この3月に合格された受講者のうち、まず3名の方が合格者のインタビューに応じてくださいました。本講座に対するリアルな感想をお聞きしました。
このインタビューの模様は、「合格者の声」のページトップからでも見られます。
なお、インタビュー内容は録音した音声以外に書き起こした原稿もあります。こちらもご覧ください。
合格者インタビューの書き起こし原稿「コーチング指導の素晴らしさ」をみる>
〒103-0008 東京都中央区日本橋中洲2-3
サンヴェール日本橋水天宮605
受付時間:10:00~18:00
定休日:不定期
この3月に合格された受講者のうち、まず3名の方が合格者のインタビューに応じてくださいました。本講座に対するリアルな感想をお聞きしました。
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建設業は社会資本の整備・管理の主体であるとともに、災害時における「地域の守り手」として、国民生活や社会経済を支える極めて重要な役割を担っている。一方で、建設業就業者は厳しい就労条件を背景に依然として現象が著しく、他産業を上回る高齢化や若年層の不足が進行している。また、資材価格の高騰や令和6年4月から建設業にも適用された罰則付き時間外労働規制等に対応しつつ、適切に建設工事等が実施される環境づくりも欠かせない状況にある。
こうした背景を踏まえ、令和6年6月には、担い手3法が改正されたところである。
上記の建設業を取り巻く環境を踏まえて、持続可能な建設業を実現するために、以下の問いに答えよ。
(1)我が国の社会資本の整備等の担い手・地域の守り手である建設業がその役割を果たし続けるうえで、技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。なお、本設問における「技術課題」には、建設業における構造上、制度上、管理上等の課題も含まれるとする。また、解答の際には必ず観点を述べてから技術課題を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち、最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を技術者としての倫理、社会の持続性の観点から述べよ。
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解答
(1)課題の抽出
1.ICTを活用した生産性の向上
建設業は労働集約型産業であり、アナログ主体の業務やDXの遅れによる非効率性が長時間労働や担い手不足の一因となっている。社会資本の整備等の担い手を果たすべく、ICTを活用した機械施工や遠隔化により生産性を向上することで週休2日制や時間外労働削減を実現することが不可欠である。働き方を改革する観点からICTを活用した生産性向上が課題となる。
2.インフラの戦略的な維持管理
小規模自治体は維持管理の担い手や予算の不足から効率的な維持管理体制の構築が遅れている。今後、建設後50年を経過するインフラの割合が増加し維持管理の負担増が見込まれる一方、インフラの健全性は地域の安心・安全に直結することから、効率的な維持管理が不可欠である。維持管理の高度化の観点からインフラ群マネジメントや包括的民間委託によってインフラを戦略的に維持管理することが課題となる。
3.担い手の確保
市町村は約3割が技術系職員が不在であることに加え、災害対策やインフラ老朽化対策等の専門的な業務が増加していることで、スキル・人材が不足している。こうした中、人材面の観点から持続可能な建設業を実現すべく、教育機関との連携や国・広域自治体からの人材派遣により担い手を確保することが課題である。
(2)最重要課題及び解決策
担い手不足が深刻化する中、災害対策や維持管理高度化を図るためには生産性の向上が不可欠であるため、ICTを活用した生産性の向上を最重要課題として以下に解決策を述べる。
1.施工の自動化
5Gや複数メーカーの建設機を制御可能なプラットフォーム「OPERA」を活用し遠隔施工の普及促進を図る。また施工データをAIで分析することで施工の自動化を実現する。これにより、重労働や危険作業を削減し多様な人材が働ける環境を整備する。
2.情報連携の自動化
BIM/CIMにより3D化・標準化したデータを調査・設計・施工・維持管理で統合・一元管理する。クラウドベースの情報連携システムやデジタルツインを活用し共有することでデータの利活用が促進され、調整時間の短縮やペーパーレス化を実現する。
3.施工管理の自動化
Webやモバイル端末を活用しリモート立会や検査を実現することで、現場の滞在時間や待ち時間を短縮する。また、AIによる画像解析技術やリモートセンシング技術を活用することで、技術者の負担を軽減し、働き方を改革する。
(3)将来的な懸念事項及び対応
1.将来的な懸念事項
データの利活用が進むことでデータの重要性が高まる一方、データの改ざんやハッキングのリスクが上昇する。災害対策や設計において不適切なデータを使用することで、社会基盤の信頼低下を招く恐れがある。
2.対応策
上記の懸念事項に対して、データ利用者の教育やマニュアル整備を徹底する。加えて、データの分類・重要性に応じたアクセス権限の付与や通信データの暗号化、データ利用時の多重認証の導入を進める。また、クラウドを活用した多重バックアップ体制を構築し災害や不正アクセスにおけるデータの復元性を確保する。
(4)業務遂行に必要な要件
1.技術者としての倫理
公衆の安全・健康・福利を最優先して業務に取り組む。技術者は安心・安全の担い手として重要な役割がある。予算や工期等の制約下でも品質低下が生じないように留意する。また、安全を脅かす不完全なものは作らず、倫理に反することも決してしない。
2.社会の持続性の観点
環境の保全に留意して業務に取り組む。ICTの活用においては、効率性や経済性の観点だけでなく、燃料消費や重機使用を最適化する事でCO2排出量やエネルギー消費を最小化する等の環境保全の観点を必ず持つようにする。
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講評
全体として、現場感に即した視点や具体的な技術施策が盛り込まれており、一定の評価に値する構成でした。ただし、本設問においては「担い手3法の改正」を含む制度的・構造的な変革が明示されており、その出題主旨との整合性にやや乏しい点が評価の分かれ目になり得ると考えられます。
以下、各項目ごとに【1.講評概要→2.評価できる点→3.修正点→4.参考回答】の順で講評いたします。
(1)課題①「ICTを活用した生産性の向上」
1. 講評概要
「働き方改革の観点からICTを活用」という構成は意図としては分かりやすいものの、「ICT活用」が手段であるため、観点と課題が逆転しており表現構造に違和感があります。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
見出し:ICT活用で施工生産性を向上
観点:効率化の観点から
課題文:効率化の観点から、ICT技術応用で建設現場の施工生産性を向上する。
課題②「インフラの戦略的維持管理」
1. 講評概要
インフラ群マネジメントを提案した点は妥当ですが、「高度化の観点から戦略的維持管理」とする表現は論理的重複が見られます。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
見出し:包括委託で維持管理体制を構築
観点:リスク管理の観点から
課題文:リスク管理の観点から、包括委託などの仕組みで効率的なインフラ維持管理体制を構築する。
課題③「担い手の確保」
1. 講評概要
人材派遣や教育機関連携という具体策に説得力がありますが、観点と課題が同義になっており観点の意味が活かされていません。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
見出し:広域連携で人材基盤を確保
観点:災害対応力の確保の観点から
課題文:災害対応力の確保の観点から、教育・広域支援による人材基盤の確保を図る。
(2)最も重要な課題と解決策(ICT活用による生産性向上)
1. 講評概要
生産性向上が重要であるという論旨は納得感がありますが、出題文にある「担い手3法の改正」を踏まえるとやや焦点がずれています。改正内容(週休2日制の原則化等)に直接言及する必要がありました。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
(3)懸念事項と対策
1. 講評概要
「データ改ざんやハッキング」自体は既知のリスクであり、建設技術者としての専門的洞察には乏しく感じられます。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
懸念事項:遠隔化・自動化の進展により、現場判断力の伝承が困難になる
対策:若手技術者への現場OJT強化、マニュアルの構造化、ベテラン技術者の教育参画制度の構築
(4)業務遂行に必要な要件
1. 技術者倫理
1. 講評概要
「不完全なものは作らない」は倫理として当然の前提に過ぎず、技術者としての判断・説明責任にまで踏み込めていません。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
設計・施工において制約条件が厳しい中でも、工法や材料の選定理由を明示し、住民・行政への技術的説明責任を果たす倫理観が求められる。
2. 社会の持続性
1. 講評概要
「環境保全」は要素の一部であり、「地域社会の継承」「地域経済の循環」など、より広範な視点が求められます。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
ICT活用の推進に際しては、地域に技術者を根付かせ、教育・人材循環の仕組みを地域で共有することが、地域社会の持続性の確保につながる。
総合評価(60点満点中)
現状の答案は、表現や構文に一部の矛盾や不整合を含みつつも、現場を見据えた提案や実務的視点を持った記述がなされており、試験官によっては前向きな評価につながる可能性があります。そのため、得点の幅としては50点〜65点程度と考えられます。
構成の見直しや主題との整合性を整理したうえで再現答案を修正すれば、口頭試験への備えとしても非常に有効です。引き続き、合格を見据えて丁寧に準備を進めていきましょう。
今後の勉強方針についてのご提案
構成の見直しや主題との整合性を意識して再現答案を丁寧に修正することは、単なる書き直しではなく、口頭試験でご自身の考えを的確に伝える力を養う貴重な機会にもなります。
今回の答案には、多くの前向きな提案や現場を見据えた技術的視点が込められており、それをより論理的に整理し直すことで、合格へとつながる十分な土台が築けるはずです。
ここからが本当の意味での仕上げの時間です。少しでも合格の可能性を高めるために、今できることを丁寧に積み重ねていくことが大切です。
再現答案の修正を通じて、ご自身の考えを論理的に整理する力を高めていけば、口頭試験にも十分対応できる土台が築けるはずです。
この先の準備に不安や迷いがあれば、いつでもご相談ください。必要に応じて、適切なアドバイスをご案内いたします。
問題
地表付近に軟弱粘性土が厚さ約10m堆積している地盤上に盛土構造物を建設する場合に、すべり破壊・沈下・周辺地盤変形防止のために考えられる地盤改良工法のうち原理の異なるものを3つ挙げて、それぞれの工法の概要、原理及び留意点を述べよ。
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解答
軟弱性土の地盤改良工法としては、①深層混合処理工法、②サンドコンパクションパイル工法、③軽量盛土工法が挙げられる。以下にその概要、原理及び留意点を述べる。
1.深層混合処理工法
セメント系固化剤を土に混ぜ込み、土を化学的に固結化する工法である。留意点として、①有機質土では改良の効果が低下すること、②火山灰土等では、六価クロムの溶出量が環境基準値を超える可能性があること、③改良の効果を検証するために事前の配合試験が必要となることが挙げられる。
2.サンドコンパクションパイル工法
鋼管を地盤に挿入し砂を投入して、振動によって固めた砂杭を形成する工法である。砂杭が拡径する際に周辺地盤を押し固めることで密度を高め、せん断強さを増加させる。留意点としては、砂杭形成時に振動や騒音が発生し、周辺地盤に変位を与える可能性があるため、近接施工には不向きであることが挙げられる。
3.軽量盛土工法
盛土材料を土よりも軽量な発泡スチロール等に置き換えることで荷重を軽減し、すべり破壊や沈下を抑制する工法である。留意点としては、①軽量な材料は水に浮きやすくアンカーが必要となること、②劣化具合が地盤材料と異なるため、維持管理の負荷が高いこと、③ガソリン等で溶解する恐れがあることが挙げられる。
