R1/2019年 衛生工学・建築物環境衛生管理 Ⅱ-1-4

問題文 

Ⅱ-1-4 商業施設が入居するビルについて、フロンによるオゾン層破壊や地球温暖化の影響軽減を可能な限り図る観点から、法規制対象となる機器類を挙げるとともに、その1つについて、導入、運用管理、廃棄の各段階についての対策とその留意点について述べよ。

模範解答1   (簡易答案1)    添削履歴2    作成日2020/5/1    衛生工学部門  建築物環境衛生管理    専門事項 ビル空調

1.規制となる機器

①  業務用空調機器 

 HFC系冷媒は地球温暖化係数が高いため、段階的に規制対象になる。

 CFC、HCFC系冷媒は2020年全廃となる。

②  冷蔵・冷凍冷蔵庫

③  冷凍ショーケース

2.業務用空調機器について対策・留意点

①  導入段階

 自然冷媒等のノンフロン機器採用検討

 吸収式冷凍機、吸着式冷凍機の採用検討

 フロンラベリングを確認し、環境影響度低減達成度の高い機器の採用検討

②  運用管理段階

 機器の異音、配管の損傷の有無を点検

 機器、配管接続部からの油漏れの有無を点検

 熱交換器の霜付状況(熱交換状態)の点検 

③  廃棄段階

  冷媒回収のため廃棄予定の機器は通電状態を確保

  冷媒種類、充填量の確認

  機器廃棄前の冷媒の確実な回収、破壊の確認。

模範解答1   (簡易答案2)    添削履歴2    作成日2020/5/3    衛生工学部門  建築物環境衛生管理    専門事項 ビル空調

1.  法規制となる機器

熱交換効率が良いため、充填量が少なくてすむHFC系冷媒が現在主流であり、多くの空調設備、冷凍設備に使用されている。しかし、地球温暖化係数が高いことで法規制の対象となっている。HFC系冷媒使用設備として、業務用空調機器、冷蔵・冷凍冷蔵庫、冷凍ショーケースの3点が挙げられる。

2.業務用空調機器について対策・留意点

①導入時点

自然冷媒の水を使用した、吸収式・吸着式冷凍機やHFO系のノンフロン冷媒を使用したターボ冷凍機の採用を検討する。HFC系冷媒機器は、フロンラベリングを確認し、環境影響度低減達成度の高いものを採用する。

②運用管理段階

 機器、配管類からの冷媒漏洩を確認する。BEAMSにより日々の機器能力を記録できれば、冷媒漏洩の兆候を早期に発見できる。R32は微燃性があるので、使用量に応じて換気等の措置が必要となるため注意する。

③廃棄段階

冷媒種類、機器充填量の確認は回収作業に必要な情報となる。BIMに機器属性情報を付加して維持管理する事で、廃棄系統、更新履歴の把握が容易となり、廃棄作業による影響が把握できる

模範解答1   (完成答案)    添削履歴1    作成日2020/5/6    衛生工学部門  建築物環境衛生管理    専門事項 ビル空調

1.    法規制となる機器

 商業施設には、食料品売場、コンビニ、飲食店舗等のテナントが数多く存在する。そのため、個別空調の空冷エアコンでのフロン使用が数多く予想される。また、食品や飲料水の冷却目的での、冷凍・冷蔵庫や冷凍ショーケース等がフロン使用機器として挙げられる。

2.    空冷エアコンについての対策・留意点

①       導入時点

自然冷媒の水を使用した、吸収式・吸着式冷凍やHFO系ノンフロン冷媒を使用したターボ冷凍機の使用を検討する。HFC系冷媒機器はフロンラベリングを確認して、環境影響度低減達成度の高いものを採用する。

②       運用管理段階

 機器、配管類からのフロン漏洩がない事を確認する。管理方法として、BEMSを整備して熱源機能力を監視すれば、その低下によってフロン漏洩の兆候を確認できる。また、機器の保護機能である低圧カットは冷媒不足が原因である事が多いため注意する。

③       廃棄段階

回収ボンベはフロン種毎の専用の容器を使用し、過充填防止装置付きのものを使用する。回収作業が一度終了した後も冷媒油に溶け込んだ冷媒が再蒸発する場合があるので、その時は二度引きを実施する。また、ボンベを交換する場合は、回収機内の冷媒をボンベに回収してから行い、冷媒放散を防止する。

解説

(1)問題趣旨に対する考え方、取り組み方などについて

この受講生様も、失算の試験では、回答時間少ないため考える時間が殆ど無かったそうです。その後の答案添削についても、本講座のように何回も、細かく添削、コーチングの機械はなかったようです。講師とマンツーマンで真剣に学ぶと答えが見えてくると思います。

