№22 R3年 上下水道部門 下水道の答案について添削致しました。 2021/11/22

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この答案についての講評

 試験結果は、ABBでした。今回の試験ではきっちり答案を作成されてよく頑張りました。ただし、技術士の専門性をアウトプットするような練習が不足していたのではないかと想像致します。マンツーマンコーチングでコンピテンシーを高めていけば楽勝で合格できます。次回試験に備えて、再現答案を修正して、まずは真の正解を確認されるようにしてください。音声ガイドのコメントをお聞き願います。

 これまで1回目受験されて、苦労されているご様子なので残念です。しかしこうした弱点があったとしても、コンピテンシーを高めていけば誰でも合格できます。技術士試験では、講師の言うとおりに語句を直しているだけでは合格出来ません。大事なのはご自身で正解を感じ取る、そして行動(提案)することです。この感覚を早く習得されて、合格を勝ち取ってください。ただし1回で合格するには正しく学ぶ必要があります。本講座ではマンツーマンコーチングで技術士コンピテンシーを引き出して一発合格するための指導をしておりますのでご参考にしてください。

 音声ガイドによるコーチング指導内容(22分56秒)がダウンロードされますのでお聞きください>

問題  Ⅰ-1  日本の将来人口は減少していくと予測されている。この人口減少により上下水道事業では、将来水需要の減少に伴う料金収入の減収や職員数の減少が見込まれている。一方、多くの施設は、老朽化が進行しており、更新時期を迎えつつある。このため、今後も安定して事業を継続していくためには、厳しい財政状況の下で執行体制の省力化を図ながら事業が進められるように上下水道事業の基盤強化を着実に進めていくことが求められている。

(1)上下水道事業に共通する事業基盤強化に関して、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで課題の内容を示せ。

(2 )抽出した課題のうち最も重要と考える上下水道に共通する課題を1つ挙げ、その課題 に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して生じうる新たなリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)業務遂行において必要な要件を技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

(1)     上下水道事業に共通する課題

職員の減少

 全国市町村の職員は、ベテラン職員の大量退職や人員削減により、ピーク時の平成9年より約3割減少している。全国1716市町村の内、7割は5万人以下であり、担当職員は5人以下である。日々の維持管理業務や老朽化施設の更新業務を行うにあたり、人員不足により支障をきたしている。そのため、職員の減少が課題である。                                      確保↑

②上下水道老朽化施設の更新増

 上下水道施設は、高度経済成長期に建設され、今後急速に劣化による更新が必要となる。全国の上水道管延長72万㎞、下水道管48万㎞、下水処理場は2200箇所と大量の施設がある。管渠の経年劣化により、上下水道管の破損による道路陥没や汚水の流失が発生し、国民生活や社会経済活動に影響をおよぼしている。効率的な上下水道の老朽化施設の更新が必要である。そのため、上下水道老朽化施設の更新増が課題である。

③上下水道施設更新費用の財源確保

 全国の市町村では、本格的な人口減少による水需要の低下や節水器具の普及に伴い上下水道使用量減により、使用料金の収入が減少している。全国の市町村の上下水道予算についても、事業の縮小や予算の削減が行われている。今後の施設更新費用と併せて施設の維持管理費を、どのように確保するかが重要である。そのため、施設更新費用の財源確保が課題である。

■技術士試験は行政の立場ではないので、省力化や低コスト化とするのが良いでしょう。

(2)     最も重要と考える課題及び解決策

 最も重要と考える課題は、「職員の減少」である。

その理由は、維持管理や上下水道老朽化施設の更新は今後増加していくため、人員が必要となるからである。

 課題に対する解決策について、以下に述べる。

広域化・共同化

 近隣の市町村と広域化・共同化により、職員の不足を補うようにする。1市町村だけでは対応できないことに、近隣市町村の人的及び技術力の助けを受ける。

広域化・共同化により、施設更新や維持管理業務に効率的に取り込むことができる。

②官民連携(PPP/PFI)

 職員の減少については、民間企業の資金や技術ノウハウを導入し、業務の効率化を図る。民間活力(PPP/PF I) による上下水道施設の更新を行うことにより、職員不足への対応が可能となる。また、維持管理業務についても、民間事業者への委託を行う。

(3)     解決策により生じるリスクとその対策

 上記の解決策に共通して生じる新たなリスクとしては、職員の技術の空洞化がある。広域化と官民連携することで、中小の市町村では技術的確認の能力不足により技術的なチェックができないおそれがある。その対策としては、官民で勉強会や研修会を実施して、技術の向上を図る。市町村の上下水道事業の職員については、基幹となる技術者は最小限確保しておく。必要な事業は、官側で行うようにする。

