技術士試験では、現状分析から解決策に至る問題解決が必ず求められます。ここで必要となるのは
「現状」、「問題点」、「課題」、「解決策」
という4つの要素です。これらのうちで分かりにくいのが「問題点」と「課題」です。ここではその考え方について説明しておきましょう。
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技術士試験では、現状分析から解決策に至る問題解決が必ず求められます。ここで必要となるのは
「現状」、「問題点」、「課題」、「解決策」
という4つの要素です。これらのうちで分かりにくいのが「問題点」と「課題」です。ここではその考え方について説明しておきましょう。
さてこの「問題点」の意味ですが、問題解決の分野ではきわめて明確に定義されています。それは一言で言うと
「理想の状態」と「現実の状態」の「差」
です。たとえば営業マンであれば「売上実績」や「業務の進捗状態」といった理想のラインがあります。これが「理想の状態」であり、これが途中から落ち込むと、「現実の状態」との間に「差」が生じて問題となります。「問題点」を表現するには、ただこの「差」を示せばよいのです。
この話は簡単な図に表せます。下図を見てください。求められている状態をあらわす水平線に対して、実際は途中から折れ曲がって降下しています。これによって生じる縦の「差」が問題点です。「問題点」を表現することは、この「縦方向の距離」あるいは「下降」をあらわすことにほかなりません。
なぜ「問題点」が求められるか? 価値ある「問題点」を設定するには?
ではどうして「問題点」が大事なのでしょうか。それは、専門分野での問題解決が技術士の使命だからです。優れた技術士であるためには、大きな「問題点」に取り組まねばならず、また上手に問題解決を行うには正しく「問題点」を設定する必要があります。この意味で「問題点」の認識は技術士の能力を測る重要な要素となるのです。
問題解決の貢献を表現する最も効果的なのは「価値ある問題解決」 のストーリーを作ることです。これを助けるのが次のような方法です。
(1)問題点の構造を解明し、対策すべきポイントを示す。
複雑な問題は、ただ記述しても理解しにくいため評価されません。そこで、「問題点」の因果関係や背景・主要因を構造的に解明し、根本問題をつき止めます。これによって、「問題点」が明解となり、問題解決の意義が明らかとなり、効果的に「問題解決」が行われることとなり、結局行為全体の評価を高められます。
(2)問題点をアナログ的に評価する
もうひとつ大事なことは、「問題点」の意味を把握することです。これはアナログ的な思考です。つまり、問題の状況を説明して、最後に「要は何か?」、「だから何なのか」と自分に問いかけるのです。
あれこれ多くの状況説明があったとしても、結局判断につながるのは、こうした「要は何か?」、「だから何なのか」といった人間的な問いの答えに過ぎません。ですから「問題点」を分析して客観的に説明するだけでは不十分であり、アナログ的に評価することも「価値ある問題解決」のストーリーを作るための大事な要素なのです。
さて、業績記述のためのテクニックは、すでに述べたとおりですが、実際は意外と難しいことのようです。つぎの例は、本講座の添削で頻出している「問題点」の表現の悪い例です。問題点と例を挙げておきますのでなぜいけないのか考えてみてください。
(1) 「問題点」を挙げるべきところで、対策を挙げている
「この軟弱地盤の土壌改良することが問題であった。」
(2)業務で取り組んだ「問題点」をすべて上げる。
とにかく大小すべて、技術的意義の小さいものまで取り込む。
(3)答えが見えている「問題点」を挙げる
簡単な問題、普通にやればできる問題
(4)技術が応用されていない問題点
試行錯誤による問題解決、専門技術とは無関係なもの。
(5)業務上の困難さを「問題点」としている
「この短期間で対策を立案することが問題であった」
(6)業務上わからないことを「問題点」としている
「破砕帯の位置が不明であることが問題であった」
どうしても「問題点」が表現しにくいとき備えとして、明確にする方法をまとめておきましょう。それは、
そして、やはり最後に大切なのは、つぎの問いかけです。
「要は何か?」、「だから何なのか」
技術士の試験問題では「問題点」を提起したあと、必ず「課題」設定が求められます。この「問題」と「課題」の違いは、次のように対比できます。
つまり「問題点」が解決すべきものであるのに対し、「課題」は達成すべきものなのです。試験の問題では、まずは問題の解決のため「問題点」を挙げるところからスタートします。しかし、技術士としての貢献は、どう解決するかという判断力にあります。この判断力を見るため、「課題」を宣言して、その達成のための「対策」や「留意点」を求められるわけです。以下、「課題」の設定方法について、課題達成を考慮しながらご説明します。
当研究所では「解決策の価値を高める」ための課題達成のプロセスとして、次のような段階的アプローチを実践しています。これが確実で無理のない方法です。
以下、課題設定のプロセスを説明します。
正しい答えを導く上で大事なことの一つが、
もれ・ダブりのない考え方
を持つことです。これはいわば「全体把握の思考」とでも呼べるでしょう。注意すべきなのが「全体から部分へ」という手順です。これが、仕事を進めるうえでも大切です。マクロ(全体)の視点で全体像をつかんでから、ミクロ(部分)をみるという習慣をぜひ身につけてください。
身近な例で、本を読むときに、まずは目次に目を通して全体を見渡し、それから興味のわいた項目(部分)から読んでいけば、効率的に本を読むことができます。このように
初めに「マクロ」で見て次に「ミクロ」に入っていく
のは全体を間違えずに把握する基本なのです。全体把握の思考とは、「行き当たりばったりではなく、グランドデザイン(全体像)をイメージしながら、筋道を立てて物事を考える力」のことです。
この全体把握ができないと、思いつきや好みで、行き当たりばったりで目に付いたものを取り上げる結果となります。ゲームにたとえると「モグラ叩き」のようなものです。「努力しているわりには成果が出ない」、「やり直しのムダが多い」結果となります。
マクロからミクロに考える習慣が身につぃたら、次は「MECE(ミッシー)」で全体像をチェックしてください。MECEとは、論理思考のための「モレやダブリがない理想の状態」を意味する概念です。モレがあると不完全な答えとなり、ダブリがあると減点となります。そこで、MECEのチェックが必要です。
まずマクロをみて、全体の構成要素をモレやダブリがない状態で把握することで、正しい全体像を把握できるようになります。
ところで、課題を設定するのは次に、解決策を導くためです。良い課題設定は上手に解決策が求められなければなりません。これを確認するには、
ロジックツリーという手法を用いて、「どうやって?」と考える
のです。この手法は、課題からスタートして、「どうやって?」と繰り返して考えて、最後に対策案に到達する方法です。この「どうやって?」の答えは1つではなく複数であることが多いため、結果はツリー型となります。良い課題のチェック項目としては、課題から主要な対策案へとバランスよくもれなく展開できることが挙げられます。
たとえば「自社の売り上げを拡大する」という課題の答えをロジックツリー手法で導いたらどうなるでしょうか。この例が問題解決法のとある記事にありました。別図をご覧ください。
左側の課題に対して、段階的にもれやダブりなく、右側に行くにしたがって解決策として展開されていく様子がわかります。課題設定の良し悪しをこのロジックツリーの状況から判定することも可能です。
というようなものです。
以上をまとめると上手な「課題」設定をするにはこのようなことをチェックすればよいといえます。
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