総合技術管理部門 H29論文の解き方4

 2017年の総合技術監理部門、記述式の論文、I-2問題について、引き続き解きかたを考えましょう。

問題は昨日のページをご覧ください。>

今回は総監としての総合力、課題解決力が問われる問い(4)です。

(4)あなたが取り上げた事業の「将来の課題」について,その課題を部分的にでも解決又は達成する方策について,次の1)〜3)に沿って示せ。

1) 前述した「将来の課題」のうち1つを取り上げ,その課題が顕在化した状況を想像し,その顕在化により引き起こされる影響を記せ。

2) 将来においてこの課題が顕在化した場合,部分的にでも解決又は達成するための方策を記せ。

3) 将来においてこの課題を解決又は達成するために現在から検討若しくは実施すべき方策を記せ。

 (4)の問題では、(3)の現在の課題に対して将来の課題が問われています。例年、総監論文では(3)(4)問題が合否の分かれ道となっており、注意が必要です。

 問題の回答は3段階に求められており、

将来の課題による影響今行える対策将来行なう対策のために今から準備すべきこと

の3つが求められています。

 こうした付帯条件の意味を正確に読み解いて、時間軸に沿って答えていくことが正解率を高めます。

(2)で述べた将来の課題として当初この方は、

  • 建物維持保全をする技術者不足(社会問題)
  • 建物の維持保全をするための調査件数が増え間に合わない

この2つを取り上げていました。

しかし、総監としての視点を表すなら、単なる建設事情の問題ではなく、総監の解決策につながりやすい課題を取り上げるのが良いかと思います。例えばこのような2つです。

  • ロボット化や機械化が進み雇用が減る
  • BIMデータにLC項目を盛り込み計画な維持保全管理

 (4)ではこのような2つの方向性へのいずれかに相当する解決策を提案すればよいのです。

好ましくない解答例

(4) 建物維持保全工事の将来の課題の部分的解決又は達成方策

1) -1将来の課題 メンテナンスフリーとなる建材を使用して維持費の削減。

1) -2影響 建物の供用年数を想定しLCCの構成を建設時にウエイトをおく。

2) 解決策 シーリング材に依存せずガスケット材で止水ラインを構成する。

3) 現在から検討すべき事項 建物の供用期間を明確にして維持管理にかかるコストを建設時にメンテナンスフリーの仕様で外装材を構成する。

 上記の解答は、建設部門施工積算科目としてはよくお考えになった内容だと感じております。しかしこの内容は残念ながら、総合技術監理の視点からは解答にそぐわない内容です。

 ガスケット材が耐久性に優れている事は事実ですが、そのことは建築材料の技術であり総監の技術応用とは呼べません。または維持管理コストがかかるからと言って、その後の費用を材料に上乗せしてメンテナンスフリーにする、という考え方は維持管理工学のたった観点から意味のある判断だと思いますが、その概念的思考が示されていないため、ただの対策としての結果だけでは、総監の視点が読み取れません

 このため、

まずは総監の視点で応用可能な対策を絞り込み、それに合わせて具体的な対策を提案する

のがよいと思います。

 例えば正解は次のような内容です。

理想的な解答例

(4) 建物維持保全工事の将来の課題の部分的解決又は達成方策

1) -1将来の課題 ロボット化や機械化が進み雇用が減る

1) -2影響 ロボット化進むことにより建設業の熟年工が減り,熟練工が持つ技術の伝承をする機会が減り,技術の質が低下する。 

2) 解決策 維持保全のための現状把握の調査は,センサーや自動計測のデータをIoT で解析し,熟練工の経験や勘に依存していた判断を,若いエンジニアでもシステムを用いて判断できるようにする。

3) 現在から検討事項  施工情報をビッグデータ解析により集約し,ORのシュミレーションにより,若いエンジニアが予見困難な事象についてバックアップを推進する。

 上記の解答は、総合技術監理の視点から具体的な提案がなされており、出題者の要求に沿って答えている好ましい内容であると言えそうです

 技術士総合技術監理部門の試験は、要求される内容が複雑で短時間で解答することが困難な為に、ともすると、ただ要求に対して工学技術で対処していくだけという内容になりがちです。しかし本来は、総合技術監理部門技術士としての巧みな対応が求められているわけでして、QC7つ道具やリスクマネジメント、PDPC法、マズローの段階説・・・など青本で学んだ総合技術監理の要素技術を駆使して、巧みに解決することが求められています。

 こうした出題者の隠れた要求に沿って丁寧に答えることが合格力を高めます。こうした試験の解答の裏側に潜む問題点については多くの受験者は理解しがたいものであり、たいていは気づかないで 減点されていると思われます。文部科学省では、上級エンジニアとしてのコンピテンシーとして、俯瞰的な視点や自らの専門分野と技術を超えた取りまとめ力を挙げており、問題文に数々の条件を付けることによって、それらのコンピテンシーを測ります。このため、

総合技術監理の5つの管理はひとつの見方にとどめ、それだけではなく俯瞰的な立場で巧みに取りまとめる解決策の提案が望ましい

ということです。

 本研究所では、この答案の添削のように、一般論ではなく、受験者の論文をごとにベストの提案は何かを指導しております。このため各自の業績についてヒアリングしながらコーチングを行ってまいります。答案としての構成がふさわしくないと感じられた時は、コーチングの手法によって

  • 事前に予定を確認し、相手のペースを尊重しながら行います。
  • 十分な時間を確保し、面談ではオープンに話し合えるセミナールームを用意しています。
  • 不安を取り除いてリラックスし、まずは受講者さんの緊張をほぐしてから取り組みます。
  • コーチングの入り口では状況を整理して方向性を定めて話し合いをします。
  • 目標を設定して解決のイメージを共有します。
  • 過去の成功体験を聞き、課題解決の目標達成のために活用できる資源をアップします。
  • 具体的に行動計画を作成し、実行に移しやすくします。
  • チェックシートで繰り返し確認し、添削で補いながらとにかく練習します。

このような事をお勧めしております。

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