H29年 建設・河川Ⅱ-1-2 問題 模範解答と解説
Ⅱ−1−2 ダム貯水池の堆砂について、ダム下流への土砂の還元が可能な対策を計画する際の留意点を述べよ。
また、ダム下流河川への土砂の還元が可能な対策の事例を2つ挙げ、それぞれについて特徴と留意点を述べよ。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 4回 完成日 2018/5/12 専門事項 施工計画・施工管理
1.ダム貯水容量の確保と下流河床の低下を防ぐダム排砂対策
1)貯水池に堆砂させないため、ダムの放流水とともに土砂を下流河川へ排砂
2)貯水池の堆砂を防ぐため、上流に貯砂ダムを設け貯水池内の土砂流入を抑制
2.ダム下流への土砂還元が可能な対策事例
1)スルーシング対策
① 堤体低部に排水設備を設け、貯水池の放流水により土砂を下流河道へ排砂
② 貯水池の水を放流することで貯水位が低下するため、下流の利水時期を把握した排砂計画を策定
2)吸引排除対策
① 水位差を利用したサイフォンの原理でダム下流河川へ流下
② 固定された菅では均一に排砂されないため、菅の吸引部を台船で移動させ排砂する
模範解答1 (簡易答案形式2) 添削履歴 5回 完成日 2018/2/10 専門事項 施工計画・施工管理
1.ダム貯水容量の確保と下流河床の低下を防ぐダム排砂対策
1)貯水池の堆砂を防ぐため、上流に貯砂ダムを設け貯水池内の土砂流入を抑制
2)貯水池に堆砂させないため、ダムの放流水とともに土砂を下流河川へ排砂
2.ダム下流への土砂還元が可能な対策事例
1)スルーシング対策
① 堤体低部に排水設備を設け、貯水池の放流水により土砂を下流河道へ排砂
貯水池に流入した土砂を掃流力によりゲートから下流河道へ排砂する
② ゲートからの排砂が滞らないよう、水位を下げ流速を高めることで掃流力を助長させる
貯水池の水位が高いと流速が低下し土砂が停滞するため、下流河道に近い水位まで低下させ
ることで流速を高くなり土砂移動が向上する。
2)吸引排除対策
① 水位差を利用したサイフォンの原理でダム下流河川へ流下
排砂管内に水流を発生させ、排砂管下部の吸砂口から土砂を吸引し下流へ排砂する。
② 堆砂中に塵芥があると吸引力が低下するため、吸引管に攪拌機を設置し排砂をする。
吸引管の先端に攪拌機を設置し、塵芥が混入する堆積土砂を乱してから吸引する。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 2回 完成日 2018.2.12 専門事項 施工計画・施工管理
1.ダム下流への土砂還元としての下流河床低下対策
1)貯水池の堆砂を防ぐため、上流に貯砂ダムを設置
貯砂ダムで上流からの土砂を補足し、堆砂した土砂は、掘削除去により下流河川へ還元する。
2)貯水池に堆砂させないため、ダム放流水で排砂
上流から貯水池に流入してきた土砂をダムの放流水とともに下流河川へ通過させる。
2.ダム下流への土砂還元が可能な対策事例
1)スリーシング対策
ダムの排砂設備から貯水池の堆砂を放流水で排砂
上流から貯水池に流入土砂を掃流力により、堤体ゲ−トから下流河道へ排砂する。
②ゲートで排砂が滞らないよう放流水の流速を高める
貯水池の水位が高いと流速が低下し土砂が停滞ため、下流河道水位に付近まで貯水池の水位を低下させることで、流速を増しゲートでの土砂移動を向上させる。
2.吸引排砂対策
サイフォンの原理を利用したダム下流河川へ排砂
排砂管内に水流を発生させ、水位差を利用し、排砂管下部の土砂を吸引し下流河川へ排砂させる。
②堆砂の吸引低下を防ぐため、吸引部に攪拌機を設置
堆砂内に塵芥等があると吸引力が低下するため、吸引管の先端に攪拌基を設置し、塵芥が混入する堆積土砂を乱してから搬送する。
模範解答2 (簡易答案形式1) 添削履歴 2回 完成日 2018.2.12 専門事項 河川計画
1.対策計画を策定する際の留意点
対象火山で起こりうる現象と及ぼす影響の推移を時系列的に整理した「噴火シナオリ」の場面ごとに対策計画を策定する。対策計画は数値シミュレーションにより効果を確認することが必要である。
2.平常時の対策
(1)ソフト対策:
・土砂災害の被害の範囲の予測と避難場所を設定した火山砂防ハザードマップの作成と情報提供を行う。
・地震計等の設置により観測体制の強化を行う。
(2)ハード対策
・想定災害規模に応じた基幹的な砂防施設の配置を整備する。
・災害発生時の緊急対策用の資機材の備蓄を行う。
3.緊急時の対策
(1)ソフト対策
・監視カメラやワイヤーセンサー等簡易で短期間で設置可能な監視機器を配置する。
・発生した災害現象や規模を考慮したリアルタイムハザードマップの作成を行う。
(2)ハード対策
・大型土嚢等をヘリコプターや無人化重機により運搬し、仮設堰堤・導流堤の設置を行う。
・火山の活動状況に応じた緊急的計画を策定し、既設砂防堰堤の除石により貯留空間を確保する。