技術士二次試験では、申込書が合格判定の重要な根拠となるため、申込書を書く時点から試験が始まっているといわれています。そしてその「試験」すなわち受験申込の受付は4月初旬から始まりました。5月上旬まで受け付けていますのでじっくり考えてから提出してください。

申込書は、あまり意識しないで書く方も多いかと思いますが、提出された後に次の3つの段階を経て採点されることになります。

申込書提出時 事務官によって法定の受験資格相当経験年数に達しているかどうか。口頭試験まえの審査 経歴や業績が受験した技術部門に相当するか。口頭試験時の審査 経歴から受験者の技術者としての全貌を想定する。全体像が技術士としてふさわしいかどうか。業績の中身が吟味される。

 このように技術士試験申込書の審査は段階的に、次第に厳しい審査を受けます。申込書は試験の何ヶ月も前から業績をアピールできる機会であり、積極的に自分の業績をPRできるチャンスとして利用すべきです。逆にいえば、受験申込書の不備は取り返しのつかない決定的な減点を試験前に生んでしまうため、慎重に経歴内容と整合を図る必要があります。受験申込書、そのうち特に業務経歴欄は、受験資格適格という最低限提出書類としてではなく、受験者がいかに技術士にふさわしいか、すなわち前回ご紹介した

「技術者コンピテンシー」を認識させる、戦略的な第一歩

と考えるべきなのです。

 受験申込書の第一の目的は、技術士試験の受験者としてふさわしいか否かを判断するものであり、その判断基準は技術士法にも定義されています。技術士法第2条には・・

 この法律において「技術士」とは,第32条第1項の登録を受け,技術士の名称を用いて,科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画,研究,設計,分析,試験,評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいう。

とあります。

ここで受験申込書を作成するに当たっての最低限満たすべき事項を改めて以下に示します。

業務内容を技術士法に定められた専門的応用能力を必要とする業務とする。業務経歴に補助的な業務を記入しない。業務経歴期間が7年を満たすようにする(技術士補でない人)。受験部門、選択科目、専門とする事項の内容を一致させる。

 また、技術士筆記試験において受験者の技術的体験論文と受験申込書の経歴・業績との一致が合格の必須条件であり、さらに、口頭試験では受験申込書に記入した内容が本入の経歴かを必ず問われます。つまり、申込書作成においてはまず基本的事項が満たされるよう留意してください。

次に技術士試験申込書は、業績が技術士に相応しいか否かの判定が行われます。
受験申込書の中でもとくに重要な申込書右半分の業務経歴欄であり、ここでは
技術者コンピテンシーをPRするような戦略が必要です
。その記入上の注意点を述べます。

(1) 業務経歴記入項目ごとの留意点
 業務経歴には、勤務先(部課)、所在地(市区町村まで)、地位(職名)、職
務内容、在職期間 (年月数)の欄があり、それぞれ以下の要領で記入しま
す。

  • 勤務先(部課) 業務内容がイメージできるような名称にする
  • 所在地(市区町村まで) 地域性が理解できるようにする
  • 地位(職名) 「科学技術に関する高等の専門的応用能力」を発揮する立場かつ、自分が中心となって行った業務であることが読み取れる名称
  • 職務内容 原則的に「計画、研究、設計、分析、試験または評価」といった名称を用いて記述する。
  • 技能的な業務、研究・設計等に付随する業務ではないとわかること。例えば、「○○の研究」、「○○の設計」、「○○の施工計画」などと記入するのがよい。講演、研究発表、投稿論文等は職務内容に関連付けて併記する。
  • 仕様、規模、形式 業績内容を特定するための記述があればなおよいでしょう。造成工事なら、面積○○m2、道路やダム、建物の設計ならW・H・L寸法です。
  • 応用技術 貢献内容を表すのにどのような技術内容なのか、技術を表すキーワードを一つ添えると分かりやすいです。
  • 成果 成果は特に要求されてはいませんが、業績の結果としての大事なコンピテンシーの要素なので、ぜひ成果を表す言葉記入してください。「コストダウン○億円」とか書くと理解しやすいです。
  • 在職期間 (年月数) 技術士に適合する業務の期間が所定の年数を超えていること。業績は古くとも過去15年以内とする。

