H30/2018年 建設・鋼コン Ⅱ−1−5 問題 模範解答と解説
既設コンクリート構造物の調査・点検で利用する試験について,次のうちから2つの方法を取り上げ,原理,測定上の留意点,測定結果を活用する際の留意点について記述せよ。
(a)反発度法によるテストハンマー強度の推定
(b)赤外線サーモグラフィ法(パッシブ法)による内部欠陥の推定
(c)電磁波レーダー法によるかぶり厚さの推定
(d)自然電位法によるコンクリート中鋼材の腐食状況の推定
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 1回 2019.6.15 専門事項 コンクリート構造
1. (b)赤外線サーモグラフィ法(パッシブ法)による内部欠陥の推定
1−1 原理
物体から放射されている赤外線の波長や放射率から物体表面の温度を測定。
温度差から浮きを検出。
1−2 測定上の留意点
パッシブ法は日射が少ない場合、温度差が小さく欠陥を判別し難いため、雨や曇りでの測定は見合わせること。
1−3 測定結果を活用する際の留意点
測定した熱画像に、浮きによる温度差以外のノイズが含まれていないか、仕上げの色や室内からの熱漏れなど、測定箇所の部材仕様や環境状況を確認すること。
考え方・・・同じアングルから撮影しても、測定した時間(周辺温度や日射量など)や撮影波長の違い(波長により拾うノイズも異なる)から、熱画像が大きく異なってきます。これらを総合的に判断することが必要です。ノイズの種類も非常にたくさんあり、地面や周辺建物、工作物等からの反射ノイズがあります。
2.(c)電磁波レーダー法によるかぶり厚さの推定
2−1 原理
コンクリート内に電磁波を放射し、鉄筋で反射した電磁波の到達時間を測定することで、かぶり厚さを推定。
2−2 測定上の留意点
図面や改修履歴等から、あらかじめ埋設物や配管等の位置を確認し、それらを避けて測定位置を決定すること。
2−3 測定結果を活用する際の留意点
測定した鉄筋のかぶり厚さが最外縁の鉄筋であるか、図面や2・3方向走査の結果から判断すること。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.6.25 専門事項 コンクリート構造
1.工法の概要
1. (b)赤外線サーモグラフィ法による内部欠陥推定
1−1 原理
物体から放射される赤外線の波長や放射率から物体表面温度を測定し、その温度差から浮きを検出する。
1−2 測定上の留意点
パッシブ法は日射が少ない場合、温度差が小さく浮きを判別し難いため、雨や曇りでの測定は取りやめ、
天候の良い別日に測定を行うこと。
1−3 測定結果を活用する際の留意点
日なたと日陰が混在している外壁面の熱画像には、浮きによる温度差以外の温度分布ノイズが含まれているため、日なたと日陰を区別して浮きを判別すること。
2.(c)電磁波レーダー法によるかぶり厚さ推定
2−1 原理
コンクリート内に放射した電磁波は鉄筋で反射する。その到達時間の測定から、かぶり厚さを推定する。
2−2 測定上の留意点
かぶり厚さはコンクリートの比誘電率より推定するが、含水状態で比誘電率は異なるため、測定に先立ち比誘電率の算定手法を用いて比誘電率を補正すること。
2−3 測定結果を活用する際の留意点
測定した鉄筋のかぶり厚さが最外縁の鉄筋であることを確認するため、既存図面や測定箇所の縦・横・斜め方向のレーダー走査の結果から複合的に判断する。