骨子が定まらないと、技術的な話題から遠ざかって、本当の答えではない関連性の薄い解答に発散しがちです。

これでは合格は困難なので、解答の方向性がテーマから外れて発散しないように一貫性をもって考える必要があります。

本講座では、簡易答案形式1と2で骨子から真剣に考えて答案作成しますので、根気よく考える癖がつきます。

個別指導なので、自分の過去の経験や現状の能力から、論旨に合う題材を探して考え、正解を導きます。

解答作成では、なぜその解答に至ったかという論理的プロセス、なぜその技術応用かを表現するように。

と全のことですが、部門科目の技術、ここでは空調技術に的を絞った回答内容とすることです。

 (2) 設問者の意図、勉強の方法

SDGsは近年急激に社会的課題としてクローズアップされてきました。これに対して、空調技術での貢献方法を調べてください。

調べた方法、技術のメリット、デメリットを3点ずつ整理するように。

こうした、リサーチをしてみるとご自身の知識があやふやなところが明らかとなります。

この受講生様も、今回のテーマでは、フロン廃棄段階での対応だとわかりました。

こうした、実際に答案で必要とされることを確認して、そうした知識を勉強していくことです。

この受講生様も、持続可能な生産体系→フロン排出抑制法→フロン廃棄方法に繋がってくると知識が系統的に整理できたようです。

ご自身の業務範囲でそこまで真剣にはフロン対応をしていなかったたため、盲点だったようです。

こうした社会課題を前提に、衛生工学部門で何が必要かと考えると、設問の意図、範囲が分かってきます。

そのような社会的課題を知るためには、専門誌等を読んで学会や業界の動向をつかむようにしてください。

これが本当の技術士の勉強です。(キーワードを暗記することではありません)

R1/2019年 衛生工学・建築物環境衛生管理 Ⅱ-2-1

問題文  Ⅱ-2-1

 近年の都市における都市計画において、交通機能との連係を含めた都市機能の集約化を図る複合用途建物の計画が多数みられる。鉄道ターミナル駅に近接し、周辺に建物高さ約200mの超高層建物が複数存在する立地条件の中、延床面積200,000㎡、地上40階、地下4階、建物高さ190mの複合施設(主な用途の内訳は下表に示す。)の空気調和設備の設計担当責任者として参画することになった。中央供給式の空調熱源システムを採用することを前提とした上で、省エネルギーと災害時の事業継続に配慮した計画に当たり、下記の内容について記述せよ。

(1)     空調熱源システムの計画を行うため、事前に調査及び検討すべき事項とその内容を各3つ

(2)     空調熱源システムの計画を進める手順について、注意すべき事項、工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)     空調熱源システムを1例示し、システム決定を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

模範解答1     (簡易答案1)    添削履歴3    作成日2020/5/13    衛生部門  建築物環境衛生管理    専門事項 ビル空調

(1)事前に調査及び検討すべき事項

①エネルギーソースの多元化検討

②環境特性の調査(周囲への環境負荷、省エネ)

③熱源機器の最高使用圧力の検討(オフィス棟) 

(2)計画進める手順について、注意すべき事項、工夫を要する点

①ガス、電気、CGSを使用した熱源機器の組合せ

②高効率な熱源機器の採用;ターボ冷凍機、冷房排熱回収型空冷HP

③熱交換器にて熱源機器と送水系統を分離。鉛直方向への搬送圧力分散

(3)熱源システム

①熱源機器の選定                

排熱投入型吸収式冷凍機、CGS、ターボ冷凍機、冷温水蓄熱槽

②関係者との調整方法 

施主要望;システムのレジリエンス強化。ランニングコスト低減。機械室メンテナンススペース確保。電気担当者要望;デマンド低減。衛生担当者要望;補給水搬送動力低減。構造担当者要望;機器振動の低減

調整方法;蓄熱槽にてデマンドを低減し、機器能力と振動を低減。

吸収式冷凍機、ターボ冷凍機、CGSを組み合わせにて、複数意見を取り纏める。

下記は負荷計算書の根拠となるデータです。

階数

用途

専有面積

(㎡)

階高

(m)

備考

4〜40階

オフィス

130,000

4.4

貸事務所

3階

電気室、発電機室他

6,000

8.0

 

1〜2階

店舗(物販、飲食)

8,000

5.0

物販70%、飲食30%

地下1階

店舗(飲食)

8,000

5.0

 

地下4〜地下2階

駐車場、熱源機械室等

25,000

7.0

 

模範解答1   (簡易答案2)    添削履歴1    作成日2020/5/20    衛生部門  建築物環境衛生管理    専門事項 ビル空調

(1)事前に調査及び検討すべき事項

 1設備のレジリエンス強化のために、採用すべきエネルギーソースの調査をする。各インフラ途絶時を想定し、熱源が完全停止にならないようなシステムを検討する。2地域の環境特性を調査する。熱源による騒音発生等の環境負荷が発生しないようなシステムを検討する。3熱源機の最高使用圧力を調査する。建物高さ190mである事から、熱源に掛かる水頭圧が機器の仕様を逸脱しないようなシステムを検討する。

(2)計画を進める手順について、注意すべき事項、工夫を要する点

 1エネルギー源は、ガス、電力,CGSとして、その組み合わせにより災害時に選択肢の多い熱源システムを計画する。2熱源機器を高効率化し容量の縮小化を計ると共に、蓄熱槽設置によるピークカットにて機器台数の低減し、騒音等による周囲への環境負荷低減を計る。3オフィス棟の熱源機は、熱交換器で上階送水系統と分離をして圧力の影響を解消する。また、鉛直方向を3段階に系統分けし、搬送動力の効率化と循環ポンプ故障時の送水障害防止をする。

(3)熱源システム

 ①システム(熱源機器;廃熱投入型吸収式冷凍機、CGS、ターボ冷凍機、蓄熱槽)

熱源の自立化を考慮し、CGSと廃熱投入型吸収式冷凍機を採用する。また、省エネの観点からターボ冷凍機による、フリークリングが可能なシステムとする。更に、蓄熱槽設置により機器容量、台数の低減を計る。廃熱投入型吸収式冷凍機 300RT×3台、CGS 1,000Kw×3台、ターボ冷凍機 300RT×3台、蓄熱槽 5,000

