H29年 金属部門、金属加工の答案について合格判定を致しました。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(17分24秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題

II−1−2 鋳塊のマクロ組織を構成する組織とその形成機構を簡潔に述べよ。また,鋳塊の結品粒微細化手法を2つ挙げ,その具体的な方法と微細化のメカニズムを述べよ。

解答

鋳塊のマクロ組織について

チル晶、柱状晶、等軸晶となる。各々の働きは以下のとおりとなる。

チル晶―溶湯を鋳型に注入して鋳型に接した部分から冷却されて、微細な結晶核が形成されてチル晶と呼ばれる。

柱状晶―チル晶で液相熱流方向に成長し続けてデンドライトからなる柱状晶を形成

等軸晶―鋳物の未凝固溶湯中から温度の低下とともに等軸晶が形成される。

ダイカスト法

 精密に作られた金型に溶湯を高圧で注入する方法である。溶湯圧入装置が溶湯保持炉中になるか否かでホットチャンバー方式かコールドチャンバー方式に分けることができる。スリーブに注入された溶湯は高速で射出されて金型に圧入される。金型は冷却効果が大きいのですぐに凝固して組織が微細化される。

遠心鋳造法

遠心力を利用して鋳造する方法で鋳型(横型、縦型)を回転させて金属を鋳込む方法である。通常と比較すると薄肉のものができる。

 遠心力で組織(介在物など)が微細に細かくなる。

結果両方法とも微細化されることによって強度も向上する。

講評

この答案は、ほとんどご指摘することがありません。模範答案に近いです。よくがんばりました。

II−1−4 高張力鋼の溶接で生じる遅れ割れ(低温割れ)について,その原因を3つ挙げ,それぞれの原因毎に防止対策を記述せよ。

溶接低温割れについて

<状況>

 溶接後、溶接部が200℃以下になったときに生じる。場合によっては数日経過してから割れるときもあり遅れ破壊とも呼ばれる。

<割れの状況>

 粒内の割れによる。

■ここまでの記述は問題文の前提条件と重複した前置きとなりますので書く必要はありません。求められているのは原因ですから単刀直入に書くようにしてください。

<原因>

①  水素の影響――水素の侵入による脆化

②  硬化組織

③  硬化部に一定の応力がかかる

<対応策>

①  水素の脆化に関して

 基本的には水素源を断つ。溶接棒の管理を水分など影響がないところに管理する。

②  ,③ 硬化組織及び硬化部に一定の応力がかかることに関し

基本的には予熱を必ず行う。

予熱の設定には拘束度を用いて行う。

また、多層熔接の場合パス間温度や後熱温度も管理して行う。

パス間温度 200〜400℃

後熱温度  720〜760℃

■こうやって2つをまとめてしまうと、出題者が要求している3つの原因を挙げたことになりません。要因を②③のに分離してそれぞれ説明して下さい。

問題

Ⅱ−2−1 プレス加工や鍛造において良好な品質や生産性を確保する上で,潤滑処理は極めて重要である。潤滑処理に関する以下の問いに答えよ。

(1)潤滑処理が塑性加工に果たす役割について述べよ。

(2)実際のプレス加工や鍛造では,加工毎にその加工に適した潤滑処理が施される。代表的な加工法を2つ挙げ,その加工に用いられる潤滑処理とその特徴を述べよ。

(3)それぞれの潤滑処理の問題点とその問題点を克服するための技術提案を述べよ。

解答

塑性加工のおける潤滑材の役割を 絞り加工、鍛造、圧延について記する

■この前置き文は、問題文で求められていることそのものですので不要です。解答として書くべきことを単刀直入に表現してください。

(1) 絞り加工

 基本的に絞り加工における潤滑材の役割は成形性の向上となる。潤滑油の適用以外に成形性の向上のためにランクフォード値の良好な材料を使用する。パンチラジアス部の強化やフランジ部の加熱などによる再絞り加工などの対応もある。しかし、それだけではすべて絞り加工はすべて良好にならないので潤滑材による成形性の向上に対する重要性は大きい

■「役割」を書いているのは最初の文だけで、後の文は評価や内容に過ぎません。

(2) 鍛造加工

熱間鍛造の場合、工具を冷却して寿命向上が求められる。

温間の場合、成形性、潤滑性、離形性向上が求められる。使用される潤滑材として黒鉛系が主となる。

●冷間鍛造の場合

摩擦係数が低く耐焼き付き性向上に優れていることが求められる。また表面平滑度に優れていることがあげられる。

潤滑材として鋼ではリン酸系のボンデ処理を適用している。

(3) 圧延加工

熱間圧延と冷間圧延がある。

熱間圧延―ロールへの負荷軽減を小さくして摩擦係数を小さくすることが上げられる。あまり小さくなるとみこみスリップが発生するので注意を要する。現在の潤滑油はエステル系が用いられている。

冷間圧延の場合、熱間圧延と同様にロールへの負荷軽減を小さくして摩擦係数を小さくすることが上げられそのほかにロール傷の低減、表面の品質向上が上げられる。潤滑材としては今後エステル化が検討されている。

潤滑材の特徴と問題点(技術的提案を含む)

●鍛造について

冷間鍛造の場合リン酸系のボンデ処理は産業廃棄物になるので廃棄場所がなくなってきているので至急対応しなければならない。そのためには新規冷間鍛造の対応も必要になる。一例として板鍛造もある。

