H28年 衛生工学・空気調和 Ⅱ-1-4問題 模範解答と解説 (劇場の熱負荷)
問題文
収容人数1000人の劇場における客席と舞台に関する熱負荷の特徴を5項目挙げて説明せよ。
模範解答
特徴①居住密度が高く単位面積あたりの負荷が大きい。
床面積あたりの居住密度が0.89〜1.54m2/人であり、オフィスビルの約5m2/人と比較して高いため、単位面積あたりの年間熱負荷が451MW/(m2・年)と大きい。
特徴②温度分布が不均一である
客席は、吹き抜け大空間であり壁面も大きいため、熱容量が大きく、冬期に舞台おろしが発生するなど温度分布が不均一となる。
特徴③ピーク負荷が大きく予冷、予熱に時間がかかる
設置される装置容量に比べて、蓄熱負荷が大きく、舞台部の外壁面が大ききことから、ピーク負荷が大きく、予冷、予熱に時間がかかる。
特徴④人体による負荷が大きく潜熱の比率が高い
人体からの発生熱量が大きいため、潜熱負荷の比率が高く、顕熱比が小さくなり、除湿コントロールが必要となる。
特徴⑤外気負荷の割合が大きい。
建物が無窓建築である場合が多いため、オフィスビルと比較して構造体からの負荷が少なく、外気負荷の割合が大きい。
解説
収容人数1000人の劇場ですからその客席と舞台の大きさや構造はある程度イメージできます。劇場は無窓建築であることを考慮します。そして、客席は熱負荷が人体によるものであり、顕熱だけでなく潜熱を伴うこと発熱源が床付近に集中することが特徴です。一方、舞台は鉛直方向に長い区間であり壁面からのドラフトを考慮する必要があります。空間ごとの特徴に応じて解答をしなければならない難易度の高い問題と言えます。