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この問題は、令和6年改正の担い手3法を背景として、受験者が
を評価するものです。
単なる人手不足問題として捉えるのではなく、「建設業が社会資本整備の担い手であり、災害時の地域の守り手でもある」という社会的役割を踏まえ、多面的かつ実務的に論述できるかが問われています。。
観点→課題の順で記述する。
観点は「人材確保」「生産性向上」「経営安定性」「地域防災力」など簡潔に示す。
課題は現状の問題点ではなく、「何を実現する必要があるか」という技術的方針として記述する。
担い手不足、高齢化、働き方改革、資材価格高騰という問題群を整理し、異なる切り口で課題を設定することが重要である。
例:
単なる「人手不足が課題である」といった問題点の記述ではなく、「何を実現するか」という課題として表現することが重要です
。
(1)で抽出した課題のうち最重要課題を1つ選定する。
本問題では、多くの場合、
のいずれかが最重要課題になります。
解決策は異なるアプローチで3つ程度示す。
例:
①ICT・DXの活用
などによる省人化を図る。
②働き方改革の推進
により労働環境を改善する。
③適正な価格転嫁と契約制度改善
により経営基盤を強化する。
技術、制度、マネジメントなど異なる視点から解決策を構成すると答案全体の評価が高くなります
解決策を進めることで新たに発生するリスクを示す。
単なる課題の繰り返しではなく、解決後に発生する次の課題を書くことが重要です。
例:
DX推進に伴い、ICT技術を扱える人材への依存が高まり、現場技術継承が困難になる。
を進める。
あるいは、
設備投資負担が増加し、中小建設企業が対応できなくなる。
を推進する。
技術面と経営面の双方から対応策を示すことが望ましいです。
建設業は公共性が極めて高いため、
が重要になります。
例:
技術者倫理と社会的持続性は別々に書くのではなく、業務遂行上の具体的行動として結び付けて記述すると評価されやすくなります。
この問題では、担い手不足や高齢化という表面的な現象を論じるだけでは不十分です。
出題者は、
「建設業を将来にわたり維持し、社会資本整備と災害対応を支える産業として持続可能にするにはどうすべきか」
という本質的な問いを投げかけています。
したがって答案では、
建設業を取り巻く社会環境の変化 → 技術課題 → 解決策 → 将来的懸念事項 → 倫理・持続性
という流れを一貫して構築することが重要です。
また、ICT施工、BIM/CIM、遠隔臨場、週休2日工事、適正工期設定、価格転嫁制度など具体的な技術や制度を盛り込むことで、実務的で説得力のある答案となります。
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答案1 選択科目:河川砂防 専門事項:砂防構造物 作成日:2025/11/04
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1.社会資本整備等の担い手としての建設業の課題
1)分散型災害対応体制の整備
技術力の持続可能性の観点から、技術系職員の高齢化・減少が進行している状況において、現場の技術継承や災害時の適切な判断・対応の確保が求められている。地域の中小建設業と連携した平時からの河川巡視点検や災害危険個所の情報共有の推進が課題である。
2)建設DXの推進
環建設現場では、労働力過剰の時代が続いたため、製造業のように多くの工程で機械化が進んでおらず、
生産性が低く、長時間労働となっている。
あらゆる建設生産プロセスにおいて、3 次元データを一貫して使用する ICTを全面的に導入し、土工等について、従来の工法からの工事日の削減、長時間労働の是正を図る。
3)建設業の魅力の発信
建設現場では3K(きつい、汚い、危険) に代表される負のイメージが根強く、また、災害復旧等での建設業の貢献が若者や一般市民にあまり伝わっていない。このため、建設業で就労を希望する若者が少ない。
新3 K( 給与・休暇・希望 ) の魅力ある建設現場への改善を推進する。加えて、建設業の魅力、意義を学生やその関係者に適切に伝え、建設業で就労を希望する若者を増やす。
2.課題(1)の解決策:建設DXの推進
1)現場作業の遠隔化・自動化・自律化
3次元データによるICT施工やBIM/CIMの活用により、土工等について機械化を進める。さらに、カメラ、センサー、AIにより、複数の建機自動の連動作業、管理を進め、現場作業の自動化、自律化を行う。
2)BIM/CIMの活用
BIM/CIMによる3次元モデルを用いて、完成物を可視化することにより、干渉チェックを効率化し、設計ミスを防ぐ。また、3次元モデルから数量等を自動算出し、作業時間の削減し、長時間労働の是正を図る。
3)インフラのリアルタイムモニタリング
重要インフラ(ダム、トンネル、堤防など)にIoTセンサーを設置し、応力、変形、振動などをリアルタイムでモニタリングする。収集データをAI解析により統合し、経年劣化や災害時の応答予測を行う。これに基づき、早期補強としてCFRP材の適用や吹付けコンクリート補強を実施し、予防的保全を推進する。
3.新たに生じる懸念と対応策
1)懸念
複数の技術(デジタルツイン、IoT、AI解析、リアルタイムモニタリングなど)を同時運用することで、システム全体が極めて複雑化する。この結果、要素間の相互依存が高まり、一部のシステム障害が全体の停止に波及するリスクがある(ドミノ効果)。
2)対応策
システムを「地域単位」や「構造物単位」に分散化することで、障害の局所化を図る。例えば、橋梁、トンネル、堤防などに専用のIoT監視システムを設置し、データ処理や意思決定をそれぞれのインフラで分散して実施する。また、各モジュール間での相互データバックアップや障害時の即時切り替えを可能にするネットワーク構成(リング型トポロジー)を採用する。
4.業務遂行するに当たり必要となる要件
1)技術者倫理:AIやIoTシステムの導入に際して、データ取得プロセスについて公表など透明性を確保する。関係者に対して正確かつ理解しやすい対話型合意形成プロセスによる情報を提供し、意思決定の透明性を高める。技術者倫理綱領の公正かつ誠実な履行に関連し、透明な情報共有を通じて信頼性と社会的責任を果たす。
2)社会の持続可能性
デジタルツインに用いる施設データを、全工程で標準化し更新可能とすることで、将来の維持更新コストの抑制と情報資産の継承性を確保する。また、BIMを横断的に活用することで業務の属人化を回避する。さらに、ビューア共有を通じて住民が意思決定に関与することで、社会的合意と説明責任の持続的な確保が可能になる。
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講評
この答案は、建設業を取り巻く課題の中でも担い手不足と生産性向上に着目し、建設DXを中心に解決策を整理できています。特に、ICT施工、BIM/CIM、IoT、AIといった近年の技術動向を積極的に取り入れており、建設業の将来像を意識した答案となっています。
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良いところ(評価できる点)
観点の設定が適切
「技術力の持続可能性」「建設DX」「建設業の魅力発信」の3課題は、担い手不足、高齢化、働き方改革という出題背景を的確に捉えています。
建設DXを中心とした論理構成
最重要課題として建設DXを選定したことは妥当です。ICT施工による省人化、BIM/CIMによる設計・施工効率化、IoTによる維持管理高度化と、建設生産システム全体を見据えた解決策となっています。
技術的具体性が高い
BIM/CIMによる干渉チェックや数量算出、IoTセンサーによるリアルタイム監視、AI解析による劣化予測など、具体的な技術を用いて説明できています。
将来的懸念事項の着眼が良い
システムの複雑化によるドミノ効果を懸念事項として挙げており、DX推進後に発生する新たな課題を適切に認識できています。
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改善できる点(さらに可能性を広げるために)
課題①の方向性
課題①は「分散型災害対応体制の整備」となっていますが、記述内容は技術継承や人材不足への対応が中心です。課題名と内容を一致させると、より分かりやすくなります。
解決策の差別化
解決策①と②はともに建設生産プロセスのデジタル化を扱っており、役割がやや重複しています。施工の自動化、設計施工の統合管理、維持管理の高度化というように役割を明確化すると、答案全体が整理されます。
出題テーマとの結び付き
本問題は担い手不足への対応が中心テーマです。そのため、DXによって若手入職促進や技術者不足解消にどうつながるのかまで記述できると、解決策の説得力がさらに高まります。
倫理・持続性との関連
情報公開や透明性への言及は適切です。一方で、地域建設業の維持、災害時の地域貢献、人材育成など、本問題特有の社会的役割との関連をもう一段強調すると、より出題意図に沿った答案になります。
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答案作成者の強みと今後の課題
先端技術への理解が深く、具体的な技術を用いて答案を構成できる力を持っています。また、施工だけでなく維持管理まで視野を広げて考えられている点は大きな強みです。
今後は、人材、組織、制度といったマネジメント面をさらに取り入れることで、技術論だけでなく社会課題への対応まで踏み込んだ答案になります。技術と社会的課題を結び付ける視点を磨けば、より完成度の高い技術士答案へ発展していくでしょう。
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答案2 選択科目:港湾空港 専門事項:空港土木施設の設計 作成日:2026/5/16
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(1)技術課題と観点
①健全度評価に基づく更新優先順位の最適化
社会資本機能維持の観点から、施設重要度や劣化特性を踏まえた健全度評価と更新優先順位決定ルールを整備する。これにより、限られた予算や人員を高リスク施設へ重点配分する。
②施工手順の標準化による品質と生産性の両立
品質維持と生産性両立の観点から、時間外労働規制や施設運用制約下でも品質確保可能な標準施工体系と工程管理原則を整備する。これにより生産性を向上し、担い手不足下でも施工品質を維持する。
③価格変動を反映可能な契約制度の整備
適正価格形成と技術判断安定の観点から、資材価格高騰や労務費変動を反映可能な積算基準や契約条項を整備する。これにより、価格圧力下でも品質確保に必要な材料選定、施工方法、技能者配置を可能とする。
(2)最重要な技術課題は①健全度評価に基づく更新優先順位の決定である。理由として、老朽化した施設が一斉に更新時期を迎える一方、予算・人員・施工能力に限りがあるため、健全度と施設重要度に基づき更新優先順位を決定することが、事故防止と社会資本機能維持の前提となるからである。また、解決策を以下に示す。
①健全度評価と更新順位判断ルールの整備
劣化調査結果を健全度指標として定量化し、施設重要度や劣化進行速度、第三者への影響を加味して更新順位の判断ルールを構築する。これにより限られた予算や人員を高リスク施設へ重点配分し、予防保全型の維持管理へ転換する。
②優先順位に基づく発注・施工計画の標準化
更新優先順位に基づき維持管理作業を緊急対応・予防保全・長寿命化対策に分類し、施工方法、工程制約、品質確認項目を標準化する。また、包括発注や複数年発注を活用し、施工体制と技能者配置の継続性を確保する。
③点検、維持管理支援基盤の整備
点検記録、調査結果、補修履歴を一元管理し、過去記録との比較や閾値設定により異常を早期抽出する。最終判断は技術者が行うことを前提とし、判断の再現性と品質確保を両立する体制を構築する。
(3)将来的な懸念事項と対策
①データの更新遅れによる誤判断
更新順位の判断基準が固定化され、点検データの更新が遅れると、突発的な異常発生を反映できず、補修時期の誤判断が懸念される。対策として、クラック幅、地盤変位、漏水状況、利用者影響等を指標化し、閾値超過時には更新順位、施工時期、予算配分を再判定する仕組みを整備する。
②受注者の固定化による競争性の低下
長期発注に伴う受注者の固定化により、技術提案の停滞や新規参入機会の減少が懸念される。対策として、分担範囲と責任範囲を明確化したうえで複数社への分担発注を行い、一定期間ごとの競争機会を確保する。また、事故件数・品質試験合格率・工程遵守率・改善提案数に基づく更新評価制度を導入し、競争性と長期的な安定受注を両立する。
(4)業務遂行において必要な要件
①技術者としての倫理
更新優先順位は地域要望や短期的な費用抑制、価格競争に過度に偏らず、安全性、品質、公平性に基づき技術判断を行う。特に予算制約下での優先順位決定の際は、健全度評価、施設重要度等の技術的な判断根拠を明確にし、住民や発注者に対する説明責任を果たす。これにより、建設業が持続可能となる社会からの信頼基盤を構築する。
②社会の持続性
健全度評価と施設重要度に基づく予防保全型の維持管理により事故や機能停止を防止し、社会資本機能を継続させる。また長期更新計画により、更新投資の先送りによる将来世代の負担増加を抑制する。さらに点検・補修基準の標準化により技術継承を容易にし、災害時の応急復旧を担える地域建設業の体制を維持する。
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講評
この答案は、建設業の担い手不足を背景にしながら、社会資本の維持管理と更新優先順位の最適化に焦点を絞って整理できています。特に、限られた予算・人員・施工能力の中で、健全度評価と施設重要度に基づいて判断するという方向性は、実務的で説得力があります。
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良いところ(評価できる点)
最重要課題の設定が明確
老朽化施設の一斉更新に対して、健全度評価に基づく更新優先順位の決定を最重要課題にした点は妥当です。事故防止と社会資本機能維持を結び付けて説明できています。
解決策に実務性がある
健全度指標、施設重要度、劣化進行速度、第三者影響を踏まえた判断ルールは、実際の維持管理業務に即しています。包括発注や複数年発注にも触れており、施工体制の継続性まで考えられています。
懸念事項が具体的
データ更新遅れによる誤判断、受注者固定化による競争性低下など、解決策を実行した後に生じるリスクを適切に挙げています。対策も閾値管理や更新評価制度など、実行可能性があります。
倫理・持続性が出題趣旨に合っている
安全性、品質、公平性に基づく優先順位判断や、将来世代への負担抑制に触れており、公共性の高い建設業の役割をよく捉えています。
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改善できる点(さらに可能性を広げるために)
建設業の担い手問題との結び付き
答案全体は維持管理の優先順位付けとしては優れています。一方で、問題文が重視する建設業の担い手不足、時間外労働規制、地域の守り手との関係をもう少し明示すると、出題意図への適合性が高まります。
課題②・③との一体感
施工手順の標準化や契約制度の整備は良い課題ですが、最重要課題である更新優先順位との関係がやや独立しています。更新順位に基づく発注・施工・契約制度まで一連で整理すると、答案全体がさらに締まります。
技術的要素の補強
健全度評価について、点検データ、劣化予測、LCC、リスク評価などの技術用語をもう少し明確に入れると、技術士答案としての専門性が高まります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、制約条件下で優先順位を付ける力があり、実務的な判断構造を答案に落とし込めています。特に、維持管理、発注制度、倫理性をつなげて考えられる点は大きな強みです。
今後は、維持管理論だけでなく、担い手確保・地域建設業の維持・働き方改革との関係をもう一段明確にすれば、出題意図により深く合致した答案になります。公共性と実務性を両立できる答案として、さらに完成度を高められるでしょう。
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答案3 選択科目:鋼構造コンクリート 専門事項:コンクリート構造物の診断 作成日:2026/6/8
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1.持続可能な建設業実現の技術課題
(1) 省人施工体制の確保
少人数・労働時間制約下での品質・工程維持の観点から、熟練技能を施工手順・品質確認項目として標準化し、プレキャスト化、遠隔支援を活用して、少人数でも品質と工程を維持できる施工体制を確保する。
(2) 建設生産プロセスの最適化
建設生産性向上の観点から、資材不足や労務制約、工程変更に対応するため、資材調達、施工労務、工程判断を統合管理し、建設生産プロセスを最適化する。
(3) 災害時初動復旧体制の構築
地域維持機能確保の観点から、平常時から資機材・人員を登録管理するとともに、災害時の動員計画と優先配分ルールを整備して、初動復旧力を発揮できる体制を構築する。
2.最重要課題と解決策
最重要課題は、(2)建設生産プロセスの最適化である。猛暑日の増加による工程変動や週休2日、資材高騰等の制約条件下でも資材調達、施工労務、工程判断を統合管理し、施工停止・手戻りを抑制する生産体制を構築する。
(1) 複数調達と再生資源活用で資材供給安定化
資材確保のため、複数地域からの調達体制構築と現地発生材の有効利用を推進する。具体的には、複数供給元からの調達ネットワークを整備するとともに、建設副産物、再生骨材、発生土等を品質確認・適用判定の上で仮設材や路盤材等として活用する。これにより、資材高騰や供給途絶にも対応できる調達弾力性を確保する。
(2) プレキャスト活用で現場工数を縮減・省人化
施工省力化のため、新設・更新工事にプレキャスト部材・機械式継手・自己充填コンクリートを適用する。そのために、運搬・吊上を考慮した部材寸法の最適化、鉄筋あき・かぶり調整による充填性確保、吊上げ及び据付・仮置ヤードを確保する。これにより、現場打工程を縮減し、少人数施工可能な施工体系を構築する。
(3) BIM/CIM活用で計画変更時の判断迅速化
工程判断を迅速化するため、BIM/CIMモデルに材料特性・施工条件・適用実績を紐づける。これに基づき、不足資材の代替可能性評価、4D施工シミュレーション、干渉チェック、工程影響分析を実施し、代替資材適用時の構造性能、施工性、施工速度を比較評価することで、工事開始前や計画変更時の承認・施工判断を迅速化する。
3.将来的な懸念事項と対策
(1) 将来的な懸念事項
代替資源、少人数施工、BIM/CIM判断に過度に依存する施工体制では、地域の地盤条件や施工条件への適合確認が不十分となる可能性がある。その結果、不適切な代替資材や標準施工法が採用され、支持力不足、接合部不良、工程遅延を招き、平常時の品質だけでなく災害時の初動復旧力も低下することが懸念される。
(2) 対応策
地域条件別の施工実績、出来形・品質管理データを蓄積し、代替資材や省人施工法の適用可否を判定する技術基準を整備する。さらに、施工後の沈下量、ひび割れ、接合部変位等をモニタリングし、基準値を超えた場合は材料選定、施工厚、締固め条件を見直すフィードバック管理を行う。また、施工判断事例を教育・訓練に反映し、現場判断力を維持する。
4.業務遂行要件
(1)技術者倫理(公衆安全の最優先)
生産性向上を行う中でも、安全性や品質の確認は怠ってはならない。そのため、代替資材や標準施工の適用の際には、安全・品質の観点からも発注者・施工者に妥当性を技術的根拠により示して是正を求める。これにより、公衆安全を最優先に業務を遂行する。
(2)社会持続性(将来世代に資する産業基盤の構築)
建設生産性の向上だけでなく、地域の雇用、災害時の生活維持、環境負荷低減を両立させる必要がある。そのため、地域建設業者が継続的に参画できる施工計画とし、再生資材の活用、運搬距離の短縮、災害時の復旧優先順位を考慮して、地域社会の維持に資する建設生産体制を構築する。これにより、将来世代に必要な社会資本を持続的に引き継ぐ。
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講評
この答案は、持続可能な建設業の実現に向けて、資材調達、施工省力化、工程判断の統合管理を中心に整理できています。特に、建設生産プロセスを最重要課題とし、資材不足・労務制約・工程変更に対応する実務的な答案になっています。
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良いところ(評価できる点)
課題設定が実務的
省人施工、生産プロセス最適化、災害時初動復旧体制の3点は、担い手不足、時間外労働規制、地域の守り手という出題背景に合っています。
解決策の役割分担が明確
資材調達の安定化、プレキャストによる省人化、BIM/CIMによる判断迅速化と、解決策が重複せず整理されています。特に、調達・施工・工程判断を一体で扱っている点は評価できます。
技術的具体性が高い
再生骨材、発生土、プレキャスト部材、機械式継手、自己充填コンクリート、4D施工シミュレーションなど、具体的な技術名と施工上の留意点が示されています。
懸念事項と対策が答案全体とつながっている
代替資材や省人施工法への過度な依存を懸念し、地域条件別の実績蓄積、品質データ管理、モニタリング、フィードバック管理を示しており、論理の流れが自然です。
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改善できる点(さらに可能性を広げるために)
最重要課題の理由をもう少し明確にする
建設生産プロセスの最適化を最重要とした理由は妥当ですが、担い手不足下で品質・工程・安全を同時に維持する基盤だからという説明を加えると、より説得力が増します。
災害時対応との結び付け
課題③で災害時初動復旧体制を挙げていますが、問2以降ではやや薄くなっています。生産プロセス最適化が、災害時の資機材配分や応急復旧工程の迅速化にもつながることを補うと一体感が高まります。
倫理面の具体化
公衆安全を最優先する姿勢は適切です。さらに、代替資材や省人施工を採用する際の品質確認記録、説明責任、第三者影響の確認まで書けると、技術者倫理としてより具体的になります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、施工現場の制約条件を具体的に捉え、実行可能な対策へ落とし込む力があります。特に、資材・施工・工程を一体で考えられている点は大きな強みです。
今後は、個別技術を列挙するだけでなく、担い手確保、地域建設業の維持、災害対応力強化との関係をさらに明確にすれば、より出題意図に沿った答案になります。実務性の高い答案として、十分に発展性があります。
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答案4 選択科目:施工・積算 専門事項:施工計画立案 作成日:2025.11.09
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1.多面的な観点からの課題
(1)長時間労働等就労環境の改善
効率的な施工の観点から、ICT技術の活用やコンクリート工事におけるプレキャスト化等を実施することにより工期の短縮を図る。また、建設現場は人に依存した作業を行っているため、これらの技術を活用することにより、長時間労働の是正を図り、週休2日工事を確保する。
(2)建設産業の魅力の発信
技術者・技能労働者確保の観点から、建設産業は、「きつい・きたない・危険」の3Kに代表されるようにイメージが悪く、魅力のない業種となっている。そのため、朝礼・点呼時における大型電子モニターや、現場業務における電子タブレット等のICT技術を積極的に活用してイメージアップを図り、若年者や女性に魅力のある建設産業をアピールする。
(3)技術継承の推進
技術力確保の観点から、建設現場では現場技術者・技能労働者の高齢化が進んでおり、高度な技術を持っている熟練技術者・技能者の大量離職が懸念されている。高齢熟練技術者・技能者が持っている技術を、若年者に継承していく必要があり、OJTやOFF-JTを積極的に活用する。
2.最も重要な課題と複数の解決策
最重要課題として、長時間労働等就労環境の改善を挙げる。
(1)ICTの積極的な活用
測量・点検業務では、ドローンやロボット等を活用して、測量や点検業務を行う。ドローンによる測量業務では、複数人で実施していた測量業務を操作員1名で行うことができる。また、ドローンによる点検業務では、設置に1か月程度必要な吊り足場が不要となる。報告書作成業務においても、データを取り出し整理するだけで済むため、少ない作業員で効率的に行える。
(2)コンクリート工の規格の標準化
コンクリート打設作業では、鉄筋組立から始まり、型枠を設置しコンクリートを打設する。打設作業は、天候にも左右されるため効率的に作業を行うことができない。室内においても、コンクリート打設が可能であるプレキャスト化を行う。
(3)施工時期の平準化
補修工事では、上半期に調査・設計を行い、下半期に施工業務を行っている。そのため、施工時期が集中し、作業員を確保することが困難な状況になっている。施工時期を平準化することにより、不足する作業員を確保する。
(4)BIM/CIMの活用
二次元データによる設計図面から、鉄筋を組み立てると、施工手順を検討しても鉄筋同士が干渉し、鉄筋が組み立てられない状況が発生する。切断箇所等の検討が必要となり、手戻り作業が発生する。BIM/CIMによる三次元データを活用すれば、設計図面を立体的に表せるため、効率的に作業を行うことができる。
3.波及効果と懸念事項への対応策
(1)波及効果
災害発生時では早急な対応が求められるため、ICT技術を活用する。土砂災害により人が入り込めない個所等の点検業務においては、ロボット等を活用することにより、早急かつ効率的に作業ができる。
(2)懸念事項と対応策
①ICTが高価
懸念事項:中小企業等では、ICT建機の購入は高価である。対応策:購入した企業には、補助金を配布する。また、発注図面に、ICT建機の使用を明記する。
②ICT基準の整備
懸念事項:ICT施工のためのガイドラインが、整備されていない。対応策:関係者を集めて、基準を整備する。また、活用したデータを蓄積して事例集を作成する。
4.業務遂行要件
(1)技術者としての倫理
災害発生時においては、住民の安全を最優先して、インフラの安全性を確保していく。
(2)社会の持続性の観点
PDCAによる取り組みを評価し、改善し続けることにより、災害時に多大な被害が発生しないようにする。
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講評
この答案は、建設業の持続可能性について、長時間労働の是正、建設産業の魅力向上、技術継承という基本的な課題を整理できています。特に、ICT、プレキャスト化、施工時期の平準化、BIM/CIMを解決策として挙げ、建設現場の生産性向上に結び付けようとしている点は評価できます。
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良いところ(評価できる点)
課題の方向性が分かりやすい
長時間労働、若年者不足、熟練技能者の離職という建設業の主要問題を押さえています。出題背景にある担い手不足と働き方改革を意識できています。
解決策が具体的
ドローン、ロボット、プレキャスト化、施工時期の平準化、BIM/CIMなど、実際の建設現場で活用可能な手段を挙げられています。
現場作業の効率化に着目できている
測量、点検、コンクリート工、鉄筋干渉など、現場で発生する手戻りや非効率を具体的に捉えています。施工経験に基づく実感が表れています。
中小企業への配慮がある
ICT建機が高価であることを懸念事項に挙げ、補助金や発注図面への明記を対策として示している点は、現実的な視点です。
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改善できる点(さらに可能性を広げるために)
技術課題としての表現を強める
課題が「長時間労働の改善」「魅力発信」など一般論に近くなっています。少人数でも品質・工程を維持できる施工体制の構築など、技術的方針として表現すると答案が引き締まります。
最重要課題と解決策の一体感
最重要課題は就労環境改善ですが、解決策はICT、プレキャスト、平準化、BIM/CIMが並列になっています。各解決策がどのように労働時間削減や週休2日確保に効くのかを明確にすると説得力が増します。
懸念事項の掘り下げ
ICTが高価、基準未整備という指摘は適切です。さらに、ICT人材不足、データ品質、機器故障、サイバーリスクなどを加えると、より現代的な答案になります。
倫理・持続性が短い
業務遂行要件は方向性として正しいですが、記述量が少なく、出題の要求に対して弱く見えます。公衆安全、品質確保、説明責任、地域建設業の維持、若手育成まで具体化するとよくなります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、現場作業の非効率や改善手段を具体的に捉える力があります。特に、ドローン点検、プレキャスト化、BIM/CIMによる手戻り防止など、実務に即した着眼は良好です。
今後は、個別技術を列挙するだけでなく、課題、解決策、懸念事項、倫理・持続性を一つの流れで結び付ける力を伸ばすと、答案の完成度が上がります。技術的方針として表現する意識を持てば、さらに説得力のある答案になります。
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答案5 選択科目:土質及び基礎 専門事項:土質調査並びに地盤 作成日:2026.5.1
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(1)課題
1) 定量的リスク評価で対策工判断迅速化
地域対応力の持続性の観点から属人化を排した定量的なリスク評価手法を構築し対策工判断を迅速化する。災害時の体制混乱時でも対策工優先順位の決定が円滑に行える体制を構築する。個別の技術判断を標準化することで意思決定を迅速化し、限られた人員でも複数の現場に対応可能な体制とする。
2) 施工管理自動化による施工体制の高度化
時間外制約下への対応の観点から建設プロセス最適化のため施工管理体制を自動化する。地盤変位・地下水変動などの周辺環境影響や弱部をリスク区分し他工区施工へ活用する。埋戻し箇所などの不可視部の高リスク箇所の特定が可能となることで施工検討を重点化し手戻りを防止する。
3) 設計判断プロセスの標準化
技術継承の断絶のリスクの観点から調査・解析・評価を統合管理し設計判断プロセスを標準化する。判断プロセスは随時、業務成果を蓄積し技術判断を改善可能な技術判断体系とする。属人的なノウハウを形式知化し、組織的な技術判断の継続的な運用を確立する。
(2)解決策
重要課題(1)1)定量的リスク評価で対策工判断迅速化
1) 観測同化で地盤安定度評価
災害時は現地調査が困難なため、観測データで構造物・地盤の安定度を評価しリスク別に対策工要否判断をする。変位量、常時微動など観測データに基づきリスク区分し対策工順位を決定する。リスク判定の閾値は感度分析で根入れ深さや変位量などから決定し許容値を設定・管理する。リスクレベルに応じた根固め工や地盤改良などの対策工判断を標準化する。これにより高リスク箇所の対策工判断を迅速化しインフラの安全性を確保する。
2) 降雨連動型地形モデル解析による危険度予測
人手不足下で広域点検は困難なため、数値解析で崩壊危険度をリスクランク区分し対策工実施の優先度を判断する。リスクの広域評価を可能とするため降雨量、水位観測を活用した地形解析で崩壊危険度を評価する。応急対策工実施判断は崩壊確率推移、被災影響度をリスク区分し優先対応順位を決定する。解析定数は文献値を参考に実績との再現計算手法を標準化する。対策工優先順位を明確にすることで限られた技術者を計画的に配置し応急対策工判断を迅速化する。
3)インフラの性能照査で対策工判断
震災被害を抑制するため定量的な性能照査で対策工判断する体制を構築する。地震動と微地形区分から構造物の被災影響度を概略的に評価し、詳細調査箇所を重点化することで照査数量を削減する。地盤構造物の要求性能を考慮した許容変動量を設定し、設計照査する手法を標準化する。要求性能を満たさない場合は地盤改良などの補強対策工を計画・実施し震災時のインフラ機能を確保する。調査設計を重点化することで限られた人員で対策工判断を迅速化する。
(3)懸念事項と対策
(懸念事項)定量的なリスク評価は観測データ・地盤状況・構造物の劣化などの解析条件が未更新の場合、構造物の剛性低下や地盤劣化などを解析結果に反映できず対策工優先順位を誤認し被災リスクが増加する。
(対策)劣化予測と実測の乖離を監視し統計的(95%CIなど)に評価する体制を整備する。閾値超過時は原因究明のため感度分析で弱部を抽出し、現地重点調査や解析モデル更新の要否判断をする。段階的な判断フローを策定し対策工判断を統制する。
(4)技術者倫理と社会の持続性
(技術者倫理)地盤不確実性を標準偏差などの定量的な統計的指標で示す。また、部材の性能低下による構造解析定数の低減根拠を明確にして説明責任を果たす。根拠不十分時は追加調査を提案し不確実性を抑制し公衆の安全を最優先にした技術判断をする。
(社会の持続性)予防保全型の維持管理体制を導入しインフラの長寿命化に資する。広域監視体制で点検作業を軽減する。また、点検・補修結果をリスク評価し統合管理することで限られた人員でも持続可能なインフラ維持管理体制を構築する。
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講評
この答案は、持続可能な建設業の実現に対して、定量的リスク評価による意思決定の迅速化という独自性のある切り口から論述できています。特に、観測データ、数値解析、性能照査を活用し、限られた人員の中でも効率的に対策工判断を行うという考え方は、技術士に求められる技術的思考がよく表れています。
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良いところ(評価できる点)
技術的な一貫性が高い
課題、解決策、懸念事項、倫理まで一貫して定量的リスク評価を軸に構成されており、答案全体の統一感があります。
解決策の専門性が高い
観測同化、降雨連動型地形解析、性能照査など、地盤・防災分野の専門技術を活用して対策工判断を行う内容となっており、技術的な深みがあります。
人員不足への対応が明確
単なるDX活用ではなく、限られた技術者を重点配置するための優先順位付けとして技術を活用しており、担い手不足への対応策として成立しています。
懸念事項と対策が論理的
データ未更新による誤判定というリスクを挙げ、感度分析やモデル更新による改善策を示しており、PDCA的な運用まで考えられています。
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改善できる点(さらに可能性を広げるために)
出題テーマとの結び付き
答案は非常に技術的で完成度が高い一方で、問題文が求める建設業の担い手確保、働き方改革、地域の守り手としての役割への言及がやや弱くなっています。技術導入によってどのように人材不足や労働時間削減に寄与するかを補足すると、出題意図との適合性が高まります。
課題②との関係
課題②は施工管理自動化ですが、解決策は主にリスク評価と対策工判断に集中しています。施工管理自動化との関係をもう少し明確にすると、課題間の連携が強くなります。
社会的視点の補強
技術面は非常に充実していますが、地域建設業の維持、若手技術者育成、技術継承といった社会的課題への言及を加えると、多面的な答案になります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、高度な技術を用いて複雑な課題を論理的に整理する能力を持っています。特に、データ解析、リスク評価、性能照査といった専門技術を答案に落とし込む力は大きな強みです。
今後は、技術的合理性に加えて、人材、組織、地域社会といったマネジメント視点を加えることで、技術士試験で求められる多面的な答案へ発展できます。専門性は十分高いため、社会的な視点とのバランスを取ることが今後の成長の鍵となるでしょう。
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問題文
第5次社会資本整備重点計画では、3つの中長期的な目的として「国民の安全・安心の確保」「持続可能な地域社会の形成」「経済成長の実現」が掲げられている。 このうち「経済成長の実現」については、国際競争力強化等に資する社会資本の重点整備や地域の基幹産業の振興を支える基盤整備などの取組が進められ、近年は、観光の活性化、製造業等の国内回帰や配置・集積の見直し、DX・GX分野等の成長産業への構造転換などに対応する社会資本整備の重要性も増している。 このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。
1. 経済成長の実現を目的として、我が国の国際競争力の強化や地域産業の振興に必要な社会資本整備を進めるに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。(※) (※)解答の際には、必ず観点を述べてから技術課題を示せ。
2. 前問(1)で抽出した技術課題のうち、最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を示せ。
3. 前問(2)で示したすべての解決策の実行により期待される波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
4. 前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から述べよ。
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問題文の解説
出題者の意図
この問題は、社会資本整備を通じて、我が国の経済成長をどのように実現するかを考えてください、という問いです。特に、第5次社会資本整備重点計画で掲げられている「経済成長の実現」を背景に、国際競争力の強化、地域産業の振興、観光活性化、製造業の国内回帰、DX・GX分野への対応などを支える社会資本整備を、技術者の立場から提案する力を見ています。
ただ道路、港湾、空港、鉄道、エネルギー施設などを整備すると書くだけではなく、経済成長につながる課題を見つける力、課題の中から特に重要なものを選び解決策を考える力、実行したときの波及効果と懸念事項を予測し備える力、それを安全で公平に持続的に進めるための心構えを、一つのストーリーとして順序立てて書けるかどうかを評価します。
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得点のポイント
設問1 観点と課題の書き方
まず、「何を重視する視点、すなわち観点なのか」を短くはっきり書きます。例えば、「物流効率化の観点から」「産業立地支援の観点から」「地域活性化の観点から」などです。その上で、その観点に基づいた課題を「〜する」と提案型で表現します。「不足している」「遅れている」ではなく、前向きな技術方針として書くことが重要です。観点は、国際物流、地域産業、観光、DX・GX、エネルギー、維持管理など、多方面から3つそろえるとバランスが良くなります。
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設問2 最重要課題と解決策
設問1で挙げた3つの課題の中から、「これが一番大事」と思うものを一つ選びます。解決策は3つほど示し、できるだけ違う角度からの方法にします。例えば、国際競争力強化を重視するなら、港湾・空港機能の強化、広域道路ネットワークの整備、物流DXによる輸送効率化などが考えられます。同じことを言い換えるのではなく、施設整備、運用改善、デジタル活用など、別の切り口にすると答案に厚みが出ます。また、「なぜそれが経済成長につながるのか」まで説明すると説得力が高まります。
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設問3 波及効果と懸念事項への対応
設問2で示した解決策を実行することで、物流コストの削減、企業立地の促進、地域雇用の創出、観光需要の拡大、地域経済の活性化などの波及効果が期待できます。一方で、需要予測の不確実性、建設費や維持管理費の増大、地域間格差の拡大、サイバーセキュリティリスク、エネルギー供給制約などの懸念も生じます。そのため、段階的整備、費用対効果の定期評価、バックアップ体制整備、データ管理体制強化、地域間バランスの継続確認など、専門技術を踏まえた現実的な対応策を示すことが重要です。
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設問4 倫理と社会の持続性
技術者倫理では、安全性、公平性、説明責任をどのように確保するかを、自分の行動として示します。また、社会の持続性では、経済成長だけでなく、環境負荷低減、地域社会との共存、将来世代へのインフラ資産継承、維持管理費の縮減など、長期的な視点を入れることが重要です。GXやカーボンニュートラルへの対応、地域産業との共生まで述べると、経済成長と持続可能性の両立を示す答案になります。
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この問題で問われている本質
この問題は、単なるインフラ整備の提案ではありません。出題者は、**「社会資本整備をどのように経済成長へ結び付けるか」**という国家的な課題に対して、技術者としてどのような戦略を描けるかを見ています。
そのため、課題 → 最重要課題 → 解決策 → 波及効果・懸念事項 → 倫理・社会性という流れを意識しながら、物流、産業立地、観光、DX、GXなどを結び付けて論述することが高得点へのポイントとなります。
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答案1 選択科目:都市及び地方計画 専門事項:地域計画 作成日:2026/6/4
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1.多面的観点からの技術課題
①産業用地の計画的確保
成長産業集積形成の観点から、IC、港湾、空港、既存工業団地周辺等の交通利便性、災害リスク、用地確保可能性及び周辺土地利用をGIS等で重ね合わせ評価し、製造業、物流、GX関連産業等の立地に適した産業用地を計画的に選定・確保する。
②広域物流ネットワークの強化
国際競争力強化の観点から、港湾、空港、高規格道路及びIC周辺物流拠点を結節点として接続し、代替輸送ルート、モード分担及び災害時迂回機能を確保して、輸送時間短縮と物流機能の強靱化を図る。
③既存都市基盤の再編活用
既存ストック活用の観点から、道路、上下水道、雨水排水施設及びエネルギー供給基盤の余裕容量と不足箇所を評価し、低未利用地周辺の不足基盤を重点補強して、既存インフラを活かした産業立地基盤を形成する。
2.最重要課題と解決策
最重要課題は、①「産業用地の計画的確保」とする。ここでは、単に産業用地を確保するのではなく、交通利便性、防災性、用地連担性、既存インフラ容量及び周辺土地利用を一体的に評価し、製造業、物流、GX関連産業等の成長産業の立地に適した区域を技術的に選定する。
①多面的評価による候補地選定
候補地選定では、IC・港湾・空港への到達時間、浸水深、液状化可能性、用地連担性、既存インフラ余裕容量を評価指標化する。さらに、浸水深が大きい区域、住宅地への近接影響が大きい区域、基盤容量が不足する区域を除外条件として設定し、交通利便性、防災性、用地連担性を重み付け評価して優先区域を段階区分する。これにより、産業立地に必要な交通、防災、基盤容量を満たす候補地を技術的に絞り込む。
②土地利用制度を活用した産業機能誘導
選定した候補地について、地区計画、用途地域、開発許可基準を組み合わせ、産業施設、物流動線、緩衝緑地、雨水貯留施設を区域内で機能分担させる。これにより住宅地への影響を抑えつつ、産業機能を計画的に受け入れる土地利用条件を整える。
③産業基盤の重点整備・機能強化
候補地ごとに、先行整備すべきアクセス道路、交差点処理、雨水排水幹線、受電・エネルギー供給基盤を抽出し、企業立地の進度に応じて拡張可能な基盤整備計画を策定する。これにより過大投資を避けながら、産業立地に必要な基盤性能を段階的に確保する。
3.波及効果と懸念事項
①波及効果;産業立地適地を技術的に選定することで、企業は交通、防災、基盤容量の条件を事前に把握でき、立地判断が迅速化する。また、行政は道路、排水、エネルギー基盤の重点整備区域を明確化でき、後追い整備や周辺環境対策を抑制できる。その結果、民間投資の誘発、関連企業の集積、地域雇用の拡大、物流効率の向上が期待できる。
②懸念事項;適地選定により特定区域へ企業立地が集中し、想定を超える大型車交通、雨水流出、電力需要が発生するおそれがある。このため、交通量、流出量、電力需要を企業立地段階ごとに再評価し、交差点改良、動線分離、雨水貯留施設、エネルギー供給設備を段階的に増強する。また、操業開始後も交通・排水・騒音をモニタリングし、基準超過前に追加対策を講じる。
4.技術者倫理・社会持続性
①技術者倫理;技術者倫理の観点から、企業誘致による経済効果のみを優先せず、交通安全、浸水リスク、騒音・振動、雨水流出及び周辺住民の生活環境を同一の評価軸で比較し、公衆の安全、健康及び福利を優先して判断する。また、評価条件、除外区域及び優先順位の根拠を明示し、利害関係者へ説明可能な形で意思決定する。
②社会持続性;社会の持続性の観点から、産業用地整備を単なる企業誘致にとどめず、地域雇用の創出、脱炭素型エネルギー利用、災害時の事業継続及び既存インフラの長寿命化を組み合わせて進める。これにより、経済成長、産業基盤の強化、地域生活環境の維持、防災性向上及び将来世代の維持管理負担軽減を同時に実現する。
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講評
概要(出題趣旨への適合性・得点力の大まかな判断)
本答案は、経済成長の実現に向けた社会資本整備について、産業用地、物流ネットワーク、既存都市基盤の3点から整理できています。特に、最重要課題を産業用地の計画的確保に絞り、交通利便性、防災性、インフラ容量を一体的に評価している点は、実務的で説得力があります。
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評価できるところ
産業立地を技術的に評価している点
GIS等を用いて交通条件、災害リスク、用地連担性、インフラ容量を評価する発想は良好です。単なる企業誘致ではなく、技術的根拠に基づく適地選定になっています。
解決策の流れが明確
候補地選定、土地利用制度の活用、産業基盤の重点整備という流れが整理されており、答案全体の軸がぶれていません。
懸念事項が現実的
企業立地集中による大型車交通、雨水流出、電力需要の増大を挙げ、段階的な再評価と追加対策を示している点は実務的です。
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改善点
国際競争力との結び付け
港湾・空港・高規格道路との接続、輸出入物流、サプライチェーン強化まで触れると、出題趣旨への適合性がさらに高まります。
DX・GX分野の具体化
GX関連産業には触れていますが、再エネ、半導体、蓄電池、データセンターなど、成長産業の具体像を入れると説得力が増します。
文章の簡潔化
評価指標が多く並ぶ箇所は、やや読みにくくなっています。結論を先に示し、指標を絞って説明すると、採点者に伝わりやすくなります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、土地利用計画、都市基盤整備、産業立地評価を実務的な視点で整理する力を持っています。特に、用地、交通、防災、インフラ容量を関連付けて論理的に構成できる点は大きな強みです。
今後は、現在の得意分野に加えて、国際物流、DX・GX、観光振興、地域雇用創出といった経済成長の視点を補強すると、より多面的で完成度の高い答案になります。技術的な骨格は十分できているため、社会的・経済的な視点を広げることでさらに高得点を狙えるでしょう。
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答案2 専門科目:道路 専門事項:交通安全対策調査 作成2025.7.21
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1.社会資本整備における観点と技術的課題
(1)経済成長を支える産業競争力強化
日本では交通混雑や移動時間の長さが企業立地の制約となり、物流の時間信頼性の低下がサプライチェーン全体の生産性を阻害している。とりわけ国際物流では、港湾・空港までのアクセスが弱く、都市部の渋滞が国際競争力低下の一因となる。産業競争力の強化には、広域道路ネットワークの機能向上と、交通結節点の効率化を通じて物流の安定性と速度を高めることが重要である。
(2)財政制約下での持続的投資
人口減少により税収は減少し、社会保障費は増加している。限られた財源で社会資本整備・維持更新を継続するためには、ライフサイクルコストを抑えながら効果を最大化する技術選定が不可欠である。既存道路の高度活用、ITS・センシング技術による維持管理の効率化など、投資の重点化と合理的な費用対効果評価が求められる。
(3)担い手不足への対応
建設業では高齢化が進み、熟練施工者の退職により施工力維持が深刻な課題となっている。省力化施工の導入、デジタル施工の普及、工法標準化などにより、少ない人員でも高品質な施工と効率的な維持管理が行える体系を構築する必要がある。担い手不足を前提にした新たな施工・維持管理システムが求められる。
2.最重要課題とその解決策
最重要課題:産業競争力を支える道路ネットワーク機能の強化
解決策① 広域道路ネットワークの整備
三大都市圏環状道路やミッシングリンクの解消により渋滞が減少し、物流の定時性が向上する。これにより輸送の時間信頼性が高まり、生産・流通の効率化を通じて企業の国際競争力が強化される。
解決策② 空港・港湾アクセス道路の強化
主要港湾・空港と都市圏を結ぶアクセス道路の整備により、国際物流の円滑化と貨物滞留の縮減が図られる。加えて、観光アクセスの改善により地域産業の活性化にも資する。
解決策③ 交通結節点の高度化
鉄道・バス・自動車が連携する交通結節点の整備により、旅客・物流双方で乗換効率が向上する。観光回遊性の拡大、物流モーダル連携の強化を通じて、生産性向上に寄与する。
3.波及効果と懸念事項・対応策
(1)波及効果
広域ネットワークの最適化により渋滞が緩和され、CO₂削減に大きく貢献する。物流効率向上は企業立地を促進し、地域経済の活性化と新たな雇用機会創出につながる。
(2)懸念事項
広域道路整備には高コストと長期間を要し、人口減少地域では投資効果が不透明となる。また沿道環境への騒音・大気汚染、橋梁・トンネルが災害で寸断した際のリスク集中も課題である。
(3)対応策
ETC2.0データ分析による渋滞箇所の可視化、付加車線・リバーシブルレーン等の局所対策を組み合わせ、低コストで大きな効果を得る改善を進める。ロードプライシングや所要時間予測、駐車場満空情報の提供などのソフト施策を併用し、社会的受容性を確保しながら整備を進める。併せて防災性向上の観点から道路ネットワークの必要性を説明し、理解を促す。
4.倫理と社会持続性
1.倫理
技術者は公共の安全・利益を最優先とし、経済性を重視する局面でも信頼性と安全性を損なわない判断を行う。利害調整では中立性を保ち、合理的根拠に基づく透明性の高い説明責任を果たすことが求められる。
2.社会持続性
環境負荷低減のため、渋滞緩和によるCO₂削減や低炭素型材料の活用、維持管理性を重視した構造選定を進める。人口減少下では既存ストックの賢明な活用と需要に応じたコンパクトな道路ネットワーク形成が重要である。
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講評
概要(出題趣旨への適合性・得点力の大まかな判断)
本答案は、経済成長の実現に向けた社会資本整備について、道路ネットワークを中心に整理できています。特に、広域道路、港湾・空港アクセス、交通結節点を通じて、物流効率化と産業競争力強化につなげようとしている点は、出題趣旨に沿っています。
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評価できるところ
最重要課題が明確
「産業競争力を支える道路ネットワーク機能の強化」を最重要課題に設定しており、設問の経済成長・国際競争力強化というテーマと整合しています。
解決策の方向性が分かりやすい
広域道路ネットワーク、港湾・空港アクセス、交通結節点の高度化という3つの解決策は、役割分担が明確です。物流、観光、地域産業への効果も意識できています。
懸念事項と対応策が現実的
高コスト、長期化、沿道環境、災害時寸断リスクを挙げ、ETC2.0データ、局所対策、ソフト施策を組み合わせている点は実務的です。
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改善点
観点と課題の書き方
設問1では「観点を明記して課題を示す」ことが求められています。現状は説明文が長く、観点と課題がやや見えにくくなっています。例えば、物流効率化の観点から、広域道路ネットワークの機能を強化するのように、短く示すと分かりやすくなります。
成長産業との結び付き
道路整備の答案としては良い一方で、問題文にある製造業の国内回帰、DX・GX分野、成長産業への構造転換との関係がやや薄いです。半導体、蓄電池、再エネ関連産業、データセンターなどへの立地支援に触れると説得力が増します。
波及効果の広がり
渋滞緩和やCO₂削減は適切ですが、経済成長の問題なので、企業立地、輸出入物流、サプライチェーン強化、地域雇用創出をもう少し前面に出すとよいです。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、道路ネットワークと物流効率化を経済成長に結び付けて考える力があります。特に、広域道路、港湾・空港アクセス、交通結節点を一体で捉えている点は強みです。
今後は、道路整備を単独で論じるだけでなく、産業立地、GX・DX産業、観光、地域雇用との関係をもう一段加えると、より多面的で得点力の高い答案になります。
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問題文
粘性土のせん断強度を求める室内土質試験として、一軸圧縮試験と三軸圧縮試験が用いられている。それぞれの試験の概要と留意点について述べよ。また、一軸圧縮試験と三軸圧縮試験の一般的な使い分けについて述べよ。
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問題文の解説
この問題は、粘性土のせん断強度を求める室内土質試験として、一軸圧縮試験と三軸圧縮試験の違いを理解しているかを確認するものです。
出題者は、次の3点を整理して説明することを求めています。
1.試験概要
1)一軸圧縮試験
側方拘束を与えない供試体に軸方向荷重を加え、一軸圧縮強さを求める試験です。主に、粘性土の非排水せん断強度を簡便に把握するために用いられます。
2)三軸圧縮試験
供試体に拘束圧を与えた状態で軸方向荷重を加え、応力条件を管理しながらせん断強度を求める試験です。排水条件を変えることで、UU、CU、CD試験などとして実施できます。
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2.試験上の留意点
1)一軸圧縮試験の留意点
試験が簡便で迅速に実施できる一方、自立可能な粘性土に限られること、供試体の乱れや含水比の変化に影響されやすいことに注意します。また、側方拘束がないため、実地盤の応力状態を十分に再現できません。