 ②関係者との調整

 施主からの要望は、設備のレジリエンス強化、ランニングコスト低減など、空調設備としてはコスト増要因を主張している。それに加えて、電気担当者はディマンド低減要求、衛生担当者は補給水搬送動力低減要求、構造担当者は機器振動伝搬低減要求と、やはりコスト増要因を訴えている。そこで空調担当として、蓄熱槽設置によりディマンド低減をし、機器容量と台数を減らしたことで、振動低減、補給水搬送動力も削減した。また、廃熱投入型吸収式冷凍機採用により、省エネルギーも計れる。以上により関係者の要求に配慮した、かつ環境負荷低減も可能なシステムとできた。

表:主な用途の規模

階数

用途

専有面積

(㎡)

階高

(m)

備考

4〜40階

オフィス

130,000

4.4

貸事務所

3階

電気室、発電機室他

6,000

8.0

 

1〜2階

店舗(物販、飲食)

8,000

5.0

物販70%、飲食30%

地下1階

店舗(飲食)

8,000

5.0

 

地下4〜地下2階

駐車場、熱源機械室等

25,000

7.0

 

模範解答1   (完成答案)    添削履歴1    作成日2020/5/24    衛生部門  建築物環境衛生管理    専門事項 ビル空調 (簡易答案1)

(1)事前に調査及び検討すべき事項

 災害発生時の入居者及び帰宅困難者に対して必要な熱供給継続時間を調査する。インフラ途絶時に熱源完全停止を避けるため、災害に強い中圧ガスを中心として複数のインフラ組合せのシステムを検討する。

 建物入居テナントと物販・飲食の営業時間帯を調査して、屋外機器からの排熱や騒音がクレーム対象とならないような検討をする。熱源機容量と屋外機器の縮小化並びに機器運転時間帯の深夜シフトを検討する。

 施設使用形態毎の平面的、断面的な範囲を調査し、搬送動力が効率化するようなゾーニングをする。また、鉛直方向の水圧が熱源機に対して、1Mpaを超えないように検討する。

(2)計画を進める手順(注意事項、工夫を要する点)

 手順1.エネルギー源は、ガス、電力の両方を採用し、CGSを組み合わせによる事で、災害時に選択肢の多い熱源システムとする。

 手順2. 蓄熱槽設置によるピークカットにて熱源機容量の縮小化並びに運転時間の深夜シフトをする。また、機器台数は複数台とし、部分負荷運転時の台数制御にて屋外機器からの排熱、騒音の低減をする。

 手順3. 物販・飲食系統とオフィス系統の送水系統を分けて、搬送動力の効率化をする。更に、オフィス系統は、鉛直方向に3段階に分離し、搬送動力の効率化と循環ポンプ故障時の送水障害防止をする。熱源機廻りは、冷温水上階送水系統と熱交換器により分離して、水圧による障害を防止する。

(3)熱源システムの例示と関係者との調整

 ①熱源システムの例示

熱源の自立化と省エネのため、ガス焚廃熱投入型吸収式冷凍機とCGSを採用する。電気エネルギーでは、ターボ冷凍機を選定しフリークーリングも実施可能なシステムとする。熱源機器類は、廃熱投入型吸収式冷凍機3台、CGS3台、ターボ冷凍機3台、とする。

②関係者との調整 

関係者;施主は、設備のレジリエンス強化とランニングコスト低減対策などを要求する。ゼネコン電気担当者からは、ディマンド低減対策、衛生担当者からは補給水搬送動力低減対策、構造担当者からは機器振動伝搬対策を求められ、空調設備としてコスト増が必至となる。

空調担当者;蓄熱槽によりディマンドを低減し、機器容量を減らして搬送動力と振動伝搬低減をする。また、廃熱投入型吸収式冷凍機とCGSの採用にて、設備レジリエンス強化とランニングコスト低減して、環境負荷の少ない、イニシャルコストも抑えたシステムにて取り纏める。

解説

(1)課題の分析のしかたについて 

調査、分析にて課題を抽出し、後の問題(解決策、留意点)へと結びつけるように。

具体性をもって課題に焦点を合わせた回答にしてください。

問題文にある出題者の要求に関連するような課題抽出にすることです。

建物用途毎の技術的課題は予め調べておくように。

例年出題されている、BCP、省エネ、環境性等のトピックス的課題は動向を把握しておくように。

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

各種BCP対応策、省エネ手法、環境負荷低減策は予め調べておく。

解決策毎にその方策、考え方をセットにして上記3点について説明できるようにしておいてください。

抽象的な表現は避け、解決策の目標を明確にしてください。

(3) 留意点などの考え方、書き方などについて

一般的な空調設計の留意点として学んでいることを述べると良いでしょう。(ゾーニング等)

