H29年 建設・施工 Ⅲ-2問題 模範解答と解説
問題文
建設産業には、安全と成長を支える重要な役割が期待されているものの、今後10年間に労働力の大幅な減少が予想されており、建設現場の生産性向上は避けて通ることのできない課題である。そのため、国土交通省においては、産官学が連携して、生産性が高く魅力的な新しい建設現場が創出されるように、i-Constructionに取り組んでいるところである。他方、政府においては、一億総活躍社会の実現に向けた産業・世代間等における横断的な課題を解決するために、働き方改革にチャレンジしている。建設産業は他産業に比べて厳しい労働環境にあり、小規模な企業の技能労働者を始めとして、働き方改革の改善が喫緊の課題となっている。これらを踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)働き方改革を考える上で、建設業が抱える慢性的な課題を3つ挙げ、その背景も含め説明せよ。
(2)(1)で挙げた課題について、あなたが有効と考えるi-Constructionの方策を1つ挙げ、適用できる場面と具体的な利用方法、及びそれによって得られる改善効果を、事例を交えながら説明せよ。
(3)建設部門における働き方改革を効果的に進めるために、雇用や契約制度などに関して改善すべき事項を取り上げ、あなたの考えを述べよ。
模範解答1 (簡易答案形式) 添削履歴 8回 専門事項 施工計画・施工管理
1.建設業の慢性的な課題
(1)課題:長時間労働を削減する。
背景:経験のある労働者の不足。
(2)課題:女性や高齢者が働きやすいように就労環境を整備する。
背景:男性社会の名残りが多く、衛生面や就労体制が男性中心である。
(3)課題:高所などの危険を伴う作業を削減する。
背景:人身事故が多く発生する。
2. i-Constructionの有効策と適用、効果、改善効果
有効なi-Construction:マシンコントロール
a. 適用できる場面:広範囲を切土や盛土する造成工事
b. 具体的な利用方法:地形測量情報を記憶した重機により、自動的に切土と盛り土量を計算しながら施工する。
c. 改善効果:①測量待ちがなく、施工位置と施工量が短時間で確定するので、作業時間の短縮になる。
②施工の難易度が事前に把握できるため、重機の種類変更などがスムーズにでき、工程遅延による運転者への負担が減少する。
③重機と測量作業者の近接作業がなくなり、事故防止になる。
3.働き方改革を効果的に進めるための雇用や契約の改善事項
(1) 働き方改革のための雇用面の改善事項
改善前:ベテランの引退による人手不足で、労働者への負担が増加する。
改善事項:①ベテランを入れたシフト勤務体制で、技術の継承と人材確保を両立する。
②休憩所や更衣室などの福利厚生を完備し、働きにくさを解消して、女性の入職者を確保する。
③講習会等の技術習得のサポート制度を導入し、継続的に就労者を確保する。
(2) 働き方改革のための契約面の改善事項
改善前:施工時期が一定の期間に集中しているため、労働者不足が発生している。
改善事項:①維持管理付きや包括、複数年の期間の長い契約により、労働者の偏りをなくした雇用ができる。
②施工時期を受注者が選択できるフレックス契約にすることで、施工者の人材や資機材を確保しやすくする。
③雨天等の不可抗力の作業休止実績を月次で工程に反映させて逐次工期の見直しを行う制度を作り、労働者の休暇を取得しやすくする。
模範解答2 (簡易答案形式1) 添削履歴 5回 専門事項 施工計画・施工管理
1.建設業が抱える慢性的な課題
1)労働力の不足
①少子高齢化に伴い労働人口が減少する
②就労環境の悪さによる新規入職者の減少、熟練技術者の離職・退職
2)生産効率が低い
①単年度予算の執行のため年度末に工期末が集中する
②労働集約型であり人手がかかる
③現地屋外生産のため気象の影響を受ける
3)労働災害が多い
①高所作業や重機との近接作業等、危険を伴う作業が多い
2.有効と考えるi-Constructionの方策
ICTの全体的な活用(ICT土工)
1)適用できる場面
築堤、造成等の掘削、盛土工事
2)具体的な利用方法
