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R2年、2021年 建設・鋼コン Ⅰ−1 問題 模範解答と解説

I-1 我が国の総人口は、戦後増加を続けていたが、 2010年頃をピークに減少に転じ、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計 (出生中位・死亡中位推計) によると、2065年には8,808万人に減少することが予測されている。私たちの暮らしと経済を支えるインフラ整備の担い手であり、地域の安全・安心を支える地域の守り手でもある建設産業においても、課題の1つとしてその担い手確保が挙げられる。

 (1)それぞれの地域において、地城の中小建設業が今後もその使命を果たすべく担い手を確保していく上で、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。 

(3)すべての解決策を実行した上で生じる波及効果と、新たな懸案事項への対応策を示せ。

 (4)上記事項を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。

模範解答1 簡易答案1 建設部門、鋼コン 2021/5/2

1. 担い手確保の課題

(1)若手、女性、外国人技術者の入職促進

 若者に対する技術検定受検要件緩和し早期活躍を促進。女性活躍のための現場環境整備。外国人技術者への日本語教育制度導入支援で現場技術者育成早期化

(2)生産性向上で利潤還元し担い手流出防止

 人的・物的な既存ストックを最大限活用し経営効率化させ、具体的な施策のノウハウを蓄積し、人材確保・育成や建設機械等への投資促進で利潤拡大し還元促進

(3)安定的・持続的な建設事業投資

 インフラ老朽化対策を事後保全から予防保全へ転換し、安定的な持続的な投資を平準化することで中小建設業の中長期的な利潤確保に配慮

2、「(2)の生産性向上」の解決策

(1)技能訓練による若手技術力向上効率化

 中小建設業の若手技能者のキャリアに応じて熟練技能者を派遣する訓練プログラム制度を構築し、若手技能者の育成と熟練技能の維持・向上

(2)建設キャリアアップシステム導入による業務効率化

 キャリア毎の適正な評価促進や業務記録の表示により技能労働者のモチベーションがアップし生産性が向上。また現場記録の自動化で事業者の事務作業効率向上 

(3)生産性向上施策への助成金制度による支援

 労働管理研修や業務効率化機器導入等の取り組みにかかる一部費用助成制度を構築することで中小建設業の生産性向上を支援

3、波及効果と新たな懸案への対応策  

(1)波及効果と新たな懸案:建設産業のサービスレベルが向上し、国民の安全安心向上に貢献する。一方で、中小建設業間の成長格差で倒産発生

(2)対応策:企業合併許可や経営事項審査の手続きを簡略化し、空白期間短縮し、かつ経営審査制度に特例を設けることで技術者の新会社への移行を円滑化

4、業務遂行に必要な倫理と社会的継続性に必要な要件・留意点

 技術者倫理高めて若手担い手の健康や安全確保のため、働き方改革により長時間労働を削減する。これは技術者倫理綱領の第1条公衆安全、健康優先に相当。

 社会持続可能性高めて中小企業成長を促進するため女性・外国人のための休業・復帰制度整備し厚い技術者体制構築する。これはSDGs8生産的雇用に相当。

解説

1.『課題と分析』では前向きで具体的で実効性を伴う課題を列挙するのが良いでしょう。

2.『具体な解決策』では因果ある策を併記せず他方を包含する事項のみを記載するように。

3.『波及効果』では解決策が徐々浸透し『担い手確保』がどう好転するか記載するように。

3.『懸案』では解決策で、頻度は小さいが発生する専門的損害を論じるように。

4.『要件』の関係者とは技術士同士とし、元請けや発注者は対象としないのが良いでしょう。

模範解答1 簡易答案2 建設部門、鋼コン 2021/5/5

1、担い手確保の課題

(1)若手、女性、外国人技術者の入職促進

 若者に対する技術検定受検要件を緩和し早期活躍を促進する。女性活躍のための現場環境を整備する。外国人技術者への日本語教育制度導入して現場技術者育成を早期化する。

(2)生産性向上で利潤還元し担い手流出防止

 人的・物的な既存ストックを最大限に活用し経営を効率化させ、具体的な施策のノウハウを蓄積する。人材確保や育成かつ建設機械等への投資を促進し利潤を拡大させ従業員への還元を促進させる。

(3)安定的・持続的な建設事業投資

 インフラ老朽化対策を事後保全から予防保全へ転換し、年間を通じて安定的な投資を持続化かつ平準化することで中小建設業の中長期的な利潤確保に配慮する。

2、「(2)の生産性向上」の解決策

(1)技能訓練による若手技術力向上効率化

 中小建設業の若手技能者のキャリアに応じて熟練技能者を派遣する訓練プログラム制度を構築して、若手技能者の育成と熟練技能の維持と向上させる。

(2)建設キャリアアップシステム導入による業務効率化

 キャリア毎の適正な評価促進や業務記録の表示により技能労働者のモチベーションをアップさせることで生産性を向上させる。また現場記録の自動化で事業者の事務作業効率を向上させる。 

