鉄道電気 H24 「軌道回路の不正落下の原因及び対策」

問題

 軌道回路の不正落下は、発生すると輸送障害を引き起こすため、安定輸送を阻害する一因となることがある。軌道回路の不正落下の原因及び対策について3つ挙げ、具体的に述べなさい。

模範解答

1.大雨や塩害等による軌道回路の不正落下について

原因

 レールと対地間は道床によって電気的に絶縁されているが、大雨や塩害によってレールと対地間の漏れコンダクタンスが大きくなることで軌道電流が道床などに流れる。これによって軌道回路の受信器に入力される信号電流が減衰し、列車在線状況と同じ信号電流レベルまで低下すると軌道回路の不正落下が発生する。

対策

 対策方法しては、軌道回路の送信器側の電圧を昇圧させ、大雨時等の短絡感度でも軌道回路が扛上するにし、適正に軌道回路が動作するように受信器側のレベル調整を行う。また、軌道継電器を駆動するのに十分な受信電圧を確保できるように軌道回路の長さを分割する。

2.AF軌道回路における軌道回路の不正落下について

原因

 AF軌道回路においては商用周波数軌道回路等に比べて信号波の周波数が高く漏れコンダクタンスの影響を受けやすい。晴天と雨天との受信レベルの減衰量差が大きく、気象条件によって大幅に信号波レベルが変化するため、軌道回路の不正落下が発生する。

対策

 列車在線による信号電流の変化と気象条件による信号電流の変化は異なっている。対策方法として気象条件による信号電流では軌道回路を落下させず、列車在線による信号電流の変化のみ軌道回路を落下させる。軌道回路が落下する最小動作レベルを自動追従する機能をAF軌道回路装置に導入する。最小動作レベル追従機能はシステム立ち上げ時に最小動作レベルを所定の値に設定しておき、軌道回路の漏れ変動等に起因する緩慢な入力変動に応じて最小動作レベルを自動的に変更する機能である。

3.軌道回路の不平衡による不正落下について

原因

 レールには帰線電流と信号電流が流れており、インピーダンスボンドによって隣接する軌道回路に帰線電流だけを通す。この左右レールに流れている帰線電流が不平衡を起こすと、インピーダンスボンド内で磁束を打ち消すことができず帰線電流に流れているノイズが軌道回路の受信器に流れ込み、軌道回路の不正落下を起こす。また、同様にインピーダンスボンドの定格電流以上に帰線電流が流れ込むとインピーダンスボンド内のトランスが磁気飽和を起こし、磁束を打ち消しあうことができず帰線電流のノイズが軌道回路の受信器に流れ込み軌道回路の不正落下が発生する。

対策

左右のレール間で抵抗に差がある場合は、ジャンパー線の太さや長さを調整し左右のレール抵抗を同程度までに施工する。また、インピーダンスボンドの定格電流が不足している場合は、流れ込む帰線電流よりも定格電流の大きいインピーダンスボンドに更新するかクロスボンドを追加し、帰線電流の迂回経路を構成し電流経路の多重化を図る。

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