ドローンによる起工、出来形測量、MCバックホウによる法面整形、床付
3)改善効果
①省力化により従来よりも少人数で高品質な施工が可能
②丁張設置が不要となり省力化・待ち時間短縮、出来形書類の作成労力軽減
③重機の手元作業員が不要となり安全性が向上する
3.雇用や契約制度等に関して改善すべき事項
1)処遇改善
①共通仮設費等を反映させたうえで週休2日を確保した工期設定を行う
②建設キャリアアップシステムによりスキルアップを正当に評価する
③重層下請構造是正のため、生産性向上等により企業経営を安定させ日雇労働
者や一人親方の社員化や社会保険への加入を促進する
2)若年・女性の入職促進
①現場見学会やインターンシップ等を積極的に行い、建設業の魅力を伝える
②富士教育訓練センターや職業訓練校を活用し、技能向上・就職支援を行う
③女性向けのハード整備、家庭との両立を考慮した労働時間の設定を推進する
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模範解答2 (簡易答案形式2) 添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理
1.建設業が抱える慢性的な課題
1)労働力の不足
①少子高齢化に伴う定年退職者増、新規入職者数減少により、労働者数が減少する。
②他産業に比べて低賃金、重労働といった就労環境の悪さにより、新規入職者は減少し、既存の労働者の中にも他産業に転職する者が出てくる。
2)生産効率の低さ
①公共工事は単年度予算のものが多く、年度末に工期末が集中し人手や資機材が不足する一方、年度始は仕事が少ないため遊休が発生する。
②一部を除き機械化が進んでおらず、人手による作業が多い労働集約型産業である。
③現地屋外生産のため、寒暖・風雨の影響を受け品質確保や工程への対処が必要となる。
3)労働災害の多さ
①高所作業や重機との近接作業等、危険を伴う作業が多く、全産業で死亡者数が最も多い。
2.有効と考えられるi-Constructionの方策
上記の課題に対し、「ICTの全体的な活用(ICT土工)」が有効と考える。
1)適用できる場面
築堤、造成等の掘削、盛土工事に適用することができる。
2)具体的な利用方法
ドローンにより起工、出来形測量を3Dで行うことや、そのデータをMCバックホウに取り込んで法面整形、床付けの施工を行う。
3)改善効果
①測量、施工ともに手元作業者が不要となり作業時間短縮、安全性向上に繋がる。
②バックホウにおいては感覚に頼る部分が無くなり、経験の浅いオペレーターでも高精度の施工が可能となる。また、丁張が不要となるため、技術者の負担が軽減され作業の待ち時間も短縮される。
③測量データを取り込み出来形書類を自動作成することが可能となる。
3.雇用や契約制度等に関して改善すべき事項
1)処遇改善
①週休2日導入のため、共通仮設費等を割増して工期延長のコスト増を解消した工事発注を行う。
②建設キャリアアップシステムにより経験、保有資格等が評価され将来性ある労働環境を整備する。
③重層下請構造是正のため、生産性向上(ICT土工、コンクリート工のプレハブ化の導入等)により企業経営を安定させ日雇労働者や一人親方の社員化や社会保険への加入を促進させる。
2)若年・女性の入職促進
①社会貢献度の高さ等建設業の魅力を伝えるため現場見学会やインターンシップ等を積極的に行う。
②入職促進のため、富士教育訓練センターや職業訓練校を活用し、技能向上・就職支援を行う。
③女性が働きやすい環境として、ハード整備や家庭との両立を考慮した労働時間の設定を行う。
1001字
模範解答2 (答案形式) 添削履歴 1回 専門事項 施工計画・施工管理
1.建設業が抱える慢性的な課題
1)労働力の不足
①少子高齢化に伴い、熟練技術者は定年退職する一方で新規入職者は減少していく。結果として、労働者数が減少する。
②他産業に比べて、低賃金、長時間労働といった就労環境の悪さにより、新規入職者は減少し、既存の労働者の中にも他産業へ転職する者が出てくる。
2)生産効率の低さ
