行うが、交通需要の変化に伴い重交通地帯となれば床版疲労等の劣化予

測や変状観測を行う必要がある。このように交通量等の外部条件が変動すれば、

主たる劣化機構も変化し、適用すべきモニタリング手法や劣化予測手法が異なる。

(2)対策

定期点検毎に外観目視等の結果から主たる劣化機構を判別し、モニタリングや劣化

予測の妥当性評価を行う。

 


解説 

 

添削指導ではこのようなことをコメントいたしました。

・解決策の実施に伴い直接的に生じるリスクを挙げる。

 解決策を実施する人的能力や実施体制、環境等に起因するなど、副次的に生じるリスクは、回答として不適。

・記載内容は抽象的な表現は避け、誰が読んでも理解できる文章に。

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6/12添削

(1)共通リスク

前提条件の経時変化に伴い、変状見落としや劣化進展の過小評価のリスクがある。

例えば、主な劣化要因が塩害の道路橋にて鉄筋腐食のモニタリングや劣化予測を実施する一方で、その後工場建設等により大型車交通量が恒常的に増加すれば、荷力に影響する床版の疲労や主桁の曲げ損傷を見落とし、施設全体の劣化度を過小評価する。

経時変化に依存するものなら、その予測パラメーターや予測モデルの違いによる誤差をリスクとして取り上げる。「見落としや過小評価」という人的能力不足による不手際では、問が求める「(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスク」ではないので×です

大型車交通量は別要因であって、解決策によって生じうるリスクではありません。

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6/10添削

(1)共通リスク     前置き↓

・両解決策は、観測対象とする部位や劣化機構の選定、劣化予測に用いる施設全体の健全度を示す代表部位の選定が最初に必要となる。しかし、その後に外力条件や環境条件の変化等に伴い当初想定していない部位や劣化機構が支配的となった場合、損傷の見落としや劣化進行の過小評価をもたらすリスクが生じる。

前置きは1行程度に簡潔に書くように。リスクの内容↑が抽象的で意味不明です。そこで、リスクの説明に、例えばどんな部位が相当するか、橋梁でも構いませんので構造物例を挙げて、リスクの部位、現象を示してください。

----------------------- 

6/6添削

2.最も重要と考える課題と解決策

最も重要な課題:長寿命化の推進

解決策@:モニタリング技術による変状の早期検知と早期対処

・モニタリングセンサによる常時監視により、外観目視では得られない変状を

定量的かつタイムリーに検知し、早期対処による効果的な予防保全を実施

予防保全がなぜ、事後保全より良いのか。肝心な提案趣旨、根拠の説明が抜けています。それは大規模修繕による出費を回避すること

解決策A:確率論的手法による劣化予測

・マルコフ連鎖モデル等により将来の健全性の低下を予測することで、最適な補修時期の選定や、計画的な予算確保による予防保全の遅滞なき執行が可能・・

確率論的に取り組むのはともかく、どのように巧みに劣化予測するか技術提案がありません。あるのは@とダブリ

3.解決策に共通して生じるリスクと対策

(1)共通リスク

@複数ある観測・予測手法の中で最適な手法の選定や、使用データの加工等は技術者の経験や勘によるところが大きい。よって分析・予測値の精度は技術者の技量により大きく変動するリスクがある。

経験や勘に頼るなんて、どれだけ怪しい技術者なのかと思います。そもそもこのような問題を解決するための技術なのに、これでは本末転倒。常識を疑われます。最低限、基準に基づいて、マニュアルを見ながらやることとしてください。

⇒劣化予測や一部のモニタリング技術は、データの加工・補正や手法選定、実施方法、分析方法等の完全なマニュアルはありません。それが現実です。各技術者がケースバイケース且つ手探りでやっているので技術者差分が大きいのです。

内容が「予防保全」に関係する本質的な事項に絞り込むように。

「予防保全」をすればするほど、ある時大きな問題が発生することは何か

添削の直しの弊害が出ています。本質に気づくことです

 6/3添削

解決策@:AIの活用 建設工学の応用ではないので好ましくありません。建設技術のレベルの高さをアピールすることになりません。

AIにより、本来高度な知識を要する劣化事象の診断を支援し、健全度の診断精度を向上および平準化。結果、適切な補修工法や時期の判断が可

解決策A:モニタリング技術の導入 ←モニタしてどうするのか?手段だけでなく目的まで言う

・モニタリングセンサによる常時監視により、外観目視では得られない変状を定量的かつタイムリーに検知し、早期対処による効果的な予防保全を実施

解決策B:確率論的手法による劣化予測

・マルコフ連鎖モデル等により施設の健全性低下を予測することで、最適な補修時期の選定や、計画的な予算確保による予防保全の遅滞なき執行が可能

3.解決策に共通して生じるリスクと対策

【リスク】出力値の信頼性の不足 ←添削の繰り返しで、正解の領域外に発散しています

・AIの学習不足、モニタリングの測定・分析・閾値設定方法の不備、耐久性や供用環境が異なる施設の統合的劣化予測の実施等、初期条件や適用方法に不備があれば実態に沿わない結果が出力され、長寿命化効果の期待値を得られない

