H29年 建設・施工 Ⅱ−1−4 問題 模範解答と解説
問題文
Ⅱ−1−4 コンクリートに要求される基本的品質を4つ挙げ、そのうちの2つについて、基本的品質を確保するために留意すべき事項を概説せよ。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 専門事項 施工計画・施工管理
1.コンクリートに要求される4つの基本的品質
コンクリートに要求される基本的品質としては、①強度、②ワーカビリティー、③水密性、④耐久性などがある。①と④について概説する。
2.強度確保のために留意すべき事項
1)密実なコンクリートの打設と水和反応の促進
強度確保は、打設時の緻密な水和組織の形成と湿潤養生が重要な要件となる。施工時の留意事項を述べる。
(1)内部振動機やタンピングによる適切な締固めでコンクリート中のエントラップトエアや余剰水を確実に排出し、空隙を減らす。
(2)打込み後は水和反応促進のため、コンクリート表面の水分の散逸を防ぎ湿順状態を維持する。湿潤養生はできるだけ長い期間行う。
3,水密性確保のために留意すべき事項
1)コンクリート表面の不連続面発生抑制
コンクリート構造物表面の緻密な表面組織の形成が水密性確保の重要な要件となる。水密性低下につながるひび割れや継目等の不連続面の発生を抑制する。施工時は以下に留意する。
(1)打重ね許容時間を1.5時間程度、1層の厚さを50cm程度で計画し、打重ね時は下層のコンクリートと一体化させ、コールドジョイントを防ぐ。
(2)断面の小さい部材や傾斜型枠部はゆっくりと打上げ、内部振動機による適切な締固めを行う。あばたの原因となるコンクリート中のエントラップトエアや余剰水を確実に排出する。
模範解答2 (簡易答案形式1) 添削履歴 3回 専門事項 施工計画・施工管理
1.コンクリートに要求される基本的性質
耐久性、施工性、水密性、ひび割れ抵抗性
2.「耐久性」を確保するために留意すべき事項
①凍害対策としてAE剤により微小な気泡を導入する
②ASRによる骨材膨張を抑制するため、アルカリ総量を抑制する
③強度を高めるため養生は湿潤養生期間を可能な限り長くし、温度5℃以上を保つ
3.「施工性」を確保するために留意すべき事項
①流動性を高めるため減水剤等を使用する
②水和反応により徐々に硬化するため、運搬時間を可能な限り短くする
③流動性を高めると材料分離しやすくなるため、打設高さを低くし締固めを十分に行う
模範解答2 (簡易答案形式2) 添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理
1.コンクリートに要求される基本的性質
コンクリートに要求される基本的性質として、耐久性、流動性、水密性、ひび割れ抵抗性が挙げられる。
2.耐久性を確保するために留意すべき事項
①凍害対策
水分凍結に伴う膨張圧による劣化を抑制するためAE剤等により微細な気泡を導入し凍結時の移動水分の逃げ道を確保する。
②ASR対策
アルカリ成分が骨材と反応して膨張しコンクリートを損傷させるのを抑制するため、アルカリ総量を3.0kg/m3以下に規制する。
③養生
水分が不足すると水和反応が十分に得られなくなるため湿潤養生期間を可能な限り長くとり、凍結防止のため温度を5℃以上に保つ。
3.流動性を確保するために留意すべき事項
①配合
AE減水剤等を配合し、セメント粒子分散効果や連行空気のボールベアリング効果により流動性を高める。
②運搬時間
コンクリートは水和反応により徐々に硬化していくため運搬時間を可能な限り短くする。
③温度
温度が高いと水和反応が促進され流動性が低くなるため夏期(25℃以上)は練混ぜ水や骨材の冷却等を行う。
模範解答2 (答案形式) 添削履歴 1回 専門事項 施工計画・施工管理
1.コンクリートに要求される基本的性質
コンクリートに要求される基本的性質として、耐久性、流動性、水密性、ひび割れ抵抗性が挙げられる。
2.耐久性を確保するために留意すべき事項
1)凍害対策
凍結膨張による劣化抑制のため、AE剤等により微細な気泡を導入し凍結水分の逃げ道を確保する。
2)アルカリ骨材反応(ASR)対策
アルカリ成分が骨材と反応して膨張しコンクリートを損傷させるのを抑制するため、アルカリ総量を3.0kg/m3以下に規制する。
3)養生
コンクリート中の水分が不足すると水和反応が十分に得られなくなるため、湿潤養生期間を可能な限り長くとり、凍結防止のため温度を5℃以上に保つ。
3.流動性を確保するために留意すべき事項
1)配合
AE減水剤等を配合し、セメント粒子分散効果や連行空気のボールベアリング効果により流動性を高める。
2)運搬時間
コンクリートは水和反応により徐々に硬化していくため、運搬時間を可能な限り短くする。
3)温度
水和反応が促進され流動性が低くなるため、夏期(25℃以上)は練混ぜ水や骨材の冷却等を行う。
模範解答3 (簡易答案形式2) 添削履歴 1回 専門事項 建設生産システム
(1) コンクリートに要求される基本的品質
①ワーカビリティー 、②強度、③耐久性、④水密性
(2) 基本的品質を確保するために留意すべき事項
①ワーカビリティー
密実なコンクリートの打ち込みには、作業に適したワーカビリティーが重要である。以下に留意点を挙げる。
・出荷時のスランプ設定:練り混ぜから打ち終わりまでの時間や運搬条件によるスランプロスを考慮する。