①公共工事は単年度予算のものが多く、年度末に工期末が集中し人手や資機材が不足する一方、年度始は仕事が少なく遊休が発生する。
②平成初期をピークに建設投資が減少し、労働力過剰な状況が続いてきた。このため、トンネル等一部を除き機械化が進まず、人手による作業が多い労働集約型産業となっている。
③現地屋外生産のため、天候の影響を受ける。具体的には温度管理や水分管理等の品質確保、雨天休工後の休日施工等の工程調整が必要となる。
3)労働災害の多さ
①仮設足場での高所作業や重機との近接作業、火器や刃物の使用等、危険を伴う作業が多く、全産業での死亡者数の比率が30%を超え最も多い。これは労働者数の比率が約10%であることを考慮すると非常に高いといえる。
2.有効と考えられるi-Constructionの方策
上記の課題に対し、「ICTの全体的な活用(ICT土工)」が有効と考える。
1)適用できる場面
築堤、造成等の掘削、盛土工事に適用することができる。
2)具体的な利用方法
①ドローンやレーザースキャナーを使用して起工、出来形測量を3Dで行う。
②そのデータをMC(マシンコントロール)バックホウ、ブルドーザーに取り込んで法面整形、床付け、転圧等の施工を行う。
3)改善効果
①測量、施工ともに手元作業者が不要となり作業時間短縮、安全性向上に繋がる。また、2次元に比べ精度も上がり点群データを解析しPCで立体表示が可能となる。
②重機においては感覚に頼る部分が無くなり、経験の浅いオペレーターでも高精度の施工が可能となる。また、丁張が不要となるため、技術者の負担が軽減され作業の待ち時間も短縮される。
③重機に搭載されたGNSSにより日々の施工量が自動計算され進捗状況が一瞬で確認できる。また、測量データをPCに取り込み出来形書類を自動作成することが可能となる。
3.雇用や契約制度等に関して改善すべき事項
1)処遇改善
①週休2日導入のため、共通仮設費や労務費等を割増して工期延長のコスト増の解消や、日雇労働者の給与減を抑制する工事発注を行う。
②建設キャリアアップシステムにより経験、保有資格等が評価され、昇給に繋がるといった将来性のある労働環境を整備する。
③重層下請構造是正のため、生産性向上(ICT土工、コンクリート工のプレハブ化の導入等)により企業経営を安定させ、日雇労働者、一人親方の社員化や社会保険への加入を促進させる。
2)若年・女性の入職促進
①インフラ整備や災害復旧等、建設業が社会貢献度の高く魅力ある職業であることを伝えるため、現場見学会やインターンシップ等を積極的に行う。
②新規入職促進のため、富士教育訓練センターや職業訓練校等を活用し、技能向上や就職支援を行う。また、講師として退職した熟練技術者を活用する。
③女性が働きやすい環境整備として、トイレや更衣室等のハード整備や、家庭との両立を考慮した労働時間の設定を行う。
模範解答3 (簡易答案形式1) 添削履歴 1回 専門事項 施工計画・施工管理
1.建設業が抱える慢性的な課題
(1)課題:技能労働者の労働時間短縮
背景:日本全体の生産年齢人口が減少する中、近年の建設投資の減少により技能労働者の離職が進み慢性的に技能労働者が不足している。労働時間についても全産業平均より長時間労働になっており、週休2日も十分確保されていない。
(2)課題:技能と経験に見合った処遇(賃金)の確保
背景:建設業生産労働者の賃金は製造業に比べ低い水準にあり、建設産業の将来を担う若い担い手が入職を避けるようになっている。
(3)課題:生産性向上のための現場作業効率化
背景:激震化する災害や今後急増する老朽化施設の維持管理・更新には、現状では大掛かりで多大な費用を要する。限られた人材・財源で効率よく行う必要があるため、建設生産システムにおける生産性の向上を推進することが喫緊の課題である。
2.有効と考えるi-Constructionの方策:自動化施工技術
(1)適用できる場面:広範囲で急傾斜地での土工事施工。
(2)具体的な利用方法
①ドローンを使用した3次元測量
②ICT建機により、3次元測量データを使用し自動制御により無人化施工する。
(3)改善効果
①測量作業自体が大幅に減少するので、施工位置の確定や施工数量の計測までの作業時間を大幅に短縮することができる。