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講評
【選択科目Ⅱ-1-4】地盤改良工法の原理に関する設問
1. 講評概要
設問に対して正確な工法を列挙し、知識の正確さは十分に伝わる内容です。ただし、「厚さ10mの軟弱粘性土に盛土構造物を建設する場合に」という状況設定に即した選定理由や原理の説明が弱く、地盤改良の「目的」と「作用原理」の対応が曖昧なため、構想力としての評価はやや厳しくなる可能性があります。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
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問題
精密機械工場(建屋寸法60m×100m 最大設置圧200KN/m2)を建設する計画があり、計画用地周辺には住宅、市道及び共同溝が存在している。既存の基地内地盤調査結果によれば、地層構成は盛土・有機質土・粘性土・泥岩が確認されており、泥岩の出現深度はGL-5mから-10mと均一ではなく不陸し、詳細な出現分布は把握できていない。
このような条件下で精密機械工場建屋の基礎形式を選定するにあたり、計画業務の責任者として調査・設計・施工の複数段階において、土質及び基礎を専門とする技術者の立場から下記の内容について記述せよ。なお完成後の精密機械工場建屋の許容沈下量は、機器の性能に影響を及ぼす可能性があるため、厳しき設定されている。
(1)現況から考えられる2つの基礎形式の概要をそれぞれ説明し、最適案を選定するために検討すべき事項を本業務の2つ以上の段階を考慮して説明せよ。
(2)本業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)本業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
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解答
(1)基礎形式の概要及び検討事項
1.基礎形式の概要
①杭基礎
泥岩を支持層とする杭基礎である。泥岩がN値50以上と安定性が高い一方、杭打設や泥岩の不陸を確認する調査の費用が高額となる。
②直接基礎
B層を支持層とする直接基礎である。施工費が安価となる一方、Ap・Ac層の沈下・支持力特性の把握やB層の地盤改良の要否を判断する必要がある。
2.検討事項
①追加調査(調査段階)
Ap・Ac層の圧密・沈下・せん断特性や泥岩の不陸を把握する目的で調査を実施する。建設用地の縦横方向にボーリング調査を配置し、標準貫入試験、サンプリング、土質試験を実施する。
②基礎形式の検討(設計段階)
上記2つの基礎形式を安全性・経済性・周辺環境への影響等を統合的に比較検討し基礎形式を決定する。
③周辺地盤への影響(設計段階)
工場建設に伴い、Ap・Ac層が圧密沈下やすべり破壊を起こすことで、住宅・市道・共同溝が変位・応力を受ける可能性がある。必要に応じて対策工の要否を検討する。
(2)業務手順及び留意点・工夫点
1.現地調査及び既往資料の収集
市道や共同溝施工時の調査・設計資料と現地踏査の情報を照合し地盤リスクを特定することで調査計画や設計条件、対策工検討に活用する。
2.追加調査
地盤の変状に留意する。軟弱地盤や傾斜等を確認した場合、動的コーン試験等の補助調査により異常分布を把握する工夫を講じる。
3.基礎形式の検討
多面的な観点から基礎形式を比較検討する。FEM解析により変状・応力を評価し周辺環境への影響を数値化することで基礎形式・対策工選定の合理性を高める工夫を図る。
4.施工
施工中は変位を動態観測し閾値(10mm)を超えた場合、工法や手順の見直しを迅速に行う体制を構築する。
(3)関係者との調整方策
関係者は発注者、設計・調査会社、市道・共同溝管理者、近隣住民、工場所有者等が挙げられる。予算・工期、騒音・振動等の制約下で業務を進める必要がある。技術者として調整責任を担い、課題の優先順位や対応方針を明確化し協議・説明を主導する。住民に対しては騒音・振動対策、施工時間、防災対策等を事前説明し信頼を獲得する。発注者に対しては、段階施工案や工期短縮案を提示し積極的に合意形成を主導する。
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講評
【選択科目Ⅱ-2-1】精密機械工場の基礎選定に関する設問
(1)基礎形式と検討事項
1. 講評概要
設問趣旨に即して、2つの基礎形式の概要と検討段階を示しており、全体の論理は明確です。ただし、「なぜその形式が有効なのか」という判断根拠の明示がやや弱く、比較評価の内容も定量的・工学的な観点が不足しています。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答(一部)
(2)業務手順・留意点
1. 講評概要
業務工程は整理されているものの、“地盤リスク”への工学的対応力がやや抽象的で、技術士としての判断力や方針決定の視点が乏しく見えてしまいます。
2. 評価できる点
3. 修正点
(3)関係者との調整
1. 講評概要
関係者の列挙は丁寧ですが、**技術者として「何を主導し、どう合意形成を図るか」**という視点が薄く、説得力に欠けます。
2. 修正点
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問題
生産年齢人口の減少や高齢化、気候変動による災害の激甚化、インフラの老朽化が進む中、担い手不足は依然として深刻である。こうした状況の中、社会資本の整備・維持管理を持続可能なものとするには、ICT活用とともに、建設生産プロセス全体の高度化を図るなど、さらなる生産性向上が求められる。このような背景を踏まえ、地盤構造物におけるDXによる生産性向上について、土質及び基礎を専門とする技術者の立場から以下の問いに答えよ。
(1)多面的な観点から複数の技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その技術的課題の内容を示せ。解答の際には必ず観点を述べてから課題を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する3つ以上の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
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解答
(1)課題の抽出
1.データ活用の体制整備(運営面)
多くの地盤構造物は情報が紙ベースで蓄積されており、設計・施工・維持管理で一貫したデータ活用が困難である。生産性向上にはデータ活用が不可欠であることから、ICTを活用した効率的な情報収集やデータベースの構築によって、データを利活用可能な体制を整備することが課題である。
2.制度・基準のデジタル化対応(制度面)
地盤構造物の生産では、アナログ主体の業務がDX推進の障壁となっている。契約書類や施工記録が紙主体であり、設計・施工基準が3DやCADとの連携を想定していないことも多い。こうした中、DXによる生産性向上を図るためにはDXの効果を最大化する制度整備が不可欠である。電子契約の導入や3Dを前提とした制度整備等によって制度・基準のデジタル化対応が課題となる。
3.担い手の確保・育成(人材面)
地盤構造物は地盤材料の不均一性や地域特性によって、設計・施工において経験的な判断が多く、高い専門性や実務経験が必要となる。加えて、ICT活用やデータ処理等の広範な知識が求められる。高齢化や人口減少によって人材獲得が激化する中、教育機関との連携や処遇改善によって、将来の担い手を確保・育成することが課題となる。
(2)最重要課題及び解決策
生産性向上にはDX推進が不可欠である。DXを推進するためには、データを利活用する基盤を形成することが最優先であり、データ活用の体制整備を最重要課題として、以下に解決策を述べる。
1.ICTを活用した効率的なデータ収集
干渉SARやUAVを活用し地盤構造物の変状を面的に把握する取組を進める。従来のボーリング調査と異なり、非接触かつ広範なモニタリングが可能となる。データを利活用しやすいXML等の統一した形式で効率的に収集する。
2.地盤モデルの3D化
ボーリング調査や土質試験の結果から地質断面図を作成し、CIMと連携することで3D地盤モデルを構築する。軟弱地盤や液状化等の空間的なひろがりを把握することができ、設計条件の共有や施工計画の調整が容易となる。また、災害時の変状を可視化することで防災対策の高度化に貢献する。
3.データベースの構築
BIM/CIMにより3D化・標準化された情報を調査・設計・施工・維持管理で統合・一元管理し地盤構造物のデータベースを構築する。類似地盤の比較検討により、維持管理の優先順位付けや過去データの参照により、設計・調査の効率化・高度化を図る。また、将来的には国土交通プラットフォームや3D都市モデル「プラトー」等と連携することで、災害対策やまちづくり等の多面的な意思決定の高度化にも貢献する。
(3)新たなリスク及び対策
1.セキュリティリスク
データの利活用が進むことでデータの重要性が高まる一方、データの改ざんやハッキングのリスクが上昇する。災害対策や設計において不適切なデータを使用することで、社会基盤の信頼低下を招く恐れがある。
これに対して、データ利用者の教育やマニュアル整備を徹底する。加えて、データの分類・重要性に応じたアクセス権限の付与や通信データの暗号化、データ利用時の多重認証の導入を進める。また、クラウドを活用した多重バックアップ体制を構築し災害や不正アクセスにおけるデータの復元性を確保する。
2.データの過信・現地踏査の未実施
干渉SARやUAVは地下水挙動や滑動面等の地盤内の見えないリスクを見落とすリスクがある。データを過信することで、設計の過小評価や補修判断の遅れが発生する恐れがある。
これに対して、従来のボーリング調査や物理探査を併用する体制を構築する。また現地踏査による一次把握を省略せず、データを評価する専門人材を配置することで地形・地質の情報と整合したデータ運用を図る。
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講評
【Ⅲ-1】DXによる生産性向上に関する構想問題
(1)課題①~③の記述について
1. 講評概要
問題文の背景にある「担い手不足」や「社会資本の持続性」には触れているものの、DXの定義が曖昧で、土質及び基礎としての“技術的構想力”が伝わりにくい構成となっています。情報管理や制度論に偏りすぎ、肝心の地盤構造物への適用視点が弱い点が惜しまれます。
2. 修正点
(2)最重要課題と解決策
1. 講評概要
「データ活用の体制整備」は重要課題の一つですが、なぜそれが土質分野で特に重要なのかという説明が不足しています。データの収集・共有が目的化しており、構想としての“目的→手段→効果”が見えにくい構成です。
2. 評価できる点
3. 修正点
(3)懸念事項と対策
1. 講評概要
セキュリティや過信リスクの指摘は妥当ですが、建設部門としての視点が薄く、情報工学的な論点に偏りすぎている印象です。
3. 修正点
【総合評価(100点満点中)】
現時点での答案は、おおむね55〜70点程度の評価に分布する可能性があります。確かな技術知識と現場経験に基づく提案が多数あり、合格の可能性は十分にあります。しかし、「課題の構文整理」「構想力の可視化」「建設技術者としての判断力と方針明示」に改善の余地があります。
構成の見直しや主題との整合性を整理したうえで再現答案を修正すれば、口頭試験への備えとしても非常に有効です。ぜひこの機会に答案を再構成し、論理展開と技術的視座を明確にしておきましょう。
【今後の勉強方針についてのご提案】
1. 課題構文の再訓練
この答案では、「課題文の構文」が曖昧で、観点と課題の対応関係が伝わりにくい箇所が見受けられました。とくにⅢ問題では、「制度のデジタル化」や「担い手育成」など、背景事項が“課題”として書かれてしまっており、技術的提案としての焦点がずれている印象がありました。
→今後は、「○○の観点から、○○技術応用で○○する」という提案型構文を徹底練習してください。観点(選定根拠)と課題(提案内容)をセットで整理する習慣が、答案全体の構造強化につながります。
2. 「なぜそれが課題か」を常に問う習慣
Ⅱ-1、Ⅱ-2でもそうでしたが、書かれた内容は概ね正しい知識ではあるものの、「この条件下でなぜその手法か」「どのリスクに対応しているのか」という技術的な理由づけが曖昧です。
→今後は、「なぜそれが今必要なのか?」を常に自問しながら答案構成する訓練を行ってください。具体的には、「この条件における支配的なリスク」「技術選定の代替案と比較」「将来の維持管理まで見据えた意義」を整理してみるとよいでしょう。
3. 構想力を伴う記述力の強化