(3)生産性向上施策への助成金制度による支援

 労働管理研修や業務効率化機器導入等の生産性向上の取組にかかる費用の一部を助成する制度を構築することで中小建設業の生産性向上を支援する。

3、波及効果と新たな懸案への対応策  

(1)波及効果と新たな懸案:建設産業のサービスレベルが向上し、国民の安全安心が向上する。一方で、中小建設業間の成長に格差が生じることで倒産が発生する。

(2)対応策:企業合併許可や経営事項審査等の行政手続きを簡略化させ、経営の空白期間を短縮し、かつ経営審査制度に特例を設けることで技術者の新会社への移行を円滑化させる。

4、業務遂行に必要な倫理と社会的継続性に必要な要件・留意点

 技術者倫理を高めて担い手の健康と安全確保するため、働き方改革で長時間労働を削減する。これは技術者倫理綱領第1条の『公衆の安全、健康優先』に相当する。

 社会持続可能性を高めて中小企業の成長を促進させるため女性・外国人のための出産や一時帰国後の円滑な復職に配慮した休業・復帰制度を整備する。これはSDGs8の『生産的で人間らしい雇用促進』に相当する。

模範解答1 答案形式 建設部門、鋼コン 2021/5/7

1、担い手確保の課題

(1)若手、女性、外国人技術者の入職促進制度構築

 有資格者を増加させるため、工業高校へ実施している建設業紹介キャラバンを小中学校へ拡大させるとともに若手技術者に対する技術検定受検要件を緩和し早期活躍を促進する。

 女性活躍のためには、現場における専用トイレや休憩室を確保し、労働環境を整備することで、女性労働者の入職を促進する。また、外国人技術者の入植を促進するため、日本語教育制度レベル毎に整備して、コミュニケーションへの不安を取り除き入職を安定化させる。

(2)生産性向上に基づく利潤還元による労働者確保

 人的・物的な既存ストックを最大限に活用し経営を効率化させ、具体的な施策のノウハウを蓄積する。その上で、人材確保や育成かつ建設機械等への投資を促進し利潤を拡大させ従業員への還元を促進させる。

(3)安定的・持続的な建設事業投資

 インフラ老朽化対策を事後保全から予防保全へ転換することで、投資のピークが建設後50年後の更新時期に集中することを回避する。その結果、中長期的な投資配分が平準化され、かつ年間を通じて安定的な投資が持続されることで中小建設業の中長期的な利潤確保が配慮される。

2、「(2)の生産性向上」の解決策

(1)技能訓練による若手技術力向上効率化

 中小建設業の若手技能者のキャリアレベルに応じた教材や講習プログラムを作成し育成を早期化する。それと同時に、若手技能者のキャリアレベルに合致した熟練技術者を派遣し、レベルに応じた熟練技能を継承することで技術継承を効率的に促進する。

(2)建設キャリアアップシステム導入による効率化

 キャリア毎の適正な評価の促進と業務記録の提示により技能労働者のモチベーションをアップさせることで生産性を向上させる。

 同時に、現場労働者の現場作業記録自動化で事業者側の日報作成・取りまとめ等の事務作業効率を向上させる。 

(3)生産性向上施策への助成金制度構築

 労働管理研修や業務効率化機器導入等の生産性向上の取組にかかる費用の一部を助成する制度を構築することで、中小建設業の生産性向上の費用支援することで取組を促進させる。

3、波及効果と新たな懸案への対応策  

(1)波及効果と新たな懸案

 中小企業の技術者層が厚くなることで、建設産業のサービスレベルが向上し、国民の感じる安全・安心感が向上する。

 一方で、各種制度を有効に活用できる会社と活用できない会社が差別化され、中小建設業間の成長に格差が生じることで倒産発生リスクが高まる。

(2)対応策

 企業合併許可や経営事項審査等の行政手続きを簡略化させ、経営の空白期間を短縮させる。また、経営審査制度に特例を設けることで技術者の新会社への移行を円滑化させる。

 経営事項審査や建設業許可の申請は、紙ベースから電子化することで書類作成や確認作業の負担を軽減し手続きを効率化する。

4、技術者倫理と社会的継続性に必要な要件・留意点

(1)働き方改革

 技術者倫理を高めて担い手の健康と安全確保するため、技術者育成の効率化や行政手続きの簡易化・電子化等による生産性の向上で、長時間労働削減や適切な工期設定による週休2日制を浸透させ、働き方改革を推進する。

 これは技術者倫理綱領第1条の『公衆の安全、健康の優先』に相当する。

(2)一時休業・復帰システムの構築

 社会持続可能性を高めて中小企業の成長を促進させるため、出産による一時休業が必要な女性労働者や、母国へ一時帰国が必要な外国人労働者の円滑な復職に配慮した休業・復帰制度を整備する。

これはSDGs8の『生産的で人間らしい雇用促進』に相当する。

解説

改行が多いと読みにくいので段落を形成すると良いでしょう。意味の違いはないからと、安易に1文ごとの改行は好ましくありません。答案を読みやすくするため、意味のまとまり毎に段落を形成すること。作文の基本であり、読み手への配慮となります。文をつなげるときの接続詞は、「また」、「さらに」というような単純、機械的に羅列するのではなく、説明内容として最適な意味となるよう関係性を表すのが良いでしょう。

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