2)三軸圧縮試験の留意点
拘束圧や排水条件を設定できるため、実地盤条件に近い評価が可能です。ただし、試験装置が複雑で時間を要し、供試体の飽和度、圧密条件、排水条件の管理が重要です。
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3.一般的な使い分け
1)一軸圧縮試験を用いる場合
軟弱粘性土の非排水せん断強度を簡便に把握したい場合や、多数の試料を効率的に比較したい場合に用います。
2)三軸圧縮試験を用いる場合
盛土、掘削、斜面安定、基礎設計などで、拘束圧や排水条件を考慮した精度の高い強度定数が必要な場合に用います。
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4.まとめ
この問題では、
①試験方法の概要、
②試験上の留意点、
③両試験の使い分け
を、順序立てて説明することが得点のポイントです。
特に、一軸圧縮試験は簡便な強度把握、三軸圧縮試験は応力条件を考慮した詳細評価という違いを明確に書くことが重要です。
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答案 専門科目 土質及び基礎 専門事項 土質調査並びに地盤 作成日 2025.9.10
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1 概要と留意点
1)一軸圧縮試験
概要:自立する共試体を無拘束・非排水条件で軸方向に圧縮し一軸圧縮強度quを測定する。
留意点:非排水せん断強度はsu=qu/2である。試験可否を共試体の自立性やクラックの有無で確認する。ばらつきが大きい場合は試験本数を増やすかUUで再試験する。端面摩擦軽減にはテフロン板を用い、載荷速度を適正に設定する。
2)三軸圧縮試験
概要:共試体に拘束圧を加え圧密後軸方向に圧縮する。UU(非圧密、非排水圧縮)は短期安定に対する全応力強度(φ=0)を得る。CUb(圧密、非排水圧縮)は間隙水圧を測定し長期安定に対する有効応力強度c’、φ’を得る。
留意点:背圧飽和でB値0.95以上を確認する。圧密条件は有効土被り圧を考慮し設定する。載荷速度は間隙水圧が影響しない速度とする。端面摩擦はテフロン板や回転キャップで軽減する。
2 使い分け
1)短期安定は全応力強度で評価し、一軸圧縮試験かUUを用いる。共試体が自立しない場合はUUを実施する。
2)長期安定は有効応力強度で評価し、CUbを用いる。
3)応力履歴を持つ過圧密粘土は異方圧密三軸(k0条件など)で応力履歴を反映する。
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講評
この答案は、一軸圧縮試験と三軸圧縮試験の概要、留意点、使い分けを簡潔に整理できています。特に、su=qu/2、UU、CUb、B値、k₀条件などの専門用語を適切に用いており、土質試験の理解度が高い答案です。
評価できるところ
試験概要が明確
一軸圧縮試験は無拘束・非排水条件、三軸圧縮試験は拘束圧を与える試験として、違いを分かりやすく説明できています。
留意点が実務的
供試体の自立性、クラック、B値0.95以上、圧密条件、端面摩擦など、試験精度に関わる重要事項が押さえられています。
使い分けが適切
短期安定は一軸圧縮試験又はUU、長期安定はCUbという整理が明確です。過圧密粘土で異方圧密三軸に触れている点も良好です。
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改善できるところ
留意点の整理
内容は良いですが、留意点を供試体条件、試験条件、測定精度などに分けると、採点者により伝わりやすくなります。
三軸試験の原理補足
CUbについて、圧密後に非排水載荷し、間隙水圧を測定して有効応力強度を求めるという説明を一文加えると、より明確になります。
用語の補足
B値やk₀条件などは適切ですが、短い補足を添えると、専門性と読みやすさのバランスがさらに良くなります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、土質試験の目的と適用範囲を体系的に理解していることが伝わります。短期・長期安定、全応力・有効応力を関連付けて説明できている点は強みです。
今後は、専門用語を使うだけでなく、試験原理や適用理由をもう一段分かりやすく補足できると、さらに得点力の高い答案になります。
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Ⅱ-2-1
問題文
模式図に示すように臨海地域の埋立地盤上に半地下構造の貯水槽を新たに建設する計画がある。また,この貯水槽には地中管が接続され,近傍には他事業者所有の事務所棟が存在している。貯水槽の仕様は,外径Φ12m,地下部分深さ5m,地上高さ5m,運転貯水深7m(EL+2.0m~+9.0m)となっており,ハーフプレキャスト構造であり,部材等は耐震含め要求性能を満足している。一方で,供用後に起こりうる地盤の変状についての検討をこれから行わなければならない。
貯水槽と地中管を建設するに当たり,計画業務の責任者として調査·設計·施工の複数の段階において,土質及び基礎を専門とする技術者の立場から下記の内容について記述せよ。なお,事務所棟は杭基礎構造であり常時·地震時ともに支持力や部材の健全性は確保されているとの情報を得ている。
(1)貯水槽と地中管の建設における調査·設計·施工の段階のうち,2つ以上の段階において検討すべき事項をそれぞれ挙げて説明せよ。
(2)本業務を進める手順を列挙して,それぞれの項目ごとに留意すべき点,工夫を要する点を述べよ。
(3)本業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
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問題文の解説
この問題は、地震で崩壊した谷渡り鉄道盛土の復旧と耐震性向上について、土質及び基礎の技術者として、原因分析、復旧構造、施工手順、関係者調整を説明できるかを問うものです。
1.被災原因と復旧構造
沢部を埋め立てた盛土であり、露出した地山から湧水も確認されているため、集水地形、地下水上昇、排水不良、地震時の強度低下が主な被災要因と考えられます。また、道路盛土にも亀裂・はらみ出しがあるため、鉄道盛土と道路盛土を一体の不安定斜面として見る必要があります。
復旧構造としては、例えば排水対策を併用した補強土盛土、地山補強土工、抑止杭、軽量盛土などが考えられます。答案では、現実的な構造を1つ選び、調査・設計・施工の各段階に展開することが重要です。
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2.調査・設計・施工の検討事項
調査では、崩壊範囲、すべり面、地山形状、盛土材料、地下水位、湧水経路、道路盛土の変状範囲を確認します。
設計では、地震時安定性、排水施設、補強材配置、仮設安定、道路交通を維持する施工ステップを検討します。単なる原形復旧ではなく、耐震性向上を満たすことがポイントです。
施工では、湧水処理、仮排水、段階施工、変位観測、道路交通確保を行います。施工中に道路盛土の変状が進まないよう、計測管理しながら進めることが重要です。
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3.復旧業務の手順
復旧業務は、①応急安全確認、②地盤・地下水・道路盛土の調査、③被災原因の推定、④復旧構造の選定、⑤詳細設計、⑥施工・計測管理、⑦完了確認・維持管理、の流れで整理します。
各段階で、二次災害防止、交通機能維持、耐震性向上、施工中の安全確保を意識することが得点につながります。
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4.関係者調整
県道は迂回路がなく、市街地への唯一のルートであるため、全面通行止めを前提にできません。鉄道事業者、道路管理者、警察、自治体、住民、施工者と調整し、片側交互通行、時間帯規制、仮設道路、施工ヤード分離などにより、復旧工事と交通機能維持を両立させます。
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まとめ
この問題では、沢部盛土、湧水、地震時不安定化、道路盛土変状、交通機能維持、耐震性向上を一体で考える力が問われています。
得点のポイントは、①被災原因を地盤・地下水から説明すること、②現実的な復旧構造を選ぶこと、③調査・設計・施工・調整を一連の流れで説明することです。
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答案 専門科目 土質及び基礎 専門事項 土質調査並びに地盤 作成日 2025.11.16
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(1)被災原因を踏まえた復旧構造、検討事項
被災原因は老朽化によるせん断強度の減少、排水機能劣化による間隙水圧の上昇である。復旧構造は補強土盛土(排水路併設型)とする。
1)調査 地層、水理モデルの検討
地下水観測結果を浸透流解析の境界条件に反映し、間隙水圧分布を評価する。コア判定、土質試験、PS検層から弱層を抽出し地震応答解析に必要な地質構造モデルを構築する。
2)設計 耐震性向上設計の検討
飽和不飽和浸透流解析で局所動水勾配や揚圧力によるパイピング可能性を評価する。地盤の減衰特性を考慮した応答加速度波形を用いた地震応答解析で鉄道盛土、道路盛土の地震時残留変形量を評価する。
3)施工 2次崩壊防止検討
FEM解析で施工段階ごとの重機配置、資機材配置、土砂仮設ヤード荷重の影響を解析し、仮設補強(排水工、アンカー工など)の要否を検討し交通機能を維持確保する。
(2)手順
1)ボーリング調査・地下水観測
深度別透水試験結果を浸透流解析パラメータとすることで局所動水勾配変化分布を評価可能となりFEM解析のリスク抽出精度が向上する。
2)補強土壁材配置設計
浸透流解析で算定した間隙水圧を差し引いて地震応答解析(ニューマーク法)で許容地震時変位量を評価し、補強材の配置間隔や敷設長を最適化する。
3)仮排水路工・表面水排除工
水路断面設計は溢水、滞留が生じない許容流速を満たすよう合理式、マニング式で設計する。排水能力を定量的に検証することで地すべり進行を防止し県道交通機能を維持する。
4)吸出し防止材の選定・盛土材品質管理
フィルター材はTerzaghiのフィルター基準(5d15<D15 <5d85)で粒径を選定し透水性確保、目詰まり(パイピング)防止する。また、細粒分含有率(Fc)を抑制し引抜き抵抗を確保するため、盛土材のロッドごとにFc分析を行う。
(3)関係者との調整方策
1)道路管理者との調整(変状監視と交通機能調整)
地盤変位の進行状況を可視化するため地盤伸縮計、移動杭データを共有し通行規制発令体制を整える。大型車規制や片側交互通行などの交通制限フローを共同策定し交通機能と安全性を両立する。
2)施工業者との調整(動態観測と対策フローの策定)
過剰間隙水圧比と地下水位を日々監視し設計許容値との残差を図表として共有し、警戒段階ごとの対策(排水路の複線化、排水枡の揚水量増加など)を共同策定する。これにより安全性と交通機能を確保する。
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講評
この答案は、谷渡り盛土の被災原因を地下水・間隙水圧・地震時変形と結び付け、補強土盛土と排水対策を組み合わせて復旧する方針が明確です。浸透流解析、地震応答解析、FEM解析など専門技術を用いており、土質及び基礎分野としての専門性が高い答案です。
評価できるところ
被災原因と復旧構造の対応が良い
排水機能劣化による間隙水圧上昇を被災原因とし、排水路併設型の補強土盛土を選定している点は、問題条件に合っています。
調査・設計・施工の流れが専門的
地下水観測、土質試験、PS検層、浸透流解析、地震応答解析を使い、地盤条件から耐震性向上までつなげて説明できています。
道路機能維持への配慮がある
道路管理者との変状監視、通行規制フロー、片側交互通行などに触れており、県道交通を維持するという設問条件を意識できています。
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改善できるところ
被災原因の表現を少し整理する
「老朽化によるせん断強度の減少」だけではやや抽象的です。沢部集水、湧水、排水不良、地震時せん断変形、道路盛土荷重の影響まで整理すると、原因分析がさらに明確になります。
復旧業務の手順を実務順にする
(2)は技術的内容が充実していますが、いきなり解析や設計に入っている印象があります。応急安全確認、調査、原因推定、復旧方針決定、設計、施工、計測管理の順に並べると、業務遂行手順として読みやすくなります。
関係者調整の幅を広げる
道路管理者と施工業者への調整は良いですが、鉄道事業者、警察、自治体、住民との情報共有も必要です。特に唯一の県道であるため、交通規制、緊急車両、住民周知まで触れると設問への対応が強くなります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、解析技術を用いて地盤災害の原因と対策を論理的に組み立てる力があります。浸透流、地震応答、フィルター基準、動態観測などを適切に使えている点は大きな強みです。
今後は、高度な解析技術を並べるだけでなく、現場の復旧手順、交通機能維持、関係者調整をもう少し平易に整理すると、技術力が採点者にさらに伝わる答案になります。
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Ⅲ-1
問題文 2010年代後半より、建設分野におけるICT施工やデジタル技術の活用が推進され、生産性向上にも一定の効果がみられている。国土交通省は2016年度にICTの活用を進め、建設現場の生産性を2割向上させることを目標に掲げた。その結果,2022年度時点で直轄工事の87%にICTが導入され、作業時間は平均21%短縮された。測量では、ドローンの活用により、従来の4割の人工で作業が可能となった。施工管理においても、3D計測 技術の普及が進んでいる。また,ICTの活用は都道府県・政令指定都市や民間でも広がっている。
一方で、生産年齢人口の減少や高齢化、気候変動による災害の激甚化、インフラの老朽化が進む中、担い手不足は依然として深刻である。こうした状況の中、社会資本の整備・維持管理を持続可能なものとするには、ICT活用とともに、建設生産プロセス全体の高度化を図るなど、さらなる生産性の向上が求められる。このような背景を踏まえ、地盤構造物(盛土,切土,擁壁,構造物基礎等)におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)による生産性向上について、土質及び基礎を専門とする技術者の立場から以下の問いに答えよ。
(1)多面的な観点から複数の技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。
(※)解答の際には必ず観点を述べてから課題を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ,その技術課題に対する3つ以上の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
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問題文の解説
この問題は、地盤構造物におけるDXによる生産性向上について、土質及び基礎の技術者として、課題、解決策、リスク対策を整理できるかを問うものです。
ICT施工はすでに一定の効果を上げていますが、出題者は単なるICT機器の紹介ではなく、調査・設計・施工・維持管理を含む建設生産プロセス全体を、地盤分野でどう高度化するかを見ています。
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1.観点と課題の書き方
設問1では、必ず観点を述べてから課題を書きます。例えば、調査精度向上の観点、施工省人化の観点、維持管理高度化の観点、技術継承の観点などです。
課題は「ICTが不足している」と書くのではなく、三次元地盤モデルによる調査・設計精度の向上、ICT施工による施工管理の省人化、点検・計測データの統合管理による維持管理の高度化のように、前向きな技術方針として示します。
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2.最重要課題と解決策
設問2では、設問1で挙げた課題の中から最重要課題を1つ選びます。有力な課題は、地盤情報と施工・維持管理データを統合し、地盤構造物の建設生産プロセスを高度化することです。
解決策としては、ボーリングデータ、地形データ、CIMモデルを統合した三次元地盤モデルの構築、GNSS・TS・ICT建機によるICT土工と出来形管理の自動化、傾斜計、地下水位計、IoTセンサーによる施工中・供用後のモニタリングなどが考えられます。
重要なのは、測量だけ、施工だけに限定せず、調査から維持管理までを一連のデータでつなぐことです。
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3.新たに生じうるリスクと対策
DXを進めても、地盤分野特有のリスクは残ります。例えば、ボーリング間の地層推定誤差、三次元地盤モデルの精度不足、センサー故障、データ更新遅れ、ICT建機や解析結果への過信などです。
対策としては、追加調査によるモデル更新、施工時の観測施工、計測値と解析値の照合、異常値判定基準の設定、専門技術者による最終判断体制の確保が必要です。
地盤は不確実性が大きいため、DXを使っても、現地確認、計測管理、技術者判断を省略しないことが重要です。
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まとめ
この問題では、地盤構造物のDXを、生産性向上と品質・安全確保の両面から説明する力が問われています。
得点のポイントは、①観点を明確にして課題を示すこと、②調査・設計・施工・維持管理をつなげてDXを説明すること、③地盤の不確実性に伴うリスクと対策を書くことです。
特に、盛土、切土、擁壁、構造物基礎について、地盤条件、地下水、安定性、支持力、沈下などの専門技術とDXを結び付けて論述することが重要です。
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答案 専門科目 土質及び基礎 専門事項 土質調査並びに地盤 作成日 2025.7.5
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(1)課題
1)観測データ統合し設計施工判断標準化で省人化
地盤不確実性の観点から地盤定数を観測データで同化し設計対策要否判断を体系化する。解析用地盤定数と観測・施工ログデータから得られた原地盤の地盤定数を同化することで実挙動に応じた設計が可能となる。設計・対策要否判断基準を標準化することで属人化を排除し技術者の照査・承認回数が削減可能となる。これにより複数現場の掛持ちを可能とする省人化体制を構築する。
2)インフラ群統合管理で維持管理体制を合理化
ライフサイクル全体の連続性の観点から地盤構造物情報の統合された維持管理体制を構築する。施工・点検データをCIMの属性情報に紐づけ地盤構造物の変状・排水機能の経年変化を連続的に集約し統合管理する。点検結果に応じて重要度と損傷時の周囲影響から群をランク別に整理する。高リスク物件は個別管理に移行する体制構築を統括する。変状予測から点検頻度、対策要否判断を群に集約することで個別物件の点検・照査業務件数を削減する。
3)リスク区分で高リスク箇所を抽出し重点管理
定量的なリスク管理の観点から地盤構造物の高リスク箇所を重点管理する対策工判断体系を構築する。安定性や沈下評価は施工精度や地盤条件のばらつきを含めた3次元性能照査で実施する。これにより実挙動に応じた施工方法の柔軟な変更や補強計画検討が可能となる。高リスク箇所に管理資源を重点配分することで補強範囲の最適化や施工方法の検討が効率化され、工期短縮を実現する。
(2)解決策
最重要課題:(1)1)観測データ統合し設計施工判断標準化で省人化
1)剛性分布モデル構築し再検討回数低減で省人化
微小歪領域の剛性G0分布をCPT計測データのVs推定から構築する。G0分布から設計目的に応じて地震応答解析係数(Gsec、Esec)、静的変形解析係数に変換しFEM解析定数とする。モデルは非線形性を反映可能な機械学習で構築する。出力結果は解析値と観測値の95%信頼区間との比較で品質検証する。統計的に解析モデルを構築することで不確実性を抑制し断面再検討回数を削減する。これにより再検討時に必要な照査・承認の削減が期待される。
2)斜面安全率の閾値でフロー運用し対策判断自動化
集水地形・すべり面挟在地質などの高リスク断面箇所で斜面安定に対して感度の高い地下水流動特性を把握、飽和-不飽和浸透流解析、極限平衡法で安全率予測し閾値管理する。判断自動化依存による判断フロー固定化を防止するため早期技術者介入による2層化判断体系を構築する。自動判定中断条件として閾値未満でなくても変位速度増加時は自動判定を中断し技術者レビューを行い、その妥当性を評価する。これにより交通規制や対策工要否判断を標準化し現場毎の判断技術者の削減が期待できる。
3)モデル継承による詳細調査重点化で省人化
埋戻し部など施工後の不可視化領域は事後確認が困難なため、材料特性、施工ログを統合し透水特性、強度特性空間分布モデルを維持管理へ継承する。地盤構造物の劣化による透水・支持力分布変化を把握するため不可視部をリスク区分する。リスクに応じた詳細調査の重点化で一律全数調査を削減し工期を短縮化する。これにより多数地盤構造物の維持管理対策を検討する技術者の削減が期待できる。
(3)リスクとその対策
リスク)DXにより地盤定数決定自動化が進む。一方、1度対策不要と判断決定されると判断前提が固定化され再評価されにくい構造的リスクがある。対策不要と判断された地層は監視対象外となるため、降雨条件の変化・地下水位変動の外的要因による地盤定数変化がモデルに反映されなくなる。供用後に潜在的弱部の変状が顕在化し対策判断が遅れLCCが増加する。
対策)地盤定数が現実と乖離していると対策工判断要否を誤り不経済となる。観測値が予測値の95%信頼区間を超過した場合、FEM同化解析でモデルの地盤定数の是正要否判断をする。
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講評
この答案は、地盤構造物におけるDXを、単なるICT施工ではなく、観測データ、解析モデル、施工ログ、維持管理情報を統合して判断を標準化するという高度な視点で整理できています。特に、地盤不確実性を前提に、データ同化やリスク区分によって省人化を図る点は、土質及び基礎分野らしい専門性があります。
評価できるところ
DXの捉え方が専門的
観測データ同化、CIM属性情報、3次元性能照査、FEM解析などを用いて、設計・施工・維持管理をつなげている点は良好です。地盤構造物の建設生産プロセス全体の高度化として捉えられています。
最重要課題と解決策の一貫性
「観測データ統合による判断標準化」を最重要課題とし、剛性分布モデル、斜面安全率の閾値管理、モデル継承による詳細調査重点化へ展開できています。課題と解決策の軸は明確です。
リスクの着眼が良い
DXによる自動判断の固定化、対策不要箇所の監視漏れ、外的条件変化の未反映というリスクは、非常に実務的です。95%信頼区間やFEM同化解析による再評価も専門性があります。
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改善できるところ
文章をもう少し平易にする
専門性は高い一方で、用語が連続し、一文が長くなっています。結論を先に示し、その後に解析手法や管理手法を書くと、採点者に伝わりやすくなります。
生産性向上との結び付けを明確にする
省人化には触れていますが、作業時間短縮、照査回数削減、調査範囲の重点化など、どの業務がどの程度効率化されるのかをもう少し明示すると説得力が増します。
技術者判断の位置付け
自動化・標準化を進める答案だからこそ、最終判断は技術者が行うことを明確にするとよいです。地盤条件は不確実性が大きいため、DXと専門技術者の判断を併用する姿勢が重要です。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、地盤解析、観測データ、リスク管理を高度に結び付ける力があります。特に、地盤の不確実性を前提に、データ同化や閾値管理で判断を改善しようとする視点は大きな強みです。
今後は、この高度な専門性を、試験答案としてもう少し簡潔に整理できるとさらに良くなります。難しい技術を、課題・解決策・効果・リスクの流れで分かりやすく伝えられれば、非常に得点力の高い答案になるでしょう。
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問題文
都市部での排熱やヒートアイランド現象等の影響により、暑中期に構築するコンクリート構造物の品質低下やコンクリート工事に関わる作業員の熱中症等の発生リスクが近年増大している。
暑中コンクリートの定義を述べよ。また、場所打ちコンクリートを対象とし、①材料選定、②配(調)合計画、③製造・運搬、④打込み・締固め、⑤仕上げ・養生の5項目から2項目を選び、暑中コンクリートにおけるトラブルを防止しコンクリート構造物に要求される品質を確保するための具体的な方法をそれぞれ述べよ。
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問題文の解説
この問題は、暑中コンクリートの定義と、高温環境下で場所打ちコンクリートの品質を確保するための具体策を説明できるかを問うものです。
暑中コンクリートとは、一般に日平均気温が25℃を超える時期に施工するコンクリートをいいます。高温下では、スランプ低下、凝結促進、コールドジョイント、プラスチック収縮ひび割れ、強度・耐久性低下などのリスクが高まります。
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得点のポイント
設問では、①材料選定、②配(調)合計画、③製造・運搬、④打込み・締固め、⑤仕上げ・養生のうち、2項目を選んで具体的に説明します。
例えば、材料選定では、低発熱セメントの採用、骨材・練混ぜ水の温度管理によりコンクリート温度上昇を抑制します。配(調)合計画では、単位水量の抑制やAE減水剤・高性能AE減水剤の使用により施工性を確保します。仕上げ・養生では、散水、シート養生、養生剤散布により急激な水分蒸発を防ぎ、ひび割れを抑制します。
重要なのは、単なる対策の列挙ではなく、**「高温によるトラブル」→「防止方法」→「品質確保」**の流れで説明することです。
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まとめ
本問題では、暑中コンクリートの定義を正確に示すこと、そして選択した2項目について、施工段階ごとの具体的対策を述べることが得点の鍵です。
コンクリート温度管理、施工性確保、コールドジョイント防止、ひび割れ防止、養生管理、作業員の熱中症対策まで含めると、実務的で評価されやすい答案になります。
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答案1 専門科目 鋼構造及びコンクリート 専門事項 コンクリート構造、設計 作成日 2024.5.18
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1. 暑中コンクリートの定義
日平均気温が25℃を超えると予想される高温環境下で施工されるコンクリートである。高温により打込み時の温度上昇や水分蒸発が促進され、スランプ低下や凝結の早期化、初期ひび割れが発生しやすくなるため、これらの品質低下を防止する対策が必要となる。
2. 品質確保方法
②配(調)合計画
単位水量を170kg/m³以下に抑え、単位セメント量も必要強度を満足する範囲の最小限とすることで、水和熱の発生を低減し、温度ひび割れを防止する。また、運搬・打込み時間に応じて、遅延形高性能AE減水剤を選定して使用することで、凝結を遅らせスランプ低下を抑制することができ、施工中の作業性低下や打込み不良の発生を防止する。
⑤仕上げ・養生
ブリーディング終了後に仕上げを行い適切な水分状態を保つことで、表面強度低下や微細ひび割れの発生を抑制し、耐久性を確保する。さらに、打込み後は高温・低湿度・高風速条件下で水分蒸発が促進されるため、蒸発量が0.5kg/m²/hを超える場合は、散水や被覆養生、防風対策を実施し、表面水分の急激な減少を抑制することで、プラスチック収縮ひび割れを防止する。
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講評
この答案は、暑中コンクリートの定義と、配(調)合計画、仕上げ・養生における品質確保策を的確に整理できています。特に、スランプ低下、凝結促進、初期ひび割れを防止するという目的が明確です。
評価できるところ
定義が正確
日平均気温25℃超という定義に加え、高温によるスランプ低下、凝結早期化、初期ひび割れまで説明できています。
配合計画が具体的
単位水量、単位セメント量、遅延形高性能AE減水剤に触れており、水和熱低減と施工性確保を両立する視点があります。
養生対策が実務的
蒸発量0.5kg/m²/hを基準に、散水、被覆養生、防風対策を示しており、プラスチック収縮ひび割れ防止策として具体的です。
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改善できるところ
温度管理の補足
配合計画では、材料温度や練上がり温度の管理にも一言触れると、暑中対策としてさらに充実します。
仕上げ時期の表現
「ブリーディング終了後」は適切ですが、暑中では表面乾燥が早いため、過度な遅れを避けることも補足するとよいです。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、暑中環境で生じる品質低下を、配合と養生の両面から説明する力があります。今後は、温度管理や施工時間管理まで少し広げると、さらに実務性の高い答案になります。
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答案2 専門科目 鋼構造及びコンクリート 専門事項 コンクリート診断 作成日 2025.2.16
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1. 暑中コンクリートの定義
日平均気温25℃を超える条件下で施工されるコンクリートであり、高温により凝結が促進され可使時間が短縮するとともに、コンクリート表面からの水分逸散が増大するため、充填不良・コールドジョイントおよびプラスチック収縮ひび割れ等の初期欠陥が生じやすい。
2.要求される品質を確保するための方法
③製造・運搬:時間・温度管理による充填不良防止
練混ぜ水の冷却・アジテータ車の遮熱対策により、温度上昇速度を抑制し、凝結の進行を遅らせて荷下ろし時の可使性を維持する。更に、荷下ろし時の温度およびスランプを測定し、許容範囲を逸脱するおそれがある場合は配車を遅らせて待機時間を短縮することで、充填不良を防止する。
④打込み・締固め:時間・温度管理による密実性確保
日射や外気温の影響の少ない早朝・夜間帯の打込みと、締固め要員の増加による作業時間の短縮により、打設能力がコンクリート供給能力を下回らない体制を確保して凝結開始前に打込み・密実な締固めを完了させる。更に、許容打重ね時間を超える恐れがある場合は打込み区画を縮小して前層の凝結開始前に打ち重ねを完了させることで、コールドジョイントや充填不良を防止する。
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講評
この答案は、暑中コンクリートの定義と、製造・運搬、打込み・締固めにおける品質確保策を明確に整理できています。特に、時間管理と温度管理を軸に、充填不良やコールドジョイント防止へつなげている点は良好です。
評価できるところ
定義が正確
日平均気温25℃超という定義に加え、凝結促進、可使時間短縮、水分逸散、初期欠陥まで説明できています。
対策が具体的
練混ぜ水の冷却、アジテータ車の遮熱、温度・スランプ確認、配車調整、早朝・夜間打込み、打込み区画の縮小など、実務的な対応が書けています。
品質確保との関係が明確
各対策が、充填不良、密実性低下、コールドジョイント防止に結び付けられており、因果関係が分かりやすいです。
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改善できるところ
養生への一言補足
選択項目は2つでよいですが、暑中では水分逸散防止が重要です。最後に打込み後の速やかな湿潤養生に触れると完成度が上がります。
作業員安全への配慮
早朝・夜間施工に加え、休憩、給水、要員交替など熱中症対策を補足すると、より実務的です。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、暑中環境がコンクリート品質に与える影響を施工管理と結び付けて説明する力があります。今後は、温度・時間管理に加えて、養生や作業員安全まで少し広げると、さらに得点力の高い答案になります。
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Ⅱ-2-2
問題文
大規模地震により損傷した構造物の恒久的な復旧計画を策定することになった。この業務を鋼構造及びコンクリートの技術に関わる担当責任者として進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。
(1)対象とする構造物の部位と大規模地震による損傷を具体的に1つ挙げ、恒久復旧後の耐震性能を設定したうえで、復旧計画を策定するために調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務の手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
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この問題は、
大規模地震で損傷した構造物について、恒久復旧後に必要な耐震性能を設定し、その性能を確保するための調査・評価・復旧計画を立案する能力を問う問題です。
単に補修工法を知っているかではなく、
という技術者としての判断プロセスが求められています。
(1)調査・検討事項
対象構造物と損傷を具体的に設定し、復旧後の耐震性能を定めたうえで、
などを説明する。
(2)業務手順
資料収集 → 現地調査 → 損傷評価 → 性能設定 → 工法選定 → 復旧設計 → 施工計画
の流れを示し、各段階の留意点や工夫を述べる。
(3)関係者調整
発注者、施工者、行政、利用者等と、
について合意形成を図る方法を述べる。
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重要なのは、
「損傷した構造物の残存性能を評価し、必要な耐震性能を確保するための合理的な復旧計画を立案すること」
です。
補修工法の説明ではなく、耐震性能回復のための技術的判断の流れを書くことがポイントです。
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答案1 専門科目 鋼構造及びコンクリート 専門事項 コンクリート構造物の診断 作成日 2026.4.10
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1. 対象部位・損傷・調査検討事項
RCラーメン高架橋の柱の曲げ損傷を対象に、帯鉄筋量等により曲げ変形が卓越したことを踏まえ、L2地震に対し崩壊防止する変形性能確保を復旧目標とする。
(1) 断面性能評価・損傷範囲設定
剥落・圧壊・鉄筋破断等の損傷範囲を調査し、断面性能低下量を評価する。これに基づき、回復すべき断面性能を規定し、断面修復・鉄筋補修範囲を設定する。
(2) 変形性能評価・補強条件設定
横拘束筋破断状況を調査し、非線形解析に基づく変形性能の不足量を評価する。これに基づき、向上すべき横拘束性能を規定し、必要な補強量、巻立て範囲等の条件を設定する。
(3) 構造系影響評価・追加対策
補強に伴う剛性・耐力増加による内力再配分を評価する。これに基づき、構造系の冗長性を高める部材の破壊順序を規定し、基礎補強等の追加対策条件を設定する。
2.業務手順・留意点
(1) 損傷状態確認・断面修復範囲設定
断面修復範囲を残存耐力に基づき設定する。そのため、AE法により損傷状態を同定、逆解析により残存耐力を定量化の上で、曲率分布に基づく塑性ヒンジ領域を指標に性能照査型設計により必要十分な断面修復範囲を設定する。
(2) 要求性能定量化・補強設計条件設定
補強設計条件を拘束性能に基づき設定する。そのため、横拘束性能をエネルギー吸収能により評価の上、コンファインドコンクリート理論に基づき各巻立工法の拘束効果を定量化し、圧壊遅延および鉄筋座屈抑制効果を評価して靭性率を指標に最適な補強条件を決定する。
(3) 構造影響評価・追加対策決定
追加対策を内力集中量に基づき決定する。そのため、補強後構造について非線形骨組解析により損傷集中・内力再配分を評価する。その上で、耐力階層設計に基づき塑性ヒンジ発生位置を柱基部に制御するため、各部材の破壊順序を指標に必要に応じ基礎補強の追加対策を決定する。
3.関係者調整
補強により柱耐力が増加した場合、基礎への内力集中により基礎破壊が先行するリスクがあるため、構造系として成立する補強条件の提示が課題となる。そのため、発注者には、非線形解析による補強前後の耐力分布と変形性能を定量化し、耐力余裕度と先行降伏位置を照査指標として提示する。これに基づき構造系として成立する補強条件を明示し、合理案の選定を主導する。
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講評
この答案は、RCラーメン高架橋柱の曲げ損傷後の復旧・耐震性能確保について、断面性能、変形性能、構造系全体の影響を体系的に整理できています。特に、柱単体の補修にとどめず、補強後の内力再配分や基礎への影響まで考えている点は高く評価できます。
評価できるところ
復旧目標が明確
L2地震に対して崩壊防止を図るため、変形性能の確保を復旧目標としている点は適切です。損傷した部材を単に元に戻すのではなく、耐震性能を回復・向上させる視点があります。
構造性能の捉え方が専門的
断面性能、横拘束性能、靭性率、塑性ヒンジ、非線形解析などを用いており、補修・補強を性能照査として整理できています。
構造系全体への配慮がある
柱補強により基礎や他部材へ内力が集中するリスクを考慮し、耐力階層設計や破壊順序まで検討している点は、実務的で説得力があります。
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改善できるところ
調査方法を少し具体化する
AE法や逆解析は高度ですが、目視、打音、はつり調査、鉄筋探査、コア採取など、基本的な損傷調査も併記すると実務の流れがより自然になります。
施工上の留意点がやや薄い
補強設計の説明は充実していますが、実際の施工では、列車運行・交通規制、施工空間、既設鉄筋との干渉、巻立て厚さ、品質管理なども重要です。これらを少し加えると答案の実務性が高まります。
表現を簡潔にする
専門用語が多く、一文がやや長い箇所があります。結論を先に書き、その後に解析手法を示すと、採点者に伝わりやすくなります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、部材損傷を構造性能として評価し、補修・補強方針へ展開する力があります。特に、非線形解析や耐力階層設計を用いて構造系全体を確認する視点は大きな強みです。
今後は、高度な解析・設計の説明に加えて、現地調査、施工条件、維持管理、関係者調整をもう少し平易に整理すると、より実務的で得点力の高い答案になります。
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答案2 専門科目 鋼構造及びコンクリート 専門事項 コンクリート構造 作成日 2026.4.30
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(1)前提条件と調査・検討事項
①前提条件
対象はRC橋脚柱脚部の塑性ヒンジ領域とし、主鉄筋降伏を伴う曲げ損傷を基本とする。復旧後はレベル2地震動に対して所要の耐震性能を確保する。
②調査・検討事項
ひび割れ分布、かぶり剥落、主鉄筋の座屈および帯鉄筋の破断状況を調査し損傷モードを特定する。材料特性および断面諸元に基づきファイバーモデル解析を行い、M–φ関係を算定するとともに、軸力-曲げ相互作用下における塑性化進展を追跡し、断面内の真の弱点位置を特定する。さらに、残留変位および傾斜から基礎回転や地盤変形の影響を分離して塑性ヒンジ回転角を算定し、靭性率により損傷進展度を評価する。また、拘束圧低下に伴うコンクリート終局ひずみの低下を考慮する。以上より、残存耐力、変形性能およびエネルギー吸収性能を把握し、損傷状況に応じて補修および補強を判断して復旧方針を決定する。
(2)業務の手順と留意点
①調査:柱脚部の損傷状況を把握し損傷モードを特定し、現地状況と設計値の比較を行う。はつり調査は必要最小限とし既存損傷の拡大を防止する。
②解析:ファイバーモデル解析により軸力-曲げ相互作用下での塑性化進展および弱点部を把握する。調査結果と不整合がある場合は材料特性、境界条件および断面諸元を再確認し、モデル条件の妥当性検証により損傷支配要因の誤判定を防止する。
③評価:解析結果に基づき損傷集中領域および弱点部を特定し補修・補強範囲を限定する。損傷度の過大評価と過剰な全面施工を避け施工効率と品質の両立を図る。
(3)関係者との調整方策
①発注者:被災後は安全不安や責任回避により過大要求となりやすいことを踏まえ、残存耐力、変形性能および靭性の評価結果を提示し、現状性能と要求性能の関係を明確化する。その上で、安全性を確保しつつ施工範囲および工法の合理化を提案し合意形成を図る。
②施工者:調査および解析結果に基づき損傷集中領域および断面内の弱点部を明示し施工範囲を限定する。特にファイバーモデル解析により塑性化進展を把握し重点施工部位を明確化する。なお、材料特性や拘束条件の設定妥当性を確認するとともに簡易評価手法と併用して妥当性を確保し、施工効率と品質の両立を図る。
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講評
この答案は、RC橋脚柱脚部の曲げ損傷について、塑性ヒンジ領域、M–φ関係、ファイバーモデル解析、靭性率を用いて性能評価しようとしており、専門性の高い答案です。単なる外観損傷の確認ではなく、残存耐力と変形性能を評価して復旧方針を決める流れができています。
評価できるところ
損傷対象と復旧目標が明確
RC橋脚柱脚部の塑性ヒンジ領域を対象とし、L2地震動に対する耐震性能確保を目標としている点は適切です。
解析評価の視点が専門的
ファイバーモデル解析、M–φ関係、軸力-曲げ相互作用、塑性ヒンジ回転角などを用いて、損傷を構造性能として評価しようとしている点は高く評価できます。
関係者調整が実務的
発注者には過大要求を抑えつつ合理的な施工範囲を示し、施工者には重点施工部位を明確化するという整理は、実務の流れに合っています。
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改善できるところ
基本調査をもう少し補足する
高度な解析は良いですが、目視、打音、鉄筋探査、コア採取、材料強度確認などの基本調査も少し入れると、調査から解析への流れが自然になります。
補修・補強工法への展開
損傷評価は充実していますが、その結果として、断面修復、ひび割れ注入、RC巻立て、鋼板巻立て、炭素繊維巻立てなど、どの工法を選ぶかへの説明がやや薄いです。
施工条件の記述
実際の復旧では、交通規制、施工空間、支保工、品質管理、供用中施工なども重要です。これらを少し加えると、答案の実務性が高まります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、構造性能を解析的に評価し、合理的な復旧方針へ結び付ける力があります。特に、塑性ヒンジや靭性率を用いて損傷度を把握する視点は大きな強みです。
今後は、高度な解析内容に加えて、基本調査、補修・補強工法、施工上の制約条件をもう少し具体化すると、技術力がより伝わる答案になります。
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Ⅲ-1
問題文
我が国では、インフラの老朽化や機能上の問題等により、構造物全体あるいは大部分の補修・補強、又は取り替えが必要となる既設構造物について、大規模な補修・補強工事が進められている。対象構造物は供用中であることから、施工中にはその機能に制約を与えることになる。また、周辺環境にも影響を及ぼす可能性がある。そのため、補修・補強、又は改築・増築等の実施時には、これら社会的影響の軽減に配慮しながら施工する必要がある。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)大規模な補修・補強工事の計画、設計、製作・製造、施工において社会的影響の軽減に配慮するうえでの技術課題を、鋼構造及びコンクリートの技術者としての立場で多面的な観点から3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。(※)なお、本設問における大規模な補修・補強工事とは、構造物全体あるいは大部分の補修・補強、又は取り替えを行う工事とする。(※)解答の際には必ず観点を述べてから技術課題を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。ただし、単なる仮設構造物に関する方法は除く。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
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この問題は、
供用中の既設構造物に対する大規模補修・補強工事において、利用者や周辺社会への影響をできるだけ小さくしながら工事を実施するための技術的対応を問う問題です。
単に補修工法を説明するのではなく、
などの観点から課題を抽出し、解決策を示すことが求められています。
(1)技術課題
「社会的影響の軽減」を目的として、
などの観点を示したうえで、技術課題を3つ抽出する。
(2)最重要課題と解決策
最も重要な課題を1つ選び、
など、鋼構造・コンクリート分野の専門技術による複数の解決策を示す。
※仮橋や仮受けなどの仮設主体の解決策は不可。
(3)リスクと対策
解決策実施後も残るリスクを挙げ、
などの対策を述べる。
重要なのは、
「補修する技術」ではなく、「社会的影響を最小化しながら補修する技術」
を書くことです。
したがって答案全体を、
社会的影響の軽減 → 技術課題 → 解決策 → リスク管理
の流れでまとめることが重要です。
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答案 選択科目 鋼構造及びコンクリート 専門事項 コンクリート構造物診断 作成日 2026/5/15
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1.社会的影響の軽減のための技術課題
(1) 供用機能確保のための荷重分担適正化
社会経済活動維持の観点から、施工に伴う支点条件の変化および新旧構造の連結により生じる荷重分担の偏りを適正化する。これにより、応力集中と過大変形の発生を防止し、供用機能を確保する。
(2) 早期再劣化防止のための部材一体性確保
施工品質の信頼性確保の観点から、新旧部材の接合に伴う界面でのせん断伝達性能や止水性能の低下を抑制する。これにより、新旧部材の一体性を確保し、界面剥離や漏水による早期再劣化を防止し、再施工に伴う長期的な供用制限を回避する。
(3) 環境影響低減のための騒音・振動抑制
社会的受容性と環境負荷低減の観点から、はつり・部材架設等に伴う動的荷重の発生・伝達を抑制する。これにより、騒音・振動の発生を抑制し、周辺住民・近接施設への影響を最小化する。
2.最重要課題と解決策
最重要課題は、(1)供用機能確保のための荷重分担適正化である。供用中の大規模補修・補強工事では、既設部材撤去、新設部材接合、仮支持切替えにより荷重伝達経路が変化するため、局部的な断面力集中と過大変形を抑制する必要がある。
(1)荷重伝達経路の分散
供用下施工では、新旧部材の剛性差や接合部の拘束により荷重伝達経路が局所化しやすい。そのため、既設・新設系の連成解析に基づき、施工段階毎の応力度・変位を把握する。これらを許容応力度と変位制限値で照査し、新旧部材の接合方式、ずれ止め配置、仮支持条件を調整して新旧部材間の荷重伝達経路を分散させる。これにより、剛性差・接合部拘束に起因する荷重の偏りを最小化することで、施工中の過大変形を抑制し、供用機能を確保する。
(2)荷重移行の段階化
既設部撤去時には、一時的に断面欠損状態となり荷重が残存部材に集中しやすい。そのため、施工段階解析により既設部撤去や新設部材接合による断面力変化を評価する。その上で、これらを許容値で照査し、新設部材を先行接合した後に既設部を段階撤去する施工順序とし、ずれ止めやPC鋼材緊張により新旧部材間の荷重移行を段階化する。これにより、断面欠損による断面力の急変と局部的な耐荷力低下を抑制することで、通行安全性を確保する。
(3)供用交通荷重の管理
供用下施工では、交通を確保しながら施工するため、補強未了部や荷重移行部への過大な交通荷重集中を防ぐ必要がある。そのため、影響線解析により載荷位置・荷重条件を変数として最大応答値を算出する。これを許容応答値で照査し、許容載荷位置・車両重量制限、徐行条件を設定する。これにより補強未了部や荷重移行部における荷重集中を回避するとともに、最大影響線位置への繰り返し載荷を抑制して疲労に伴う応答増幅を防ぎ、必要最小限の交通規制で供用機能を維持する。
3.全解決策実行後のリスクと対策
(1)リスク:実構造物と解析モデルの乖離による供用制限発生
既設・新設系の連成解析、施工段階解析、影響線解析に基づき荷重分担・荷重移行を適正化しても、既設部材の実剛性は、中性化・塩害・疲労等により設計時の想定と異なる場合がある。また、はつり面粗度・アンカー定着状態により新旧部材界面の付着・せん断伝達性能にばらつきがある。そのため、設計時に想定した荷重分担と実際の荷重移行状態が一致せず、接合部や補強未了部に局部的な応力集中や部材間変位差が生じ、緊急交通規制や工期延長につながるリスクがある。
(2)対策:計測施工による荷重移行の逐次管理
施工段階ごとに部材間変位差、ひずみ、支承反力を計測し、解析値と実測値を比較する。また、打音検査や超音波探査により界面の浮き・剥離を確認し、新旧部材間の付着・せん断伝達性能を評価する。実測値が管理値に近づいた場合には、解析モデルの剛性条件や荷重分担条件を補正し、施工順序、PC鋼材緊張量、交通荷重条件を見直す。これにより、実構造に応じた荷重移行を管理し、緊急交通規制や工期延長を防止する。
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講評
この答案は、供用中の大規模補修・補強工事について、荷重分担、荷重移行、交通荷重管理を中心に整理できています。特に、施工段階ごとに構造系が変化することを踏まえ、供用機能を維持しながら安全に施工する視点が明確です。
評価できるところ
最重要課題の設定が適切
供用下施工では、支点条件や新旧部材の接合により荷重伝達経路が変化します。そのため、荷重分担の適正化を最重要課題とした点は妥当です。
解決策の役割分担が明確
荷重伝達経路の分散、荷重移行の段階化、交通荷重の管理という3項目は重複が少なく、施工時の構造安全性を段階的に説明できています。
リスクと対策が実務的
解析モデルと実構造物の乖離をリスクとして挙げ、変位、ひずみ、支承反力の計測施工により逐次管理する方針は、実務的で説得力があります。
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改善できるところ
問題文との関係を少し補足する
答案は構造力学的にはよく整理されています。一方で、社会的影響の軽減という観点から、通行規制期間の短縮、周辺住民への影響低減、施工ヤード制約なども少し入れると、出題趣旨との結び付きが強まります。
課題②・③との連動
新旧部材の一体性や騒音・振動抑制は良い課題ですが、問2以降ではやや薄くなっています。荷重分担適正化と接合品質、施工環境対策の関係を一言補うと、答案全体の一体感が高まります。
表現の簡潔化
専門性は高いですが、一文が長く情報量が多い箇所があります。結論を先に書き、その後に解析・照査方法を示すと、採点者により伝わりやすくなります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、供用下施工における構造安全性を、施工段階解析や計測施工と結び付けて考える力があります。特に、解析値と実測値を照合しながら施工条件を見直す視点は大きな強みです。
今後は、構造解析の専門性に加えて、社会的影響、施工制約、関係者調整を少し補うと、より実務性と得点力の高い答案になります。
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Ⅲ-2 問題文
国土交通省の新たな建設現場の生産性向上(省人化)の取組として「i-Construction2.0」が令和6年4月に取りまとめられ、建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍以上に向上することを目指し、建設現場のあらゆる生産プロセスのオート―メーション化に取り組んでいくことが示された。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)建設現場のあらゆる生産プロセスのオートメーション化に取り組んでいくうえで、多面的な観点から、あなたの選択科目に関わる技術課題を3つ抽出し、観点の明記とともに、その技術課題の内容を示せ。
(2)前門(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3)前門(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
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この問題は、i-Construction2.0を鋼構造・コンクリート分野でどう実現するかを問う問題です。
中心は、省人化しながら品質・安全を確保する技術提案です。
オートメーション化の技術課題を3つ挙げます。
例:
最重要課題を1つ選び、複数の解決策を示します。
例:品質管理の省人化なら、
新技術導入に伴う懸念と対策を書きます。
例:
「ICTを使う」ではなく、鋼コンの施工・品質管理をどの技術で省人化するかまで書くことです。
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答案 選択科目 鋼構造及びコンクリート 専門事項 コンクリート構造物 作成日 2025/6/15
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(1)オートメーション化における技術課題
課題①施工プロセス標準化技術の導入
施工プロセス再構成の観点から、プレキャスト(以下、PCa)部材の設計・製作・運搬・架設・接合・検査をBIM/CIM上で一元管理し、自動出来形計測・接合部充填確認を一体化した施工プロセスを構築する。これにより、全工程を連続した標準プロセスとして再構成し、型枠・配筋・打込み・検査作業を大幅に削減することで、少人数で再現性の高い施工を実現する。
課題②コンクリート品質照査の自動化