(4)     業務遂行において必要な要件

 上下水道事業の業務遂行にあたり、公共の安全である公衆の安全、健康及び福利を最優先に考えて行うことが必要である。

 社会の持続可能性の観点から、環境の保全に配慮し、上下水道施設を更新していく。

■ここは意味が違います。問2に書いた広域化、官民連携を遂行するのに、ただ最低限の仕事をするのではなく、技術士なら技術者倫理も高めてするはず。ついてはあなたは、仕事のやり方として、何をどう留意しますか・・という意味です。

例 地域のまとまりを考慮して、親近性の高いグループを作り広域化する。水道業務の差が生じないように平等性が保つため質的平準化を目指す。

問題文 II-1-2 分流式下水道における雨天時侵入水に起因する事象について、その発生原因を2つ挙げるとともに、管路施設での対策を述べよ。

(1)雨天時浸入水に起因する事象の発生原因

■「雨天時侵入水に起因する事象」とは何のことですか。「雨天時にマンホール蓋のかぎ穴から水が浸入する」のは水の侵入そのものです。題意の「雨天時侵入水に起因する事象」とは違うのでは?出題者の意図を読み違えていませんか。答えはこのリンクの2ページにあります。事象1〜3が宣言されています。

https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001342751.pdf

(事象1)処理場外にある汚水管のマンホール等からの溢水や宅内への逆流

(事象2)処理場外にある汚水管等から雨天時に増水した下水が公共用水域に流出

(事象3)処理場に流入する下水の一部を二次処理せず放流または流出

マンホール蓋のかぎ穴からの浸入

 雨天時に下水道マンホール蓋のかぎ穴から浸入することが原因である。

 対策としては、マンホール蓋のかぎ穴にゴムパッキンを設置して、雨水が入らないようにする。

■「鍵穴に蓋」ではシンプルすぎませんか。冷静に考えて正解とは信じにくいです。

②下水道管布設の施工不良による浸入

 下水道管路の埋設時に管の継手箇所について、施工不良によるすきまから雨水が浸入することが原因である。

 対策としちぇは、TⅤカメラ調査により浸入箇所を、特定し修繕・補修を行う。補修については、布設替えか更生工法により行う。平常時と雨天時との下水量の差を事前に調査しておく。

問題文 II-2-1 大規模な地震時においても下水道が有すべき機能を維持するため、既存の下水道施設への地震対策が必要である。そこで、重要な下水道施設の耐震化を図る「防災」と被災を想定して被害の最小化を図る「減災」を組合せた下水道総合地震対策を計画することになった。あなたが業務責任者として選任された場合、下記の内容について記述 せよ。

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する 点を述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

(1)     調査、検討すべき事項とその内容

 下水道施設の耐震化を図る「防災」と被災を想定して被害の最小化を図る「減災」を併せた下水道総合地震対策を計画するにあたり、調査、検討する事項について述べる。

■「調査、検討すべき事項」とありますので「・・を調査し、・・を検討する」という文でまとめると良いでしょう。

計画地区の地形・土質・地下水位を確認する。

②下水道全体計画、下水道ストックマネジメント計画、下水道耐震計画の内容を確認する。

③地域防災計画や地区防災計画を確認する。

④過去に発生した計画地区における地震のデータを確認する。

⑤過去の地震による下水道施設への被害の確認を行う。

■重要な下水道施設の耐震化、被害の最小化について何が重要かが見えていないようです。喩えていうと「知識0から始める」では専門家の答えとは言えません。

⑥作成済であるBCP(業務継続計画)の見直しを行い、水害対策や津波対策を新たに計画に取り入れる。

⑦重要な管渠ルートとその他の管渠ルートを調査する。

⑧今後、予想される地震の発生箇所を調査する。

⑧緊急避難路に指定されている道路に埋設されている管路や下水処理場の耐津波化について調査する。

具体的には、官の耐震化を計画する。管の布設替やマンホールの管接続部に可とう管を設置する。また、マンホールの浮上防止対策を計画する。下水処理場については、施設の耐震化・耐水化・耐津波化を実施する計画とする。BCPについては、作成済の計画を見直しする。津波対策や水害対策、そして停電時の自家発電設置の計画を行う。

■問1は対策を書くところではありません。

(2)     業務を進める手順と留意すべき点、工夫を要する点

 耐震化を図る「防災」と被害の最小化を図る「減災」を併せた地震対策とする。災害時において、避難所や医療施設への道路下に埋設されている管きょについては、優先的に耐震化を図る。下水処理場については、耐震化・耐津波化・耐水化を図る。

