R1/2019年 建設・土質基礎 Ⅱ-1-4
問題文 Ⅱ-1-4 (1枚以内にまとめよ)
切土のり面の安定対策工として、切土補強土工、グラウンドアンカー工がある。各工法について、対策原理を踏まえた工法の概要を説明せよ。また、各工法を採用する際の切土のり面の規模や地山条件、工法の特徴に着目した留意点を工法ごとに述べよ。
模範解答1 (簡易答案1) 添削履歴2 作成日2020/1/18 建設部門 科目:土質基礎 専門事項 土質
1.ヒービング、盤ぶくれ、ボイリングの発生原理
① ヒービングの発生原理
粘性土地盤の場合に、土留めの根入れが浅かったため、掘削面との土留め背面の上載荷重の差により掘削底面が隆起する。
② 盤ぶくれの発生原理
掘削底面が難透水層、被圧帯水層の順に存在する場合に、遮水性の土留め壁により被圧帯水層を遮断しなかったため、難透水層に上向きの水圧が作用し掘削面が浮き上がる。
③ ボイリングの発生原理
砂質地盤の場合に、遮水性の土留め壁を使用したため、掘削面との土留め背面の水位差により上向きの浸透水が生じ掘削底面が沸き上がる。
2. ボイリング対策として有効な地盤改良工法とその原理及び施工上の留意点
①薬液注入工法・・・薬液を地盤中に圧力注入することにより間隙や亀裂を充填し、地盤の遮水性を高めることで浸透水の湧き出しを防止する。注入圧による地盤の隆起や構造物への影響が生じることがあるため、注入量および注入圧を監視する。
②深層混合処理工法・・・高圧ジェットにより地盤と固化材を混合し、掘削底面のせん断抵抗を高めることで浸透水の湧き出しを防止する。噴射攪拌方式ではスライムが排出されるため、処理設備や産業廃棄物としての処理を行う。
模範解答1 (簡易答案2) 添削履歴1 作成日2020/1/22 建設部門 科目:土質基礎 専門事項 土質
1.ヒービング、盤ぶくれ、ボイリングの発生原理
①ヒービングの発生原理
掘削底面付近に軟らかい粘性土がある地盤で、土留めの根入れが浅い場合に、掘削面と土留め背面の上載荷重の差により掘削底面が隆起する。
②盤ぶくれの発生原理
掘削底面が難透水層、被圧帯水層の順に存在する地盤で、遮水性の土留め壁により被圧帯水層を遮断しなかった場合に、難透水層に上向きの水圧が作用し掘削面が浮き上がる。
③ボイリングの発生原理
砂質地盤で、遮水性の土留め壁を使用した場合に、掘削面との土留め背面の水位差により上向きの浸透水が生じ掘削底面が沸き上がる。
2.ボイリング対策とその原理及び施工上の留意点
①薬液注入工法・・・薬液を地盤中に圧力注入することにより間隙や亀裂を充填し、地盤の遮水性を高めることで浸透水の湧き出しを防止する。注入材の逸走や地盤の隆起に伴い圧力が減少した場合は、直ちに注入を中止する。
②深層混合処理工法・・・高圧ジェットにより地盤と固化材を混合し、掘削底面のせん断抵抗を高めることで浸透水の湧き出しを防止する。攪拌性能の向上および共回り防止のため、二重管構造や共回り防止翼を用いて攪拌不良を低減させる。
解説
(1)問題趣旨に対する考え方、取り組み方などについて
ボイリングなどの発生原理は、そもそも起きることが問題であり、なぜこんなことが起きるのか、そこに至る遠因まで踏まえて原理を説明する。なぜそういうことが起きるのか。
(2) 論旨のまとめ方、書き方などについて
「留意点としては」とことわらずとももわかるので単刀直入に書くように。
対策工において、○○するだけではなく、○○した場合は○○すると書く。
現場の産業廃棄物とか、一般的な現場管理の制約事項にすぎず、土質基礎に関係しないので、工夫・留意点には相当しません。
工夫・留意点を考えるとき、マイナスにならないようにキープするのではなく、プラスになる方向で考えるように。
敷地境界超えないように建物作りましたとか、罰金にならないよう速度超えないように走りましたとかは当たり前のことなので。
普通よりお金をかけないで、建設技術を応用して上手に強度を上げましたなどは◎
どうやったら強度上がるかわかるなら、それを留意点として考えて、こうやったら上がると書くことです。プラスの性能になるように意識してください。
対策提案では、最終的な趣旨を考えるように。強度を増加させるのが目的か?浸透水の湧き出し防止が目的か?こうした管理技術者としての見解が見えることが信頼性(コンピテンシー)につながります。