品質管理高度化の観点から、締固め状況・養生温湿度・表面欠陥をセンサー及び画像解析により自動取得し、管理基準との照合を自動化する。これにより、人による巡回確認を自動計測・自動判定へ置き換え、人的ばらつきを低減して品質不良を施工中に早期是正する。
課題③温度応力・ひび割れリスクの自動予測制御
ひび割れ制御の観点から、部材内部温度をセンサーで連続計測し、温度応力解析と連動させてひび割れ指数を自動判定する。これにより、判定結果に基づき養生温度・散水・脱型時期を施工中に自動調整し、経験的判断に依存していた養生管理を自動制御へ転換することで、温度ひび割れ発生リスクを低減する。
(2)最も重要な技術課題と解決策
最も重要な技術課題:課題①施工プロセス標準化技術の導入
解決策① PCa部材分割工法の標準化
PCa部材の寸法・重量・吊り位置・継手形式を揚重機能力及び自動出来形計測に適合するよう標準化する。さらに、BIM/CIM上で4D施工シミュレーションにより部材、搬入順序・架設手順・接合位置を管理し、設計・製作・搬入・架設・検査を連続した標準プロセスとして管理する基盤を構築する。
解決策②鉄筋ユニット化・ハーフPCa化による現場作業削減
鉄筋ユニット及びハーフPCa部材を工場製作し、鉄筋位置・かぶり厚さ・定着長を三次元計測により製作段階で確認する。現場は据付・接合・充填確認を中心とする施工へ転換し、配筋・型枠・検査作業を削減して少人数施工を実現する。
解決策③BIM/CIMを活用した施工計画のデジタル標準化
PCa部材、鉄筋ユニット、揚重機、仮設ヤードをBIM/CIMによりモデル化し、搬入順序、吊込み手順、干渉、揚重機作業範囲を4D施工シミュレーションにて事前検証する。さらに、自動出来形計測、AI画像解析と連動させ、架設位置、接合部、充填状況を自動照査し、施工計画から品質確認までをデジタル標準化する。
(3)将来的な懸念事項と対策
懸念事項①部材大型化に伴う運搬・架設制約
PCa部材が大型化すると、架設時の一時応力や接合部応力が設計値を超過する恐れがある。対策として、4D施工シミュレーションにより、部材ストック時、吊込み時、接合施工時の応力状態を照査し、施工条件に応じてPCa部材細目の再検討、施工方法を調整する。
懸念事項②接合部への品質リスク集中
PCa化により現場作業の省人化が進むと、接合部などの現場施工箇所の品質確認機会が減少する。そのため、位置ずれやグラウト未充填などの施工精度不足や充填不良が発生し、構造性能に直結する問題となる。対策として、接合部の三次元出来形計測、超音波探査などの非破壊検査により、接合部性能の確認と自動記録を行う。
懸念事項③標準化に伴う現場条件への適応不足
施工手順の標準化により、搬入条件、既設構造物との緩衝、施工ヤードの制約などの現場条件への適応力低下が懸念される。対策として、標準化した施工プロセスに加え、現地の地盤条件、近接構造物、環境条件、施工ヤード制約を踏まえた施工シミュレーションモデルを作成し、標準プロセスから外れる場合は技術者が適宜施工方法を再検討する仕組みを設ける。
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講評
この答案は、コンクリート施工のオートメーション化について、PCa化、BIM/CIM、4D施工シミュレーション、自動出来形計測を中心に整理できています。特に、現場作業を削減し、少人数でも再現性の高い施工を実現するという方向性は、出題趣旨に合っています。
評価できるところ
課題設定が明確
施工プロセス標準化、品質照査自動化、ひび割れリスク予測制御の3課題は、省人化、品質確保、施工管理高度化の観点からバランスよく整理されています。
最重要課題と解決策の一貫性
最重要課題を施工プロセス標準化とし、PCa部材分割、鉄筋ユニット化、BIM/CIMによる施工計画標準化へ展開できています。設計・製作・搬入・架設・検査を一連の流れで捉えている点は良好です。
懸念事項が実務的
部材大型化、接合部品質、現場条件への適応不足というリスクは、PCa化・標準化を進めた場合に実際に生じやすい問題です。非破壊検査や施工シミュレーションによる対策も具体的です。
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改善できるところ
解決策①と③の差別化
どちらもBIM/CIMと4D施工シミュレーションを扱っており、内容がやや重なっています。①はPCa部材の標準設計・製作条件、③は施工計画・品質確認のデジタル管理と役割を明確にするとよいです。
オートメーション化の表現強化
PCa化や標準化は有効ですが、それだけでは自動化というより省人化・工業化に見える部分があります。自動計測、自動判定、ロボット施工、AI画像解析などをもう少し前面に出すと、オートメーション化の主題により合います。
効果の明示
作業削減は書けていますが、どの工程で人手を減らし、どの品質確認を自動化するのかをもう少し明確にすると、説得力が増します。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、施工プロセス全体を標準化し、設計から品質確認まで一体で考える力があります。PCa化とBIM/CIMを組み合わせて、少人数施工と品質安定を両立させる視点は大きな強みです。
今後は、標準化・PCa化に加えて、自動計測、自動判定、施工ロボット、AIによる品質照査をより明確に位置付けると、オートメーション化の答案としてさらに完成度が高まります。
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問題文
日本海側の半島地域で大規模な地震災害が発生した場合に、災害からの持続可能な復興対策を実施するに当たり、技術者の立場で解決すべき主要な技術課題を3つ挙げ、それぞれの技術課題に対する解決策を述べよ。
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この問題は、
日本海側の半島地域で大規模地震が発生した場合に、単なる原形復旧ではなく、将来も地域が維持できる「持続可能な復興」をどう進めるか
を問う問題です。
重要なのは、
です。
通常のⅢ問題のように「最重要課題」や「リスク」は問われていません。
そのため、
主要な技術課題を3つ挙げ、それぞれに解決策を対応させること
が求められています。
答案では、
を3セットで整理すると書きやすいです。
この問題の本質は、
「壊れたものを戻す復旧」ではなく、「半島地域の制約を踏まえ、災害に強く、維持可能な地域へ再構築する復興」
を書くことです。
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模範解答 専門科目 都市および地方計画 専門事項 都市計画 作成日 2026.3.27
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1.制度の内容
都市公園において、飲食店・売店等の収益施設(公募対象公園施設)の設置または管理と、園路・広場等の特定公園施設の設置を一体的に行う民間事業者を公募により選定する制度。事業者による収益施設の運営収益を原資とした公共施設整備を可能とすることにより、財政負担を軽減しつつ、利用者ニーズを反映した施設整備と質の高い管理運営が実現され、公園全体の魅力向上と管理の持続性を図ることができる。
2.法令上の特例措置と事業者メリット
1)設置管理許可期間の特例
通常より長期の設置管理が可能となるため、事業者は店舗整備や設備投資に要する初期投資の回収期間を十分確保できる。これにより投資回収が行いやすく、安定的な事業経営が可能となる。
2)建ぺい率の特例(公募対象公園施設に対して)
建ぺい率の上乗せが認められるため、事業者は収益施設の規模拡大が可能となる。これにより売上確保に必要な客席数や売場面積を確保し易くなり、公共施設整備を含む事業全体の採算性を高めることができる。
3)占用物件の特例(認定公募設置等計画に基づく)
利便増進施設として自転車駐車場及び看板等の設置が認められる。これによりアクセス性及び情報発信機能が向上し、利用者数増加及び滞在性向上を通じて、収益施設の利用機会及び売上の拡大が期待できる。
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講評
この答案は、半島地域の災害リスク、交通脆弱性、人口減少を踏まえて、居住構造、交通ネットワーク、生活サービス圏を一体的に再編しようとしている点が良好です。特に、「拠点-周辺」という地域構造で整理しているため、答案全体の方向性が分かりやすくなっています。
評価できるところ
地域構造の捉え方が明確
沿岸部に分散した集落を、内陸・高台の拠点居住地へ段階的に誘導する考え方は、複合災害リスクへの対応として妥当です。
交通ネットワークの視点が良い
特定路線への依存を課題とし、幹線道路の強化と代替経路確保を組み合わせている点は、半島地域の脆弱性をよく捉えています。
生活サービス維持まで考えている
医療・福祉・商業機能を拠点に集約し、周辺集落をアクセス圏として再編する考え方は、人口減少・高齢化への対応として実務的です。
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改善できるところ
観点の明示
課題はよく整理されていますが、設問が観点を求める場合は、防災性の観点、交通冗長性の観点、生活利便性の観点のように冒頭で示すと採点者に伝わりやすくなります。
技術的具体性の補強
災害リスク統合評価について、津波浸水、土砂災害、液状化、孤立リスクなどの評価項目を少し具体化すると、技術課題としての説得力が高まります。
住民合意への配慮
移転誘導や拠点集約は生活に大きく関わるため、住民説明、段階的移転、既存コミュニティ維持などに触れると、より現実的な答案になります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、地域全体を構造的に捉え、防災・交通・生活サービスを結び付けて考える力があります。特に、拠点集約とネットワーク強化を組み合わせる視点は大きな強みです。
今後は、地域構想に加えて、リスク評価手法、整備優先順位、住民合意形成をもう少し具体化すると、さらに得点力の高い答案になります。
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Ⅱ-1-4
問題文
都市公園法に基づく公募設置管理制度(Park-PFI)について、制度の内容を述べるとともに、従来の設置管理許可(公募設置管理制度に基づかない通常の手続きの設置管理許可)には無い公募設置管理制度の法令上の特例措置を複数挙げ、それぞれの事業者にとってのメリットを説明せよ。
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この問題は、
Park-PFIの制度内容と、通常の設置管理許可との違いを説明できるか
を問う知識問題です。
まず、Park-PFIについて、
民間事業者がカフェ・売店等の収益施設を設置管理し、その収益を活用して園路・広場等の公園施設整備や管理を行う制度
と説明します。
次に、通常の設置管理許可にはない特例として、
などを挙げます。
そのうえで、
など、事業者にとってのメリットを説明する必要があります。
この問題の本質は、
Park-PFIが民間事業者の参入を促す制度であることを、法令上の特例と事業者メリットを対応させて説明すること
です。
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模範解答 専門科目 都市および地方計画 専門事項 公園計画 作成日 2024.12.30
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1.制度の内容
都市公園において、飲食店・売店等の収益施設(公募対象公園施設)の設置または管理と、園路・広場等の特定公園施設の設置を一体的に行う民間事業者を公募により選定する制度。事業者による収益施設の運営収益を原資とした公共施設整備を可能とすることにより、財政負担を軽減しつつ、利用者ニーズを反映した施設整備と質の高い管理運営が実現され、公園全体の魅力向上と管理の持続性を図ることができる。
2.法令上の特例措置と事業者メリット
1)設置管理許可期間の特例
通常より長期の設置管理が可能となるため、事業者は店舗整備や設備投資に要する初期投資の回収期間を十分確保できる。これにより投資回収が行いやすく、安定的な事業経営が可能となる。
2)建ぺい率の特例(公募対象公園施設に対して)
建ぺい率の上乗せが認められるため、事業者は収益施設の規模拡大が可能となる。これにより売上確保に必要な客席数や売場面積を確保し易くなり、公共施設整備を含む事業全体の採算性を高めることができる。
3)占用物件の特例(認定公募設置等計画に基づく)
利便増進施設として自転車駐車場及び看板等の設置が認められる。これによりアクセス性及び情報発信機能が向上し、利用者数増加及び滞在性向上を通じて、収益施設の利用機会及び売上の拡大が期待できる。
講評
この答案は、Park-PFI制度について、制度の内容、法令上の特例、事業者メリットを分かりやすく整理できています。特に、民間収益を活用して公園施設整備を行うという制度趣旨を正確に捉えています。
評価できるところ
制度理解が正確
公募対象公園施設と特定公園施設を一体的に整備・管理する制度であること、収益を公共施設整備に活用することが明確に説明されています。
特例措置が整理されている
設置管理許可期間、建ぺい率、占用物件の特例を挙げ、それぞれが事業者にとってどのようなメリットになるかを説明できています。
事業採算性との関係が明確
長期許可による投資回収、建ぺい率上乗せによる収益施設規模の確保、看板等による集客効果など、民間事業者の視点から整理できています。
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改善できるところ
公共側のメリットも少し補足する
事業者メリットはよく書けていますが、地方公共団体側の財政負担軽減、公園魅力向上、管理水準向上ももう少し強調すると、制度趣旨がより明確になります。
用語の正確性確認
建ぺい率や占用物件の特例は制度上重要なので、答案では対象施設と適用条件を簡潔に確認して書くと安全です。
利用者視点の追加
飲食・休憩・情報案内・アクセス性向上など、利用者利便の向上に触れると、公園全体の価値向上まで説明できます。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、制度の仕組みと事業者メリットを論理的に整理する力があります。特に、制度上の特例を採算性や投資回収に結び付けて説明できている点は強みです。
今後は、民間事業者の視点に加えて、公共側、利用者側、地域側の効果まで広げると、よりバランスの取れた答案になります。
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Ⅱ-2-2
問題文
旧街道沿いの宿場町としての町並みが残る人口10万人規模の地方都市において、都道府県が策定した景観計画に基づく取組は進めているものの、町並みに調和しない無秩序な形態や色彩の建築物や屋外広告物が増えつつある。こうした中で、地域の景観特性を活かした良好な景観の保全・創出を図るため、当該都市において景観法に基づく景観計画を新たに策定することとなった。 本業務の担当責任者として、景観計画を策定するうえで必要となる事前の調査や景観計画案の作成を進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。
1. 景観計画案を作成する際に、事前に調査すべき事項とその内容について説明せよ。
2. 前問(1)の調査の結果を踏まえ、景観計画案を作成する業務手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
3. 業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
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問題文の解説
この問題は、景観法に基づく景観計画について、事前調査、計画案作成、関係者調整を実務的に説明できるかを問う問題です。
旧街道沿いの宿場町という歴史的景観を活かしながら、不調和な建築物や屋外広告物をどう誘導するかが重要です。
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1.事前調査のポイント
調査では、歴史的町並み、旧街道、寺社、町家などの景観資源を把握します。あわせて、建築物の高さ、形態、色彩、屋外広告物、主要な視点場、景観軸、住民・事業者の意向、既存計画や条例との整合を確認します。
特に、守るべき景観資源と、景観を阻害している要因を整理することが重要です。
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2.景観計画案作成のポイント
業務手順は、現況調査、課題整理、景観形成方針の設定、景観計画区域の設定、景観形成基準の作成、計画案の取りまとめという流れになります。
基準では、建築物の高さ、色彩、屋根形状、外壁、屋外広告物などを定めます。ただし、規制が強すぎると住民や事業者の負担になるため、地域特性と実現可能性のバランスが大切です。
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3.関係者調整のポイント
景観計画は、住民、商店街、事業者、建築関係者、都道府県、文化財部局などとの調整が不可欠です。
説明会やワークショップを通じて、景観保全の必要性だけでなく、観光振興、地域ブランド向上、空き家活用などの効果も共有し、合意形成を進めます。
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まとめ
この問題では、宿場町の歴史的景観を守りながら、建築物や広告物を適切に誘導する景観マネジメント力が問われています。
得点のポイントは、調査、計画基準、合意形成を一連の流れで説明することです。
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模範解答1 専門科目 都市および地方計画 専門事項 地域計画 作成日 2026.4.27
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(1)調査事項と内容
①連続立面を再構築するための調査;壁面線・軒高・開口部・広告物配置を把握し、連続景観が破綻している区間とその要因(突出看板、前面駐車場化等)を特定することで、統一的な立面構成へ誘導するための基礎条件を明らかにする。
②景観を毀損する更新行為を特定するための調査;建替え・改修・広告物更新において、規模逸脱や配置不整合など景観を阻害する行為を抽出し、重点的に誘導・規制すべき対象を明確にする。
③実効性ある景観誘導を実現するための調査;届出・協議運用における判断基準の曖昧さや適用差異を把握し、統一的かつ客観的に適用可能な基準設定に必要な条件を整理する。
(2)業務手順と留意点
①景観構造の分析;旧街道の軸線、見通し景、アイストップ、連続立面、スカイラインを整理する。
留意点;単一視点に依存せず複数視点場で評価し、街路断面と沿道立面の連続性として把握することで誤った景観評価を防ぐことである。
②景観形成地区・景観軸の設定;沿道、背後市街地、結節点を区分し、重点地区・景観軸を設定する。
工夫点;保全型・誘導型・更新許容型にゾーニングし、地区特性に応じた制御とすることで過度な一律規制を回避することである。
③景観形成基準の設定;壁面線、軒高、屋根形状、色彩(マンセル値)、広告物位置・面積等を基準化する。留意点;個別規制ではなく沿道全体の連続性確保を目的とし、建築と広告物を一体で制御することである。
④景観誘導の運用設計;事前協議を導入し設計段階で適合を確保する。フォトモンタージュや3D都市モデルにより見え方を検証し、完成後の不適合を未然に防止するする。
(3)関係者との調整方策
①住民、商店会、まちづくり団体;主要視点場における景観シミュレーション(フォトモンタージュ)を用いて、壁面線の連続性、軒高の統一、広告物配置の違いによる景観変化を可視化し、評価軸を「視覚的連続性」「スカイライン整合性」等の指標として共有することで、感覚的議論による停滞を回避する。
②建築主・事業者;ゾーニングおよび壁面線位置、セットバック量、色彩マンセル値、広告物面積率等の基準を提示し、計画の適合性を事前照合することで設計段階での逸脱を防止し実現性を確保する。
③行政内部;景観計画を都市計画制度や屋外広告物条例と整合させた横断的誘導体系として設計し、基準を性能規定として明文化する。さらに景観計画と建築確認・広告物許可を一体運用する審査プロセスを構築し、制度間不整合による設計変更や再審査を防止する。
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講評
この答案は、歴史的街並み景観の形成について、調査、業務手順、関係者調整を一貫して整理できています。特に、景観を感覚的な美観論ではなく、壁面線、軒高、広告物、色彩、視点場などの具体的な要素に分解して捉えている点が良好です。
評価できるところ
景観形成の目的が明確
連続立面の再構築、景観阻害要因の特定、実効性ある景観誘導という流れが明確です。単なる現況調査ではなく、景観形成基準を作るための調査として整理できています。
業務手順が実務的
景観構造の分析、景観形成地区・景観軸の設定、景観形成基準の設定、運用設計という手順が自然です。景観計画を策定する業務の流れとして十分成立しています。
専門用語が適切
見通し景、アイストップ、スカイライン、マンセル値、フォトモンタージュ、3D都市モデルなど、都市計画・景観分野の専門用語を適切に使えています。
関係者調整が具体的
住民、商店会、建築主、事業者、行政内部に分け、それぞれ何を共有し、何を調整するかが明確です。特に、景観シミュレーションを用いて感覚的議論を避ける点は評価できます。
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改善できるところ
問2③と問2④の役割分担をさらに明確にする
問2③は**「基準を作る段階」、問2④は「基準を運用する段階」**です。③では壁面線、軒高、色彩、広告物などの基準設定に集中し、④では事前協議、審査、適合確認、運用記録に重点を置くと、さらに整理されます。
誤記を修正する
問2④の**「防止するする」は誤記です。「防止する」**に修正してください。小さな誤記ですが、答案全体の完成度が高いだけに目立ちます。
景観形成の効果を少し補足する
景観の連続性確保だけでなく、歩行者の回遊性向上、地域ブランド形成、商店街活性化などに一言触れると、景観施策の社会的効果まで示せます。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、景観計画を感覚論ではなく、調査、分析、基準化、制度運用として整理する力があります。特に、景観要素を具体的に分解し、関係者ごとの調整方策まで落とし込めている点は強みです。
今後は、各設問の役割分担をさらに明確にし、技術的手段がどのような都市空間上の効果につながるかを一言添えると、より説得力のある答案になります。
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模範解答2 専門科目 都市および地方計画 専門事項 公園施設計画 作成日 2026.6.2
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1.調査すべき事項とその内容
(1)景観特性の現状把握
街道沿道や歴史的建築物集積地区について、軒高や壁面位置等の景観要素や景観分断箇所を調査し、景観構造を分析する。これにより宿場町の景観単位と連続性、特徴的構造、景観形成上の阻害要因を把握する。
(2)関係主体の実態把握
地権者や商業者、行政への聞取りから建替え需要や広告物更新需要、空地化傾向、維持管理負担、商業活動に必要な視認性等を分析する。以上を基に景観保全と都市活動の持続的な両立条件を整理する。
2.業務を進めるための手順及び留意点・工夫
(1) 景観計画区域の設定
地区特性に応じた段階的な景観制御を行うため、旧街道を軸とする重点景観形成地区を位置付ける。一方、駅周辺や幹線道路沿道については現代的な都市機能の更新との調和を図る景観誘導地区に位置付ける。
(2) 景観計画方針の設定
重点景観形成地区では、歩行者視点から宿場町としての歴史的スケール感と町並みの連続性を維持し、現代的な商業機能と調和させることを景観計画方針の中心に据える。そのため、建築物の軒高・壁面位置や屋根形状、色彩に加え、広告物や照明、舗装、駐車場等を街路景観を構成する一体的要素として扱う。これにより、個別建築物の外観誘導に留まらず、街道沿道全体として統一感のある景観形成方針を設定する。
(3)シミュレーションを踏まえた景観形成基準設定
建築物や工作物、照明等について、シミュレーションにより歩行者視点での見通しや圧迫感、景観連続性への影響を評価する。その評価を基に、規模や配置、色彩、照明方法等に関する定量的な基準を設定する。
3.関係者との調整方策
関係者調整では、景観形成基準を単なる規制として扱うのではなく、歴史的景観の継承、歩行者空間の質の向上、商業活動との調和を実現する共通の設計思想として共有させることが重要である。
このため、行政に対しては、景観形成基準の背景となる評価軸を整理し、審査や事前協議に一貫して反映できる運用方針を整備するよう指導する。設計者及び民間事業者に対しては、軒高や壁面位置、色彩、広告物等の評価軸をデザインガイドラインとして具体化し、計画初期段階から景観特性に適合した建築・広告物計画を作成できるよう指導する。商業者やまちづくり組織に対しては、広告物や店舗外観の整備が地域価値と回遊性の向上につながることを示し、自主的な景観改善活動につなげる。
これにより、個別協議に依存しない景観誘導が可能となり、歴史的景観の継承や商業活動の継続、歩行者空間の質の向上を両立した実効性の高い景観形成を実現する。
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講評
この答案は、歴史的景観の保全と現代的な都市活動の両立という主題をよく捉えています。特に、景観を単なる外観規制ではなく、歩行者空間、商業活動、地域価値と結び付けて整理している点が良好です。
評価できるところ
景観保全と都市活動の両立を意識できている
地権者、商業者、行政への聞取りを通じて、建替え需要、広告物更新需要、維持管理負担、商業活動に必要な視認性まで把握しようとしている点は評価できます。
景観計画区域の設定が実務的
旧街道沿道を重点景観形成地区、駅周辺や幹線道路沿道を景観誘導地区と分けており、地区特性に応じた段階的な景観制御になっています。
景観形成基準の考え方が具体的
軒高、壁面位置、屋根形状、色彩、広告物、照明、舗装、駐車場まで一体的に扱っており、街路景観全体を誘導する視点があります。
関係者調整の方向性が良い
景観形成基準を単なる規制ではなく、共通の設計思想として共有するという考え方は非常に良いです。行政、設計者、事業者、商業者ごとに調整内容を整理できています。
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改善できるところ
問1の調査事項が2項目に留まっている
設問が3項目を求めている場合には、もう1つ追加した方が安全です。例えば、制度運用・基準適用状況の調査を加えると、問2・問3とのつながりが強くなります。
問2の業務手順がやや少ない
景観計画区域の設定、方針設定、基準設定は良いですが、その前段として景観構造分析、後段として運用体制・事前協議制度の設計を加えると、業務手順としてより完整になります。
シミュレーションの内容を具体化する
シミュレーションと書くだけでなく、フォトモンタージュ、3D都市モデル、主要視点場からの見え方確認などを示すと、専門性がより明確になります。
調整方策を少し分節化する
問3は内容は良いですが、文章が長いため、行政、設計者・事業者、商業者・まちづくり組織のように分けると、採点者に伝わりやすくなります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、景観計画を規制行政ではなく、地域価値を高めるまちづくり手法として捉える力があります。特に、歴史的景観の継承と商業活動の継続を両立させようとしている点は強みです。
今後は、設問要求に合わせて調査事項・業務手順・関係者調整を漏れなく項目化し、専門技術をもう少し具体語で示すと、さらに安定した答案になります。
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Ⅲ-1
問題文
我が国の都市における今後のまちづくりは、人口の急激な減少と高齢化を背景にしながら、持続可能で安全・安心して暮らせる都市を目指す必要があり、行政と住民や民間事業者が一体となったコンパクトなまちづくりを促進するため、立地適正化計画制度が創設され多くの都市で活用されてきている。 人口減少傾向である人口30万人規模の地方都市において、新たに立地適正化計画を作成して、まちづくりに取り組むこととなった。当業務を担当する「都市及び地方計画分野」の技術者として、以下の問いに答えよ。
1. 上記のような地方都市において、立地適正化計画を活用してまちづくりに取り組むに当たり、多面的な観点から技術課題を3つ抽出し、観点を明記したうえで、それぞれの技術課題の内容を示せ。
2. 前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を示せ。 3. 前問(2)で示した解決策に関連して、立地適正化計画作成後に計画に基づく取組を進めていくなかで、新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
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問題文の解説
この問題は、人口減少・高齢化が進む地方都市で、立地適正化計画によりコンパクトな都市構造を形成する力を問う問題です。
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設問1 観点と課題
課題は、居住誘導、都市機能誘導、公共交通維持、防災性向上などの観点から整理します。
例えば、居住誘導の観点から人口密度を維持する区域を設定する、都市機能維持の観点から医療・福祉・商業施設を拠点へ誘導する、公共交通維持の観点から拠点間ネットワークを再編する、などです。
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設問2 最重要課題と解決策
最重要課題としては、居住誘導による都市構造の集約化が有力です。
解決策は、居住誘導区域の設定、都市機能誘導区域への施設集積、公共交通ネットワーク再編、空き家・低未利用地の活用などが考えられます。
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設問3 懸念事項と対策
取組を進めると、誘導区域外の空洞化、住民合意の停滞、公共交通利用者不足、地価格差の拡大などが生じるおそれがあります。
そのため、段階的誘導、住民参加、効果検証、公共交通の見直し、都市構造のモニタリングにより、計画を継続的に改善することが重要です。
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まとめ
この問題では、居住・都市機能・公共交通を一体で再編し、コンパクト+ネットワーク型都市構造を実現する視点が得点のポイントです。
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模範解答 専門科目 都市および地方計画 専門事項 地域計画 作成日 2026.5.15
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(1)多面的観点からの技術課題
①拠点階層の設定
都市機能維持の観点から、将来人口メッシュ、DID変化、都市機能施設及び災害ハザード区域をGISで重ね合わせ、中心拠点・地域生活拠点の階層を設定する必要がある。
これにより、居住誘導区域と都市機能誘導区域を一体的に設定し、生活サービスを維持可能な都市構造へ再編する。
②公共交通との連動
交通結節性の観点から、鉄道駅、主要バス停等を交通結節点として評価し、中心拠点と地域生活拠点を結ぶ幹線公共交通軸を設定する必要がある。あわせて徒歩圏等を分析し、公共交通と徒歩により生活サービスへ到達できる生活圏を形成する。
③既存ストック活用
既存ストック活用の観点から、都市機能誘導区域内の空き店舗、低未利用地、公共施設跡地等を把握し、医療、福祉、子育て支援等の誘導施設の受け皿として再編する必要がある。
これにより、新規開発に依存せず既成市街地へ都市機能を集約する。
(2)最重要課題と解決策
【最重要課題】最重要課題は、拠点階層形成の観点から、将来人口、都市機能、公共交通及び防災条件を評価し、居住誘導区域と都市機能誘導区域を合理的に設定することである。
【解決策】
①都市構造評価
将来人口メッシュ、DID、施設集積度、公共交通徒歩圏、災害ハザード区域をGISで重ね合わせ、中心拠点及び地域生活拠点候補を抽出する。人口集積、交通結節性、既存インフラ活用可能性を評価指標として点数化し、拠点階層と誘導区域を設定する。
②公共交通再編
鉄道駅、バスターミナル、主要バス停を交通結節点として位置づけ、中心拠点と地域生活拠点を結ぶ幹線公共交通軸を再編する。交通空白地では、フィーダー交通やデマンド交通を導入し、公共交通と徒歩で生活サービスへ到達できる生活圏を形成する。
③既存ストック活用
誘導区域内の空き店舗、低未利用地、公共施設跡地を把握し、医療、福祉、子育て支援施設の受け皿として再編する。都市再生整備計画、公的不動産活用、用途誘導、施設複合化を組み合わせ、既存ストックを活用した都市機能集約を進める。
(3)将来的な懸念事項と対策
①誘導区域内で必要な都市機能が立地しにくくなる
誘導区域へ都市機能を集約すると、駅周辺等で地価・賃料が上昇し、医療、福祉、子育て支援等の生活支援機能が採算上立地しにくくなる懸念がある。
対策として、公共施設跡地や低未利用地を先行的に確保し、施都市再生整備計画、公的不動産活用、用途誘導、施設複合化、定期借地、低未利用土地権利設定等促進計画等を組み合わせ、生活支援機能の受け皿を確保する。
②拠点内で交通混雑発生
拠点へ来訪者、送迎車両、荷さばき車両、バス等が集中し、駅前広場や主要交差点で混雑が発生することで、歩行者安全や公共交通の定時性が低下する懸念がある。
対策として、交通結節点再編により、歩行者・公共交通・荷さばき・自家用車動線を空間的に分離する。また、駅前広場、バス停、荷さばき空間を再配置するとともに、歩行者ネットワーク及びバス優先動線を形成し、公共交通中心の拠点構造へ再編する。
③安全な誘導候補地が不足
洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域等を除外すると、安全な誘導候補地が限られ、用地不足や施設配置の硬直化が生じる懸念がある。
対策として、防災指針に基づき、家屋倒壊等氾濫想定区域等の除外区域と、避難路、避難施設、雨水排水対策等を条件として誘導可能な区域を区分する。また、浸水深や避難可能距離を踏まえ土地利用を誘導するとともに、拠点階層ごとに誘導施設の役割分担を設定する。
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講評
この答案は、立地適正化計画・コンパクトシティ形成について、拠点階層、公共交通、既存ストック、防災条件を一体的に整理できています。特に、GISによる都市構造評価から、誘導区域設定、公共交通再編、既存ストック活用へ展開している点が良好です。
評価できるところ
都市構造評価の視点が明確
将来人口、DID、都市機能、公共交通、災害ハザードを重ね合わせ、合理的に拠点と誘導区域を設定する流れができています。
公共交通との連動がよい
幹線公共交通軸、フィーダー交通、デマンド交通を組み合わせ、コンパクト・プラス・ネットワークの考え方に沿っています。
既存ストック活用が具体的
空き店舗、低未利用地、公共施設跡地を、医療・福祉・子育て支援施設の受け皿とする点は実務的です。
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改善できるところ
問1と問2で課題名をそろえる
問1は**「拠点階層の設定」、問2は「拠点階層形成」**となっています。同じ表現にすると一貫性が高まります。
課題の末尾を課題らしくする
問1では、各項目を**「〜することが課題である」**で締めると、技術課題として明確になります。
誤記を修正する
問3①の**「施都市再生整備計画」は、「都市再生整備計画」**に修正してください。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、都市構造を人口、交通、施設、防災、既存ストックから総合的に評価する力があります。
今後は、課題名を統一し、制度名を並べるだけでなく、その制度で何を実現するのかを簡潔に書くと、さらに説得力が高まります。
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Ⅲ-2 問題文
高度経済成長期以降、都市部への急激な人口集中に対応し、住宅団地の開発が進められたが、多くの住宅団地では、入居開始後、期間が経過し、様々な課題が顕在化しつつある。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)大都市の郊外に開発された戸建て住宅地を多く含む住宅団地を再生するに当たり、多面的な観点から技術課題を3つ抽出し、観点を明記したうえで、それぞれの技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について示せ。
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問題文の解説
この問題は、高度経済成長期に開発された郊外住宅団地を、人口減少・高齢化に対応した持続可能な住宅地へ再生する力を問う問題です。
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1.設問1 観点と課題
課題は、老朽化した住宅やインフラだけでなく、空き家増加、高齢化、生活サービス低下、公共交通衰退、コミュニティ弱体化まで含めて考えます。
例として、居住環境維持の観点から空き家・空き地対策、生活利便性確保の観点から医療・商業・交通機能の再編、多世代居住の観点から若年層流入の促進などが考えられます。
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2.設問2 最重要課題と解決策
最重要課題を1つ選び、複数の解決策を示します。
例えば、生活利便性の確保を重視する場合、生活拠点への医療・福祉・商業機能の集約、デマンド交通やコミュニティバスの導入、空き家を活用した交流・福祉施設整備などが考えられます。
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3.設問3 リスクと対策
解決策を実行しても、住民合意の難航、需要不足、施設集約による不便地域の発生、維持管理費増加などのリスクがあります。
そのため、段階的整備、住民参加、需要予測の見直し、民間活力の活用により、実現性を高めることが重要です。
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まとめ
この問題では、住宅団地を単なる住宅地ではなく、居住・交通・生活サービス・コミュニティが一体となった地域システムとして捉えることが得点のポイントです。
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模範解答 専門科目 都市および地方計画 専門事項 緑地計画 作成日 2025.3.20
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1.大都市郊外の戸建て住宅地を多く含む住宅団地再生の課題
(1)住宅団地の計画的な更新:市街地更新の観点から、空き家・空き地の分布を把握し、敷地統合、用途転換、共同利用、暫定利用を組み合わせて、低密度化が進む戸建て住宅団地を計画的に更新することが課題である。
(2)生活関連機能の誘導:土地利用再編の観点から、地区計画や用途地域の見直し、低未利用地の活用を組み合わせ、団地内外の拠点周辺に商業や医療、福祉、子育て支援、交流等の生活関連機能を誘導することが課題である。
(3)居住者の交流を促進する生活交流空間の形成:公共空間再編の観点から、空き地、公園、歩行者動線、集会施設を一体的に再配置し、高齢者、子育て世帯、新規居住者が日常的に交流できる生活交流空間を形成することが課題である。
2.最も重要と考える課題とその解決策
既存ストックの老朽化により災害時に住民に危害が及ぶ可能性がある。人命確保を最優先する視点から、1.(1)既存ストックの有効活用が最も重要と考える。
(1) 既存ストックの性能向上:既存ストックの耐震化・バリアフリー化・省エネ化・長寿命化やインスペクションによる状態把握に関する情報共有・相談体制の整備と補助制度の創設・周知を行う。
(2) 生活関連サービス施設の設置:既存ストックの改修による高齢者支援施設・子育て支援施設等の生活関連施設の整備、用途規制見直しによる生活関連施設の立地規制緩和を行う。
(3) 住み替えの促進:高齢居住者に向けた高齢者支援施設・サービスの紹介、住み替え元の住宅の賃貸物件としての活用、入居希望世帯に対する広報を行う。
3.新たに生じうるリスクとその対策
(1)新たに生じうるリスク:居住環境の質向上により地価が上昇し、若年世帯が入居困難になる。また、既存コミュニティと新規入居の若年コミュニティ間で分断が起こる可能性がある。
(2)対策:段階的な事業実施により地価上昇を緩やかにする。また、新規入居者・既存住民への事前説明や顔合わせにより入居前の良好な関係構築を支援する。
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講評
この答案は、大都市郊外の戸建て住宅団地再生について、空き家・空き地、生活関連機能、交流空間という主要論点を整理できています。特に、住宅団地再生を土地利用再編と生活機能再構築の問題として捉えている点は良好です。
評価できるところ
課題設定の方向性がよい
空き家・空き地活用、生活関連機能の誘導、交流空間形成という3課題は、住宅団地再生の主要論点を押さえています。
観点と課題が対応している
市街地更新、土地利用再編、公共空間再編という観点が、それぞれの課題と対応しています。
既存ストック活用の視点がある
耐震化、バリアフリー化、省エネ化、長寿命化、インスペクションなどを挙げ、既存住宅を活かす再生として整理できています。
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改善できるところ
問2の最重要課題が問1と一致していない
問1(1)は**「住宅団地の計画的な更新」ですが、問2では「既存ストックの有効活用」**となっています。問1と同じ表現にそろえると一貫性が出ます。
最重要課題の選定理由がやや狭い
災害時の人命確保だけでなく、空き家増加、生活利便性低下、地域活力低下を総合的に解決するため、と説明すると主題に合います。
解決策に都市計画技術を補う
生活関連施設や住み替え促進に加え、地区計画、用途地域見直し、敷地統合、低未利用地活用、居住誘導などを入れると専門性が高まります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、住宅団地再生を建物更新、生活機能、交流空間の複合問題として捉える力があります。
今後は、問1と問2の課題名を一致させ、解決策に都市計画制度や土地利用再編の技術をより明確に示すと、答案の一貫性と専門性がさらに高まります。
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護岸が有する治水上の治水上の機能を説明せよ。また、護岸を構成する部位のうち、のり覆工又は基礎工について、洪水時に想定される被災形態を踏まえ、設計時の安全性能照査上の留意点を3つ以上述べよ。
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問題文の解説
この問題は、護岸の治水上の機能と、洪水時の被災形態を踏まえた設計照査上の留意点を説明できるかを問う問題です。
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1.護岸の機能
護岸は、流水による河岸侵食を防ぎ、堤防や河岸の安定を確保し、河道断面を維持して洪水を安全に流下させる役割を持ちます。
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2.被災形態と照査のポイント
のり覆工では、流速増大による覆工材の流失、裏込め材の吸出し、越流時の法面侵食などが想定されます。
基礎工では、河床洗掘による基礎露出、根入れ不足による沈下・転倒、支持力低下などが問題になります。
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3.設計上の留意点
設計時には、洗掘深を考慮した根入れ深さの確保、流速・せん断力に対する覆工材の安定性、吸出し防止材の機能、法面安定性、浮力・揚圧力への抵抗性を確認することが重要です。
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まとめ
この問題は、護岸を単なる河岸保護施設としてではなく、洪水時に河道と堤防を守る治水施設として理解しているかを見ています。侵食・洗掘・吸出し・浮力を被災形態と結び付けて説明することが得点のポイントです。
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模範解答 専門科目 河川、砂防及び海岸・海洋 専門事項 河川構造物 作成日 2025.11.4
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護岸が有する治水上の治水上の機能を説明せよ。また、護岸を構成する部位のうち、のり覆工又は基礎工について、洪水時に想定される被災形態を踏まえ、設計時の安全性能照査上の留意点を3つ以上述べよ。1)護岸が有する治水上の機能(のり覆工)
①河岸の浸食防止
洪水による強い流水がのり面やのり尻を削りとる浸食を防止する。特に蛇行部や流速が速い水衝部で堤防の崩壊を防ぐ役割がある。
②洪水流の制御
河道の形状を安定させることで、洪水時の流れを一定方向に導き、氾濫のリスクを低減させる。
③堤防の保護
堤防ののり尻(法面の下端)や法面を保護し、越水や洗堀による堤体の崩壊を防止する。特にコンクリート護岸は、堤防基礎の安定性を高める役割がある。
2)設計時の安全性能照査上の留意点
①外力の設定と照査対象の設定
計画高水位・代表流速を用い、洪水時に作用する外力を設定する。
②構造部材の耐力照査
のり覆工(コンクリートブロック、植生など)
の表面浸食耐力を評価する。また、基礎工、根固工、天端工などの部材ごとに照査基準を設定する。
③地盤条件の把握と安定性評価
地盤の支持力・透水性・液状化の可能性などを調査し、構造物の安全性を確保する。
特に過去に浸透被害による被災履歴がある場合は、止水対策に留意する。
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講評
この答案は、護岸の治水機能と設計時の安全性能照査について、基本的な内容は整理できています。特に、河岸浸食防止や堤防保護など、護岸の役割を理解できています。
評価できるところ
護岸の基本機能を押さえている
河岸浸食防止、洪水流の制御、堤防保護という主要な機能を整理できています。
設計照査の基本項目を理解している
外力設定、耐力照査、地盤条件把握という設計の基本的な流れが書けています。
地盤条件にも着目している
支持力、透水性、液状化など、基礎地盤の安全性にも触れられています。
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改善できるところ
被災形態との対応が弱い
設問は、**「洪水時に想定される被災形態を踏まえて」**留意点を書くことを求めています。
そのため、
のり覆工の流失
のり尻洗掘
基礎工の沈下
裏込め材の吸出し
などを示したうえで照査内容を書く必要があります。
対象部位を絞る
設問は「のり覆工又は基礎工」について問っています。護岸全体ではなく、対象部位に限定して記述した方がよいです。
専門用語を増やす
洗掘、揚圧力、吸出し、滑動、支持力、根入れ深さなどの河川構造物特有の用語を用いると専門性が高まります。
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Ⅱ-2-1 問題文
UAV(Unmanned Aerial Vehicle)は、高所あるいは人が容易に近づくことが難しい箇所で写真や光学的計測を行うことで、詳細調査・補修等に至る前段階の活用が可能な技術であり、最近は入手しやすく、操作が容易なUAVも増えている。令和6年能登半島地震をはじめとしてUAVを活用することにより、山腹崩壊や河道への土砂流出、インフラ被害等災害後の迅速な助教把握がなされている事例も増えている。
大規模な地震災害の発生直後、ヘリコプターによる上空からの調査により被災地域の斜め写真が大まかに分析され、被災を受けた箇所がある程度特定された状況において、二次災害発生や施設の被害ぼ拡大を防止・軽減すること等を目的に、UAVを活用して河川、砂防分及び海岸の分野を対象とした被災状況や被災施設等の把握を急ぎ実施することとなった。あなたがこの業務の責任者となった場合を想定して、下記の内容について記述せよ。
(1)当該業務着手に当たって、あらかじめ調査、検討すべき事項について説明せよ。
(2)留意すべき点、工夫を要する点を含めて当該業務を進める手順について説明せよ。
(3)当該業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
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問題文の解説
この問題は、大規模地震直後に、UAVを用いて河川・砂防・海岸施設の被災状況を迅速に把握する業務遂行能力を問う問題です。
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1.設問1 事前調査・検討事項
着手前には、ヘリ調査結果、既存図面、ハザードマップ、被災想定区域、飛行禁止区域、気象条件、二次災害リスクを確認します。
特に、人が近づけない危険箇所や応急対策が必要な施設を優先する調査計画が重要です。
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2.設問2 業務手順
手順は、調査対象の優先順位設定、飛行計画作成、UAV撮影・計測、画像判読、オルソ画像・点群データ作成、被害状況整理・報告の流れです。
留意点は、操縦者の安全確保、強風・降雨・電波障害への対応、撮影範囲の重複確保、データの迅速共有です。
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3.設問3 関係者調整
河川管理者、砂防部局、海岸管理者、自治体、警察・消防・自衛隊、UAV事業者と、飛行区域、調査優先度、危険箇所、成果共有方法を調整します。
重複調査を避け、迅速性・安全性・情報共有を確保する体制づくりが重要です。
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まとめ
この問題では、UAV技術そのものよりも、災害直後に安全かつ効率的に被災状況を把握し、関係者へ共有する実務能力が問われています。
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模範解答 専門科目 河川、砂防及び海岸・海洋 専門事項 河川構造物 作成日 2024.11.4
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調査・検討すべき事項(砂防分野)
1)最新の地形と地質データ
災害による地形の変化や地盤の安定性を評価するため、地形図、地質図、最近の航空写真や衛星画像等を調査・検討する。
2)損傷状況の詳細な報告と評価
被災状況を正確に把握し、優先順位を決定するため、現地調査による詳細な損傷報告、損傷箇所の写真やビデオ、緊急安全評価結果を調査する。
3)地すべり及び堆積状況の報告と評価
地すべり及び堆積状況を調査し、予防的な除石等の必要性を判断するため、地すべり調査報告、堆積測量結果を検討する。
2.調査・検討の手順
1)情報をもとに現地調査と損傷評価
①被災後のリスク管理
地震による地形変化、堰堤の損傷状況を確認し、周辺環境のリスク評価を行い、安全対策を徹底する。
②危険個所における詳細点検
アクセス困難な箇所や広範囲の損傷箇所をUAVで撮影し、破損状況、堆積状況を調査する。
③専門家の意見を踏まえたデータ収集
地質学者等と協力して地すべりや土砂の堆積が今後の安全に及ぼす影響を評価し、データ収集を行う。
2)情報整理と優先順位の設定
①施設の健全度評価
UAVよる調査情報をデジタル入力し、GISを活用して位置、損傷の程度、堆積量を詳細に分析する。特に打ち継ぎ部やクラックの安定性を評価する。
②緊急措置の特定
地震による地形変化の下流域への影響を評価する。重要度に応じた除石の優先順位を設定する。
3)二次災害対策
河道閉塞時の天然ダム形成後の水圧の増長による決壊に備える。早期発見と対応が遅れやすいため、UAVを活用し、河道閉塞箇所の溜水量や堆積物を中心に
臨界値に近づくタイミングをリアルタイムで監視する。
3.効率的・効果的に進める関係者調整方策
1)工事会社
リスク管理を強化し、次期出水期の危険個所 (土石流後の斜面地盤など)を早期に発見し、予防的対策を早めるよう指導する。大型土嚢など仮設材で土石流流出を抑制し本工事の安全性を事前にするよう調整する。
2)調査会社
被災後の岩盤クリープ破砕帯などでの土砂動態モニタリング結果より、顕著な変化を抽出して応急措置に反映するよう指導する。通過流砂量や下流域の河床変動量は治水安全度確保の観点から、土嚢積みやワイヤーネットによる抑制対策を特定するように調整する。
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講評
この答案は、地震被災後の砂防施設調査として、地形変化、施設損傷、土砂堆積、河道閉塞などに着目できています。特に、UAVやGISを活用した情報収集・整理は評価できます。
評価できるところ
二次災害リスクを意識できている
地すべり、堆積土砂、天然ダム形成など、砂防分野で重要なリスクを挙げられています。
UAV活用が具体的
アクセス困難箇所や河道閉塞箇所の確認にUAVを使う点は実務的です。
GISによる整理がよい
損傷位置、堆積量、危険箇所をGISで整理する考え方は有効です。
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改善できるところ
恒久復旧計画の視点が弱い
答案は応急対応や監視に寄っています。恒久復旧なら、残存性能評価、復旧目標性能、復旧工法比較、再設計まで書く必要があります。
対象施設を明確にする
砂防堰堤、床固工、流路工など、どの施設を対象にするのかを明確にすると答案が締まります。
関係者調整を広げる
工事会社、調査会社だけでなく、河川管理者、自治体、地域住民との調整も入れるとよいです。
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Ⅲ-1 問題文