熱間では黒鉛系の潤滑油を使用するので環境の点から非黒鉛系を検討していかなければならない。

圧延の圧延潤滑油に金属石鹸のよごれは表面傷を防ぐために多量の熱間圧延油が必要なためにコストアップとなる。

対応策として長寿命圧延油の開発やろ過方法の開発が重要となってくる。

講評

試験答案ですので、問題文の要求に応じて回答を一つ一つ問題番号に対応付けながら書いていくことが必要です。問題文とは別に自由に書き進んでしまうと、答案形式としてふさわしくなくなってしまいますので、解答内容が違うという評価をされて大幅減点される危険性があります。

問題

Ⅲ−1 団塊の世代が定年を迎え熟練技術者が激減していくなか,技術・技能伝承についての対応がかねてから叫ばれている。また,近年では生産拠点のグローバル化への対応のため,海外拠点への技術・技能伝承の重要性も増している。以上の背景を踏まえ,以下の問いに答えよ。(1)技術・技能伝承を円滑に実施する上での,貴社の問題点を列挙せよ。(2)上記で挙げた課題の内,あなたが重要と考えた課題を2つ選び,その解決策を述べよ。(3)あなたの解決策を実施する上で生じるリスクや,それを回避する施策について広い視点から述べよ。

解答

1.      技術、技能を伝承する上の問題点について

現在の当社の問題点を記する

(1)まがり矯正技術の習得

普通ドリルのようにL/Dの小さい材料は焼き入れしても曲がらないので問題がないがL/Dの長い材料の場合矯正しないと製品とならない。曲がりを直すのは個人の能力に起因するところが大きく技能伝承のためにかなり苦労している状態です

(2)取りしろ削減するための溶接技術の確立

 刃材料と柄材料を溶接するとき両方とも生材を使用する溶接後の曲がりや熱処理後の曲がりが含めると2㎜ほどあり研削工程において非常にコストアップとなっていた。そのために新しい溶接技術を確立してコストダウンを達成しなければならない。

(3)         刃立てや溝切りなどの金属加工の技能確立

標準的な形状の場合形状も決まっているので設備での対応によって可能であるが一品一様で異なる製品の場合過去のデーターを参考にして加工を行わないとできない。その技術はやはり人に起因するところが多いので技能確立が問題である。

(4)ソルト焼き入れより真空焼き入れへの移行

 ソルト焼き入れは人が目でみて確認することが多いがまたソルトは環境に悪影響を与えることから早急に代替となる焼き入れの検討をすすめていかなければならない。そのために真空焼き入れにしていかなければならない。しかし真空焼き入れになると設備によるところが多いので両方となると技術習得がかなり難しい。

2.対応策について

(1)曲がり矯正技術の向上について

CAE解析技術を適用する。どれだけ矯正すればよいかをデーター蓄積してどのような材料がきても力のかかり方で矯正の度合いがわかる。これによって矯正にかかる時間も大幅に短縮でき、曲がり量も最小限度でおさえることができてコストダウンとなる。

■CAE解析技術は店提案として良い内容ですが、しかしこの技術がどのように問題を解決して、時間短縮や性能の向上に貢献するのか、その原理やプロセス、すなわち根拠について説明する必要があります。

(2)取りしろ削減するための溶接技術について

生材同志の溶接は取り代が多かったので、刃材を焼き入れ、柄材料を生材で溶接する技術を確立した。そのとき加圧条件、加熱条件を検討した。刃材が硬く 柄材料が軟らかいので変形抵抗が違うので条件を確立が困難であった。また刃材のほうが熱処理品であるので加圧して熱が発生したとき残存している残留オーステナイトがマルテンサイトに変態して割れが発生して問題があった。しかし刃材料の熱処理品をサブゼロ処理して完全にマルテンサイト化して割れを削減することができて技術として確立することができた。最終的には溶接後強度評価をして問題がないことを確認した。

■残念ながら上記の段落では何の課題をどのように説くのか、説明内容がよくわかりません。

(3)リスクとして設備導入などの点がコストアップとなるので対応策として海外での対応がある。

知的財産が弱い地域を中心に契約した技術以上のものが流出するおそれがある。

部品加工技術の浸透させるために教育をおこなっていくが発展途上国の場合現地従業員あまり浸透しないのを念頭においとおかなければならない。

また大きなリスクになるので先進国の特許技術を侵害していないか必ず調査しておかなければならない。問題がないときは必ず特許出願してリスクを回避してどこまでの技術を現地で行うかを考えておかなければならない。

また、海外で生産するときは下記のことに注意しなければならない。部品特性に必要な工程能力指数を算出して必ず量産試験を行って問題がないことを確認しておく。

■上記の段落では同じことが重複しています。

<技術レベルの確認>

材料を現地の素材を使用する場合、成分、組織を調査して国内との比較をして問題がないことを確認する。

<納期対応>

最終的に技術的な対応に問題なければ納期としても国内での場合と同等以上であるか確認する。

■リスクが何であるか、求められていることに対する答えがありません。チェックや対策法を書けばよいと誤解されているみたいです。

講評

 的確に点を取れる解答の書き方を学ばれて、楽勝で合格されることをお勧めいたします。

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