Ⅲ問題では、「データの活用体制整備」という方針に一定の説得力はありましたが、提案内容が“構想”というより“導入事例の紹介”に留まっており、目的→手段→効果のつながりがやや弱く感じられました。
→今後は、解決策を書くときに、**①現状の課題、②選んだ手段の特長、③具体的な効果(定量化できればベター)**を必ずセットで記述するようにしてください。構想の深さが評価されます。
4. 設問(3)対策としての“懸念の深掘り”訓練
「セキュリティ」「現地踏査不足」などは一般的すぎて、試験官に「ありきたり」と見なされる恐れがあります。
→今後は、ご自身の業務や答案テーマに沿って、「自分の提案に潜む弱点」を洗い出す訓練をしましょう。たとえば、「3D地盤モデルが施工段階で現場と乖離するケース」「ICT建機の誤作動時の責任所在」など、実際にありうる現場リスクを1つずつ書き出してみてください。
5. 口頭試験に向けた準備
今回の再現答案は、構成と論理を磨けば合格点を獲得できる可能性が十分にあります。これからは再現答案のブラッシュアップを通じて、「なぜこの工法を選定したか」「その課題はなぜ重要なのか」を説明する練習に注力してください。これは、口頭試験で最も問われる視点です。
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第五次循環型社会形成推進基本計画(令和6(2024)年8月閣議決定)では、循環経済への移行を関係者が一丸となって取り組むべき重要な政策課題として位置付けるとともに、循環型社会形成に向けた取り組みの中長期的な方向性として、5つの重点分野を提示している。また、同計画の決定に先立って公表された令和6年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書では、このうち3つの重点分野の主旨が、同計画策定のポイントとして、次のとおり示されている。
①資源循環のための事業者間連携によるライフサイクル全体での徹底的な資源循環
②多種多様な地域の循環システムと地方創生の実現
③適正な国際資源循環体制の構築と循環産業の海外展開の推進
このことを踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)上記の3つのポイントのうち1つないし複数の中から、環境部門における技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、環境部門の専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生ずる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。
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解答
1.地域の循環システムと地方創生実現のための課題
1.1下水汚泥の利活用(肥料確保の観点)
農作物の生育には、肥料の使用が欠かせない。ただし日本では、化学肥料のほぼ全量を輸入に頼っているのが現状である。国内で肥料を確保することは食料安全保障上、大変重要である。他方、下水汚泥には、食物の生育に必要な窒素、リン、カリウム等が多く含まれているにもかかわらず、利用率は1割程度である。したがって、下水汚泥の利活用が課題である。
1.2グリーンインフラの利活用(防災の観点)
近年の気候変動に伴う集中豪雨等の発生により、河川氾濫、土砂災害等が多発している。既設の堤防、土留め等のグレーインフラのみでは、十分な防災効果が得られなくなってきている。他方、田畑、溜め池、森林等の涵養力・復興力を活用した防災対策(Eco-DRR)が注目されている。グレーインフラとの併用により防災機能を強化する必要がある。したがって、グリーンインフラの利活用が課題である。
1.3再エネの導入(電力自給拡大の観点)
2050年カーボンニュートラル社会実現のために化石燃料使用削減を図る必要がある。そのためには、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の最大限の導入が重要である。国内の電源構成に占める再エネの割合は、22.9%(2023年)である。国は、2040までに構成比率を40~50%程度に水準を高める計画である。したがって、再エネの導入が課題である。
2.最重要課題及びその解決策
最重要課題は、再エネの導入とした。理由は、電力自給拡大に貢献するだけでなく、あらゆる社会課題を解決していくための基盤となると考えたからである。
2.1再エネの種類検討及び現地踏査
地域に最適な再エネを導入するために、再エネの種類を検討する。具体的には、太陽光、風力、バイオマス等の再エネの種類の中から、効果的なものを選定する。その際、再エネ情報提供システム(REPOS)や環境アセスメントデータベース(EADAS)を活用し、効率的・効果的に選定を行う。不足情報を補うために、現地踏査も実施する。
2.2現地環境調査及び評価
再エネ施設設置に伴う周辺への影響を調査するために、環境調査を実施する。具体的には、大気、水質、騒音振動、悪臭等の環境項目について施設設置前に測定を実施する。さらに、設置後の影響を予測する。対象地域に適用される環境基準や規制基準値と比較し、設置後の基準適合性を評価する。
2.3影響の低減策の実行
基準値を超過する場合、または周辺環境への影響が懸念される場合には、影響の低減策を実行する。施設設置後に、環境法令を遵守した稼働を行うために、予め計画段階に低減策を盛り込む。これにより、スムーズな再エネの導入を図る。
3.波及効果と懸念事項への対策
3.1波及効果
再エネの導入により、電力自給率が高まる。それだけでなく、化石燃料使用削減による脱炭素やカーボンニュートラル社会の実現に向かう。さらには、気候変動の緩和に繋がるなどの波及効果が期待できる。
3.2懸念事項への対策
再エネ施設の稼働により、周辺地域への騒音振動の影響等により苦情の発生が懸念事項として挙げられる。これへの対策は、苦情内容と施設の稼働の因果関係を調査する。必要に応じて、低減策を実行する。また、設置計画段階から、住民を交えて説明会を実施し、理解納得を得るよう対応する。
4.業務遂行上必要となる要件・留意点
4.1技術者の倫理の観点
再エネ設置に伴う影響を適切に評価するためには、法令や告示に基づいた方法で調査・評価を行う必要がある。その際、精度良く信頼性の高い数値の提供により、公平公正な影響評価の実施に留意する。
4.2社会の持続可能性の観点
再エネ施設の継続的な稼働のために、環境モニタリングを実施する必要がある。その際、継続的な環境モニタリングを実施し、適用法令の基準適合性を正しく評価することに留意する。
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講評
問題文の趣旨
第五次循環型社会形成推進基本計画の中で提示された3つの重点分野(資源循環、地域循環と地方創生、国際資源循環)のうち1つ以上を選び、①多面的観点からの技術課題抽出、②最重要課題の解決策提示、③波及効果と懸念事項への対応、④倫理と持続可能性の観点からの要件を論じることが求められています。
ポイントは「観点の明示」「課題は提案型表現」「専門技術用語の活用」「一貫した構成」です。
評価・講評
(1)課題①:下水汚泥の利活用(肥料確保の観点)
(1)課題②:グリーンインフラの利活用(防災の観点)
(1)課題③:再エネの導入(電力自給拡大の観点)
(2)最も重要な課題とその解決策(再エネ導入)
解決策1:再エネの種類検討及び現地踏査
解決策2:現地環境調査及び評価
解決策3:影響の低減策の実行
(3)波及効果と懸念事項への対策
波及効果
懸念事項への対策
(4)業務遂行上必要となる要件・留意点
技術者の倫理の観点
社会の持続可能性の観点
総合所見と今後の方針
今回の答案は、全体として構成や論理はしっかりしており、特に(2)と(3)の記述は具体性があり好印象です。
一方で、課題文の提案型構文への統一や、重点分野との関係付けがやや弱いため、その部分で数点の減点が生じます。
採点目安:100点中 62点(合格ライン60点をやや上回る)
この水準であれば、口頭試験に向けて準備を進める価値が十分あると思います。
今後は以下を意識されると、さらに楽勝で合格点となると思います。
このままの構成力と実務的な視点を維持しつつ、ほんの少しだけ観点と提案型表現を整えれば、十分合格圏に届く答案になると感じます。
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問題
騒音に係る環境基準(道路に面する地域の環境基準)、航空機騒音に係る環境基準、及び新幹線鉄道騒音に係る環境基準それぞれについて、対象音源による違いをまじえて、評価量の算出方法及び環境基準の達成状況の把握方法を述べよ。
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解答
1.道路に面する地域の環境基準に関して
1.1評価量の算出方法
適切に騒音を把握できる位置について、昼間と夜間の等価騒音レベルを測定する。時間区分ごとのエネルギー平均値を求め、これを評価値とする。
1.2達成状況の把握方法
評価量を類型指定に基づく環境基準値と比較する。対象地域において、基準を超過する戸数及び超過割合を求めて、達成状況を把握する。
2.航空機騒音に係る環境基準に関して
2.1評価量の算出方法
当該飛行場において離発着する航空機の単発騒音及び地上騒音を測定する。これらの騒音から時間帯補正等価騒音レベル(Lden)を求め、これを評価量とする。
2.2達成状況の把握方法
Ldenと対象地域の類型指定に基づく環境基準値と比較することにより達成状況を把握する。
3.新幹線鉄道騒音に係る環境基準に関して
3.1評価量の算出方法
連続して通過する20本の最大騒音レベルを測定する。このうち上位半数のものについてエネルギー平均値を求め、これを評価量とする。
3.2達成状況の把握方法
対象地域の類型指定に基づく環境基準値と比較することにより達成状況を把握する。
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講評
問題文の趣旨
本問題は、道路に面する地域・航空機・新幹線の3つの騒音種別について、対象音源の特性を踏まえた評価量の算出方法と、環境基準達成状況の把握方法を説明することを求めています。
重要なのは、測定や評価方法の手順だけでなく、音源ごとの評価指標の違いや計算方法の特徴を示し、それぞれの基準達成の判断方法まで具体的に述べることです。
(1)課題①:道路に面する地域の環境基準
(1)課題②:航空機騒音に係る環境基準
(1)課題③:新幹線鉄道騒音に係る環境基準
総合判定
採点目安:100点中 65点(合格)
基礎はできていますので、口頭試験対策に移る価値があります。
今後の勉強方針
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問題
A市が毎年実施している環境調査について、あなたの所属する機関Bとは別の機関Cが継続受注していたが、本年度はあなたの所属する機関Bが受注した。環境調査・測定を実施したところ、A市の担当者から、本年度の測定値が過年度の傾向とは異なっているとの指摘を受け、その原因について説明を求められた。なお、本年度も含めこの6年間は、社会経済的には大きな変化はなかった。
当該調査の担当責任者として原因を説明する資料を作成するに当たり、以下の問いに答えよ。なお、解答に当たっては、指摘を受けた測定項目(騒音の場合には対象音源)を1つ想定し、「大気、水質、土壌、騒音」のうち選択した分野とともに最初に明記すること。
(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)調査、検討を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
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解答
選択分野:騒音(騒音の対象は道路交通騒音とする)
1.原因究明に当たり調査、検討すべき事項
1.1機関Bと機関Cのデータ比較
測定データの妥当性を確認するために、機関Bと機関Cの測定データを確認する。具体的には、道路交通騒音の観測時間、時間区分、評価値ごとの数値を比較する。これにより、測定データの問題の有無の検討材料とする。
1.2機関Bと機関Cの測定方法の確認
測定方法の問題の有無を確認するために、機関Bと機関Cの測定方法を確認する。具体的には、A市の要求仕様や告示・マニュアルに基づき適切な方法で行ったか調査する。また、機関Cとの測定方法を確認し、測定方法の差異の有無を検討する。
1.3使用機器及び解析方法の確認