Ⅲ-1 我が国においては、高度経済成長期以降に集中的に整備されたインフラの老朽化が深刻であり、今後、建設から50年以上経過する施設の割合が加速度的に増加していく。近年、水害・土砂災害が激甚化・頻発化している中で、人口減少と少子高齢化の進行等、大きく変化する社会構造を踏まえ、持続可能なインフラメンテナンスを的確に実現することが求められている。このような社会情勢を考慮して、河川、砂防及び海岸分野の技術者として以下に答えよ。
(1)河川管理施設、砂防関係施設又は海岸保全施設の持続可能なインフラメンテナンスを実現するうえで、河川、砂防及び海岸分野に関するインフラの特性を踏まえて、多面的観点から技術課題(政策上の課題も含まれる)を3つ抽出し、観点の明記とともに、その技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する2つ以上の解決策を、専門技術を踏まえて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考え方を示せ。
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問題文の解説
この問題は、河川・砂防・海岸施設の老朽化が進む中で、限られた人員・予算で持続可能な維持管理を実現する能力を問う問題です。
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設問1 観点と課題
課題は、施設の特性を踏まえて多面的に抽出します。
例えば、
・維持管理効率化の観点から、点検・診断の高度化
・防災・減災の観点から、老朽施設の優先的対策
・担い手確保の観点から、DX活用や技術継承
などが考えられます。
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設問2 最重要課題と解決策
最重要課題としては、予防保全型維持管理への転換が考えやすいです。
解決策として、
・UAVやAIによる点検高度化
・健全度評価に基づく優先順位付け
・施設情報のデジタル一元管理
などを挙げることができます。
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設問3 リスクと対策
解決策を実施しても、
・データ不足による誤判定
・システム障害
・技術者の判断力低下
などのリスクがあります。
そのため、現地点検との併用、継続的なデータ更新、技術者教育、バックアップ体制整備などの対策を示します。
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まとめ
この問題では、老朽化・災害激甚化・人口減少を踏まえ、予防保全とDXを活用した持続可能なインフラメンテナンスを論理的に説明することが重要です。
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模範解答 専門科目 河川、砂防及び海岸・海洋 専門事項 河川構造物 作成日 2024.11.4
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持続可能なインフラメンテナンスの課題
1) 施設の健全度評価手法の高度化
施設の予防保全的運用の必要性の観点から、要改良区間を効率的に抽出する評価手法の高度化を図る。
堤体の内部構造は不均質である場合が多く、従来の連続的目視調査等では、検出が困難である。堤体および支持地盤内の弱点箇所を経済的かつ高確度で把握する非破壊調査手法の導入が必要である。
2) 老朽化施設の戦略的更新
限られた予算下での資源最適化の観点から、施設の状態評価結果を踏まえ、洪水リスクや施設の重要度に応じた優先順位の定量化を図る。
災害発生確率や構造物の劣化度、維持コストなどリスク評価指標を反映したLCPによる戦略的な維持管理計画を策定する。AIによる被害想定と事前評価の連携による検討結果も計画に反映させる。
3) 運用体制の機動力向上
災害応答力の維持の観点から、現地の手動操作による一律的な状態監視から、更新結果を運用に反映し、少人数で対応可能な体制構築を図る。
Iotやセンシング技術を導入し、防災上、重要度の高い水防施設の自動化・遠隔操作・状態監視により、施設異常の早期検知や災害時の迅速な対応を行うための管理体制を構築する必要がある。
2.課題(1)の解決策:老朽化施設の戦略的更新
1) プロアクティブなリスク管理の導入
インフラの損傷が軽微なうちに補修する予防保全型維持管理に転換する。センサーやIoT等を活用しインフラの状態をリアルタイムで監視する。
仮想環境でのシミュレーションにより、劣化・損傷を事前に予測評価し、最小限の資機材で補修する。これにより限られた資源の中でも重要施設を見極めた段階的更新が可能となる。
2)データ駆動型の維持管理計画
プロアクティブに得られた構造物の劣化や予兆解析結果を自治体が策定する維持管理計画に反映させる。維持管理スケジュールや資機材の最適配分を動的に調整する。これにより、限られた予算・人員の中でも合理的かつ効率的な施設更新が可能となる。
3)SARを活用した更新優先度の特定
長大な堤防等の目視点検に加えて、リモートセンシング技術の活用により、点検の効率化や変状把握の特定を図る。
SAR衛星による反射波の位相差の画像解析により、堤防の陥没や洗堀箇所を抽出し、重点区間を特定する。維持管理更新計画に反映させることにより、維持管理のコスト削減や点検の省人化・精度向上が期待できる。
4)FSMを活用した波及被害構造可視化と管理体系化
地域のインフラを単体でなく群として捉え一括管理し、補修、更新する。
FSMを用いて河川、道路など異なるインフラ間の相互依存関係を表現した依存関係マップや災害波及経路などのモデルを構築し、インフラ対策計画を動的に更新する。これにより、優先順位の再設定が可能となり、戦略的な施設管理が実現できる。
3.共通して新たに生じるリスクと対策
1)情報統合の錯誤リスク
DX化に伴う情報統合の錯誤リスクが発生する。河川水位情報システムや道路冠水センサのデータのタイムラグによる避難経路情報の誤判断など異なるシステムやデータを統合する際に、誤った情報の統合やデータの不整合が生じる。
2)データの品質低下
異常前兆の発見精度の向上に大量データ、長期間の収集分析が必要になる。
3)対策(1):システム分散化による冗長性の確保
システムを地域単位や構造物単位に分散化することで、障害の局所化を図る。例えば、橋梁、堤防などに専用のIoT監視システムを設置し、データ処理や意思決定をそれぞれのインフラで分散して実施する。
4)対策(2):データ駆動型システムの活用
AIを使った予測分析・データ分析ツールを活用し作業プロセスにおいて、人手を介さないデータ駆動型システムの活用による自動化や効率化を行う。
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講評
この答案は、持続可能なインフラメンテナンスについて、健全度評価、戦略的更新、運用体制の高度化という方向性を整理できています。特に、非破壊調査、IoT、SAR、AI、GIS的管理など新技術を活用しようとしている点は評価できます。
評価できるところ
予防保全の視点がある
従来の事後保全ではなく、劣化や損傷を早期に把握し、軽微な段階で補修する予防保全型維持管理を重視している点は良好です。
点検・評価技術が具体的
非破壊調査、IoT、センシング、SAR衛星などを挙げており、広域・長大インフラを効率的に把握する技術として整理できています。
優先順位付けの考え方がある
洪水リスク、施設重要度、劣化度、維持コストを踏まえて更新優先度を決める考え方は、限られた予算下での維持管理に合っています。
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改善できるところ
問2の課題番号がずれている
「課題(1)の解決策:老朽化施設の戦略的更新」とありますが、問1の(1)は施設の健全度評価手法の高度化です。最重要課題を問1のどれにするのかを正確に一致させてください。
技術が多く、主題がやや散漫
AI、IoT、SAR、FSMなどが多く出ていますが、何を解決するための技術かがやや薄くなっています。健全度評価→優先順位付け→更新計画の流れに絞ると、答案が締まります。
LCPはLCC等に修正する
維持管理費や更新費を含む評価であれば、一般には**LCC(ライフサイクルコスト)**が適切です。用語の正確性に注意してください。
リスク対策がリスクと対応していない
情報統合の錯誤リスクに対しては、単なる自動化ではなく、データ品質管理、センサ校正、異常値検知、人的確認、フェイルセーフ設計などが対策になります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、インフラメンテナンスをデータ活用と予防保全で高度化する方向性を理解しています。特に、広域施設を効率的に点検し、限られた予算で優先順位を付ける視点は強みです。
今後は、技術を多く並べるよりも、課題、解決策、リスク対策の対応関係を明確にすると、技術士答案としての説得力が大きく高まります。
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令和6年能登半島地震の被災状況を踏まえた盛土の排水の課題を挙げ、対策工と留意点を具体的に説明せよ。
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問題文の解説
この問題は、令和6年能登半島地震の被災状況を踏まえ、盛土の排水不良が地震時安定性に与える影響を説明できるかを問う問題です。
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被災原因のポイント
谷埋め盛土や腹付け盛土では、地下水や表面水が盛土内に滞留しやすく、排水機能が低下すると間隙水圧が上昇します。その結果、有効応力が低下し、地震時にせん断強度が低下して、すべりや崩壊が発生しやすくなります。
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対策工のポイント
対策としては、水平排水層、暗渠排水管、集水ボーリング、のり尻排水工、地表排水工などにより、地下水位を低下させ、盛土内に水を滞留させないことが重要です。必要に応じて、押え盛土や補強土工と併用します。
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留意点
設計では、地下水位、透水係数、集水地形、豪雨後の地震など不利な条件を考慮し、浸透流解析や安定解析を行います。また、排水工は目詰まりや土砂堆積で機能低下するため、点検、洗浄、流量確認などの維持管理も重要です。
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まとめ
この問題では、盛土災害と水の関係を理解し、排水不良による不安定化、地下水位低下対策、維持管理上の留意点を一連で説明することが得点のポイントです。
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模範解答 専門科目 道路 専門事項 交通安全対策 作成日 2025.7.21
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1)社会的背景
令和6年能登半島地震では、道路が広範囲に被災し孤立集落が発生した。道路啓開計画が事前に策定されていなかったため、応援要請や優先ルートの調整、道路管理者間の手続きに時間を要したことが課題となった。また、多くの自治体で技術系職員が不足し、初動対応を自力で完結できない地域がある。一方、トイレ等の高付加価値コンテナや「道の駅」を防災拠点として活用できる有効性も確認され、平時からの計画的備えと有事の機動的対応を制度として強化する必要性が高まった。
2)災害対応の深化の概要
①道路啓開計画の法定化
道路啓開計画を法定協議会で策定する制度が創設され、優先ルート、啓開完了目標時間、体制・資機材配置等の記載事項を明確化し、関係機関が共通手順で備える枠組みが整えられた。
②機動的な管理支援(道の駅・駐車場の代行)
道の駅等の自動車駐車場を災害時の物資拠点として迅速に活用できるよう、国が必要な管理を代行できる制度を設け、被災自治体の負担軽減と初動対応の迅速化を図った。
③高付加価値コンテナの活用促進
占用許可基準を緩和し、設置費用の無利子貸付制度を創設し、平時配備と災害時の迅速展開が可能となった。
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講評
この答案は、能登半島地震を踏まえた道路分野の災害対応強化について、社会的背景と制度改正の方向性を整理できています。特に、道路啓開計画、道の駅の防災拠点化、高付加価値コンテナを関連付けて説明している点は良好です。
評価できるところ
社会的背景が具体的
能登半島地震での孤立集落、道路被災、技術系職員不足を挙げており、制度改正の必要性が伝わります。
道路啓開計画の重要性を理解している
優先ルート、目標時間、体制・資機材配置を事前に定める必要性を説明できています。
道の駅・コンテナ活用の視点がある
道の駅を物資拠点として活用し、高付加価値コンテナを平時から備える考え方は、防災拠点機能の強化として適切です。
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改善できるところ
法制度名や根拠を少し明確にする
「法定協議会」「国の代行」「占用許可基準緩和」などは重要なので、可能であれば道路法改正等による制度強化として位置付けると安定します。
災害対応の流れを補足する
道路啓開、物資輸送、避難・救援活動、復旧支援がどうつながるかを一言入れると、制度の意義がより明確になります。
技術者としての視点を加える
道路管理者間の調整だけでなく、被災状況把握、啓開優先度判定、資機材配置、代替ルート設定などを加えると、技術答案らしくなります。
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Ⅱ-2-1
問題文
A市では、「自動車に過度に依存しない交通体系」の実現を目指す一環として、自転車の安全かつ快適な通行環境を計画的に整備するため、すでに定めた「A市自転車活用推進計画」に基づき新たに「自転車ネットワーク計画」を策定することとなった。
この計画を担当する責任者として、下記の内容について記述せよ。
(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
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問題文の解説
この問題は、自転車ネットワーク計画の策定手順を、調査・計画・調整の流れで説明できるかを問う問題です。
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1.設問1 調査・検討事項
自転車交通量、利用目的、事故発生状況、道路幅員、自動車交通量、駅・学校・公共施設の位置、既存自転車通行空間を調査します。
特に、移動需要が多い区間、安全上問題のある区間、ネットワークが途切れている区間を把握することが重要です。
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2.設問2 業務手順
現況調査、課題整理、候補路線抽出、整備形態検討、優先順位設定、計画案作成、関係機関協議の順で進めます。
留意点は、安全性、連続性、歩行者・自動車交通への影響、整備効果を総合的に確認することです。
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3.設問3 関係者調整
道路管理者、警察、学校、商店街、鉄道事業者、住民、自転車利用者と調整します。
車線構成や駐車規制が変わる場合もあるため、早期に情報共有し、安全性と利便性の両立を図ることが重要です。
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まとめ
この問題では、単なる自転車道整備ではなく、利用需要、安全性、連続性、関係者合意を踏まえて、実効性のあるネットワーク計画を作る力が問われています。
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模範解答 専門科目 道路 専門事項 交通安全対策 作成日 2025.7.21
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1.調査・検討すべき事項
(1)自転車需要と利用実態の把握
自転車交通量だけでなく、発着地点や目的地分布、時間帯別の需要を分析し、利用者が連続的に移動しやすい区間や、需要が途切れやすい地点を把握する。これによりネットワークの骨格形成に必要な主要ルートを明確にできる。
(2)道路機能・安全性からみた技術的検討
道路階層(幹線・補助・生活道路)の交通機能を整理し、自転車導入に適した路線を抽出する。また、事故多発箇所については、事故類型・交差点形状・速度環境を確認し、自転車導入によるリスク増減を技術的に評価する。
(3)道路空間・沿道状況の制約整理
現況幅員を基に、道路空間再配分の可否や用地確保の必要性を判断する。併せて、沿道の店舗・学校・物流施設の活動量、バス停位置と乗降特性、荷捌きスペースの有無などを整理し、利用者や沿道の生活・事業活動への影響を把握する。
2.業務手順と留意点・工夫点
(1)現況分析と課題整理
利用実態、安全性、連続性、快適性の観点から現況を整理し、ネットワーク形成に向けた基本方針を定める。需要は天候・曜日で変動するため、プローブデータやシェアサイクルデータを組み合わせて精度を高める。
(2)ルート選定(基準の設定と比較)
連続性、目的地への直達性、交差点の安全性、沿道活動との干渉の少なさを基準として候補ルートを比較検討する。特に交差点部の視距確保や右折挙動は事故リスクに直結するため、重点的に分析する。
(3)整備形態の選択(安全性・維持管理性)
自転車道・自転車専用通行帯・混在などの整備形態について、幅員や交通量、沿道状況から最も安全で維持管理性に優れる案を選定する。バス停の構造や荷捌き動線にも配慮し、整備後の円滑な運用を見据えて検討する。
3.関係者との調整方策
(1)警察との協働による安全対策の具体化
交差点の速度管理、停止線位置、右折待ち整理など、自転車と自動車が交錯しやすい地点の安全対策について、改善案を示しながら意見をすり合わせる。
(2)公共交通・沿道事業者との機能調整
バス事業者には、バス停形態や乗降動線と自転車空間の干渉を避ける案を提示する。商店会・物流事業者には、荷捌きスペースや出入口動線の改善を提案し、整備後の利便性向上を共有する。
(3)住民との合意形成と情報共有
生活動線への影響、安全性向上の効果、整備後の利用イメージを丁寧に示しながら、住民の不安を事前に解消し、整備後の円滑な運用につなげる。
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講評
この答案は、自転車ネットワーク整備計画について、需要、安全性、道路空間、沿道活動をバランスよく整理できています。特に、単に自転車道を整備する話ではなく、連続性・直達性・交差点安全・沿道活動との調整まで考えている点が良好です。
評価できるところ
調査事項が具体的
自転車交通量だけでなく、発着地点、目的地分布、時間帯別需要まで把握しようとしており、ネットワーク形成に必要な需要分析になっています。
安全性の視点が明確
事故多発箇所、事故類型、交差点形状、速度環境を確認し、自転車導入によるリスクを評価する点は適切です。
沿道活動への配慮がある
バス停、荷捌き、店舗、学校、物流施設などを整理し、道路空間再配分による影響を把握しようとしている点は実務的です。
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改善できるところ
ネットワークの階層性を少し補う
幹線ルート、補助ルート、生活道路ルートなど、自転車ネットワークの役割分担を示すと、計画性がさらに明確になります。
整備形態の選定基準をもう少し具体化する
自転車道、自転車専用通行帯、車道混在を選ぶ際に、自動車交通量、速度、幅員、歩行者交通量などの判断条件を書くと専門性が高まります。
整備後の評価・改善を加える
供用後に事故件数、走行速度、利用者満足度、違法駐停車状況などを確認し、PDCAで改善する流れを加えると完成度が上がります。
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Ⅲ-1 問題文
地球温暖化に伴う気候変動の影響により、自然災害の激甚化・頻発化などが懸念されている。気候変動対策の推進は、我が国のみならず地球規模での対応が求められる喫緊の課題となっている。こうした中、脱炭素社会の実現に向けて、我が国全体の目標設定やその実現に向けた対策の強化が進められている。道路は、我が国の経済成長を支え安全安心な暮らしを確保する重要な社会基盤である一方、国内CO2排出量の多くを占めており、脱炭素にかかわる役割と責任を積極的に果たしていく必要がある。このような状況を踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)2050年カーボンニュートラルの実現に向けた道路の脱炭素化について、道路にかかわる技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえでその課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考え方を示せ。
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問題文の解説
この問題は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、道路分野でどのように脱炭素化を進めるかを問う問題です。
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設問1 観点と課題
多面的な観点から課題を抽出します。
例えば、
・交通流改善の観点から、渋滞削減によるCO₂排出削減
・インフラ整備の観点から、EV充電施設等の整備促進
・維持管理の観点から、建設・更新時の脱炭素化
などが考えられます。
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設問2 最重要課題と解決策
最重要課題としては、道路交通部門のCO₂排出削減が考えやすいです。
解決策として、
・ITSによる交通流最適化
・EV充電インフラ整備
・公共交通や自転車利用促進
などを挙げることができます。
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設問3 リスクと対策
脱炭素化を進めても、
・整備コスト増加
・電力需要増大
・地域間格差
などのリスクがあります。
そのため、段階的整備、再生可能エネルギー活用、費用対効果評価などの対策を示します。
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まとめ
この問題では、交通流改善・電動化・インフラ脱炭素化を軸に、道路分野がカーボンニュートラルへどのように貢献するかを論理的に説明することが重要です。
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模範解答 専門科目 道路 専門事項 交通安全対策調査 作成日 2025.7.21
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1.課題抽出
1)渋滞由来の排出削減を図る交通流制御
都市部では交差点処理能力不足やネットワーク未整備により慢性的渋滞が生じ、加減速の増大がCO₂排出の主因となっている。したがって、交通流安定化の観点から速度変動を最小化する対策を重点的に講じることが課題である。とりわけ環状道路未整備区間や主要交差点は構造的ボトルネックを形成し、広域ネットワークの信頼性を損なうため、渋滞緩和と排出削減を一体で捉えた改善が求められる。
2)維持管理の長寿命化によるライフサイクル排出の低減
老朽化が進むと補修量が増加し、工事車両の稼働や迂回交通により排出量が増加する。このため、ストック長寿命化の観点から補修周期を延ばしつつ安全性を確保する維持管理手法を導入することが課題となる。橋梁では疲労亀裂の早期検知や床版劣化推定、舗装では高耐久表層材や再生材の活用、トンネルではライニング健全度評価や漏水管理の高度化など、構造物特性に応じた予防保全体系の構築が不可欠である。
3)施工・運用段階の省力化による排出抑制
建設現場の労働力不足が進むなか、施工効率化は排出削減に直結する。したがって、省力施工の観点からICT施工やBIM/CIMによる施工量と重機稼働の最適化を図ることが課題である。転圧管理の自動化、出来形管理のデジタル化、GNSS建機の導入はCO₂削減と品質向上に寄与し、維持管理段階でもAI路面診断やIoTセンシングにより点検車両走行を削減できる。
2.最も重要な課題と解決策
1)最も重要な課題
道路分野の排出量は交通流の状態に大きく依存するため、交通流安定化の観点から渋滞由来の排出削減を図ることを最も重要な課題とする。
2)解決策
① 高規格道路ネットワーク整備による広域的流れの改善
環状道路や連絡道路の整備により経路分散と速度安定化を促し、都市部の過密交通を緩和する。とくに環状道路のミッシングリンク解消は交通容量を改善し、渋滞由来排出の減少に寄与する。
② プローブデータ分析による局所渋滞の解消
ETC2.0等のプローブデータにより速度低下箇所を抽出し、右折レーン延伸、信号サイクル最適化、リバーシブルレーン導入を局所最適で実施する。あわせて料金施策や渋滞情報提供など、需要・供給双方から交通流を制御し排出削減効果を高める。
③ ICT施工による施工排出の抑制
ICT建機による施工効率化、重機稼働の最適化、施工計画のシミュレーション化により、施工段階の排出を抑制する。とくに盛土・舗装工での転圧管理や切盛量最適化は、省力化と品質確保を両立する。
3.波及効果と懸念事項・対応策
1)波及効果
交通流が安定すれば物流効率が向上し、産業活動や観光交流が活性化する。また広域ネットワーク信頼性が高まることで、災害時の交通確保性が向上し、医療・物資輸送・復旧作業の迅速化につながる。さらにICT施工普及は建設産業全体の生産性向上を促し、地域経済にも波及する。
2)懸念事項
ネットワーク拡充に伴い沿道交通量が増加すれば、歩行者・自転車との交錯リスクや沿道環境悪化の懸念がある。またICT施工では機器故障やデータ障害による施工中断リスクが生じる。
3)対応策
沿道環境に対しては歩行者空間分離、交差点安全施設の強化、低騒音舗装の採用により安全性・快適性を確保する。ICT施工に対しては計測機器の冗長化、バックアップ計画、施工データ共有体制を整え、施工停止を回避する。
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講評
この答案は、道路分野におけるCO₂排出削減について、交通流改善、維持管理の長寿命化、施工段階の省力化という切り口で整理できています。特に、渋滞による加減速の増大が排出量を増やすという因果関係を明確に示している点は良好です。
評価できるところ
課題設定の方向性がよい
交通流制御、長寿命化、省力施工という3課題は、道路分野の脱炭素対策としてバランスがあります。運用段階、維持管理段階、施工段階を分けて整理できています。
最重要課題の選定理由が明確
道路分野の排出量が交通流に大きく左右されるため、渋滞由来の排出削減を最重要課題にした点は妥当です。
解決策に専門性がある
環状道路のミッシングリンク解消、ETC2.0プローブデータ、信号サイクル最適化、右折レーン延伸、ICT施工など、道路分野の専門技術を使えています。
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改善できるところ
解決策③が最重要課題から少し離れている
最重要課題は渋滞由来の排出削減ですが、解決策③のICT施工は施工段階の排出抑制であり、問1③に近い内容です。問2では、交通流安定化に直接効く解決策にそろえると一貫性が高まります。
例えばTDM施策を入れるとよい
解決策③を、ロードプライシング、パークアンドライド、物流時間帯分散、公共交通利用促進などにすると、渋滞緩和と排出削減に直接つながります。
懸念事項も最重要課題に寄せる
ICT施工のリスクよりも、交通流改善策に伴う誘発交通、沿道環境悪化、生活道路への抜け道交通、公共交通利用低下などを挙げると、問2との対応がよくなります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、道路分野において、交通流、維持管理、施工を相互に関連付けながら課題を整理し、実務的な視点で論理的にまとめる力があります。幅広い技術知識を答案へ反映できている点は、大きな強みです。
今後は、その豊富な知識の中から、本問で最も伝えるべき内容を絞り込み、課題・解決策・懸念事項を一貫した流れで構成できるようになると、より説得力の高い答案になります。持っている知識を答案として効果的に表現する力を磨くことで、さらに完成度の高い合格答案へ近づいていくでしょう。
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問題文 建設現場の生産性向上の取組「i-construction2.0」の目指す姿について概説せよ。また、取組事項を2つ挙げ、それぞれの具体的な内容について説明せよ。
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問題文の解説
高得点答案のポイントは、「施策名」だけで終わらず、「どのような技術を使い、何ができるようになるのか」まで具体的に説明することです。
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模範解答 専門科目 施工計画、施工設備及び積算 専門事項 施工計画G 作成日 2025.8.12
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1.目指す姿
建設現場において、ICT技術や構造物のプレキャスト化により、省力化や効率化を実施し、生産性を向上させる取り組みである。
2.具体的な内容
(1)ICT建機の活用
法面構築作業では、丁張設置後、補助者1名とバックホウオペレーター1名で作業を行うため、測量作業や構築作業に多くの作業員と日数が必要であった。ICT搭載型バックホウを使用すると、モニターに法面成形形状を入力し、操作員1名で作業することができる。そのため、法面作業も少ない作業員と日数で行うことができるため、生産性を向上させることが可能となる。
(2)構造物のプレキャスト化
橋台や擁壁等のコンクリート構築作業では、型枠、鉄筋、コンクリート打設等の多くの工程が必要である。そのため、それぞれの工種において、専門の作業員が必要であり、効率的に作業を行うことができなかった。
構造物をプレキャスト化すると、工場内でコンクリート打設作業まで実施することができるため、現場作業は据付けのみで済むため、少ない作業員で生産性を向上させることが可能となる。
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この答案は、i-Construction2.0の目的を「省力化・効率化による生産性向上」と整理したうえで、ICT建機とプレキャスト化という代表的な取組を具体例を交えて説明できています。現場作業がどのように変わるのかをイメージしやすく記述できており、実務経験が伝わる内容です。
目指す姿を簡潔にまとめられている
ICT技術やプレキャスト化を用いて、生産性向上を図る取組であることを端的に説明できています。
具体例が分かりやすい
ICTバックホウによる法面施工や、プレキャスト化による工程短縮など、現場での変化を具体的に示しており、説得力があります。
効果を因果関係で説明できている
作業員や作業日数が減少し、生産性向上につながる流れが分かりやすく整理されています。
i-Construction2.0の目指す姿をもう一段広く書きたい
生産性向上だけでなく、「2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割実現する」といった将来像や、建設現場のオートメーション化まで触れると、i-Construction2.0の特徴がより明確になります。
ICT建機の説明は施工全体への広がりを加えたい
法面施工の例は分かりやすいですが、測量から設計、施工、出来形管理までデータを一元活用するというICT施工全体の流れにも触れると、より高い評価につながります。
プレキャスト化の効果を多面的に示したい
省力化だけでなく、品質の均一化、工期短縮、安全性向上などの効果も加えることで、取組内容をより充実して説明できます。
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Ⅱ-1-4
問題文 コンクリート構造物の耐久性の回復若しくは向上を目的とした主な補修工法の種類を挙げて概説せよ。また,補修工法を選定する際に考慮すべき事項を2つ挙げ,それぞれ具体的に説明せよ。
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問題文の解説
この問題は、コンクリート構造物の劣化状況に応じて適切な補修工法を選定できるかを問う問題です。
単に補修工法を列挙するのではなく、劣化原因や要求性能を踏まえて最適な工法を選ぶ考え方を示すことが求められます。
耐久性回復・向上を目的とした主な補修工法を挙げ、その概要を説明します。
例:断面修復工法、表面被覆工法、ひび割れ注入工法、電気防食工法など。
補修工法を選定する際の考慮事項を2つ挙げます。
例:劣化原因・劣化程度、要求耐久性能・供用条件などを挙げ、それぞれが工法選定にどう影響するかを説明します。
補修工法の特徴だけでなく、「どのような条件でその工法を選定するか」まで説明することが重要です。
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模範解答 専門科目 施工計画、施工設備及び積算 専門事項 施工計画R 作成日 2026.6.5
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(1)主な補修工法の概説
断面修復工は、断面欠損を伴う劣化段階で、劣化部を除去し補修材で断面を再構築することで耐荷性能・耐久性を回復する工法である。
ひび割れ補修工法は、ひび割れ部に樹脂等を注入又は充填し、水密性及び部材の一体性を回復する工法である。
表面被覆工は、劣化が進行する前段階で劣化因子の侵入抑制を目的にコンクリート表面に被覆材を設ける工法である。
電気防食工法は、外部電流等により鉄筋腐食を抑制し、塩害環境下で耐久性を向上させる工法である。
(2)補修工法を選定する際に考慮すべき事項
1) 劣化原因・劣化範囲に応じた工法選定
塩害では、補修後も鉄筋周辺に残存する塩化物イオンによりマクロセル腐食により、再劣化を生じるおそれがある。このため、塩化物イオン濃度、腐食範囲、はつり範囲を確認し、表層劣化にとどまる場合は断面修復や表面被覆を適用する。一方、鉄筋周辺に塩化物イオンが残存する場合は、断面修復のみで終えず、電気防食や脱塩工法等を併用し、補修後の再劣化を防止する。
2)施工条件・供用条件を踏まえた品質確保
補修工法は、劣化程度だけでなく、施工空間、交通規制、供用停止の可否、湿潤状態、養生条件等を踏まえて選定する。例えば、桁下や狭隘部では、はつり作業や断面修復材の充填性・付着性が施工品質を左右するため、高流動性断面修復材や吹付施工を適用する。また、供用中の道路橋では、長期間の交通規制を避けるため、超速硬セメント等を用いて短時間施工が可能な工法を選定する。
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この答案は、主要な補修工法の目的と適用場面を整理できており、特に塩害に対する再劣化リスクまで考えられています。補修工法を単に列挙するだけでなく、劣化原因、施工条件、供用条件を踏まえて選定しようとしている点が良好です。
劣化原因に応じた工法選定ができている
塩化物イオンの残存やマクロセル腐食に触れ、断面修復だけで終わらせず、電気防食や脱塩工法の併用まで考えられています。この点は、補修後の再劣化を防ぐうえで重要です。
施工条件への配慮がある
狭隘部、交通規制、湿潤状態、養生条件など、現場で品質を左右する条件を踏まえており、実務的な答案になっています。
工法の適用限界を少し加えるとよいです
表面被覆は内部劣化が進んでいる場合には不十分であり、断面修復も塩分が残る場合には再劣化の懸念があります。このように「どの工法が有効か」だけでなく、「どの条件では不足するか」まで書けると、判断力がより伝わります。
維持管理性まで広げると完成度が上がります
初期補修だけでなく、LCC、点検のしやすさ、再補修の容易性まで考慮すると、技術士答案として一段深くなります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、豊富な施工経験を基に、現場の状況を具体的にイメージしながら施工方法や管理方法を組み立てる力があります。実務に裏付けられた着眼点と、施工計画を現実的に考えられる点は大きな強みです。
今後は、その豊富な経験を「技術的判断」と「提案」として答案に表現することが課題です。何を施工したかだけでなく、なぜその方法を選択したのか、何を制御・改善したのかまで示せるようになると、技術士に求められる専門技術者としての答案へ大きく成長していくでしょう。
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Ⅱ-2-1
問題文 山岳トンネル建設に伴い発生する掘削ずり(礫質土、約50万m3)を坑口から約10km離れた山間部の谷地形(標高差100m、延長約500mに亘る傾斜地盤、特定盛土等規制区域)の土捨場に運搬して盛土することになった。当初の設計では、防災上の観点から降雨、湧水、沢水、地震動等の作用に対する盛土の安定性が確保されている。なお、掘削ずりからは自然由来の貴金属等の有害物質は検出されていない。
(1) 施工に当たり砂礫土の実際の性状を踏まえて盛土の安定性を再検討したところ、盛土が所要のすべり安全率を確保できないことが判明した。盛土の安定性を確保するための対策を2つ挙げ、その概要を述べよ。また、本工事の特性を踏まえ、それぞれの対策を採用するに当たっての条件を述べよ。
(2) 施工中の盛土の安定性を確保するための管理において、PDCAサイクルにおける計画段階(P)で考慮すべき事項を挙げ、計画実施後の検証段階©及び是正段階(A)での具体的方策を述べよ。なお、是正段階(A)の解答に当たっては、検証段階(C)にて得られた結果が、当初の計画段階(P)の想定から逸脱していたことを前提とすること。
(3) 掘削ずり運搬経路周辺の一部住民から複数の苦情が寄せられた。苦情内容を複数想定し、地元の理解と工事の推進を両立させるための対策案を苦情内容毎に立案したうえで、具体的にどのようにその利害を調整するか説明せよ。なお、掘削ずり運搬経路は変更できないものとする。
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問題文の解説
この問題は、山間部の大規模盛土を安全に施工し、住民苦情にも対応できるかを問う問題です。
問われているのは、すべり安全率不足への対策です。
正解は、例えば、
などです。
ただし、50万m³、谷地形、特定盛土等規制区域、工期・用地制約を踏まえて、採用条件を書く必要があります。
問われているのは、施工中の安定管理のPDCAです。
Pでは、管理項目・基準値・観測方法を決める。
Cでは、沈下・変位・湧水・降雨量などを確認する。
Aでは、異常時に盛土停止、排水追加、勾配変更、補強追加を行う。
問われているのは、運搬に伴う住民苦情への調整です。
苦情は、騒音、振動、粉じん、交通安全、泥はね等。
それぞれに、散水、洗車、速度規制、誘導員配置、運搬時間調整、事前説明を組み合わせる。
工法名の列挙ではなく、「この現場条件だから、この対策を選ぶ」と書くことです。
この問題では、技術的提案力に加え、計画の柔軟性と関係者調整能力を示せる答案が高得点につながります。
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模範解答1 専門科目 施工計画、施工設備及び積算 専門事項 施工計画G 作成日 2025.8.13
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1安定性を確保するための対策
(1)抑え盛土
既設盛土法尻部に抑え盛土を新たに設置し、滑りを抑える工法である。施工方法として、砕石や山砂をトンパックに投入し法尻部に設置する方法と、砕石等を法尻部に直接締め固める方法が考えられる。採用条件として、盛土を設置できる作業スペースを確保することが挙げられる。
(2)グラウンドアンカーの打設
盛土面にグラウンドアンカーを打設し、滑りを抑える工法である。施工方法は、地盤面に削孔機を設置し、盛土面にグラウンドアンカーを等間隔で打設する。打設完了後、アンカー先端部にモルタルを注入し固定させる。なお、アンカー長は、滑り面よりも奥側へ配置する必要がある。採用条件として、削孔機の設置スペースの確保と、用地内を超えない位置でのアンカーの定着が挙げられる。
2.盛土の安定性を確保するための管理
(1)計画段階(P)
盛土の安定性を確保するために、盛土面の側方流動と盛土の沈下について定期的な計測を実施する。また、周辺への影響を確認するため、目視による盛土部周辺のひび割れや沈下量について確認する。
(2)検証段階(A)
計測を行いながら、盛土を構築する。構築段階において、計画変位量の70%を超えた。そのため、計画していた盛土高を減らしながら、定期的な計測を行い、盛土を構築した。
(3)是正段階(A)
各ステップにおける盛土構築高で施工すると、計画変位量を超える可能性があるため、盛土構築高を抑えながら施工する。また、各ステップにおける沈下計測と目視確認を日々確実に実施する。
3.複数の苦情内容と対策案、調整方策
(1)ダンプトラックへの積込
①苦情内容と対策案:ダンプトラックへ想定よりも多くのズリを積み込み、運搬時に道路へズリをこぼす。対策として、掘削個所周辺に仮置き場を設置する。
②調整方策:ダンプトラックが通過すると、運搬経路は汚れる可能性があるため、運搬経路を定期的に掃除することで、道路管理者と打ち合わせる。
(2)ズリ運搬時の搬入・搬出
①苦情内容と対策案:搬入搬出口から、一般道へ進入するため、一般車と接触事故を起こす。対策として、出入口付近にはガードマンを配置し、ダンプトラックが一般道へ進入する場合には、周囲を良く確認する。
②調整方策:運搬時時間や運搬台数等を明記した運搬計画を策定し、発注機関と打ち合わせを行い、承諾を得る。承諾を得た運搬計画を基に、下請企業に指示をする。
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盛土の安定対策、計測管理、苦情対応を実務的に整理できています。工法の施工方法や採用条件まで書けており、現場経験が伝わる答案です。
工法説明が具体的
抑え盛土、グラウンドアンカーについて、施工方法と採用条件を示せています。
計測管理の視点がある
側方流動、沈下、ひび割れを確認しながら施工する考え方は良好です。
周辺対応が書けている
道路清掃、ガードマン配置、運搬計画など、苦情・事故防止への配慮があります。
PDCAの整理を正確に
計測・確認はC、対策変更はAです。検証段階と是正段階を分けて書くとよいです。
安定対策の根拠を加える
地下水位、すべり面、盛土材強度、安全率を踏まえると技術性が高まります。
苦情対策を直接的に
ズリこぼれには、過積載防止、荷台シート、タイヤ洗浄、場外清掃を入れるとより適切です。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、施工現場で培った豊富な経験を基に、施工方法や施工管理を具体的かつ実践的に整理する力があります。現場で起こり得る課題を的確に捉え、実務に即した対策へ結び付けられる点は、大きな強みです。
今後は、その実務経験を技術的な判断根拠として答案に表現することを意識すると、さらに完成度が高まります。現場経験に理論的な裏付けを加えることで提案力と説明力が一層磨かれ、令和7年度技術士第二次試験では筆記試験・口頭試験ともに合格されました。
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模範解答2 専門科目 施工計画、施工設備及び積算 専門事項 施工計画R 作成日 2026.6.5
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(1)仮設形式の概要と採用条件
1)仮設桟橋
仮設桟橋は、河岸から河川内へ鋼管杭等を支持杭として設置し、重機や資機材の搬入路及び作業床を確保する形式である。複数の下部工を連続施工できる利点がある。採用条件は、河積阻害が河川管理上許容されること、支持地盤が確保できること、重機荷重に耐えること、非出水期内に設置・撤去できることである。
2)大型土のう築島
大型土のう築島は、橋脚周辺に人工的な作業ヤードを造成する形式である。大型施工機械を橋脚近傍に配置しやすい利点がある。採用条件は、河床が比較的浅く流速が小さいこと、河積阻害が許容されること、洗掘や流出に対する安定性を確保できること、非出水期内に施工・撤去し原形復旧できることである。
(2)ニューマチックケーソン基礎の沈設管理
1)計画段階(P)
地盤調査結果を踏まえて沈設計画を策定し、沈下量、沈下速度及び傾斜角の管理基準値と許容値を設定する。また、計測方法及び異常時の対応手順を定める。
2)検証段階(C)
沈設中は沈下量、沈下速度及び傾斜を継続的に計測し、計画値と比較する。偏心沈下や過大傾斜が発生した場合は、地盤条件の変化や掘削バランスの偏り等の原因を分析する。
3)是正段階(A)
計画値から逸脱した場合は、偏掘削の調整や偏載荷重により姿勢を修正する。また、沈設速度が過大な場合は掘削量を減少させ、一時施工停止等を実施し、施工手順を見直す。
(3)住民苦情への対応及び利害調整
1)騒音・振動に関する苦情
大型車両の通行による騒音・振動が想定される。対策として、路面段差補修、徐行管理及び振動低減型敷鉄板の設置を行う。利害調整として、騒音・振動測定結果を住民へ説明し、管理目標値を共有するとともに、超過時の是正措置を明確化する。
2)通学路・歩行者の安全に関する苦情
大型車両通行による交通事故への不安が想定される。対策として、ICT車両管理による速度管理、車載カメラの活用、交差点の視距改良や交通誘導員配置を行う。利害調整として、自治会や道路管理者との合同安全点検を実施し、改善内容を共有することで安全確保と工事推進の両立を図る。
この答案は、仮設形式の選定、ニューマチックケーソンの沈設管理、住民対応までバランスよく整理されています。各項目とも実務を意識した記述となっており、施工管理の流れを理解できています。
施工管理の流れを的確に整理できています
仮設形式では採用条件まで示し、沈設管理ではPDCAに沿って管理内容を整理できています。また、住民対応も具体的な対策と利害調整を組み合わせており、実践的な内容です。
実務的な専門性があります
偏掘削による姿勢修正、ICT車両管理、合同安全点検など、現場で活用される技術や管理手法を適切に取り入れています。
採用条件の判断根拠をもう一歩示しましょう
河積阻害や支持地盤だけでなく、施工規模、工期、経済性なども比較しながら仮設形式を選定する考え方を加えると、技術的な判断力がより伝わります。
住民対応は双方向性を意識するとさらに良くなります
測定結果を説明するだけでなく、住民からの意見や要望を施工計画へ反映する姿勢まで書けると、利害調整としてより完成度の高い答案になります。
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答案作成者の強みと今後の課題
建設・施工分野において、仮設計画、施工管理、住民対応を実務に即して具体的に整理できる力があります。特に、現場条件を踏まえて施工方法や管理手順を組み立てられる点は、大きな強みです。
今後は、施工方法や対策を示すだけでなく、なぜその方法を選ぶのかという判断根拠をもう一歩明確にすることが課題です。工期、施工性、経済性、周辺影響などを比較しながら説明できるようになると、施工経験が技術士答案としてより高く評価される形に整理され、合格答案へ近づいていきます。
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Ⅲ-1
問題文 高度経済成長以降にその多くが整備された我が国の社会資本は、今後、建設から50年以上経過する施設の割合が加速度的に増加するため、これらの施設を如何に的確かつ持続的に機能させるかが問われている。一方で、特に小規模な市区町村においては、措置すべき社会資本の施設数に対して人材や予算が不足しており、適切な補修・修繕に着手できていないことが懸念されている。そのため、これらの自治では、インフラメンテナンスのあるべき姿として総力戦で取り組む「地域インフラ群再生戦略マネジメント」(国土交通省)を推進することが求められている。
このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1) 小規模な市区町村において、「地域インフラ群再生戦略マネジメント」の計画策定及び実施に当たり、多面的な観点から、あなたの選択科目に関わる技術的課題を3つ抽出し、それぞれの観点とともに、その技術課題の内容を示せ。
(2) 前問(1)で抽出した技術課題のうち、最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3) 前問(2)で示した解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
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問題文の解説
この問題は、「地域インフラ群再生戦略マネジメント」を実現するための技術提案を問う問題です。
単なる老朽化対策ではなく、人材・予算が不足する小規模自治体で、複数施設を群として効率的に維持管理する方策を書く必要があります。
したがって、個別施設の補修ではなく、広域・包括・優先順位・予防保全が中心になります。
小規模自治体での技術課題を3つ挙げます。
例:施設群の劣化状況把握、優先順位付け、包括的維持管理体制の構築。
最重要課題を1つ選び、複数の解決策を示します。
例:点検データベース化、健全度評価、LCCによる優先順位付け、包括管理委託。
解決策による効果と懸念への対応を書きます。
効果は、維持管理の効率化、予算平準化、長寿命化。
懸念は、データ精度不足、人材不足、委託先依存などです。
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模範解答 専門科目 施工計画、施工設備及び積算 専門事項 施工計画G 作成日 2025.8.18
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1.多面的な観点からの課題
(1)予防保全型維持管理への転換
効率的な施工計画作成の観点から、社会資本整備は、損傷が軽微なうちに補修・補強する予防保全型維持管理で行う。損傷が深度化してから行う事後保全型では、補修方法や仮設方法が過大となってしまう。小規模な市区町村においては、損傷が軽微なうちに点検・診断業務を行い、人材や予算を確保し必要なインフラの補修・補強を実施する。
(2)包括的民間委託の推進
技術力確保の観点から、小規模な市区町村では技術職員の技術力や人数が不足しているため、包括的民間委託により対応する。民間企業は、共同企業体等を組織し、周辺市区町村のインフラを一括管理する。管理方法としては、点検・診断業務を行い、補修・補強方法を検討し、維持管理業務を実施する。
(3)施工時期の平準化
担い手確保の観点から、下半期に維持管理業務が集中している工事の施工時期を平準化する。これまでの維持管理業務では、施工時期が集中し、作業員や技術者を確保することが困難であった。施工時期を平準化し、人材を確保することにより、小規模な市区町村で必要なインフラメンテナンスを実施する。
2.最も重要な課題と複数の解決策
最重要課題として、予防保全型維持管理への転換を挙げる。
(1)メンテナンスサイクルの推進
維持管理業務では、点検・診断・措置・記録のメンテナンスサイクルを実施する。点検・診断時において、健全度を確認し、維持管理更新が必要なインフラを把握する。補修や補強が必要なインフラについては、補修業務を行う。
(2)インフラの集約・再編等
小規模な市区町村では、予算が限られているため、補修・補強が必要な全てのインフラをメンテナンスすることができない。ライフラインの重要度等を検討し、補修が必要なインフラと不要なインフラを選択し、集約・再編等を行う。
(3)ロボット等のインフラの点検
これまでの点検業務では、吊り足場等を設置し、補修・補強業務を行っていた。この業務は、多くの作業日数と作業員が必要であった。ロボット等の点検業務では、護岸に点検ロボットを設置し、点検することができる。その後のデータ整理についても、簡単に行うことができるため、少ない作業日数で多くの点検業務を実施することができ、効率的な作業が可能となる。
(4)更新・集約・再編に合わせた機能追加
点検・診断等を実施すると、インフラ機能を十分に満足していない施設も存在する。大型ビル等についてはダンパーを設置し、橋梁等については変位制限装置を設置し、粘り強い構造に作り替え、防災施設等の機能追加を実施する。
3.波及効果と懸念事項への対応策
(1)波及効果
維持管理業務を実施することにより、健全度が高く、粘り強い構造物に作り替えることができる。そのため、防災機能が確保された構造物となっているため、大規模な災害が発生しても、災害対応が可能な構造物となっている。
(2)懸念事項と対応策
①情報データベースの整理・更新
懸念事項:各市区町村おいて維持管理データが、バラバラで管理されており、一元管理されていないことが挙げられる。
対応策:維持管理データをデータベース化し、整理・更新する。整理したデータは、定期的に更新し効率的な維持管理を行う。
②データプラットホームの構築
懸念事項:点検・診断・維持管理データが膨大となり、データ共有に労力が必要である。また、これらのデータは、維持管理業務に十分に活用されていない。
対応策:地図や地形、防災等のデータを集約し、データプラットフォームを構築する。構築したプラットフォーム上にデータを蓄積し、今後の維持管理方法の参考資料として活用する。
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この答案は、予防保全、包括的民間委託、施工時期の平準化を挙げ、小規模自治体のインフラメンテナンス課題を幅広く整理できています。方向性は良好です。
課題設定のバランスがよい
予算、人材、施工時期の観点から整理できており、小規模自治体の実情に合っています。
最重要課題が妥当
予防保全型維持管理への転換を最重要課題とした点は、インフラ老朽化対策の本筋です。
解決策が複数示されている
メンテナンスサイクル、集約・再編、ロボット点検、機能追加など、幅広い対応策を書けています。
観点と課題の対応を整理したい
「効率的な施工計画作成の観点」は少し狭いため、「財政制約下での持続的管理」などにすると、予防保全との対応が明確になります。
解決策を最重要課題に寄せたい
機能追加は防災強化として有効ですが、予防保全への転換からやや離れます。優先順位付け、包括委託、点検DXなどに寄せると一貫性が高まります。
懸念事項は重複を避けたい
データベース化とプラットフォーム構築は近い内容です。もう一つは、財源不足、技術職員不足、民間委託時の品質確保などにすると答案が締まります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、施工現場で培った豊富な経験を基に、施工方法や施工管理を具体的かつ実践的に整理する力があります。現場条件を踏まえて適切な対策を組み立てられる点は、大きな強みです。