 業務経歴の書き方については、「申込書の書き方と答案作成計画についての無料セミナー」を行っております。そのときの下のスライドが分かりやすいでしょう。業績を多項式のように考えてもれなく書けばよいのです。下の図はセミナーの記事にリンクしています。

(2) 職務内容欄のチェック方法
職務内容欄の作成にあたっての留意点を述べましたが、出来上がったらこれらをチェックして下さい。次にあげる事項に照らし合わせて、見直すことが大切です。

  • 技術的体験論文に記述する業務と対応している
  • 受験部門の専門とする事項に関する業務に相当している
  • 自分が責任者となり協力者を指導して行った業務
  • 技術士としてふさわしい業務(高等の専門的応用能力)
  • 経済的にプラス面での評価がされている
  • 現状技術から見て陳腐化しすぎていない業務
  • 将来の見通しについて記述できる業務

なお、技術士として相応しくない業務として、数値チェック、トレースなどの単純な業務、研究・設計等の単純な補助的業務あるいは庶務的な業務があり、そのような誤解を受けないようにして下さい。もしこのような内容に読み取れそうな場合は別な観点で見直すか、またはその業務を除外することです。技術士としてふさわしくない業務の例を以下に示します。

  • 図面のトレース
  • 報告書等のタイプ、清書、製本
  • 文献等の資料の単純な整理・仕分け
  • 機械動力の運転、修理、保守
  • 試験用機器の単純操作
  • ワープロ等のOA機器の操作等
 大学院修了者は、大学院での研究内容を記載しますが、これはその研究内容が「科学技術に関する高等の専門的応用能力」を発揮する立場にあったという前提に基づいています。従って、単に研究を目的として学習していたというだけでは研究経歴とはならないのです。このため、研究内容がどのように学会、業界に貢献したかということまで理解できるような研究名称として下さい。

 以上述べてきた留意点を加味して職務内容を記入してみました。建設部門の河川の場合の職務内容記入の模範例(業務経歴欄のみ)をあげておきます。

○○市○○管渠実施設計(延長○km)現地地質及び土地利用を考慮し推進管の耐荷力・推進延長の計算により最適推進工法の選定。○○県○○市樋門詳細設計(2連7.5×4.0m)地盤の圧密沈下計算による最適基礎構造設計(直接基礎)を行い経済性を向上。○○市○○区○○第一2号遊水地他改修計画(○○m3増加)洪水調整計算理論による最適オリフィス径他の設計で増加量達成。○○県○○市他一級河川○○川の護岸詳細設計(延長400m他)不等流計算による最適断面形設計。希少植物や環境面性能を向上。○○県○○市一級河川○○川の護岸詳細設計(延長500m他)法枠工の掃流力低減効果と形状の工夫で安定性と安全性を両立。○○県○○市一級河川○○川の護岸修正設計(延長300m)マニング式の等流計算による流下能力確保で樹木残存・環境性向上。○○県○○市二級河川○○川の護岸予備設計(延長2km)河床地盤改良工でクーロンの土圧理論による強度増加で経済性を向上。○○県○○市二級河川○○川の護岸詳細設計(延長○○m)鋼管矢板を弾性床上の梁理論による有限長の杭で地下障害物回避。○○県○○市一級河川○○川の流入支川堤防設計(延長100m)バック堤方式で落差工をベルヌーイ式の跳水計算等で経済性向上。○○市○○区シールド工事の立坑設計 築造構造物と実際の土質に適合した許容応力度法による構造計算で施工性・安全性を向上。

以上、職務内容の記入方法の留意点を書きましたが、これらの記述のねらいは、技術者コンピテンシーである次の2点に集約されることを再度強調しておきます。

同じ部門の類似テーマに系統的に従事してきたという技術分野の「一貫性」と、ある程度幅の広い業績を経験したという「経験の幅」。受験者の技術力が次第にアップしていること、すなわち、補助→一般職→現場代理人→主任技術者→技術総括・指導など、年を経るにつれ,高度な内容の業務に従事しているという成長の過程。

これらがはっきりと読み取れるように申込書を書いてみてください。今苦労して書いた申込書は、12月の口頭試験では必ずあなたを合格に導くにちがいありません。

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