測定データの信頼性を確認するために、使用機器や解析方法を調査する。具体的には、騒音計の検定・校正記録、データ解析方法、報告値の決定方法等を確認する。これにより、測定データの信頼性の有無の検討材料とする。
2.業務遂行手順及び留意点・工夫点
2.1関係者との協議及び計画立案
円滑に業務を遂行するために、A市担当を交えた関係者と協議し計画を立案する。その際、目的や役割分担の明確化に留意し、業務の方向性にずれが生じないよう配慮する。また、適宜打合せの実施を行えるよう、Web打合せを活用する等工夫する。
2.2原因究明調査の実行
調査、検討すべき事項で記載した内容をもとに原因究明調査を実施する。その際、測定に係った測定員の力量、使用機器、測定データ、報告値など網羅的に調査するよう留意する。また、調査内容に根拠を持たせるための信頼性確保に工夫を要する。
2.3報告書作成及び報告
調査報告書を作成し、関係者に報告を実施する。その際、A市担当者の理解納得を得るために、信頼性の高い数値や根拠を示すことに留意する。また、機関Bに問題がある場合には、再発防止や再測定の実施を提案する等工夫を要する。
3.関係者との調整方策
3.1A市担当者との調整方策
適切に原因究明を行うために、機関Cの報告書を提供してもらう。また、機関Bに問題がある場合、再発防止や再測定等の実施に関して指示をもらう。
3.2機関Bの関係部署との調整方策
機関Bの技術部門、品質保証部門等の関係部門と品質上の問題の有無について協議する。必要に応じて、再発防止策の実施や他部門への水平展開を行い、業務改善を行う。
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講評
問題文の趣旨
本問題は、過年度と傾向が異なる環境測定結果が得られた場合に、その原因を責任者として論理的に究明する能力を問うものです。
「この6年間に社会経済的変化はなかった」という前提は、外部環境の変化ではなく、測定条件・運用手順・機器や解析方法など測定プロセス内部の差異が原因である可能性を示唆しています。
解答では、この推定を起点に、①測定条件(位置・気象・時間帯・音源特性等)の比較、②運用手順(設置方法・時間設計・除外基準等)の検証、③機器・解析方法(機器性能・校正・評価式等)の確認といった具体的な視点を提示し、段階的かつ系統立てて原因に迫る構成が求められます。
さらに、その調査手順での留意点や工夫、関係者との調整方策までを含めて示すことが必要です。
(1)課題①:機関Bと機関Cのデータ比較
(1)課題②:機関Bと機関Cの測定方法の確認
(1)課題③:使用機器及び解析方法の確認
(2)業務遂行手順及び留意点・工夫点
2.1 関係者との協議及び計画立案
2.2 原因究明調査の実行
2.3 報告書作成及び報告
(3)関係者との調整方策
3.1 A市担当者との調整
3.2 機関B内部の関係部署との調整
総合判定
今回は残念ながら、出題者の意図とややずれてしまった部分が見受けられました。こうした“答えが見えにくい”問題に対しては、単に「確かめます」「注意します」といった一般的対応だけでは解決に結びつきません。問題文の裏に隠れた出題者の趣旨との整合性が十分に示しきれなかったところがあるかもしれません。専門的見地から、例えば自動車騒音であれば支配因子(交通量・車種構成・速度・交通流(渋滞/信号制御)・路面/勾配・沿道反射・測定位置/高さ・気象(風速/風向/気温)・季節差・機器設定・平均化時間 など)を一つずつ具体的に分析し、細部にわたって吟味・対処していく姿勢が求められます。
今後の方針
このような「答のない問題」に戸惑われる方は少なくありません。しかし、出題者の意図を丁寧にたどれば、正解の輪郭は必ず明確になってまいります。実は環境測定で同様のケース(令和4年 Ⅱ-2-1)がありました。経験豊富な方が同様な形式に苦戦されていましたが、当講座で視点設計→仮説設定→検証設計の型を身につけ、最終的に克服されて正解の方向へ到達されました。
もしよろしければ、答えがなくとも正解にたどりつる思考練習を本研究所でご一緒されませんか。環境測定のこの出題傾向は近年継続しておりますので、抜本的対策をされることをおすすめいたします。「答えのない問題」系にめっぽう強くなれることを保証いたします。
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問題
令和5年6月30日に中央環境審議会会長から環境大臣へ意見具申がなされた「今後の水・大気環境行政の在り方について」では、国内における個別の重点課題として、光化学オキシダントや新幹線鉄道騒音等の環境基準達成率の低さ、湖沼や閉鎖性水域の水質汚濁、土壌汚染といった残された課題に加え、再生可能エネルギー等の導入に伴う大気環境や騒音への影響等の新たな課題に向けた対応に尽力すべきとされている。こうした現在の技術課題に対して、環境測定の技術者として、以下の問いに答えよ。
解答に当たっては、「大気、水質、土壌、騒音」の中から1つの分野を選び、最初に明記すること。
(1)多面的な観点から、選択した分野で重要と考える技術課題を3つ抽出し、観点を明記したうえで、それぞれの技術課題の内容を示せ。なお、上記の問題文に例示した技術課題を含めてもよい。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
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解答
選択分野:騒音
1.騒音に係る現状の課題について
1.1騒音モニタリング方法の改善(効率化の観点)
騒音の測定は、測定員が現地に赴き、準備、測定、片づけを行う方法が一般的である。その後、帰社してからのデータ解析や報告書作成を行うため、顧客への結果報告に時間を要する。そのため、デジタル技術等を活用した効率化、省人化を図る必要がある。したがって、騒音モニタリング方法の改善が課題である。
1.2効果的なモニタリング地点の選定(費用の観点)
適切な騒音環境を把握するためには、騒音の種類ごとに測定を行う必要がある。具体的には、道路交通騒音、航空機騒音、風車騒音等が挙げられる。ただし、騒音の種類ごとに網羅した騒音測定を行うためには、測定機器や人材等の多くの費用が発生する。そのため、優先度を考慮した効果的な騒音環境の把握が重要となる。したがって、効果的なモニタリング地点の選定が課題である。
1.3予測技術及び影響評価技量の習熟(人材の観点)
ある地域に工場等の施設を新たに設置する場合、周辺への騒音影響を把握する必要がある。これには、騒音の測定技術だけでなく、予測技術や影響評価等の知識が必要となる。ただし、これらの技量を習得するには、多くの知識・経験が必要であり、人材育成に多くの時間を要する。したがって、予測技術及び影響評価技量の習熟が課題である。
2.最重要課題及びその解決策
最重要課題は、騒音のモニタリング方法の改善とした。理由は、測定の効率化・省人化だけでなく、騒音対策等の次段階の施策への迅速化に繋がると考えたからである。以下にその解決策を記す。
2.1現行のアナログ測定の見直し
騒音測定の生産性向上のために、現行のアナログ測定の見直しを行う。具体的には、測定、データ解析、報告書作成等の各工程に掛かる時間・人工を試算する。これをもとに、改善が必要な工程の優先度を調査し、導入すべきデジタル技術の選定を行う。
2.2デジタル技術の導入及びデモ運用
選定したデジタル技術を導入し、デモ運用を開始する。具体的には、IoTセンサー付きの騒音計、データのクラウド転送技術、AIによる大量データ解析等の技術を導入し、時短化・省人化への効果を確認する。これにより、本格導入への足掛かりとする。
2.3運用体制の構築及び評価
デジタル技術を活用した測定を円滑に進めるために、運用体制の構築を進める。マニュアルの整備や教育訓練を通じてスムーズな導入を図る。導入後には、導入前後の時間・人工等の改善効果を具体的な数値で評価を行う。一定の効果が見られた場合には、他の工程への水平展開を図る。また、アナログ測定とデジタル技術を活用した測定との比較を行い、数値の妥当性を確認する。これらを通じて、モニタリング方法の改善を図る。
3.新たに生じうるリスクとそれへの対策
3.1サイバーセキュリティリスク
測定データのクラウド転送時やAIによるデータ解析時に、第三者による不正アクセス、データ改ざん、ウイルス感染等のサイバー攻撃のリスクが生じうる。これへの対策は、セキュリティインシデントマニュアルの作成・活用を行う。マニュアルには、データの暗号化、アクセス権限、二要素認証等について網羅的に明記する。これをもとに、従業員教育を実施し、従業員のサイバーセキュリティに関するリテラシーを高める。
3.2アナログ測定への対応困難
IoTセンサーの故障やクラウド転送の不具合等が生じうる。その場合、データ補完のためにアナログ測定の必要性が生じうる。ただし、アナログ測定に熟知した人材の不足により、測定への対応が困難になる可能性が発生しうる。これへの対策は、測定マニュアルを整備するのはもちろんのこと、熟練者によるアナログ測定の操作方法や解析手法について、動画マニュアルを作成・活用する。これをもとに、教育訓練を実施し、緊急時への対応に備える。
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講評
問題文の解説
本問題は、中央環境審議会が示した
1. 未解決課題(光化学オキシダント、新幹線鉄道騒音、湖沼や閉鎖性水域の水質汚濁、土壌汚染など)
2. 新たな課題(再生可能エネルギー導入による大気・騒音への影響)
この2つの課題群について、環境測定技術者としてどのように取り組むかを問うものです。選択分野における技術課題の抽出、最重要課題の選定と複数の解決策の提示、さらに実行後に想定されるリスクとその対策まで、体系的に論じる力が求められます。これらの課題はいずれも発生機序が複雑で、一般には知られていないため、専門家でなければ適切な分析や対応が困難であり、技術士としての高度な専門性と実務能力を直接測る題材となっています。
(1)課題① 騒音モニタリング方法の改善(効率化の観点)
1. 講評概要
現場作業の効率化や省人化という視点は、実務上重要であり評価できます。しかし、本問題は行政が指摘する未解決課題や新たに顕在化した課題への対応を問うものですので、単なる業務効率改善では出題趣旨から外れます。特に、DX化は従来から進められている一般課題であり、「未解決」や「新課題」という位置づけにはなりにくい点が惜しいところです。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
「風力発電施設由来の低周波音の観点から、常時遠隔監視技術を活用して長期変動特性を把握するモニタリング方法を確立する。」
(1)課題② 効果的なモニタリング地点の選定(費用の観点)
1. 講評概要
騒音源ごとの網羅的測定は重要ですが、費用面だけの切り口では専門性が弱く見えます。出題意図は、測定の重点化や地点選定を科学的・技術的根拠に基づき最適化できるかという部分にあります。ここに気象条件、地形、音源特性などの要素を絡めると技術士らしい課題になります。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
「新幹線鉄道騒音の観点から、沿線地形・防音壁配置・住宅密集度を考慮した測定地点を最適化し、限られた測定資源で最大の評価精度を得る。」
(1)課題③ 予測技術及び影響評価技量の習熟(人材の観点)
1. 講評概要
予測・評価技術の習得は確かに人材面での重要課題です。ただし、現状の書き方だと「時間がかかるから大変」という一般論に留まっています。本問題では、予測や評価の対象を未解決課題や新課題の具体例に紐付けて、人材育成の方向を示すことが求められます。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
「再エネ発電施設由来の騒音の観点から、数値流体力学解析と統計的音響モデルを活用した予測技術の習熟を進め、影響評価の精度向上を図る。」
今回の答案では最重要課題が「騒音モニタリング方法の改善」とされていましたが、出題趣旨に沿わせ正解の方向性を示すためるため、未解決課題や新課題に直結したモニタリング方法改善として講評します。
(2)最も重要な課題とその解決策
解決策1:現行測定手法の適正化と対象特化
1. 講評概要
現行手法の見直しは良いですが、単なるアナログ→デジタル移行では出題意図に沿いません。新幹線鉄道騒音や風車低周波音など、機序が複雑な音源に特化した測定設計にすることが必要です。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
「新幹線鉄道騒音の観点から、最大騒音レベル測定と等価騒音レベル測定を組み合わせ、運行条件別に評価できるモニタリング方法を確立する。」
解決策2:デジタル遠隔監視と長期連続観測
1. 講評概要
