Q.
過去問演習を進めていますが、省エネ、生産性向上、防災・レジリエンス、GXなどのテーマでは、課題や解決策が一般論にとどまり、電気設備分野としての具体性や技術的な深みを出せません。課題設定、技術キーワード、解決策はどのように整理すればよいでしょうか。
A.
まず、「省エネを推進する」「レジリエンスを高める」「DXを活用する」といった表現は、課題ではなく目的です。
技術士試験で課題として示すべきなのは、その目的を実現するために乗り越えなければならない技術的な困難です。
例えば、過疎地域の電力供給について、
自立分散型電力供給システムを構築する
と書くだけでは、まだ解決の方向を示した段階です。技術課題としては、
再エネ出力変動下での電圧・周波数安定維持
のように、何が技術的に難しいのかを明確にします。再生可能エネルギーは出力が変動し、蓄電池容量にも制約があるため、需給バランスや系統安定度をどう維持するかが本質的な技術課題となります。
課題設定では、次の順序で考えます。
1.社会的な目的を確認する
2.目的の実現を妨げる技術的障壁を抽出する
3.障壁を表す専門技術用語で課題を言い切る
4.その課題に直接対応する解決策を示す
例えば、電気設備分野では次のように整理できます。
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防災・レジリエンス
→ 系統停電時の電圧・周波数安定維持 -
省エネ・GX
→ 分散型電源、需要、蓄電池の協調運用 -
維持管理の省力化
→ 人員減少下での設備劣化把握の高度化
実際の答案でも、「再エネ出力変動下での電圧・周波数安定維持」「維持管理人員減少下での設備劣化把握の高度化」「分散型電源・需要・蓄電池の協調運用」と整理することで、課題が一般論から電気設備固有の技術課題へ変わっています。
次に、技術キーワードは、知識を多く見せるために並べるものではありません。技術的な困難を、専門家として簡潔に説明するために使うものです。
例えば、
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設備劣化把握
→ CBM、絶縁劣化診断、部分放電監視、熱画像診断、漏れ電流監視 -
電力系統安定化
→ グリッドフォーミングインバータ、BESS、アイランディング制御、分散協調制御 -
エネルギー最適運用
→ CEMS、VPP、MPC、AI需要予測、確率最適化、デマンドレスポンス
というように、課題と関係する技術を選びます。
解決策では、「何を導入するか」だけでなく、その技術がどの工学原理によって課題を解決するのかまで示します。
例えば、
BESSを導入する
だけでは不十分です。
グリッドフォーミングインバータを用いたBESSにより、系統停電時にも電圧・周波数を自律形成し、蓄電池充放電制御によって再エネ出力変動を吸収する
とすれば、採用技術、働き、効果が一つにつながります。
一般論にとどまる答案では、システムの仕組みや運用方法を長く説明している一方で、技術の核心が書かれていないことが多くあります。
高評価につながるのは、
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どの技術的障壁を解決するのか
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どの高度技術を適用するのか
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どの制御・診断・評価原理で成立するのか
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どの技術指標を改善するのか
を明確にした答案です。
したがって、まず課題を一般的な目的から技術的障壁へ掘り下げ、その障壁と解決策を専門技術で一対一に結び付ける練習を行うことが重要です。