 

 6/1コメント

【共通リスク1】既往情報未活用による調査コストの増大

既往情報が活用されないのはどうしてですか。

アセットマネジメントをやればやるほど、またモニタリングをやればやるほど、既往情報は使われなくなるのですか。

これは解決策に由来して生じたリスクではありません

 

・解決策@:竣工図や維持管理記録等を確認できず、本来不要な配合分析や強度試験、復元設計等の詳細調査を実施するリスク

・解決策A:既往の補修・補強履歴等を確認できず、本来不要なモニタリングや、モニタリング実施のための事前調査を実施するリスク

⇒対策:情報のデジタル化とDB化、管理者毎に異なるデータ様式の統一、CIM活用による調査・施工・維持管理までのデータ集約

 

【共通リスク2】発注機関技術者不足による解決策の実行困難化

・解決策@A:技術系職員のいない自治体では、維持管理サイクルを実施するため の技術的および運用的な意思決定ができない

 ⇒対策:国の技術相談窓口や修繕代行事業活用、地域一括発注方式の活用、民間の活用(CM・発注者支援)、研修制度充実化による人材育成

これは発注機関技術者不足という提案とは別な要因です。リスクがないからと言って新たに原因を探し出してリスクを作ったら×です。


模範解答2   (簡易答案2)    添削履歴1    作成日2020/6/17    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 コンクリート構造


1.温室効果額削減に向けた課題 

@低排出型セメント材料の利用促進(企画・設計段階)

世界のCO2排出の5%はセメント製造時に由来するため、製造時のCO2排出の少ない高炉セメントやフライアッシュ等の利用促進が課題である。

A予防保全による長寿命化の推進(維持管理段階)

多くの自治体は事後保全のため、施設の大規模修繕による大量のセメント使用や工期の長期化に伴う建機由来のCO2排出が増大する。そのため、維持管理サイクルの確立による予防保全にて、施設の長寿命化の推進が課題である。

B解体コンクリートの現場内再利用(施工・更新段階)

解体したコンクリート塊の運搬に伴いCO2が排出される。そのため、解体コンクリートの現場内再利用による運搬量の削減が課題である。

2.最も重要と考える課題と解決策

「予防保全による長寿命化の推進」を最も重要な課題として挙げる。

(1)モニタリング技術による変状の早期検知と早期対処

現状の劣化状況を踏まえ観測対象部位やパラメータを設定し、センサによる常時監視にて、外観目視では得られない変状を定量的かつタイムリーに検知する。これにより変状の検知および対策を早期に実施し、施設の大規模修繕を抑止する。

(2)確率論的手法による劣化予測

マルコフ連鎖モデルにより、点検データを用い健全度の推移確率を算出し、確率論的に劣化予測を行う。これにより管理橋梁群の部位や劣化機構毎の補修時期の選定や、中長期的な予算確保による予防保全の遅滞なき執行が可能となる。

3.解決策に共通して生じるリスクと対策

(1)共通リスク

解決策は共に現時点の主たる劣化機構を前提とするため、経済成長や都市化等の不確定要素に起因して自動車交通量等の外部条件が変動すれば、モニタリングや劣化予測で得られる結果の信頼性が低下し、実態に即した予防保全が実施不可となる。

(2)対策

定期点検毎に外観目視等の結果から診断した主たる劣化機構を確認し、モニタリングや劣化予測の妥当性評価を行うとともに、必要に応じ手法を見直す。また維持管理業務において、道路使用状況や気象状況等の外部環境の変化について定期的な調査およびデータの蓄積を行い、施設の維持管理計画や長寿命化修繕計画に反映する。 

 


解説

 

6/16添削 前置き文は極力短くし、リスクを単刀直入にまとめる。

 

 


模範解答2   (完成答案)    添削履歴3    作成日2020/6/29    建設部門  科目:鋼コン    専門事項 コンクリート構造

1.温室効果額削減に向けた課題 

@低排出型セメント材料の利用促進(企画・設計段階)
 世界のCO2排出の5%はセメント製造時に由来しており、普通セメントで760kg-CO2/tのCO2を排出している。一方、高炉セメントB種は480kg-CO2/t、フライアッシュセメントは630kg-CO2/tと製造時のCO2排出量が普通セメントと比較してそれぞれ38%減、18%減と少ない。そのため、これら低排出型セメントの利用促進が課題である。

A予防保全による長寿命化の推進(維持管理段階)
 多くの自治体ではインフラ等の管理施設を事後保全的に維持管理しており、結果的に修繕規模が大きくなる。施設の大規模修繕時には大量のセメント使用や工期の長期化に伴う建機由来のCO2排出が増大するため、予防保全への転換に基づく施設の長寿命化の推進が課題である。

B解体コンクリートの運搬量削減(施工・更新段階)
 コンクリート構造物の新設や更新時において、発生する解体コンクリート塊の処分量に応じ、運搬車両の排気ガスとしてCO2が排出される。そのため、現場内再利用等による解体コンクリート塊の運搬量の削減が課題である。