IoTやクラウド転送は有効ですが、ここでも一般的なDX化に留まらず、長期変動把握や季節変化・運行条件変化を捉える目的を示すと、専門性が高まります。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
「風力発電設備由来の低周波音の観点から、IoT騒音計とクラウド解析を活用し、風況・発電出力との相関を季節別に評価する長期連続観測体制を構築する。」
解決策3:運用評価と標準化
1. 講評概要
運用体制構築や教育は大切ですが、出題意図としては「新課題対応の標準化」まで踏み込むとよいです。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
「新幹線鉄道騒音の観点から、測定〜解析〜報告までの標準手順書を策定し、自治体間で共有可能な測定・評価プロセスを確立する。」
(3)新たに生じうるリスクとその対策
リスク1:特定条件下でのデータ欠損
1. 講評概要
遠隔測定や自動記録では、通信障害やセンサー誤作動によるデータ欠損リスクがあります。特に新幹線や風車のような運行条件依存の騒音では、欠損が評価の信頼性を大きく損ねます。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
「通信不良時には自動ローカル保存に切り替える二重記録システムを導入し、定期的に現地での手動バックアップ測定を併用する。」
リスク2:解析結果の社会的受容性低下
1. 講評概要
新課題騒音は評価指標や基準が確立途上のため、住民や事業者との認識ギャップが発生しやすいです。このため、データそのものの信頼性だけでなく「説明可能性」も重要です。
2. 評価できる点
3. 修正点
4. 参考回答
「評価結果を周波数分析図や時系列グラフで示し、一般住民向け解説資料を併用することで、データの透明性と社会的受容性を高める。」
総合判定
今回の答案は、構成自体は(課題抽出 → 最重要課題選定 → 解決策提示 → リスクと対策)という形を備えており、論述の順序は整っています。しかし、出題趣旨が強く求める「未解決課題(例:新幹線鉄道騒音)」や「新たな課題(例:風車騒音など再エネ由来)」に直結する内容とはやや違うようです。
特に(1)課題抽出では、業務効率化やDX化といった従来型テーマが中心であり、行政上の優先課題や顕在化した新課題への具体的対応という視点が弱い点が大きな減点要因です。出題者は「現状の行政課題に直接アプローチできる専門性」を見たいと考えており、その点で的外れになっている部分があります。
一方で、(2)・(3)では改善の方向性や導入手順が具体的に書かれており、工程の分解やデジタル化技術の導入検討など、記述の具体性は評価できます。仮にテーマ選定が適切であれば、この具体性は大きな強みに変わります。
総じて、答案全体は構成力と記述力は合格水準に近いが、課題設定が出題意図に沿わないため点数を落とす結果となる危険性があります。
合否点数(目安)
合計:58点/100点(不合格ライン)
今後の方針
今回の不合格要因は、文章力や工程の具体化ではなく、課題設定の方向性のずれです。出題趣旨との整合性が十分に示しきれなかったところがあるかもしれません。
今後の練習では、まず出題文中の「例示課題」に注目し、それらの物理的メカニズムや評価手法を知識として整理することが重要です。そのうえで、課題抽出段階から「新幹線騒音の評価精度向上」「風車低周波音の長期モニタリング」といった出題者が求める行政的・技術的テーマを軸に選定してください。
本講座で過去問演習を重ねることで、この「課題設定の正確さ」は確実に身に付きます。特に環境測定科目では、毎年こうした“行政課題直結型”の問題が出題されますので、今回の経験を活かし、次回は十分に合格圏内を狙えるはずです。
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建設業は社会資本の整備・管理の主体であるとともに,災害時における「地域の守り手」として,国民生活や社会経済を支える極めて重要な役割を担っている。一方で,建設業就業者は厳しい就労条件を背景に依然として減少が著しく,他産業を上回る高齢化や若年層の不足が進行している。また,資材価格の高騰や令和6年4月から建設業にも適用された罰則付き時間外労働上限規制等に対応しつつ,適切に建設工事等が実施される環境づくりも欠かせない状況にある。こうした背景も踏まえ,令和6年6月には,担い手3法(建設業法・公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律・公共工事の品質確保の促進に関する法律)が改正されたところである。
上記の取り巻く状況も踏まえて,持続可能な建設業を実現するために,以下の問いに答えよ。
(1)我が国の社会資本の整備等の担い手・地域の守り手である建設業がその役割を果たし続けるうえで,技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その技術課題の内容を示せ。(※)
なお,本設問における「技術課題」には建設業における構造上,制度上,管理上の課題も含まれるものとする。
(※)解答の際は必ず観点を述べてから技術課題を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その技術課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かびあがってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)を業務遂行において,必要な要件を技術者として倫理,社会の持続性の観点から述べよ。
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解答
1 担い手・地域の守り手の建設業役割の多面的課題
(2)人材面の観点から担い手・地域の守り手の確保
建設業は,年間労働時間が約2000時間と長く,3Kと言われ,若者や女性の就業率が低く離職者も多い。一方で発注者である市町村の土木技術職員の人数は,市町村の約50%が5人以下,約25%が0人である。よって,人材面の観点から,担い手・地域の守り手の確保が課題である。
(1)財政面の観点から地域インフラ群再生戦略マネジメントの展開:
約9割の地方自治体が,現状の予算では既存の道路等の施設を維持管理できなくなると懸念している。このため,行政区域に拘らずに維持すべき施設を検討する必要がある。よって,財政面の観点から,広域かつ多岐にわたる施設を「群」として扱う,地域インフラ群再生戦略マネジメントの展開が課題である。
(3)生産性の向上の観点からDX活用新技術の導入
高度成長期に築造された建設から50年を経過する施設の割合は,今後加速度的に増加する。担い手・地域の守り手が不足すると,急激に増加する老朽化インフラを維持管理することができなくなる。よって,生産性の観点から,DX活用新技術の導入が課題である。
2.最も重要な課題と解決策
最重要課題は,「DX活用新技術の導入」である。選定理由は,DX活用新技術の導入は,今後建設業がその役割を果たしていくうえで,必要不可欠と考えたからである。以下に,解決策を述べる。
(1)UAV・ドローンを活用した構造物の測量・点検
メンテナンスに必要な情報を効率的に得るために,レーザスキャナーを搭載したドローンで構造物を測量し,点群データとして取込み3次元図面データを構築する。そして,3次元モデルに点検結果を記録する。適用箇所は,橋梁や擁壁等の大規模な施設である。この技術により,点検者が足場を組んで目視点検した記録を図面に記録する従来の方法よりも,早く正確な点検が可能になる。
(2)BIM/CIM作成利用,AI技術による劣化診断
⑴で作成した点群データよりBIM/CIM作成する。さらに,ドローンが撮影したデジタル画像から,劣化箇所をAIで特定し,BIM/CIMデータに劣化箇所を表示する。例えば,コンクリートのポップアウトの検知にAIを適用し,ポップアウトの疑いがある箇所のみ技術者が詳細な点検や検査を行う。この技術により,点検者が足場を組んで詳細な点検を行うのに労力を削減でき,省人化・省力化に貢献できる。
(3) ICT建機による無人化施工
現場作業を効率化するために,ICT建機により,構造物の補修・補強を遠隔化・自動化する。例えば,道路のアスファルトのひび割れを自動検出し,そこにシール材を搭載したICT建機により,道路の補修を効率的に行う。建設業において,i-construction2.0を推進することが必要不可欠である。
(4) クラウドカメラによる遠隔臨場
発注者が行う工事の検査において,クラウドカメラを活用して,中間検査や完了検査を遠隔臨場により行う。これにより,検査を行う発注者の現場までの移動時間や,受注者の立ち合い調整にかかる時間を削減できる。
3新たに生じうるリスクと対策
懸念事項:データプラットフォーム標準化する過程において,フォーマットが合わなくなる懸念がある。
対策:データセンターによるデータプラットフォームの一元管理し,フォーマットを統一化する。
4技術者倫理,社会持続性の観点から要件,留意点
(1)技術者倫理の観点から
必要となる要件は,公共の福祉と安全を確保することである。また,データのセキュリティ対策と厳格な個人情報プライバシー保護である。
(2)社会持続性の観点
必要となる要件は,環境配慮の視点を持つことと構築して終わりでなく,常に継続して実施していくことである。
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講評
問題文の解説 (答案の傾向を踏まえて)
この必須Ⅰ(Ⅰ-1)は、「担い手3法の改正」や「時間外労働の上限規制」「資材高騰」といった前提を踏まえつつ、建設業が“地域の守り手”として持続的に機能するために、技術者の立場で具体的に何をするかを問う問題です。
ポイントは次のとおりです。
答案では、(1)の一部が命題の繰り返しに留まり、(2)のDXも「導入」止まりで適用条件・検証法が弱め、(3)(4)は**(2)とひも付いた具体性**が不足していました。以下、丁寧に整理します。
1 講評概要
全体として、DXや遠隔臨場・ICT建機の具体例を示された点は前向きで評価できます。一方で、(1)「担い手確保」は問題文の前提であり課題文になっていない、(1)「地域インフラ群再生戦略マネジメント」は制度・政策寄りで技術者の実務方針が読み取りにくい、(3)は**(2)で示した解決策と直結するリスクになっていない、(4)は要件の中身(基準・体制・手順)**の記述が薄い点で減点が重なります。
結論:ボーダー付近。骨子は良いので、「観点→課題(提案文)」「解決策の適用条件と検証」「解決策固有のリスクと対策」「倫理・持続性の運用基準」へ精度を一段上げれば合格圏に十分届く内容です。
2 今回の出題の趣旨(採点者が見たい要点)
3 再現答案への講評
問(1)
1. 講評
2. 評価できる点
3. 要改善箇所
4. 参考解答(例)
問(2)
1. 講評
最重要課題を「DX導入」とした選定は妥当です。さらに、適用条件(どの構造物・どの損傷・どの精度)、検証方法(地上サンプルとの照合など)、**役割分担(受発注者・コンサル・施工)**を明記すると説得力が増します。
2. 評価できる点
3. 要改善箇所
4. 参考解答(例)
問(3)
1. 講評
「データフォーマット不一致」は一般論で、(2)の解決策に固有のリスク(例:UAV・AI・遠隔臨場・ICT建機に紐づく実被害リスク)に置き換える必要があります。
2. 評価できる点
3. 要改善箇所
4. 参考解答(例)
問(4)
1. 講評
「公共の福祉」「環境配慮」だけでは抽象的です。**実装要件(基準・体制・手順)**に落として書きましょう。
2. 評価できる点
3. 要改善箇所
4. 参考解答(例)
4 今後の勉強
5 合否判定
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問題
令和7年4月道路法改正で災害対応への平時からの備えと有事における初動対応の充実が図られた社会的背景を述べよ。また,同改正における災害対応の深化の概要について説明せよ。
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解答
1.道路法改正の災害対応充実が図られた社会的背景
令和6年1月に発生した能登半島地震が発生した際に初動対応や道路啓開の遅れから,人命救助の遅れやライフラインの寸断等により,多くの犠牲者を出した。さらに9月には豪雨による複合災害が発生し,土砂崩壊や橋,道路等のインフラが被災し,多くの被害を受け,能登半島の復旧・復興は未だ道半ばであり,道路啓開や災害復旧を行っている状況である。また,埼玉県八潮市において発生した道路陥没事故も一つの要因である。
2.同改正における災害対応の深化の概要