今後は、実務経験を技術的な判断根拠として答案に表現することを意識した結果、説明力と提案力がさらに磨かれ、令和7年度技術士第二次試験では筆記試験・口頭試験ともに合格されました。現場経験と論理的な答案構成を両立できた好例といえます。
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問題文 港湾・空港工事において、粘土層の圧密沈下対策又は支持力確保のために用いられる一般的な地盤改良工法として、バーチカルドレーン工法, サンドコンパクションパイル工法及び深層混合処理工法の3種類の工法がある。それぞれの改良原理,改良方法,適用に際しての留意点を述べよ。
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この問題は、港湾・空港工事で用いられる代表的な地盤改良工法の違いを理解し、適切に使い分けられるかを問う問題です。
各工法について、**「なぜ効くのか(改良原理)」「どう施工するか(改良方法)」「どのような条件で適用するか(留意点)」**を整理して説明することが求められます。
3工法それぞれについて、
を順序立てて説明します。
3工法を個別に説明するだけでなく、「どのような地盤・目的に適した工法か」まで比較しながら説明すると高得点になります。
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模範解答 専門科目 港湾・空港 専門事項 空港施設U 作成日 2025.11.10
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1.バーチカルドレーン工法
粘土層に鉛直ドレーンを設けて排水距離を短縮し、過剰間隙水圧を消散させて有効応力を高める工法である。ドレーン材を格子状に配置し、段階盛土で圧密進行を管理する。水平方向圧密度が90%以上となるよう、ドレーン間隔を概ね1.0〜2.0mで設定する。透水性が低い地盤ではサンドマットを併用して排水経路を確保し、完成後の残留沈下差を2~3cm以内に抑える。
2.サンドコンパクションパイル工法
砂杭を造成して粘性土との複合地盤を形成し、締固め効果と排水促進によりせん断強度を高める工法である。ケーシング内にD50=0.3〜1.0mm程度の均質な砂材を投入し、1層当たり2〜3回締固めて砂杭を形成する。施工時は過剰な間隙水圧の上昇による緩みを防ぐため、施工速度と締固め回数を管理し、水圧上昇を概ね30~50kPa以下に抑制する。
3.深層混合処理工法
セメント系固化材を注入・撹拌して柱状改良体を造成し、水和反応によりC-S-Hを生成して強度と変形抵抗を付与する工法である。有機酸やpH低下による反応阻害を防ぐため、土質試験で有機物量とpHを確認し、設計一軸圧縮強度と土質係数から固化材添加量を算定する。試験造成では設計強度の約1.5倍を目標値とし、配合を調整して所要強度と変形抵抗を確保する。
この答案は、軟弱地盤対策の代表的工法について、排水、締固め、固化という作用機構を分けて整理できています。数値や管理項目も入っており、技術的な理解が伝わる答案です。
工法ごとの原理が明確です
バーチカルドレーンは圧密促進、サンドコンパクションパイルは複合地盤化、深層混合処理は固化改良と、工法の違いを的確に説明できています。
施工管理の視点があります
ドレーン間隔、圧密度、施工速度、過剰間隙水圧、固化材添加量など、管理すべき項目を具体的に示せています。
数値は根拠と幅に注意しましょう
ドレーン間隔、残留沈下量、水圧上昇、試験造成強度などは、地盤条件や構造物条件で変わります。断定しすぎず、「設計条件に応じて設定する」と添えると安全です。
採用条件を少し加えるとよいです
各工法について、適用しやすい地盤条件、工期、周辺影響、改良深度などを一言加えると、工法選定の判断力がより伝わります。
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答案作成者の強みと今後の課題
建設・空港分野において、軟弱地盤対策の工法原理を的確に理解し、施工管理項目まで具体的に整理できる力があります。排水、締固め、固化という各工法の違いを明確に説明できている点は、大きな強みです。
今後は、数値や管理基準を示すだけでなく、それをどのような地盤条件や構造物条件で採用するのかまで説明できるようになることが課題です。工法の原理に加えて、適用条件、施工性、周辺影響を踏まえた選定理由を示せるようになると、空港分野の専門技術者として、より説得力の高い答案へ発展していくでしょう。
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Ⅱー1-4
問題文 我が国における2本の滑走路の代表的な配置形式は,「クロースパラレル滑走路」,「オープンパラレル滑走路」及び「インターセクション滑走路」である。これらの配置形式それぞれについて,配置形式の概要及び単一滑走路との滑走路処理能力の比較について述べよ。
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この問題は、2本滑走路の代表的な配置形式の特徴と、それぞれの滑走路処理能力の違いを理解しているかを問う問題です。
単に配置を説明するのではなく、滑走路相互の干渉の程度が処理能力にどのように影響するかを説明することが求められます。
3つの配置形式それぞれについて、
を整理して説明します。
配置形式の特徴だけでなく、「なぜ処理能力が向上(または制約)されるのか」を、滑走路相互の干渉や同時運用の可否と関連付けて説明することが重要です。
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模範解答 専門科目 港湾・空港 専門事項 空港土木設計K 作成日 2025.12.25
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1.クロースパラレル滑走路
①配置形式の概要
2本の滑走路を近接(760m未満)して平行に配置する。
②単一滑走路との処理能力の比較
近接配置のため、管制上独立運用に制約が生じる。後方乱気流の回避及びゴーアラウンド時の安全確保のため、到着機間では3MN、出発機間では1NM、出発機と到着機間では2MN以上の間隔が必要となる。そのため、処理能力は単一滑走路の約1.5倍にとどまる。
2.オープンパラレル滑走路
①配置形式の概要
2本の滑走路を独立運用可能な間隔(1310m以上)で平行に配置する。
②単一滑走路との処理能力の比較
管制上独立した並行処理により、同時平行ILS進入および同時離着陸への許可が可能となる。そのため、処理能力は単一滑走路の2倍となる。
3.インターセクション滑走路
①配置形式の概要
2本の滑走路を交差させて配置する。横風による就航率低下の改善を目的とし、用地上の制約により間隔をおいて配置できない場合に採用される。
②単一滑走路との処理能力の比較
交差部での安全確保のため同時離着陸が不可である。そのため、処理能力は単一滑走路と同等となる。
この答案は、滑走路配置形式を3種類に分け、それぞれの概要と処理能力を比較できています。単一滑走路との違いを意識して整理している点は良好です。
配置形式の違いが分かりやすいです
クロースパラレル、オープンパラレル、インターセクションの特徴を簡潔に説明できています。
処理能力との関係を示せています
独立運用の可否、同時離着陸の可否を処理能力と結び付けている点はよいです。
数値表現は少し慎重にしましょう
滑走路間隔や処理能力倍率は、進入方式、管制方式、航空機区分、気象条件で変わります。「概ね」「条件により」などを添えると安全です。
インターセクションの評価を補足したいです
処理能力は単一滑走路と同等とは限らず、交差部の制約により低下する場合もあります。一方で、横風対応による就航率向上が主な利点であることを強調すると、答案が締まります。
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答案作成者の強みと今後の課題
建設・空港分野において、滑走路配置形式の違いを整理し、空港処理能力との関係まで結び付けて説明できる力があります。配置、管制運用、安全確保を一体として考えられる点は、大きな強みです。
今後は、数値や処理能力を断定的に示すだけでなく、進入方式、管制方式、気象条件、航空機区分などの条件により変化することまで説明できるようになることが課題です。空港計画の知識に運用上の制約を重ねて整理できるようになると、より専門性と説得力の高い答案へ発展していきます。
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Ⅱー2-2
我が国では,外国クルーズ船の寄港拡大及び国際航空路線の新規就航を目的とした取組が進められている。今般, A港湾においては,海外からの大型クルーズ船受け入れのため,既存の貨物用公共岸壁の再整備の事業が, B空港においては,国際航空路線の新規就航のため,国内旅客ターミナルの1スポットを国際旅客ターミナルに改修する事業が計画されることとなった。あなたがこの2つの事業のうちどちらか1つの担当責任者となった場合,下記の内容について記述せよ。
(1) 港湾・空港のどちらを対象とするのかを明記したうえで,調査,検討すべき事項を列記するとともに,その内容を説明せよ。
(2) 留意すべき点,工夫を要する点を含めて業務を進める手順について述べよ。
(3) 業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
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(1)調査、検討事項とその内容(以下、空港を対象として記述する)
①内際の動線分離の成立性
想定される需要からCIQ施設の必要処理能力を調査し、国内線ピーク時における国際線到着時に交錯や滞留が発生しない内際の動線分離の成立性を、既存ターミナルの平面・階構成を踏まえて検討する。
②追加整備の最小化
国際基準での既存保安検査場および受託手荷物検査の国内線ピーク時の処理能力を調査し、可変運用や運用切替によりレーン増設等、新設設備の追加整備を最小化することを検討する。
③運用の成立性確保のための運航条件
想定就航機材の駐機による国内線処理能力への影響を調査し、空港全体の運用の成立性を確保するため、同時使用制限や時間帯制御等の運航条件を検討する。
(2)手順と留意点および工夫を要する点
①制約条件の早期確定
想定就航機材や国際線到着動線の終端位置等、施設側で吸収すべき制約条件を早期に確定し、後工程での施設再配置や再協議を防止する。
②国際線化シナリオの構築
供用継続を前提とし、内際の非交錯性を確保した暫定動線を設定した機能転換シナリオを構築することにより、施工計画、工期、費用の成立性を判断する。
③CIQおよび航空会社による試験運用
CIQおよび航空会社による国内線ピーク時の国際線到着を想定した試験運用を行い、内際の動線交錯や滞留発生を検証する。これにより、想定される運航条件下での運用および供用開始の可否を判断する。
(3)関係者との調整方策
①技術的判断指標の提示
国内線ピーク時における国際線到着時の内際合計の旅客流動量を、CIQ施設および内際動線の処理能力と比較する。これにより、動線交錯や滞留が発生する限界条件を定量的に整理する。
②機能転換の成立条件の設定
時間帯別旅客流動とCIQ処理能力に基づき、ゾーニング条件、仮設動線の成立条件、工区切替・施工手順の成立条件により内際が非交錯で成立する範囲を整理する。これにより、供用継続下で機能転換が成立する条件を設定する。
③数的根拠による運用条件の設定
時間帯別旅客需要に基づく到着旅客流動量とCIQ施設の処理能力を比較し、国内線ピーク時における内際の非交錯条件および滞留発生限界を定量的に整理する。これにより、供用継続下で機能転換が成立する運用条件を同時使用制限や時間帯制御により技術的に設定する。
既存空港の国際線化について、内際分離、CIQ処理能力、供用継続下での機能転換を軸に整理できています。技術的な判断根拠を数値で示そうとしている点も良好です。
判断軸が明確です
旅客流動量、CIQ処理能力、動線交錯、滞留発生を結び付けて検討できています。
供用継続を意識できています
暫定動線、工区切替、試験運用など、実務的な手順が入っています。
関係者調整の重複を減らしましょう
①〜③は内容が近いため、CIQ、航空会社、空港管理者など、相手ごとの調整事項に分けると整理されます。
調査事項と手順を分けましょう
調査は「何を確認するか」、手順は「どの順番で進めるか」と意識すると、答案がさらに分かりやすくなります。
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答案作成者の強みと今後の課題
建設・空港分野において、旅客動線、CIQ処理能力、運航条件を一体として捉え、空港ターミナルの機能転換を実務的に整理できる力があります。供用継続を前提に、内際分離や処理能力を定量的に考えられる点は、大きな強みです。
今後は、検討事項、業務手順、関係者調整の役割をさらに明確に分けて整理することが課題です。調査で何を明らかにし、手順でどう進め、調整で誰と何を合意するのかを意識できるようになると、空港計画・運用に関する専門性がより伝わる答案へ発展していきます。
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Ⅲー1
空港工事は,空港運用への影響回避が求められる等,厳しい作業環境にある。さらに近年は,気候変動や外国人就業者の増加等,工事の安全確保において新たなリスクの要因も生じている。一方, ICT技術の発展を受け,これを活かした建設機械の機能向上や現場作業の自動化・機械化・省人化等も進められている。この状況を踏まえ,以下に答えよ。
(1) 空港工事における事故の発生要因を踏まえて,今後さらに取り組むべき安全対策について,技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その技術課題の内容を示せ。(※)なお,本設問における「技術課題」には,「空港工事における安全対策」における制度上,管理上等の課題も含まれるものとする。(※)解答の際には必ず観点を述べてから技術課題を示せ。
(2) 前問 1で抽出した技術課題のうち,最も重要と考えるものを1つ挙げ,その技術課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) 前問2 で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
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この問題は、空港工事の安全対策を、ICTや自動化も活用してどう強化するかを問う問題です。
安全対策の技術課題を3つ挙げます。
例:航空機との接触防止、気候変動への対応、ICTを活用した安全管理。
最重要課題を1つ選び、複数の解決策を示します。
例:AI画像解析、自動施工、ウェアラブル機器、デジタル教育。
解決策による懸念と対策を書きます。
例:システム障害や技術習熟不足に対し、バックアップ体制や教育訓練を行う。
空港特有のリスクを踏まえ、ICT・自動化による安全性向上まで提案することが重要です。
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模範解答 専門科目 港湾・空港 専門事項 空港土木設計K 作成日 2026.4.6
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(1)空港を対象とした技術課題と観点、内容
①時空間干渉調査による安全条件の設計化
運航と工事の両立の観点から、3次元情報と時間条件を統合した時空間干渉照査により施工可否を事前判定し、運航制約下での安全条件を設計段階で確定する。具体的には、制限表面、航空機動線、施工範囲等の3次元情報と運用状況、進出可能時間帯の時間条件を統合照査し、結果を制約条件として施工計画に反映する。
②位置情報による施工区域の動的制御
作業統制高度化の観点から、衛星測位とジオフェンスにより施工区域を動的に制御し、運用状況と連動した作業統制を実現する。具体的には航空機と施工機械、作業員の位置をエアサイドの運用状況、閉鎖区画、作業工程に対応して制御するとともに、逸脱時には警報や自動停止と連動させる。
③気象条件と連動する施工制御
気象変動への対応の観点から、気象条件の閾値により施工停止・退避・再開を判断する施工制御を行い、気象急変時の安全を担保する。具体的には、現場での観測値や短時間予報を降雨強度、瞬間風速、WBGTで閾値化し施工制御を行う。また豪雨時の仮設排水確保、強風時の楊重作業停止、暑熱時作業時間帯を施工計画として設計化し、気象条件と施工可否を連動させる。
(2)最も重要と考える技術課題は①安全条件の設計化であり、解決策を以下に示す。
①4D-BIMによる施工条件照査
施工条件の事前確定を目的として、施工工程と制限表面、航空機位置、施工機械位置、資機材仮置場を統合した4次元モデルを構築する。このモデルから施工ステップごとの離隔不足や進出時間の重複、占有競合を照査し、結果を施工順序や使用機械に反映する。
②電子的境界の設定による立入制御
誤進入の構造的な制御を目的として、RTK-GNSSにより施工機械・車両・作業員の位置を高精度把握し、滑走路・誘導路・当日閉鎖工区に応じた電子的境界を設定する。また設定区域外への進出時には警告と自動停止を作動させ、誤進入による事故や運休を防止する。
③運用変更に追随する施工条件の自動更新
運用変更時の安全条件の維持を目的として、施工条件(範囲、高さ、使用機械)と時間制約を施工制約パラメータとして一元管理する。使用スポット等の運用変更時には整合性を自動再照査し、承認済み条件のみを施工機械や立入区域に適用するとともに、逸脱時には警報、自動停止制御と連動させる。
④自律施工機械による安全・省人化施工
安全と省人化の両立を目的として、施工機械の3次元的な作業範囲をマシンコントロールにより制御する。具体的には、制限表面、航空機動線、運用時間と連動する作業包絡を施工条件として組み込むとともに、LiDARにより近接検知を併用する。これにより干渉リスクを低減するとともに逸脱時には自動停止制御を行い、空港特有の制約条件に対応する、安全かつ省人化された施工を実現する。
(3)将来的な懸念事項と対策
①モデル依存による運用変更時の更新遅れ
空港では時間制約が多く、運用状況や閉鎖工区等の変更時に施工制御モデルの更新が遅れると、誤った制約条件で施工が行われる懸念がある。
対策として、運用データと施工制御モデルを連携し、運用変更時に制約条件の自動更新および整合性再照査を行う。また未照査時は作業不許可とし、モデル依存の弱点である更新遅れによる危険側施工を防止する。
②制約条件の複雑化による誤制御
制約条件を高度化することで、施工範囲、高さ制限、進出時間帯、運用条件、気象条件等が重なり、条件相互の矛盾や設定漏れのリスクが増大する。特に空港工事では当日の条件変更が多く複雑化しやすいため、危険側の許可や不要停止が発生しやすい。
対策として、空港運用を最上位とする制約条件の優先順位を明確化し、さらにルールエンジンにより条件間の矛盾を自動検証する。また現場適用前に機械挙動をデジタルシミュレーションし、単純化された実行条件のみを現場に展開する。これにより、複雑条件下での誤制御を抑制する。
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空港工事特有の運航制約を踏まえ、安全条件を設計段階から管理しようとする方向性は良好です。4D-BIM、位置情報、気象連動制御を、誤進入防止や施工可否判断に結び付けている点も評価できます。
課題と解決策に一貫性があります
制限表面、航空機動線、閉鎖区画、時間制約を踏まえ、4D-BIMや電子的境界によって安全を確保する流れが整理されています。
先進技術に寄り過ぎない工夫が必要です
実現性を高めるため、まずは施工計画照査、立入管理、警報連動など、現場で導入しやすい段階も示すとよいです。
人的確認も加えたいです
管制、空港管理者、施工者の作業許可、連絡体制、緊急停止手順まで触れると、より実務的な答案になります。
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答案作成者の強みと今後の課題
建設・空港分野において、空港工事特有の運航制約や安全条件を踏まえ、ICT技術を施工管理に結び付けて考える力があります。制限表面、航空機動線、閉鎖区画などを意識し、安全確保を中心に答案を組み立てられる点は、大きな強みです。
今後は、先進技術の活用に加えて、作業許可、立入管理、連絡体制、緊急停止手順など、現場で確実に実行できる管理方法も併せて整理することが課題です。高度な技術提案と実務的な安全管理を両立できるようになると、空港施工に関する専門性がより明確に伝わる答案へ発展していきます。
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問題文 近年、地球温暖化に伴う気候変動の影響が顕著化し、豪雨による浸水や渇水による水不足よいったリスクが増大しており、上下水道施設は深刻な影響を受ける可能性が高まっている。これらの事象は、住民生活や産業活動に重大な影響を及ぼすだけでなく、施設の運用や維持管理にも新たな課題をもたらしている。さらに、気候変動の進行により異常気象の頻度や規模が増大することが予測され、従来の基準や方法では対応が困難な状況が生じている。このような背景を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)気候変動に起因するリスクに対して、上下水道システム全体の強靭性を高めるために、上下水道部門における技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記した上で、その技術課題の内容を記せ。
(2)最も重要な課題1つとそれに対する複数の解決策を、上下水道部門の専門技術用語を交えて記せ。
(3)上記の解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考え方を記せ。
(4) 上記の業務遂行に必要な要件を、技術者倫理と社会持続可能性の観点から題意に即して述べよ。
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この問題は、気候変動による豪雨・渇水リスクに対応し、上下水道システム全体の強靱性をどう向上させるかを問う問題です。施設単体ではなく、上下水道を一体のシステムとして捉えた技術提案が求められます。
上下水道を個別施設ではなく一体システムとして捉え、ハード・ソフト・運用を組み合わせた強靱化策を提案することが重要です。
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模範解答 専門科目 下水道 専門事項 機械設備D 作成日 2025.8.6
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(1)課題と観点
課題①:重要設備の耐水性を強化する
浸水時の重要設備の機能維持の観点から、電気室・制御室を中心とした耐水化構造を再設計する。近年の短時間強雨では、既設の水密扉やシール材が想定外水位で破損する恐れがある。電気設備の高所化、ケーブルルートの嵩上げ、水密部材の耐圧性能の再評価を通じ、浸水時でも主要機能を維持する構造とすることが課題である。
課題②:流入量変動に対応した処理能力を確保する
豪雨時の流入量変動への対応の観点から、処理能力の再評価と雨天時の水理計画を見直す。従来の降雨条件を前提としたポンプ・越流水槽容量では、合流式・分流式を問わず越流水や未処理排水が発生する恐れがある。降雨予測と連携した運転計画、流入制御弁設定、貯留池容量の強化が課題となる。
課題③:事業継続性を確保する
上下水道施設のBCP確保の観点から、停電・通信断・薬品供給停止など複合災害への備えを強化する。非常用電源の単独配置や通信手段の単一化は脆弱性が高く、燃料・薬品備蓄量にも根拠が不足している。電源・通信・調達経路の多重化と、平常時からのBCP運用体制整備が課題である。
(2)最も重要な課題と解決策
最重要課題は「重要設備の耐水性を強化する」である。電気室の浸水は施設全体の停止につながるため、以下の対策を講じる。
①耐水化・高所化による構造的対策
水密扉・シール材の耐圧性能を再検証し、電気設備の高所化、ケーブルルート嵩上げ、水密区画の再構成を行う。止水板と排水ポンプを併用し、想定外水位への余裕高さを確保する。
②SCADAと降雨予測を連動した事前制御
気象データと接続した流入予測を用い、ポンプ稼働計画や越流設定水位を事前調整する。重要設備は自動・手動の二重系統で制御し、浸水直前の誤作動を防止する。
③非常用電源の多重化と燃料確保
発電機の二重化・受電経路多重化を行い、燃料備蓄量は想定停電時間に基づき数値で設定する。蓄電池やEVとの連動により、短時間停電時の運転を自立化する。
(3)将来懸念と対策
懸念①:水密構造の破損による設備停止
想定外水位で水密扉が損傷する恐れがある。
対策:水密扉の耐圧計算と実負荷試験、漏水検知の導入、排水ポンプ能力の再評価を行う。
懸念②:非常用発電機が稼働しないリスク
長期間の未使用により起動不能となる恐れがある。
対策:負荷試験、回転機器点検、燃料劣化監視を計画的に実施する。
懸念③:SCADA障害や通信断による制御不能
遠隔監視に依存し過ぎると、異常時に手動操作へ移行できない。
対策:制御系統の二重化、外部ネットワーク遮断、手動操作訓練の実施。
(4)技術者倫理と社会持続可能性に基づく要件
上下水道は生命線インフラであるため、技術者は以下を実践する必要がある。
・安全性の確保:科学的根拠に基づき、浸水・停電リスクを安全側で評価する。
・説明責任:処理能力や浸水危険性を住民・自治体に正確に伝える。
・公正性:特定企業に偏らない標準仕様を策定し、公共調達の透明性を確保する。
・環境配慮:省エネ設備や再エネ利用を進め、温室効果ガス排出を抑制する。
・専門能力維持:水理解析、耐水化構造、電気設備保全など、新技術を継続的に習得する。
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上下水道施設の豪雨・浸水対策について、耐水化、流入量変動、BCPを多面的に整理できています。特に、電気室・制御室の機能維持を最重要課題とした点は妥当です。
課題設定が明確です
耐水化、水理計画、BCPという3課題は、浸水時の施設機能維持に直結しており、バランスがあります。
解決策が具体的です
設備高所化、水密区画、SCADA連動、非常用電源の多重化など、実務的な対策を挙げられています。
倫理・持続可能性まで書けています
安全性、説明責任、公正性、環境配慮、継続研鑽を整理しており、答案の締め方として良好です。
課題②と最重要課題の関係を整理しましょう
SCADAと降雨予測による流入制御は、課題②に近い内容です。問2では、耐水化に直結する対策を中心にすると一貫性が高まります。
数値根拠を少し入れるとよいです
想定浸水深、余裕高、燃料備蓄日数、非常用電源容量などを条件設定として示すと、技術的判断がより明確になります。
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答案作成者の強みと今後の課題
上下水道施設の豪雨・浸水対策について、耐水化、水理計画、BCPを多面的に整理し、施設機能の維持という目的に結び付けて考える力があります。特に、電気室・制御室など重要設備の機能停止リスクに着目し、実務的な対策を具体化できている点は大きな強みです。
今後は、最重要課題を選んだ後に、解決策をその課題へさらに集中させることが課題です。想定浸水深、余裕高、非常用電源容量、燃料備蓄日数などの数値条件を加えられるようになると、技術的判断の根拠が明確になり、答案全体の説得力が高まります。
Ⅱ-1-2
問題文 降雨時にマンホール蓋の飛散が発生するメカニズム及びその影響を説明し、マンホール蓋に求められる性能と併せてマンホール蓋飛散防止対策について述べよ。
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問題文の解説
この問題は、地震時の液状化によって発生する下水道施設被害のうち、マンホール浮上に焦点を当てています。出題者は、現象の物理的メカニズムを理解し、その上で現場条件に応じた効果的な対策を提案できる能力を確認しようとしています。
着目すべきは、液状化の発生条件(地下水位の高さ、地盤構成、地震動強さ)と、浮上の力学的要因(浮力と自重のバランス、周囲地盤の支持力低下)です。コンサルタントとしては、単に現象を説明するだけでなく、施工条件や維持管理体制に適合した防止策を検討できる視点が求められます。
浮上防止策の検討では、
また、対策は新設と既設で適用可能な工法が異なるため、その適用条件を明確に示すことも重要です。さらに、地震後の迅速な点検・復旧の仕組みを併せて提示することで、より実務的で高評価となります。
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この問題は、マンホール蓋飛散の原因を理解し、その対策を技術的に説明できるかを問う問題です。
単に対策を列挙するのではなく、飛散メカニズム、求められる性能、対策を関連付けて説明することが求められます。
飛散防止型蓋だけでなく、内圧が発生する原因を踏まえ、施設全体で内圧を低減する対策まで述べることが重要です。
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模範解答 専門科目 下水道 専門事項 下水渠 作成日S 2025.10.13
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(1) 飛散原因
マンホール蓋の飛散は、雨天時に雨水が大量に下水管渠に流入し、管渠の能力不足などにより、管渠内に圧力流れで水位上昇して、管路内の空気がトラップされ空気塊が圧縮された後、移動してマンホールへ噴出のするとき、空気圧が圧縮されて高くなりマンホールの蓋を飛散させるようとする圧力が作用する。
(2) 影響
二次的な事故の発生として、飛散した蓋が走行中の車両に直撃したり、歩行者がつまずいたりするなど重要な二次災害が発生する。また、マンホールから噴き出した雨水や汚水が流出して浸水を発生させ、衛生上悪影響を及ぼす。
(3)蓋性能
マンホール蓋には、①圧力開放機能として、大雨時に一定の高さまで浮上し内圧開放する、②がたつき防止機能、③逸脱防止機能、④転落防止性能が求められる。
(4)対策
管路施設の排気能力向上として、圧力解放型浮上防止蓋・格子蓋(空気弁内蔵した構造蓋)・格子蓋(グレーチング)取り替え。また、排気口の設置により、開口部からの空気圧を抑制する。さらに、ポンプ場の運転操作の適正化し、急激な水位変動を抑えることも有効である。
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マンホール蓋飛散について、原因、影響、蓋に求められる性能、対策を一通り整理できています。雨天時の管内圧力上昇と空気圧による蓋浮上の流れを説明できている点は良好です。
発生メカニズムを理解できています
雨水流入、管渠内水位上昇、空気塊の圧縮、マンホール部での圧力開放という流れを押さえられています。
必要性能と対策が書けています
圧力開放機能、逸脱防止、転落防止に加え、圧力開放型蓋や排気口設置など、実務的な対策を挙げられています。
文章を少し整理しましょう
原因説明は内容がよい一方、一文が長く、主語と述語がやや乱れています。「圧力流れとなる」「空気が圧縮される」「蓋を押し上げる」と段階的に書くと分かりやすくなります。
対策を体系化するとよいです
蓋の改良、管渠内圧の低減、ポンプ運転管理、流入抑制に分けると、答案全体が整理されます。特に内水対策や雨水流入抑制も加えると、より完成度が上がります。
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Ⅱ-1-3
問題文 生物学的窒素除去において、好気タンク及び無酸素タンクの機能及び反応の概要について述べよ。
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この問題は、生物学的窒素除去の仕組みを理解し、好気タンクと無酸素タンクの役割を説明できるかを問う問題です。
単に機能を述べるだけでなく、各タンクで起こる反応と、それが窒素除去にどうつながるかを説明することが求められます。
好気タンク:機能(硝化)、反応(アンモニア性窒素を硝酸性窒素へ酸化)
無酸素タンク:機能(脱窒)、反応(硝酸性窒素を窒素ガスへ還元)
それぞれについて、機能と反応を対応させて説明します。
硝化・脱窒の反応だけでなく、酸素条件や循環の役割を踏まえ、一連の窒素除去プロセスとして説明することが重要です。
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模範解答 専門科目 下水道 専門事項 機械設備D 作成日 2025.8.6
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生物学的窒素除去は、硝化と脱窒を組み合わせてアンモニア態窒素を窒素ガスへ転換する方法であり、好気タンクと無酸素タンクが中心的役割を担う。
好気タンクでは、アンモニアが亜硝酸菌により亜硝酸へ、硝酸菌により硝酸へと酸化される。硝化細菌は増殖速度が遅いため、滞留時間の確保とDO2mg/L程度の維持が重要である。pHや水温により反応速度が大きく変動するため、負荷変動期にはエアレーション量と溶存酸素の制御が求められる。ここで生成された硝酸は次段の無酸素タンクに供給され、脱窒反応の基質となる。
無酸素タンクでは、脱窒菌により硝酸が亜硝酸、一酸化窒素、亜酸化窒素を経て窒素ガスまで還元され、大気中に放散される。DOは0.2mg/L以下に保ち、電子供与体として内部炭素源が不足する場合は外部炭素源を添加する。水温低下時は反応が遅くなるため、回流比・炭素源注入量の調整が必要である。
これら両タンクは、硝化と脱窒を分担しながら、回流比やDO制御により全窒素除去効率を高める役割を果たしている。
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生物学的窒素除去について、好気タンクでの硝化、無酸素タンクでの脱窒を正しく整理できています。DO、水温、pH、炭素源、回流比など、運転管理上の重要事項にも触れられており、良い答案です。
反応の流れが明確です
アンモニア態窒素が硝酸まで酸化され、その後、窒素ガスへ還元される流れを説明できています。
運転管理の視点があります
DO管理、滞留時間、炭素源添加、回流比調整など、実務上の管理項目が入っています。
タンク配置を少し注意しましょう
一般的には、無酸素タンクを前段、好気タンクを後段に置き、硝化液を内部循環で無酸素タンクへ戻す方式が多いです。「次段の無酸素タンク」と書くと、配置の理解が少し不自然に見えます。
脱窒条件をもう少し整理しましょう
脱窒ではDOを低く保つことに加え、有機物量、硝酸性窒素濃度、アルカリ度なども重要です。これらを一言加えると、答案がさらに安定します。
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Ⅱ-2ー1
問題文 A市では、幹線管きょ(河川下の横断管きょ含む)や汚水中継ポンプなどを設置し、下水道の整備を進めてきた。一方で、下水道の整備を開始してから50年が経過し、当初に整備を行ったA市中心部においては、管路施設の老朽化や腐食の進行が懸念されている。また、人口減少が進んでいることから、広域化の取り組みにより、隣接するB市から汚水の受入れを計画しており、処理場付近の幹線管きょにおける汚水量の増加が見込まれている。管渠施設の老朽化や腐食の進行が懸念される中、他の施策と整合を図り、A市が管理する管路施設の修繕や改築を計画的にかつ効率的に行うための実施計画の策定が求められている。あなたが、この業務に担当者に選ばれた場合、以下の内容について技術的な視点(ただし、人や費用の確保は除く)から記述せよ。
(1)点検手法・調査手法と、その結果を踏まえて検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)修繕か改築かの選択に際して、業務を進める手順とその際に留意点、工夫を要する点を含めて述べよ
(3)業務を効率的、効果的に進めるため、関係者との調整する内容とその方策について述べよ。
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この問題は、老朽化した管路施設を、広域化による汚水量増加も踏まえて、計画的に修繕・改築する業務を問う問題です。単なる老朽化対策ではなく、健全度評価、将来需要、施設能力を総合的に判断して修繕か改築かを選定する能力が求められます。
現状の老朽化だけで判断するのではなく、広域化による将来の流入量増加まで見据え、修繕・改築を一体的に計画する視点を示すことが重要です。
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模範解答 専門科目 下水道 専門事項 下水渠S 作成日 2026.4.22
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(1) 調査検討すべき事項とその内容
1) 下水道施設の健全度把握・調査・検討
点検結果から詳細調査を潜行調査やTVカメラ・腐食調査など腐食や損傷を診断する。その結果から健全度を評価し、劣化の進行に応じて対策の選定や緊急度を判定し、部分的な修繕対応可能区間か改築対策が必要な区間かを判定する。
2)重要度・影響度を踏まえて調査・検討
幹線管きょや河川横断管について、腐食進行度や残存強度を調査し、破損の影響範囲や被害規模・集水面積・施工制約を踏まえ重要度を評価する。その結果、診断して修繕か改築化の優先順位及び対策範囲を設定する。
3)広域化に向けた調査・検討
広域化後の将来汚水受入れ量を設定し、現況の勾配や流量・断面能力を踏まえて、処理場への接続ルートの能力を評価する。その結果、流下断面能力や不足の有無を判定し、部分的な修繕可能区間と断面能力確保や増強の改築区間を抽出する。
(2) 業務遂行順と留意・工夫点
1)調査結果の整理
調査結果を整理し区間ごとに健全度判定・緊急度・影響度と流下能力等の全体的評価する。また、幹線管きょや河川横断区間や処理場近郊区間等の重要度評価を行う。これらの結果から部分的な修繕や構造的な損傷区間の改築を抽出する。
2)修繕・改築区間の設定
損傷や管全体たるみ具合・変形強度等の劣化度評価し、部分補強や止水の修繕区間とスパン全体変形やたるみ等の更新また更生工法による改築対策とする。広域後将来汚水量を設定し、水理能力不足区間を抽出し改築やバイパス管・布設替え設定する。
3)優先順位設定
劣化度や影響度に基づきリスク評価を行い、幹線管きょ、横断暗渠・処理場ルートや道路陥没リスクが高い場所を優先対策区間とし抽出する。
4)年次実施計画の策定:
区間方針及び優先順位に基づき年次計画する。B市と統廃合のため、接続時期との整合を図り能力増強等の改築時期を段階的な計画を設定する。緊急性の高い区間は、短期計画で他の計画との整合性を踏まえて検討し実施する計画とする。
(3)関係者との調整
B市と関係機関・他埋設企業に対し、健全度評価、流下能力評価、リスク評価から優先度評価し緊急度順位を共有する。また、広域化の改築工事時期と他の企業と調整をの一体的な更新計画とし、手戻り防止を防ぐ。そのうえで、広域化推進時期を、他の埋設企業と影響度や重複施工を回避し管路全体ネットワークを最適な更新計画を行う。
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この答案は、老朽化対策と広域化を関連付けながら、調査、修繕・改築の判断、優先順位設定まで一連の流れで整理できています。特に、健全度だけでなく将来の流下能力も考慮している点が良好です。
調査から計画までの流れが明確です
健全度評価、重要度評価、流下能力評価を踏まえて、修繕・改築の判定や年次計画へ展開できています。
広域化を意識した検討ができています
B市からの汚水受入れを踏まえ、能力不足区間の抽出や接続時期との整合を考慮している点は実務的です。
修繕と改築の判断基準を明確にしましょう
劣化度だけでなく、残存耐用年数、維持管理性、LCCなども判断基準に加えると、選定理由がより明確になります。
文章を簡潔に整理しましょう
一文が長く、同じ内容を繰り返す部分があります。結論を先に示し、その後に理由を書く構成にすると、読みやすい答案になります。
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Ⅱー2-2
問題文 D県のE流域下水道に属するF終末処理場は、焼却設備を有する下水処理場で、発生する焼却灰は建設資材の原料として再利用するため、民間企業に販売している。D県においては今後人口減少が予想され、F終末処理場においても処理水量の減少が見込まれている。そのため、汚泥焼却炉の稼働率低下が懸念されている。また、焼却炉本体も耐用年数が近づいてきており、更新もしくは別の処理方法を検討する時期に差し掛かってきている。一方、近隣のG市、H市、I町では公共下水道が整備され、各々単独で水処理及び汚泥処理を実施し、脱水汚泥は場外搬出して埋立処分していた。しかし、近年の物価上昇に伴い、汚泥処分価格も高騰し、下水道予算を圧迫している。このような状況の中、流域下水道を管理するD県とG市、H市、I町とで汚泥の共同処理を検討し、下水汚泥の利活用計画を策定することになった。あなたがD県の業務責任者に選任された場合、以下の内容について述べよ。
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この問題は、流域下水道と公共下水道を連携させ、下水汚泥を共同処理・有効利用する計画を立案できるかを問う問題です。単なる焼却炉更新ではなく、人口減少、施設更新、汚泥の広域処理・資源化を一体的に検討する能力が求められます。
F処理場だけを対象とするのではなく、流域全体の汚泥処理を最適化する視点で、広域化と資源循環を組み合わせた提案を示すことが重要です。
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模範解答 専門科目 下水道 専門事項 機械設備D 作成日 2025.8.6
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(1) 調査・検討すべき項目
広域汚泥処理の最適化には、まず各処理場の汚泥量・含水率・発生負荷を比較し、将来人口予測を踏まえた処理量変動を把握する。併せて、焼却炉の老朽度、余裕率、エネルギー効率、維持管理コスト、CO₂排出量を調査し、更新か転換かを判断する基礎資料とする。隣接自治体の脱水汚泥の性状、輸送距離・搬出ルート、処分単価も調査し、広域化によるコスト縮減効果を算定する。また、用地条件、災害リスク、処理方式(焼却・溶融・堆肥化・固形燃料化等)の適否、LCC、国庫補助制度の活用可能性を検討する。
(2) 業務を進める手順と留意点
まず広域化の目的を「処理コスト縮減」「焼却炉の安定稼働」「資源循環の強化」と定義し、技術要件を整理する。次に、複数の代替案(既存焼却炉更新案、広域集中処理案、脱水汚泥の固形燃料化、堆肥化等)を作成し、LCC、CO₂、維持管理性、処理安定性、災害時の強靭性を評価軸として数値比較する。さらに財政部局と投資回収のシミュレーションを行い、負担配分と費用対効果を精査する。実施段階では、輸送動線、汚泥品質管理、焼却灰の利用先確保、契約・協定書での役割分担・緊急時対応を明確化する。共用開始後は、処理量・燃料消費・灰品質等のデータを収集し、改善案を継続的に提示する。
(3) 関係者との調整方策
複数自治体の共同事業であるため、工程表・費用負担・役割分担を明確化したプロジェクト会議を立ち上げ、自ら主導して議論を整理する。住民には、騒音・車両動線・臭気などの課題を示したうえで、改善策と利点を具体的に提示し、懸念を事前に解消する。民間企業とは、焼却灰の品質規格・供給量・価格の継続性を技術データに基づいて協議し、利活用製品の販路開拓も支援する。行政内部では財政・法務・環境部局との協議を進め、手続・予算・環境配慮の整合性を確保する。
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広域汚泥処理について、処理量、施設老朽度、輸送条件、処理方式、LCCまで幅広く整理できています。コスト縮減だけでなく、CO₂削減や資源循環まで見ている点は良好です。
検討項目が実務的です
汚泥性状、輸送距離、焼却炉の余裕率、処分単価など、広域化の可否判断に必要な項目を押さえられています。
比較評価の軸が明確です
LCC、CO₂、処理安定性、災害時の強靭性を評価軸としており、代替案比較の考え方が整理されています。
やや内容が広がり過ぎています
焼却、溶融、堆肥化、固形燃料化などを並べるだけでなく、対象地域に合う有力案を2~3案に絞ると答案が締まります。
関係者調整をもう少し具体化しましょう
自治体間では費用負担、受入量、責任分界、停止時対応を明確にするとよいです。住民対応では、臭気・騒音・車両増加への対策を示すと説得力が増します。
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Ⅲ-1
問題文 近年、自然災害が激甚化し、また広域的な範囲で被災する事象が頻発するようになった。このため、被災する施設は上下水道施設を含めた社会基盤を形成するインフラ施設全般に及び、これらが同時に被災することで、その後の復旧、復興にも支障を及ぼし長期化している。令和6年1月に発生した能登半島地震では、上下水道の災害対応を強化・加速化するため、関係者一丸となって取組を推進し、一定の効果を発揮した。
このような状況を踏まえて、被災した施設の災害対応を進める下水道技術者として、以下の問いに答えよ。
(1)下水道施設の災害対応の効果を高めるために、上水道施設と一体となった取組を進めるに当たり、技術者としての立場で多面的ン観点から3つの課題(ただし、人や費用の確保は除く)を抽出し、その内容を観点とともに示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題の中で、最も重要と考える課題をその理由とともに記し、その課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて具体的に記せ。
(3)前問(2)で示した解決策を実行して生じるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
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この問題は、下水道単独の災害対応ではなく、上水道と一体で復旧を進める技術提案を問う問題です。能登半島地震を背景に、上下水道一体の復旧手順、情報共有、優先順位付けを考えられるかがポイントです。
重要なのは、単に「連携する」と書くことではありません。
上水が復旧しても下水が使えなければ生活再開できないため、給水・排水・処理機能を一体で見て、復旧順序を決めることが求められます。
復旧優先順位の一体化
避難所、病院、福祉施設、拠点地区などについて、上水道の通水再開と下水道の排水・処理機能を合わせて復旧する。
被災情報の共有化
管路被害、処理場・ポンプ場被害、断水区域、道路啓開状況をGIS等で共有し、重複調査や手戻りを減らす。
暫定機能の確保
仮設ポンプ、バイパス管、マンホールポンプ、仮設処理、応急復旧により、完全復旧前でも最低限の衛生機能を確保する。
上水道と下水道を別々に復旧するのではなく、「水を供給する区域」と「排水・処理できる区域」を一致させる復旧マネジメントを書くことです。
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模範解答 専門科目 下水道 専門事項 機械設備D 作成日 2025.8.6
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(1)課題と観点
災害が激甚化し、上下水道施設が広域的に同時被災する状況では、上水・下水が相互依存している点を踏まえた課題抽出が不可欠である。多面的観点から、次の三点を課題とする。
①施設情報管理の高度化(管理の観点から、施設情報を電子化し即時参照可能とする)
災害時には、老朽度・機器仕様・電源系統・管路網の断面構造などを即時把握できなければ、応急復旧の判断が遅れる。紙台帳や散在したデータでは検索や確認に時間を要し、復旧の初動が遅延する。GIS・台帳電子化・劣化度データの一元管理により、機能維持に必要な情報を迅速に取り出せる状態にすることが課題である。
②上下水道の機能相互支援(運転の観点から、機能の冗長性を高める)
上水の停止により下水流入が急減し、ポンプ場や処理場の負荷が乱れる。また、電源・通信・薬品供給は共通の故障点(Single Point of Failure)となり、上下水が同時停止しやすい。重要機器の相互利用、再生水の応急活用、エネルギー連携などにより、事業者間で相互に補完しながら災害時の運転継続性を確保することが課題である。
③災害時の統合BCP(計画の観点から、上下水道BCPを統合的に整備する)
過去災害では、浄水場・下水処理場・ポンプ場が同時被災し、個別BCPでは機能が噛み合わず復旧に遅れが生じた。上水・下水・行政庁舎・廃棄物処理場を含め、相互代替運用が可能となる広域BCPを構築し、災害時の優先順位・代替送水ルート・越流管理を明確化することが課題である。
(2)最重要課題と解決策
最も重要な課題は、上下水道の機能相互支援である。理由は、能登半島地震でもみられたように、上水・下水・電源・通信が同時に停止すると単独の事業運転は成立せず、どちらか片方が復旧しても地域生活は成立しないためである。
この課題に対する解決策を以下に示す。
①代替送水・代替処理による補完
・上水停止時には、再生水高度処理(膜ろ過・UV)により応急の生活用水を供給し、最低限の下水流入を確保して処理場の水理安定性を保つ。
・下水処理場が損傷した場合は、可搬式ポンプ・可搬沈砂池・簡易曝気装置を用いて暫定処理を行い、上水利用による流入量減の変動を吸収する。
・汚泥は、浄水場の脱水設備・乾燥設備を相互利用できるよう、標準化した脱水ケーキ仕様を採用する。
②電源・通信の共通化と冗長化
・両事業の主要施設をマイクログリッド化し、太陽光/蓄電池/非常用発電機を統合してブラックスタート可能な系統を構築する。
・監視制御(SCADA)を共通化し、広域非常指令室から遠隔操作できる体制とする。
・通信は衛星通信・アドホック無線などの多重化で孤立化を防ぐ。
③資源・熱・水の循環利用
・浄水場の余剰熱を下水処理場の加温・脱水に利用する。
・下水処理場の消化ガスを浄水場の発電や緊急熱源に供給する。
・災害時には、下水再生水を消火用水・清掃用水として上水機能の一部を代替する。
(3)解決策を実行して生じるリスクと対策
①水質事故・逆流のリスク
相互利用により、水理条件が変化し、負圧・逆流・濁質巻き上がりが生じる恐れがある。
→水質遠隔監視(濁度・残塩・アンモニア)を強化し、逆流防止弁の設置や送水圧制御(PID制御)で安定化させる。
②連携設備の過負荷・誤作動のリスク
災害時に臨時接続した設備では、ポンプ過負荷・キャビテーション・加圧異常などの故障が起こり得る。
→台帳電子化と履歴管理により適正負荷を把握し、臨時接続マニュアルや緊急運転フローを整備する。複数箇所での分散運用も有効である。
③サイバーセキュリティの侵害リスク
SCADAの共通化・ネットワーク統合は攻撃面の増大につながる。
→ゼロトラスト構成、機器ごとの多要素認証、運転系ネットワークの閉域化、USBなど媒体の持込み制限、ログ監視体制を整備する。
④技術者の運用知識の不足によるリスク
設備連携が高度化すると、一部の職員だけに運用が依存する恐れがある。
→クロストレーニング、広域事業者間での定期的OJT、訓練用シミュレーションツール導入により知識を均質化する。
以上のとおり、上下水道施設が災害時に地域の生活を維持する基幹インフラであることを踏まえ、相互補完を前提とした計画・設備・運用を事前に構築しておくことが、技術士として求められる取り組みである。
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上下水道を一体のライフラインとして捉え、災害時の相互支援、電源・通信の冗長化、統合BCPまで整理できています。広域同時被災を前提にした問題意識は良好です。
課題設定に広がりがあります
情報管理、機能相互支援、統合BCPの3点は、災害時の上下水道一体管理として妥当です。特に、片方だけ復旧しても地域生活が成立しないという視点はよいです。
解決策に専門性があります
再生水、可搬式設備、マイクログリッド、SCADA、衛星通信など、災害対応に関係する技術を具体的に挙げられています。
やや構想が大き過ぎます
浄水場と下水処理場の熱・汚泥設備の相互利用などは、実現性の説明が必要です。まずは電源、通信、応急給水・排水、可搬式設備の相互支援に絞ると安定します。
上水と下水の衛生上の境界を明確にしましょう
再生水の活用は有効ですが、飲用水との混同や逆流リスクには慎重な記述が必要です。用途を生活雑用水、消火用水、清掃用水などに限定して書くとよいです。
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模範解答 専門科目 下水道 専門事項 下水渠S 作成日 2026.7.1
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(1) 重要課題とその内容
1) 給水・排水機能の復旧順位整合
生活衛生機能回復の観点から、給水・排水機能の復旧順位を整合することが課題となる。水道施設のみ復旧しても下水道施設が停止していれば生活機能は回復しないため、避難所、医療機関、防災拠点等を対象に上下水道一体的の復旧が必要となる。
2) 支援資機材の被災ニーズによる配置体制
応急対応の実効性の観点から、発生直後に国・自治体・民間団体が連携できるように、上下水道の支援資機材を被災ニーズに応じて適切に配置することが課題である。広域災害では、給水車・可搬式浄水施設・仮設ポンプ・バキュ-ム車等支援が必要となるため、被害状況、土砂崩れ、液状化による道路状況に応じた迅速的に投入できる体制を構築する必要がある。
3)被災情報の一元管理
被災情報把握迅速化の観点から、上下水道施設の被害状況を一元管理することが課題である。広域災害では、水道の漏水情報と下水道の管路損傷状況等を重ねて一元化管理が必要となる。このため、GIS、遠隔監視、TVカメラ調査、タブレット等を活用し、急所施設への優先順位を迅速的に決定する必要がある。
(2) 最も重要な課題と複数の解決策
1)最も重要な課題
最も重要な課題は、1)給水・排水機能の復旧順位整合である。理由は、水道施設のみ復旧しても下水道施設が停止していると生活衛生機能は回復しないので、避難所、医療機関、防災拠点等機能継続に影響を及ぼすため、上下水道一体的の復旧が必要でとなる。
2)解決策
①優先施設仮復旧
上水道は、配水池から避難施設までの配水管の漏水調査と並行して、仮設配管を確保する。下水道は、避難所から処理場まで管の被災状況調査と仮設配管・仮設ポンプ・マンホールトイレ等を活用し応急給排水を確保する。
②管路調査と閉塞個所の応急復旧
管路調査と閉塞個所の応急復旧として、急所施設に接続する管をTVカメラ調査、マンホール調査を実施する。堆積土砂や閉塞が確認された箇所は、集中的に高圧洗浄や強力吸引車による堆積土砂清掃し流下機能確保をする。
③優先復旧ルートの設定
地震は発生時の初期対応の迅速性が求められるため、避難所・医療機関・重要施設につながる基幹管渠や処理場・ポンプ場に至るルートを事前に指定する。被災時には、管路台帳やGISを用いて被災状況を確認し、応援部隊を優先路線へ投入して、流下機能を回復させる。
