Q.これまで独学で5回受験し、B・A・AやA・A・Bまで到達したこともありますが、今回はⅠ・Ⅱ・ⅢがすべてB評価でした。合格するためには、何を改善すればよいでしょうか。
A.
技術士合格への道研究所では、必須Ⅰ、選択Ⅱ-1、Ⅱ-2、選択Ⅲの再現答案を確認し、知識や文章力が不足しているのではなく、道路技術者としての専門性の示し方と、設問間の論理構成が十分ではないと判断しました。
必須Ⅰでは、答案の観点が「ヒト・モノ・カネ」のような一般的な分類に寄っていました。しかし、この問題で必要なのは、「国際物流連関」「産業集積」「レジリエンス」など、経済成長に資する社会資本整備を評価するための判断基準です。また、課題も「不足している」と問題点を述べるのではなく、「国際物流連関の観点から、主要拠点間の輸送信頼性を高める広域ネットワークを再構築する」のような提案型で示す必要があります。
さらに、答案では「渋滞緩和によるCO₂削減」を波及効果としていましたが、これは解決策の直接効果です。波及効果としては、物流リードタイム短縮による在庫圧縮、製造業の国内回帰、地域産業や観光の活性化など、二次的・三次的な効果まで展開する必要があると指摘しました。
選択Ⅱ-1の道路法改正問題では、「道路啓開計画の法定化」などの主要な用語は書けていました。一方で、答案中の「直轄区間外における道路啓開が円滑に直轄代行できるようになった」という記述は、道路啓開計画と直轄代行という別の制度を混同しています。道路啓開計画では、優先ルート、完了目標時間、作業手順、体制、資機材配置を事前に定める制度であることを、正確に説明する必要があります。
また、高付加価値コンテナについて「無償貸付」と記述していましたが、正しくは「無利子貸付」です。このような正式名称や制度内容のわずかな誤りが、専門問題ではA評価とB評価を分けます。
選択Ⅱ-2の自転車ネットワーク計画では、自転車交通量、道路幅員、事故箇所、バス路線など、必要な調査項目は挙げられていました。しかし、調査項目を列挙するだけでなく、事故類型、交差点形状、速度環境、道路階層、バス停との錯綜などを分析し、それをルートや構造形式の選定にどう使うのかまで示す必要があります。
業務手順も「現況調査、ルート検討、構造検討、関係者調整」という作業順序にとどまらず、安全性、連続性、快適性、需要などの判断基準を設定し、自転車専用通行帯、物理分離型、混在型などを比較して最適案を選定する判断工程として書く必要があります。
関係者調整では、「意見を聞く」「協議する」だけでは主体性が伝わりません。例えば、事故リスク分析を根拠として警察に交差点処理の改善を提案する、バス事業者に停留所位置の再配置を求めるなど、自らの技術案を実現するために関係者へ働きかける姿勢が必要です。
選択Ⅲの道路脱炭素問題でも、「技術面」「財政面」「人材面」という一般的な観点ではなく、交通流の安定性、道路ストックの老朽化、耐気候性、モビリティ転換、物流効率など、道路からCO₂が発生する構造に根差した観点を設定する必要があります。例えば、「交通流の安定性の観点から、交通流の乱れを抑える道路構造・運用へ転換する」と課題を示すことで、道路技術者としての専門性が明確になります。
このように、今回のB・B・B評価は、知識不足や経験不足によるものではありません。一般論を道路工学の判断基準に置き換え、正式な制度名称を正確に使い、調査、判断、技術案、効果、リスクを因果関係でつなぐことで、A評価に届く答案へ改善できます。