 BCP見直しについては、地域防災計画の内容に合う計画とする。

■手順ですから、時系列の4〜5の作業項目ごとにまとめると良いでしょう。

(3)     関係者との調整方策

 国や県、市町村内部の担当部局と十分に打合せ協議を行い、計画を作成する。

 地区住民との打合せについては、計画を広く周知するため、資料やホームページを用いて、「見える化」を図る。

■協議、見える化とは確かに必要ですが、それだけで専門家の取りまとめと言えるでしようか。

問題文 III-2 下水道事業は、人口減少による使用料収入の減少、老朽化施設の増加などの背景からより効率的な事業実施が求められており、また、降雨の局地化・集中化・激甚化に対する新たな防災・減災のあり方を検討する必要がある。さらに、人口減少社会における汚水処理の最適化、エネルギー・地球温暖化問題への対応なども求められている。

これら様々な課題に対して、持続的かつ質の高い下水道事業の展開を実現するためにICTの活用が推進されており、下水道事業の質・効率性の向上や情報の見える化を進める 責任者の立場として、以下の問いに答えよ。

(1)ICTの活用を推進して対応すべき課題について、技術者としての立場で多面的な観点から3つ抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(1)   ICTの活用を推進して対応すべき課題

■アンダーラインは不要です。

下水道職員の確保

 ベテラン職員の大量退職や人員削減により、全国の市町村の職員は減少している。全国1716市町村の内、約7割は職員が5人以下である。日々の維持管理や老朽化施設の更新において、職員の人員不足により支障をきたしている。いかに少数の下水道職員で効率的に事業を行うかである。そのため、下水道職員の確保が課題である。

■これは題意では求められていません

②下水道使用料の減

 人口減少と節水器具の普及により、上下水道の使用量は減少している。下水道の使用量も減少しており、下水道使用料金も減となっている。いかに人口減少時において、使用料収入を減少させないかである。そのため、下水道使用料の減が課題である。

■「I CTの活用、下水道事業の質・効率性の向上や情報の見える化・・」とありますのでこちらに集中するように。

③ICT設備導入の財源確保

 ICT技術を活用したデジタルトランスフォーメーションを行うには、ICT設備を導入する必要がある。ICT/IOTの設備については、初期投資の費用が高い。全国市町村は、人口減少による下水道使用料の減と併せて、事業予算の削減や事業の見直しにより、事業予算の確保が困難となっている。維持管理と老朽化施設の更新費用も必要となる。いかにI CT/IOT設備導入費用を最小限とするかである。そのため、ICT設備導入の財源確保が課題である。

■間接問題であって、本題ではありません。

(2)   最も重要と考える課題とその解決策

1)  最も重要と考える課題

 上記の課題のうち、最も重要と考える課題は「下水道職員の確保」である。

 理由:理由は下水道事業の維持管理や老朽化施設の更新には必要最小限の人員が必要であるためである。

今後、ICT技術を活用し業務の効率化を図るため担当職員が必要となるからである。

 以下に課題に対する解決策を述べる。

■ここは特に理由の求めがないので不要です

ICT/IOTによる下水道施設の効率化・省力化の管理

 職員不足に対応するため、下水道施設の管理にICT/IOT技術を活用する。下水処理場をどこからでも施設の運転を監視や操作を可能とする広域運転監視システムを導入する。処理場の日々の運転データや流入する汚水の量や水位を調節する。システム導入により、業務の効率化・省力化やコスト縮減が可能となる。また、施設の維持管理のデータについて、民間技術者が手入力していた作業を、自動化することで、業務の効率化・省力化を図る。

②官民連携(PPP/PFI)

 下水道事業の広域化・共同化と併せて、民間企業の技術・ノウハウ・人員を活用することで、維持管理業務の効率化・省力化を図る。維持管理にICT技術を導入し、官民双方の業務効率化・高度化を図る。

■こちらは手段的な事項であって、IOTからやや発散しています。

(3)   解決策に新たに生じるリスクとその対策

1)   ICT/IOTによる下水道施設の効率化・省力化の管理のリスク

サイバーセキュリティのリスクがある。

■コンピューターシステムに対してサイバーセキュリティではやや安直です。今日常識では。

技術士のⅢ試験とは下水道工学の応用力をチェックする試験です。

またIC

T/IOTシステム故障やシステム異常も考えられる。対策としては、システムへの第三者による侵入に対してはウイルス対策、設備に接続する認証システムを整備する。またデータのバックアップにより、別の箇所に保存する。

2)   官民連携(PPP/PFI)のリスク

官民連携において、官側に業務実施にあたり技術

力不足により、技術的チェックができない可能性がある。対策としては、国・県や第三者機関である日本下水道事業団に技術的チェックをお願いする。また、全国の先進地の市町村から技術的指導を受ける。

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