②ICT建機での自動施工は、斜面等での計測作業を減らすので、経験年数の浅い若いオペレーターでも精度よく施工できる。又、建機周りでの作業を減らせるので安全性も向上する。
3.働き方改革を効果的に進めるための雇用や契約制度等の改善すべき事項
(1)雇用面に関する改善事項
1)長時間労働の是正:週休二日制を含めた休日の拡大を図る
2)処遇の改善:技能と経験に合った賃金の確保に取り組む。
(2)契約面に関する改善事項
1)長時間労働の是正:週休二日制を前提とした適正な契約工期設定へ取り組む。
2)処遇の改善:社会保険加入促進に取り組む。
模範解答3 (答案形式) 添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理
1.建設業が抱える慢性的な課題
(1)課題:技能労働者の労働時間短縮
日本全体の生産年齢人口が減少する中、近年の建設投資の減少により技能労働者の離職が進み慢性的に技能労働者が不足している。
労働時間についても全産業平均と比較して年間300時間以上長時間労働の状況にあり、他産業では当たり前となっている週休2日の確保も含めた技能労働者の労働時間短縮が課題である。
(2)課題:技能と経験に見合った処遇の確保
建設業全体で処遇(賃金)は上昇傾向にあるが、生産労働者(技能者)については、製造業と比べ低い水準にある。
建設産業の将来を担う若い担い手の入職を促進するためには、技能労働者の処遇を適正に改善することが課題である。
(3)課題:生産性向上のための現場作業効率化
激震化する災害や今後急増する老朽化施設・インフラ等の維持管理・更新には、現在の事後保全型の維持管理方法では、対策が大掛かりで多大な費用を要する。
建設投資が減少し、建設産業の労働人口が減少する中、限られた人材・財源で効率よく行う必要がある。そのためには、建設生産システムにおける生産性の向上のための現場作業の効率化を推進することが喫緊の課題である。
2.課題解決策:
i-Constructionの方策:自動化施工技術
(1)適用できる場面
広範囲の造成工事や急傾斜地での切土盛土等の土工事施工に適用できる。
(2)具体的な利用方法
①ドローンを使用した3次元測量により3次元地形測量情報を収集しデータ化する。
②ICT建機により、3次元測量データを使用し自動制御により切土と盛土量を計算しながら無人化施工を行う。
(3)改善効果
①測量時間の大幅短縮
測量待ちがなく測量作業自体が大幅に減少するので、施工位置や施工数量の計測から確定までの作業時間を大幅に短縮することができる。
②自動化施工による生産性向上
ICT建機での自動化施工は、斜面等での計測作業を減らすので、経験年数の浅い若いオペレーターでも精度よく施工でき、且つ大幅な工期短縮が可能となる。又、重機周りでの測量作業や高所作業を無くすことができるので、重機との接触事故を防止し安全性も向上する。
3.雇用や契約制度等の改善すべき事項
(1)雇用面に関する改善事項
①熟練技能労働者の雇用延長
熟練労働者の雇用延長や、短縮労働時間シフトへの取り組みにより労働力不足を改善し、若い担い手への技術の継承も行う。
②若手技能労働者の雇用拡大
週休二日制を含めた休日の拡大を図ることにより若手技能労働者の労働時間短縮を推進し、若手技能労働者の入職を促進する。
②女性労働者の雇用拡大
更衣室、休憩所、便所等、女性の働き易い環境を整備し、女性労働者の雇用拡大を促進する。
(2)契約面に関する改善事項
①技能労働者の契約条件改善
週休二日制を前提とした適正な契約工期設定へ取り組むことにより技能労働者の労働時間短縮及び労働者不足対策に取り組む。
②社会保険加入促進
社会保険加入促進に取り組むことにより、技能労働者の労働環境整備推進に取り組む。工事契約時のみならず、継続的なモニタリング調査等により加入推進状況を確認する必要がある。
模範解答4 (簡易答案形式1) 添削履歴 4回 専門事項 建設生産システム
1)建設業が抱える慢性的な課題
1)生産性の向上
社会資本の提供や老朽化資本の維持管理・更新のため担い手の確保は必須である。限られた人材で生産を確保するためには、「生産性の向上」をさせることが課題。