(4) 調整の考え方、書き方などについて

それぞれの担当者の意見、主張との相違点を解決する方法を考えると説明しやすいです。

意匠、構造、電気と空調の取り合い点に注目して調整方法を考えるとかがあり得ます。

日頃の業務で行ってきた調整と考えれば、上手く回答できます。

模範解答2   (簡易答案1)    添削履歴4    作成日2020/7/18    衛生部門  建築物環境衛生管理    専門事項 空調・換気

1.事前に調査・検討すべき事項

・熱源エネルギーシステムの検討:主要機器のエネルギー種別・エネルギー使用効率を調査し、熱源エネルギーシステムを検討する。

・蓄熱システムの検討:1日の熱負荷パターンを調査し、蓄熱方式や運転パターンを検討する。

・高層階へ熱搬送方法の検討:配管方式の違いによる必要な揚程を調査し、熱搬送方法を検討する。

2.手順

①熱源エネルギーシステムの設定:省エネや電力のピークカット、災害時のインフラ途絶のリスク低減のため、高効率な電気方式とガス方式のミックスとする。

②蓄熱槽の容量設定:蓄熱した熱量を使いきるため、連通方式の選定、流出入口の位置を工夫する。又、蓄熱運転を優先させるような制御方式を組む。

③熱搬送方式の設定:搬送動力の低減、機器・配管へ掛かる圧力の低減を工夫。

3-1.一例:ターボ冷凍機800RTx3、ガス吸収式冷温水発生器1000RTx5、配管法式:密閉回路方式とし高層、中層、低層とゾーニングの実施、大温度差利用の採用。

3-2調整方法:施主は資産価値向上とコストの圧縮を要望、テナントは管理費や光熱費の低減を要望、建設会社はコストの高騰を訴える。LCC、低炭素化に有利なシステムを提案することにより、ライフサイクルでのコストの圧縮にて施主のコスト低減要求応え、ランニングコストを低減することにより光熱費や管理費の低減を可能とし、施主にコストの了解を理解させることにより建設会社に必要なコストを支払えるように調整。

模範解答2   (簡易答案2)    添削履歴1    作成日2020/7/19    衛生部門  建築物環境衛生管理    専門事項 空調・換気

(1)事前に調査及び検討すべき事項

1)熱源エネルギーシステムの検討:熱源エネルギー源やシステム構成機器の組み合わせが重要である。候補となる機器のエネルギー種別やエネルギー使用効率等を調査し、熱源エネルギーシステムを検討する。

2)蓄熱システムの検討:電力平準化、省エネ、災害時の熱利用となるように、1日の熱負荷のパターンを調査し、蓄熱システムを検討する。

3)高層階への熱搬送方法の検討:高層階へ必要最低限の搬送動力とするため、配管方式の違いによる必要な揚程を調査し、熱搬送方法を計画する。

(2)空調熱源システム計画を進める手順 1)熱源エネルギーシステムの設定:電力のピークカット、災害時のリスク低減のためガスと電気を多重化とする。省エネのため蓄熱運転及びベース運転は電気式とし、負荷追従用にガス式を採用する。

2)蓄熱槽の容量設定:蓄熱した熱を使いきるため、過大な容量を設定せず、ショートサーキットや滞留を起させない連通管方式や流出入口の位置を設定する。又、蓄熱槽の放熱を追従運転より優先した制御を組み込む。

3)熱搬送方式の設定:搬送動力低減や必要最低限な耐圧仕様となるように、ゾーニングや二次側ポンプシステムを設定する。

(3)空調熱源システムの一例と関係者との調整方策

(3)-1.提案する空調熱源システム

熱源機器:電気式ターボ冷凍機800RTx3、ガス吸収式冷温水発生機1000RTx5

配管方式:密閉回路方式。低層・中層・高層のゾーニング。大温度差利用。

(3)-2.業務を効率的に効果的に進める関係者との調整方策

施主は資産価値向上となる要望があると同時に予算上も制約がある。テナントは光熱費が安価である事を求めてくる。建設会社は、予算内を超過すると訴えてくる。そこで提案は、ライフサイクルを全体でのコストや低炭素化に有利な方式を提案する。施主にはイニシャルコストが高くなるが、ライフサイクル全体でコストを有利になるとの事で説得する。テナントに対してはランニングコストが安くなる事で納得させ、建設会社には相応のコストを支払えるように、全体を調整する。

模範解答2   (完成答案)    添削履歴1    作成日2020/7/20    衛生部門  建築物環境衛生管理    専門事項 空調・換気

(1)事前に調査及び検討すべき事項

1)熱源エネルギーシステムの検討

熱源エネルギー源やシステム構成機器の組み合わせが重要である。候補となる機器のエネルギー種別やエネルギー使用効率等を調査し、熱源エネルギーシステムを検討する。

2)蓄熱システムの検討

電力平準化、省エネ、災害時の熱利用が可能なシステムの構築が不可欠である。1日の熱負荷のパターンを調査し、蓄熱システムを検討する。

3)高層階への熱搬送方法の検討

高層階へ搬送動力が大きいため必要最低限の揚程確保に努める必要である。配管方式の違いによる必要な揚程を調査し、熱搬送方法を計画する。

(2)空調熱源システム計画を進める手順

1)熱源エネルギーシステムの設定

電力のピークカット、災害時のリスク低減のためガスと電気を多重化とする。省エネのため蓄熱運転及びベース運転は電気式とし、負荷追従用にガス式を採用する。

2)蓄熱槽の容量設定

蓄熱した熱を使いきることが、省エネやランニングコスト低減に繋がる。過大な容量を設定せず、ショートサーキットや滞留を起させない連通管方式や流出入口の位置を設定する。又、蓄熱槽の放熱を追従運転より優先した制御を組み込む。

