H30年 建設部門、施工・積算の答案について添削致しました。(1)

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この答案についての講評

施工法に関する具体的な答えが書かれていないようです。「問題がないようにうまくやる」という答えが多いですが、これでは建設・施工としての技術者の力が測れません。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(1分30秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

 続きの指導内容(15分55秒)もありますのでお聞き願います。>

問題

Ⅱ-1-3   供用中の道路上空における橋梁新設工事において,考慮すべき公衆災害防止対策を3つ挙げ,それぞれについて概説せよ。

解答

道路上空における橋梁工事における公衆災害防止対策

①適切な架設計画とその管理

 一般的に、道路上空における桁架設工事は、一時的に道路を通行止め等行って作業される。そのため、作業の遅延等があれば直ちに交通に影響を与え、公衆災害となる。これを防ぐために、綿密に協議等を行い、綿密な架設計画を立てるとともに、現場での管理を徹底しなければならない。

②適正な足場及びベント等の仮設設備の設計

 橋梁工事においては、基本高所での作業となるため、左折設備として吊足場や仮受けのベントなどが設置される。これらは、通常一般車両等が通行する道路の直上あるいは近傍に設置されるため、崩壊に至った際には、即座に第三者災害となる可能性が高い。そのため、これらの仮設設備は、強風や地震等に対して安全であるように適切に設計され、現場に設置されなければならない。

③飛散養生等シート等物理的な養生の設置

上記を含めて、対策を行ったとしても、人間が行うことである限り、公衆災害の可能性をゼロにするのは不可能である。よって、現場において、養生シート等の設備など物理的に行いうる対策を、現場の状況を確認しながら随時に行う必要がある。

Ⅱ-1-4

 マスコングリートの施工に当たって,特に留意すべき事項を述べよ。また,その留意事項について,製造・運搬,打設・養生等の各段階において講じなければならない対策について概説せよ。

解答

マスコンクリートの施工について

―留意事項―

①コールドジョイントの発生

②コンクリートの品質の確保

③コンクリートの材料分離

④水和熱によるコンクリート温度の上昇

―講じなければならない対策―

製造・運搬(①、②、④に対策が必要)

 マスコンクリートの施工にあたっては、大量の生コンが必要となるため、プラントの選定が肝要である。安定した品質のコンクリートを供給できるように、事前の協議が必要である。また、運搬に際しては、運搬以時間を要し、生コンの品質やワーカビリティが低下することを防ぐため、交通状況の確認や、車両の確保などの準備が必要である。また、遮熱シート等による運搬中の温度管理も効果的である。

打設・養生(①、③、④に対策が必要)

 打設に際しては、躯体が大型であることより、①③の対策として、打継間隔の管理を行うこと、バイブレーターを慎重にかけることなどと、打設高さを低く抑える事が必要である。また、養生に際しても、躯体が大型であることより、水和熱が大きくなるので、養生期間中に散水を随時に行い、湿潤状態を保ちながら、温度を一定以下に保つ必要がある。

Ⅱ-2-2

 住宅街を通る幹線道路(幅員25m)の区域内に, 15m四方,深さ30mの立坑築造工事を,ソイルセメント地下連続壁による開削工法で計画している。当該箇所は,地下水位が高く軟弱地盤である

(1)当該工事を実施するに当たって,周辺の環境に影響を与えると考えられる事象を3つ挙げ,それぞれについて着目した理由と事前に調査すべき項目を述べよ。ただし,騒音と振動は除くものとする。

(2)前項で挙げた事象のうち2つについて,環境への影響の低減に有効と考えられる具体的な対策と施工管理上の留意点を述べよ。

解答

(1)周辺環境に影響を与えると考えられる事象

①事象:周辺地盤の沈下

  理由:立坑掘削時には、連続壁の変位や、立坑内 への出水等によって、周辺地盤の沈下が考えられるため。

調査項目:周辺の埋設管の有無(あれば標高等)

     周辺に民家があれば民家の家屋調査

     周辺道路の状況(標高等)

 ②事象:周辺の井戸かれ

  理由:連続壁の施工に伴い、地下水脈等をふさい    でしまった場合には、周辺で利用されている井戸が枯れる恐れがあるため。

調査項目:周辺の地下水の利用状況

     現地、周辺のボーリング調査

 ③事象:周辺地盤の陥没

  理由:当該地の地盤は、軟弱地盤で地下水位が高いとのことで、立坑内の掘削作業中において、ボイリング等の発生が懸念される。その場合には、その影響は地盤沈下にとどまらず、陥没を発生させる可能性も存在するため。

