1. 技術士として必要とされる知見の範囲はどこまでか知る必要がある
勉強法や合格基準が分からないのでは、やみくもに勉強せざるを得ません。まずは自分の専門分野の守備範囲を知ることです。専門試験では受験者はそれぞれの得意分野の知識を備える必要があるため、各自の体験に応じた知識体系を築く必要があります。 また、試験の評価尺度は試験官の暗黙知であると考えられがちです。しかし、技術士試験が技術コンサルタントとしての試験であることを考えて見てください。クライアントならコンサルタントに何を要求するかと考えて洞察すれば、評価尺度は次第に見えてくると思います。
2. 技術士にふさわしい体験を専門家が書いた文献等から学ぶ
まず、技術士にふさわしい業務、或いは「技術士にふさわしい」ことが何なのかを認識することです。そして、もしそのような知見や経験がないのであれば大至急勉強する必要があります。専門家が書いた文献から、そのような知見を学びとるしかありません。専門誌の記事はその筋の専門家によるものであり、そこから容易に専門的知見を学ぶことが可能です。また、技術士の本質を理解することは、勉強の取捨選択を可能とするため短い時間で合格を可能としてくれます。
3. 専門家としての現状改革のための課題意識を築く
毎年、試験問題が予想できず、応用力を養うのに苦慮するのは、ひとえに未来の問題を先取りできていないからに過ぎません。試験官は受験者に対して専門家としてコンピテンシーを要求するため、創造的な活動や現状改革を提案できなければなりません。独創的な工夫を加えて現状を改善する「創造行動」や既成概念を転換し、望ましい状況を作り出す「変革行動」は専門家としての必須要素だからです。
このコンピテンシーの理論については本講座の指導テクノロジーのページをご覧ください。
こうした現状を改革するための課題意識を築くには、2つの方法があります。一つは実際にそのような課題に自ら取り組んでみる方法でありあまりお勧めでではありません。「体験」するには仕事の制約もあって誰もが出来ず、しかも「創造」や「変革」とかいった事項は優れた指導者に師事して初めて体得できる領域の能力です
そこで私がお勧めする方法は、クライアントの要求から未来の課題を読み取る方法です。といっても実際のクライアントから聞き出すのは至難の業です。そこで、お勧めは技術士試験の過去問から学び取る方法です。試験問題は試験官が受験者のコンピテンシーを測る手段であり、その要求は優れた技術コンサルタントとしてのコンピテンシーそのものだと言えます。どのような背景から何が要求されるかを類推すればよいのです。単に「今気づく重要なキーワードが何か」ではなく、背景を考えて類推することが大事なのです。