3)熱搬送方式の設定

搬送動力低減や必要最低限な耐圧仕様となるように、ゾーニングや二次側ポンプシステムを設定する。

(3)空調熱源システムの一例と関係者との調整方策

(3)-1.提案する空調熱源システム

熱源機器:電気式ターボ冷凍機800RTx3、ガス吸収式冷温水発生機1000RTx5

配管方式:密閉回路方式。低層・中層・高層のゾーニング。大温度差送水利用。

(3)-2.関係者との調整方策

 施主は資産価値向上を求め、同時に予算上の制約もある。テナントは光熱費が安価である事を求めてくる。建設会社は、要望をかなえると予算を超過すると訴えてくる。

そこで提案は、ライフサイクルを全体でコストや低炭素化に有利な方式を提案する。蓄熱槽設置により割安な深夜電力を活用しランニングコストを低減する。高効率なターボ冷凍機により省エネと低炭素化を図る。

施主にはイニシャルコストが高くなるが、ライフサイクル全体でコストを有利になるとの事で説得する。テナントに対してはランニングコストが安くなる事で納得させ、建設会社には相応のコストを支払えるようにして、関係者を取りまとめる。

R1/2019年 衛生工学・建築物環境衛生管理 Ⅱ-1-1

問題文  Ⅱ-1-1 地域冷暖房の導入効果について、省エネルギーの観点から、供給側の効果を3項目挙げ説明せよ。また、需要側が冷水・温水の受け入れに際して、熱交換器を介さずに直接受入方式とする場合のシステム上の留意点を述べよ。ただし、水質管理に関する事項を除くものとする

模範解答1     (簡易答案1)    添削履歴0    作成日2020/6/8    衛生部門  建築物環境衛生管理    専門事項 冷暖房・換気

1.供給側の効果

1)エネルギー使用効率の向上

  時間差により、各建物の個別熱源の必要とするエネえルギー使用量が不要。

  熱源の大型化・集中化によりエネルギー使用効率の向上。

2)情報共有によるエネルギーの最適化

  地域全体のエネルギーを総括管理する事で、省エネを図る。

  EMSでエネルギーの使用状況を予測して、地域全体のエネルギーが最小になるように発信。1)と2)で個別建物の熱源により10%の省エネが可能。

3)個人の利用が難しい、河川水熱・海水熱・下水熱・地中熱等が利用可能。

さらに10%の省エネが期待できる

2.直接受け入れ方式のシステム上の留意点

1)供給温度

  需要家側では、設置される機器が、供給される冷水・温水・蒸気の温度と適合させる。供給側は、受け入れ制御盤の情報により使用熱量を演算して温度管理

2)使用圧力

  供給側は、地域の末端の建物の差圧を考慮し圧力制御。供給側は、減圧弁、ブースタポンプを設置。

R1/2019年 衛生工学・建築物環境衛生管理 Ⅲ-1

問題文  Ⅲ-1

 ZEBとは1次エネルギー換算でバウンダリー(敷地境界あるいは建築面積)における1年間のエネルギー消費量と再生可能エネルギー生産量が正味でバランスする建物(net Zero Energy Building)である。ZEBの定義と実現可能性については、グローバルな視点から見ると様々な議論が存在する。これらを考慮した上で、次の設問に答えよ。

(1)技術者としての立場で多面的な観点から、新築・改修計画及び運用段階を問わず、ZEBの実現における課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち、最も重要と考えられる課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対応について述べよ。

模範解答1   (簡易答案1)    添削履歴8    作成日2020/6/10    衛生部門  建築物環境衛生管理    専門事項 ビル空調

1)ZEBの実現における課題抽出と分析 

①ビルのBCP対策の一環としてのZEB技術の活用

・太陽光発電、地熱利用HP等の省エネ技術⇒BCP対策、自立型エネルギー

・外気冷房、フリークーリング等のパッシブ空調⇒緊急時の冷房技術

②快適性による生産性向上を指向したZEB技術の普及

・個別快適性を高め、生産性を向上させる省エネルギー手法の採用。

・個別生産性を向上させることで人件費低減をし、ZEB普及を計る。

③冷房・換気・照明の省エネを重点としたZEB技術の普及

・今後成長の見込めるアジア市場でのZEB活用

・亜熱帯、低緯度地域に対応した冷房技術開発

2)最重要課題(快適性による生産性向上を指向したZEB技術の普及)

①タスク・アンビエント空調でのZEB技術普及

無駄なエネルギーの削減。

居住域に限定した空調をし、非居住域の室温設定を緩和して省エネルギーを計る。

②パッシブ空調でのZEB技術普及

自然エネルギーを利用し、必要エネルギー量を削減。

自然換気(クールチューブ、ナイトパージ)、外気冷房での省エネルギーを計る。

③放射熱空調でのZEB技術普及

高効率空調でエネルギーを有効に使用。

放射熱効果により居住者体感を調整し、室温設定を緩和して省エネルギーを計る。

3)新たに生じうるリスクとそれへの対応

リスク;省エネルギー技術が進行し、太陽光発電等の自然エネルギー由来の熱・電力が余剰になる。

対応;蓄熱槽、蓄電池への熱・電力貯蔵

ZEB定義見直し;再生可能エネルギーのオフサイトの発電、余剰電力の売

電、スマートグリッド構築による再生可能エネルギーの地域利用等を取込

模範解答1   (簡易答案2)    添削履歴4    作成日2020/6/20    衛生部門  建築物環境衛生管理    専門事項 ビル空調

(1)ZEB実現における課題の抽出と分析 

①ビルのBCP対策の一環としてのZEB技術の活用 

 BCP対策はビルの付加価値向上には欠かせない要素として認知されている。ZEBの創エネ技術である太陽光発電、地熱利用HP等は自立型熱源としてBCP対策としても役立つ。ZEB技術をBCP対策の一部として取込んで普及を図っていく。 

