H29年 建設・施工 Ⅱ−1−2問題 模範解答と解説
問題文
Ⅱ−1−2 建設工事における共同企業体(JV,ジョイントベンチャー)は、工事の規模や性格、結成目的などによって形態が分かれ、さらに甲型と乙型に区分される。共同企業体の形態について2つ挙げ、それぞれの名称(略称可)と概要を示せ。また、甲型と乙型について、それぞれ説明せよ。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 専門事項 施工計画・施工管理
1.共同企業体形態の結成目的による分類
建設工事における共同企業体には、その結成目的により、1)特定建設共同企業体(特定JV)、2)経常建設共同企業体(経常JV)などがある。
1)特定JV:特定の工事の施工を目的として工事ごとに結成され、工事完成後または工事を受注できなかった場合は解散する。大規模で技術的難度の高い工事が、特定JVの対象となる。
2)経常JV:中小・中堅建設業者が継続的な協業関係を確保することにより、その経営力・施工力を強化する目的で結成する。発注機関の入札参加資格申請時に経常JVとして結成し、単体企業と同様に、一定期間、有資格業者として登録される。
2.施工方式の違いによる分類
共同企業体は施工方式によりさらに1)甲型、2)乙型に区分される。
1)甲型共同企業体:全構成員が、各々あらかじめ定めた出資の割合に応じて、資金、人員、機械等を拠出して一体となって工事を施工する方式である。利益は出資比率に応じて分配される。
2)乙型共同企業体:各構成員間で、共同企業体の請け負った工事をあらかじめ工区に分割して、各構成員はそれぞれの分担した工事について責任を持って施工する方式である。損益計算は各構成員の分担工事ごとに行われる。
模範解答2 (答案形式) 添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理
1.共同企業体の形態
1)特定建設工事共同企業体
大規模(予定価格3億円以上が対象)かつ技術的難易度の高い特定の工事の施工を目的として工事毎に自主的に結成される。代表者は、施工能力の大きい者で出資比率は構成員中最大とされている。
2)経常建設共同企業体
中小・中堅建設業者が継続的な協業関係を確保することにより、その経営力・施工力を強化する目的で自主的に結成される。発注機関の入札参加資格審査申請時に経常JVとして結成し、単体企業と同様に一定期間、有資格業者として登録される。代表者及び出資比率は、構成員が自主的に決定することになっている。
2.共同企業体の施工方式
1)甲型共同企業体(共同施工方式)
1つの工事について、あらかじめ定めた出資比率に応じて、各構成員が共同して施工する方式である。発注コストを削減できるため大型工事への対応が容易となる。又技術者は上位級の高度な技術経験ができる。
2)乙型共同企業体(分担施工方式)
1つの工事について、あらかじめ各構成員の分担工事額を取り決め、工区別等に分割しそれぞれ施工する方式である。工区割りが比較的容易な工事や専門工事部分を容易に分割できる場合に用いられる。