R1/2019年 建設・道路 Ⅲ−1
問題文
2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の円滑な運営には、大会関係者及び観客の輸送を安全、円滑に行うことが求められるため、高度な交通マネジメントが必要である。このような状況を踏まえ、交通マネジメントの実施計画を策定する道路技術者として、以下の問いに答えよ。
(1) 平時の交通処理能力を大幅に上回る大会期間中の交通需要に対して、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) (2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
模範解答1 (簡易形式1) 添削履歴 4回 2020.04.29 専門事項 道路設計
4(1)大会期間中の交通需要に対する課題・分析
1)道路規制による渋滞回避:都心部への流入抑制のため首都高速道の本線料金所で開放レーン数を制限し、また、交通混雑箇所を中心に高速道路の入口を閉鎖する。
会場集中地区は、通常交通に関係車が加わり混雑するため、地区内企業は、混雑時間の回避移動し会場周辺は一般車と関係車の輻輳を避ける。
2)一般道の信号制御:都心部への交通流入量減少のため環状七号線の信号機において午前5時から12時の間、都心方向の青時間を短縮する。
3)パーク&ライド促進:競技会場全エリアの渋滞緩和のため、進入車両に対し、圏央道と外環状道路間でパーク&ライドを促進し、都心直結する鉄道路線駅周辺の自動車通行を抑制する。専用の駐車場の満空検索サイト創設し、短時間入庫を促す。
4)高速道ダイナミックプライシングで夜間通行へのシフト:首都高速道の通行車は、期間中の混雑交通減少の観点から通行料金は夜間(0〜4 h) の半額、6h〜22h間は、1000円上乗せし夜間通行へシフトし通行量の平準化を行う。
(2)最も重要な課題および解決策
交通混雑圏内への交通流入制限
1) 高速入口レーン規制・IC封鎖:首都高速道路の圏央道及び外環状道路の本線主要料金所において日々の交通需要に応じてレーン数を制限し流入交通量を減少する。渋滞状況から判断し、適切に一般道からの入口を選定し封鎖する。
2) 一般道の混雑回避・通行規制:会場集中地区内の混雑回避のため企業の移動時間は混雑時間(7〜12h、17〜19h) を避けた時間帯で移動する。また、会場周辺は一般車進入禁止エリア設定し通過交通を排除する。
(3)解決策に共通するリスクと対策
共通するリスク:大会中は、関係車交通が加わり全体交通量が増加する。首都高速道の道路規制や通行料高騰により、高速道の交通量は減少するが、これが一般道に転換され、一般道の広域範囲で渋滞が発生する。
②対策:高速道路を含む広域的道路網で主要ポイントにおいて交通ピーク時の渋滞シミュレーションによる交通量解析を行い、渋滞予測マップを作成し事前広報により広域的な渋滞緩和を促す。
1.交通需要に対する課題
①高速道路の交通容量確保 都市中心部の一般交通に開閉会式及び競技種目開始時間に合わせ競技大会関係者及び観客の移動による交通が加わり、渋滞が発生する。高速道路の交通容量を確保する為、東京外環道圏の都心方向本線料金所レーン数を終日制限する。TSM
②夜間交通への転換 TDM及びTSMにより抑制された昼間交通量を高速道路の夜間交通へ転換する為、0〜4時は5割引、6〜22時は千円上乗せし交通量を平準化する。ダイナミックプライシング
③パーク&ライド推進 会場へ移動する観客の自動車交通量を低減する為、圏央道と外環道間の都心に直結する鉄道路線のある鉄道駅周辺でパーク&ライドを推進し、鉄道への移動手段変更を図る。TDM・公共交通輸送マネ
2.交通容量確保に関する課題と解決策
①流入制限し混雑調整 都心方向本線料金所レーン数制限で交通容量確保が困難な場合、東京外環道圏の都心方向入口を閉鎖する。選手村・競技場付近は終日とし、その他は交通状況に応じ段階的に閉鎖し、平日の15%低減を図る。
②一般道路の通過交通抑制 都市中心部の一般交通に放射状道路から通過交通が加わり、渋滞が発生する。都心一般道路の交通容量を確保する為、環状七号線から都心方向の信号青時間を5時〜12時で短縮し通過交通を抑制する。
③優先レーンの整備 移動手段の変更により公共交通を利用する観客を安定して競技会場まで輸送しなければならない。需要増加に対するバスの運行本数増加とピストン輸送を確保する為、優先レーン(競技開始1時間前)を整備する。
解説
【2020/05/30】
◎一般論ではなく、東京オリンピックに特化したケーススタディですので東京の地理、道路網を考慮することです。
1.交通需要に対する課題
●交通需要に限られている←2の本題?⇒多面的に視点を広げる
①東京都心中心部の一般交通はどこを走行?競技大会の関係者、観客はどこからどこへ移動?⇒時間がキー、何時?時間交通量の平準化
②一般的な渋滞緩和策。オリンピックがなくても。東京でなくても当てはまることは好ましくありません。
2.TDMの活用に関する課題と解決策
●一般論としての技術提案では△。
①競技場の周りなのか?