2)処遇の改善
建設技能労働者の処遇は低く、若手の入職や定職者離れの要因となっている。技能労働者の確保のためには、適切な評価に基づく「処遇の改善」をすることが課題。
3)人材の育成
品質の確保となる技術の継承は、熟練者と若手担い手とを組み合わせ、作業を通じて図られてきた。技術の継承をするためには「人材の育成」をすることが課題。
(2)有効と考えるi-Constructionの方策
1)適応できる場面
「生産性の向上」の解決策として、「コンクリート工の規格の標準化」挙げる。例えば、建築物の部材構成を工場生産のプレキャスト化を採用する。
2)具体的な利用方法
具体的には、設計段階より「標準規格化したプレキャスト製品やプレハブ鉄筋などの工場製作した定形部材」を採用し、現地では部材を組み立て構築させる。
3)改善効果
工場制作部材であり「安定した品質管理」ができ、標準化規格部材の採用により発注後の制作とならず工期短縮となる。現地作業が減り「生産性の向上」が図れる。
3.雇用や契約制度等に関して改善すべき事項
1)契約形態の方式
プレキャスト製品やプレハブ鉄筋などの採用は、設計段階より施工者が参加できると取り組みやすくなるため、ECI方式やDB方式にすることが望ましい。
2)処遇の改善
休日の確保のため、受注条件に休日(閉所日)を考慮した工期を設定する。また、キャリアアップシステムの運用により適正に評価し、賃金などの処遇に反映させる。
3)雇用の拡大
外国人材の技能実習修了者の雇用促進を図り、建設需要への適応を図る。発展的には海外でのインフラ需要における国内での教育訓練の充実強化の場とする。
模範解答4 (簡易答案形式2) 添削履歴 1回 専門事項 建設生産システム
(1) 建設業が抱える慢性的な課題
①生産性の向上:社会資本の提供や老朽化資本の維持管理・更新のため担い手の確保は必須である。限られた人材で生産を確保するために、「生産性の向上」が課題。
②処遇の改善:建設技能労働者の処遇は低く、若手の入職や定職者離れの要因である。技能労働者の確保のために、適切な評価に基づく「処遇の改善」が課題。
③人材の育成:品質の確保となる技術の継承は、熟練者と若手担い手とを組み合わせ、作業を通じて図られてきた。技術の継承をするために、「人材の育成」が課題。
(2) 有効と考えるi-Constructionの方策
①適応できる場面:事例とし、鉄筋コンクリートの橋脚の施工を挙げる。「生産性の向上」の解決策は、「コンクリート工の規格の標準化」とする。サプライチェーンマネジメントとして、規格化した工場生産のPCaコンクリートフォームを採用するとともに、先組したプレハブ鉄筋やユニット足場も合わせて採用する。より効率化を図るために、フロントローディングやコンカレントエンジニアリングを図る。
②具体的な利用方法:従来工法と採用する生産性向上工法の手順を示す。
・従来工法:施工手順は、足場架設→鉄筋組→型枠組、コンクリート打ち込み→型枠払の繰り返し作業となる。
・生産性向上工法:型枠は代替えとしてPCaコンクリートフォーム、鉄筋は型枠高さに合わせたプレハブ鉄筋、足場はPCaコンクリートフォームに合わせたユニット足場を工場にて制作。現場では、プレハブ鉄筋を架設→PCaコンクリートフォームを架設(ユニット足場は最上部のPCaコンクリートフォームに地上で先行取り付け架設)→コンクリート打ち込み→繰り返し作業となる。
③改善効果:現地作業が減り「生産性の向上」が図れる。以下に要点を示す。
・工場制作をするため、安定した品質管理ができる。
・標準化規格部材の採用により発注後の制作とならず工期短縮となる。
・PCaコンクリートフォームを代替え型枠とすることで、型枠工が省力化する。
・プレハブ鉄筋・ユニット足場により、省力化となる。
・高所作業が、激減し墜落災害の要因が減る、など。
(3) 雇用や契約制度等に関して改善すべき事項
①契約形態の方式:プレキャスト製品やプレハブ鉄筋などの採用は、設計段階より施工者が参加できると取り組みやすくなるため、ECI方式やDB方式にすることが望ましい。