②快適性による生産性向上を指向したZEB技術の普及 

 ZEB技術は、個別快適性を高めて生産性を向上させる事が可能な省エネルギー手法である。オフィスワーカーの生産性向上が施主へのインセンティブとなり、その普及にも貢献する。  

③冷房・換気・照明の省エネを重視したZEB技術の普及 

 冷房を中心としたZEB技術を今後成長の見込めるアジア市場へと展開する。暖房を中心とした欧米のZEBと対抗して、亜熱帯、低緯度地域への冷房技術の開発をする。 

(2)最重要課題(快適性による生産性向上を指向したZEB技術の普及) 

①タスク・アンビエント空調方式にZEBを応用して省エネルギーを図る。

居住域の温湿度環境を改善して個別要求を満足させ、非居住域の空調を緩和する。また、ZEBの機能である高効率空調により、一次エネルギーの有効利用と快適性を両立させるシステムとする。

ZEBの基本的機能でパッシブな自然エネルギー空調をする。         

 ZEBの省エネルギー要素である、パッシブな自然エネルギーを活用した空調負荷の低減をする。ナイトパージ、クールチューブにて熱負荷削減をし、外気冷房にて省エネルギーを図る。また、外皮断熱性を向上させ外乱要素を低減して、負荷変動の少ない温湿度環境を保ち、快適性を向上させる。

③再生可能エネルギーをZEBで活用し無駄なく一次エネルギー消費量を低減する。

 ZEBの汎用的省エネルギー要素である太陽光発電パネルや地中熱HPにより、創エネルギー量を増やす。再生可能エネルギー活用にて一次エネルギー消費量当たりの生産性を向上させる。

(3)新たに生じうるリスクとそれへの対応

 省エネルギー技術と太陽光発電等の創エネルギー技術が進行していけば、ZEB達成が比較的容易な中小規模建物の発電量が余剰するようになる。電力固定買取制度が終了し、そのようなビルが多くなれば売電価格が下がってしまい、施主の経済的損失が発生するリスクがある。

 解決策として、ZEB定義の見直しを行い、余剰電力処分方法を電力会社への売電以外の方法も認める。中小規模、大規模ビル、家庭間での直接取引にて、売電単価を現状電力に見合ったものとすれば、余剰問題は解決する。

模範解答1   (完成答案)    添削履歴2    作成日2020/6/25    衛生部門  建築物環境衛生管理    専門事項 ビル空調 

(1)ZEB実現における課題の抽出と分析

①ビルのBCP対策の一環としてのZEB技術活用

BCP対策はビルの付加価値向上のためには欠かせない要素として認知されている。そして、ZEBの創エネルギー技術である太陽光発電、地中熱HPは自立型熱源としてBCP対策としても役立つ。ZEBにてエネルギーセキュリティー向上させ、BCP対策の一部として取り込んで、活用していく。

②快適性による生産性向上を指向したZEB技術普及

 ZEB技術は、個別快適性を高めて生産性を向上させることが可能な省エネルギー手法である。非均質的空調、個別対応的空調手法にて快適性を重視した健全な省エネルギー空調をすると共に、創エネルギーにより一次エネルギー消費量を低減する。オフィスワーカーの生産性向上とランニングコスト低減にて施主のインセンティブを高め、ZEBの普及をしていく。

③冷房・換気・照明での省エネ重視のZEB技術開発

 我国は高温多湿地域が多く、潜顕熱分離空調等の除湿技術発展には適した風土がある。冷房除湿空調を中心としたZEB技術を今後成長の見込めるアジア市場へと展開し、普及をしていく。暖房を中心とした欧米のZEBに対抗して、亜熱帯、低緯度地域への冷房、換気、照明を中心としたZEB技術の輸出をして、世界貢献を目指していく。

(2)生産性向上によるZEB技術の普及の解決策

①タスク・アンビエント空調をZEBに応用する。  

 タスク域の温湿度環境を改善して個別要求を満足させアンビエント域の空調を緩和させて省エネを図る。温度設定を高めに設定しても快適性は維持できるため熱源機の運転効率の向上となり、省エネルギーに繋がる。また、ZEBの機能である高効率空調にて一次エネルギーの有効利用と快適性を両立させるシステムを構築して、オフィスワーカーの生産性を向上させる。

②ZEBの基本機能で自然エネルギー空調をする。

 ZEBの省エネルギー要素である、自然通風を活用して空調負荷の低減をする。ナイトパージ、クールチューブにて熱負荷削減をし、外気冷房にて省エネルギーを図る。また、外皮断熱性を向上させ外乱要素を低減して、負荷変動の少ない温湿度環境を保ち、快適性を向上させる。

③再生可能エネルギーをZEBで活用する。

 ZEBの汎用的省エネルギー要素である太陽光発電パネルや地中熱HPにより、創エネルギー量を増やすことで無駄なく一次エネルギー消費量を削減する。再生可能エネルギーの利用技術は年々進歩しているためZEBの目的である創エネルギー産業を発展させて、一次エネルギー消費量当たりの生産性を向上させる。

