H29年 建設・鋼コン Ⅱ-1-7 模範解答と解説
問題
コンクリートのワーカビリティーの向上を目的に、スランプを設計図書に示される値よりも大きくする場合(ただし、スランプで管理する範囲とする。)を想定し、コンクリートの配合設計と製造・施工の観点から、それぞれの留意点について説明せよ。
模範解答
ワーカビリティーの改善を目的にスランプを増大させる混和材として高性能AE減水剤と流動化剤を使用した場合の留意点を概説する。
1.高性能AE減水剤の使用上の留意点
夏季の温度が高い場合、運搬時間が長くなる場合は、スランプ保持機能が低下する。この結果、所定のコンシステンシーが得られず、コンクリートの充填不良などの問題が発生する。これを防止するために、遅延型高性能AE減水剤を使用する。単位セメント量の下限値は粗骨材最大寸法が20または25㎜を対象に原則として270kg/m3に設定する。この値を下回るとワーカビリティーやスランプ保持機能が低下する。
遅延型を使用する際は、仕上げのタイミングが標準型よりも長くなるため、試験施工により仕上げのタイミングを確認し、打設計画に反映する。
b)製造・施工
夏季の温度が高い場合、運搬時間が長くなる場合は、スランプ保持機能が低下する。この結果、所定のコンシステンシーが得られず、コンクリートの充填不良などの問題が発生する。これを防止するために、遅延型高性能AE減水剤を使用する。
遅延型を使用する際は、仕上げのタイミングが標準型よりも長くなるため、試験施工により仕上げのタイミングを確認し、打設計画に反映する。
2.流動化コンクリートの使用上の留意点
a)配合
流動化コンクリートの強度、耐久性、水密性ならびにひび割れ抵抗性等の品質は、流動化の添加量がある一定の範囲では、ベースコンクリートの品質とほぼ同等であるので、ベースコンクリートの配合を所要のものとすることが重要である。このため、ベースコンクリートは、AEコンクリートとし、その配合および流動化剤の添加量は、所要の性能が得られることを試験施工により確認し配合決定する。
b)製造・施工
スランプの増大量は流動化剤の添加量に応じて大きくなるが、あまり大きくしすぎると材料分離が生じる。よって、添加量に留意する。これには例えばスランプの増大量を5〜8cm以内とし材料分離を防止する。
模範解答2 簡易答案形式1 添削回数4 完成日2018/4/20 専門とする事項 維持管理
1.配(調)合設計の留意点
1)スランプを大きくするとモルタル分の流動性が増すため、粗骨材が分離しやすい。水セメント比を5%大きくした場合には、細骨材率を1%大きくし材料分離を防ぐ。
2)AE材を添加すると細孔が増え密度が低下するため、強度が低下する。強度低下を防止するため、AE材を6%以下とする。
3)混和材を増すとアルカリ総量が増えASRのひび割れが発生し耐久性が低下する場合がある。ASRの発生を防止するため、無害骨材を使用するかアルカリ総量を2kg以下とする。
2.製造・施工上の留意点
1)コンクリート内の細孔が増えると水分が浸入し凍害を起こす。凍結耐久性の低下を防ぐため、コンクリート内の細孔を少なくする。練混ぜ時間を縮小し、エントラップエアーの混入率を3%以下にする。
2)モルタル分が粗骨材から分離しないようにバイブレータ―稼働時間を縮小する。具体的にはコンクリート表面の艶が出たら作業をやめる。