電話、スカイプによる指導内容ページトップへ >
この日のコーチングによる指導時間は10時00分から、35分間行なわれ,その受講者様は建設部門、道路科目を目指す方で、場所は愛媛からスカイプを用いて相談されました。
A市では、バイパスが完了し市内の交通状況に変化が生じていることから、中心部の4車線の幹線道路について、歩行者と自転車の輻輳による危険性や様々な地域課題の解決に向け、道路空間の再配分を検討することになった。この検討業務を担当する責任者として、下記の内容について記述せよ。(1)事前に調査する事項(2)業務を進める手順(3)業務を実施する際の工夫や留意事項
と言う問題に対して、(1)は、次のように解かれていました。
(1)事前に調査する事項:対象エリアを設定し、以下の調査を実施する。
1)設計交通容量算定時の計画水準(交通量・交通容量比V/C)を求めるため、12h道路交通量(車、自転車、歩行者)を調べる。
2)交通渋滞要因の排除を図るため、歩行者・自転車・車両相互の交通事故(事故形態ごとの死傷者数)を調べる。
3)将来道路網における混雑度を推計するため、対象エリア内の道路改良計画、都市計画等を調べる。
4)市街地の魅力向上を図るため、無電柱化計画に必要な道路を含む周辺の既存電力・通信線網、及び地上・地下物件を調べる。
5)緑化に必要な樹種選定のため、年間の平均気温、降水量を調査する。
1)は、一般的な道路設計の手順にける初期の作業である計画水準値を求めるための作業でした。しかしこの問題では前提条件がバイパス完成後の交通量減少に伴う車線数削減の計画ですから、一般的な調査ではなく、減少した交通量に対して車線数減した道路が有効に作用するかということをねらいとして調査すべきです。12h道路交通量自体は正解ですが、こうした「調査項目」を求める問題では、
調査の考え方がチェックされるため、調査項目とその狙い目的を明らかとする
とよいでしょう。
2)は「交通渋滞要因をなくすため、交通事故数を調べる」となっていましたが、渋滞するから交通事故が発生するのであって、その逆に交通事故から渋滞をなすことは難しいと考えました。(交通事故をなくすだけでは渋滞はなくならない)
渋滞現象とは、ささいなブレーキや車線幅減少によってどこでも起こりうる現象であるため、ここは
渋滞防止のために関係する道路の車線幅減少やブレーキにつながる道路勾配などの速度変動要因をくまなく調べる
必要があると考えました。
3)は問題ありません。
4)は「無電柱化のため電力・通信線網、及び地上・地下物件を調べる」とありますが、正確には地下空間の余裕(電線敷設エリア) の確認です。
5)「緑化のために平均気温を調査する」は一見正解なのですが、逆に気温さえわかれば樹木が決定できるのか、といえばそうでもありません。最も困難な樹種選定の判断は、実は気温などがわかっただけでは判断できないのです。地域的に植物の生育が期待できるか造園の専門家の視点で検討する必要があります。
この「調査事項」とは簡単に手計算やチェックでわかる調査項目ではなく、
専門業者に委託する様な難解で期間を要する検討事項
と位置づけてください。(2)で示す道路設計の作業手順に先立って、事前に検討すべき外注調査と位置づけて考えると良いでしょう。そうした狙いを示すことが必要だということです。
次に(2)解答は、
(2)業務を進める手順
1)現道を2車線に縮小する前提とした交通容量の解析
2)主要地点の交通量・混雑度推計
3)2車線道路に縮小、渋滞予測し横断構成の設定
4)歩行者、自転車、自動車相互の安全性確保のための通行空間計画
5)無電柱化による景観保護:電力配電及び、通信に必要な地中配管のスペース確保
6)沿道環境保護の緑化樹種選定
となっており問題ありません。
また、(3)は模範解答に相当する素晴らしい内容となっています。
(3)業務を実施する際の工夫や留意事項
1)車線数(2車線に縮小)は時間単位の検証する:交通量は地域や路線により時間変動特性を有するため2車線の妥当性検証は、それに応じた車線数を決定する必要がある。車線数縮小に伴う、ピーク・方向特性、大型車混入率等の変化を考慮した時間単位の交通量検証し適切な車線数とする。
2)細路交差点の集約化・改良し交差点容量向上する:車線数の縮小により細路交差点への新たな交通需要が発生する恐れがあり、細路交差点の効果的な集約化を行い右折交通量に応じた滞留長の確保、及び従道路側で小型車1台分の滞留スペースを確保する。
3)停車帯の設置による交通円滑化する:交通障害の原因となる駐車車両の排除のため、駐停車の需要を見越して沿道の商業施設への出入りや荷捌き場を設置する。
当初、このような個別の設計技術に関する留意点を書くことが答えとしてふさわしいとご自身ではお感じになっていらっしゃらなかったみたいですが、何度か検索を重ねた後に確信されたようです。
Ⅱー2問題では、問題の前提として個別の設計課題が与えられていいます。「A市では、バイパスが・・歩行者と自転車の輻輳・・道路空間の再配分・・責任者として・・」というあたりです。このため、
ケースを特定してその物件での特別な留意点を表すことが求められている
のです。
コーチング指導の素晴らしさがお分かりいただけましたか。本研究所では受講生様の進度に合わせて指導しています。論文の理解度が欠けていると判断ときや、業績についても新しい視点が必要と判断したときは、随時電話、スカイプにてご相談の時間を持つように講師の側からお知らせしております。このような方法で鉄道設計技士合格への道が最短となるよう努めています。