2.最も重要と考える課題と解決策

「A予防保全による長寿命化の推進」を最も重要な課題として挙げる。

(1)モニタリング活用による変状検知と修繕の早期化

 自然然電位観測による鉄筋発錆有無や、変位観測や加速度から算出する固有周期観測により、ひび割れや鉄筋腐食進展に伴う剛性低下をモニタリングする。観測部位やパラメータは施設の劣化機構や維持管理水準を基に設定し、外観目視では得られないコンクリート構造物の変状を定量的かつ即時的に検知する。これにより補修補強をタイムリーに実施し、施設の健全度低下の抑制および長寿化により大規模修繕を抑止できる。

(2)確率論的手法による劣化予測
 詳細調査結果を基にした中性化の√t則や塩分濃度の拡散方程式等の劣化予測式を用い、既往点検結果の統計分析にて推定した劣化曲線から部材毎に劣化予測を行う。またマルコフ連鎖モデルにより、既往点検結果から健全度ランク間の推移確率を算出し、コンクリート橋等の管理施設群の劣化予測を行う。これにより

管理施設の補修時期の選定や、中長期的な予算確保による予防保全の適宜実施が可能となる。

(3)鋼道路橋RC床版の疲労耐力向上

 鋼道路橋RC床版において、輪荷重の繰返し作用により将来的な疲労発生が懸念される場合は、供用条件に応じ曲げやせん断補強および橋面防水等による計画的な疲労耐力向上を図る。過去の鋼道路橋の損傷起因の架け替えはRC床版の損傷、特に疲労損傷が主要因であるため、本策により疲労損傷の進展を抑止し、架け替えを回避できる。

3.解決策に共通して生じるリスクと対策

(1)共通リスク

 解決策は共通して現時点の主たる劣化機構や供用環境および外力条件等を前提として行う。しかし大型車交通量等の外部条件は、各自治体の企業誘致方針や景気連動する貨物需要、通販需要増加等の消費者ニーズ変化等の影響で今後大きく増加する可能性がある。それにより当初想定した変状部位や劣化機構、劣化速度が変化し、倒壊等の大規模損傷が想定外に生じ、その復旧工事で大量のCO2が発生するリスクがある。

(2)対策

 施設の定期点検毎に外観目視等の結果から診断した主たる劣化機構を確認し、各解決策の妥当性評価や効果検証を行うと共に、必要に応じ手法を見直す。

 また都市開発計画や道路整備計画を踏まえ将来的な交通需要増大の可能性があれば、重交通環境下での劣化機構や劣化速度を仮定した維持管理シナリオを安全側ケースとして設定し、個別施設計画へ反映する。

 更に近年衛星画像のビッグデータを用い、AIにて都市開発や道路利用状況をマクロ評価すると共に今後の車両交通量の予測技術の実用化が進んでいる。これら新技術を用い、車両交通量等の不確定要素を合理的に評価した個別施設計画を策定・運用することで、実態に沿った予防保全にて長寿命化効果を最大化する。

 


<添削コメント>

 

・解決策の提案は答案の中で最も重要であり、内容の充実が必要です。

・解決策はコンクリートの技術応用に特化して、鋼コンの論文にふさわしい内容とするように。

(他分野でも適用できる一般論は極力NG)

・課題、各解決策の内容でのダブリに注意する。(ダブると論理的考察力の欠如として信頼を失います)

・効果やリスクの表現は端的に。

・解決策の実施に伴い直接的に生じるリスクを挙げる。

 解決策を実施する人的能力や実施体制、環境等に起因するなど、副次的に生じるリスクは、回答として不適。

・リスクは、実際に起こり得るものを記載すべきであり、その根拠(妥当性)も示す。

・対策として、従来手法を努力で高めるというのは内容として不十分。ICTの活用等を述べる。また新技術活用を提言する。

・記載内容は抽象的な表現は避け、一般的な技術者が読んで理解できる文章に。


本当案での指導事項のまとめ

 

(1)課題の分析のしかたについて

提案内容は重複しないこと(MECE)。

設問の通り、「企画・設計・施工・維持管理・更新」に区分するとわかりやすい。

前置きを短く、端的に述べる。

文字数バランスに配慮(少なすぎず、多すぎず)

 

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

本問は論文構成の中で非常に重要であり、内容の充実が必要。

解決策はコンクリートに特化し、鋼コンの論文にふさわしい内容とする。(他分野でも適用できる一般論は極力NG)

課題、各解決策の内容のダブリに注意する。(単語の使い方や言い回しの問題)

効果やリスクは端的かつドラスティックに記載し、回りくどい表現を回避するよう。

 

 (3)リスクの導き方、書き方などについて

共通リスクは内容が充実していれば1個のみでも十分(量より質)

リスクは実際に起こり得るものを記載すべきであり、その根拠(妥当性)も示す。

リスクは、人的な能力不足やコスト増等を挙げるより、解決策の特性上カバーしきれないものを挙げる。

対策として、従来手法を努力で高めるというのは内容として不十分。

近年発展しているICTの活用による対策の記述は、新技術の知見として良い。

未だ確立していない未来技術は、技術者倫理の見地から、実効性の期待できるものに限定して述べる。