②専用・優先レーンの整備⇒時間
③民間プローブデータをどう活用するのか。未来の対策は解決策ではない。わかっていることから提案する。
3.新たに生じうるリスクと対策
●リスクとは?
①どのくらい増加する?何dB?耐えられなくなる程上昇するか?
②落橋などと究極的な危険性を訴える。
技術知識 下記2つを混同しないように。
TDM:自動車利用者の交通行動の変容を促す(国・自治体・企業etc)
TSM:通行抑制・通行制限によるTDM補助(警察・高速道路会社etc)
1.交通需要に対する課題
①高速道路の交通容量確保 都心中心部の一般交通に開閉会式及び競技種目開始時間に合わせた競技大会関係者及び観客の移動による交通が加わり、渋滞が発生する。競技大会関係者の輸送ルート(ORN)である高速道路の交通容量を確保する為、TSMを活用し、東京外環道圏の都心方向本線料金所解放レーン数を終日制限する。
②パーク&ライド推進 観客が利用する競技会場周辺の駐車場が満車になると、駐車場探しによるうろつきが生じ、競技会場周辺の交通容量低下をもたらす。協議会場へ移動する観客の自動車交通量を低減する為、TDM及び公共交通輸送マネジメントを活用し、圏央道と外環道間の都心に直結する鉄道路線駅周辺でパーク&ライドを推進し、鉄道への移動手段変更を図る。
③夜間交通への転換 昼間交通量が抑制される環境の中、常時と変わらない経済活動を維持しなければならない。TDM及びTSMにより抑制された昼間交通を高速道路の夜間交通へ転換する為、ダイナミックプライシングの考え方で0〜4時は5割引、6〜22時は千円上乗せし、交通量を平準化する。
2.交通容量確保に関する課題と解決策
①流入制限し混雑調整 都心方向本線料金所レーン数制限で交通容量確保が困難な場合、東京外環道圏の都心方向入口を閉鎖する。選手村・競技会場付近は終日、その他は高速道路交通量増加に応じ段階的に閉鎖し、平日交通量の15%低減を図る。
②一般道路の通過交通抑制 都心中心部の一般交通に放射状道路から通過交通が加わり、さらに競技大会関係者及び観客の移動による交通が加わり、渋滞が発生する。都心一般道路の交通容量を確保する為、環状七号線から都心方向の信号青時間を5時〜12時で短縮し通過交通を抑制する。
③優先レーンの整備 移動手段の変更により公共交通を利用する観客を安定して会場まで輸送しなければならない。需要増加に対するバスの運行本数増加とピストン輸送を確保する為、競技開始1時間前は専用となる優先レーンを整備する。大会関係車両も同レーンを専用レーンとして利用し、ORNを補完する。
3.新たに生じうるリスクと対策
①騒音抑制 東京外環道圏及び環状七号線で抑制された交通は経路を変更し迂回する。迂回路に選定される一般道路は常時と比較し交通量が増加し、幹線道路に近接する空間の環境基準値70dBを超え新たに騒音被害が想定される。騒音を抑制する為、排水性舗装を採用する。排水性舗装は耐流動性を確保する為、上層は粒径小、下層は粒径大の2層式とする。
②構造脆弱部の補強 迂回路に選定される一般道路に存する橋梁及び高架は常時と比較し交通量が増加し、許容応力度超過による急激な損傷進行が想定される。損傷箇所把握し補強する為、物理的影響を受ける箇所を重点的に点検する。点検箇所はRC床版部、鋼材断面変化部及び溶接接合部とする。補修設計は、照査荷重にB活荷重を適用する。
1.交通需要に対する課題
①高速道路の交通容量確保
都心中心部の一般交通に開閉会式及び競技種目開始時間に合わせた競技大会関係者及び観客の移動による交通が加わり、渋滞が発生する。
交通の集中による渋滞発生を抑制し、競技大会関係者のオリンピック・ルート・ネットワーク(ORN)である高速道路の交通容量を確保する為、交通システムマネジメント(TSM)を活用し、東京外環道圏の都心方向本線料金所解放レーン数を終日制限する。
②パーク&ライド推進
観客が利用する競技会場周辺の駐車場が満車になると、駐車場探しによるうろつきが生じ、競技会場周辺の交通容量低下をもたらす。
不要な交通を排除して交通容量を維持し、競技会場へ移動する観客の自動車交通量を低減する為、交通需要マネジメント(TDM)及び公共交通輸送マネジメントを活用する。圏央道と外環道間の都心に直結する鉄道路線駅周辺でパーク&ライドを推進し、鉄道への移動手段変更を図る。
③夜間交通への転換
昼間交通量が抑制される社会環境の中、常時と変わらない経済活動を維持しなければならない。