新「防災道の駅」として全国の道の駅どうしで災害協定を締結し,BCP策定をしたり,隣接する道の駅や全国の道の駅からでも支援を受けられるように新たに新「防災道の駅」を設定した。支援としては,高付加価値コンテナ,キッチンカー,防災貯水槽,防災トイレ等の支援がある。道の駅駐車場の拡張等もある。
また,市町村における技術職員の減少等に対応し,効率的な道路管理を実現するため,市町村どうしの協議により道路の点検や修繕等を他市町村が代行できる制度として,連携道路制度を創設した。主に市町村が管理・運営する広域かつ複数の分野の施設を「群」として扱いマネジメントしていくことで必要な機能や性能を維持していく「地域インフラ群再生戦略マネジメント」にも有効である
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講評
問題文の解説(まず要点を整理)
本問は二段構成です。①「令和7年4月の道路法改正」で“平時の備え/有事の初動”が強化された社会的背景を、具体的事実とともに簡潔に述べること。②その上で、同改正が講じた災害対応の深化の中身(制度名・目的・効果)を、正式名称で漏れなく要約することが求められます。背景は、能登半島地震で顕在化した道路啓開の課題、自治体の技術系人員不足、老朽化、気候変動下での激甚化・頻発化を軸に据えるのが正筋です。制度の中身は、道路啓開計画の法定化、国による管理・復旧の代行(自治体管理の自動車駐車場・地方道路公社道路)、連携協力道路の管理特例、災害応急施設に関わる占用許可の柔軟化などを、正式語で列挙し、期待効果(初動短縮・広域連携・負担軽減)まで示すと評価が安定します。国土交通省+1ひど.orgパブリックコメント
1 講評概要
能登半島地震への言及や「初動対応・道路啓開の重要性」を背景に置いた点は良い出だしでした。一方で、中心テーマである法改正の具体措置が十分に書き切れておらず、「新・防災道の駅」など法律本文に直接規定されていない施策の説明に紙幅を割いたため、出題者の要求(法改正の中身と効果)との適合が弱く、配点の大きい知識確認部分で減点が嵩みます。制度名も「連携道路制度」ではなく**「連携協力道路の管理の特例」**が正式です。結論として、論点把握はおおむね良好だが、用語の正確性と網羅性不足により合格基準にわずかに届かない出来です(目安:56点)。ただ、構成の骨格はできています。正式名称への置換と制度列挙の補強で一気に合格圏に入る力があります。国土交通省ひど.orgパブリックコメント
2 今回の出題分の趣旨
3 再現答案への講評
問1(社会的背景)
問2(災害対応の深化の概要)
4 今後の勉強(短期で得点を伸ばすコツ)
5 可能性
論点の掴み方と文章の骨格はできています。今回は用語の正確性と網羅で惜しくも届かずという印象です。ここを整えれば十分に合格水準に乗る力があります。短い時間で修正可能な内容ですので、次稿では上記の「正式語+一文効果」を差し替えるだけで、得点は60点台半ばまで伸びるはずです。
総合評価(点数の目安)
56点(不合格ラインすれすれ)
※当研究所の推定評価であり、実際の採点とは異なる可能性があります。とはいえ、数行の補強で合格圏が見えている出来です。
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問題
都市部の地下空間では,ライフライン等の占用物件が輻輳しているうえ,地質や地下水等の詳細を把握しにくいため,仮設工構造物等も含めた安全な地下構造物の設計・施工が課題となっている。これらの状況を踏まえ,地下水位の高い幹線道路交差点での地下鉄駅に接続する地下道建設工事(開削工法(鋼矢板))の施工段階における仮設構造物の調査,設計及び施工計画を立案し実施する責任者として,下記の内容について記述せよ。
(1)調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
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解答
1.調査・検討すべき事項とその内容
(1) 調査事項
1)工事周辺の地形,地質,地下埋設物(下水道,水道管,電気,ガス,NTT・インターネットケーブル)や架空線や埋設物を調査する。ボーリング調査,地質,地下水位(ボーリング調査での孔内水位),ボーリング調査点数は予算の範囲内でポイントとなる数が多い程よい。
1) 検討事項
1)地下水位変動シミュレーション:矢板打ち込み時,開削後の水位の変動をシュミレーションする。
2)鋼矢板の構造計算:厚さ,根入れ長の構造計算を検討する。さらに地盤の液状化現象の有無を検討する。
鋼矢板設置後の盤ぶくれ・ボイリング等についても検討する。
2.業務を進める手順・留意点
(1)手順
1)調査:上記事項を調査する。
2)分析・検討:調査結果を分析し,それを基に上記項目を検討する。
3)計画:検討結果を基に,具体的な道路計画や施工計画を立案する。
4)設計:計画した内容に沿って具体的に設計する。
(2) 留意点
工事により,近隣住民の生活に支障が出ないよう,低振動,低騒音で施工する設計となるよう留意する。
(また地下鉄運行に支障が生じないよう留意する。)
(3) 工夫点
地下埋設物の種類が多く煩雑に交錯している。管理者の数も多く施工時期等が先行してたり,他の埋設物が入っていないことも考えられるため,地下埋設協議が完了したら設計に入る前に地下埋設共有プラットフォームのデータ構築をすべて完了させる。すべての埋設物が入っている図面上で設計・計画を実施する。
3.関係者との調整方策
(1) 発注者
発注者と随時,打ち合わせを行いながら,計画から施工方法について協議する。
((2)地下鉄道会社との協議)
(鉄道会社とは計画段階から,施工開始時期,期間,時間帯などについて協議して進める。)
(3) 各埋設物・架空線管理者との協議
地下埋設物の種類が多く煩雑に交錯している。管理者の数も多く協議にあたっては,設計計画に入る前に時間的余裕をもって事前協議を行う。
設計・計画が完了したら必ず確認了承を得ることとし,手直しがある場合再度協議設計を行うを繰返す。((4) 近隣住民)
(発注者が近隣住民に対し,工事前に説明会を開き,住民と対話して理解や了承を得る。)
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講評
問題文の解説(答案の特性を踏まえて)
本問は、地下水位の高い幹線交差点で、開削(鋼矢板)による地下道をつくる場面です。出題者は、施工段階を担う責任者として、次の3点を具体的に書くことを求めています。
1 講評概要
設問の意図(地下水・近接・ライフライン輻輳という都市特有の制約下で、仮設構造の安全性を中心に調査→設計→施工計画を具体に示す)が、答案では一般名詞の列挙や手順の抽象化に寄り、出題者の要求である「具体的・実務的」から少し離れました。
ただ、地下埋設共有プラットフォームの構築という発想はとても良く、(2)(3)の橋渡しになる強みです。ここに地下水対策(被圧判定・止水線・揚水の影響範囲)と変位・沈下の許容値設計+計測管理を補えば、答案の骨格は一段と良くなります。
総合評価(点数の目安):55点(不合格)
大変申し訳ありませんが、今回の答案は合格基準の60点にわずかに届かない見立てです。ただしこれは講座側の推定であり、実際の採点と異なる可能性は十分にあります。どうかご了承願います。
2 今回の出題分の趣旨
3 再現答案への講評
問1(調査・検討すべき事項)
問2(手順・留意点・工夫)
問3(関係者との調整方策)
4 今後の勉強(短期で効く整え方)
5 可能性
解答者様は課題の本質(輻輳・地下水・安全)を捉えようとする姿勢があり、データ共有の発想も良好です。今回は具体度と言い切りが足りなかっただけです。書き方の型に合わせて数行の具体化を加えれば、次稿で合格点到達は十分可能です。口頭試験でも生きる内容ですので、一緒に磨いていきましょう。
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問題
地球温暖化に伴う気候変動の影響により,自然災害の激甚化・頻発化などが懸念されている。気候変動対策の推進は我が国のみならず地球規模での対応が求められる喫緊の課題である。こうした状況の中,脱炭素化の実現に向けて,「グリーンチャレンジ」に取り組んでおり,建設部門全体でカーボンニュートラルに向けた施策を実施している。運輸部門のCO2排出量が多いことから,道路整備での取組みも求められている。このような状況を踏まえて,以下の問いに答えよ。
(1) 2050年カーボンニュートラルに向け,道路分野の取り組みを進めるにあたり,道路に携わる技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。
(2) 前問(1)で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) 前問(2) で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
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解答
1多面的な観点からの課題
(1) 効率面の観点から,いかに道路分野において低炭素化するか
運輸部門のCO2排出量は多く,特に自動車に占める割合が多い。したがって,道路インフラにおいても何らかの対策が必要である。渋滞解消のような走行性の改善は時間や経済面の効果だけでなく,燃費改善につながり,化石燃料の消費を減らせる。
(2) 制度面の観点からいかにカーボンニュートラルを推進できる制度を構築するか
低炭素化には,初期投資を回収する投資効果を数値化することが難しいため,民間企業が取り組みを始めにくい。さらに,企業による積極的な取り組みを控えている状況である。
したがって,制度面の観点からいかにカーボンニュートラルを推進できる制度を構築するかが課題である。
(3) 評価の観点から,いかに効果を検証できるようにするか
道路のカーボンニュートラル策は広域かつ多岐にわたる。しかし,それぞれの対策の効果を数値化することが難しい。効果算定はCVM(アンケート)によって算定する場合もある。したがって,評価の観点から,いかに効果を検証できるようにするかが課題である。
2最も重要と考える課題
上記のうち,「いかに道路分野において低炭素化するか」を最も重要な課題にし,以下に解決策を示す。
(1) 道路交通の適正化
三大都市の環状道路,地方部の高規格道路の整備や暫定2車線の4車線化など,道路ネットワークの構築を推進する。また,市街地等における渋滞ボトルネックを解消して交通を円滑化する。さらにETC2.0などのデータを分析したり,交通需要マネジメント(TDⅯ)を活用したりして、自動車利用の抑制・分散を図り,適正な道路運用を図る。
(2) 地域公共交通リ・デザイン交通プロジェクト
地方部は道路空白等が見られ,公共交通の再編を行うため,BRT・LRT等の地域公共交通リ・デザインや集約型交通ターミナル等を整備する。また,手段である小型モビリティ・スローモビリティ・MaaSが活用される環境整備,モビリティハブなどの交通結節点の整備を行う。また,化石燃料を使わずに済む自転車の通行空間も充実させる。例えば,自動車や歩行者との通行帯を分離した環境を整備するとともに,サイクルトレイン・サイクルバス、シェアサイクルなどの輸送手段の拡大を図る。
快適な歩行空間を確保するため,歩行者利便道路(ほこみち)の活用,生活空間における速度規制,進入抑制などを図る。
(3) 道路交通のグリーン化
道路空間への太陽光発電整備の導入など、再生可能エネルギー・蓄電池の活用を図る。
また,SA・PAや道の駅への急速充電器設置,燃料電池車のための水素ステーション整備等を図る。
近年では,舗装内に太陽光発電を設置する技術も開発され,公共交通ターミナル等の高層ビルの窓ガラス内に太陽光発電を設置する等と併せて整備する。
(4)道路のライフサイクル全体の低炭素化
橋梁・擁壁等の道路インフラの点検・診断・更新・新規のサイクルマネジメントを回し,道路施設のライフサイクルコストを低減する。このように整備費用全体のコストを低減することは,脱炭素化に貢献できる。さらに炭素をコンクリートの中に閉じ込めてしまう新材料や、中温化アスファルト舗装など、低炭素材料の導入を進める。
4新たに生じうるリスクとその対策
(1) リスク
CO2削減のためのハード対策の効果は検証が難しく,初期投資の回収確認が困難になるリスクがある。
(2) 対策
初期投資を回収し,効果を数値化する技術を民間連携やあらゆる研究機関も結集して官民連携で開発する。
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講評
問題文の解説(解答者様の特性を踏まえ補足)
本問Ⅲ-1は、道路分野の脱炭素をテーマに、
(1) 多面的な観点を明記して「〈観点〉の観点から、〈何をする〉」という課題文を3つ示し、