(3)リスクとリスクへの対応
1)リスク
優先順位による急所施設への仮設復旧や優先管渠の復旧を行っても、想定を超える広域被害により復旧資機材や代替えルートが機能せず、地域ごとの上下水道一体整備復旧が遅延するおそれがある。
2)リスクへの対応
対応策として、GISにより上下水道被害状況把握を一元管理し、可搬式処理施設、仮設配管、仮設ポンプ、仮設浄化槽、被害状況に応じた施設の移転、広域汚泥搬送等代替えの復旧手段を多重化することで冗長性を確保する。
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上下水道を一体で復旧する必要性を捉え、避難所、医療機関、防災拠点を優先する考え方が整理できています。災害時の生活衛生機能回復を軸にしている点は良好です。
最重要課題の選定が妥当です
給水だけでなく排水機能も同時に回復しなければ生活機能は戻らない、という視点は重要です。
応急復旧策が具体的です
仮設配管、仮設ポンプ、マンホールトイレ、TVカメラ調査、高圧洗浄など、現場対応に近い対策を書けています。
文章を少し整理しましょう
内容はよいですが、「迅速的に」「上下水道一体的の」など表現に不自然な箇所があります。「迅速に」「上下水道一体の」と整えると読みやすくなります。
リスク対応をもう少し具体化しましょう
資機材不足への対応として、事前協定、広域応援、備蓄拠点、輸送ルートの代替設定まで書くと、実効性が高まります。
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問題文 機械製品に求められる仕様は高度化し、設計製造をとりまく社会的な環境も変化してきている。これらの状況に対応して新しい技術を開発する必要があるが、その利用に当たっては社会や環境に重大な影響を与える可能性があることを十分に認識する必要がある。
本問は、公益を確保するために、新しく開発した技術を負の側面も含めて多面的に理解したうえで製品に採用する際の考え方について、問うものである。
(1)公益に影響を及ぼしうる新しい技術を1つ想定せよ。機械部門における技術者としての立場で、その技術を機械製品やシステムに適用する場合に公益を確保するために解決すべき技術課題を多面的な観点から3つ抽出し、観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その理由を述べよ。また、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても残存しうる、若しくは新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会持続性の観点から必要となる要件・留意点を題意に則して述べよ。
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単なる技術開発論ではなく、新技術の負の側面を予測し、社会に受け入れられる形で実装する考え方が中心です。
想定する新技術を明確にする
例:AI制御、自動運転、協働ロボット、ドローン、蓄電池、3Dプリンタ製造など。
公益を損なうリスクを技術課題にする
例:誤作動時の安全確保、サイバー攻撃、説明責任、環境負荷、保守性。
解決策は技術で書く
例:フェールセーフ、冗長設計、リスクアセスメント、機能安全、サイバーセキュリティ、LCA、トレーサビリティ。
「便利な新技術を使う」ではなく、その技術が事故・環境負荷・不公平を生む可能性まで踏まえ、安全性と公益を確保する設計思想を書くことです。
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模範解答 専門科目 材料強度・信頼性 専門事項 機械材料I 作成日 2025.11.20
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1-1. 新しい技術の想定と機械製品
社会的な環境の変化として地球温暖化があり、社会的なニーズとしてCO2の削減が求められている。化石燃料からの転換を目的に、グリーン水素、ブルー水素の輸送としてアンモニアが注目されている。アンモニアの大規模貯蔵技術の開発を想定し、機械製品としてアンモニア貯蔵タンクを想定する。
1-2.解決すべき技術課題
(1) トラブル時の安全性確保
安全性の観点から、アンモニア漏洩時の被害を最小化する設計を行う。毒性・拡散性を考慮し、異常圧力・漏洩時の被害を抑える安全制御が求められる。
(2) 適正な材料の選定
材料強度の観点から、応力腐食割れを抑制する材料選定を行う。低温じん性と耐食性を兼ね備えた材料を選定し、腐食疲労や脆化を防ぐ。
(3) 内部圧力、地震動への強度確保
構造設計の観点から、内圧変動及び地震動に耐える強度設計を行う。疲労破戒及びレベル2地震動に対して塑性率を考慮した終局強度設計を行う。
2-1.最も重要な課題と理由
最重要課題:安全性の観点から、漏洩時の被害を最小化するシステムを構築する。
理由:アンモニアは毒性・腐食性を持ち、漏洩時に公衆・環境に直接影響を与える為、技術士の最優先課題である。
解決策
(1)フェールセーフ設計により、異常圧力検知時にポンプを停止・遮断弁を閉止し、安全弁から除害放散を行うことで、被害を最小化する。
(2)AEセンサー及びガス検知器を併用し、亀裂発生や微小漏洩をリアルタイムで監視し、早期対応を可能とする。
(3)水幕設備により拡散ガスを吸収し、大気放散を防止する。CFD解析でノズル配置を最適化することで、吸収効率を高める。
3-1.新たに生じうるリスクについて
リスク①:計器・センサーの故障による誤作動
対策:フォールトトレランス設計(2oo3)を導入し、単一故障ではシステムが停止しないよう制御冗長化を行う。
リスク②:アンモニアによる安全弁の腐食・固着
対策:ラプチャーディスクを介して、安全弁を腐食環境から隔離する。交換部位を限定化し、耐食性のある材質への変更も可能とすることで、信頼性・環境性・経済性を両立する。
4-1.技術者倫理の観点からの要件、留意点
倫理面:
事故時には人命保護を最優先とし、原因を隠さず公開・再発防止を徹底する。判断に迷う場合は「安全側」に立ち、説明責任を果たすことを倫理原則とする。
社会の持続可能性面:
事故やトラブルの教訓を体系的に整理し、報告書・学会発表・教育活動を通じて社会へ還元する。技術標準化と人材育成を通じ、持続的な安全文化を醸成する。
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アンモニア貯蔵タンクを対象に、安全性を中心として材料、構造設計まで整理できています。公益への影響を意識し、人命保護を最優先とした構成になっている点は良好です。
課題設定が適切です
安全性、材料、構造強度の3課題は、アンモニア貯蔵設備で重要となる技術課題を押さえています。
解決策に専門性があります
フェールセーフ設計、AEセンサー、CFD解析、2oo3冗長化など、機械分野の専門技術を具体的に示せています。
公益との結び付きをもう少し強めましょう
安全確保だけでなく、周辺住民への影響、環境保全、事業継続なども加えると、問題文の「公益」の視点がより明確になります。
リスクを少し広げるとよいです
センサー故障や安全弁腐食に加え、停電時の制御不能、除害設備の能力不足、人的操作ミスなども挙げると、問3がより充実します。
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Ⅰ-2
問題文 機械製品の設計から製造までの様々な段階において,実験式の精度,設計ツールの解析精度,部品の加工精度,組立精度などの,ある幅をもった不確かさまたは誤差がかならず存在する。以下では,これらを総称して「精度」と呼ぶことにする。これらの精度は相互に関係しており,最終的な製品の特性や製品を向上させるためには各段階での精度の定量的な評価と,その相互関係の評価とが必要とされる。
(1)機械部門における技術者としての立場で,機械製品を1つ想定し,最終的な製品の特性や性能を向上させるための精度にまつわる技術的な課題を多面的な観点から3つ抽出し,それぞれの観点を明記したうえで内容を示せ。
(2)前間(1)で抽出した課題のうち最終的な製品の特性や性能に対して最も重要と考えるものを1つ挙げ,それを最重要とした理由を他の精度との相互関係も含めて述べよ。さらにその課題に対する複数の解決策を,機械部門の専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示した解決策をすべて実行しても残存しうる,若しくは新たに生じうる懸念事項を示し,さらにその対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。
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対象製品を具体的に設定する
例:ポンプ、減速機、タービン、自動車部品など。
精度の相互関係を課題とする
設計精度、解析精度、加工精度、組立精度、測定精度などが最終性能へ与える影響を整理します。
解決策は機械技術で書く
例:公差設計、統計的品質管理、CAE、幾何公差、工程能力管理、誤差解析。
個々の精度を説明するのではなく、「設計から製造までの精度の連鎖」を示し、どの精度が製品性能を支配するかを技術的に説明することが重要です。
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模範解答 専門科目 材料強度・信頼性 専門分野 機器設計H 作成日 2025.11.10
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製品:ひずみゲージ式圧力計を想定する
(1)特性を向上させるための技術的な課題
①CAEの妥当性向上<設計の観点>
ひずみゲージ式圧力計では受圧部の変形量や剛性が製品特性に大きく影響する。受圧部評価には有限要素法を用いたCAE解析を行う。加工・組立段階で発生するばらつきを統計モデルに組み込み、解析結果の信頼区間を算出し、設計段階での精度を向上させる。
②加工のばらつき管理<加工の視点>
材料加工のばらつきは製品特性に影響する。例えば受圧部に使用する材料の残留応力の有無で、製品の非直線性(精度)が変わる。また、寸法やひずみゲージの材質のばらつきは,感度や精度のばらつきに影響する。ロットや協力会社様毎に,ばらつきを工程能力指数で評価し,加工の変動が感度や非直線性に与える影響を回帰分析で明確化する。
③組み立てのばらつき管理<組立の視点>
ひずみゲージ式圧力計は、部品が小さく少量多品種なため、組立工程の多くを人の手で行っている。特に受圧部の溶接は難易度が高い。そのため作業者の熟練度や体調が仕上がりに影響し,その結果特性がばらつく。組立精度を工程能力指数で評価し,作業者別誤差データを蓄積し、工程FMEAで影響度を評価する。
(2)最も重要な課題と解決策
最も重要な課題:①CAEの妥当性向上。設計解析に加工・組立段階のばらつきを組み込み、実測値との誤差を最小化する解析モデルを構築する<設計の観点>
理由:製品特性を下流で修正することは難しく,CAEという工程上流で行う必要があるためである。また設計時のパラメータに加工ばらつきと組立ばらつきを組み込むことで、製品全体の特性を包括的に評価できる。
解決策①タグチメソッドの適用
CAEにタグチメソッドを活用し、特性に大きく影響する因子を特定し、実測とCAEとの結果比較の妥当性を効率的に向上する。また、タグチメソッドのパラメータに加工と組立のばらつきを取り入れることで、製品特性全体ばらつきを包括的に評価できる。V&Vの視点で,試作後のデータをCAEにフォードバックする。
解決策②メッシュ大きさの最適化
有限要素法では、メッシュの大きさが結果に大きく影響する。例えば,応力集中部を不当に大きなメッシュで解析すると、応力は小さく評価される。これは安全性を下げる。対策として、シミュレーションを複数回実施し、メッシュ大きさと応力の関係をプロットする。応力が一定になるメッシュサイズを採用することで、CAEのメッシュサイズを最適化できる。
解決策③環境要因の徹底的な把握
材料物性値(ヤング率や引張強さなど)は温度によって変動する。また腐食環境による強度低下も考えられる。妥当なシミュレーション結果を得るためには、環境を正しく反映したパラメータを入力する必要がある。お客様アンケートやDRを実施し、環境情報を把握し,シミュレーションや信頼性試験に反映する。
(3)懸念事項と対策
懸念事項:正規分布からの外れ値の存在
上記対策は、ばらつきが正規分布であることを前提としている。そのため、ばらつきが3σの場合,0.3%の確率で外れ値が発生する。他にも,ばらつきが正規分布でない可能性もある。
対策として、信頼性試験でワイブル/対数正規の適合度検定の実施を提案する。外れ値の製品が市場に流出しないための対策である。
(4)業務遂行に当たり,必要な要件・留意点
技術者としての倫理
要件:安全性の絶対確保
圧力計破損による人的被害を防ぐ。応力評価では実績のある安全率を採用する。また疲労試験や信頼性試験で、外れ値による破損を防ぐ。CAE結果の改ざん防止のため,変更履歴や監査証跡を残すシステムとする。
社会の持続可能性
要件:CAEと試験データベースの蓄積と後進教育
CAE結果と実試験の結果の相関データを蓄積して、CAE評価の妥当性を常に向上させる。また手法の標準化を推進し教育に活用する。これはSDGs「9産業と技術革新の基盤を作ろう」に当たる。
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ひずみゲージ式圧力計について、設計・加工・組立の各段階で製品特性のばらつきを捉えようとしており、品質向上の方向性は良好です。CAEの妥当性向上を最重要課題にした点も、上流設計で不具合を抑える考え方として妥当です。
ばらつき管理の視点がよいです
加工、組立、材料物性、環境条件が感度や非直線性に影響することを整理できています。工程能力指数、FMEA、回帰分析なども適切です。
解決策に専門性があります
タグチメソッド、V&V、メッシュ収束確認、信頼性試験など、設計解析の妥当性を高める手段が具体的に示されています。
圧力計の性能指標を明確にしましょう
「特性」だけでなく、精度、直線性、ヒステリシス、温度ドリフト、耐圧・疲労寿命など、何を向上させるのかを明示すると答案が締まります。
懸念事項をもう少し広げるとよいです
外れ値の存在は良い視点ですが、CAEモデルの前提誤り、実測データ不足、ゲージ接着不良、温度補償不足なども残存リスクとして考えられます。
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問題文 フラクトグラフィは破壊要因を知るうえで有効な手法である。フラクトグラフィについて説明せよ。また、金属材料の主要な破壊様式を2つ上げ、それぞれの破面の巨視的、微視的特徴とその破面形成プロセスについて説明せよ。
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問題文の解説
この問題は、破面観察(フラクトグラフィ)によって破壊原因を推定できるかを問う問題です。単に破壊様式を説明するのではなく、破面の特徴と破壊が進行する過程を関連付けて説明することが求められます。
破面の特徴を列挙するだけでなく、「どのようにき裂が発生・進展して、その破面が形成されたのか」という破壊メカニズムまで説明することが重要です。
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模範解答1 専門科目 材料強度信頼性 専門事項 機械材料I 作成日 2025.9.9
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1.フラクトグラフィーについて
破面形態を観察・解析することで破壊機構や破壊要因を解明する工学的手法である。破壊は構造レベルの応力・形状要因と、材料レベルの組織・欠陥要因が重畳して生じる多階層現象でありその痕跡が破面に刻まれる。破面解析はまずき裂の起点や伝播経路を把握するため巨視的特徴を観察する。次にき裂の進展機構や支配的破壊モードを同定するため微視的特徴を観察する。両者を統合し解析することで破壊原因の特定精度を高め再発防止や信頼性設計に資することができる。
2.金属材料の主要な破損様式
(1)延性引張破断:巨視的にはカップアンドコーン型破面を示し、表面近傍にせん断破断帯(シャーリップ)を伴う。微視的には、塑性変形により生成・成長・合体した微小空洞が痕跡としてディンプルを形成する。形成プロセスは、局所くびれにより中心部で引張破壊が進行し、その後外周部で最大せん断応力方向(応力軸と約45°)に沿って破断が完了する。
(2)疲労破壊:巨視的には応力集中部からき裂が発生し進展域には同心円状のビーチマークが現れ最終破断部は脆性的様相を示す。微視的にはき裂先端が繰返し荷重の度に鈍化・再鋭化を繰り返しストライエーションが形成される。形成プロセスは表面の微小き裂がすべり帯や介在物を起点に発生しストライエーションを刻みながら進展し最後に残存断面が急速破断に至る。
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フラクトグラフィーの目的と、延性破壊・疲労破壊の特徴を巨視的・微視的の両面から整理できています。破壊メカニズムまで踏み込んで説明できており、専門性の高い答案です。
巨視的・微視的特徴を整理できています
カップアンドコーン、ディンプル、ビーチマーク、ストライエーションなど、代表的な破面の特徴を適切に説明できています。
破壊メカニズムを理解できています
破面の特徴だけでなく、その形成過程まで説明できており、破面解析の意義が伝わります。
実務とのつながりを加えるとさらによくなります
破面観察結果を材料選定、設計改善、保守点検にどのように活用するかまで触れると、技術者としての視点がより明確になります。
代表的な観察手法も一言添えましょう
実体顕微鏡や走査電子顕微鏡(SEM)など、破面解析に用いる観察手法を加えると、答案の完成度がさらに高まります。
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模範解答2 専門科目 材料強度信頼性 専門事項 計測器製作H 作成日 2025.11.10
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①フラクトグラフィとは
破面の形態を観察し、生成機構の解析から、材料の破壊プロセスを推定する手法である。顕微鏡やSEMによる外観観察や成分分析(EDXやSIMS)から、破壊プロセスを特定し、設計改善や品質保証に活用する。破面解析結果を基に、応力状態・負荷履歴・環境影響などを明らかにし,設計条件や加工条件を改善する。
②主要な破壊様式
a)疲労破壊
繰り返し応力で引張強度以下でも破断に至る現象。
巨視的特徴:巨視的にはビーチマークが現れ、破壊進展方向を示す。光学顕微鏡で観察できる。
微視的特徴:ストライエーションと呼ばれる模様が見える。模様の幅から応力拡大係数の幅を推定し,亀裂進展速度を推定する。
プロセス:形成プロセスは欠陥部位での応力集中→微小亀裂発生→応力拡大係数の増大→進展加速→最終破断に至る。
b)脆性破壊
材料の伸びが少なく,急速に破断に至る減少である。
巨視的特徴:巨視的には破壊起点から広がる放射状模様(リバーパターン)が見られ,破壊進展方向を示す。
微視的特徴:へき開面または粒界破面が観察される。
プロセス:き裂先端の応力集中係数が破壊靭性値を超えると,き裂が急速に伝播し破断に至る。
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フラクトグラフィーの目的と、疲労破壊・脆性破壊の特徴を整理できています。破面の特徴だけでなく、破壊プロセスや設計改善への活用まで記述できており、実務的な内容です。
破壊様式を整理できています
巨視的特徴、微視的特徴、形成プロセスに分けて説明しており、理解しやすい構成です。
実務とのつながりがあります
破面解析を設計改善や品質保証に活用する視点が示されており、技術者としての意識が感じられます。
用語を正確にしましょう
「材料の伸びが少なく,急速に破断に至る減少」は「現象」の誤りです。また、SIMSは一般的な破面解析では使用頻度が低いため、SEM・EDXを中心に書くとより適切です。
フラクトグラフィーの定義を簡潔に
「破面観察により破壊原因や破壊機構を解析する手法」と端的にまとめると、その後の説明につながりやすくなります。
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模範解答3 専門科目 材料強度信頼性 専門事項 機械材料I 作成日 2025.11.20
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1.フラクトグラフィの説明
金属材料の破面を観察し、破壊様式に応じた巨視的・微視的特徴から割れの起点・進展経路・破壊要因を解析する手法である。破面形態から応力状態や環境影響を推定でき、信頼性評価や再発防止に活用される。
2.延性破壊の特徴と破面形成プロセス
延性破壊では、巨視的にはカップアンドコーン破面を呈し、微視的にはディンプルが形成される。応力三軸性の高い領域でボイドが発生・合体し、塑性変形とともに最終的にせん断破面を形成して破断に至る。破面観察により延性の程度や応力履歴を推定できる。
3.疲労破壊の特徴と破面形成プロセス
疲労破壊では、巨視的にはビーチマーク、微視的にはストライエーションが観察される。繰返し応力により、すべり面上で微小亀裂が発生し、塑性変形域の拡大とともに段階的に進展する。ストライエーション間隔から応力幅や進展速度を推定できる。最終的には延性破壊に移行し、急激に破断する。
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フラクトグラフィの定義、延性破壊、疲労破壊の特徴が簡潔に整理されています。巨視的特徴と微視的特徴を分けて説明できており、答案として読みやすいです。
破面特徴の理解が良好です
カップアンドコーン、ディンプル、ビーチマーク、ストライエーションなど、代表的な特徴を適切に使えています。
形成プロセスまで説明できています
単なる用語説明ではなく、ボイドの発生・合体、微小亀裂の進展、最終破断まで書けている点が良いです。
疲労破壊の最終破断の表現を補いましょう
「最終的には延性破壊に移行」と限定せず、材料や応力状態によって延性破壊または脆性的破壊を示す、とすると正確です。
観察手法を一言加えるとよいです
実体顕微鏡で巨視的特徴を確認し、SEMで微視的特徴を観察する、と書くとフラクトグラフィの説明として完成度が上がります。
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模範解答4 専門科目 材料強度信頼性 専門事項 道路設備O 作成日 2026.4.13
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(1)フラクトグラフィについて
フラクトグラフィは、破面を肉眼および電子顕微鏡で観察し、破壊起点やき裂進展過程から破断様式を特定する技術である。破面は破壊過程の履歴を反映するため、応力状態や負荷履歴、環境影響を評価でき、過大荷重や疲労など破壊原因を特定することができる。
(2)疲労破壊
1)特徴
巨視的にはビーチマークが観察され、負荷変動に伴うき裂進展履歴を示す。微視的にはストライエーションが観察され、1サイクルごとのき裂進展量を示す。
2)破面形成プロセス
き裂先端の塑性すべりとき裂の開閉により形成され、その速度は応力拡大係数範囲ΔKに依存し、最終的に不安定破壊に至る。
(3)延性破壊
1)特徴
巨視的には中心部で引張支配によるカップアンドコーン形状、周縁部でせん断支配によるシェアリップが観察される。微視的にはディンプルが観察される。
2)破面形成プロセス
材料内部の介在物や析出物を起点として発生するボイドは成長、隣接ボイドと合体して破断に至る。拘束力が強い応力三軸度が高い状態では等軸ディンプル、低い場合はせん断型ディンプルとなる。
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フラクトグラフィの目的、疲労破壊、延性破壊の特徴が簡潔に整理されています。巨視的特徴と微視的特徴を分けて説明しており、答案として読みやすいです。
破面特徴が正確です
ビーチマーク、ストライエーション、カップアンドコーン、シェアリップ、ディンプルを適切に使えています。
形成プロセスまで書けています
疲労き裂の進展、ボイドの発生・成長・合体まで説明できており、理解が伝わります。
疲労破壊の説明を少し慎重にしましょう
ストライエーションは必ず1サイクル1本とは限らないため、「き裂進展履歴を示す」と表現すると安全です。
観察手順を加えるとよいです
まず肉眼・実体顕微鏡で起点と進展方向を確認し、その後SEMで微視的特徴を確認する、と書くと実務的になります。
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Ⅱ-2-1
問題文 腐食環境下で繰返し力学的な作用が及ぼされる機器の設計において、低コスト化のためその主要部品に低合金鋼や炭素鋼を用いることになった。材料強度・信頼性の技術者の立場として下記内容について答えよ。
(1)対象機器の主要部品において低合金鋼や炭素鋼を用いるうえで調査・検討すべき事項を3つ示し、それらの内容について説明せよ。
(2)対象機器の主要部品において低合金鋼や炭素鋼を用いるための方策を2つ以上列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点を述べよ。
(3)上記の業務のそれぞれを効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
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この問題は、コスト低減のために炭素鋼・低合金鋼を採用しながら、腐食疲労による破壊を防ぐ設計・管理ができるかを問う問題です。材料選定だけでなく、腐食環境・繰返し荷重・防食対策を総合的に評価する能力が求められます。
腐食環境、荷重条件、材料特性、腐食疲労寿命などを評価します。
例:防食(塗装・めっき・電気防食)、応力低減設計、材料・熱処理の最適化など。
低コスト化だけを論じるのではなく、腐食疲労による強度低下を設計・防食・維持管理まで含めて管理する考え方を示すことが重要です。
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Ⅱ-2-1
模範解答1 専門科目 材料強度信頼性 専門事項 機械材料I 作成日 2025.11.20
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1. 調査、検討すべき事項と内容
(1)腐食速度及び応力腐食割れリスクの把握
使用する腐食環境下で腐食速度と応力腐食割れリスクの把握を目的とする。材料の腐食試験を実施し、腐食速度の把握を行う。応力腐食割れ試験を実施し、下限界応力と下限界応力拡大係数を調査し、適正な材料選定の検討を行う。
(2)繰返し応力の定量的な把握
疲労割れの未然防止を目的とする。実機にひずみゲージを取り付け、サイクルカウント法により応力振幅を定量的に求める。ひずみゲージがつけられない箇所については、FEM解析を活用し、応力値を求める。求めた数値が疲労限度以下になるように構造を検討する。
(3)製造時の悪影響の把握
製品製造時には、加工ひずみや溶接による残留応力や欠陥が生じる可能性がある。これらが疲労強度や耐食性に与える影響を調査し、未然防止や対策法を検討する。
2.方策の列挙と留意点と対策案
(1)FEM解析や実機へのひずみゲージの取付により応力を把握し、疲労限度以下となるよう設計し、疲労破壊を起こさないようにする。留意点は以下の2つである。1つ目はFEM解析の工数が膨大となり時間がかかりすぎる恐れがある事である。対称性の利用やサン・ブナンの原理を用い、形状の単純化や省略を行い、解析領域を削減する。これにより工数の削減と精度の高い解析が実施できる。2つ目はサイクルカウント法についてである。ピークカウント法は過大評価をする恐れがあり、レンジミーン法は最大応力を逃す恐れがある。よって、レインフロー法を採用する。
(2)製造時にPWHTや高周波焼入れ、ピーニングを行い、圧縮応力付与や表面硬化を行い、疲労割れやSCCを未然防止する。PWHTや高周波焼入れは保持温度、時間に留意し、結晶粒が肥大化しないようにする。過度なピーニングも表面粗さの悪化、変形により疲労強度低下の恐れがある。SUMP法による組織観察確認や施工後の硬さ確認、X線での残留応力測定により確認を行う事で対応ができる。
3.関係者との調整方策
自部門に対し、ひずみゲージの無線式データロガーの活用を提案する。設置制約の回避や工数削減のメリットを伝える。導入費用があるため、まずはレンタルで試す。
検査会社に対し、検査要領書提出を依頼する。手間がかかるが手直し、やり直し、認識共有のメリットを伝え、協力を得る。
保全部門に対し、故障モードやリスクについて保全引継を行い、主要部品へAEセンサーのモニタリングを提案する。導入費用がかかるが、早期発見による修繕費削減のメリットを伝え協力を得る。
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腐食、SCC、疲労、残留応力を調査対象として整理できており、機械部門らしい技術的な答案です。FEM、ひずみゲージ、レインフロー法、PWHT、ピーニングなど、具体的な技術を使えている点も良好です。
調査・検討事項が具体的です
腐食試験、SCC試験、実機ひずみ測定、FEM解析により、破損リスクを定量的に把握しようとしています。
留意点まで書けています
解析工数、サイクルカウント法の選定、熱処理やピーニングの副作用まで触れており、実務的です。
対象製品を明確にしましょう
何の機械部品・設備を想定しているかが不明です。圧力容器、回転軸、配管など、対象を最初に示すと答案全体が読みやすくなります。
関係者調整を業務目的に結び付けましょう
自部門、検査会社、保全部門との調整は良いですが、「疲労・腐食リスクを低減するため」という目的を添えると、調整方策としてより説得力が出ます。
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Ⅱ-2-1
模範解答2 専門科目 材料強度信頼性 専門事項 道路設備O 作成日 2026.6.1
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(1)調査・検討すべき事項
1)腐食環境評価
全面腐食もしくは局部腐食の腐食形態を調査する。応力集中部位では、腐食減肉、き裂の発生、進展が促進されるため、設計板厚余裕や防食仕様を決定する。
2)腐食疲労寿命評価
応力状態を把握するため、FEM解析によるホットスポット応力評価から応力拡大係数範囲を調査し、パリス則を用いてき裂進展寿命を評価する。腐食環境下における下限界応力拡大係数範囲の低下やき裂進展加速を考慮し、安全側の寿命を設定する。
3)保全条件の設定
非破壊検査の検出可能欠陥寸法を調査し、初期き裂長さから限界き裂長さに至るまでの寿命を算定する。検査誤差や腐食速度のばらつきを考慮し、点検周期および補修時期を設定する。
(2)低合金鋼や炭素鋼を用いるための方策
1)めっきと塗装の複合処理
母材耐食性不足を補完するため、溶融亜鉛めっきによる犠牲防食と重防食塗装によるバリア防食を組み合わせ、腐食減肉を抑制する。端部では表面張力により膜厚不足が生じやすいため、エッジR処理により塗膜厚を確保する。溶接部およびボルト接合部は、下地処理と膜厚管理により、防食性能を確保する。
2)応力低減設計の実施
溶接止端部のグラインダ仕上げにより、止端半径を拡大し切欠係数を低減することで、疲労強度の向上を図る。また、ショットピーニング処理を行い、残留圧縮応力を導入することで、き裂開口を抑制し有効応力拡大係数範囲を低減する。
3)損傷許容設計の導入
非破壊検査による検出確率を示すPOD曲線から、検出可能な欠陥寸法を初期き裂長さとして設定し、パリス則の積分により限界き裂長さまでの進展寿命を評価する。また、腐食速度、実働荷重振幅、測定誤差のばらつきを確率変数として扱い、許容破壊確率以下となる検査間隔を設定する。
(3)関係者との調整方策
1)設計および製造部門
疲労強度向上を優先した場合、加工性が悪化し、設計変更と再施工が繰り返され、工程遅延や補修費増大が懸念される。そこで、応力集中係数と疲労寿命評価に基づく定量的根拠を提示し、疲労寿命を支配する部位を特定する。余盛形状の平滑化など必要最小限の形状改善により、生産性を向上する。
2)非破壊検査業者および保全部門
健全部位の検査に時間と費用を投下した場合、危険部位の腐食減肉やき裂進展を見落とす可能性がある。そこで、応力集中部位やき裂進展方向に基づき、溶接止端部など重点検査する部位を決定する。
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腐食疲労を対象に、腐食環境、き裂進展寿命、保全条件まで一体的に整理できています。パリス則、POD曲線、応力拡大係数などを使い、定量的に判断しようとしている点は良好です。
技術的な骨格が明確です
腐食形態の把握、FEMによる応力評価、非破壊検査の検出限界をつなげて、設計・保全に展開できています。
方策が具体的です
めっき・塗装、エッジ処理、止端仕上げ、ショットピーニング、損傷許容設計など、実務的な対策が書けています。
対象条件を少し明確にしましょう
海浜環境、化学プラント、橋梁部材など、腐食環境や使用部材を冒頭で示すと、答案全体の説得力が増します。
関係者調整をもう一段広げるとよいです
設計・製造・検査だけでなく、発注者や運用者に対して、LCC、点検停止期間、安全性を説明する視点を加えると、調整方策としてより完成度が高まります。
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Ⅱ-2-2
問題文 これまで時間基準保全を行っていた機械設備に対し、保全コストの合理化のためにある部位に状態基準保全の適用を検討することとなった。技術責任者の立場から以下の問いに答えよ。
(1)具体的な機械設備と保全する部位を1つ挙げ、状態基準保全の適用可否を判断するために、あらかじめ調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)上記(1)の調査、検討の結果、状態基準保全を適用することが決まった場合、その後の業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫すべき点を材料強度・信頼性の技術用語を用いて述べよ。
(3)効率的、効果的な業務遂行のために調整が必要となる関係者を列記し、それぞれの関係者との連携・調整について述べよ。
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この問題は、時間基準保全(TBM)から状態基準保全(CBM)へ移行する業務を、技術責任者として計画・実施できるかを問う問題です。単なる保全方法の変更ではなく、故障予兆を把握し、信頼性を維持しながら保全コストを削減する仕組みを構築することが求められます。
状態監視技術を導入するだけでなく、「どの劣化を、何で監視し、どの基準で保全時期を決めるか」という信頼性評価まで示すことが重要です。
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Ⅱ-2-2
模範解答1 専門科目 材料強度信頼性 専門事項 機械材料E 作成日 2024.9.23
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1.調査・検討すべき事項
工業炉送風機のインペラを対象とする。
(1)劣化モードの把握
過去の保全履歴や損傷事例を調査し、高温環境による腐食減肉、粉塵衝突による羽根の偏摩耗、それに伴うアンバランス振動、高サイクル運転による疲労き裂を主要な劣化モードとして特定する。
(2)負荷条件と運転環境の調査
運転履歴より累積回転数を調査し、疲労限度との関係を検討する。また、操業条件に基づき温度や粉塵濃度などの環境因子を調査し、これらと劣化進行度合いとの相関を把握する。
(3)劣化兆候の検出可能性の評価
非破壊検査法の有効性を調査する。超音波厚さ計により腐食減肉量を測定し、浸透探傷試験によりき裂を確認する。さらに振動解析によりアンバランス成分を抽出し偏摩耗兆候を検出する。これにより検出感度・再現性・オンライン化の観点から判定精度を検証する。
2.業務を進める手順、留意点・工夫点
(1)状態管理項目の制定
劣化モードに応じ減肉量(mm)・振動速度(mm/s)・き裂長さ(mm)を状態管理項目に制定する。板厚測定には羽根曲面や摩耗部に密着し超音波減衰による誤検出を抑制できるソフトプローブを採用する。連続走査により厚さ分布をマッピングし摩耗進行を高精度可視化する。
(2)状態監視量のしきい値設定:
FEAにより羽根根元の応力集中を評価し疲労限度に対応する限界減肉量をしきい値とする。振動監視では初期値を基準とし、アンバランス理論から質量偏差に比例し振動速度が増大するため注意値・限界値を定める。これにより破壊までの十分なリードタイムを確保する。
(3)寿命予測と保全計画:
時系列データを用いて摩耗進展モデルを回帰解析で構築し、ワイブル分布から板厚残存寿命を推定する。減肉分布と強度分布を重ね合わせて破損確率を算出し安全マージンを確保した停止時期を決定することで、交換計画を立案し操業への影響を最小化する。
3.関係者との連携・調整について
(1)保全部門:振動波形位相解析により不釣合位置を特定しウエイト取付角・質量を算出し高精度なバランス修正する。またしきい値超過時は安全確保と停止判断を迅速に実行できるよう連絡支援体制を整備する。
(2)操業部門:稼働率や負荷率の運転データを保全部門に提供し、診断周期最適化に活用する。異常兆候を検知した場合は、負荷低減や計画停止のタイミングを生産計画と調整し予防保全を実行する。
(3)解析部門:実測板厚データをFEAに反映し疲労限度応力や限界板厚を再算定して保全計画へフィードバックし予測精度向上する。さらにV&Vより解析の正確性と実機現象との適合性を確認し解析の信頼性を高める。
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工業炉送風機のインペラを対象に、劣化モード、検査方法、状態監視、寿命予測まで一連の流れで整理できています。対象製品が明確で、実務的な答案です。
劣化モードの整理がよいです
腐食減肉、偏摩耗、アンバランス振動、疲労き裂を挙げ、送風機インペラの実態に合っています。
保全計画への展開が具体的です
超音波厚さ測定、PT、振動解析、FEA、回帰解析、ワイブル分布を用いて、点検から交換判断までつなげられています。
しきい値設定の根拠を少し整理しましょう
限界減肉量、振動速度、き裂長さを設定する際は、メーカー基準、規格、過去実績、FEA結果を組み合わせて決めると書くと説得力が増します。
関係者調整に安全判断を明確に入れましょう
操業継続と安全停止が対立する場面が想定されます。限界値超過時は技術者判断で停止を優先する、という考えを加えると答案が締まります。
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Ⅱ-2-2
模範解答2 専門科目 材料強度信頼性 専門事項 計測器製造H 作成日 2025.11.10
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(1)調査,検討すべき事項
機械設備と部位:トンネルの天井
①荷重履歴:荷重履歴を調査し、累積疲労予測をする。寿命と現在の時間基準保全の間隔を比較し、安全性と経済性を検討する。そのうえで状態基準保全との比較を実施し,採用する合理性を検討し交換・補修の閾値を決定する。
②破壊様式:過去修理データやFMEAにより,破壊力学の観点からトンネル天井の破壊様式を調査・特定し,それを計測できる診断法を選定する。破壊様式の例として、ボルトの遅れ破壊、コンクリートの亀裂進展を上げる。
③状態基準保全の種類
光ファイバーひずみゲージやAE法.加速度計による振動周波数モニタリングなど、非破壊検査の手法を調査する。そして利点やコストを比較検討する。私は測定の安定性と設置容易性から、光ファイバーひずみゲージを推奨する。亀裂進展を劣化指標として定義し、閾値は試験データを基に安全側で設定する。
(2)業務を進める手順と留意・工夫すべき点
以下では光ファイバーひずみゲージを採用した場合の手順を示す。
①計画:保守を実施する場所、修理基準、設置日時、担当者、効果の評価方法を決定する。
留意点と工夫点:修理基準には実績データとパリス則でのき裂進展速度推定で寿命予測し、保全基準を計画する。
②実行:光ファイバーひずみゲージを設置し運用を開始する。光ファイバーひずみゲージは折れやすいため、Rを大きく取り設置する。
留意点と工夫:ここでは時間基準保全と状態基準保全を併用しMTBFのデータを蓄積し,信頼性の解析に反映する。
③評価改善:時間基準保全と状態基準保全の比較評価を行う。
留意点と工夫:比較評価はMTBF,MTTRと点検コスト,保守コストで評価する。修理基準は,従来検査の打音検査や超音波検査の結果と比較し,閾値の妥当性を検証し、寿命モデルを補正し,安全側に設定する。
(3)効率的,効果的な業務遂行のための連携・調整
①設置作業者:スケジュールはガントチャートで共有し,効率的に情報交換をおこなう。安全・データ品質の観点から、センサー設置手順・配線保護・停止時間を作業者と合意し、受入検査(校正・導通・時刻同期)を共同実施する。
②トンネル管理者:状態基準の初期運用には、時間基準保全との併用を提案する。結果を比較し安全性と信頼性を確保した上で経済合理性を追求する。また運用の観点から、評価指標・閾値と判断責任を管理者と合意し、CBMの意思決定フローを確立する。
状態基準保全への移行について、荷重履歴、破壊様式、診断方法を整理し、光ファイバーひずみゲージを用いた手順まで展開できています。時間基準保全との比較を入れている点も良好です。
保全方式の比較ができています
時間基準保全と状態基準保全を安全性・経済性の両面から比較しようとしており、考え方は適切です。
診断技術が具体的です
光ファイバーひずみゲージ、AE法、加速度計などを挙げ、劣化指標や閾値設定まで考えています。
対象の表現を見直しましょう
「機械設備と部位:トンネルの天井」はやや不自然です。トンネル天井板、吊り金具、アンカーボルトなど、対象部位を明確にするとよいです。
破壊様式と診断法を対応させましょう
ボルト遅れ破壊、コンクリートひび割れ、天井板落下などに対し、それぞれ何を測るのかを整理すると、答案がより分かりやすくなります。
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Ⅲ-1
問題文 地球環境問題への対処として3Rは、天然資源消費量の削減、さらに環境負荷物質排出量の低減、廃棄物の削減が図られることから、環境問題対策において持続可能性の点で優れており、環境問題における重要な取組である。機械設備の中には、構造の複雑さや多様な素材が使用されている場合、リデュース・リユースと比べてリサイクルの効果は限定的になると考えられている。このような機械設備においてリサイクル率を向上させるためには、リサイクルを考慮して機器や設備の開発・設計を行うことは肝要である。
(1) 具体的な機器や設備などを想定して、リサイクルを考慮した開発・設計における技術課題を、技術者としての立場で多面的な観点から3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。
(2) 前問(1)で抽出した課題のうち、材料強度・信頼性分野において最も重要と考える課題を1つあげ、その課題に対する解決策を、専門技術用語を用いて3つ示せ。
(3) 前問(2)で示した解決策を実行した際に生じる懸念事項を挙げ、それに対する対応策を示せ。
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この問題は、リサイクルしやすい機械設備を設計しながら、材料強度・信頼性を維持できるかを問う問題です。単にリサイクル率を高めるのではなく、強度・耐久性・分解性を両立した設計が求められます。
例:材料選定、分解・分別性、耐久性・接合方法など。
リサイクル性だけでなく、分解しやすい設計と機械的信頼性をどう両立するかを、材料強度・接合・寿命設計まで含めて論じることが重要です。
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Ⅲ-1
模範解答 専門科目 材料強度信頼性 専門事項 生産設備設計E 作成日 2025.10.15
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耐食FRP製ヒュームファンを対象に、分解容易設計、再生材設計、LCAまで整理できています。リサイクル性だけでなく、回転体としての強度・安全性まで考えている点は良好です。
課題設定が機械製品らしいです
インペラ構造、FRP材料、リサイクルプロセスを分けており、設計・材料・ライフサイクルの観点が明確です。
解決策に専門性があります
熱可塑性樹脂化、FEA、RTM、X線CT、非破壊検査、振動監視など、技術要素を具体的に使えています。
技術がやや盛り込み過ぎです
CNF、ワイブル、JIS、信頼性指数、RTM、CT、PAUTなどが多く、答案が少し重く見えます。中心は「再生可能材料への転換」「強度保証」「成形品質管理」の3本に絞ると読みやすくなります。
数値条件は慎重に扱いましょう
220℃、Pf≦10⁻⁴、β≧3.7、ボイド率≦1%などは、根拠が必要です。「設計要求に応じて管理値を設定する」とすると安全です。
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Ⅲー2
問題文 化石燃料を中心とした産業構造・社会構造を、水力・風力・太陽光などの再生可能エネルギに転換することをめざしたグリーントランスフォーメーション(GX)が進められている。その中では再生可能エネルギから水素やアンモニアを生成し、それらを化石燃料に代わるエネルギとして活用することが検討されている。このような代替エネルギの活用を実現するために、再生可能エネルギから水素やアンモニアを生成する機器や、これまで化石燃料で稼働していたものを水素やアンモニアで稼働するように変更した機器の、信頼性を担保することが材料強度・信頼性の技術者に求められる。
(1)再生可能エネルギから水素やアンモニアを生成する機器、または、水素やアンモニアで稼働する機器を1つ取り上げ、その技術課題を材料強度・信頼性の技術者として多面的な観点から3つ抽出し、観点を明記したうえで、それぞれの技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題の中で、最も重要と考える技術課題をその理由とともに示し、その技術課題に対する解決策を材料強度・信頼性に関する専門技術用語を用いて具体的に説明せよ。
(3)前問(2)で示した解決策を実行しても新たに生じうる懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
この問題は、GXで利用される水素・アンモニア機器の信頼性を、材料強度・信頼性の観点から確保できるかを問う問題です。単なる機器開発ではなく、新しいエネルギー特有の材料劣化や破壊を考慮した設計・保全が求められます。
例:水素脆化、腐食・応力腐食割れ、疲労強度低下、漏えい防止など。
GXや水素利用を説明するのではなく、水素・アンモニア特有の材料劣化メカニズムを踏まえ、強度・寿命・信頼性を確保する技術提案を行うことが重要です。
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Ⅲー2
模範解答1 専門科目 材料強度信頼性 専門事項 計測器製造H 作成日 2025.11.10
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化石燃料を中心とした産業構造・社会構造を、水力・風力・太陽光などの再生可能エネルギに転換することをめざしたグリーントランスフォーメーション(GX)が進められている。その中では再生可能エネルギから水素やアンモニアを生成し、それらを化石燃料に代わるエネルギとして活用することが検討されている。このような代替エネルギの活用を実現するために、再生可能エネルギから水素やアンモニアを生成する機器や、これまで化石燃料で稼働していたものを水素やアンモニアで稼働するように変更した機器の、信頼性を担保することが材料強度・信頼性の技術者に求められる。
(1)再生可能エネルギから水素やアンモニアを生成する機器、または、水素やアンモニアで稼働する機器を1つ取り上げ、その技術課題を材料強度・信頼性の技術者として多面的な観点から3つ抽出し、観点を明記したうえで、それぞれの技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題の中で、最も重要と考える技術課題をその理由とともに示し、その技術課題に対する解決策を材料強度・信頼性に関する専門技術用語を用いて具体的に説明せよ。
(3)前問(2)で示した解決策(1)水素で稼働する機器の技術的課題
機器:水素自動車の配管系を挙げる。
①水素脆化<材料の観点>
従来の燃料配管を水素用に転用すると、水素は分子量が小さく、金属材料内部に容易に入る。その結果脆化が起きる。脆化の例としてボルトの遅れ破壊がある。脆性破壊は急に進行するため、安全性を確保する上で対策は必須である。
②高圧対策<静的強度の観点>
水素をエネルギとする水素自動車には,水素の貯蔵タンクがある。タンクは高圧であるため、十分な静的強度が必要になる。水素タンクは高圧サイクルによる亀裂進展が問題となるため、材料靭性を高め設計マージンを確保することが課題である。高温環境がある場合、クリープ対策も実施する必要がある。
③振動による疲労破壊対策<動的強度の観点>
走行中には振動や温度変化が発生するため、材料には繰り返し応力が発生する。そのためSN曲線による寿命設計と疲労破壊対策を行う。特に重要なのが配管の接合している溶接部である。溶接部は疲労強度が低下しやすい部位である。原因は、表面の細かい凹凸による応力集中、溶接時に発生する残留引張応力、ミクロな組織の不均一性である。
これらの対策は、アンモニア環境下でも適用でき、対策すべき課題である
(2)最も重要な課題と解決策
最も重要な課題:①水素脆性を挙げる。
理由:水素を扱う上で水素脆化は必ず考慮すべき観点で,安全性低下につながるため、対策は不可欠である。
解決策①:材料の改善
水素脆化自体への耐性を上げるための対策である。
水素脆化に強いオーステナイト系ステンレスやNi基合金を採用する。例えば水素拡散係数の低いsus316Lを使用し粒界脆化を抑制する。また酸洗などの表面処理をした材料は,ベーキングを実施し材料内部から水素を取り除く。留意点として、高張力の材料は水素脆性への耐性が低い可能性があることを挙げる。たとえば、ボルトの場合、強度10.9より12.9のほうが脆化に弱いという事例がある。材料選定とときは、単に静的強度を比較するだけでなく水素耐性も考慮にいれる。
解決策②:引張・ねじり応力の低減
水素脆化が起きたとしても破壊に至らないようにするための対策である。
水素脆化で材料強度が低下したとしても、引張やねじり応力を低減できれば、破壊の可能性を下げられる。
対策として、ショットピーリングによる圧縮残留応力の付与や、ベローズ構造やフィレット半径拡大を採用し応力低減を行う。試作後は水素環境下で試験を行い,破壊靭性値と寿命を実証する。
解決策③:定期点検保守
脆化が起きたとしても、定期的に修繕を行うことで破壊を防ぐ対策である。腐食の事故例として、原発施設の応力腐食割れを挙げる。この事故では応力腐食割れに耐性があるとされるインコネルを添加した金属を使用したが、応力腐食割れが発生した。この事例から、安全性に冗長性を持たせるため、複数の対策を行うことを提案する。
材料の改善だけでなく. 超音波探傷やAE法などの非破壊検査を定期的に行い、水素脆化による微小亀裂を早期に検出する。
(3)懸念事項と対策
懸念事項:長期信頼性データの蓄積
水素自動車の普及には安全性確保が大前提である。長期信頼性は安全性に直結する特性であるが、現状ではデータ蓄積不十分だと考える。データ不足により,微小亀裂が生じ事故につながる恐れがある。
対策:水素環境下での、引張試験、疲労試験、クリーブ試験、衝撃試験、硬さ試験を実施し材料のデータベースを蓄積する。私は,水素環境下で安定して測定できるひずみゲージを業務で扱った経験があり,材料試験の高精度化に貢献できる。
また,微小き裂残存による漏洩事故も考えられるため複数センサ併用や漏洩検知システムによる複合監視を行う。漏洩を早期発見し,FTAの原因調査から劣化モデルを更新し,設計の信頼性を向上させる。以上
を実行しても新たに生じうる懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
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水素自動車の配管系を対象に、水素脆化、静的強度、疲労強度の3課題を整理できています。材料強度・信頼性の観点を軸に、設計・材料・保全まで展開できており、専門性の高い答案です。
課題設定が適切です
水素脆化、内圧、高サイクル疲労はいずれも水素配管で重要な課題であり、材料強度・信頼性の視点が明確です。
解決策に専門技術が使えています
SUS316L、ショットピーニング、AE法、超音波探傷、破壊靭性、FTAなどを適切に用いており、実務的な内容になっています。
水素とアンモニアを分けて整理しましょう
「アンモニア環境下でも適用できる」とありますが、材料劣化機構は異なります。今回は水素自動車を対象に、水素環境に絞って記述すると一貫性が高まります。
懸念事項を解決策と対応させましょう
「長期信頼性データ不足」は重要な視点ですが、解決策で導入した材料や設計変更によって新たに生じるリスク(非破壊検査の検出限界、ショットピーニングの効果低下、センサ故障など)も挙げると、設問への対応がより明確になります。
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Ⅲー2
模範解答2 専門科目 材料強度信頼性 専門事項 機械材料I 作成日 2025.11.20
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1.技術課題の抽出
対象機器:水素自動車用高圧燃料タンク
・衝突荷重に対する安全性の確保
安全性の観点から、水素タンクの衝突荷重に対する信頼性を確保する。
高圧水素貯蔵においては、拡散性・着火性・高圧衝撃による脆性破壊が懸念される。特に衝突時の荷重伝播経路と局所応力集中を制御する設計が課題である。
・水素脆化の抑制
材料強度の観点から、水素脆化を抑制する。
水素侵入による延性低下、割れ進展を抑制する為、拡散係数・トラップサイト密度、熱脱離特性を考慮した材料選定が必要である。
・構造最適化の対応
構造設計の観点から、軽量化と応力集中抑制を両立する。車体全体のトポロジー最適化により部材配置を再構成し、振動共振及び局所応力集中を防止する設計が求められる。
2最重要課題と解決策
最重要課題:安全性の観点から、水素タンクの衝突荷重に対する信頼性を確保する。
理由:高圧水素タンクはエネルギー密度が高く、破損時には甚大な被害が生じる為、材料強度・信頼性技術者として安全確保を最優先すべきである。
解決策:
・CFRP積層補強により、剛性とエネルギー吸収性能を向上させる。マルチスケール解析で繊維配向角を最適化し、微視的特性と巨視的応力分布の整合を図る。
・クラッシャブル構造(クラッシュボックス、ハニカム緩衝材)を導入し、衝突エネルギーを段階的に吸収する。高張力鋼の配置により、キャビン変形を抑制する。
・FEM衝撃解析でひずみ速度依存性を考慮し、実機試験データ(3D-DIC計測)と相互補正することで、解析精度を高める。