(3)新たに生じうるリスクとそれへの対応

①新たに生じうるリスク

 様々な省エネルギー技術が開発され、太陽光発電パネルの効率向上など創エネルギー技術が進歩していけば、ZEB達成が比較的容易な家庭住戸、中小規模ビルの発電量が余剰するようになる。電力固定買取制度にて再生可能エネルギー設備を導入した建物が多く存在するが、制度期間が終了すれば、余剰電力量が過剰となり売電価格が低下して、施主の経済的損失が発生する事が予想される。

②リスクへの対応

 解決策として、ZEBの定義の見直しを行い、余剰電力処分方法を変更し、電力会社へ売電する以外の取引も行えるような制度を導入する。

電力会社を含めた発電主体に対し、発電量に見合った再生可能エネルギー供給枠を決める。そして、再生可能エネルギー発電量が余剰した住戸、ビルの電力を市場にて売買できるようにする。

 またこの考えをさらに推し進めて、民間企業が仲介してユーザー間での直接電力取引を推進する。そうすることで、再生可能エネルギー電力を商品化する。更に蓄電設備をそれぞれの住戸、ビルに設置してAI機能を搭載させることで、自動的に電力の過不足を調整するシステムとする。余剰分電力はまとめて売電する。

 再生可能エネルギー電力を電力会社、家庭住戸、中小規模ビル、大規模ビルの間にて市場取引できる制度にて、余剰問題は解決する。

解説

(1)課題の分析のしかたについて

ZEBの概念、目的、意義の理解が浅いと難問となります。こうした問題では十分下調べをするようにしてください。

ZEBについて今後提案すべきことの1つは、「日本の風土をふまえた技術」です。

ヨーロッパで開発されたこの指標は、暖房が中心です。一方日本は亜熱帯に位置しますので、冷房中心にならざるを得ません。

この問題文に書かれていた「グローバルな視点」とは、そのようなことを意味していたのです。

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

ZEBについて、定義だけでなく、使い方を深く知ることです。

ZEBとは概念的なものであり、固有の省エネ技術に限らず、省エネ技術と再生可能エネ利用技術の組合せをいうものです。

とはいってもZEBの内容から離れて省エネを論じても仕方ありません。解決策の項ではひたすら省エネの提案になりがちですかが、しかしそれでは答案になりませんので、解答のそれぞれにおいて「ZEB」の意味を分析して課題を述べるようにとしてどうしております。

(3)リスクの導き方、書き方などについて

再生可能エネを導入した場合にどんな問題が生じるか、先入観なしに分析する必要があります。

この受講生様も、当初頭の中で想像されていたのは大規模案件での問題だったそうです。

しかし、最終的にはエネルギーが余剰することに思い至ったそうです。

実際に調べてみると、既にこのようなリスクが現実化してきているような記事も確認されています。

リスクについて考えるときは、制限を設けずに広く見渡すことです。このZEBのリスクも対象を中小規模、家庭住戸まで広げて判明しました。ZEBなんて一般的に良いことばかりと考えられがちですが、しかし、再生可能エネが行き過ぎた場合には弊害が発生することがあるのです。リスクを探すときには先入観は禁物だということです。

そして、解決策の最終的な仕上げ段階でいつも申し上げるのは「市場原理を変革するような提案は高度なコンピテンシーとして認められる」とということです。専門家たるものは、ただ仕事をこなすだけでなく、何についても変革を提案しなければなりません。このZEBの問題はそのような継続研鑽をしているかが問われたものだと考えます。

同時に回答内容が空調技術からは発散したり、外れないように注意してください。

模範解答2   (簡易答案1)    添削履歴5    作成日2020/8/14    衛生部門  建築物環境衛生管理    専門事項 換気・空調 

1.ZEBの実現における課題:50%以上の省エネ+再エネを加えて100%目指

1)負荷削減:空調に起因するエネルギーは全体の約60%、照明に起因するエネルギーは約30%あるので、これらの負荷を削減が効果的。自然換気や昼光利用が容易な平面計画。高性能断熱材、高性能断熱材の利用等、建築設計と横断的な対策を実施

2)設備システムの高効率化:エネルギー削減を大きくするには、室内使用条件に応じた温湿度条件の設定や、高効率なヒートポンプ利用、空調エネルギー約30%を占める搬送動力の低減が必要。

3)再生可能エネルギーの有効利用:定義での敷地内での再エネを活用。一般的に普及している太陽光発電を太陽熱、地中熱を利用。熱源機を排熱も放出するので排熱も利用する。エネルギーの自立化によりBCP性能の向上も図る。

.設備システムの高効率化の解決策

1)タスク&アンビエント空調:アンビエント空調に放射空調とデジカント外調機を利用する。タスク空調天井面にパーソナルファン設置し体感温度を1℃低減。放射空調の熱源は地中熱と太陽熱を利用。デジカント空調機の吸収材の再生用の熱源には太陽熱を利用。外調機は、CO2制御を採用。エネルギー削減効果は約60%期待。

2)ヒートポンプ空調機の高度利用:外気処理用に直膨型全熱交換器、内部負荷処理用に天井隠蔽型空調機を採用。外調機と内部処理空調機を協調させ、負荷が少ない時は内部処理空調機を停止する。空調機の蒸発温度・凝集温度は、外気温度、設定温と測定値の差分、膨張弁の開度情報により自動的に変化させる。外調機にはCO2制御を採用。従来方式よりエネルギー削減効果は60%期待。