物流停滞による経済活動低下を防止し、TDM及びTSMにより抑制された昼間交通を高速道路の夜間交通へ転換する為、ダイナミックプライシングの考え方で0〜4時は5割引、6〜22時は千円上乗せし、交通量を平準化する。
2.交通容量確保に関する課題と解決策
①流入制限し混雑調整
高速道路の都心方向本線料金所解放レーン数制限で交通容量の確保が困難な場合、東京外環道圏の都心方向入口を閉鎖する。
閉鎖箇所及び時間として選手村・競技会場付近は終日、その他は高速道路交通量増加に応じ段階的に閉鎖し、平日交通量の15%低減を図る。
②一般道路の通過交通抑制
都心中心部の一般交通に放射状道路から通過交通が加わり、さらに競技大会関係者及び観客の移動による交通が加わり、渋滞が発生する。
渋滞発生を抑制し、都心一般道路の交通容量を確保する為、環状七号線から都心方向の信号青時間を5時〜12時で短縮し通過交通を抑制する。
③優先レーンの整備
移動手段の変更により公共交通を利用する観客を円滑に会場まで輸送しなければならない。
公共交通需要増加に応じバスの運行本数増加とピストン輸送を確保する為、競技開始1時間前は専用となる優先レーンを整備する。合わせて競技大会関係車両も専用レーンとして利用し、ORNを補完する。
また、専用レーン時間帯の一般交通が走行可能な車線数減少による交通容量低下を最小限とする為、バスや競技大会関係車両の位置情報をGPSで把握し、優先レーン到着時間の精度を向上させる。
3.新たに生じうるリスクと対策
①騒音抑制
東京外環道圏及び環状七号線で抑制された交通は経路を変更し迂回する。迂回路に選定される一般道路は常時と比較し交通量が増加し、幹線道路に近接する空間の環境基準値70dBを超え新たに騒音被害が想定される。
騒音を抑制し沿道環境を保全する為、排水性舗装を採用し、施工期間短縮を図る為、切削オーバーレイ工法により更新する。排水性舗装は耐流動性を確保する為、上層は粒径小、下層は粒径大の2層式とする。
②構造脆弱部の補強
迂回路に選定される一般道路に存する橋梁及び高架は常時と比較し交通量が増加し、許容応力度超過による急激な損傷進行が想定される。
損傷箇所を補強し長寿命化を図る為、物理的影響を受ける箇所を重点的に点検する。点検箇所はRC床版部、鋼材断面変化部及び溶接接合部とする。
また、補強を要する箇所の補修設計は、25t大型車交通量の多い路線とするB活荷重を照査荷重として適用する。
Ⅲ−1問題は、一般論ではなく、東京オリンピックに特化したケーススタディと考えるように。すなわち東京の地理、道路網に触れて答える。
(1)課題の分析のしかたについて
課題は1系統に限られてはいけません。「多面的に視点を広げる」とあるので幅広にするように。しかも具体的に。
課題に対し一般的な解決策を提示してはなりません。具体的に書くことです。
安直な(わかりきった)解決策は回答になりません。具体的に書く。
⇒具体的とは:設計指標、基準、値、分野の技術、計算式、予測技術、専門的検証方法、実験etc
課題における着目点として大事なことは、一日のうち何時ごろなのかです。
これは、東京の渋滞は朝、夕にしか現れないため、時間帯別交通量を考えて、オリンピック関係者の運行計画をすることです。これはラッシュ時に交通量が増加することはともかく、曜日や日別の時間も含みます。
東京オリンピックのTDM施策として平日15%減(休日並)の交通環境を目標とし、その手法と「時間」を絡めると
1.料金所レーン数終日制限
一般交通(強いて言えばラッシュ時)に観客の自動車が加わると混むから移動手段変更、夜間交通への転換
2.高速道路入口閉鎖。選手村・競技会場付近終日、その他は交通状況で段階的。
環七から都心方向信号青時間5時〜12時で短縮。
観客移動は競技開始1時間前がピーク。すなわちその時間重点的に輸送。
というように、各項目で「時間」に着目して提案が出てきます。
(2)解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて
一般論、小手先の技術では△で、具体的に書くことです。
未来の対策の目論見は解決策ではありません。すでにわかっていること、実用段階にあることを提案する。
(3)リスクの導き方、書き方などについて
リスクとはなにか?言葉の定義を正確にする。
そのリスクはどのくらい増加する?具体的に言うと何dB?耐えられなくなる程上昇するか?
落橋など具体的に危険性を訴える。