②処遇の改善:休日の確保のため、受注条件に休日(閉所日)を考慮した工期を設定する。また、キャリアアップシステムの運用により適正に評価し、賃金などの処遇に反映させる。
③雇用の拡大:外国人材の技能実習修了者の雇用促進を図り、建設需要への適応を図る。発展的には海外でのインフラ需要における国内での教育訓練の充実強化の場とする。
模範解答5 (簡易答案形式1) 添削履歴 9回 専門事項 施工計画
1.建設業が抱える慢性的な課題
①担い手不足による労働者不足
建設投資額の減少・競争の激化により、建設業者数や就業者数の減少傾向。
結果として現場の技能労働者の高齢化や若年入職者の減少。
②建設後50年以上経過による高齢化の割合の増加
施設の老朽化による重大な損傷事故等が今後も発生する可能性。
施設の情報不足や維持管理に係わる基準・マニュアルにバラツキがある。
③天候など自然条件に影響を受けやすい為、労働時間が長い
建設業は労働時間が長く、出勤日数も多いのが特徴。
製造業に比べて年間出勤日数が17日多い。
2.i-constructonでの方策
ドローン等による3次元測量で労働時間短縮
適用場面:山間部を通る道路工事において、法面に測量、丁張りかけする作業。3次元測量データと設計図面との差分から、施工量(切土、盛土量)・施工位置を自動算出。
得られる改善効果:3次元設計データ等により、ICT建設機械を自動制御し、施工を効率化。重機の日当たり施工量1.5倍。作業員約1/3。
従来の3Kのイメージを払拭し、多様な人材を呼び込む事で人手不足解消。新3Kで魅力ある建設現場に改善。
3.雇用や契約制度等に関して改善すべき点
①女性の建設従事者の環境改善
作業環境の整備、出産後の現場復帰支援、快適トイレの整備
②外国人労働者の雇用拡大
欧米人、アジア人以外に中東地域の人も招く為、ハラル対応の急速や礼拝所の整備。
③社会保険などの法定福利費の確保
下請企業は標準見積書の活用等により、法定福利費相当額を内訳明示した見積書を注文者に提出。
雇用する建設労働者が社会保険に加入する為に必要な法定福利費を確保。
模範解答5 (簡易答案形式2) 添削履歴 2回 専門事項 施工計画
1.建設業が抱える慢性的な課題
①担い手不足による労働者不足
建設投資額の減少・競争の激化により、建設業者数や就業者数の減少傾向である。結果として現場の技能労働者の高齢化や若年入職者の減少となり、技能労働者の人手不足になっている。
②建設後50年以上経過による高齢化の割合の増加
高度経済成長期に集中的に整備され、近年、これらの社会資本の老朽化が急速に進行している事から、施設の老朽化による重大な損傷事故等が今後も発生する可能性が大きい。
施設の情報不足や維持管理に係わる基準・マニュアルに各管理者間でバラツキがあったり、技術職員が不足している問題もある。
③天候など自然条件に影響を受けやすい為、労働時間が長い
建設業は労働時間が長く、出勤日数も多いのが特徴である。製造業に比べて年間出勤日数が17日多いのは、完全週休2日制の普及状況が低いことである。
2.i-constructonでの方策
①方策:ドローン等による3次元測量した結果を用いて労働時間短縮を図る。
②適用場面:山間部を通る道路工事において、法面で測量、丁張りかけする作業に適用出来る。
3次元測量データから施工位置を自動算出し、作業に掛かる時間を短縮する。
③得られる改善効果:
(1)ドローン等による写真測量等により、短時間で面的(高密度)な3次元測量を実施。
(2) 3次元測量データ(現況地形)と設計図面との差分から、施工量(切り土・盛り土量)を自動算出。
(3)ICT建設機械を自動制御し、施工を効率化。
(4) 3次元測量を活用した検査等により、検査の省略化。
3.雇用や契約制度等に関して改善すべき点
①女性の建設従事者の環境改善
育児休暇・介護休暇の他、事業所の性格に応じ勤務時間管理を弾力化し、例えば朝礼への参加免除など育児・介護に協力すると共に、現場管理についての意識改革を進める。
トイレ、更衣室等の整備を推進し、働きやすい現場環境整備。
②外国人労働者の雇用拡大
欧米人、アジア人以外に中東地域の人も招く為、ハラル対応の急速や礼拝所の整備をする。