3.新たに生じうるリスクと対応策

1)システムが複雑し性能が発揮しないリスク

システムが複雑化することで、試運転調整がうまくできず、設計上でエネルギー削減効果があっても、運用上で想定したほどランニングコスト低減しないリスクが考えられる。

2)対策:高度な空調システムの調整や試験の方法が確立していない事が原因。試運転調整のマニュアルや機能性能試験の標準仕様を整備。又、チューニングや計測ポイントが容易なように、センサーの無線化技術を向上。

模範解答3  (簡易答案1)    添削履歴6    作成日2020/8/14    衛生部門  建築物環境衛生管理    専門事項 換気・空調 

1.ZEBの実現における課題:

1)設計段階でのエネルギー削減:建築での平面計画、断熱性向上、日射遮蔽により負荷削減。自然換気や昼光利用による自然エネルギーの採用、未利用エネルギーの採用や高性能システム採用により大幅の省エネ。太陽光の再生可能エネルギーを利用しエネルギー収支“0”を実現。

2)運用段階でのエネルギー削減:BEMSによりエネルギー消費性能をより把握し、フォールトを発見し改善点を抽出。そして必要により計測ポイントを追加。そしてチューニングにより設定値や運転時間を改善する。又、自然換気の優先利用等、使用者の協力も図る。

3)ZEBの定義の定期的な見直し:我が国は50%以上の省エネと敷地内の再生可能エネルギーを利用によることが定義。しかしハードルが高ければ、実現の意欲が減速。敷地外の再生可能エネルギーを加えるなど定義を定期的に見直す。

2.設計段階でのエネルギー削減の解決策

1)空調でのエネルギー削減:建物の約60%を占める空調エネルギーを削減する。 高性能断熱材利用+エネフローウィンドの採用。自然換気利用や、輻射システム+デジカント空調機+パーソナル吹き出し口を組み合わせて、タスク&アンビエント空調の採用。期待効果は最大60%の省エネ。

2)照明電力の削減:建物の約30%を占める照明電力を削減する。照明:昼光利用+自動調光+自動角度調整ブラインドを組み合わせる。期待効果は最大80%省エネ。

3)外壁面の太陽光パネル設置:3000㎡・10階建ての建物で、外壁面の1/4太陽光パネルを設置すると、単位面積あたりの原単位の寄与率が屋根面設置より約3倍の効果を発揮。

3.新たに生じうるリスクと対応策

1)中間期の再生可能エネルギーが余剰となり無駄になるリスク:ZEBが普及により、エネルギー消費が少ない中間期かつ好天時に創出したエネルギーが系統に接続できなくなるリスクが考えられる。

2)対策:建物内では、蓄熱システムやEVの蓄電効果を利用する等の蓄電池システムを設置。広範囲の対策では、系統に接続できる容量の見直し。将来的には大規模蓄電池システムや余剰電力、水素による変換により対応する。

(1)ZEB実現における課題の抽出と分析

①ビルのBCP対策の一環としてのZEB技術の活用

 BCP対策はビルの付加価値向上には欠かせない要素として認知されている。ZEBの創エネ技術である太陽光発電、地熱利用HP等は自立型熱源としてBCP対策としても役立つ。ZEB技術をBCP対策の一部として取込んで普及を図っていく。

②快適性による生産性向上を指向したZEB技術の普及

 ZEB技術は、個別快適性を高めて生産性を向上させる事が可能な省エネルギー手法である。オフィスワーカーの生産性向上が施主へのインセンティブとなり、その普及にも貢献する。 

③冷房・換気・照明の省エネを重視したZEB技術の普及

 冷房を中心としたZEB技術を今後成長の見込めるアジア市場へと展開する。暖房を中心とした欧米のZEBと対抗して、亜熱帯、低緯度地域への冷房技術の開発をする。

(2)最重要課題(快適性による生産性向上を指向したZEB技術の普及)

①タスク・アンビエント空調方式にZEBを応用して省エネルギーを図る。

居住域の温湿度環境を改善して個別要求を満足させ、非居住域の空調を緩和する。また、ZEBの機能である高効率空調により、一次エネルギーの有効利用と快適性を両立させるシステムとする。

ZEBの基本的機能でパッシブな自然エネルギー空調をする。         

 ZEBの省エネルギー要素である、パッシブな自然エネルギーを活用した空調負荷の低減をする。ナイトパージ、クールチューブにて熱負荷削減をし、外気冷房にて省エネルギーを図る。また、外皮断熱性を向上させ外乱要素を低減して、負荷変動の少ない温湿度環境を保ち、快適性を向上させる。

③再生可能エネルギーをZEBで活用し無駄なく一次エネルギー消費量を低減する。

 ZEBの汎用的省エネルギー要素である太陽光発電パネルや地中熱HPにより、創エネルギー量を増やす。再生可能エネルギー活用にて一次エネルギー消費量当たりの生産性を向上させる。

(3)新たに生じうるリスクとそれへの対応

 省エネルギー技術と太陽光発電等の創エネルギー技術が進行していけば、ZEB達成が比較的容易な中小規模建物の発電量が余剰するようになる。電力固定買取制度が終了し、そのようなビルが多くなれば売電価格が下がってしまい、施主の経済的損失が発生するリスクがある。

 解決策として、ZEB定義の見直しを行い、余剰電力処分方法を電力会社への売電以外の方法も認める。中小規模、大規模ビル、家庭間での直接取引にて、売電単価を現状電力に見合ったものとすれば、余剰問題は解決する。

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