(2) そのうち1つを選ぶ理由(効果が大きい・実現性が高い等)を述べつつ、複数の解決策を技術応用で具体化し、
(3) (2)で自ら提案した施策ゆえに生じうるリスクと、その対策を専門技術で述べる、――という構成が狙いです。
この答案は方向性は合っていますが、(1)の課題文の型が「~するか」止まりで、“観点→課題(やること)”の言い切りが弱いこと、(2)で選定理由が未記載、(3)で自提案に起因する具体的リスクではなく一般的な評価困難にとどまった点で得点を落としています。
1 講評概要
総合評価(目安):58点(不合格)
大変申し訳ありませんが、今回の答案は合格基準の60点にわずかに届かない見立てです。ただしこれは講座側の推定であり、実際の採点と異なる可能性は十分にあります。どうかご了承願います。
2 今回の出題分の趣旨
3 再現答案への講評
問1(多面的な観点から3課題)
問2(最重要課題と複数解決策)
問3(新たに生じうるリスクと対策)
4 今後の勉強(すぐ効く整え方)
5 可能性
解答者様は、視野の広さと方向性の正しさがあります。今回は書き方の型とリスクの具体化で惜しくも届かなかっただけです。数行の言い切りと入れ替えで合格圏に入る力は十分にあります。丁寧に整えれば、口頭試験でも伝わる説明力につながります。次稿、ぜひ一緒に仕上げていきましょう。
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建設業は社会資本の整備・管理の主体であるとともに、災害時における「地域の守り手」として、国民生活や社会経済を支えるきわめて重要な役割を担っている。一方で、建設業就業者は厳しい就労条件を背景に依然として現象が著しく、他産業を上回る高齢化や若年層の不足が進行している。また、資材価格の高騰や令和6年4月から建設業にも適用された罰則付き時間外労働規則等に対応しつつ、適切に建設工事等が実施される環境づくりも欠かせない状況にある。こうした背景を踏まえ、令和6年6月には、担い手3法(建設業法・公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律・公共工事の品質確保の促進に関する法律)が改正されたところである。上記の建設業を取り巻く状況を踏まえて、持続可能な建設業を実現するために、以下の問いに答えよ。
(1)我が国の社会資本の整備等の担い手・地域の守り手である建設業がその役割を果たし続けるうえで、技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。解答の際には必ず観点を述べてから技術課題を示せ。なお、本設問における「技術課題」には、建設業における構造上、制度上、管理上等の課題も含まれるものとする。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち、最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から述べよ。
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解答
1.多面的な技術課題とその観点
(1)計画的インフラ保全の推進(コストの観点)
これまでのインフラ維持管理は、あくまで対症療法的な補修の側面が強く、施設の寿命を延ばす施策は不十分であった。結果、約7万橋が早急修繕が必要な状態にある等、施設の更新が一定時期に集中し、更新コストの急増が懸念されている。よって、いかに計画的にインフラ保全を推進するかが重要な課題である。
■いかに計画的に・・課題では提案が見えない。
(2)インフラ保全の高度化・効率化(技術の観点)
多くのインフラを管理する市町村では、メンテナンスに携わる人的資源が不足している。特に土木系職員の数が減少している中、メンテナンス業務の生産性向上に向けた取組が求められている。よって、如何にインフラ保全の高度化・効率化を図るかが課題である。
■やはり問題点の指摘だけで、効率化はわかったが、その具体的方針は見えない。
(3)土地利用変化への対応(まちづくりの観点)
人口減少等の進行に伴い、国土防災上重要な機能を果たしてきた森林や農地等、土地管理の担い手が減少している。結果、 管理放棄地や開発圧力低下による低未利用地等の増加が懸念されている。よって、いかに土地利用変化への対応を図るかが課題である。
2.最も重要な技術課題とその解決策
最も重要な課題は「計画的インフラ保全の推進」である。なぜならば、持続可能な建設業の実現に向け、最大の効果発現が期待できると考えるからである。以下にその解決策を述べる。
(1)予防保全型施設管理への転換
計画的インフラ保全を推進するには、予防保全型施設管理への転換をすべきである。具体的方策として、例えば橋梁では、老朽化した床版の取替といった大規模改修に至る前に、こまめに床版の補強・補修を行い、維持管理費用の最小化を図る。また、近接目視や叩き点検、AI診断等による健全度判定を実施し、優先度の高い箇所から補修する等、維持管理の投資効率最大化を図る。近接目視が困難な箇所は、点検の機械化や遠隔監視によるモニタリング等、先端技術を活用する。加えて、予防保全管理水準を下回る状態のインフラは、早期の集中的修繕を実施する。これらの取組により、予防保全型施設管理への転換が可能となる。
(2)インフラメンテナンス体制の確保
計画的インフラ保全を推進するには、インフラメンテナンス体制の確保をすべきである。具体的方策として、インフラを管理する地方公共団体等が適切なメンテナンスを行っていくため、定期的に研修や講習を実施する等、職員の技術力向上を図る。また、市町村の人不足・技術力不足を補うため、市町村が実施する点検・診断の発注業務を、都道府県等が受委託する地域一括発注の取組を推進する。加えて、各分野においてメンテナンス会議を定期的に開催し、管理者間で課題や好事例の共有等を行っていく。これらの取組により、インフラメンテナンス体制の確保が可能となる。
3.将来的な懸念事項とその対応策
(1)懸念事項
計画的インフラ保全が実現することにより、業務の高度化が想定される。結果、継続的に高度な専門知識を持つ人材が必要となるが、人口減少の進展等により、その担い手確保が困難となると懸念される。
(2)懸念事項に対する対応策
総務省の定義する「関係人口」の創出を支援し、担い手確保の拡大を図る。また、高度な専門知識を持つ人材の育成を強化することが肝要である。
4.業務遂行上の必要な要件
(1)技術者倫理の観点
技術者に必要な要件は、常に公衆の安全や健康及び福利を最優先に業務を遂行することである。また留意点は、常に公衆の視点に立った業務の遂行に心がけ、事業全体計画や個別の工事に対して、説明責任の履行と合意形成を図る行動をすることである。
(2)社会の持続性の観点
技術者に必要な要件は、地球環境の保全等、次世代に渡る社会の持続性の確保に努めることである。また、技術者にとって必要な留意点は、SDGsアクションプラン2023に掲げられている「省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会」を念頭に置き、経済と環境の好循環実現に向けて、担当業務を遂行することである。
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講評
問題文の解説(解答者様の傾向を踏まえて)
本設問は、担い手3法の改正や上限規制・資材高騰といった前提を踏まえつつ、**「地域の守り手」として建設業が持続的に機能するために、技術者の立場で“実務として何をどう設計・運用するか」**を問う問題です。
重要なポイントは次の4点です。
解答者様の答案は、方向性は妥当ながら(1)が問題点の説明に留まり提案文になっていない、(2)は一般論が中心で適用条件・検証の具体が弱い、(3)は“担い手不足”へ逆戻りし自案に固有のリスクになっていない、(4)は提案業務にひもづく要件が薄い、という点で減点が重なっています。
1 講評概要
2 今回の出題の趣旨
3 再現答案への講評
問(1)
1. 講評
記述は実態をよく捉えていますが、「課題」が提案文になっていません。観点を掲げたうえで、**“何を・どうするか”**を短い命令形に近い文で示すと得点が伸びます。
2. 評価できる点
3. 要改善箇所
4. 参考解答(例)
問(2)
1. 講評
最重要課題の選定は「効果が大きい」だけでなく、実現性(既存資産・人材・技術成熟度)や波及性を根拠に添えると強くなります。解決策は適用条件・精度基準・検証方法・役割分担まで踏み込みましょう。
2. 評価できる点
3. 要改善箇所
4. 参考解答(例)
問(3)
1. 講評
“担い手不足”は前提に戻るため、問2で自分が提示した解決策に固有のリスクを挙げる必要があります。
2. 評価できる点
3. 要改善箇所
4. 参考解答(例)
問(4)
1. 講評
抽象的理念ではなく、問2の提案業務に即した運用要件を、技術士倫理綱領・SDGsに結びつけて明示すると加点されます。
2. 評価できる点
3. 要改善箇所
4. 参考解答(例)
4 今後の勉強(短期で効く直し方)
5 可能性(合否判定の目安)
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問題
令和7年4月の道路法改正において、災害対応への平時からの備えと有事における初動対応の充実が図られた社会的背景を述べよ。また、同改正における災害対応の深化の概要について説明せよ。
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解答
1.社会的背景
令和6年に発生した能登半島地震や、市町村の技術系職員の減少、気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化を踏まえ、平時からの備えと有事における初動対応の充実、インフラ管理の担い手不足への対応、道路分野における脱炭素化の推進が急務となっている。
2.概要
(1)能登半島地震を踏まえた災害対応の深化
道路啓開計画を法定化し、実効性のある道路啓開を実施する。また、自治体管理駐車場等を災害復旧等の拠点として活用するため、国土交通大臣が管理代行できる制度を創設する。加えて、トイレコンテナ等の平時配置促進のため、その占用許可基準を緩和し、設置に対して無利子貸付制度を創設する。
(2)持続可能なインフラマネジメントの実現
道路管理者協議により、道路点検や修繕を他の自治体が代行できる連携協力道路制度を創設する。
(3)道路の脱炭素化の推進
道路管理者が、道路脱炭素化推進計画を策定する枠組みを導入する。また、道路構造に関する原則に脱炭素化の推進への配慮を位置づけ、脱炭素化に資する施設等の占用許可基準を緩和する。
(4)道路網の整備に関する基本理念の創設
道路の効率的・効果的な整備、防災機能確保、脱炭素化の推進等を定めた基本理念を創設する。
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講評
問題文の解説(要点整理)
本問はⅡ-1型で、(A)社会的背景と(B)改正で講じた「災害対応の深化」の中身を、条文に即した正式名称と狙い→効果のセットで簡潔に述べることが求められます。背景は、①令和6年能登半島地震で顕在化した道路啓開の初動遅れ・孤立集落、②自治体の技術系人材不足、③施設の老朽化、④気候変動に伴う激甚化・頻発化の四点に整理するのが安全です。深化の中身は、道路啓開計画の法定化、国の代行制度(自治体管理の自動車駐車場/地方道路公社道路の復旧等)、連携協力道路の管理の特例、災害応急施設の占用許可の柔軟化などの制度名を明記し、初動短縮・広域連携・負担軽減という効果に結びます。
※「行政の施策」という抽象語より、**“法改正で定めた制度”と具体に書くと評価が安定します。
※「深化」は見出しから“法定化・代行・特例化・柔軟化”**の動詞で示すと伝わりやすいです。
1 講評概要
背景の四点(能登・人員・老朽化・激甚化)に概ね触れられており、論点の外しはありません。加えて「道路啓開計画の法定化」「国の管理代行」「占用許可の緩和」など中核措置も押さえています。一方で、用語の正確さ(正式名)と条文中核の網羅にやや粗さがあり、「深化」を見出しで言い切る設計が弱いため配点の大きい知識確認で取り切れていません。さらに、無利子貸付等の予算・運用寄りの施策に紙幅が寄っており、Ⅱ-1の指示「問われた事項に答える」から少し離れました。総じて内容水準は合格域に届くものの、仕上げの精度で加点を逃した印象です。
総合評価(点数の目安):62点(合格)
※当研究所の推定評価です。実採点とは乖離しうる点をご理解ください。口頭試験を見据え、用語と因果の整え込みを早めに進めましょう。
2 今回の出題分の趣旨
3 再現答案への講評
問1(社会的背景)
問2(改正における“災害対応の深化”の概要)
