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問題

II−1−2現在,二次電池は産業用,民生用として広く利用されている。実用化されている二次電池の例を2つ挙げ,それぞれについて以下の項目を説明せよ。

(1)原理と特徴

(2)実用化例

解答

(1) 二次電池の原理と特徴

①NAS(ナトリウム硫黄)電池

原理:正極にナトリウムを、負極に硫黄を、電解質にβ−アルミナを用いた二次電池。

特徴:大規模の電力貯蔵(工場、病院等)に用いられる。高温条件(300℃前後)で運転しなければならない。反応:2Na+5SNa5S

②リチウムイオン電池

原理:正極にコバルト酸リチウムなどのリチウム化合物、負極に黒鉛などの炭素を、電解質に有機溶媒を用いた二次電池。

特徴:エネルギー密度が高い(ニッケル水素電池の2倍)、電圧が高い、メモリー効果がない、過熱や発火しやすいため、安全対策が必要。

■ここは、NAS電池よりも汎用的なリチウムイオン電池を先に挙げて、①と②を入れ替えてください。

そして、NAS電池などという最新技術でなくとも鉛蓄電池でも構いません。この答案で求められているのは、二次電池としての原理だからです。この答案では、

  • なぜ電気が発生するか
  • どうして充電ができるか

といった二次電池としての機能が説明されていません。それが出題者の要求ですので、それさえきっちり述べれば十分なのです。

(2) 二次電池の実用化例

①NAS(ナトリウム硫黄)電池

・自然エネルギー(太陽光や風力発電)の出力平準化のための蓄電池として用いられる。

・工場や病院などの停電時のバックアップ用電池として用いられる。

②リチウムイオン電池

・携帯電話やスマートフォン、ノートパソコン等のモバイルバッテリーとして用いられる。

・ハイブリッド自動車(HV)や電気自動車(EV)のバッテリーとして用いられる。

問題

II−1−3 粒子(又は粉体)を取り扱う際に,液体中への粒子の分散状態が重要となる場合が多い。粒子の液体中への分散に関し,以下の問いに答えよ。

(1)分散状態の評価方法を2つ挙げて説明せよ。

(2)分散状態の制御方法(又は向上方法)を2つ挙げて説明せよ。

解答

(1)分散状態の評価方法の具体例

①ζ(ゼータ)電位の測定

 ゼータ電位とは、粒子が溶液に接触したとき、粒子と対になるイオンにより、電気二重層が形成され、この時に生じる電位差をいう。この電位を測定することで、粒子の分散または凝集状態がわかる。

②粘度の測定

 スラリーを流動させるためには、粒子間引力によって凝集した凝集塊を破壊する必要がある。このときの応力が大きければ粘度は高く、小さければ粘度は低い。よって、粘度を測定することで、粒子の分散状態がわかる。

 (2)分散状態の制御方法の具体例

①イオン濃度やpHを変化させる

ゼータ電位を変化させるような添加物を溶液に加え、分散状態を制御できる。例えば、イオン濃度を変化させ、粒子表面のチャージ状態を変える。また、pHを変化させることで、粒子表面へのプロトンの脱着により、表面電位を変化させることができる。

②高分子等による立体障害の付与

 粒子間引力によって凝集する粒子の間に、立体障害となる高分子などの添加物(例:PVA)を添加する。これにより、粒子同士の接触確率が低下し、凝集を抑制させることができる。

問題

II−2−1 あなたは,無機化学製品を製造するある工程の責任者として,製造工場に勤めている。最近提出された報告書によれば,従来通りの操業を続けているにも関わらず,抜き取り検査の成績が想定以上に向上していることが判明した。必要に応じて製品と製造工程を具体的に想定した上で,以下の問いに答えよ。

(1)あなたが,まず取るべき行動を複数の項目に分けて述べよ。

(2)(1)で最も重要と考える項目について,その手順を述べよ。

(3)今回の状況が生じた理由を究明するに当たり,留意点についてリスク管理を含めて説明せよ。

解答

(1) 製品の特定と解決のための検討事項

(1)-1 製品の特定:無機医薬品(硫酸バリウムX線造影剤)を想定する。新興国では、需要が増加しているが、医薬品の法規制は国によって異なる。このため、十分に対応できていないことが問題だ。

(1)-2 検討すべき項目:以下に検討項目を列記する。

①実現可能性の検討:輸出国の法令により、国内向けの製品を輸出することは不可能だ。輸出を可能にするため、実現性を検討する。例えば、輸出国の法令を調査し、問題の回避方法を検討する。

②スケジュールの見直し:現在の輸出計画を変更しなければならない。このため、スケジュールの見直しが必要だ。医薬品では、輸出国の監督官庁(日本の厚生労働省に相当する官庁)への承認手続きも必要であるため、余裕をもって計画すべきだ。

③経済性の評価:計画の変更により、開発費の増大、追加の設備投資や、原料費上昇の可能性がある。よって、市場規模を考慮し、経済性を再度評価すべきだ。

(2) 最も重要な検討項目と具体的な手順

(2)-1 最も重要な検討項目:①実現可能性の検討が重要だ。なぜなら、実現可能性を検討しなければ、輸出国で販売できないからだ。

(2)-2 具体的な手順:手順を以下に列記する。

①輸出国の法令調査:輸出国での販売承認を受けるため、輸出国の法令を調査する。例えば、医薬品や労働安全に関する法律(日本の薬機法、安衛法に相当)や、環境法令、化学物質の規制に関する法令などだ。