調査項目:現地でのボーリング調査

     周辺道路や民家、設備の状況等

(2)具体的な対策と留意点

①事象:周辺地盤の沈下

―具体的な対策―

 掘削時、周辺地盤の沈下を防ぐためには、施工計画に沿った深度の掘削と支保工設置のサイクルの順守や、薬液注入工法の実施による地盤強化が考えられる。

―留意点― 

 施工管理に関しては、先述のとおり、施工サイクル等の施工計画を順守して作業を行うよう管理すること。

周辺の地盤の状況の把握を随時に行うことである。周辺の道路や埋設管の直上等に観測点を設置し、標高等を管理することで現場の状況を把握する必要がある。

 対策工については、薬液注入工施工時には地下水位が高位であることから、薬液の逸散が懸念されること、当該工事による地盤の隆起に注意が必要なことである。

②事象:周辺の井戸かれ

―具体的な対策―

 連続壁施工に伴う、井戸かれ対策としては、リチャージウェル工法による帯水層への復水があげられる。

―留意点―

 施工管理に関しては、地下水位を観測孔等を設けて随時に確認し、小さな変化にも即時に対応することが必要である。対策工については、ボーリング調査の結果等も踏まえ、実施が必要であるのかを検証する必要があることである。

Ⅲー1

 建設業の労働災害による死亡者数は,安全設備や安全管理の充実により減少傾向にあるが,今なお,全産業に占める建設業の死亡者数の割合は最も高く,建設業の労働災害の防止に向けて,新技術の活用などにより,なお一層の取組が必要である。  これらを踏まえて,以下の問いに答えよ。

(1)建設業の労働災害において死傷事故の発生頻度が高い事故の型別(種類)を2つ挙げ,それぞれの事故が発生する要因となっている建設現場の作業内容や作業環境の特徴について述べよ。

(2)(1)の事故発生要因を受けて,様々な事故防止対策が行われているが,依然として,類似事故が発生している。このような状況を招いている背景と問題点について述べよ。 

(3)(2)の問題点を解決するための方策を挙げ,その効果と,それを普及させるために必要な取組について,あなたの考えを述べよ。

解答

(1)死傷事故の発生頻度の高い事故の類別

①転落災害

 作業内容:高層構造物の施工における足場の組立作業、足場上での躯体構築作業。橋梁工事における桁架設や吊足場での作業など

作業環境:安全衛生法の足場に係る改正や、それに伴う安全意識の向上などにより環境の改善は進んでいるが、足場組立作業や、橋梁工事における桁架設作業など、物理的に対策を行うことが難しい場面も見受けられる。

②はさまれ災害

作業内容:掘削作業などを行う際の手元作業や、重量物の楊重作業など

作業環境:バックホウなどによる掘削作業を行う際には、手元の人間がスコップ等で細かい部分を処理する相番作業が不可欠である。オペレーターと作業員に共通の合図を定めるなど対策は進んでいるが、狭い場所での作業などについては、対策が難しい現状もある。

 また、建設現場の重量物は、クレーン等にて楊重されるのが日常よく行われる作業であるが、作業半径、吊上重量の管理、吊具の点検、整備、作業半径の人払い等の全てが常に管理されているとはいいがたいのが現状である。

(2)類似事故が発生する背景と問題点 

―背景―

 類似事故が発生する背景としては、建設現場が各現場において、条件が大きく異なり、画一的な対策を行うことが難しいことに加え、建設業界の慢性的な人手不足と作業員の高齢化がある。

―問題点―

 建設現場の安全対策が、現場毎に検討が必要なことは先述のとおりである。当然、各現場での作業にあたっては、現場の特性や安全に関する事項の教育は行うが、慢性的な人手不足により、高度に技術を習得した作業員は、取り合いの様になってしまっているのが現状で、経験の浅い作業員が日替わりで現場に来るといった場面さえ散見される。こういった状況の中では、各作業員への教育、説明を行い、安全意識を高く保つのは限界があると考える。これに加えて、高齢の作業員については、自身の認知と実際の作業能力とのかい離や、純粋な身体能力の低下などの問題もある。

これらを踏まえ、作業員に対する安全教育のフォローアップや、人手不足の解消策が必要であると考える。

(3)問題解決の方策と必要な取組

 作業員の安全に関する意識の向上に資するフォローアップ等は、現行で行っている取組についてその頻度を上げて、行っていくしかないと考えるので、主に人手不足の解消について述べる。人手不足の解消のための方策としては、I C T等の活用、建設業界のイメージアップ、労働環境の改善があげられる。

 I C T の活用については、その導入による効率化で、必要人員の削減効果を期待する。また、そもそも危険作業の除去という効果も考えられる。

 建設業界のイメージアップ、労働環境の改善については、入職者を増加させ、長く働いてもらうことでの労働者の増加を目指すものである。

 前者については、すでに推進が国でも進んでおり、引き続き試行と水平展開をお願いしたい。普及を目指しては、地方自治体、民間の技術者の自己研鑽が必要である。適切に情報を収集し、導入可能な工事に積極的に利活用していくことが普及につながると考える。

 後者については、まずイメージアップについては、現在各企業が行っているT V C M 等は引き続き行ってもらいながら、インフラなどの存在意義などを訴えていく必要があるかと思う。学校や市民向けの出前講座など、基礎自治体として、できることが考えていかなければならない。労働環境については、一朝一夕でできるものではないが、現在進んでいる週休二日制の推進等をさらに進めるとともに、C M 方式や設計V E 等の結果が出てきている施策などのさらなる拡充によって、業界全体の効率化が必要と考える。

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