口頭試験および申込書対策としての業務経歴 1
1. 業務経歴では何が問われるか
技術士試験は、申込書を書く時点から始まっているといわれています。それは技術士にとって過去の業務経歴が重要であるとともに、その表現力も重要な能力と判断されるためです。受験申込みに必要な技術士第二次試験受験申込書の業務経歴は、提出後3段階での評価を受けることとなります。
1) 申込書提出時 事務官によって法定の受験資格相当経験年数に達しているかどうか
2) 筆記試験の審査時 経歴や業績が受験した技術部門に相当するか
3) 口頭試験時の審査 経歴をもとに受験者の技術者としての全貌を想定し、経歴の全体像が技術士としてふさわしいかどうかを評価する。経歴や業績の中身が吟味されます。
現在、下記のように2つの意味で現在は、業績の準備時期です。
- 2017年口頭試験対策
- 2018年申込書対策
そこで両者を兼ねて、業務経歴の書き方についてまとめます。
口頭試験での評価採点は、単に試験官の質問に対する受験者の受け答えの良否ではなく、むしろ評価の中心は業績の記載内容です。このため口頭試験を受ける方も業績の中身を整理しておく必要があります。
申込書の審査は、申し込み段階とそれから口頭試験段階で期間が経るにつれて次第に厳しい審査を受けることとなります。口頭試験のときには(試験官は手元に試験の答案用紙と、申込書を置いているので)申込み書は答案と同等の意味を持つようになります。つまり申込書は試験の何ヶ月も前から業績をアピールできる機会であり、積極的に自分の業績をPRできるチャンスとして利用すべきであるといえます。逆にいえば、申込書の不備は取り返しのつかない減点を、試験前に生む可能性もあるため、慎重に経歴内容の整合を図る必要があるわけです。
以上のことから、受験申込書は、受験資格適格という最低限提出書類としてではなく、受験者がいかに技術士にふさわしいかを認識させる、戦略的な第一歩と考えるべきなのです。
2. 申込書作成の留意点
受験申込書の第一の目的は、技術士の受験者としてふさわしいか否かを判断するものであり、その判断基準は技術士法に定義されています。このため、申込書から、
科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画,研究,設計,分析,試験,評価又はこれらに関する指導の業務
が読み取れるようにします。業務内容、期間などは最低条件を満たすようにしなければならなりません。以下に、技術士法第2条を示します。
第2条 この法律において「技術士」とは,第32条第1項の登録を受け,技術士の名称を用いて,科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画,研究,設計,分析,試験,評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいう。
ここで受験申込書を作成するに当たっての留意点を改めて以下に示します。
●業務内容を技術士法に定められた業務となるようにする。
●業務経歴に補助的な業務を記入しない。
●業務経歴期間が7年を満たすようにする(技術士補でない人)。
●受験部門、選択科目、専門とする事項の内容を一致させる。
また、筆記試験において受験者の技術的体験論文と受験申込書の経歴・業績との一致が合否の判定条件となり、さらに、口頭試験では受験申込書に記入した内容が本入の経歴かを厳しく問われます。これらのことにも留意して申込書を作成する必要があります。