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衛生工学部門 建築環境施設 H29Ⅲ-1 論文の解き方4

 2017年の衛生工学部門 建築環境施設、III-1問題について、引き続き解きかたを考えてみましょう。今回は4回目です。

問題を再掲します。

 建築関連5団体は、今日の地球環境問題と建築との係わりの認識に基づき、「地球環境・建築憲章」を制定し、持続可能な循環型社会の実現にむかって、連携して取り組むことを宣言している。先ず、その骨子となる5つの方針とその概要を述べよ。次に、各自の専門領域において、その方針を実現するための技術を3つ提案し、それらの概要と実現に向けての方法と課題を具体的に述べよ。

 課題解決能力に相当する問2、3を解いてみましょう。

建築関連5団体の「地球環境・建築憲章」の骨子となる5つの方針概要各自の専門領域において、その方針を実現するための技術を3つ提案し、概要を具体的に述べる実現に向けての方法と課題を具体的に述べる。

 問2と問3では、技術を3つ提案し、概要実現に向けての方法と課題を述べることとなっています。前回まで5つの方針の2つをあげましたが、今回は、最後のひとつの技術を挙げて解いてみましょう。

 3番目の技術は地球環境・建築憲を章の骨子となる5つの方針の4つ目、省資源・循環です。

 地球環境・建築憲章の骨子となる5つの方針では「建築は可能な限り環境負荷の小さい、また再利用・再生が可能な資源・材料に基づいて構成され、建築の生涯の資源消費は最小限に留められる。」と宣言しています。

 建築物の資源消費といえばコンクリート、鉄鋼、木材等の資源が相当しますが、ここは衛生工学部門、建築環境施設の視点から、水資源と非再生性資源、3R、ゼロエミッションの3つを取り上げることとします。これらの対応はそれぞれ次のようになっています。

1) 水資源保護

 雨水又は雑排水等利用システム各種節水システムの採用等により、水資源の消費低減を図る。

・建物規模、建物用途、地域性等を考慮し、排水再利用システム及び雨水使用システムの採用を検討する。

・水使用量の削減を図るため、節水コマに加えて、節水型便器など香水型機器の採用を検討する。

2) 非再生性資源の使用量削減

 環境負荷低減に資する資機材を使用するとともに、廃棄物の削減及び適正処理、資源の循環的な利用等を行い、総合的に環境負荷の低減を図る。

・躯体材料にリサイクル資材の使用を検討し、躯体材料以外でも舗装材などにリサイクル資材の採用を検討する。

3) 3R、ゼロエミッションよる再資源化  廃棄物を削減しできるだけ再資源化行うために分別管理する。  設備機器等については環境配慮設計が行われたもの を優先し、製品の軽量化、部品点数削減、再生資源の活用、希少材料の使用量削減などを検討する。

 こうしたことを考慮して解答すれば、正解は難しくはありません。 

理想的な解答例

省資源・循環における技術:雨水・排水の再利用技術

(概要)多元給水システムとして上水設備とは別に、雨水・排水の再利用水(雑用水)の2系統で供給し、上水使用量の低減を図る。 

(実現に向けての方法と課題)多元給水システムとして上水設備とは別に、雨水・排水の再利用水(雑用水)の2系統で供給し、水の有効利用を図る事で上水使用量の低減や環境負荷削減が効果的となる。また、原水量と再利用水の水収支バランスを考慮し、設備の稼働率を上げ処理機能を十分に発揮させることのできる有効水深の確保が求められ、イニシャル・ランニングコストの経済性のとれた計画が課題となる。 

 技術士衛生工学部門の試験では、空調や換気、水道、照明設備の知識が求められる一方で、設計をや設備設計の計算そのものが求められる場合もあります。このような場合に必要となる判断は、答案用紙の枚数の範囲で何を伝えるかです。

 試験答案では、実務の作業とは異なり、結果を採点して受験者の能力を測ることが目的です。このため

出題者は受験者の能力が顕著に現れやすいような問題形式をとる

ことが一般的です。逆に言うと、解答者は

答えを想定して、受験者の能力によって差が開きやすいような問題形式を想定すると正解の範囲が絞り込める

といえます。このため出題者の意図を把握して、かつ答案の枚数の範囲で表現できる技術者の能力が何であるかを考えることが正解を類推する上で役立ちます。

 実は不合格となる方の多くは、こうした正解のイメージを持たずに、出題者の意図を明確に把握することなしに、解答している場合が多いのです。この場合、曖昧模糊とした中で考えねばならず、正解の方向性がはっきりとしません。このような状態では、正解する確率は低下すると考えざるをえません。

 そこで本講座では、こうした出題者の意図を、試験の能力測定の目的や、解答の枚数、前提事項となる条件などから、正解と思われる範囲を狭く絞り込むことによって、結果として正解率を高める事を指導しています。

 本研究所では、論文の書き方の指導だけでなく、正しい判断力や取り組み姿勢、技術士にふさわしい考え方についても、音声ガイドを用いたコーチング電話面談指導によってご説明しています。基本に立ち返って考え方をしっかり理解することで合格力を高めることが可能です。

(1)骨子となる5つの方針とその概要

1)長寿命(概要)世代を超えて使い続けられる価値ある社会資産になるように、企画・計画・設計・建設・運用・維持される。 

2)自然共生(概要)自然環境と調和し、多様な生物との共存を図りながら、良好な社会環境の構成要素として形成される。 

3)省エネルギー(概要)建築の生涯のエネルギー消費は、最小限に留められ、自然エネルギーや未利用エネルギーは最大限に活用される。 

4)省資源・循環(概要)可能な限り環境負荷の小さい、また、再利用・再生が可能な資源・材料に基づいて構成され生涯の資源消費は、最小限に留められる。 

5)継承(概要)多様な地域の風土・歴史を尊重しつつ新しい文化として創造され、良好な成育環境として次世代に継承される。 

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