・粗骨材の寸法設定:鉄筋の組み上りの鉄筋過密状況や鉄筋間のあき寸法不足による充填不良を考慮する。
・混和剤の選定:気候や気温の影響による凝結特性を考慮する。条件により打ち込み時の養生を計画する。
②強度
構築物の機能や性能の確保には、設計強度の発現が必須である。以下に留意点を挙げる。
・配合や打ち込み計画:コンクリート硬化時の水和反応による発熱を低減させ、温度ひび割れの発生を防ぐ。
・保温養生や湿潤養生:コンクリートの打ち込み後の低温や乾燥を制御し、凍害や乾燥ひび割れを防ぐ。
・型枠支保工存置期間の管理:コンクリートの強度発現まで、有害な作用を受けないように保護する。
模範解答4 (簡易答案形式1) 添削履歴 8回 専門事項 施工計画
1.コンクリートに要求される品質
①スランプ・・・柔らかさの程度を表した値
②空気量・・・ワーカビリティの改善、耐凍害性を向上させる。
③塩化物量・・・コンクリート中の鉄筋の腐食の防止。
④圧縮強度・・・圧縮力を受けて破壊する時の強さを応力度で表した値。
2.品質を確保する為の留意事項
①スランプ:スランプとは柔らなさの値であり、流動性を示す。スランプロスの原因には、高い気温、運搬時間の長さ等がある。スランプを確保する為に、AE剤、AE減水剤の界面活性剤の気泡力によって、微細な空気泡を連行させベアリングの様な役目を果たし、流動性の良いコンクリートとなる。
②圧縮強度:
(1)水セメント比の設定
単位水量が多いと伸縮ひび割れが、セメント量が多いと温度ひび割れが発生
水密性をもとに水セメント比を、一般の場合55%以下、ダムの場合60%以下に設定する。
(2)養生:強度発現まで湿潤養生を保つことが重要。
模範解答4 (簡易答案形式2) 添削履歴 3回 専門事項 施工計画
1.コンクリートに要求される品質
①スランプ・・・コンクリートの柔らかさの程度を表す値。
②空気量・・・ワーカビリティの改善、耐凍害性を向上させる。
③塩化物量・・・コンクリート中の鉄筋の腐食の防止。
④圧縮強度・・・圧縮力を受けて破壊する時の強さを応力度で表した値。
2.品質を確保する為の留意事項
①スランプの品質確保の為には
スランプロスの原因に、高い気温、運搬時間の長さがある。
外気温25℃以上の時は、コンクリート練混ぜから打込み終了までの時間を90分以内とし、遅延型の高性能AE減水剤を併用により凝結時間を調整し流動性を改善する。
②圧縮強度を確保する為には
(1)水セメント比の設定
単位水量が多いと伸縮ひび割れが、セメント量が多いと温度ひび割れが発生する。
水密性をもとに水セメント比を、一般の場合55%以下、ダムの場合60%以下に設定する。
(2)コンクリート養生
打込み後一定期間を硬化に必要な温度及び湿度に保ち、有害な作用の影響を受けない様に、湿潤状態の保持し、夏期の場合は、散水養生等、冬期の場合は、保温断熱養生等を実施する。
模範解答4 (答案形式) 添削履歴 4回 専門事項 施工計画
1.コンクリートに要求される品質
①スランプ(コンクリートの柔らかさの程度を示す値)②空気量(ワーカビリティーの改善、耐凍害性を向上させる。③塩化物量(コンクリート中の鉄筋の腐食の防止)④圧縮強度(圧縮力を受けて破壊する時の強さを応力度で表した値)
2.品質を確保するために
①スランプの流動性確保
スランプロスの原因は、高い気温と運搬時間によって凝結が促進されるからである。流動性を保つには、コンクリート練り混ぜから打ち込み終了までの時間を90分以内にする。運搬時間は1時間以内にする。
さらに、遅延型の高性能AE減水剤を併用する事により、凝結時間を調整し流動性を改善する。
②圧縮強度の水セメント比の設定
水セメント比を小さく設定すると、水密性等が高くなり、耐久性を高められる。水密性をもとに水セメント比を定める場合、鉄筋コンクリートで55%以下、無筋コンクリートで60%以下とする。
また、コンクリート養生を行う。打ち込み後、一定期間硬化に必要な温度及び湿度に保ち、急激な温度変化等を受けないように湿潤状態を保持する。
夏期の場合は、コンクリートの水和を進めるため散水養生等、冬期の場合は、コンクリートの硬化を早める為、保温断熱養生等を実施する。
模範解答5 (答案形式) 添削履歴 4回 2018/04/30 専門事項 施工計画
1.コンクリートに要求される品質
①スランプ(コンクリートの柔らかさの程度を示す値)②空気量(ワーカビリティーの改善、耐凍害性を向上させる。③塩化物量(コンクリート中の鉄筋の腐食の防止)④圧縮強度(圧縮力を受けて破壊する時の強さを応力度で表した値)
2.品質を確保するために
①スランプの流動性確保
スランプロスの原因は、高い気温と運搬時間によって凝結が促進されるからである。流動性を保つには、コンクリート練り混ぜから打ち込み終了までの時間を90分以内にする。運搬時間は1時間以内にする。
さらに、遅延型の高性能AE減水剤を併用する事により、凝結時間を調整し流動性を改善する。
②圧縮強度の水セメント比の設定
水セメント比を小さく設定すると、水密性等が高くなり、耐久性を高められる。水密性をもとに水セメント比を定める場合、鉄筋コンクリートで55%以下、無筋コンクリートで60%以下とする。
また、コンクリート養生を行う。打ち込み後、一定期間硬化に必要な温度及び湿度に保ち、急激な温度変化等を受けないように湿潤状態を保持する。
夏期の場合は、コンクリートの水和を進めるため散水養生等、冬期の場合は、コンクリートの硬化を早める為、保温断熱養生等を実施する。