H29年 建設・施工 Ⅱ−1−1 問題 模範解答と解説
問題文
土留め壁を設置する開削工事において、掘削底面の安定に影響を与える現象名を3つ挙げ、そのうちの2つにおいて、現象の概要と対策をそれぞれ述べよ。
模範解答1 (簡易答案形式1) 添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理
1.掘削底面の安定に影響を与える現象名
ボイリング、ヒービング、盤ぶくれ
2.ボイリング
1)概要
地下水位の高い砂質土地盤で土留め工を行う場合等に、掘削面と地下水位の高低差によって上向きの浸透流が生じ地下水とともに土砂が掘削面に流出する現象
2)対策
①浸透圧に対抗するため土留めの根入れを長くし土の有効重量を大きくする
②浸透流を低減させるためディープウェル等により地下水位を下げる
③浸透流を遮断するため地盤改良を行う
3.ヒービング
1)概要
軟弱な粘性土地盤で土留め工を行う場合等に、掘削背面の土砂の重量が掘削底面の地盤支持力より大きくなるとすべり面が発生し掘削底面が持ち上がる現象
2)対策
①すべり面の半径を大きく(すべりにくく)するため土留めの根入れを長くする
②掘削底面の強度を増加させるため地盤改良を行う
③背面土砂の重量を下げるため背面地盤を掘削する
模範解答1 (簡易答案形式2) 添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理
1.掘削底面の安定に影響を与える現象名
土留め壁を設置する開削工事においてボイリング、ヒービング、盤ぶくれ等が掘削底面に影響を及ぼす現象である。
2.ボイリング
1)概要
地下水位の高い砂質土地盤で土留め工を行う場合等に、掘削面と地下水位の高低差によって上向きの浸透流が生じ地下水と共に土砂が掘削面に流出する現象である。
2)対策
①浸透流に対抗するため土留めの根入れを長くし土の有効重量を大きくする。
②浸透流低減のためディープウェル等により地下水位を低下させる。
③浸透流遮断のため地盤改良(薬液注入工等)により不透水層を形成する。
3.ヒービング
1)概要
軟弱な粘性土地盤で土留め工を行う場合等に、掘削背面の土砂の重量が掘削底面の地盤支持力より大きくなるとすべり面が発生し掘削底面が持ち上がる現象である。
2)対策
①すべり面の半径を大きく(せん断抵抗力を増加)するため土留めの根入れを長くする。
②掘削底面の強度を増加させるため地盤改良(深層混合処理工等)を行う。
③背面土砂の重量を下げるため背面地盤を掘削する。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理
1.掘削底面の安定に影響を与える現象名
土留め壁を設置する開削工事においてボイリング、ヒービング、盤ぶくれ等が掘削底面に影響を及ぼす現象である。
2−1.ボイリングの概要
高地下水位の砂質土地盤で土留め工を行う場合等に、掘削面と地下水位の高低差により上向きの浸透流が生じ地下水と共に土砂が掘削面に流出する現象である。
2−2.ボイリングへの対策
①浸透流に対抗するため、土留めの根入れを長くし土の有効重量を大きくする。
②浸透流低減のため、ディープウェル等により地下水位を低下させる。
③浸透流遮断のため、地盤改良(薬液注入工等)により不透水層を形成する。
3−1.ヒービングの概要
軟弱粘性土地盤で土留めを工を行う場合等に、掘削背面の土砂重量が掘削底面の地盤支持力より大きくなるとすべり面が発生し掘削底面が持上がる現象である。
3−2.ヒービングへの対策
①すべり面の半径を大きく(せん断抵抗力を増加)するため、土留めの根入れを長くする。
②掘削底面の強度を増加させるため、地盤改良(深層混合処理工等)を行う。
③背面土砂の重量を下げるため、背面地盤を掘削する。
模範解答2 (簡易答案形式1) 添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理
1.掘削底面の安定に影響を与える現象名
1)ボイリング、2)ヒービング、3)盤ぶくれ
2.ボイリングについて
1)現象の概要
水位の高い砂質地盤で発生する現象で、遮水性の土留め壁を用いた場合に、掘削面と土留め壁背面側の水位差が大きい場合に背面側から掘削面側に向かう浸透流が発生し、この浸透圧により掘削面側の地盤の有効応力が失われ、やがて地盤が突発的に液状化して砂の粒子が沸き上がる現象をいう。
2)対策
①地下水位低下工法
②地盤改良工法
2.ヒービングについて
1)現象の概要
掘削底面付近に柔らかい粘性土がある場合に発生する現象で、土留め背面の土の重量や土留めに近接した地表面での上載荷重などにより、掘削底面の隆起、土留め壁のはらみ周辺地盤の沈下が生じ最終的には土留めの崩壊に至る現象をいう。