3.懸念事項と対策
・懸念事項①:異材接合部の応力集中と水素拡散による破損
対策:破壊力学に基づく損傷許容設計を適用し、限界CTODを取得して、許容欠陥を管理する。
・懸念事項②:CFRP補強による非破壊検査の困難化
対策:フェーズドアレイ超音波法を採用し、多角度入射でCFRP内部およびタンク界面の欠陥検出を実施する。
これにより、設計段階から検査性を考慮した一貫信頼性設計を確立する。
高圧水素タンクを対象に、安全性・材料・構造設計の3つの観点から課題を整理できています。解決策にもCFRP、マルチスケール解析、CTODなど専門用語を適切に取り入れており、材料強度・信頼性らしい答案となっています。
課題設定が的確です。
高圧水素タンクで重要となる衝突安全性、水素脆化、構造最適化を選定しており、題意に沿った課題抽出となっています。
専門性が高いです。
マルチスケール解析、3D-DIC、CTOD、フェーズドアレイ超音波法など、専門技術を具体的に用いており、技術者としての知識が伝わります。
最重要課題の解決策に「信頼性」の視点を加えましょう。
現在は衝突安全設計が中心です。材料強度・信頼性の問題であるため、疲労評価、損傷許容設計、寿命評価などを加えると、より部門らしい答案になります。
懸念事項は解決策との対応を明確にしましょう。
CFRP補強や異材接合を採用したことで新たに生じるリスクとして整理できています。さらに「なぜそのリスクが発生するのか」を一言添えると、論理性がより高まります。
全体として完成度は高く、専門技術を十分に盛り込めています。あとは「材料強度・信頼性」の視点をより前面に出し、強度評価・寿命評価・損傷許容設計へつなげると、さらに説得力のある答案になります。
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問題文 本問は,エネルギーの作り方や使われ方が変化している中で,それらから発生する情報を組合せて効果的に繋ぐネットワークの構築と制御における,顕在化していないエンジニアリング問題(電気電子分野の専門技術者として予感や予測はするものの,公になっていない,又は公にできていないエンジニアリング問題)について問うものである。それらの対応策を早期に広域的に社会実装するための電気電子技術が求められる。下線部のキーワードに基づいて,以下の設問に技術面で解答せよ。
ただし,・エネルギー,ネットワークを特定又は特化した解答は除く ・AIなどの課題解決の支援ツールそのものの解答は求めない
・白書や政策などを引用した解答は含まない こととする。
(1)電気電子部門(全般)の技術者としての立場で,多面的な観点のうち,
①ネットワークを構築するという観点 ②ネットワークを制御するという観点 ③対応策を早期に広域的に社会実装するという観点
の3つの観点から,顕在化していないエンジニアリング問題を顕在化させて対応するうえでの技術課題を1つずつ抽出し,それぞれの技術課題の内容を示せ。(*)
(*)解答の際には必ず観点番号を明記したうえで,その技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ,これを最も重要とした理由を述べよ。その技術課題に対する電気電子分野関連における解決策を3つ,専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(2)で示した解決策の実施において,技術者としての倫理,社会の持続可能性を踏まえて必要な要件を題意に即して述べよ。
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問題文の解説
この問題は何を問うか
この問題は、エネルギー利用が分散化・多様化する中で、電気電子技術者がまだ顕在化していない問題を予測し、ネットワーク構築・制御・社会実装まで技術的に提案できるかを問う問題です。政策論ではなく、電気電子の専門技術で答える必要があります。
書くべき内容
観点は問題文で指定されています。①ネットワーク構築では、異種設備・分散電源・蓄電池・需要側機器を安全に接続する課題を示します。②ネットワーク制御では、需給変動、電圧・周波数変動、保護協調などを安定化する課題を示します。③社会実装では、標準化、相互運用性、サイバーセキュリティ、保守運用性など、広域展開時の課題を示します。
高得点のポイント
AIや政策の話に逃げず、「未顕在の問題」を電気電子技術で予測し、接続・制御・実装の3段階に分けて説明することが重要です。
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Ⅰー1
模範解答 専門科目 電気応用 専門事項 ITS電気機器試験C 作成日 2025.7.23
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1.顕在化させて対応するうえでの技術的課題
①:異種設備を統合するための接続・同期標準の整備
多様な設備が混在する将来を見据え、異種設備間の相互接続性を確保する観点から、通信方式や時刻同期方式のばらつきを抑える仕組みを整備する必要がある。 現状は設備数が限定的で問題は顕在化していないが、分散電源・蓄電池・需要家機器が急増すると、通信遅延や同期ズレが累積し、制御指令の不一致やデータ欠損が発生する潜在リスクが高まる。これを顕在化して対応するためには、接続プロトコルや同期精度の標準化を進める技術整備が課題である。
②:高変動電源に対するリアルタイム制御の安定化
再エネの短周期変動が増える将来を踏まえ、リアルタイム制御の観点から、変動を先読みしつつ安定した制御を行う仕組みを確立する必要がある。 現状は制御負荷が小さいため表面化していないが、多数の設備が同時変動するとネットワーク遅延やローカル制御の偏りにより、周波数逸脱や電力品質の低下が生じ得る。したがって、高速応答と予測性を併せ持つ制御体系の確立が課題である。
③:地域差を縮小し広域に実装できるIoE基盤の整備
エネルギーを面的に管理する将来を見据え、広域社会実装の観点から、地域間で異なる設備仕様・通信方式・保護協調の格差を縮小することが重要となる。 現状は局所対応で運用可能であるが、広域連系が増加すると不統一による連系支障・制御不整合が顕在化する恐れがある。したがって、広域で統一した運用ルールと段階的なIoE実装基盤の整備が課題である。
2.最も重要と考える技術課題とその理由、解決策
最重要課題は、観点②から導かれる「リアルタイム制御の安定化」である。制御が不安定となれば、電力品質・周波数維持・系統安定度に直結し、社会的影響が極めて大きいためである。
解決策
1. MPC(モデル予測制御)と負荷予測の統合
需要・発電の短周期変動を事前に予測し、最適な制御量を計算する。予測誤差を逐次補正し、変動性の高い分散電源にも安定した制御を実現する。
2. エッジコンピューティングによる階層型制御
現場側で高速制御を実行し、広域側は全体最適に集中する。通信遅延の影響を低減し、瞬時変動への応答性を確保する。
3. IEC61850・IEEE1547等の国際標準に基づく同期・保護協調の統一
同期・通信方式・保護協調を標準化し、異種設備間の不整合を抑制することで広域制御の安定性を高める。
3.新たに浮かぶ将来的な懸念事項とその対策
高度な分散制御を導入すると、局所最適が進み過ぎて全体最適と競合する恐れがある。また、設備更新が地域ごとに異なる速度で進むと、通信仕様や保護協調の不一致により制御指令の不整合が生じる可能性がある。さらに、制御機器がネットワーク化されることでサイバー攻撃の侵入経路が増え、安全保障上のリスクが高まる。
対策
階層型協調制御アルゴリズムを採用し、局所最適と全体最適を両立させる。異常波形共有の仕組みを標準化し、広域で統一された保護協調を実現する。また、暗号化通信・ゼロトラスト化・異常検知AIなどを組み合わせ、電力CPSセキュリティを強化する。
4.解決策の実施において必要な要件
1. 技術者倫理
技術士倫理綱領の「社会への貢献」「品質の確保」「誠実」を踏まえ、電力品質と安定供給を最優先に設計判断する。設備更新や制御方式の改訂時には、リスク説明を行いながら、安全側となる仕様の改善提案を主体的に行う。また、関係事業者に対して保護協調や通信仕様の見直しを求め、合理的な運用に導くことが求められる。
2. 社会の持続可能性
SDGs7(エネルギー)、9(産業基盤)、13(気候変動)に基づき、再エネ統合と設備LCA低減を両立する設計とする。地域格差が生じないよう、設備仕様の統一や更新計画の助言を行い、広域ネットワークの長寿命化・効率化に貢献することが必要である。
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講評
IoEによる分散電源・蓄電池・需要家機器の統合について、接続標準、リアルタイム制御、広域実装の3課題を整理できています。将来に問題が顕在化する前に技術課題として捉えている点が良好です。
評価できるところ
課題設定が先を見据えています。 現時点では限定的な問題でも、再エネや分散設備が増えた際に通信遅延、同期ズレ、制御不整合が生じるという見通しが示せています。
解決策に専門性があります。 MPC、エッジコンピューティング、IEC61850、IEEE1547などを用いて、リアルタイム制御の安定化を具体的に説明できています。
リスク対応も実務的です。 局所最適と全体最適の競合、地域差、サイバー攻撃など、IoE化で生じる将来リスクを適切に挙げられています。
改善ポイント
対象システムを少し具体化しましょう。 配電系統、マイクログリッド、需要家群制御など、対象を明示すると答案全体がより分かりやすくなります。
標準化の位置付けを整理するとよいです。 IEC61850・IEEE1547は重要ですが、問2では最重要課題であるリアルタイム制御との関係を一言補うと、解決策の一貫性がさらに高まります。
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Ⅰー2
問題文 本問は、エンジニアリング業務を取り巻く既存のサプライチェーンの脆弱性に対して、将来に向けてどのようにサプライチェーンを再形成し、迅速に実現するか、について問うものである。下線部のキーワードに基づいて、以下の設問に技術面で解答せよ。ただし、
・サプライチェーンを特定又は特化した解答は除く
・AIなどの課題解決の支援ツールそのものの解答は求めない
・白書や政策などの引用した解答は含まない こととする。
(1)電気電子部門(全般)の技術者としての立場で、多面的な観点のうち、
①業務を取り巻くサプライチェーンの脆弱性の観点
②業務を取り巻くサプライチェーンの再形成の観点
③業務を取り巻くサプライチェーンの実現性の観点
の3つの観点から、題意に即してエンジニアとして深掘りした技術課題を1つずつ抽出し、それぞれの技術課題の内容を示せ。(*)
(*)解答の際には必ず観点番号を明記したうえで、その技術課題を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。その技術課題に対する電気電子分野関連における解決策を3つ、専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術用語を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(2)で示した解決策の実施において、技術者としての倫理、社会持続可能性を踏まえて必要な要件を題意に即して述べよ。
問題文の解説
この問題は何を問うか
この問題は、サプライチェーンの脆弱性を踏まえ、電気電子技術により安定したサプライチェーンを再構築・実装するための技術提案を問う問題です。調達や経営の話ではなく、電気電子システムの設計・運用の観点から課題を抽出し、技術的な解決策を示すことが求められます。
書くべき内容
問題文で指定された3つの観点に沿って整理します。①脆弱性では、部品供給停止、単一障害点、情報共有不足などを課題とします。②再形成では、標準化、相互運用性、分散化、冗長化などの技術を用いた再構築策を示します。③実現性では、既存設備との互換性、段階的導入、保守性など、社会実装に向けた課題を整理します。最重要課題については、専門技術用語を用いた複数の解決策を示し、導入後に生じる新たなリスクと対策、さらに技術者倫理・持続可能性まで述べます。
高得点のポイント
サプライチェーンそのものを論じるのではなく、電気電子技術によって脆弱性を低減し、再構築・社会実装する技術提案として論じることが重要です。
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Ⅰ-2
模範解答 専門科目 情報通信 専門事項 無線設備の計画試験A 作成日 2025.7.21
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無線設備の計画試験(1)サプライチェーンに関する技術課題
① 供給源を多元化し調達リスクを低減
業務を取り巻くサプライチェーンの脆弱性の観点から、特定ベンダーへの依存を回避し、供給源を多元化することで調達リスクを低減する。
電気通信設備の構築において、一社のベンダーに過度に依存すると、国際情勢の変化や紛争、関税措置等により調達が滞った場合、設備構築そのものが停止し、日本の通信インフラに重大な影響を及ぼすおそれがある。特に近年は海外ベンダーへの依存度が高まっており、安定供給の観点からも供給源の分散が本質的な技術課題である。
② 技術力を客観的に評価し持続可能な取引関係構築
業務を取り巻くサプライチェーンの再形成の観点から、新規ベンダーの技術力や品質管理体制を客観的に評価し、持続可能な取引関係を構築する。
サプライチェーン再形成に伴い取引先を見直す際、コストのみを重視すると、十分な技術力や品質管理能力を有しないベンダーを選定するリスクがある。また、製造や検査を外部に委託する体制の場合、品質の把握が困難となる。安定した通信品質を確保するため、技術力を客観的に評価し、継続的に管理することが重要である。
③ 組織的に再構築を実行できる体制を整備
業務を取り巻くサプライチェーンの実現性の観点から、リスク分析に基づき、組織全体で再構築を実行できる体制を整備する。
供給源の多元化や取引先の見直しには、調達、設計、運用など複数部門にまたがる対応が必要となる。個別対応にとどまらず、現状リスクや将来的な影響を整理したうえで、組織として意思決定し実行できる体制を整えることが、本質的な技術課題である。
(2)最も重要な技術課題と理由、および解決策
前問(1)の③組織的に再構築を実行できる体制を整備を最も重要な技術課題と考える。
その理由
供給源の多元化や新規ベンダーの技術力評価といった方針を定めても、それを実行する体制や意思決定プロセスが組織内に整備されていなければ、サプライチェーンの再形成は実現しない。特に電気通信設備の構築は、調達・設計・試験・運用が密接に関係しており、部分最適の対応では全体としてのリスク低減につながらない。このため、組織横断で実行できる体制を構築することが最も重要である。
解決策
① サプライチェーンリスク評価の体系化
調達先、製造工程、物流、廃棄に至るまでの工程を洗い出し、供給停止リスク、価格変動リスク、品質リスクを定量的に評価する。これにより、見直すべき工程や優先順位を明確化する。
② 段階的導入計画の策定
全体を一度に変更するのではなく、影響範囲の限定された設備やエリアから段階的に再形成を進める計画を立てる。これにより、通信品質への影響を抑えつつ、実効性を検証しながら展開する。
③ 情報共有基盤の整備
調達・設計・運用部門間で情報を共有できる管理基盤を整備し、サプライチェーン再形成の進捗、コスト、環境負荷を可視化することで、組織としての意思決定を迅速化する。
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(3)将来的な懸念事項とその対策
将来的な懸念事項
海外ベンダーを含む複数企業との取引が増加し、為替変動や国際情勢の影響を受けやすくなる。特に為替変動による価格上昇は、設備投資計画や運用コストに大きな影響を及ぼすおそれがある。
その対策
達先の地域分散と契約条件の工夫が有効である。国内外の複数ベンダーと取引関係を構築することで、一部の取引に支障が生じても代替調達を可能とする。長期契約や価格調整条項で、為替変動リスクを抑制する。さらに、複数ベンダー間の競争環境を維持することで、価格、納期、品質のバランスを確保する。
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講評
サプライチェーンの脆弱性、再形成、実現性という問題文の3つの観点に沿って課題を整理できています。電気通信設備の特性を踏まえ、調達から運用まで組織横断で捉えており、全体として論理性の高い答案です。
評価できるところ
問題文の要求に忠実です。 「脆弱性」「再形成」「実現性」の各観点に対応した課題設定となっており、設問意図を正確に押さえています。
最重要課題の選定理由に説得力があります。 技術的な対策だけでは再形成は実現せず、組織横断の実行体制が必要であることを明確に説明できています。
解決策が実務的です。 リスク評価、段階的導入、情報共有基盤の整備と、実際のプロジェクトでも実施可能な内容で構成されており、実現性の高い提案となっています。
改善ポイント
解決策に通信分野の専門技術を加えるとさらに良くなります。 例えば、オープンRAN、標準インタフェース、共通仕様化など、電気通信分野ならではの技術を盛り込むと専門性が一層高まります。
問3は技術的リスクをもう一歩深めましょう。 為替変動は経営リスクの要素が強いため、複数ベンダー化による品質ばらつきや相互接続性の低下、保守体制の複雑化など、技術面の懸念を挙げると技術士答案としてより完成度が高くなります。
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問題文 パワーデバイスに用いる半導体材料の物性として,①ワイドバンドギャップ,②高い絶縁破壊電界,③高いキャリア移動度,④高い熱伝導率が求められる。これらの特徴を有するSi以外のパワーデバイス用化合物半導体材料を3つ挙げよ。そのうえで、パワーデバイスに上記4つの物性が求められる理由を各項目につき1つ以上述べよ。さらに、パワーデバイスとしてはスイッチング時のオン状態抵抗が低いことが重要となるが、これを満たすために必要な物性パラメータを説明せよ。
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問題文の解説
この問題は何を問うか
この問題は、パワーデバイスに必要な半導体材料の物性と、その物性がデバイス性能にどのように影響するかを理解しているかを問う問題です。単なる材料名や物性の暗記ではなく、物性と電力変換性能を関連付けて説明することが求められます。
書くべき内容
まず、Si以外のパワーデバイス用化合物半導体材料(SiC、GaN、Ga₂O₃など)を3つ挙げます。次に、ワイドバンドギャップ、高い絶縁破壊電界、高いキャリア移動度、高い熱伝導率が、それぞれ高耐圧化、高速スイッチング、低損失化、放熱性向上に必要な理由を説明します。最後に、オン状態抵抗を低減するために重要な物性パラメータ(キャリア移動度、キャリア濃度など)を説明します。
高得点のポイント
物性を列挙するだけでなく、「物性→デバイス性能→省エネルギー・高効率化」という関係を整理して説明することが重要です。
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Ⅱー1-3
模範解答 専門科目 電気応用 専門事項 試験評価C 作成日 2025.7.21
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講評
代表的なパワーデバイス用化合物半導体材料を正しく挙げ、それぞれの物性とオン抵抗との関係も整理できています。物性同士の関係性まで踏み込んで説明できており、専門性の高い答案です。
評価できるところ
材料選定が適切です。 SiC、GaN、ダイヤモンドという代表的なワイドバンドギャップ半導体を挙げており、出題要求を満たしています。
物性とデバイス性能の関係を理解しています。 ワイドバンドギャップ、高絶縁破壊電界、キャリア移動度、熱伝導率が、それぞれオン抵抗や耐圧、高速動作、放熱性にどのように寄与するかを簡潔に説明できています。
オン抵抗に影響するパラメータも整理できています。 キャリア移動度、ドーピング濃度、ドリフト層厚さ、臨界電界を挙げており、デバイス設計の観点まで踏み込めています。
改善ポイント
設問に対応する理由をもう少し直接書きましょう。 「高耐圧化」「高速スイッチング」「低損失化」「高温動作」など、パワーデバイスに求められる性能を先に示してから物性との関係を書くと、設問への対応がより明確になります。
オン抵抗の説明は一歩踏み込みましょう。 「Eg・Ecが支配的」と結論を書くより、「高い絶縁破壊電界によりドリフト層を薄く、高濃度化できるためオン抵抗が低下する」と因果関係まで示すと、より完成度の高い答案になります。
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Ⅱー2-1
問題文 あなたは、工場における設備管理の責任者として、工場の地球温暖化対策を進めるため、電気の使用に伴う温室効果ガス排出量の削減に取り組むことになった。
(1)温室効果ガス排出量の削減に向けて、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順を、その際に留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
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問題文の解説
この問題は何を問うか
この問題は、工場の電力使用に伴う温室効果ガス排出量を削減するための設備管理を、責任者として計画・実施できるかを問う問題です。省エネ設備を導入することではなく、現状把握から改善、効果検証までを体系的に進める能力が求められます。
書くべき内容
まず、電力使用量、設備ごとのエネルギー消費、運転状況、負荷特性、温室効果ガス排出量などを調査・分析します。次に、現状分析、改善案の立案、効果予測、設備改修、運用改善、効果検証の手順を示し、省エネ効果と生産性を両立するための留意点を述べます。最後に、生産部門、設備保全部門、経営層、電力会社、設備メーカーなどと、省エネ目標や設備更新計画について調整する方策を示します。
高得点のポイント
省エネ設備を列挙するのではなく、「現状把握→改善→効果検証」のPDCAを意識し、温室効果ガス排出量の削減を設備管理として実現するプロセスを示すことが重要です。
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Ⅱー2-1
模範解答 専門科目 電気応用 専門事項 試験評価C 作成日 2025.7.21
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1-1. 電力使用実態の把握
工場全体の電力使用状況を把握するため、主幹・系統別の電力量、負荷曲線、需要ピーク要因を測定する。空調・モータ・加熱設備など主要負荷ごとに効率、稼働率、力率を調査し、削減可能量を定量化する。
1-2. 削減対策候補の技術比較
高効率モータ化、インバータ導入、デマンド制御、FEMS、省エネ空調、太陽光・蓄電池導入など複数案を比較し、CO₂削減量、初期費用、保全費、LCC、回収年数を総合的に評価する。
1-3. 導入に伴う技術条件・制約の確認
導入候補設備について、短絡容量、保護協調、安全規格、設置スペース、停電リスクなど工場特有の技術条件を調査する。また、契約電力・力率割引・時間帯別料金など電力契約の仕組みを整理し、導入効果が料金体系に与える影響も検討する。
(2)業務手順と留意点・工夫
2-1. 測定・分析と最適案の選定
現状測定とデータ分析を行い、削減ポテンシャルの高い設備を抽出する。複数案の費用対効果とCO₂削減量を評価し、工場の制約や導入可能性を踏まえて最適案を選定する。
2-2. 設計段階での技術的留意点
設計段階では、短絡電流、電圧階級、保護協調、安全規格、接続容量などを確認し、導入後の保全容易性も考慮する。また、工場設備への適用に当たり、導入位置、負荷の集約度、保守動線などの実務的条件も踏まえて仕様を決める。
2-3. 導入時の工夫と効果検証
工場の生産計画と工程衝突を避けるため、設備停止時間を最小化する導入スケジュールを立案する。太陽光・蓄電池は一括導入ではなく試験導入により性能を確認し、系統保護や逆潮流の影響も評価する。導入後はFEMSと連携し、デマンド値、負荷変動、力率、稼働率などのデータを継続的に分析し、PDCAにより改善策を立案する。
(3)関係者との調整方策
3-1. 生産部門との工程調整
生産部門とは、設備停止が最小となる導入スケジュールを提案し、生産ロスのない形で合意形成を図る。特に、繁忙時期や段取り替えのタイミングを把握し、工場運営に支障を与えない工程調整を行う。
3-2. 外部業者・電力会社との技術調整
設計・施工業者には、安全基準、保守性、保護協調など必要な技術要件を明確に示し、仕様の妥当性や工程短縮の改善を依頼する。電力会社とは、契約電力や力率割引制度、逆潮流制御の条件などを踏まえて設備導入後の最適な契約へ調整し、導入効果を最大化する。
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講評
工場の電力削減について、現状把握、対策比較、技術制約、導入後の効果検証まで一連の流れで整理できています。単なる省エネ提案ではなく、工場運用や電力契約まで踏まえている点が良好です。
評価できるところ
調査項目が具体的です。 主幹・系統別電力量、負荷曲線、需要ピーク、力率、稼働率など、削減余地を定量化するための項目を押さえています。
対策案の比較軸が明確です。 CO₂削減量、初期費用、LCC、回収年数を比較しており、技術面と経済面の両方から判断できています。
導入時の実務条件に配慮できています。 保護協調、短絡容量、停電リスク、生産工程との調整まで書けており、実現性のある答案です。
改善ポイント
最重要となる削減対象を少し明確にしましょう。 空調、モータ、加熱設備などのうち、測定結果からどこを重点対策とするかを示すと、答案に方向性が出ます。
効果検証の指標を補いましょう。 導入前後の原単位、ピーク電力、CO₂排出量を比較すると、改善効果をより明確に示せます。
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Ⅲー2
問題文 ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン太陽電池と比較して低温で形成可能なため、軽量なプラスチックを基材にでき、フィルム型として湾曲して使うことができる特徴を持つ。そのため、従来は難しかった様々な場所に設置できる次世代太陽電池として注目を集めている。これを踏まえ、電気応用分野の技術者として、以下の問いに答えよ。
(1)上記のようなペロブスカイト太陽電池を導入する際の課題について、技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。また、その課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行したうえで期待される波及効果と、それに伴って新たに予期される懸念事項及びその対応策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
問題文の解説
この問題は何を問うか
この問題は、ペロブスカイト太陽電池の特徴を生かしながら、安全性・信頼性・実用性を確保して社会実装するための技術提案を問う問題です。太陽電池の原理ではなく、新しい電気応用技術を実用化する際の課題と解決策を示すことが求められます。
書くべき内容
まず、ペロブスカイト太陽電池の導入に当たって、耐久性・発電性能・安全性・施工性・系統連系などの観点から技術課題を抽出します。次に、最重要課題を選び、封止技術、劣化抑制、高効率電力変換、最大電力点追従(MPPT)、系統連系保護などの専門技術を用いて複数の解決策を示します。最後に、導入による再生可能エネルギー利用拡大などの波及効果と、長期信頼性やリサイクルなど新たな懸念事項、その対応策を述べます。
高得点のポイント
ペロブスカイト太陽電池の特徴を説明するだけでなく、「従来設置できなかった場所への適用」という利点を踏まえ、その実用化を阻む課題を電気応用技術で解決する視点を示すことが重要です。
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Ⅲー2
模範解答 専門科目 電気応用 専門事項 試験評価C 作成日 2025.7.21
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1.ペロブスカイト太陽電池の導入における技術課題
ペロブスカイト太陽電池(以下、PSC)は、軽量で湾曲設置が可能という特性を持つ一方、材料特性や封止構造が従来のシリコン太陽電池と大きく異なるため、導入時には固有の技術課題が生じる。電気応用分野の技術者として、多面的な視点から三つの課題を整理する。
(1)材料劣化メカニズムの観点から、湿度・酸素侵入による分解反応を抑制すること
PSCは有機無機ハイブリッド構造で、湿度・酸素・熱に晒されると結晶相崩壊やイオンマイグレーションが進み、発電効率が急激に低下する。フィルム型は外気の影響を受けやすく、バリア性の低い封止では短期間で劣化が進む。材料劣化を抑える封止技術が不可欠である。
(2)電力品質確保の観点から、モジュール間の出力ばらつきを抑制すること
PSCは温度係数や光照射履歴による電圧変動が大きく、アレイ構成時に出力不均衡が生じやすい。ばらつきが大きいまま系統連系すると、MPPT動作の不安定化や局所的ホットスポット発生につながり、電力品質を損なう。特性差を抑える製造プロセス管理と電力制御技術が課題となる。
(3)フィルム型実装の観点から、設置界面の機械的信頼性を確保すること
柔軟性の高さは利点である一方、風荷重・熱膨張差・面外変形による界面剥離を引き起こしやすい。外壁・曲面など多様な場所に設置する際、接着層やバックシートの強度・密着性を確保し、外装材と力学的適合性を持たせる実装設計が求められる。
2.最も重要な課題とその解決策
最重要課題は、**「材料劣化メカニズムの観点から、湿度・酸素侵入による分解反応を抑制すること」**である。PSCの性能低下の主要因は封止不良であり、長期信頼性が確保されなければ、設置性や電力品質の改善も十分に機能しないためである。
解決策として、次の三点を挙げる。
(1)多層バリア封止技術の高度化
無機バリア層(Al₂O₃, SiNₓ 等)と有機層を多層積層して水蒸気透過率(WVTR)を10⁻⁵ g/m²/day以下に抑える。ALD成膜により粒界を封鎖して湿気侵入を極小化する。
(2)イオンマイグレーション抑制材料の導入
Sn・Brドーピングや界面パッシベーションにより、イオン移動と相分離を抑制し、長期の結晶安定性を高める。これにより電圧低下の進行を抑え、モジュール寿命を延ばす。
(3)劣化予測モデルの構築と設計最適化
加速劣化試験とアレニウスモデルから、温湿度変動と劣化速度の関係を定式化し、地域特性に応じた封止・バックシート構造を最適化する。これにより、環境条件に適合した設計が可能になる。
3.波及効果と懸念事項および対応策
(1)波及効果
封止技術・材料安定化技術が確立すれば、PSCの軽量・曲面対応という利点が生かされ、BIPV用途、モビリティ電源、インフラ監視端末など新たな応用市場が拡大する。また、薄膜材料技術は光学フィルム、透明電極、ナノバリア材など隣接分野への技術波及を生み、再生可能エネルギーの普及と地域マイクログリッド形成にも寄与する。
(2)懸念事項
一方で、薄膜型特有の劣化ばらつきによりアレイ内で出力不均衡が発生し、ホットスポットが生じる恐れがある。また、鉛系材料を使用するため、破損時の鉛溶出や廃棄時の環境負荷が懸念される。さらに、フィルム型設置箇所の拡大により、外装材との熱膨張差による剥離事故も予期される。
(3)対応策
ホットスポット防止として、MPPT制御の高速化やバイパス回路設計を最適化する。環境負荷については、封止層多層化により飛散を抑え、リサイクル工程を構築する。界面剥離対策としては、FEM解析による応力予測と低膨張バックシート採用により界面信頼性を向上させる。
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講評
ペロブスカイト太陽電池について、材料劣化、電力品質、機械的信頼性の3点から課題を整理できています。PSC特有の弱点を踏まえ、長期信頼性を最重要課題とした点は妥当です。
評価できるところ
PSC固有の課題を的確に捉えています。 湿度・酸素・熱による結晶劣化、イオンマイグレーション、封止不良など、シリコン太陽電池とは異なる技術課題をよく整理できています。
解決策に専門性があります。 多層バリア封止、WVTR、ALD成膜、界面パッシベーション、アレニウスモデルなど、材料・信頼性評価の技術を具体的に使えています。
波及効果と懸念事項も広く見ています。 BIPV、モビリティ電源、マイクログリッドへの展開に加え、鉛溶出や界面剥離まで触れており、実用化を意識した答案です。
改善ポイント
数値条件は慎重に扱いましょう。 WVTR 10⁻⁵ g/m²/dayなどは、用途や要求寿命で変わるため、「要求寿命に応じて設定する」と添えると安全です。
電気応用分野らしさを補うとさらに良いです。 材料面の説明が充実しているため、PCS、MPPT、系統連系、絶縁・安全保護などを少し加えると、電気分野の答案としてさらに締まります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、電気電子分野において、複雑なシステムを体系的に整理し、課題から解決策、将来的な懸念事項まで一貫した論理で構成できる力があります。最新の制御技術や国際標準を適切に取り入れ、技術的な裏付けを持って提案できる点は大きな強みです。
今後は、高度な技術を示すだけでなく、それを採用する理由や現場への適用イメージをより具体的に説明することが課題です。技術的な正確性と実務での実現性をバランスよく表現できるようになると、提案内容の説得力がさらに高まります。
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Ⅱー2-2
問題文 ある情報通信事業者において、日常の社会生活を支えるネットワークサービスを提供するうえで、ロバストな(強靱な)ネットワークオペレーションが求められる。これまで以上に、あらゆる状況を想定したネットワークの強靱性を高めるためのプロジェクト責任者として、参画することになった。ロバストなネットワークオペレーションに向けた運用改善業務を推進するに当たり、下記の内容について記述せよ。
(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効果的、効率的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
問題文の解説
この問題は何を問うか
この問題は、情報通信ネットワークを障害や災害、異常トラフィックなどに強い「ロバストな運用」へ改善できるかを問う問題です。設備増強ではなく、運用面からネットワークの継続性・信頼性を向上させる業務の進め方を示すことが求められます。
書くべき内容
まず、ネットワーク構成、障害履歴、監視体制、冗長構成、運用手順、復旧体制などを調査・分析します。次に、現状分析、課題抽出、改善策の立案・実装、運用試験、効果検証の手順を示し、障害の予防と迅速な復旧を意識した留意点を述べます。最後に、運用部門、保守部門、設備ベンダ、サービス提供部門などと、障害対応手順や運用ルール、役割分担について調整する方策を示します。
高得点のポイント
ネットワーク設備を強化することではなく、「障害が発生してもサービスを継続できる運用体制」を構築することを目的として、監視・冗長化・障害対応・復旧までを一連の運用改善として説明することが重要です。
講評
ロバストなネットワークオペレーションについて、現状調査、リスク評価、冗長化設計、段階導入、運用定着まで一連の流れで整理できています。可用性や復旧時間などの非機能要件に着目している点も良好です。
評価できるところ
調査・検討事項が実務的です。 回線経路、拠点配置、電源系、制御系、単一障害点を確認する流れは、ネットワークの信頼性向上に直結しています。
業務手順が分かりやすいです。 リスクの優先順位付け、フェイルオーバー試験、段階導入、切り戻し手順まで書けており、実運用を意識できています。
関係者調整も適切です。 設計部門、運用部門、ベンダーの責任分界を明確にし、手順書や訓練で運用へ定着させる点は評価できます。
改善ポイント
監視・自動化の視点を少し加えましょう。 障害検知、ログ分析、アラート基準、AIOpsなどを入れると、ネットワークオペレーションらしさがさらに高まります。
評価指標を明確にするとよいです。 可用性、RTO、RPO、切替時間、パケットロス率などを用いると、改善効果を定量的に示しやすくなります。
問題文の解説
この問題は何を問うか
この問題は、情報通信ネットワークの非機能要件の不整合がなぜ発生するのか、その本質的な原因を明らかにし、技術的に解決できるかを問う問題です。非機能要件を列挙するのではなく、設計・構築・運用のどこに本質的な問題があるのかを深掘りすることが求められます。
書くべき内容
まず、性能、可用性、保守性など多面的な観点から、非機能要件の不整合を引き起こす本質的な技術課題を抽出します。次に、最重要課題を選び、要件管理、トラフィック解析、ネットワークシミュレーション、冗長設計、SLA設計など、情報通信分野の専門技術を用いた具体的な解決策を示します。最後に、解決策による信頼性向上などの波及効果と、新たなシステム複雑化や運用負荷増大などの懸念、その対応策を述べます。
高得点のポイント
「帯域不足」「可用性不足」といった現象を書くのではなく、それらを生み出す要件定義・設計・検証プロセスの不整合を本質的な技術課題として捉え、具体的な情報通信技術で解決策を示すことが重要です。
講評
非機能要件を軸に、設計、更改、運用を一体で整理できています。ネットワークオペレーションにおいて、可用性や復旧時間を定量化し、関係者間で合意形成する重要性を明確に示せている点が良好です。
評価できるところ
課題設定が本質的です。 通信断や輻輳の原因を、単なる設備不足ではなく、非機能要件の曖昧さや関係者間の認識差として捉えている点は評価できます。
解決策が実務的です。 SLA設定、トラフィックシミュレーション、運用KPI・手順書への反映という流れが明確で、設計から運用までつながっています。
波及効果も適切です。 判断基準の統一により、非常時の対応力向上や安定したサービス提供につながることを説明できています。
改善ポイント
指標を少し具体化するとよいです。 可用性、MTTR、遅延、許容負荷に加え、切替時間、パケットロス率、輻輳時の優先通信などを示すと、より技術的になります。
懸念事項をもう少し広げましょう。 工数増加に加え、過度なSLA設定によるコスト増や、シミュレーション条件と実運用の乖離も挙げると、答案に深みが出ます。
答案作成者の強みと今後の課題
この方は、電気・情報通信分野において、ネットワークの強靱性、非機能要件、サプライチェーンリスクを、設計・運用・組織体制の面から整理できる力があります。特に、可用性、復旧時間、段階的導入、関係者間の合意形成を重視している点は、大きな強みです。
今後は、方針や手順を示すだけでなく、どの水準を満たせばよいのかという定量的な判断基準をさらに明確にすることが課題です。SLA、復旧時間、許容停止時間、トラフィック負荷などを具体化できるようになると、情報通信技術者としての設計判断がより伝わる答案になります。
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問題文 定置型蓄電池に使用される鉛蓄電池、リチウムイオン電池について、それぞれの概要及び利点と欠点を述べよ。また、これらの蓄電池の運用上の留意事項を説明せよ。
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問題文の解説
この問題は何を問うか
この問題は、定置型蓄電池として用いられる鉛蓄電池とリチウムイオン電池の特徴を比較し、それぞれの適用性と運用上の留意点を説明できるかを問う問題です。単なる特徴の暗記ではなく、電池の特性と運用管理を関連付けて説明することが求められます。
書くべき内容
まず、鉛蓄電池とリチウムイオン電池について、それぞれの構造や用途の概要を説明します。次に、利点と欠点を比較し、コスト、エネルギー密度、寿命、保守性、安全性などを整理します。最後に、鉛蓄電池では補水や劣化管理、リチウムイオン電池ではBMSによる充放電制御や熱暴走対策など、運用上の留意事項を説明します。
高得点のポイント
電池の特徴を列挙するだけでなく、「なぜその電池が定置用途に適しているのか」「その特性に応じてどのような運用管理が必要か」を関連付けて説明することが重要です。
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Ⅱー1ー1
模範解答 専門科目 電気設備 専門事項 施設電気設備M 作成日 2026.6.1
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1.鉛蓄電池
鉛蓄電池は鉛を電極として用い、電解液として希硫酸を使用する二次電池である。用途は非常用発電設備や再エネ出力変動抑制用蓄電池である。
利点は、価格が安価で大容量であり、BESSとしての実績が豊富である。また、自己放電が少なくフロート充電方式であるため、長期待機信頼性が高い。
欠点は、エネルギー密度が低いため重量が大きく、設置スペースを要することである。また、長期間の過放電・過充電によるサルフェーション現象が発生する。
運用上の留意事項としては、サルフェーション現象による内部抵抗試験、電解液量確認、端子部腐食診断の定期点検を行う。
2.リチウムイオン電池
リチウムイオン電池はリチウムイオンの移動により充放電を行う二次電池である。電気自動車だけでなく定置型蓄電池としても利用されている。
利点は、高エネルギー密度であるため、小型・軽量であり、効率が高い。そのため、急速充電が可能なことである。
欠点は、過放電や過充電、高温環境下で熱暴走が生じ、発火リスクが高まることである。
運用上の留意事項としては、熱暴走防止のために、BMSによる温度、セル電圧、充電状態を常時監視し、過充電、過放電による事故を未然に防止する。
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講評
鉛蓄電池とリチウムイオン電池について、原理、用途、利点、欠点、運用上の留意事項を簡潔に整理できています。両者の特徴を比較しやすく、答案として分かりやすい構成です。
評価できるところ
用途と特徴の対応が明確です。 鉛蓄電池は非常用・長期待機用途、リチウムイオン電池は小型・高効率用途として整理できています。
運用上の留意点が具体的です。 鉛蓄電池ではサルフェーション、電解液量、端子腐食、リチウムイオン電池ではBMSによる電圧・温度・SOC監視を挙げており、実務的です。
改善ポイント
鉛蓄電池の表現を少し整えましょう。 「フロート充電方式であるため」ではなく、「フロート充電で運用できるため」とすると自然です。
リチウムイオン電池の留意点を少し補いましょう。 熱暴走対策に加え、セルバランス管理、冷却、換気、消火設備まで触れると、安全対策としてさらに充実します。
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Ⅱー2-2
問題文 再生可能エネルギー発電設備は製品ライフサイクルを考慮して設計されているが、災害により想定外の損傷や被害を受けることがある。山間部の溜池に隣接したメガソーラー設備がある。台風で溜池が氾濫し太陽光パネルの半数が冠水・損壊した。近隣住民より光と音がするとの苦情が寄せられたためメガソーラー設備の撤去更新を計画した。自分がメガソーラーの設備責任者として下記に答えよ。
(1)メガソーラー設備の撤去工事にむけて事前の調査、検討すべき事項と内容について説明せよ。
(2)メガソーラー設備の撤去工事の立案に必要な手順を示し、それぞれの項目ごとに技術的に留意すべき点と工夫点を述べよ。
(3)メガソーラー設備の撤去工事を効率的、効果的に進めるために、地域住民を含む関係者との調整方策について説明せよ。
問題文の解説
この問題は何を問うか
この問題は、災害で被災したメガソーラー設備を、安全かつ環境に配慮して撤去・更新できるかを問う問題です。撤去工事ではなく、感電や火災などの二次災害を防止しながら、設備更新まで含めて計画できる能力が求められます。
書くべき内容
まず、設備の損傷状況、残留電圧、浸水・絶縁劣化、土壌・水質への影響、廃棄物処理方法などを調査・検討します。次に、安全確保、設備停止、撤去、廃棄・リサイクル、更新設備の設計・施工という手順を示し、感電防止、環境保全、作業効率向上のための留意点を述べます。最後に、地域住民、自治体、電力会社、施工業者、廃棄物処理業者などと、安全対策や工事計画、苦情対応について調整する方策を示します。
高得点のポイント
単なる撤去工事ではなく、「災害復旧」「二次災害防止」「設備更新」の3つを一体として捉え、安全性・環境保全・地域合意を踏まえた計画を示すことが重要です。
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Ⅱー2ー2
模範解答 専門科目 電気設備 専門事項 施設電気設備M 作成日 2026.6.13
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(1)調査、検討すべき事項
①メガソーラー設備健全性調査・検討
冠水・損壊した太陽光パネル、PCS、架台、ケーブルについて、絶縁劣化、浸水状況、端子腐食、保護動作装置異常を調査する。その調査結果に基づき、撤去範囲の評価基準を設定し、撤去範囲と既設流用範囲を区分化する。
②光害原因設備調査・検討
住民への被害影響度、パネル反射強度、傾斜角度、架台変形を調査する。その調査結果に基づき、光害原因設備を特定し、撤去優先順位を明確化する。
③騒音発生設備調査・検討
PCS 冷却ファン、変圧器磁歪、キュービクルによる異音、太陽光設備運転状態を調査する。その欠課に基づき、騒音発生設備を特定し、撤去・更新可否や運転制御方式を検討する。
(2)業務手順と技術的留意点・工夫点
①損傷設備の撤去範囲決定
冠水・土砂流入した太陽光パネル、PCS、端子接続箱、ケーブルを対象に健全性評価を実施し、撤去範囲を決定する。冠水設備は絶縁低下・地絡・火災リスクがあるため、安全側に撤去判定する。これを防ぐため、絶縁抵抗試験、部分放電測定等を組み合わせ、撤去基準を設定する。
②系統切り離し手順の策定
高圧受変電設備開放、PCS停止、ストリング単位による切り離しを実施する。太陽光設備はPCS停止後でも日射による発電が継続し、直流電圧が残留することに留意する。このため、切り離し順序、残流電圧測定、作業禁止区域の明確化による感電リスクを低減する。
③苦情原因設備を含む更新・再発防止計画
冠水・損壊設備及び光害・騒音原因設備を整理し、更新機器仕様を定める。苦情原因設備の特定が不十分な場合、光害や騒音問題が継続することに留意する。そのため、反射光解析、騒音周波数分析、住民被害状況を照合し、低反射型パネル、低騒音機器の採用により再発防止を図る。
(3)関係者との調整方策
①発注者には、絶縁劣化診断結果、冠水設備の残存リスク及び判定基準を提示する。さらに、過小撤去による漏電・火災リスクを説明し、撤去範囲を調整する。
②電力会社とは、逆潮流防止、保護協調、段階的切離し手順及び復旧方策を協議する。これにより、系統保護に支障のない撤去手順を確定し、作業遅延防止に努める。
③地域住民には、反射光・騒音の被害状況、発生場所及び発生頻度を確認し、解析・測定結果と照合することで原因設備を特定する。再発防止の更新方針を策定・説明し、測定結果・原因設備・撤去更新時期を説明し、苦情低減と工事安全を両立する。
講評
冠水・損壊したメガソーラー設備について、健全性確認、光害・騒音原因の特定、撤去・更新計画まで整理できています。安全確保と住民苦情対応を同時に扱っている点が良好です。
評価できるところ
調査項目が具体的です。 パネル、PCS、架台、ケーブルの絶縁劣化、浸水、端子腐食など、冠水後に確認すべき項目を押さえられています。
安全側の判断ができています。 冠水設備を絶縁低下・地絡・火災リスクと結び付け、撤去範囲を安全側に判定する考え方は適切です。
住民対応まで踏み込めています。 反射光解析、騒音周波数分析、被害状況の確認を用いて、原因設備を特定し再発防止につなげている点は実務的です。
改善ポイント
誤記を整えましょう。 「その欠課」は「その結果」、「残流電圧」は「残留電圧」と直すとよいです。
撤去作業時の安全管理を少し補いましょう。 直流高電圧、感電、火災、破損パネルの飛散・有害物質への対応として、作業手順書、絶縁保護具、ロックアウト・タグアウトを加えると完成度が上がります。
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Ⅲー2
問題文 Ⅲ-2 少子高齢化による人口減少とともに、都市部への一極集中による地方の過疎化が進んでおり、過疎地の社会インフラの維持が困難になってきている。このような状況を踏まえ、電気設備分野の技術者として、以下の問いに答えよ。
(1) 過疎化が進む地域に適した電力エネルギー供給として、多面的な観点から、電気設備に関わる技術課題を3つ抽出し、観点を明記したうえで、それぞれの技術課題の内容を示せ。
(2) 前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3) 前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
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問題文の解説
この問題は何を問うか
この問題は、過疎地域において、限られた需要や維持管理体制の中でも安定した電力供給を実現するための技術提案を問う問題です。設備を維持することではなく、持続可能な電力供給システムを構築する能力が求められます。
書くべき内容
まず、電力供給の安定性、設備保全、経済性、防災性などの観点から技術課題を抽出します。次に、最重要課題を選び、分散型電源、蓄電池、マイクログリッド、遠隔監視、需要側制御などの専門技術を用いた複数の解決策を示します。最後に、解決策によるレジリエンス向上などの効果と、設備更新費用、保守人材不足、サイバーセキュリティなど新たな懸念事項、その対応策を述べます。
高得点のポイント
人口減少を課題とするのではなく、「少ない需要・少ない維持管理人員でも安定供給を継続できる電力設備」を実現する技術提案としてまとめることが重要です。
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Ⅲー2
模範解答 専門科目 電気設備 専門事項 施設電気設備M 作成日 2026.6.27
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講評
過疎地域に適した電力供給について、再エネ・蓄電池・マイクログリッドを中心に、安定供給、維持管理、設備利用率の観点から整理できています。電気設備分野の専門用語を多く用い、地域分散型電源の方向性を明確に示せている良い答案です。
評価できるところ
課題設定が的確です。 電圧・周波数安定、設備劣化把握、DER協調運用という3課題は、過疎地域の電力供給において重要な論点を押さえています。
解決策に専門性があります。 グリッドフォーミングインバータ、BESS、マイクログリッド、VPP、MPC、AI需要予測などを使い、再エネ変動への対応策を具体的に示せています。
将来的な懸念も実務的です。 DER制御の複雑化、BESS更新時期の集中を挙げ、デジタルツイン、BMS、SOH推定、CBMにより対応する流れは説得力があります。
改善ポイント
過疎地域らしさを少し補いましょう。 医療施設、避難所、通信設備など重要負荷への優先供給や、長距離配電線の保守負担軽減まで触れると、地域課題との対応がさらに明確になります。
問2の解決策を少し整理するとよいです。 BESS、マイクログリッド、VPPは相互に関連するため、主対策・補助対策の関係を示すと、答案全体の一貫性が高まります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、電気設備分野において、蓄電池、再生可能エネルギー、系統制御、設備保全まで幅広い専門知識を有し、専門技術用語を適切に用いながら体系的に整理できる力があります。設備単体ではなく、電力システム全体の安定運用を意識して答案を構成できる点は、大きな強みです。
今後は、専門技術を示すだけでなく、「なぜその技術を採用するのか」「どのような課題を解決するのか」という技術的判断をより明確に表現することが課題です。技術の目的と効果が採点者に伝わるようになると、専門性の高さがより一層評価される答案になります。
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Ⅲー1 カーボンニュートラルや人的リソース不足といった社会的要請への対応策の1っとして,建築物に対するテジタルトランスフォーメーション(DX)への関心が高くなっている。またDXに付随する技術開発は加速度的に進んでおり,建築物への技術導入に際して,従前以上に効果的かつ適切な判断が求められている。このような状況を踏まえて,衛生工学の技術者として,以下の問いに答えよ。
( 1 )技術者としての立場で多面的な観点から, DX推進における課題を3点抽出し,それぞれの観点と課題の内容を述べよ。
( 2 )前問( 1 )で抽出した課題のうち,最も重要と考えられる課題を1っ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
( 3 )前問( 2 )で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
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Ⅱー1-1
問題文 可変恒温恒湿室の概要,確認すべき設計条件,それに基づく建築仕様・空調システムの計画上の留意点について述べよ。
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この問題は、可変恒温恒湿室を要求性能どおりに実現するための計画能力を問う問題です。単に空調方式を説明するのではなく、要求性能から建築仕様・空調システムへ設計条件を展開できるかがポイントです。
可変恒温恒湿室の概要
温度・湿度を広い範囲で高精度に制御し、試験や研究に用いる施設であることを説明します。
確認すべき設計条件
温湿度範囲・精度、負荷条件、供試体、発熱量、気密性、運転条件などを整理します。
計画上の留意点
建築仕様では断熱・気密・防湿、空調では熱源、加湿・除湿方式、気流分布、制御性、省エネルギーなどを検討します。
設備計画だけでなく、建築と空調を一体で考え、「要求される温湿度性能から逆算して設計条件を決定する」という視点を示すことが重要です。
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Ⅱー1-1
模範解答 専門科目 建築部環境衛生管理 専門事項 空気調和X 作成日 2026.4.6
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1.可変恒温恒湿室の概要
試験や製品評価等を目的として、温湿度を任意に設定し、所定の精度で再現・維持・変更できる環境試験室である。特に複数条件への迅速な追従性と高い再現性を確保する点に特徴があり、精密な温湿度制御空調設備を備える。
2.確認すべき設計条件
1)設定温湿度範囲及び要求制御精度
