メールマガジン技術士合格への道 2011年 第5回
 今年こそ合格する 技術士二次試験合格講座
  ― 合格に必要な要件  その4 簡潔に単刀直入に述べる ―


 技術士二次試験を楽勝で合格するにはどうすればよいか。技術士合格への道研究所では過去11年間、数々の指導法の研究をしてきました。その結果、昨年に引き続いて今年の合格発表でも驚異的な成果を生みました。なんと、

合格率 65%、 満足度80%

という驚異的成果を生み出しています。
 技術士合格への道研究所では、「わかる指導、力の出る指導」を目指して「コンピテンシー理論+コーチング指導」を実践してきました。この一環として、日本橋セミナールーム開設や音声ファイルコーチングなどを行ってきました。
 今後とも技術者としての再考の資格、技術士の能力開発の専門機関として指導法の開発に努めてまいります。ぜひご期待ください。


1.はじめに

 技術士合格への道研究所では「わかる指導、力の出る指導」を目指して

コンピテンシー理論+コーチング指導

を行っています。

 「コンピテンシー理論」とは高い能力を発揮している人の行動特性であり、そのような能力開発理論を応用して効果的に技術者指導を行うものです。
 また、「コーチング指導」とは、論文添削だけでなく、答案の考察方法や解答姿勢、ご自分にピッタリの試験戦略を毎回口頭で解説して、かつご自身でも正しく考えられる思考力を養うものです。これらの考え方について、解りやすい動画を用意しました。
http://www.gijutsushi1.com/article/13435282.html

 技術士試験の評価尺度が何かは明かされていません。一説には4つの尺度なるものが言われていますが、つまるところ有能なコンサルタントの条件に他なりません。

 本マガジンでは、過去11年間の指導結果より合格に役立った本質的な考え方、「合格に必要な要件」を5回シリーズで紹介します。今回はその4回目です。

2. 合格に必要な要件とは
 本研究所の講座では筆記試験後に再現答案で独自の合否判定を行っています。そして、合格発表後に見直して合否判定の尺度を修正してきました。その結果、大きく5つの要件が浮かび上がってきました。それは、

(1)出題者の意図を正しく読み取る
(2)問題分析、課題立案、対応策の提案の展開
(3)技術を用いて問題解決していること
(4)簡潔に単刀直入に述べる
(5)「知るところを述べよ」とは「知識」ではなくノウハウ

といった5項目です。今回は、「(4)簡潔に単刀直入に述べる」について詳しくご説明します。


3. 合格に必要な要件その4「簡潔に単刀直入に述べる」

 技術士試験では設問ごとに試験官が要求する事項があり、それぞれの技術者の能力を表すポイントとなる事項が問われます。しかも試験であるため、採点の都合上、対象とする事項を明確にしておく必要があります。もしも、問題文の意味が何通りにも解釈できるとしたら、解が複数できてきて試験としての役目を果たしません。

 逆にここから言えることは技術士試験では、ねらいとする正解が存在しており、試験官がそのことを論文中で読みとれるまでは点がもらえないということです。このため、無駄な表現は省いてできるだけ単刀直入に求められていることを書き始めるべきです。

 しかし、現実にはそうできない場合が多いのです。なぜか? 前置きをダラダラ書いてしまうケースが後を絶たないからです。その理由は、

  • 不要とは思っていても誤解の無いようにいろいろ述べておきたい
  • いきなり本題に入るより、前置きで説明した方が話がわかる

と思われるのかもしれません。しかし、そのような不要な前置きが多くなると本質的な記述が少なくなってきて、結果として物足りない論文となってしまいます。

 論文の採点は読み終わった時点での印象が一つの判断根拠となり、結論がなかなか出てこない文章では物足りない不満が強まり、貧弱な印象だけが残ります。結果としてその受験者の能力は低いという評価が下されてしまうのです。

 この回りくどくて悪い展開を実際の答案例から見てみましょう。

3.1 建設部門必須科目の例

(1)H22建設部門、必須科目

 我が国の国土は厳しい地形・地質、気象等の条件下であることに加え、近年は社会的状況も大きく変化し、自然災害から国民の安全や生活を守ることがより一層求められている。
 建設部門に携わる技術者として、社会的状況の変化に対応して防災あるいは減災対策を行う上での課題を3つ挙げ、その内容を説明せよ。またこれらの課題に対して、国民の安全をまもる観点から今後どのような取組みを進めていくべきか、あなたの意見を述べよ。

 この問題の解答として次のような例を取り上げます。課題からです。


2.社会的状況の変化に対応する課題
2−1 高齢者を災害から身を守る安全対策
 高齢者の増加に伴い自然災害による被災事例が多発しているため、高齢者・乳幼児や財産を守らなければならない。さらに、高齢者は居住地域の自然災害箇所や避難経路、避難場所の知らない人が多く、居住地域における避難場所等の防災情報により一層の周知徹底を図る必要がある。
2−2 社会資本の長寿命化
 これまで蓄積された社会資本ストックは高度成長期に集中的に整備されてきた。その道路橋、水門など河川施設、港湾岸壁などは、20年後半分以上が築50年を越える。しかし、財政難のため既存ストックを有効に活用することが必要である。また、これまでの事後的管理は老朽化が進む社会資本ストック群に対して致命的欠陥が生じる可能性がある。


