試験官の採点のしくみがわからないと点が取れない
技術士受験者の多くの方が、論文試験の採点のしくみをわからずに勉強されています。これは、しくみを理解することが難解だからにほかなりません。この採点メカニズムを分析することが当研究所の課題の1つです。このために文部科学省の技術士分科会の会議議事録を分析したり、過去問の出題傾向を毎年分析を行っています。そこから分かる出題者の答案採点を支配する原理を詳しくご説明しています。
採点の仕組みがわかることによって、無駄な記述をなくし、求められてる答えを単刀直入に書くことができます。これによって役に立たない暗記に忙殺されることが少なくなり、試験場でも楽勝で答案が書けるということです。
例えば平成28年の建設部門施工科目Ⅱ-2-2問題では、
幅10m、厚さ3m、高さ10mの鉄筋コンクリート橋脚の施行にあたり(1)初期ひび割れの原因を3つ挙げ解説せよ。
という問題が出題されました。具体的な10m、3m、10mと言う寸法が出題される事はこれまで少なかったのに、今回なぜこのような寸法が付記されたのかという趣旨が難解でした。この答えは簡単です。構造物の形状を3次元で明らかにすることにより、どの部分にクラックが生じやすいかを明確にイメージしてもらうためです。言い換えるとクラックが発生しやすい構造的な弱点をちゃんと見抜くことができるかと言う建設施工の専門的な能力を測っているのです。このような狙いがわかれば答えに迷う事はありません。発生しやすい箇所を特定して、その具体的な対策法を練れば良いだけです。
しかし多くの受験者はこうした狙いがわからずに、とにかく対策法だけを書こうとするためにメリハリのない答案になってしまいがちです。こうしてあちこちで減点を重ねることによって、だんだん合格が遠ざかっていくのです。もしも採点の仕組みがわかっているとしたら、迷うことなくひび割れ対策の必須ポイントについて絞り込んだ解答をまとめて楽勝で満点を取ることが可能です。