2)内部発熱・発湿量及び外気負荷
3)温湿度条件変更頻度、可変時の許容応答時間
4)建築断熱・気密仕様
3.建築仕様・空調システムの計画上の留意点
1)負荷変動抑制のために、建築的に高断熱・高気密仕様とし、外皮負荷と室内空気の漏洩を低減化する。
2)要求湿度精度を満たすために、潜熱処理を専用除湿(低露点コイルやデシカント)で露点制御し、顕熱処理を潜熱と分離し、再熱方式で温度制御する。
3)温湿度制御性の均一性と安定性向上のために、多点温湿度センサーを部屋の要所に設置し、平均値と偏差を算出しフィードバック制御により、冷水・温水弁、再熱・加湿量の操作量を決めて温湿度を制御する。
4)局所排気装置が有る場合、室圧と温湿度の変化を抑制するために、排気量と給気量の差を一定に維持するフロートラッキング制御を採用し、排気量変動時でも室圧差を維持し安定した環境を確保する。
可変恒温恒湿室の目的、設計条件、建築・空調上の留意点が簡潔に整理されています。特に、断熱・気密、除湿、再熱、多点センサー制御まで書けており、空調設備としての理解が伝わります。
要点が明確です
温湿度範囲、制御精度、内部負荷、応答時間など、設計時に確認すべき条件を押さえられています。
空調制御の専門性があります
潜熱・顕熱分離、露点制御、再熱制御、フィードバック制御など、技術的な説明ができています。
可変時の制御方法をもう少し具体化しましょう
条件変更時には、オーバーシュート防止、PID制御、風量・熱源容量の余裕なども重要です。
建築仕様を少し補うとよいです
断熱・気密に加え、防湿層、熱橋対策、扉のエアロック、結露防止まで触れると、答案の完成度が上がります。
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Ⅱー2-1
問題文 地方中核都市に計画される述べ床面積30,000㎡、地下1階、地上10階の市新庁舎において、空気調和設備設計担当者として参画することとなった。ZEB Readyを目指した省エネルギー性及び、災害時にインフラが途絶した際の事業継続性、帰宅困難者受け入れが求められる。下記の内容について記述せよ。なお、施設内容は下表のとおりとする。
(1)ZEB Readyを目指した空気調和設備を計画する際の調査・検討すべき点を3つ以上挙げ、その内容について具体的に説明せよ
(2)災害時の事業継続性、帰宅困難者受入れを計画するまでの手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ
(3)業務を効率的、効果的に進めるための内外の関係者との調整方策について述べよ
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この問題は、ZEB Readyと災害対応を両立した市庁舎の空気調和設備を計画できるかを問う問題です。省エネルギーだけでなく、災害時にも庁舎機能を維持し、帰宅困難者を受け入れられる空調計画が求められます。
書くべき中心
ZEB ReadyとBCPは別々ではなく、省エネルギーと災害時の機能維持を両立させる空調システムとして計画することが重要です。
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Ⅱー2-1
模範解答 専門科目 建築部環境衛生管理 専門事項 空気調和X 作成日 2026.5.16
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(1)ZEB Readyを計画する際の調査・検討すべき点
1)平常時と災害時の負荷特性調査と換気量の検討
平常時は、時間帯別の外皮負荷、外気負荷、内部負荷を調査し、熱負荷計算にて空調容量を算出し用途別に整理しゾーニングする。災害時は、防災拠点と帰宅困難者受入れ室を優先ゾーンとし、滞在者数・時間、許容温湿度、必要換気量を設計条件として整理する。
2)エネルギー消費量削減の検討
外皮断熱、日射遮蔽、LOW-E窓ガラス等の建築的手法で負荷を低減し、高効率熱源、全熱交換器、VAV・VWV、インバータ等で空調動力を削減する。更にBEMSでエネルギー使用を最適化し、平常時の一次エネルギー消費量を削減し、災害時の空調・換気負荷を低減化する。
3) 電源計画と災害時負荷制限制御の検討
平常時の省エネと災害時の確実性を確保するため、常用と災害時(非常/保安/UPS等)の容量と供給先を盤レベルで整理する。災害時は、設定温度緩和等のデマンド制御を採用し、電力超過による全系停止を防ぐ。
(2)災害時の事業継続・帰宅困難者受入れの計画手順
1)ハザードと設備脆弱性の抽出と分析
停電・地震・水害、断水、複合災害を想定し、設備機能停止・低下範囲を抽出し分析する。1階機械室は浸水リスクによる機器の嵩上げ、排水経路確保の浸水対策や、停電時の電源回路切替等の冗長化対策をとる。
2)優先ゾーンの設定と必要換気量・空調負荷の算出
管理諸室等の防災拠点、帰宅困難者受入れ室を優先ゾーンとし、滞在者数と滞在時間と許容温湿度より換気量と空調負荷を算出する。人が滞在する居室は、電CO2濃度換気量制御、許容温度緩和、全熱交換器採用にて、外気負荷と電力量を抑制し室内空気質を確保する。
3)非常用電力量を超過させない制御手法の設計
BAS電力監視にて、災害時電力量を非常用電力容量内で制御する。優先ゾーンの運転を維持した上で、設定温度緩和、CO2濃度換気量制御、間欠運転、非優先ゾーン停止を段階的に行う。また機器同時起動による電流値上昇抑制のため、機器毎の起動順序制御を採用する。
(3)業務を進めるための関係者との調整方策
1)建築設計者の調整
外皮断熱、日射遮蔽、浸水を防ぐ機械室構成、防災拠点機能を確保する耐震基準を確認し、一次エネルギー消費量50%以上削減と災害時機能維持を両立させる。
2)電気設計者との調整
必要電力と起動時電流を提示し、非常時の電源容量と優先順位を調整する。そして、起動順序制御、デマンド制御の採用も協議し、電源の過大設計を防ぐ。
3)保守管理者との調整
停電時、浸水時、断水時等の災害毎の災害モード切替条件と運転方式を協議する。警報設定、手動切替、復旧時操作方法等を操作マニュアルに記し、定期的な切替訓練制度を計画し、災害時の確実な運用を整える。
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ZEB Readyと災害時運用を、平常時の省エネ計画と非常時の機能維持に分けて整理できています。特に、優先ゾーン、非常用電源容量、負荷制限制御を結び付けている点は良好です。
設計条件の整理が具体的です
外皮負荷、外気負荷、内部負荷、滞在者数、必要換気量、非常用電力容量など、検討すべき条件を押さえられています。
災害時の運用が技術的に書けています
CO2濃度換気量制御、設定温度緩和、間欠運転、起動順序制御など、電力容量内で成立させる工夫が具体的です。
ZEB Readyの判定軸を前面に出しましょう
一次エネルギー消費量50%以上削減を、問1・問2の判断基準としてもう少し明確に出すとよいです。
関係者調整は判断材料を添えましょう
建築・電気・保守管理者に対し、負荷計算結果、非常時負荷表、優先順位表を示して合意形成する、と書くと調整方策としてさらに強くなります。
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Ⅲー1
問題文 カーボンニュートラルや人的リソース不足といった社会的要請への対応策の1っとして,建築物に対するテジタルトランスフォーメーション(DX)への関心が高くなっている。またDXに付随する技術開発は加速度的に進んでおり,建築物への技術導入に際して,従前以上に効果的かつ適切な判断が求められている。このような状況を踏まえて,衛生工学の技術者として,以下の問いに答えよ。
( 1 )技術者としての立場で多面的な観点から, DX推進における課題を3点抽出し,それぞれの観点と課題の内容を述べよ。
( 2 )前問( 1 )で抽出した課題のうち,最も重要と考えられる課題を1っ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
( 3 )前問( 2 )で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
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この問題は、建築設備分野でDXを導入し、省エネや人手不足対策を実現するための技術提案を問う問題です。単なるデジタル化ではなく、設備の運用・維持管理まで含めてDXをどう活用するかがポイントです。
例:設備データの活用、システム連携、維持管理の高度化、サイバーセキュリティなど。
DX技術を列挙するだけでなく、建築設備のライフサイクル全体でデータを活用し、省エネ・維持管理・人手不足対策を実現する仕組みまで示すことが重要です。
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Ⅲー1
模範解答 専門科目 建築部環境衛生管理 専門事項 空気調和X 作成日 2026.6.15
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(1) DX推進における課題と内容
(1)-1空調システム予測型最適運転の構築
制御の高度化の観点から、将来空調負荷を精度高く推定する仕組みを構築する。外気・室内温湿度、在室人数、エネルギー使用量等の実測値をBEMSで取得し、断熱性能等の建物属性を反映した熱負荷解析モデルで負荷を予測する。さらに制御目的(エネルギー・運転コスト・CO2排出量最小化等)と制約条件(機器発停回数、供給温度範囲、部分負荷効率等)を設定し、熱源、空調、搬送機器の稼働台数・出力をモデル予測制御で最適化する。
(1)-2自律型災害時運用システムの構築
災害時の要員不足解消の観点から、停電、浸水、断水、機器故障発生時でも、建物機能を維持できる自律型災害時運用システムを構築する。電力低下、水位上昇、CO2濃度上昇等のBEMSで取得する通常時と乖離した設備データを基に、非常時の切替条件や優先度を明確化した運用ロジックを整備する。例えば、CO2濃度が1000ppm超にて、換気量を増加、1500ppm超で非常モードへ移行する。優先度は、人命保護区域→重要機能室→一般室とする。
(1)-3自律型アセットマネジメントの構築
維持管理の省人化の観点から、最適な保全計画の構築を自律化する。熱源、空調機、ポンプ等の状態を監視し、冷凍機COPや送風機・ポンプ効率の変動値が設定した変動幅を超過した場合に、劣化傾向と故障予兆を判断する。故障リスクによるシステムへの影響度やLCCを踏まえた保全優先度を設定し、長期保全計画を最適化する。
(2)最も重要と考えられる課題とその複数の解決策
最重要課題に、空調システム予測型最適運転の構築を挙げる。省エネと少人数運用を両立する上で最も効果が高いと考えるからである。
(2)-1高精度な熱負荷把握のためのセンシング基盤整備
空間内の負荷分布を精緻に捉えるため、温湿度センサやCO2濃度センサを多点配置する。また冷凍機や空調機等の性能把握のため流量センサや周波数フィードバックを各機器に装備し、BEMSでデータを一元的に収集する。そのデータを基に、熱負荷推定モデルを用いた解析にて、時間変動特性を定量的に示した空調負荷を分析する。
(2)-2空調システムの最適運転制御
予測された負荷分析に基づき、熱負荷変動に精度高く制御するために、冷凍機出力や冷温水流量、給気温度、送風機出力、外気導入量等の制御パラメーターに反映する。冷凍機やポンプ、送風機等の全体のエネルギー消費を最小化するため、部分負荷効率の高い機器を優先稼働する設定や、機器COP、機器動力、冷水ΔT等を評価指標とした総合効率による最適運転制御を行う。外気導入量や流量・周波数の先行制御にて、熱源・空調・搬送設備全体運転を最適化する。
(2)-3運転実績を反映した予測モデルの継続更新
予測モデル誤差は、学習データの偏り、外気条件の急変、機器の冷媒量の減少や熱交換器の汚れ等の設備特性の経時変化により生じる。BEMSで取得する外気・室内温湿度、在室人数、エネルギー使用量等の実績値と予測値を差分監視し、予測モデルの係数・重み・閾値等のパラメーターを微調整する。以上より持続的に季節変動や利用形態の変化にも精度高い予測モデル構築を行う。
(3) 解決策に共通して生じうるリスクとそれへの対策
(3)-1設備機器早期劣化・寿命短縮
熱源機の台数制御、ポンプ・送風機のVWV/VAV制御、蓄電池等の充放電制御が緻密となり、機器の発停回数、回転数変動が増加し、軸や軸受けの摩耗や、インバータの劣化が進行し、設備寿命が短縮するリスクがある。
対策として、振動・温度・電流値センサより機器の運転状況をデータ化し、そのデータを用いた予知保全の導入や、機器発停回数の上限設定で稼働負荷を平準化し、設備寿命を延伸する。
(3)-2センサ異常による誤制御
センサ異常は、経年劣化や粉塵等の付着による応答遅れ、不適切な設置位置、外乱影響、通信不良等による制御不良やエネルギー浪費が挙げられる。
対策として、センサ校正の定期実施や清掃及び計画的なセンサ更新にて測定精度を維持する。異常値は、実測値の経年的な変化や変化速度の急変値より定量的に判断する。異常値の確認時は、手動運転への切替が出来るように、異常時モードを構築し、誤制御による制御精度の低下を防ぐ。
空調DXについて、予測型最適運転、災害時運用、アセットマネジメントを整理できています。BEMSデータを用いて、空調負荷予測から制御、保全までつなげている点は良好です。
課題設定が実務的です
省エネ、災害時運用、省人化保全という3課題は、建築設備のDXとしてバランスがあります。
解決策が具体的です
多点センサ、モデル予測制御、部分負荷効率、COP、冷水ΔT、予測モデル更新など、専門性のある記述ができています。
最重要課題の理由を少し強めましょう
「効果が高い」だけでなく、一次エネルギー削減、運転員不足、快適性維持に同時に効くため、と書くと説得力が増します。
リスクをもう一つ加えるとよいです
センサ異常、機器劣化は良い視点です。加えて、サイバー攻撃やBEMS停止時の手動バックアップを入れると、DX特有のリスク対応として答案が締まります。
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答案作成者の強みと今後の課題
衛生・建築環境分野において、空調設備を省エネルギー、災害時運用、維持管理の観点から総合的に整理できる力があります。特に、負荷特性、電源計画、BEMS制御を結び付け、建物機能を継続させる視点を持っている点は大きな強みです。
今後は、一般的な設備対策にとどまらず、条件設定、技術的判断、成立させる範囲をより明確に示すことが課題です。判断基準を答案の中で具体化できるようになると、技術者としての考え方が採点者により伝わりやすくなるでしょう。
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Ⅰー1
問題文 環境基本法第15条の規定に基づく第六次環境基本計画が、令和6年(2024)年5月に閣議決定された。人類の活動は環境収容力を超過しつつあり、その結果、自らの存続基盤への脅威となるような、気候変動、生物多様性の損失、汚染という地球の3つの危機に直面するに至っている。この危機を踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)環境部門における技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、環境部門の専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生ずる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要なる要件・留意事項を題意に即して述べよ。
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この問題は、第六次環境基本計画が示す「気候変動・生物多様性・汚染」の3つの危機に対し、環境技術者としてどのような技術提案を行うかを問う問題です。個別の環境問題ではなく、持続可能な社会の実現に向けた総合的な環境施策を示すことが求められます。
書くべき中心
例:脱炭素、自然共生、循環経済、化学物質管理、気候変動適応など。
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(1)多面的な観点からの技術課題抽出とその内容
①負荷転嫁を防ぐ横断評価技術の整備
統合的最適化の観点から、温室効果ガス、生態系影響、汚染負荷、資源消費をLCA・多基準評価により同一枠組みで定量比較する。これにより、個別施策の負荷転嫁を把握し、三危機全体で最適となる施策を選定する評価技術を整備する。
②実測・モデル統合による予測検証技術の高度化
予測・検証可能性確保の観点から、常時監視データ、発生源情報、GIS、環境モデルを統合し、大気・水域・生態系への影響と施策効果を時空間的に予測する。実測値と解析結果を照合し、予測精度と施策効果を検証できる解析技術を高度化する。
③地域差を反映した施策選定手法の構築
地域適応性確保の観点から、気象、地形、土地利用、産業構造、人口分布等をGISと地域環境データで重ね合わせる。地域ごとの影響感受性と施策効果を比較し、地域条件に適合した施策を選定する設計・評価手法を構築する。
(2)最重要技術課題と複数の解決策
最重要課題は、温室効果ガス、生態系影響、汚染負荷を多基準評価により統合比較し、施策間の負荷転嫁を抑えた優先施策を選定することである。
①評価指標群の設定
LCAにより、温室効果ガス排出量、生息地改変、化学物質排出量、資源消費量等を評価指標群とする。各指標は単位・時空間範囲が異なるため、正規化し、AHP等の多基準意思決定分析により重み付けを設定する。感度分析により順位変動を確認し、偏りを抑えた優先施策を抽出する。
②統合データ基盤による影響予測
常時監視データ、排出インベントリ、植生、土地利用、河川流域等のGIS情報を統合し、メッシュ別に環境負荷を整理する。大気拡散モデル、流域負荷解析、ハビタット評価により、発生源寄与、累積影響、施策導入後の変化を予測する。空間統計解析によりホットスポットや高感受性地域を可視化し、重点対策地域の選定に反映する。
③不確実性を踏まえた順応的管理
将来の気象、土地利用、社会活動の変化を複数シナリオで設定し、感度分析により評価結果の変動幅と支配要因を把握する。施策後はモニタリングでモデル検証を行い、管理閾値を超過する場合は評価条件と施策内容を見直す。これにより、予測誤差や将来変動を前提とした順応的管理を実施する。
(3)波及効果と懸念事項への対応
波及効果は、多基準評価により温室効果ガス、生態系影響、汚染負荷を同じ判断体系で比較でき、脱炭素効果のみを優先した負荷転嫁を抑制できる点である。三危機全体で優先順位付けでき、政策判断の妥当性が高まる。また、統合データ基盤と影響予測により、都市計画、防災、エネルギー政策等と負荷情報を共有する。GIS解析により、高負荷地域や高感受性地域を抽出し、重点対策地域の設定、投資の優先配分、説明責任向上につながる。
一方、多基準評価では重み付け条件により施策順位が変動し、統合データ基盤ではデータ精度や更新頻度の差により評価が偏る懸念がある。また、環境モデルでは入力条件や境界条件により影響範囲を過大・過小評価するおそれがある。評価条件、データ出典、モデル条件、重み付け根拠を公開し、感度分析、不確実性解析、実測値照合、QA/QC、第三者レビュー、順応的管理により妥当性を確保する。
(4)必要となる要件・留意事項
技術者倫理として、多基準評価・環境モデルの前提条件、評価指標、重み付け根拠、不確実性範囲、解析限界を明示し、説明可能性、再現性、トレーサビリティを確保する。評価結果は条件設定により変動するため、実測値でモデル検証を行い、変動幅を含めて住民・事業者へ説明し、施策選定に反映する。
持続可能性の観点から、データ基盤、環境モデル、モニタリング体制を継続更新し、気候変動、土地利用、人口動態、産業構造の変化を評価へ反映する。施策効果を定期的に再評価し、順応的管理により地域条件の変化に対応し、三危機対策を長期的に機能させる。
ナレッジ
答案では本文の内容だけでなく、採点者が一読して構成を理解できる見出しを付けることが重要だと学んだ。特に問1では、観点と課題を本文中に埋め込むだけでは、何を課題として挙げたのかが伝わりにくい。見出しには「負荷転嫁を防ぐ横断評価技術の整備」のように、課題の方向性と技術者としての行為を短く示す必要がある。見出しで読み手を誘導し、本文で評価・予測・選定などの具体的技術内容を説明することで、答案全体の見通しと説得力が高まると理解した。
三危機を個別に扱わず、LCA、多基準評価、GIS、環境モデルを用いて統合的に評価しようとしている点が良好です。技術課題、解決策、リスク、倫理・持続可能性まで一貫して整理されています。
課題設定が高度で一貫しています
負荷転嫁防止、予測検証、地域適応性という3課題は、環境部門らしい多面的な整理になっています。
解決策に専門性があります
LCA、AHP、感度分析、GIS、拡散モデル、流域負荷解析、順応的管理など、技術キーワードを施策選定に結び付けられています。
少し抽象度が高いです
内容はよいですが、対象施策の例が少ないため、やや理論的に見えます。再エネ導入、森林保全、流域水質対策、都市緑化など、具体例を1つ入れると説得力が増します。
問2の最重要課題を短く明示しましょう
「負荷転嫁を防ぐ横断評価技術の整備」を最重要課題として再掲すると、問1との対応がさらに分かりやすくなります。
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問題文 騒音に係る環境基準(道路に面する地域の環境基準)、航空機騒音に係る環境基準、及び新幹線鉄道騒音に係る環境基準それぞれについて、対象騒音による違いを交えて、評価量の算出方法及び環境基準の達成状況の把握方法を述べよ。
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この問題は、道路騒音・航空機騒音・新幹線鉄道騒音について、それぞれの騒音特性に応じた評価方法を比較して説明できるかを問う問題です。重要なのは、「評価量の算出方法」と「環境基準の達成状況の把握方法」を明確に区別して記述することです。
評価指標名を挙げるだけでは不十分です。「騒音特性→評価量の算出→環境基準との比較」という流れで整理し、各騒音で評価方法が異なる理由まで説明することが重要です。
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1.道路騒音
(1)評価量の算出方法:道路騒音は交通流による連続音であり総量評価指標のLAeqを用いる。昼(6~22時)・夜(22~6時)のLAeqを平常交通日に算出し、交通量・走行条件が平年並みであることを確認する。必要に応じ最大騒音レベル等も併せて把握する。
(2)達成状況の把握方法:算出した昼・夜のLAeqを環境基準(昼70・夜65dB)と比較し、特異日を避けた代表性ある値で適否を判定する。
2.航空機騒音
(1)評価量の算出方法:航空機騒音は1回音の大きさと発着回数・時間帯に左右されるため、各飛行EPNLに回数・時間帯補正を加えたWECPNLで1日代表値を算出する。
(2)達成状況の把握方法:南風運用日や季節差により運航が偏ると代表性を欠くため、平常運航日に得たWECPNLを環境基準75dBと照合し適否を判定する。
3.新幹線騒音
(1)評価量の算出方法:新幹線騒音は短時間高レベル通過音であり、生活時間帯の感受性差を反映するLdenを用いる。測定は軌道中心約25m・高さ条件など基準位置で行い、反射の影響を排除した値を用いる。
(2)達成状況の把握方法:得られたLdenを環境基準70dBと比較し、測定位置のずれによる誤差を排除し代表性ある条件で適否を判定する。
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騒音源ごとの評価指標の違いを意識して整理できており、評価量と環境基準との比較という流れも分かりやすくまとめられています。答案全体も簡潔で読みやすい構成です。
騒音源ごとの特徴を踏まえて整理できています。
道路、航空機、新幹線で評価方法が異なる理由まで説明しており、単なる暗記ではなく、評価指標の考え方を理解できています。
達成状況の判定方法も記載できています。
環境基準との比較だけでなく、代表性のある測定条件に配慮している点は評価できます。
評価指標・基準値の確認が必要です。
航空機騒音や新幹線騒音については、現在の制度で用いられる評価指標や環境基準との整合を再確認してください。制度改正が行われているため、WECPNLやLdenの扱いは最新の基準に合わせる必要があります。
「算出」と「測定」を区別するとさらに良くなります。
LAeqやLdenなどは、実際には測定データから算出する評価量です。「現地で測定した騒音データから評価量を算出する」という流れを意識すると、より正確な記述になります。
全体としてはよく整理されています。あとは最新の評価指標・環境基準を正確に記載することで、完成度はさらに高まります。
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Ⅱー2-1
問題文 A市が毎年実施している環境調査について、あなたの所属する機関Bとは別の機関Cが継続受注していたが、本年度はあなたの所属する機関Bが受注した。環境調査・測定を実施したところ、A市の担当者から、本年度の測定値が過年度の傾向とは異なっているとの指摘を受け、その原因について説明を求められた。なお、本年度も含めこの6年間は、社会経済的には大きな変化はなかった。
当該調査の担当責任者として原因を説明する資料を作成するに当たり、以下の問いに答えよ。なお、解答に当たっては、指摘を受けた測定項目(騒音の場合には対象音源)を1つ想定し、「大気、水質、土壌、騒音」のうち選択した分野とともに最初に明記すること。
(1) 調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2) 調査、検討を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3) 業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
この問題は、過年度と異なる測定結果が得られた原因を、技術的根拠に基づいて究明・説明できるかを問う問題です。測定値が違った原因を「環境が変わった」と決めつけるのではなく、測定方法、測定条件、解析方法、環境条件などを体系的に検証する能力が求められます。
書くべき中心
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Ⅱー2-1
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分野:大気(二酸化窒素)
1.調査・検討事項
①広域外的要因
年平均二酸化窒素は季節構成と風向・低風速頻度に強く左右され、排出が同等でも年度差が生じ得る。よって最優先で気象(風向・風速・安定度)と拡散状況を整理し、風向別濃度と風向頻度で年度差が再現できるか確認する。再現できれば主因を「気象・拡散」と確定する。
②局所外的要因
①で残差が残る場合に限り、交通量・工事等の局所排出条件を過年度比較する。時間帯別交通量と濃度の相関、平日/休日の差で寄与の有無を判定する。寄与が乏しければ局所排出を主要因から除外し、追加調査を不要と判断する。
③測定・評価健全性
①・②でも残差が残る場合のみ、測定機関変更による疑念を排除する。測定原理・共存ガス干渉、ゼロ/スパン履歴、消耗品交換、欠測/除外・補完等の処理条件を記録で照合し、系統誤差を否定して測定起因を主要因外と確定し、再点検・再測定を不要とする。
2.業務遂行手順
①比較条件統一
算出・除外等の条件差のまま比較すると原因を誤認し手戻りとなる。先に評価条件を統一して前提を固定し、以降の検討を一回で収束させる。
②外的要因の絞込み
影響範囲の大きい広域→局所の順に検討し、説明可能範囲を早期に確定する。この順で主因を早期に確定し、測定側検証や再測定を原則不要として業務を収束させる。不要な追加調査や関係者照会も抑制し、機器点検・再測定の要否を早期に判定する。
③健全性確認の限定
残差がある場合に限り確認を実施し、確認範囲を最小化して原因を確定する。全件実施は避け、再点検・再測定の要否をここで確定する。
④総合位置付け
年平均は外乱・欠測補完の影響を受けるため、中央値・四分位範囲を併用し過度な強調を避けて結論を一本化する(主因=気象・拡散、他要因は主要因外)。主因確定後は除外理由を明記し、検討範囲を収束させる。
3.関係者調整
①A市
主因を気象・拡散と確定し、局所排出・測定起因を主要因外とした根拠を提示する。追加調査・再測定を不要と指導し、行政判断を収束させる。
②測定機器メーカー
干渉特性が問題ないこと、ゼロ/スパン履歴で感度ドリフトが無いことを確認させ、機器起因を否定して再点検を不要と確定する。
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二酸化窒素濃度の年度差について、広域気象、局所排出、測定健全性の順に原因を絞り込む構成が明確です。原因究明型の答案として、検討順序と判断の流れがよく整理されています。
優先順位が明確です
広域要因から確認し、残差がある場合に局所要因、測定要因へ進む流れは合理的です。
業務を収束させる意識があります
追加調査や再測定を無条件に広げず、判断根拠を示して要否を決める姿勢は良好です。
結論をやや急ぎ過ぎています
「気象・拡散と確定」「再測定不要」と断定するには、データ照合結果が必要です。答案では「確認する」「判定する」とし、結果に応じて判断する形が安全です。
調整方策を少し柔らかくしましょう
A市に「指導する」よりも、「根拠を提示し、追加調査の要否を協議・判断する」と書く方が、実務的で自然です。
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Ⅲー1
問題文 令和5年6月30日に中央環境審議会会長から環境大臣への意見具申がなされた「今後の水・大気環境行政の在り方について」では、国内における個別の重点課題として、光化学オキシダントや新幹線鉄道騒音等の環境基準達成率の低さ、湖沼や閉鎖性海域の水質汚濁、土壌汚染等といった残された課題に加え、再生可能エネルギー等の導入に伴う大気環境や騒音への影響等の新たな課題に向けた対応に尽力すべきとされている。こうした現在の技術課題に対して、環境測定の技術者として、以下の問いに答えよ。
解答に当たっては、「大気、水質、土壌、騒音」の中から1つの分野を選び、最初に明記すること。
(1)多面的な観点から、選択した分野で重要と考える技術課題を3つ抽出し、観点を明記したうえで、それぞれの技術課題の内容を示せ。なお、上記問題文に例示した技術課題を含めてもよい。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
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この問題は、環境測定の技術者として、現在の環境問題に対する測定・評価・改善の技術提案ができるかを問う問題です。個別の測定技術ではなく、環境基準未達成や新たな環境問題に対し、測定結果を環境改善へつなげる視点が求められます。
書くべき中心
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Ⅲ-1
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評価できるところ
課題設定が専門的です
VOC/NOx、気象・輸送、感度解析、逆解析などを用いて、原因特定の難しさに正面から対応できています。
リスクの捉え方がよいです
寄与率の数値が独り歩きし、行政判断を誤らせるリスクを挙げている点は、実務的で重要です。
改善ポイント
少し抽象度が高いです
内容はよいですが、光化学オキシダント、PM2.5、発電設備、交通由来排出など、対象例を少し具体化すると答案に実感が出ます。
解決策を簡潔に整理しましょう
観測高度化、気象輸送解析、寄与推定の3本立てはよいです。各項目の文章を少し短くし、「何を測る、何で解析する、どう判断する」を明確にするとさらに読みやすくなります。
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答案作成者の強みと今後の課題
環境測定分野において、測定結果を鵜呑みにせず、気象条件、発生源、測定精度などを論理的に切り分けながら原因を整理できる力があります。また、観測・解析・評価を一連の技術的な流れとして組み立てられる点は、大きな強みです。
今後は、豊富な技術的知識を答案として伝わる形に整理することが課題です。重要な判断根拠を残しつつ、簡潔で読みやすい構成を意識できるようになると、技術力がより明確に伝わる答案になります。
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Ⅱー1-3
問題文 環境影響評価法の基本的事項において定められる計画段階配慮事項について、その概要と検討にあたっての留意事項を述べよ。
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問題文の解説
この問題は、事業計画の初期段階で、環境影響を回避・低減できる計画案をどのように選定するかを問う問題です。計画段階配慮事項とは、環境影響を予測する制度ではなく、環境面から複数案を比較し、より望ましい計画を選ぶための仕組みであることを理解しているかがポイントです。
書くべき中心
計画段階配慮事項の概要
位置・規模・構造が確定する前に、既存資料を用いて重大な環境影響を把握し、複数案を比較して環境配慮を計画へ反映することを説明します。
検討時の留意事項
地域の環境制約条件を整理し、重大で回避困難な影響を優先して抽出します。また、複数案を比較できるように設定し、不確実性や住民・関係機関の意見も踏まえて計画へ反映します。
Ⅱー1-3
1.計画段階配慮事項の概要
計画段階配慮事項は、事業の位置、規模又は構造を決める前の早期段階で、重大な環境影響を把握し、環境保全上望ましい計画案を検討するための事項である。既存資料等を活用し、地域の環境特性を概略的に把握した上で、複数案を比較し、重大影響の回避又は低減を計画案の選定に反映する。
2.計画段階配慮事項の検討にあたっての留意事項
(1)地域の環境制約条件の明確化
学校、病院等の生活環境、動植物の生息・生育地、保全区域等の自然環境を把握し、立地・配置の比較判断に用いる環境制約条件を明確にする。
(2)重大かつ回避困難な影響の優先抽出
影響の規模、範囲、継続性、回復困難性を踏まえ、後段階で対策が困難となる重大影響を優先的に抽出する。
(3)複数案の比較可能性の確保
位置、規模、構造等の複数案を設定し、影響の差、回避・低減の可能性、事業実現性を比較する。
(4)不確実性への配慮と意見反映
既存資料の不確実性に留意して安全側で評価し、関係行政機関や住民等の意見を踏まえ、環境配慮を計画案や方法書以降に反映する。
講評
計画段階配慮事項の目的と役割を、早期段階での重大影響の把握、複数案比較、回避・低減の反映として整理できています。環境影響評価の基本を押さえた良い答案です。
評価できるところ
概要が分かりやすいです
位置・規模・構造を決める前に環境配慮を行うという趣旨を簡潔に説明できています。
留意事項の整理が適切です
環境制約、重大影響、複数案比較、不確実性と意見反映という流れは妥当です。
改善ポイント
配慮事項の具体例を少し加えましょう
大気、騒音、水質、動植物、景観など、対象となる環境要素を例示すると答案に厚みが出ます。
後続手続との関係を補うとよいです
配慮書で得た結果を、方法書以降の調査・予測・評価項目に反映する、と書くと制度理解がより明確になります。
Ⅱー2-1
問題文 ある事業者が丘陵地域にあるゴルフ場跡地において陸上風力発電所 (5万k W以上)の設置を計画している。当該事業の環境影響評価業務を委託された担当責任者として,環境影響評価業務を進めるに当たり,下記の内容について説明せよ。
(1)調査、検討すべき影響要因とその環境要素
(2)業務手順と留意点、工夫点
(3)関係者との調整方策
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Ⅱー2-1
(1) 調査、検討すべき影響要因とその環境要素
1)土地の改変
造成、切土・盛土、管理用道路整備による土地の改変の影響要因に対し、環境要素は地形・地質、動物、植物がある。
2)工事の実施
建設機械の稼働、工事車両走行の影響要因に対し、環境要素は騒音・振動、大気質がある。
3)施設の存在・供用
風力発電施設の存在、ブレードの回転、航空障害灯の影響要因に対し、環境要素は騒音・低周波音、動物(特に飛翔動物)、景観がある。
(2)業務手順と留意点、工夫点
1)施設の存在・供用時を踏まえた風車配置案の比較
騒音・低周波音、飛翔動物、景観の重大影響を事前に回避するため、既存資料により、住宅位置、飛翔動物の生息地・飛翔経路、主要眺望点を把握し、風車配置の複数案を設定する。これを踏まえて影響が小さい案を比較検討する。
2)飛翔動物を重点とした調査計画の作成
飛翔動物は季節変動が大きく、調査時期を逃すと手戻りが生じるため、必要に応じ前倒し調査を行い、営巣地、採餌場、渡り経路、飛翔高度等を確認し、調査計画に反映する。
3)環境保全措置の検討
調査結果から予測・評価を行い、環境保全措置を検討する。工事の実施は濁水の発生が懸念されるため、沈砂池の位置や工事時期の調整をする。供用時は風車配置・基数の見直し、造成範囲縮小等、渡り期・繁殖期・夜間の一時停止等の運転時間の変更、送電線・変電施設の低彩度色化等を検討する。
(3)関係者との調整方策
1)事業者との調整:環境保全措置は事業費、発電量、工期に影響するため、複数案を示し、環境影響の回避・低減と事業成立性の両立を図る。
2)飛翔動物の専門家との調整:飛翔動物の営巣地、採餌場、飛翔経路・高度の把握方法を協議する。また、繁殖期、渡り期等を踏まえた調査時期・頻度、配置変更、基数削減、稼働制御について助言を受ける。
3)関係行政機関との調整:林地開発、造成に伴う濁水、景観保全、騒音・低周波音、希少動植物の保全について協議する。特に沈砂池計画や排水経路、風車配置の見直し、環境保全措置の妥当性を確認し、評価書に反映すべき条件を整理して、手続き後半での大幅な計画変更を避ける。
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風力発電事業について、工事中と供用時の影響要因を分け、環境要素との対応を整理できています。特に、飛翔動物、騒音・低周波音、景観を重点的に扱っている点は良好です。
影響要因と環境要素の対応が明確です
土地改変、工事、施設供用ごとに、何に影響するかを整理できています。
飛翔動物への配慮が具体的です
営巣地、採餌場、渡り経路、飛翔高度、稼働制御まで書けており、風力発電らしい答案です。
水環境の位置付けを少し補いましょう
工事中の濁水対策が出ているため、環境要素として水質・水象も最初に加えると整合します。
配置案比較をもう少し前面に出しましょう
風力発電では、早期段階で風車位置・基数・道路線形を比較し、重大影響を回避することが重要です。この点を手順の中心にすると、さらに答案が締まります。
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答案作成者の強みと今後の課題
環境影響評価分野において、事業特性と地域特性を踏まえ、環境要素、調査計画、予測評価、保全措置を一連の流れとして整理できる力があります。特に、陸上風力発電事業について、飛翔動物、騒音・低周波音、景観、水質などを実務的に捉えられている点は大きな強みです。
今後は、環境影響を列挙するだけでなく、重大な影響を優先して抽出し、複数案比較や回避・低減措置を事業計画へどう反映するかをさらに明確にすることが課題です。早期段階から環境制約条件を整理し、関係者調整につなげられるようになると、環境影響評価の担当責任者としての判断力がより伝わる答案になります。
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Ⅰー2 クラウドネイティブ技術とはクラウド環境を前提としたアプリケーション設計や運用手法を指し、近年のITインフラやシステムアーキテクチャの変革を促している。この技術を最大限に活用するためには、単なる現行システムのクラウドへの移行やマルチクラウドサービスの利用ではなく、クラウドネイティブ技術の特性を踏まえた適切なアーキテクチャの選択を行うことが求められている。クラウドネイティブ技術を活用する業務を具体的に想定し、以下の問いに答えよ。
(1)情報工学部門における技術者としての立場で、多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、情報工学部門の専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。
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この問題は、クラウドネイティブ技術の特性を生かしたシステムを設計・運用できるかを問う問題です。クラウドへ移行することが目的ではなく、クラウドネイティブに適したアーキテクチャを選択し、システム全体を最適化する能力が求められます。
書くべき中心
例:可用性、拡張性、セキュリティ、運用自動化、コスト最適化など。
講評
過疎地域の地域交通システムを、クラウドネイティブ技術により連携・拡張していく答案として整理されています。API連携、性能確保、セキュリティを課題として挙げ、サービスメッシュやAPIゲートウェイなどの具体策につなげている点が良好です。
評価できるところ
システム連携の課題が明確です。 交通機関、予約、決済、関連施設などを連携する地域交通システムでは、複数サービス間の接続が重要になります。その点をAPI連携の複雑化として捉え、連携効率化を課題にした点は評価できます。
解決策に専門性があります。 サービスメッシュ、APIゲートウェイ、イベントブローカーを挙げており、クラウドネイティブな地域交通システムを構築するための技術要素が具体的です。
性能・セキュリティにも配慮できています。 外部サービス呼出しによる応答遅延や、サービスごとのセキュリティ機構の違いにも触れており、実装時の実務的な課題を押さえています。
改善ポイント
地域交通との結び付きを少し補うとよいです。 APIゲートウェイやイベントブローカーを、バス・タクシー・デマンド交通の予約、運行情報、遅延通知、決済連携に使うと、題意との対応がさらに明確になります。
波及効果を地域課題に寄せましょう。 DX促進に加えて、高齢者の移動支援、医療・買物アクセスの改善、交通事業者の運行効率化まで触れると、説得力が高まります。
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Ⅱ-1-3
問題文 クラウドで用いられるマイクロサービスアーキテクチャの概要及びその利点・欠点について説明せよ。
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問題文の解説
この問題は何を問うか
マイクロサービスアーキテクチャの概要を理解し、その特徴から生じる利点と欠点を関連付けて説明できるかを問う問題です。単なる用語説明ではなく、「なぜ利点が生まれ、その結果どのような課題が生じるのか」を理解していることが求められます。
書くべき内容
まず、マイクロサービスアーキテクチャの概要として、アプリケーションを独立した小規模サービスに分割し、それぞれを個別に開発・デプロイ・運用する構成であることを説明します。次に、利点として拡張性、障害の局所化、開発・運用の効率化などを述べます。最後に、欠点としてサービス間通信、分散データ管理、監視・運用の複雑化などを説明します。
高得点のポイント
利点と欠点を別々に列挙するのではなく、「サービスを分割した結果、どのような利点が得られ、その反面どのような課題が生じるか」を対応させて説明すると、高得点につながります。
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模範解答 専門科目 情報基盤 専門事項 ネットワークとシステム管理J 作成日 2025.11.19
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1.概要
マイクロサービスアーキテクチャは、サービスを細分化し、必要なサービスを組み合わせて構築する開発方式である。クラウドネイティブで利用される。近年のソフトウエアライフサイクルは短い、迅速かつ効率的に開発を行う必要がある。そこで、呼び出しだけで利用できるマイクロサービスアーキテクチャが登場した。
2.利点
・開発が軽減できる
提供されたサービスを利用するため、すべての部分を開発する必要が無い。
・不具合が少ない。
実績があるモジュールを活用するため、不具合が少ない。
・拡張が行いやすい
要件変化が合った場合、利用するサービスを追加することで機能拡張が可能となる。
3.欠点
・オーバーヘッド
通信確立、認証などの処理が必要であり、オーバーヘッドが発生するため性能が低下する。
・管理が複雑になる
サービスごとに利用方法、セキュリティ機構が異なるため管理が複雑になる。
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講評
マイクロサービスアーキテクチャの概要、利点、欠点を簡潔に整理できています。サービスを組み合わせて構築する考え方や、クラウドネイティブとの関係を押さえている点が良好です。
評価できるところ
特徴を分かりやすく説明できています。 サービスを細分化し、必要な機能を組み合わせるという基本概念が明確です。
利点と欠点を対比できています。 開発負担の軽減、拡張性向上という利点に対し、通信オーバーヘッドや管理複雑化という欠点を挙げられています。
改善ポイント
「不具合が少ない」は少し補足しましょう。 実績あるサービスを使える一方、サービス間通信や依存関係による不具合も生じます。再利用性が高い、と表現すると安定します。
欠点に障害波及を加えるとよいです。 一部サービスの障害が全体に影響する可能性があるため、監視、冗長化、分散トレーシングが必要と書くと完成度が上がります。
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Ⅱ-2-1
問題文 市町村防災行政無線とは、市町村が被災地住民の避難、救助、救援や応援復旧等の防災活動を行うための無線通信システムである。防災情報を野外スピーカ等で地域住民に通報・周知する「同報通信系」と市町村役場等と災害現場の車両等との間で災害情報の収集や連絡等の通信を行う「移動通信系」がある。今回、人口数万人規模の自治体の市町村防災行政無線システムを更改することになり、あなたは同報通信系のシステム設計の担当となった。システム構成を述べた上で、以下の問に答えよ。
(1)防災行政無線の更改に向けて、複数の調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
問題文の解説
この問題は何を問うか
この問題は、市町村防災行政無線(同報通信系)の更改を、安全性・信頼性・防災性を確保しながら計画・設計できるかを問う問題です。単なる設備更新ではなく、災害時に確実に情報を住民へ伝達できるシステムを構築する能力が求められます。
書くべき内容
まず、同報通信系のシステム構成(親局・中継局・屋外拡声子局・戸別受信機など)を示します。次に、調査・検討事項として、伝搬条件、サービスエリア、既設設備、耐災害性、冗長化などを整理します。業務手順では、現地調査、基本設計、詳細設計、施工・試験、運用開始までを示し、それぞれの留意点を述べます。関係者との調整では、自治体、防災担当、電波管理機関、住民、施工業者との役割分担や運用条件の調整を説明します。
高得点のポイント
設備更新の手順を書くのではなく、「災害時でも確実に住民へ情報を伝達する」という目的から、通信エリア、耐災害性、冗長化、運用性まで含めたシステム設計として説明することが重要です。
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模範解答 専門科目 情報基盤 専門事項 ネットワークとシステム管理J 作成日 2025.11.19
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従来の防災無線を見直し、新無線システムを用いた防災行政無線システム(同報通信)に更新する。
1.調整及び検討事項
1)現行対象エリア調査
現行システムで同報対象としているエリアを調査。加えて、住民へのヒアリングにより現行の不足エリアの洗い出し。
2)障がい者、高齢者状況の調査と検討
障がい者、高齢者の居住エリア及び障がい内容を調査し、障がい内容に応じて、音声以外の避難経路のアナウンス方法を検討する。
3)衛星通信の検討
無線基地局が倒壊した際、衛星通信での代用が行えないか検討する。
4)自動化運転の検討
大災害時は、運用職員が駆け付けれず通報が行えない可能性がある。これを回避するために、AIOpsを用いた自動運転を検討する。
5)平常時の活用方法の検討
行政サービス連絡、行政業務での利用など、平常時でも新システムを活用することを検討する。
2.業務手順
1)計画作成
計画を作成し、市町村幹部に承認を得る。留意点は、幅広く意見を聴収。工夫点は、図式、表を用いて情報システムに詳しくない幹部でも分かりやすくする。
2)PoC実施、導入
一部エリアにて新システムが設計通り動作するかPoC検証を行う。検証結果を踏まえた改善を設計に反映し、導入作業を行う。留意点は、PoCの検証内容を明確にし、期限を設けて実施する。工夫点は、関係者が同一認識となるよう用語集を作成する。
3)訓練、切替
切替前に、住民参加型の訓練を実施し、切替を行う。留意点は、安定するまでは、旧システムをスタンバイさせる。工夫点は、平常時の行政サービス連絡の音楽も変更し、切り替わったことが住民に浸透するようにする。
4)見直し
住民の意見を聴収し、ライフサイクルに合わせて見直しを行う。留意点は、見直しにより新たな影響がでていないか確認する。工夫点は、CATVなど身近な媒体で意見を求める。
3.関係者との調整方策
1)市町村幹部
完成として扱うのでなく、市町村運営計画に沿って、長期的に見直しがされるよう調整する。
2)住民
住民の皆さんの意見が重要であることを説明し、訓練、見直しへの協力を依頼する。
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講評
防災行政無線の更新について、対象エリア、要配慮者対応、代替通信、運用自動化、平常時活用まで幅広く整理できています。単なる設備更新ではなく、災害時に確実に情報を届ける仕組みとして捉えている点が良好です。
評価できるところ
住民目線の検討ができています。 現行不足エリアの把握や、障がい者・高齢者への音声以外の伝達方法を検討しており、防災情報の確実な伝達を意識できています。
導入手順が実務的です。 計画、PoC、訓練、切替、見直しという流れが明確で、旧システムをスタンバイさせる点も安全側の対応としてよいです。
平常時活用まで考えられています。 災害時だけでなく、行政連絡等に活用する視点があり、システムの定着と有効活用につながります。
改善ポイント
通信方式の比較を少し加えましょう。 新無線、衛星通信、CATV、スマートフォン通知などについて、到達性、冗長性、費用、停電時対応を比較すると、技術的判断がより明確になります。
関係者調整をもう少し広げるとよいです。 市町村幹部と住民に加え、消防・警察、通信事業者、福祉部門、自治会との調整を入れると、実効性のある防災システムとして完成度が高まります。
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Ⅲ-2
問題文 学校教育のDX化のために、児童生徒にタブレットなどの端末を配布し、校内にWiFiのアクセスポイントを設置、校外のサーバに保存されたデジタル教材にアクセスできる環境を備えたGIGAスクール構成が進められている。あなたは、各学年2クラスの小学校において全体ネットワーク構成を多様な観点から検討することとなった、本システム全体の構成を述べた上で以下の問いに答えよ。
(1)GIGAスクールのシステムを設計する上で、多面的な観点から、あなたの選択科目に係わる技術課題を3つ抽出し、観点を明記したうえで、それぞれの技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
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問題文の解説
この問題は何を問うか
この問題は、GIGAスクール構想に対応した学校ネットワークを、安全性・安定性・拡張性を考慮して設計できるかを問う問題です。単にネットワークを構築するのではなく、多数の端末が同時利用する教育環境を支えるシステム全体を設計する能力が求められます。
書くべき内容
まず、校内LAN、Wi-Fiアクセスポイント、ルータ、ファイアウォール、インターネット接続、クラウド上の教材・学習管理システムなど、全体ネットワーク構成を示します。次に、技術課題として、通信品質、情報セキュリティ、可用性・運用性などを抽出します。最重要課題については、QoS、VLAN、認証、冗長化、クラウド連携などの専門技術を用いて複数の解決策を示します。最後に、それらを導入しても残る障害やサイバー攻撃などのリスクと対策を述べます。
高得点のポイント
学校ネットワークを構築することではなく、「多数の児童がクラウド教材を安定かつ安全に利用できる教育基盤を実現する」という目的から、性能・セキュリティ・運用性を総合的に設計することが重要です。
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模範解答 専門科目 情報基盤 専門事項 ネットワークとシステム管理J 作成日 2025.11.19
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講評
GIGAスクール環境における校内LANについて、通信安定性、セキュリティ、運用管理の観点から課題を整理できています。特に、全生徒に均等な教育機会を提供するために通信安定化を最重要課題とした点は妥当です。
評価できるところ
課題設定が実務的です。 通信の安定性、個人情報保護、タブレット充電管理という3点は、学校現場で実際に問題となりやすい項目であり、現場感があります。
解決策が具体的です。 ローミング設計、チャンネル幅調整、SD-WANによる回線選択など、無線LANと外部接続の両面から安定化策を示せています。
教育機会の公平性に結び付けています。 通信品質の差が学習機会の差につながるという理由付けは、学校ネットワークの重要性をよく捉えています。
改善ポイント
通信安定化の根拠を少し補いましょう。 AP配置設計、電波干渉調査、同時接続数、帯域設計などを加えると、無線LAN設計としてさらに説得力が出ます。
セキュリティ対策をもう少し具体化するとよいです。 VLAN分離に加えて、認証、端末管理、フィルタリング、ログ管理を入れると、個人情報保護の説明がより明確になります。
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答案作成者の強みと今後の課題
この方は、情報基盤分野において、クラウドやネットワークなどの最新技術を幅広く理解し、課題に応じて適切な技術を組み合わせて提案できる力があります。実務で活用される技術要素を答案へ具体的に反映できる点は、大きな強みです。
今後は、技術を紹介するだけでなく、「なぜその技術を採用するのか」「どのような業務課題を解決するのか」という技術的判断をより明確に示すことが課題です。技術選定の根拠まで論理的に説明できるようになると、技術士に求められる提案力がより伝わる答案になります。
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