H26年 建設部門、施工積算 Ⅱ-2-1問題 模範解答と解説

問題文

 要求される性能、品質を備えたコンクリート構造物を所定の工期内に安全かつ経済的に建設するためには、的確で合理的な施工計画が必須である。市街地の道路下にコンクリート構造物を施工する際の施工計画の立案に当たり、以下の問いに答えよ。

(1)施工計画の検討項目の1つである「コンクリートの現場までの運搬・受入計画」に記載すべき内容を述べよ。

(2)コンクリートの受入計画において、コンクリートの練上り時のスランプは、打込み、荷卸し、練上り時の各作業段階でのスランプの変化を考慮して設定するが、各段階における設定の考え方及び留意点について述べよ。

模範解答(1) 簡易答案形式

(1)施工計画に記載する内容 

(1)-1 運搬の方法 

現場までの運搬・現場内の運搬、経路、時間を記載する。ヒヤリマップを作成し、アジテータが現場まで安全に運搬できるように努める。

(1)−2 現場内の運搬方法  

現場内の運搬方法は、打設時間に合わせた打設量の計画、打継回数とする。ポンプやシュートなどの使用による材料分離が少なくなるように投入口を計画する。

(1)−3 受入計画 

受入計画は、コンクリート仕様の確認をする。また、その頻度は、運搬車の最初の1台は、スランプと空気量と塩化物、2,3,4,5台は、スランプの確認を行い、50m3ごとにスランプと空気量を確認する。規格値なども記載する。

(2)スランプ設定の考え方及び留意点 

(2)−1 打込みの最少スランプ 

打込みの最少スランプは、筒先でワーカビリテイーが確保できる範囲内で最小値を上回っていることを確認する。留意点として、最少スランプは、部材ごと(スラブ・柱・はり・壁)など鉄筋のあきにより選定するのが良い。

(2)−2 荷卸しの目標スランプ  

荷卸しの目標スランプは、打込みの最少スランプに荷卸し箇所から打込までの現場内運搬によるスランプの低下を加えた値とし、目標値に対しての許容幅は、±2.5㎝とする。留意点としては、ポンプの圧送条件により流動化剤などを使用し、品質変化を見込んだ値とする。

(2)−3 練上りの目標スランプ  

練上りの目標スランプは、荷卸し箇所までの場外運搬にともなうスランプの低下を考慮して定める。留意点としては、運搬時間と季節の温度変化(春、秋では30分で1㎝、夏は、30分で1.5㎝、冬は、60分で1㎝)のスランプ低下を見込んだ値とする。

模範解答2 答案形式

(1)施工計画に記載する内容 

(1)-1 運搬の方法 

現場までの運搬、現場内の運搬、経路、時間を記載する。市街地の現場のため、現場までの運搬には、ヒヤリマップを作成する。ヒヤリマップには、スクールゾーンや介護福祉施設などを明示し、速度を落としながら通過するなどアジテータが現場まで安全に運搬できるように努める。

(1)−2 現場内の運搬方法  

現場内の運搬方法は、打設時間に合わせた打設量の計画、打継回数とする。道路下の構造物のため、ポンプやシュートなどの使用による材料分離が少なくなるように投入口を計画する。ポンプ車の配置には、配置図を作成し、ガードマンの配置場所やアジテータの入替スペース、待機場所についても記載する。

(1)−3 受入計画 

受入計画は、コンクリートの仕様の確認をする。また、その頻度は、運搬車の最初の1台は、スランプと空気量と塩化物と圧縮強度用の供試体の作製をする。2、3、4、5台は、スランプの確認を行い、50m3ごとにスランプと空気量を確認する。規格値なども記載する。また、これ以外の台数についても変状に変化がみられる場合には、試験をして確認する。早期脱型が必要なときには、若材齢用の供試体を採取し、強度を満足したなら脱型することも記載する。

(2)スランプ設定の考え方及び留意点 

(2)−1 打込みの最少スランプ 

打込みの最少スランプは、ポンプの筒先でワーカビリテイーが確保できる範囲内で最小値を上回っていることを確認する。留意点として、最少スランプは、部材ごと(スラブ・柱・はり・壁)、鋼材量や鋼材あき等の構造条件、および締固め作業高さ等の施工条件に応じて選定するのが良い。

(2)−2 荷卸しの目標スランプ  

荷卸しの目標スランプは、打込みの最少スランプに荷卸し箇所から打込までの現場内運搬によるスランプの低下および製造段階での品質のばらつきを加えた値とし、目標値に対しての許容幅は、スランプが8〜18㎝±2.5㎝、21㎝±1.5〜2.0㎝とする。なお、荷卸しから打込までの時間経過のスランプの変化は、試し練り時に経時変化を確認し、変化量を見込むようにする。留意点としては、ポンプの圧送条件により流動化剤などを使用し、品質変化を見込んだ値とする。

(2)−3 練上りの目標スランプ  

練上りの目標スランプは、荷卸し箇所までの場外運搬にともなうスランプの低下を考慮して定める。留意点としては、運搬時間と季節の温度変化(春、秋では30分で1㎝、夏は、30分で1.5㎝、冬は、60分で1㎝)のスランプ低下を見込んだ値とする。

模範解答(3) 簡易答案形式

(1) 記載すべき事項

①運搬計画の記載事項

(a)    交通渋滞により生コンの運搬が遅れると、材料分離や硬化が始まるため、品質が低下する。よって事前に迂回路を設定しておく。

(b)    生コン運搬時の気温が高い状態や運搬時間が長いと、コンクリート温度の上昇がして生コンの硬化が早まる。よって硬化防止の措置を行う。

(c)    路下への投入により生コンの材料分離が発生した場合は、型枠内へ打込む前に一度荷受けして再度練り混ぜを行い、材料分離を防止する。

②受入れ計画の記載事項

(a)    現場では打設前に生コンの配合、温度、気温、スランプ、単位水量、塩化物量、空気量、水セメント比の品質確認試験を行う。

(b)    現場からの車両出入りの時間ロスを防止するために誘導員を配置しスムーズな入退場を行う。

(c)    打設時のポンプ車やミキサー車の拘束撹拌音は騒音の元であるので防音シートを設置するなどして対策する。

(2) スランプ設定の考え方

①打込み時

考え方:部材の種類や鉄筋量、作業高さ等の打込み・締固め方法等の施工条件に合わせて型枠に確実に充填できる最小スランプ以上であることを確認する。

留意点:型枠による給水や配管の給水によりスランプが低下しないように、事前に適宜給水しておく。

②荷卸し時

考え方:打込みの最小スランプに、場内運搬による低下量や荷卸し箇所での許容差を見込んで設定する。

留意点:スランプは時間と共に低下していくので、混和剤を使用してスランプ保持性を確保する。

③練上がり時

考え方:荷卸し時の目標値に、場内運搬時間に伴う低下量として30分で1㎝程度のスランプ低下を見込む。見込む。

留意点:スランプは標準時期と比較して、夏季と冬季では気温により低下量が異なる。また事前に試験練りを行い、所要時間によるスランプ低下量も把握して、その分を見込んで設定する。

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