同一労働同一賃金の原則を踏まえて、国内建設事業の人材不足の補充策として活用する。
③社会保険などの法定福利費の確保
下請企業は、法定福利費相当額を内訳明示した見積書を注文者に提出する。元請企業は、提出された見積書を尊重し、各々の対等な立場における合意に基づき請負契約を締結する必要がある。法定福利費を賄う事ができない金額で請負契約を締結した場合、建設業法第19条に違反するおそれがあるので慎むこと。
模範解答5 (答案形式) 添削履歴 6回 専門事項 施工計画
1.建設産業が抱える慢性的な課題
①担い手不足による労働者不足
五輪等の需要で建設投資が急増した為、工事量に対し技術者比率が低下傾向で、技術者不足が生じている。
今後は、若手の入職が重要で「給料高い・休日多い・希望が持てる」など若手技術者が魅力を感じる事ができるようにPRしていく事が不可欠である。戦略手金広報で、建設産業の魅力を建設業界全体で発信する。
②インフラの高齢化の割合増加
近年、社会資本の老朽化が急速に進行していることから、施設の老朽化による重大な損傷事故等が今後も発生する可能性が大きい。
施設の情報不足や維持管理に係わる基準の平準化や維持管理工事のビックデータによるデータ分析を実施する事で危険を予知する。また、民間の資金・知恵等を活用し、民間の事業機会の拡大による経済成長を実現していく為、PFIを積極的に推進する。
③長い労働時間
建設業の労働時間が長いのは、休日が少なく出勤日数が多いのが要因である。
今後は、適正工期の確保及び完全週休2日制の実現による、建設業に従事する人々の生活の質の向上させる事が重要である。また、ICTを全面的に活用、中小企業への支援等により生産性を向上を進める。
2.i-constructionでの方策
①方策:ドローン(UAV)空撮測量とは、カメラを搭載したドローンを低空飛行させ連続写真を撮影する写真測量技術の一種である。画像解析により各写真の特徴点抽出と写真間の対応付けを行い、カメラ位置を推定することで、3次元座標を持った点群を得られる。低空で撮影した高解像度画像を用いる事から、より詳細な地形を得る事ができる。
②適用場面
ドローン測量では、1度のフライトによる観察で、地形図、縦断図、横断図に必要な単点の位置及び標高の所得が短時間で高精度のデータを取得できる。ドローン測量から得た3次元測量データを基に施工位置を自動算出し、測量・丁張り作業が不要となる。
また、検査では3次元測量を活用した検査等により、出来形書類が不要となり、検査項目が半減する。
③得られる改善効果
1)UAV測量による測量で測定時間を短縮できる。
2)3次元測量データと設計図面との差分から、施工量(切土、盛土量)を自動算出できる。
3)UAV写真測量により3Dモデルの点群データを多く取得できる為、3次元での数量算出ほうが高精度である。
4)ICT建設機械を自動制御し施工途中の丁張設置が不要なため、作業の効率化を図れる。
5)UAV測量は施工中に作業を止める事無く測量できるので、進捗状況を効率的に管理できる。
3.雇用や契約制度等の改善点
①女性建設従事者の環境改善
育児休暇・介護休暇の他、事務所の性格に応じ勤務時間管理を弾力化し、例えば朝礼への参加免除など育児・介護に協力し、現場管理の意識改革を進める。快適トイレ、更衣室等の整備を推進し、働きやすくする。
また、現場に女性管理職、女性職員を増員し女性同士がコミュニケーションを取れるようにし、女性目線での現場環境改善を進める。
②外国人労働者の雇用拡大
近年、ベトナム、フィリピン、インドネシア等からの労働者が増加している。外国人の多国籍化により、現場内の安全看板に英語、中国語、ベトナム語等も追記し、外国人が理解できるようにする。
また、慣れない環境の中で生活し、就労する為、仕事面、生活面、精神面でもフォローできる環境整備を進める。
③社会保険等の確保
下請企業は、法定福利費相額を内訳に明示した見積書を注文者に提出する。元請企業は、提出された見積書を尊重し、各々の対等な立場における合意に基づき
請負契約を締結する。
マイナンバー制度を活用し、税と社会保障の分野で連携を進め、社会保険等未加入企業に対する加入指導に進展させる。