問3(周辺事項の扱い:脱炭素・基本理念)
4 今後の勉強(短期で点を伸ばすコツ)
5 可能性
論点の掴み方と知識の広がりは十分です。今回は用語精度と紙幅配分の微調整が中心で、短時間の手直しで得点の上振れが見込める水準です。合格点にありますので、口頭試験に向けて今の切り口(背景→制度→効果)を30秒説明で滑らかに言えるよう整えていきましょう。
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問題
A市では、「自動車に過度に依存しない交通体系」の実現を目指す一環として、自転車の安全かつ快適な通行環境を計画的に整備するため、既に定めた「A市自転車活用推進計画」に基づき、「自転車ネットワーク計画」を策定することとなった。この計画を担当する責任者として、下記の内容について記述せよ。
(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
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解答
1.調査・検討すべき事項
(1)既存道路構造及び道路網の状況
自転車ネットワーク路線で結ぶべき、自転車の主要な発着地となる施設等の立地、自転車の主要な動線と考えられる既存の道路網、またそれら道路網における交通状況(自動車交通量等)、道路空間状況(車線数、幅員、路肩の有無等)、交通規制状況(規制速度、自転車通行止め等)等を調査する。加えて、当該道路が担うべき機能等の現状、将来の見通し等を検討する。
(2)自転車利用の状況
自転車利用エリアの広がりや、自転車通行量の多い時間帯などを調査し、地域のニーズに合ったエリアに対し、より実効性のある整備形態を検討する。
2.業務遂行手順、留意点、工夫を要する点
(1)事前調査
上記1で示した内容を、表やマップ、文書等で整理する。この際、以後の追加検討で活用しやすいよう、CADやGIS、ICT技術の活用といったデジタル化に取り組むよう工夫する。また、利用者の実態を踏まえることが重要であるため、現地で利用者にヒアリングを行い、調査結果に反映するよう留意する。
(2)計画立案
まず、自転車通行帯を設けたことによる車線数縮小した場合の交通量が処理できるか解析する。ここでは、車線数縮小に伴う、ピーク・方向特性、大型車混入率等の変化を考慮した時間単位の交通量を検証し、適切な車線数となるよう留意する。次に、その場合の渋滞予測を解析し、渋滞長が最小となる計画横断構成を設定する。歩道、自転車道とも交通量に応じた幅員とするが、歩道幅員は原則2.0m以上、自転車通行帯は1.5m以上を確保するよう留意する。
(3)シミュレーション・意見公募
立案した計画は、実行前にシミュレーションやA市市民の意見を反映させる。また、AI分析やスマート・プランニングの手法を採用し、利便性の向上に効果があるかどうかを確認するよう工夫する。加えて、パブリックコメントを実施し、A市の市民の率直な意見を計画に反映するよう留意する。
3.効率的・効果的に進めるための関係者との調整
業務を効率的・効果的に進めるため、バスやタクシー事業者、商業施設管理者、地域住民、道路管理者、交通管理者、A市長等で構成する調整会議及び現場実査を定期的に開催する。この協議会等で、それぞれの立場からの率直な意見を抽出し、対策計画にまとめる。また、自転車通行帯の設置により、安全で快適な自転車通行空間創出が可能となるが、通行ルールが複雑化し、一般車両等に対し新たな交通の制約が発生するおそれがある。このため、自転車利用ルールの整備や周知、自発的な利用ルールの遵守に関するインセンティブの付与等、利害関係者の利害を調整する。
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講評
問題文の解説
本問題は、A市が「自動車に過度に依存しない交通体系」をめざし、自転車利用を基盤にした都市交通政策を進めるにあたり、自転車ネットワーク計画を策定する責任者の立場で、調査・検討事項、業務遂行の手順と留意点、関係者との調整方策を問うものです。
出題者の意図は、単なる一般論の列挙ではなく、専門技術者として「何を重点に調査すべきか」「手順をどう工夫すれば効率的か」「関係者をどう動かせば効果的に進むか」といった、具体的で実効性のある提案力を確認するところにあります。
今回の答案では、自転車レーン整備の考え方や市民意見の取り込みといった重要要素を挙げられており方向性は妥当です。ただし、調査・検討事項の記述がやや網羅的で冗長になっている点、問2の「留意点・工夫」が調査・意見公募に寄りすぎている点、問3の「調整」が会議体中心で事務的な印象になっている点は減点要素となります。
1 講評概要
全体として、答案は問題文の要求を意識して構成されており、都市交通政策に関する理解も感じられます。しかし、出題者が期待する「単刀直入に方針を示す姿勢」や「技術士としての専門知見の活用」が弱く、一般的な行政文書に近い印象になっています。このため、内容の方向性は適切ながら、減点が積み重なり合格点にはわずかに届かない水準と考えられます。
2 今回の出題分の趣旨
3 再現答案への講評
問1 調査・検討すべき事項
問2 業務遂行手順、留意点、工夫
問3 関係者との調整方策
4 今後の勉強
5 可能性
大変申し訳ありませんが、今回の答案は60点には届かず、55点程度と推測されます。ただし、方向性は適切であり、表現や焦点の絞り方を改善すればすぐ合格圏に近づく力があります。現時点での改善余地は明確で、特に問2・問3で「技術士としての独自性ある視点」を加えるだけで合格点に到達できる可能性が高いです。
ご自身の着眼点はしっかりしており、伸びしろは十分にあります。仮に今年が不本意な結果であっても、次年度には確実に合格できる力を備えていると感じます。もし今年合格に近いとすれば、口頭試験対策を今から進めておくことも有効です。
総合評価:55点(不合格予想。ただし改善余地大)
ただしこれは講座側の推定であり、実際の採点と異なる可能性は十分にあります。どうかご了承願います。
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問題
地球温暖化に伴う気候変動の影響により、自然災害の激甚化・頻発化などが懸念されている。気候変動対策の推進は、我が国のみならず、地球規模での対応が求められる喫緊の課題となっている。こうした状況の中、脱炭素社会の実現に向けて、我が国全体の目標設定やその実現に向けた対策の強化が進められている。道路は、我が国の経済成長を支え安全安心な暮らしを確保する重要な社会基盤である一方、国内CO2排出量の多くを占めており、脱炭素に関わる役割と責任を積極的にはたしていく必要がある。このような状況を踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた道路の脱炭素化について、道路に携わる技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考え方を示せ。
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解答
1.多面的な課題とその観点
(1)ライフサイクル全体の低炭素化(技術の観点)
道路分野では、整備・利用・管理を合わせて国内CO2総排出量の約18%を占めている。カーボンニュートラル実現に向け、脱炭素に関わる役割と責任がある。よって、いかに建設から管理に至るライフサイクル全体の低炭素化を図るかが重要な課題である。
(2)道路交通の適正化(設計の観点)
交通渋滞等により、約4割の移動時間のロスが生じる等、経済損失につながっている。また、渋滞等によるCО2排出量は全体の1.3%に相当するため、主要渋滞箇所の緩和対策が求められている。よって、いかに道路交通の適正化を図るかが課題である。
(3)人流・物流の低炭素化(効率の観点)
自動車による移動の約4割が、5km以下の短距離移動となっており、1人乗りが中心である。また物流産業においては、働き方改革によるトラックドライバーの労働時間制限等により、輸送力不足や物流の停滞が懸念されている。よって、いかに人流・物流の低炭素化を図るかが課題である。
2.最も重要な課題とその解決策
最も重要な課題は、「ライフサイクル全体の低炭素化」である。なぜならば、脱炭素化推進政策において最大の効果発現が期待できると考えるからである。以下にその解決策を述べる。
(1)高効率な建設設備への転換
ライフサイクル全体の低炭素化を図るためには、高効率な建設設備への転換をすべきである。具体的方策として、例えば道路照明では、セラメタ等といった従来の灯具と比較して消費電力を約56%削減できるLEDへの転換を図る。またそのために、国・自治体・高速道路会社が連携し、LED道路照明を標準化するための技術基準の改定を推進していく。加えて、人や自動車に反応するセンサー照明等といった新技術の活用を推進することで、道路照明の低炭素化、延命化につなげていく。これらの取組により、高効率な建設設備への転換が可能となる。
(2)低炭素材料の導入
ライフサイクル全体の低炭素化を図るためには、低炭素材料を導入すべきである。具体的方策として、例えば東京都では、製造・施工温度を通常より低減できる中温化アスファルト混合物の事前審査制度を導入し、道路舗装工事全般に適用している。そこで、都だけではなく国や他の自治体、高速道路会社も連携し、中温化技術の標準採用基準を策定する。また、製造プラントが整った地域から導入を推進する等、協働で取り組んでいく。加えて、民間企業による低炭素材料の技術開発について、その技術支援や新技術の公共工事への採用等、特別なインセンティブを与えていく。これらの取組により、低炭素材料の導入が可能となる。
(3)予防保全による長寿命化の推進
ライフサイクル全体の低炭素化を図るためには、予防保全による道路インフラの長寿命化を推進すべきである。具体的な方策として、例えば橋梁では、床版の取替等大規模改修に至る前に、こまめに床版の補強・補修を行い、維持管理費用の最小化を図る。また、近接目視やたたき点検、AI活用等による高精度の健全度判定を実施し、優先度の高い箇所から補修する等、維持管理に関わる投資効率の最大化を図る。近接目視が困難な箇所については、点検の機械化や遠隔監視によるモニタリング等、先端技術を活用する。これらの取組により、予防保全による道路インフラの長寿命化の推進が可能となる。
3.新たに生じうるリスクと対応策
(1)新たに生じうるリスク
新たな施策を進めるにあたり、業務の高度化が想定される。結果、継続的に高度な専門知識を持つ人材が必要となるが、人口減少によりその担い手確保が次第に困難となるリスクがある。
(2)リスクに対する対応策
この対応策としては、総務省の定義している「関係人口」の創出を支援し、担い手確保の拡大を図る。また、高度な専門知識を持つ人材の育成を強化し、教育プログラムを充実させることで、担い手不足に対応し続けることが肝要である。
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講評
問題文の解説(解答者様の傾向を踏まえ補足)
本問Ⅲ-1は、道路分野の脱炭素について、
(1) 「〈観点〉の観点から、〈何をする〉」という“言い切り型”で3つの課題を示し、見出しは課題の要約にすること、
(2) 3課題のうちなぜそれを選ぶのか(効果×実現性)を明記し、複数の解決策を専門技術の手触りで書くこと、
(3) (2)で自分が提案した施策ゆえに生じうるリスクを挙げ、技術で抑え込む対策を述べること、が狙いです。
解答者様は方向性は適切ですが、(1)が「~するか」で止まり“言い切り型”になっていない点、(2)の選定理由が薄い点、(3)のリスクが“人材不足”など一般論に寄り、自提案(LED化、WMA、予防保全)に起因する具体リスクに踏み込めていない点で損をしています。とはいえ、材料・運用・維持の3層に触れており、骨格は良好です。
1 講評概要
総合評価(点数の目安):59点(不合格)
大変申し訳ありませんが、今回の答案は合格基準の60点にわずかに届かない見立てです。ただしこれは講座側の推定であり、実際の採点と異なる可能性は十分にあります。どうかご了承願います。
2 今回の出題分の趣旨
3 再現答案への講評
問1(多面的な観点から3課題)
問2(最重要課題と複数解決策)
問3(新たに生じうるリスクと対策)
4 今後の勉強(短期で効く整え方)
5 可能性
材料・設備・維持をバランスよく押さえられており、筋はとても良いです。今回は書き方の型とリスクの具体化で惜しくも届かなかっただけです。試験官によってはここを良く評価してくれて合格圏に入る可能性があります。次稿は上の「参考解答」を雛形に、ぜひ磨いていきましょう。口頭試験でも、いまの視野の広さは強みになります。
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