2−1について
 まずここでは第一文「高齢者の増加に・・」の文は現状の問題点を表しており、実は前章の現状の問題点の内容とダブっています。第二文「さらに、高齢者は・・」の文も現状の問題点に触れています。

ここでは本来は、

高齢者を保護するために避難体制を確立する
○○を利用して避難情報を伝達する

といったような方針を課題として打ち出すべきなのです。

2−2 について

 ここでも第一文「これまで蓄積・・」の文は現状の問題点を表しており、前章の内容とダブります。第三文「また、これまでの事後的管理・・」の文は、専門用語で言うと事後保全から予防保全への転換を求める内容です。

 ここでは本来は、

高齢者を保護するために避難体制を確立する
○○を利用して避難情報を伝達する

といったような方針をダイレクトに書いていけば良いのです。
また維持管理の技術的な方法論として、「予防保全」や「アセットマネジメント」といった専門用語を挙げて簡潔に表現すべきです。

 書くべき内容があるのに、それを取り上げないで答えにならない記述を続けていると、技術的な能力を疑われる危険性があります。それだけでなく、

「本当は答えがわからないから適当な記述でごまかしている」

と受け取られかねません。その場合は大幅減点です。

3.2 建設部門選択科目(トンネル)の例

H22建設部門、トンネル科目

 都市部の土砂地山において土被り1D(D:トンネルの掘削幅)以下で施工される山岳トンネルについて、次の問いに答えよ。
(1)覆工及びインバートの設計上の留意点を2つ述べよ。
(2)施工中に問題となる可能性がある現象を2つ挙げそれぞれについて対策の概要を述べよ。

 上記の問いに対して次のような解答がありました。設問(2)からです。


(2)施工中に問題となる可能性がある現象と対策
①ゆるみ領域の抑制
 山岳工法の切羽は、土被りの小さい場合、外力によっては緩み領域の拡大により地盤沈下を引き起こす可能性があるため、地山の強度に応じて、トンネル断面の強度,加背割,一掘削長の設定を行う。また、通常の施工では強度が不足して切羽の崩壊が予測される場合は、補助工法を・・


というように

 こちらの問題では

  • トンネル施工では切羽を安定させることが重要である。
  • 土被りの小さいトンネルでは外力による影響を受けやすい。
  • 緩み領域の拡大による地盤沈下を引き起こす。
  • 地山状況,立地条件等の周辺調査結果に基づき、施工する。

とか指摘していますが、これらはいずれも常識的なことです。それに工事は調査に基づいてするに決まっています。また、

・施工サイクルの効率化を図りつつ目的と状況に合致した組合せを・・

ともありますが、「効率化」も当然の目標であり、「目的と状況に合致した」も前提みたいなもので言うまでも無いことです。つまり、整理すると

  • あまりにも当たり前すぎることは書かない。
  • 上手にやるには何がカギとなるのか、その決定的なポイントに言及する
  • できるだけ専門用語を用いて説明する

と言えます。上記の例では次のように答えるべきです。

(2)施工中に問題となる可能性がある現象と対策
 施工中の最大の問題として、「ゆるみ領域の抑制」を挙げ、以下に各対策工を述べる。
a)ベンチカット工法による断面安定対策
 本工法での重要細目として3点を挙げる。
①掘削形状は5心円の偏平形状
②ショートベンチによる早期の断面併合
③機械掘削による低振動掘削
クラウン部の沈下が最小限に留まるように掘削形状はインバート付きの5心円偏平形状とする。この形状を更に安定させた状態で掘進する為、加背割りは上下2分割のベンチカット工法を採用し、早期の断面併合を行う。また土砂地山条件であるのでショートベンチまたはミニベンチとし、クラウン部の変位状況を見極めながら、ベンチ長の調整を行う。使用機械はブーム掘削機およびバックホウを併用し、低振動掘削で地山を極力緩めない方法とする。

4. 「簡潔に単刀直入に述べる」のまとめ

 技術士試験問題では

  • 人にわかるように書きなさい
  • 人に読んでもらえるように書きなさい
  • 奥さんに読んでもらってわかるように書きなさい

とかよく言われます。確かに解りやすいことは大事です。しかし、解りやすい説明を目指すあまり、文字数が多くってしまって、肝心の内容がしわ寄せを食って少なくなってしまってはしようがありません。

 つまり、解りやすいだけではなく、求められている必須の内容を記述しなければなりません。試験官はそうした答えの内容を文面から読みとろうとするのに、一向に答えとして有効な記述が無かったとしたら不満が残ります。「解りやすい」と「答えの内容」はトレードオフの関係なのかもしれません。

 1800字の答案で、「初めに」ではともかくとして「課題」や「対策」の項でなお前置きが多いと最後のページではフラストレーションが頂点に達してしまいます。そこで、安易に説明せずに必要最小限の前置きとして、出題者の要求、つまり本題にできるだけ文字数をさいて丁寧な説明をすべきなのです。

 では、どこまで解りやすく丁寧に書いて、しかもが答えの内容を詳しく書くべきか、その判断はどうすれば身に着くか・・・。これは添削を受けながら練習で学ぶしかありません。


■最近の指導より

  • 新しい問題を予測して、自ら能動的に勉強する

ことこそが技術士の本質なのです。

コーチング指導の様子は次のコーチング動画で説明しています。
http://www.gijutsushi1.com/category/1491372.html

 


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