H28年 情報工学部門・情報ネットワーク Ⅱ-1-1問題 模範解答と解説 (VXLAN規格)
問題文
VXLAN(Virtual eXtensible Local Area Network, RFC 7348)について、規格の概要や規格化された背景と、VLAN(IEEE802.1Q)やTRILL(RFC6325)と比べた時の特徴を述べよ。
1.規格の概要
VXLANは、送信元でイーサネットフレームに8バイトの識別番号を付加し、UDP/IPでカプセル化することにより、レイヤ3ネットワークを越えたレイヤ2通信を実現させることにより、レイヤ2通信を拡張するための規格である。
2.規格化の背景
クラウドサービスの登場に伴い、利用者がいつでも、どこでも、好きなだけサービスを利用できる柔軟性・拡張性が求められ、サーバ設備についてはサーバ仮想化技術により対応できる一方で、従来型ネットワークの制約が大きなボトルネックとなっており、新たなネットワークの規格策定によりこの制約を解消する必要があった。
3.特徴
3-1 VLAN(IEEE802.1Q)と比べた時
VLANがグループの識別番号の数が約4000個であり、識別番号がネットワークの物理位置に紐付くことに対し、VXLANの識別番号の数は約1600万個まで対応可能で、物理位置の制約も受けないことから、VXLANはスケーラビリティが高いため大規模ネットワークに向いている。
3-2 TRILL(RFC6325)と比べた時
TRILLはパケットの転送方式そのものを新しくしたものであり、既存の転送機器を全て対応機器に交換することが前提であるが、VXLANは従来ネットワークを仮想化するため、既存ネットワークとの共存が可能で対応機器への交換は一部で良く、結果としてコストを抑えたスモールスタートが可能である。