②原料の調達方法の選定:法令の調査結果を基に、使用が制限されない原料を決定する。また、原料の調達方法を選定する。

③製品品質の評価:製品の原料が変更になると、品質が変化する可能性がある。このため、製品品質を評価する。品質検査は、輸出国の法令に基づく評価・分析方法で実施する。

(3) 上記検討を進める際の留意事項

 留意すべき事項を以下に列記する。

①法令以外に守るべき事項の存在:海外には、現地の文化や習慣など、法令以外にも守るべき事項が存在する。文化や風習を守らなければ、製品は受け入れられない。例えば、イスラム教の国では、豚肉やアルコールを口にしてはならないという戒律がある。このため、イスラム教の戒律を守ることが重要だ。ハラール認証を取得はその一つの手段である。

②「安全性」や「有効性」が変わらないこと:医薬品は、人体に投与されると体内に吸収され、効果を発揮する。このため、「安全性」や「有効性」が変わってはならない。医薬品原料の一部や添加物を変更すると、製品品質が変化することがある。例えば、硫酸バリウム造影剤の添加物「増粘多糖類」は、種類によってはアレルギーを起こしやすい。このため、注意が必

問題

III−1 グローバリゼーション(Globalization)の進む現代では,セラミックス及び無機化学産業においても国際的な競争力をより一層高める必要がある。このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。

 (1)必要に応じて技術分野を具体的に想定し,競争力を高めるために検討すべき課題について多面的に述べよ。

 (2)(1)で挙げた課題のうち,あなたが最も重要と考える技術的課題について,その課題を克服するにはどのような取組が有効か,あなたの提案を具体的に示せ。

 (3)あなたの提案がもたらす効果を具体的に示すとともに,生じ得るリスクについても述べよ。

解答

(1) 想定する分野と競争力強化のための課題

(1)-1 技術分野の想定:無機化学製品やセラミックス部品を使用した製品を想定する。例えば、電気製品などだ。化学メーカーは、このような企業(電機メーカーなど)のグローバリゼーションをサポートする観点で、製品(素材)を開発することが重要だ。

(1)-2 課題:課題を以下に列記する。

①製品の付加価値向上:日本の企業は、ベンダー視点の製品開発を行うことが多い。しかし、海外企業には、日本の部品や素材を多く利用し、ユーザー視点の開発を行っている(例:アップル社のi phone)。UX(ユーザーエクスペリエンス;顧客の体験や感動)を重視した製品開発は、その代表的手法だ。

②コスト競争力の向上:新興国は、低コストでも品質の劣らない製品が製造可能になってきている。新興国は、豊富な資源や人口を生かし、安価なエネルギーや労働力を利用できる。このため、低コストな製品が生産できる。これに対抗するため、日本はIoTやIT技術を活用し、省力化や省人化を行うべきである。

③国内の諸問題への対応:国内には、様々な問題がある。例えば、少子高齢化による労働力不足、国内市場の縮小、地震や豪雨などの大規模災害への対応だ。また、企業倫理の問題(不正など)も存在する。このような国内の諸問題への対策を行いながら、グローバリゼーションに対応すべきである。

(2) 最も重要な技術的課題と解決のための提案

(2)-1 最も重要な課題:①製品の付加価値向上が重要だ。なぜなら、日本の製品(例:携帯電話のいわゆる「ガラケー」)は急速にシェアを落としている例が多いからだ。ここでは、(1)-2 ①で述べたように、UXを重視した製品開発を行う観点から述べる。

(2)-2 解決策:解決策を以下に述べる。

①IoTの利用:化学メーカーは、最終製品のユーザーとの距離が遠く、最終製品の顧客のニーズを掴みにくい。そこで、無機化学製品等を利用した部品や素材にセンサーを装着し、IoTを利用して顧客の属性や利用状況などの情報を収集する。このような情報を生かして製品開発を行い、中間製品の顧客に提供する。

②新たな開発プロセスの導入:UXを重視した開発を行う場合、顧客のニーズを常にフィードバックしながら開発を行う必要がある。このため、開発プロセスが複雑化する。製品寿命が短縮する中で、開発期間の長期化は避けるべきだ。そこで、クラウドウェブミーティングを利用し、顧客、営業担当、開発者が双方向に意見交換する。このように開発期間を短縮すべきだ。

③感性工学の導入:従来の開発手法では、具体的な性能など、開発目標が数値化されていた。しかし、UXは顧客の感動体験であるため、数値化は難しい。そこで、感性工学を導入し感動体験を数値化する。数値化の手法として、ウェアラブルセンサー(脳波計やモーションキャプチャー、アイポイントカメラなど)の利用が挙げられる。

(3) 提案がもたらす効果とリスク

(3)-1 効果:効果を以下に列記する。

①製品価値の向上:UXを重視し、顧客のニーズと企業のシーズをマッチングさせて製品開発を行う。よって、製品価値が向上する。特に、日本の高度な個別要素技術を利用した素材や部品(例:センサー)を使用することで、外国製品と差別化できる。

②経済性の向上:IoTやITの活用により、開発プロセスが短縮、効率化できる。このため、開発費を削減できる。また、IoTのネットワークを工場と接続することで、生産業務も効率化できる。

(3)-2 リスク:リスクを以下に列記する。

①サイバー攻撃を受けた時のリスク:IoTを利用することで、開発システムが全てネットワークで接続される。このため、サイバー攻撃を受けた場合、事業の停止など、大きな損害を受ける恐れがある。これを防ぐため、リスク管理を行い、発生確率と損失を低減する。全ての接続機器のリストアップと一括管理、管理者の設置、OSのアップデートなどの対策が有効だ。

②プライバシー侵害のリスク:IoTを利用した情報収集は、顧客のプライバシーを侵害する恐れがある。このため、個人を特定できないようにすべきである。例えば、暗号化技術の利用が挙げられる。

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