2)対策
①地盤改良工法
模範解答2 (答案形式) 添削履歴 2回 専門事項 施工計画・施工管理
1.掘削底面の安定に影響を与える現象名
1)ボイリング、2)ヒービング、3)盤ぶくれ
2.ボイリングについて
1)現象の概要:水位の高い砂質地盤で発生する現象で、遮水性の土留め壁を用いた場合に、掘削面と土留め壁背面側の水位差が大きい場合に背面側から掘削面側に向かう浸透流が発生し、この浸透圧により掘削面側の地盤の有効応力が失われ、やがて地盤が突発的に液状化して砂の粒子が沸き上がる現象をいう。
2)対策:①地下水位低下工法:背面側から掘削面側に向かう浸透水の流速を低減する工法で、ディープウェル、ウェルポイント及び土留め壁の根入れ長を増す工法がある。②地盤改良工法:掘削側の地盤中に不透水層を造成する工法で薬液注入工法がある。
3.ヒービングについて
1)現象の概要:掘削底面付近に柔らかい粘性土がある場合に発生する現象で、土留め背面の土の重量や土留めに近接した地表面での上載荷重などにより、掘削底面の隆起、土留め壁のはらみ周辺地盤の沈下が生じ最終的には土留めの崩壊に至る現象をいう。
2)対策:①山留壁せん断抵抗力増加:すべり面に沿うせん断抵抗力増加のために根入れ長を増す方法である。②地盤改良工法:掘削底面の強度を増加させるために深層混合処理工法がある。
模範解答3 (簡易答案形式1) 添削履歴 6回 専門事項 施工計画・施工管理
1.掘削底面の安定に影響を与える現象名
①ヒービング
②盤ぶくれ
③円弧すべり
2.現象の概要
①ヒービング:軟弱な粘土質の地盤を掘削する時、掘削背面の土塊重量が掘削面下の地盤支持力より大きくなると、地盤内にすべり面が発生し、このため掘削底面に盛りあがりが生じる現象
②盤ぶくれ:透水性の小さい粘性土の地盤で、その層の下部に砂や礫で構成される被圧滞水層が存在する時、その層から水圧が作用し、掘削により抵抗重量が減少し揚圧力とのバランスを保てなくなった場合に地盤が持ち上がる現象。
3.現象の対策
①ヒービング対策: 土留め壁背面の地盤の強度をあげる。
計画時であれば土留め壁の根入れと剛性をあげる事で対応。
施工途中では、土留め壁の外側を地盤改良し、地盤沈下を抑制。
②盤ぶくれ対策:
揚圧力の低減する為、地下水位低下工法でディープウエルポイント。
底面抵抗力の増加の為、底盤止水改良工法で掘削底面を止水を兼ねて地盤改良。
模範解答3 (簡易答案形式2) 添削履歴 1回 専門事項 施工計画・施工管理
①掘削底面の安定に影響を与える現象名
(a)ヒービング
(b)盤ぶくれ
(c) 円弧すべり
②現象の概要
(a)ヒービングについて
軟弱な粘土質の地盤を掘削する時に、掘削背面の土塊重量が掘削面下の地盤支持力より大きくなると、地盤内にすべり面が発生する。そのため、掘削底面に盛り上がりが生じる現象である。
(b)盤ぶくれについて
透水性の小さい粘性土の地盤で、その層の下部に砂や磯が構成される被圧帯水層が存在する時、その層から水圧が作用し、掘削により抵抗重量が減少し、揚圧力とのバランスを保てなくなった場合に地盤が持ち上がる現象である。
③現象の対策
(a)ヒービング対策
土留め壁背面の地盤の強度を上げる。
計画時であれば、土留め壁の根入れを長くして剛性をあげる事で対応する。
施工途中では、土留め壁の外側を地盤改良し、地盤沈下を抑制する。
(b)盤ぶくれ対策
揚圧力の低減する為、地下水位低下法でディープウエルポイントを使用し地下水位を低下させる。
底面抵抗力の増加の為、底盤止水改良法で掘削底面の止水を兼ねて地盤改良を行う。
模範解答3 (答案形式) 添削履歴 4回 専門事項 施工計画・施工管理
(1)ヒービング(2)盤ぶくれ(3)円弧すべりの3つの現象がある。
(1)ヒービングについて
軟弱な粘性土の地盤を掘削すると、壁の内側と外側に高さの差が生じる。それに伴い内側に比べて外側の重量が大きくなる。重量差に内側の地盤支持力が耐えられなくなると、土留めの下から土が回りこんで、内側の底面が盛り上がり、その分外側の表面が沈下する現象である。
(2)盤ぶくれについて
透水性の小さい粘性土の地盤の下部に砂や磯で構成されている被圧帯水層が存在する時、その層から水圧が作用する。掘削により抵抗重量が減少し、揚圧力とのバランスが崩れた場合に地盤が持ち上がる現象である。
2.現象の対策
(1)ヒービング対策は、地盤改良して地盤強度を上げる。計画時であれば、土留め壁の根入れを長くして剛性をあげる。施工途中では、土留め壁の外側を地盤改良し、地盤沈下を抑制する。
(2)盤ぶくれ対策は、揚圧力を低減する為、地下水位低下法でディープウエルポイントを使用し地下水を低下させる。底面抵抗力の増加の為、底盤止水改良法で掘削底面の止水を兼ねて地盤改良を行う。